「申出書」は、9Bブロック被収容者の討議によって作成され、20余名の署名で11月7日に、福山宏所長あてで提出されました。回答期限は、11月30日に設定されております。
なお、「申出書」提出の、職員とのやりとりをふくめた様子は、以下の被収容者のブログに記されております。
法務省令である「被収容者処遇規則」では、被収容者からの申出があった場合の手続きについて、以下のように定めております。
第四十一条 入国警備官は、被収容者から処遇に関する申出(次条第一項の規定によるものを除く。)、その他法令に定める請求又は申出があつたときは、直ちに所長等に報告しなければならない。
2 所長等は、前項の報告のあつた事項について、速やかに処理し、その結果を当該被収容者に知らせるものとする。
上記の被収容者のブログによると、「申出書」提出のさい、職員が「返答の義務はうちにはない」と発言したとの記述がありますが、見たとおり、被収容者からの申出についてはその結果を知らせるよう、「被収容者処遇規則」は定めています。
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以下に掲載する「申出書」は、1948年に国連総会で採択された「世界人権宣言」の前文と申出に関連する条文に依拠するかたちで書かれております。また、先述の法務省令「被収容者処遇規則」も引用され、参照されております。
「世界人権宣言」が引用・参照されることで、東日本入国管理センターの被収容者に対する処遇が、いかに被収容者個々人の人権を無視しており、また差別にもとづいたものであるか、明瞭になっております。
また、収容所内が(法務省の運営する施設でありながら!)いわば無法状態とも言える状態であることが、「申出書」の記述からはみてとれます。もとより、収容、そして違反調査や違反審査、口頭審理といった退去強制令書の発付への手続きは、入国管理局の独断でおこなわれており、裁判所や第三者機関によるチェックもなしにおこなわれています。被収容者は、このように一行政機関にすぎない入管の独断で身柄を拘束されたうえに、収容所での処遇(診療から、窓の開け閉め、部屋の温度調節にいたるまで)を事実上、職員の恣意に支配される状況におかれています。「ここには法はない」と言うほかないのが現状です。
こうした人権侵害に対し、被収容者たちはこれまでも入管に対して処遇改善の要求をしてきました。これによって改善された部分もあるものの、ほとんどの要求は、「保安上」あるいは「予算上」の問題があるという理由でしりぞけられ、または要求そのものが無視されてきました。
しかし、当然のことながら、「保安上」「予算上」の問題よりも、被収容者の人権こそが優先され、尊重されなければなりません。また、「申出書」も指摘しているように、予算や人員の不足を理由に基本的人権が侵害されるほどの処遇が放置されるならば、それは収容所の収容能力をこえた人数を収容しているということであって、ただちに仮放免等によって被収容者を出所させ、収容人員を減らすべきです。
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以下に紹介する「申出書」は、原文では前半で抜粋されている「世界人権宣言」の各条文を、公判の個々の申出の項目ごとに付けるといった編集をしております。原文は、「申出書」のスキャン画像を記事末尾につけましたので、そちらをクリックしてご覧下さい。
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「申出書」は、首尾一貫して、すべての人の平等と人権という普遍的な観点から書かれております。入管が侵害しているのは、個々の被収容者にとどまりません。入管は同時に、平和で個々人の人権が尊重される世界秩序を作ろうと努力してきた先人たち、いま現在そう志しているすべての人、またそうした人々が築き上げてきた理念にケンカを売っていると言えるのではないでしょうか。
人権週間をまえに、この問題についてみなさんと共有したいと思います。
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申出書
東日本地区入国者等視察委員会
施設名:入国者収容所東日本入国管理センター
東日本入国管理センター所長 福山 宏 殿
私達は9Bブロックの者で、「人権」を皆平等に受けたいもので、現在の貴センターはこのかけらもなく、だたの管理対象としか取り扱われてないので、速やかに私達の人権と権利を保障される為、訴えさせて頂きます。
又、世界人権宣言を載せますので、右手を心の前に当てて頂いて読んでもらい、私達の申出等について前向きな措置と速やかな対応願います。
私達はこの書面に対しての返答を、同じく書面で要求しますので、11月30日までにその誠意をみせて下さい。
世界人権宣言
前文
人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、
人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、
人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要であるので、
諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、
国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、
加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、
これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、
よって、ここに、国際連合総会は、
社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と尊守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。
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1.世界人権宣言第一条「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」
被収容者処遇規則
第一条(目的)
この規則は、出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)により入国者収容所又は収容場(以下「収容所等」という。)に収容されている者(以下「被収容者」という。)の人権を尊重しつつ、適正な処遇を行うことを目的とする。
となっていますが、ほとんどの処遇に適正さはなく、貴職の職務に対しての都合が尊重され、私達被収容者に対しての人権の尊重は非常に薄いです。
ですのでこれから申出る事項は本来なくてはならない私達の権利であるので、速やかに尊重し、実行して下さい。
貴職に度々言われています、保安上の問題、予算上の問題があるのなら、収容オーバーになっている証拠であるので、被収容者を減らしてこの問題に速やかに対応して頂くか、予算を十分に取って頂いてからの十分な説明を一人の人間として頂きたいのでお願いします。
一.シャワーを午後だけでなく、午前にも浴びさせて下さい。
現在当収容所ではシャワーを使用する際に貴職の都合でボイラでの使用でしていますが、私達が午前中にも浴びれるようして下さいと申出ても予算上出来ないとしか返答が来なく、短いフリータイム(開放時間)に大人数に限られたシャワー室で使用するのは配慮が一切無く、今後冬期が来て午前中に運動時間や、自室等での運動が重なると不衛生であり、貴職の都合の良い管理対象としかなっていません。
至急、この問題を解消して下さい。
一.冷暖房等の温度調整の徹底管理について。
現在当収容所の温度調整ですが、日中は良く管理されているのですが、夜間10時過ぎから翌朝9時頃までは一切これらの運用はされてなく、予算上の問題で私達の人権に対しての配慮と尊重がされていません。
私達の申出があった時に対しては温度調整をして下さい。
一.テレビ視聴の自由について。
現在当収容所のテレビ視聴時間ですが、朝8時半過ぎから夜10時までとなっていますが、法のどこにも視聴時間の制限等はなく、私達の自由について考慮はされていません。
至急にテレビ視聴の時間を少なくとも12時までに延長して下さい。
一.郵送差し入れ(一般的日常品、家電製品、飲食料等)の自由について。
現在当収容所の郵送での差し入れですが、少ない数点のみでほとんど全ての物が入らず、とても不都合が生じております。
このままですと始めに経済的余裕のない人達、日本食が極度に食べられず栄養が足りておらず、栄養失調で健康、メンタル面で害が生じてる人たち、又は少量の食事で前の2つの事情が重なりとても困ってる人達がたくさん出てきて、貴職に多大な負担が出てきて互いにデメリットです。この人達に対して申出等があった時に特別な配慮があればこの限りではないですが、何も無ければ飲食料等の自由を保障して下さい。
又、一般的日常品、家電製品の使用も必要な物に対して自由に使わせて下さい。
一.娯楽品の自由について。
今後、以下の物に対して自由に使用させて下さい。
(1人で観られるDVDプレーヤー、パソコン、プリペイド携帯(カメラなし)、各種の音楽プレーヤー、ライト、ゲーム機)
一.他のブロックの者との共同面会実施について。
現在私達の面会は、同ブロックの人達としか面会出来ず、面会人に時間を取らせたり、以前は出来て今は出来ないなど、待遇が悪くなってる所があるので、そのうちの1つであるこの共同面会については至急出来るようにして下さい。
品川の入管では出来てここでは出来ないのは統一性がないのでここの所から実施して下さい。
一.窓の開放、銀色のフィルム除外について。
現在当収容所では運動時以外、外の景色や天気の確認すら出来ておらず、地下に閉じ込められている心理状況で多大な精神ストレスを強いられてる生活です。
これに限らず当収容所で精神的苦痛を強いられてる結果、同収容者同士での突発的なケンカは数えきれないほどあり、自殺未遂、自殺等の原因になり私達はもちろん家族や友人、知人の他に貴職に深刻な問題となっており、貴職が一番分かっているのは現状で即刻に改善の措置が必要です。
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2.世界人権宣言 第二条「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。」
被収容者処遇規則
第二条(生活様式の尊重)
入国者収容所長及び地方入国管理局長(以下「所長等」という。)は、収容所等の保安上支障がない範囲内において、被収容者がその属する国の風俗習慣によつて行う生活様式を尊重しなければならない。
このようになっていますが、私達は差別を受けないよう言われて、生活様式を尊重されなければいけません。
これに関しては1つだけ言いたい事があります。
なぜ入管職員はID番号だけの身分証で、私達のは氏名等全て把握されて接していかなければならないのでしょうか。
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3.世界人権宣言 第三条「すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。」
被収容者処遇規則
第八条(健康診断)
所長等は、新たに収容される者について、必要があると認めるときは、医師の健康診断を受けさせ、り病していることが判明したときは、病状により適当な措置を講じなければならない。
第三十条(傷病者の措置)
- 所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。
- 収容所等には、急病人の発生その他に備え、必要な薬品を常備しておかなければならない。
第二十八条(運動)
所長等は、被収容者に毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与えなければならない。ただし、荒天のとき又は収容所等の保安上若しくは衛生上支障があると認めるときは、この限りでない。
特に以上の3点が当収容所では軽視され、予算上、保安上の問題で未だに解消されず時間だけが過ぎて何もしてくれません。
ここまでヒドいのは日本の入管だけと言っても過言ではない位、他国の入管収容所では人権とその権利が優先され、収容者に対しての扱いも日本の入管と比べ断然違い、人間としての人権と権利が尊重されています。
一.体調不良時の速やかな対応について。
私達は体調不良、負傷又はり病になった時には入国警備官にしか申込めずその都度体調の不良等を訴えていますが、毎回警備官には、「様子観てから」としか言われず、肝心な医師の診療は受けさせてもらえず、病状の苦しみを我慢して待っていますが貴職の都合で患者の順番待ちの理由で受診が大変遅れたり、又は出来ていません。
この問題は人権上深刻な問題となっていますので、至急改善して下さい。
一.カウンセリングについて。
私達には様々な治療が必要であり、ストレス等からもくる精神障害もその1つであり、多数の者が被っているこの現状で、当収容所の精神科の月2回だけの受診は今の収容人数上間に合ってなく、これらも深刻な問題となっています。
至急、毎週受診できるようにして頂き、カウンセラーも専門的な人達にしてもらい、医療面では特にしっかりした運営を願います。
一.健康診断の実施と健全体の確保について。
現在当収容所では入所時の健康診断をはじめ、定期的な健康診断もなく皆不安と不満で生活し、実施の期待もしていましたがその気配はなく自身の身体が心配です。
私達がどこにいても必要な行為であり、ましては入所時の者達には必要不可欠であり、長期収容者に対しては優先的であり、収容者全体に必要な措置でその権利を求めます。
一般社会同様の健康診断の実施と、健全体の確保に務めて下さい。
一.毎日戸外の運動実施について。
現在当収容所の運動の実施ですが、平日と日曜の40分のみで、土曜日は戸外運動が実施されていません。
又、休日が平日に重なりますとその日は貴職の職員人員不足の為実施されず、ただでさえ短い運動時間がさらに減り、私達のストレス発散にについては考えられていません。
私達は無茶は言いません。
毎日1時間の戸外運動だけ要望します。
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4.世界人権宣言 第五条「何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けることはない。」
被収容者処遇規則
第六条(適法な収容)
所長等は、新たに収容される者を収容所等に収容するときは、その収容が適法であることを確認しなければならない。
第十九条(戒具の使用)
所長等は、被収容者が次の各号の一に該当する行為をするおそれがあり、かつ、他にこれを防止する方法がないと認められる場合は、必要最小限度の範囲で、入国警備官に、当該被収容者に対して戒具を使用させることができる。ただし、所長等の命令を受けるいとまがないときは、入国警備官は、自ら戒具を使用することができる。
一 逃走すること。
二 自己又は他人に危害を加えること。
三 収容所等の設備、器具その他の物を損壊すること。
第二十条(戒具の種類)
戒具は、次の四種類とする。
一 第一種手錠
二 第二種手錠
三 第一種捕じよう
四 第二種捕じよう
私達は以上のように適法な収容を望み、職権乱用としてとらえられる言動は受けたくないので、以下の事項を参考にして、徹底した指導を願います。
一.当収容所内の生活上のルール詳細の明記について。
現在当収容所で生活していく上で私達と入国警備官との間でルールの問題で度々トラブルになっており、互いの都合で衝突しているのが現状です。
そして、入国警備官の職員も人によっては違う措置を取る者もおり、全職員の統一がありません。
細かい所では職員の職権で決められる所もあるので、今後小さなルールも含め生活していく上で必要なルールの詳細の明記を提示して下さい。
非人道的な若しくは屈辱的な扱いを受ける時が一般生活上度々ありますので、今後職員の徹底した指導と教育をお願い致します。
一.外部の病院等への手錠装備連行の中止について。
私達は何かしらの理由等(り病や重傷名病状等)で外部の病院等へ診療に行きますが、本来付けなくても良い手錠での連行が義務化されており、病人に対してこのような違法な行為があるのは人道的な問題でもあり病状の悪化とその配慮も人権の尊重がないです。
さらには病院等への連行直前には手錠装着の同意を求められ、この装着を拒めば病院への連行が取り消され、私達への病状の事は考えてもらえず保安上の理由で連行されません。
どちらも悪質で違法な行為であるので、こちらも至急して頂き、今後、非人道的な扱いがないよう徹底して下さい。
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5.世界人権宣言 第六条「すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利を有する。」
被収容者処遇規則
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~第四十条(外出)
- 所長等は、被収容者から外出の申出があつた場合には、やむを得ない事由があると認めるときに限り、これを許可することができる。
- 所長等は、前項の許可により被収容者を外出させるときは、入国警備官に看守させなければならない。
第四十一条(被収容者の申出に対する措置)
- 入国警備官は、被収容者から処遇に関する申出(次条第一項の規定によるものを除く。)、その他法令に定める請求又は申出があつたときは、直ちに所長等に報告しなければならない。
- 所長等は、前項の報告のあつた事項について、速やかに処理し、その結果を当該被収容者に知らせるものとする。
第四十一条の二(不服の申出)
- 被収容者は、自己の処遇に関する入国警備官の措置に不服があるときは、当該措置があつた日から七日以内に、不服の理由を記載した書面により所長等にその旨を申し出ることができる。
- 所長等は、前項の規定による申出があつたときは、速やかに必要な調査を行い、その申出があつた日から十四日以内に、その申出に理由があるかどうかを判定して、その結果を書面により前項の規定による申出をした者(以下「不服申出人」という。)に通知しなければならない。ただし、不服申出人がその通知を受ける前に出所している場合には、第一項の申出があつた日から十四日以内に、その者が出所前に所長等に届け出た出所後の住所、居所その他の場所に通知を発することができる。
- 前項の規定による通知に係る書面には、不服申出人が収容中である場合に限り次条第一項の規定による異議の申出をすることができる旨を記載しなければならない。
第四十一条の三(異議の申出)
- 前条第二項の規定による判定に不服がある被収容者は、同項の規定による通知を受けた日から三日以内に、不服の理由を記載した書面を所長等に提出して、法務大臣に対し異議を申し出ることができる。
- 所長等は、前項の規定による申出があつたときは、速やかにその申出に係る書面及び前条第二項の調査に関する書類を法務大臣に送付するものとする。
- 法務大臣は、第一項の規定による申出があつたときは、速やかにその申出に理由があるかどうかを裁決して、書面により所長等を経由して第一項の規定による申出をした者(以下「異議申出人」という。)に通知するものとする。ただし、異議申出人がその通知を受ける前に出所している場合には、その者が出所前に所長等に届け出た出所後の住所、居所その他の場所に通知を発することができる。
第四十一条の四(所長等の処置)
所長等は、第四十一条の二第一項の不服の申出が理由があると判定したとき、又は法務大臣が前条第一項の異議の申出が理由があると裁決したときは、その申出をした被収容者の処遇等に関し必要な措置をとるものとする。
以上のように私達にはこの権利が保障されていますが、ほとんどのものの人権と権利が剥奪されており、貴職の管理対象としか扱われておらず保安上、予算上の問題で人として認められるべき権利を侵害されています。
私達の申出等については、人権と権利を優先に認めて下さい。
又、不服の申出については、何かしらの理由で所長等に公平な助けを求めているけれど、どれも「理由なし」としか返答の結果が来ないので、調査の結果をまず説明されてからの判定を今後実施して頂き、被収容者に証人がいる場合、こちらの調査も公平にして下さい。今の所、これらの調査は消極的に感じられ、私達の訴え等についての調査も十分ではなく、入国警備官への調査とその者達の付けたレポート(報告日誌)のみです。
今後、いかなる場所においても人としての権利を認めて下さい。
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6.世界人権宣言 第七条「すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。」
私達は貴職に様々な理由な在留資格(ビザ)の事情で拘束され、無期限な収容を余儀なくされて今現在に至っています。
理由は様々ですが、生活していく上で最低限必要な保護を受け、個人の事情で数ヶ月から数年で仮放免という制度で出所していきます。
しかし、その中でも刑務所に務めていた者に対しての仮放免の許可が消極的であり、偏見と差別的な対応を受け、他の者に比べ断然期間がかかっています。
刑務所に入った者に関しては社会で罪を犯してきたのを認めますが、平等に日本社会の法律に基づいて処罰されており、皆その罪を償って出所してきています。
ですので、その罪は償われており、仮放免の判断材料に左右されているのは不公平であり、今後この仮放免の許可の判断を皆公平に願います。
又、当収容所を含め東日本の施設と西日本の施設の仮放免をはじめ被収容者処遇規則の待遇も大幅に違い、地域の違いだけで平等な保護が受けられていません。
これらの事情に関しては今後皆平等で、差別なくして下さい。
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7.世界人権宣言 第九条「何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。」
私達は現在、様々な理由な在留資格(ビザ等)の規則等に欠けてしまった為に強制的に逮捕され、拘禁生活を強いられています。
ルールを守れない為にここまでヒドい非人道的な扱いを受けないといけないのには理解を苦しみますし、牛久の、東日本入国管理センターまで来て収容されているからには特別な事情を持って母国に帰れないからであります。これらの理由は大きく分けて、日本に生活基盤があるから(日本に家族や配偶者等がいるから)のと、日本という国まで難民で来国しているからであり、多くの者がどうしても帰国出来ず、助けを求めているからです。
その中には、裁判等の訴訟を起こしている者達や、在留資格や難民認可の為の手続きを進めている者達が多くいます。
これでも私達を追放されるという事では人道的に欠けており、残虐な扱いと認識しなくてはなりません。
皆、正当な理由と事情があって今に至っているので、今後弾力的な仮放免をまず許可して下さい。
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8.世界人権宣言 第十三条「1 すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。/ 2 すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。」
今の私達にはこの条の人権が剥奪され、その権利も同様です。
私達は個々の事情で様々な理由で今まで日本で生活してきており、特別な理由で今後も日本で居住する権利を求めているまでで、それ以上でも以下でもありません。
今後その事情をもっと真摯に調査して頂き、その権利を認可して下さい。
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9.世界人権宣言 第十四条「1 すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。/ 2 この権利は、もっぱら非政治犯罪又は国際連合の目的及び原則に反する行為を原因とする訴追の場合には、援用することはできない。」
この条には特に認めて、難民認可して頂きたいです。
難民申請をしている人達は、母国に帰国したら命の危険があり、どうしても帰国したくても出来なかったり、又はその国から脱出してきた者で、当収容所にこの者達がいるという事は違法に逮捕されたり、拘束されている証拠の1つであります。
母国では命の危険があって避難してきたけれど、日本政府をはじめ入国管理局はこれらをなかなか認めず、他国と比べると難民認可率は愕然に低いです。
もちろん難民等に提出する証拠物が不十分という点もありますが、拘束されてはこの証拠物を十分に集めて提出するには難しい所です。
難民認可はもちろん、これらの証拠物を集める為に自由に集めれるよう第一に仮放免の許可を下さい。
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10.世界人権宣言 第十五条「1 すべて人は、国籍をもつ権利を有する。/ 2 何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。」
私達の中の一部には、帰化する者がいたりして日本国籍を取得したい、又はその手続きをしている者がいます。
今後、この手続きを申請している者に対して、帰化を拒まないよう要望します。
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11.世界人権宣言 第十六条「1 成年の男女は、人種、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚姻し、かつ家庭をつくる権利を有する。成年の男女は、婚姻中及びその解消に際し、婚姻に関し平等の権利を有する。/ 2 婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意によってのみ成立する。/ 3 家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する。」
私達の中には外に妻や子供が待っている者も多数います。
もちろんその中には日本国籍の者もいれば、他国の国籍の配偶者がいますが、だからといって差別され、違う対応をされたくはありません。
日本で婚姻し、家庭をつくっているからには平等な保護を求めます。
今の現状ですと、配偶者が日本国籍でないだけでその者の在留資格が左右され、平等な保護とは受け取れず、日本でその家族と生活基盤を作っていたのに考慮されていません。
今後、これらの事情等も重く受けとめてもらい、あらゆる判断材料にして平等な保護を下さい。
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12.世界人権宣言 第十九条「すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。」
まずは、下記を御覧下さい。
当センターで支給される給食は、管理栄養士がカロリー計算をし、栄養バランスを考えて献立されており、健康を維持するためにも規則正しく給食を摂ることが大切です。
正当な理由もなく、給食を摂らないということは、自分で健康を害することとなりますので、厳に慎んで下さい。
また、給食を摂らないよう、他の被収容者を強要したり、そそのかしたりしてもいけません。
集団による抗議行動は、その方法によっては収容所の安全と秩序を乱すこととなり、決して良い方法ではありません。[*註:11月5日から収容所内に掲示されている貼り紙]
私達は今まで様々な表現でたくさんもの意見を伝えてきましたが、貴職の対応や措置には誠意が伝わらず、そのたびにいくつも抗議してきました。
その中のハンガーストライキでの訴えも含まれており、私達個々の体調を第一に考えますと、当然決して良い方法ではないのも認識しています。
しかし、この抗議がなければ、私達は自分たちの人権と権利の保護を求められず、真摯に受け止められません。
上記の収容所の安全と秩序について主張されていますが、私達の人権と権利の保護はどこにありますでしょうか。
私達は他国のように、人権と権利の保護さえあれば、抗議する必要も要望もありません。
現在の当収容所では、あらゆる面での安全がなければ、安心もなく、人道的な秩序も保たれていません。
卑劣な環境と待遇の改正、改善をもちろん、人権と権利を求めて、保護されるまで永久的に抗議していきますが、以下の事を第一に参考して頂き、実施されるよう願います。
一.特別在留資格[在留特別許可]、難民申請者に対して弾力的な認可を。
二.仮放免許可を弾力的に。
三.長期収容反対。(6ヶ月から長期収容になってきます)
四.再収容反対。
五.被収容者に対しての医療行為の保護を徹底的に。
六.仮放免者に生きる権利を。
七.仮放免者に医療保険と労働の保護を。
八.被収容者の要望等に真摯な対応を。
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13.世界人権宣言 第二十条「1 すべての人は、平和的集会及び結社の自由に対する権利を有する。 / 2 何人も、結社に属することを強制されない。」
私達は全ての抗議活動への自由があり、活動する、しないはその人本人の決める事であり、強要も強制されません。
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14.世界人権宣言 第二十二条「すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利を有する。」
私達は仮放免で放免された後、日本社会でその社会保障を受けられるよう、身分証明の発行とその権利の保護を求めます。
現在、仮放免で放免されてもなお、その権利がありません。
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15.世界人権宣言 第二十五条「1 すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。/ 2 母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。」
私達は仮放免後、衣食住を保証人の力のおかげでなんとかその保護を受けられています。
しかし、医療面になってきますと、その保護は経済的な事情が発生しますと難しいもので、日本政府も入国管理局は何の援助もありません。
私達はただ、医療保険の加入と、労働の保障が欲しいだけですので、その認可を願います。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
最後に。
今まで述べてきたように私達はこれらの権利が欲しいだけであり、人権の尊重があれば何もしたくもない抗議で表現もしません。
又、保安上、予算上の問題がある場合にはこれらの説明を具体的にお願いします。
貴職の職員人員不足の問題がある場合には、被収容者の収容オーバーとなっていますので、この問題の解消を至急して頂き、人道的な対応をお願いします。
そして、当収容所の安全と秩序の運営をしっかり管理するに至っては、当収容所の所長(福山 宏 殿)の、最低月1回の巡回も必要になってきますし、視察委員会の巡回時だけでは現場の把握は出来ないものだと思います。
同時に所長自ら被収容者に対して要望等の聞き入れ、意見交換があればその誠意も伝わり、平和的な解決にも繋がってきます。
これらは、運営上必要な事ですので、その対応も待っております。
そして今後、改正、改善されるよう願います。
以上
平成24年11月6日