Thursday, August 22, 2013

【転載】東日本入管センターで結核排菌者――BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)による申入書



  東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の被収容者から、結核の排菌者がでました。センターの医療・衛生状況の劣悪さをよくあらわす出来事です。
  この件について、BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)が同センターに対して申し入れをおこなっています。申入書の全文を以下に転載します。


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申  入  書
2013年8月1日
東日本入国管理センター所長  殿

BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)



  7AブロックのCさんが結核患者として隔離入院されました。私たちはCさんとは面会しておらず、同ブロックの同国人から彼の状況を聞く範囲ですが、今回の事態から、改めて診療体制の充実と長期収容をしないよう申入れます。

一、診療体制の充実
  昨年8月10日には仮放免者の会から、「収容が長期化する中で持病は悪化し、健康だった者も拘禁反応に苦しめられます。また1日40分の戸外運動は被収容者がストレスを発散する第一の場であり、そこでの堅い壁と地面、運動シューズの未整備のためケガが絶えません。昨年度までの勤務医は最悪でしたが、彼女は辞めたものの今年度に入っての医師の勤務体制は整備されず、願箋を出してから2週間・3週間、ひどい場合は1ヶ月以上待たされます。現在の状況では、貴職が収容主体責任を果たしているとは思えません。貴センターが勤務医の求人に努力されていることは承知していますが、被収容者の生命・健康は、貴職らが努力しているからとすまされる問題でもありません。結核菌の排菌者が出れば該当者・同房ないし同ブロックの者や貴センター職員、牛久市民・茨城県民に対しても多大な犠牲を強いることになります。医師の増員あるいは被収容者数の減少をもって現状を早急に打開し、病人・けが人が速やかに診察・治療を受けられるよう申入れます。」との申入れをしていました(*注1)

  今回のCさんのケースにおいて、同ブロックの被収容者から聞くところでは、以前からCさんは「咳がすごく」「運動を初めて5分くらいすると胸が苦しくなっていた」と聞きました。2010年の結核患者が出て以降、入所時、その後定期的に結核検診をするようにしたと聞いていましたが、排菌状態に入ってしばらく放置されたのではないかと思います。なぜ今回のような事態に至ったのか説明を求めます。またCさんの入院後に仮放免になった人たちがいますが、地方局とも連携して、彼らへの確実な検診が行われるよう申入れます。


二、収容長期化を回避すること
  感染比率の高い発展途上国出身者を現在の劣悪な収容生活に長期にわたって置くことが、発症に至る危険性を高めていると考えざるを得ません。

  センターでの収容実態は監禁的収容であり、精神を破壊し健康を著しく害するものです。事実、ほとんどの被収容者には目まい、頭痛、吐き気、不眠、食欲不振などの拘禁反応が現れてきます。2010年7月30日、法務省入国管理局は「被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用することにより、収容長期化をできるだけ回避するよう取り組む」と報道発表をしました(*注2)。これを履行していただきたい。これまでも「①退令収容期間が半年を越える者②収容に耐えることの出来ない重病者③難民申請者(難民該当性の立証を妨げる)④再収容者(再収容者は通算で長期収容にならざるを得ない)」への即刻の仮放免許可を申入れましたが重ねて申入れます。

 Cさんは、年齢は50台、来日して20年以上と聞きました。いつ感染したのかはわかりませんが、本国で感染していた可能性が高いと思います。若い時には抵抗力・免疫力が高く結核菌が抑え込まれていたものが、年齢と、一年に渡る収容生活によって抵抗力が落ち、発症したものと思われます。今回の事態からも、2010年7月30日の報道発表を履行するよう申入れます。

以  上
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*注1  昨年8月の仮放免者の会による申入書は、以下の記事参照。


*注2
  2010年7月の法務省による報道発表は、以下。