Thursday, April 30, 2020

被収容者全員を解放し、すべての仮放免者に在留資格を!(入管庁に申し入れ)


 本日、出入国在留管理庁(入管庁)に対し、関東・東海・関西の6団体で申入書を提出しました。

 申し入れは、入管施設に収容されている人全員を解放すること、および、すべての仮放免者に在留資格を付与することを求めるものです。

 入管収容施設では、職員らをとおして被収容者への新型コロナウイルスの感染の発生する可能性が否定できません。そうなった場合に多くの犠牲者が出るのは目に見えて明らかです。

 また、収容を解かれても、仮放免者は、働く権利をうばわれ、社会保障から排除されています。このような仮放免状態で、コロナウイルスが蔓延する危機の進行する社会に放置しつづけることは、ゆるされるものではありません。

 このような理由から、上記2点(収容施設からの解放と在留資格の付与)を入管庁長官あてで申し入れました。

 なお、入管施設の被収容者や仮放免者たちがこのコロナ禍のなかで直面している生命の危機や生活上の困難は、たんにウイルスによってのみ生じているものではありません。入管がこれまで送還業務において外国人たちをどうあつかってきたのか、ということも同時に問わなければなりません。以下、そうした観点もこめての申入書となっています。ひきつづき、ご注目のほど、お願いします。


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申 入 書

2020年4月30日

出入国在留管理庁
 佐々木 聖子 長官殿

 以下につき申入れます。

一、貴庁の収容場、及び収容所(各センター)の被収容者全員を直ちに仮放免、もしくは在留資格を付与して放免すること。

二、退去強制手続き中につき、在留特別許可を求めるものには全て在留特別許可を付与すること。及び退去強制令書が発付されている全ての仮放免者に1年以上の在留資格を付与すること。


 申入れの理由について

(1)貴庁の収容場、及び収容所(東日本入国管理センター、大村入国管理センター)の被収容者は、お互い濃厚接触が避けられない環境で換気の悪い密閉施設に拘禁されている。しかも、被収容者は十分な医療を受けられず、油物を中心とする栄養バランスの悪い支給食等の劣悪な処遇下にある。このような処遇下において、人間の時間的空間的感覚を奪う密閉施設に長期間収容され、心身ともに疲弊し、多くの被収容者はうつ病を患い薬漬け状態にある。さらに、高血圧症、糖尿病、心臓疾患、呼吸器疾患等の基礎疾患を有する被収容者も多数いる。

 このような貴庁の収容施設での被収容者の新型コロナウイルス患者の発生は、集団感染と重症化を引き起こし、多くの犠牲者が出るのは目に見えて明らかである。それゆえ被収容者の中に、新型コロナウイルスの感染者を発生させることは、絶対避けなければならない。

 摘発、再収容を止めている現在において、被収容者への感染源となるのは、主に貴庁職員(主に処遇部門の職員)、ガードマン、支給食業者などとなるが、これら職員等に対し、PCR検査を行っていない。仮にPCR検査をして陰性だったとしても次の日に感染することもあり得る。しかも感染を恐れ職員との社会的距離を求める被収容者の部屋の中に職員が入ってきて毎日点呼をする、大阪入管においては支援者の要請を無視し、大阪入管局長判断として被収容者と職員が三密状態で面会するよう職権を用いて強要する(4月27日からは弁護士・領事以外は面会禁止となる)、さらには制裁目的の隔離処分をした際には、多数の職員が被収容者と濃厚接触して連行するなど、被収容者を感染から防御する措置を行おうという意志も行動も貴庁には感じられない。

 こうした貴庁のずさんな対応に対し、すでに多くの被収容者から不安や貴庁に対する抗議の声が支援者に寄せられている。

 私たちは非常に憂慮している。貴庁収容施設内において新型コロナウイルスの感染が拡大してからでは遅い。被収容者の人命を守るためにも直ちに仮放免、あるいは在留資格を付与して放免する措置を講じることを強く求める。


(2)仮放免者は、働く権利を奪われ、健康保険等の社会保障制度から排除されている。生存権を奪われた仮放免状態で新型コロナウイルスが蔓延する危機が進行する社会に放置しておくことは人道上許されるものではない。緊急避難措置として、全ての仮放免者に対し、1年以上の在留資格を付与することを求める。その中において、帰国希望以外のものには、在留特別許可の基準を大胆に緩和し、永続的に日本在留を認めるよう求める。

 貴庁は、2016年4月ころから退令仮放免者を減らすという方針のもとに、極力仮放免しない方針に転換し、その一方で在留特別許可の基準を厳しくし、帰国忌避者を増大させた。その結果、長期被収容者が激増し、被収容者と貴庁職員との対立を増長させ、収容場、収容所においては数々の職員による暴行事件を多発させた。大村入国管理センターにおいては、仮放免を求めて完全絶食をするナイジェリア人を外部病院に搬送することなく、餓死させる事件も起こした。

 また、この間、日本国籍者や在留資格を有する幼い子どもからも親を奪い再収容した。貴庁がこの間やってきたことは、①仮放免しない、②仮放免者を再収容する、③在留特別許可の基準を厳しくし在留特別許可件数を激減させる、④難民在特を激減させることである。こうして以前なら在留特別許可を得て救済されていた人さえ、新型コロナウイルスが蔓延しつつある日本社会に、在留資格のないまま(働くことも健康保険に加入することもできないまま)放置されている。

 公衆衛生の危機のさなかに、仮放免者を放置すべきではない。日本人配偶者、永住者・定住者の在留資格のある配偶者、日本に子どもや家族がいる仮放免者、難民申請者、日本に生活基盤のある長期滞在の仮放免者などについては在留特別許可を大胆に緩和し、在留資格を付与し救済するよう求める。また帰国希望であっても新型コロナウイルスによって帰国できないものは、帰国できるまでの間、特定活動の在留資格を付与し、救済するよう求める。
 
以 上


全国仮放免者の会
WITH(西日本入管センターを考える会)
TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)
難民支援コーディネーターズ・関西
START(外国人労働者・難民と共に歩む会)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)