2014年12月にチャーター機で集団送還されたスリランカ人のうち2名が、国に損害賠償を求めている裁判があります。一審は昨年2月に東京地裁で原告敗訴の判決がありましたが、原告は控訴し、以下の日時で控訴審の1回目の弁論が開かれます。
日時:6月16日(水)、11:00
場所:東京高等裁判所 824号法廷
ご都合のつくかたは、ぜひ傍聴をお願いします。
原告の2人は、強制送還される前、難民申請をしており、仮放免されていました。難民申請者を強制送還することは違法です。ところが、入管は、チャーター機での集団送還をおこなう直前にふたりを収容しました。そして、身体を拘束して自由をうばった状態で難民申請の棄却を通知すると、ただちに空港に連行し、力ずくでチャーター機に搭乗させスリランカへと強制送還してしまったのです。
こうしたかたちで送還されたスリランカ人たちのうち2名が原告となって、裁判を受ける権利を侵害されたとして国を訴えているのが、この裁判です。原告のふたりは、難民申請を棄却されたことについて、この処分を取り消すよう裁判所にうったえることができるはずでしたし、そう希望していました。しかし、入管は棄却を通知してその直後に送還するというやり口でスリランカに送り返したため、ふたりは難民の認定をされなかったことについて裁判で争う機会をうばわれたのです。
さて、先日、政府が成立をめざしていた入管法改定案は、世論の強い反対のなか、取り下げられ、廃案となりました。政府法案の非常に大きな問題点として指摘されていたのが、それが成立した場合、難民申請者の一部を入管が強制送還できるようになるという点でした。難民申請者を迫害の危険のある場所に送還するなという批判が大きく巻き起こったことが、最終的に政府が法案を取り下げるにいたった主要な要因のひとつであったと言ってもよいでしょう。
ところが、法改悪を待たずに現行法のもとでも、難民申請者に対する強制送還を、入管は上記のような手法ですでにおこなっているのです。こうした手法での強制送還が違法なのだということを、裁判の場で明確にさせる必要があります。というわけで、傍聴等をつうじて、この裁判に注目していきましょう。
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