Saturday, July 16, 2011

MTFの収容者が隔離されていることについて

  入管に収容されること自体が、さまざまな自由を制限されることです。その意味で、すべての収容者にとって、収容は苛酷なものです。しかし、収容者のなかでも、とりわけ苛酷な状況で収容されているひともいます。
  今回、紹介させていただくのは、Kさんが法務大臣あてに送った手紙です。Kさんは、MTF(Male to Female)のフィリピン人です。6月14日まで東京入管に収容されていましたが、その後、茨城県の東日本入管センターに移送され、現在もそこに収容されています。
  Kさんは、茨城への移収後、処遇が非常に劣悪・苛酷になったということで、法務大臣にあてて手紙を書いたそうです。面会におとずれたわたしたちに、Kさんがおっしゃっていたのは、なかまの収容者たちから隔離されていることの不当性です。
  入管の収容施設では、収容者たちは各10~30人代のブロックごとにわけられて収容されています。就寝と食事の時間は、居室にとじこめられ、カギをかけられますが、午前と午後の「フリータイム」には部屋から出て、おなじブロックのなかまの収容者たちと交流できます。
  ところが、東日本入管センターでは、KさんらMTFの収容者は、フリータイムになっても、3階から1階に移動させられ、他の収容者たちとのコミュニケーションを禁じられています。面会時にKさんはおっしゃっていました。「ほかの収容者と友だちになりたいし、あいさつもしたい。相談だってしたい。でも、職員はそれをさせてくれない」と。
  外部との接触をいちじるしく制限された収容生活においては、なかまの収容者たちと会話し、はげましあうことが、ストレスや不安をやわらげるための数少ない手段、それゆえきわめて重要な手段になります。ところが、Kさんは、そうした手段を隔離によってさまたげられ、やはり同様に隔離されているもうひとりのMTFの収容者と担当職員以外とは会話できない状態におかれているのです。ただでさえ収容によって長期間にわたって外部との交通を断たれているうえに、こうして他の収容者とのコミュニケーションすら厳しく制限されてしまうことによる、精神的なストレスはたいへんなもののはずです。
  さらに、Kさんには持病があり、フリータイムの時間帯でも、自室のベッドでやすみたいことがあるそうです。しかし、フリータイム中はベッドのある自室にもどることができないので、食事用のテーブルに布を敷いてそのうえに寝ているのだそうです。
  こうした処遇の問題点について、わたしたちは6月下旬に東日本入管センターの総務課に抗議し、改善をもとめましたが、Kさんによると、1ヶ月ちかくたったいまも状況はよくなっていないそうです。抗議のさいには、なぜ他の収容者から隔離するのかについて説明をもとめましたが、回答はありませんでした。
  以下、Kさん(実名はふせます)のお手紙(英文)とその日本語訳をのせます。



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2011.6.22

Minister of Justice

    A pleasant good day! I am K. I am here in Ibaraki Immigration. I came here again last June 14, 2011. My situation here is same before, it's very difficult. I cannot stay to my own room here everyday. My room is in 3B-201, I stay room 4:45 PM until 9:20 AM. I sleep only to my own room. I cannot stay in my room if I want. I leave my room 9:20 AM to go and stay in other block 1B-203. I stay in this block until 4:45 PM. I leave my own room everyday and bringing two baskets, because I bring my change clothes, towel, important documents and things, and also my pillow and one bedding. Because I sleep in 1B-203 in the table(food table). Sometimes I forget my other things in my own room, but I am not allowed anymore to go back to my own room again. I am in difficult situation here. I am tired to do this everyday. I cannot talk freely to my own co-detainees in my same block, in my own room area 3B. I saw them only in the morning 9:20 AM. I go with my ownself to their every room, starts to room 203 until 210. I do this every morning to greet them a good morning in every window. But there is a staff as a guard and I cannot greet very well because the officers always told me to hurry up. My co-detainees wants to give a present foods to me but it's not allowed. We are in same block 3B we've but I cannot received food and things directly. In my block 3B, my co-detainees can freely everything what they've want to give to others, but me, they've not allowed me. My co-detainees in my block 3B are didn't understand  the rule here. They've got angry anymore to the officers. I am a human being not an animal. I am pressured, stressed and tired in here. Minister of Justice, permit me to please I want to stay in my own room. I need only to take a shower and a 30 minutes call and the rest I will stay inside my room. I don't need a free time anymore. The important is I am in my room peacefully. In Tokyo Shinagawa Immigration I am freely to go back and stay to my own room. I am not pressured, stressed and tired totally in there. I am treated there to the all officers as a human being. All officers there are very kind and understanding. I have no problem there.
    Minister of Justice, kindly please help me. Give me justice. I am very very difficult here. I need your help.
    Hoping for a kind and consideration.

Very Yours Truly

K


【日本語訳】

2011年6月22日

法務大臣さま

  拝啓
  わたくしは、Kともうします。茨城の入管[東日本入国管理センター]におります。2011年6月14日にここに来ました。
  ここでのわたしの状況は、とてもつらいものです。わたしは、毎日、自室にいることすらできないのです。私の部屋は3Bブロックの201号室で、自室には午後4時45分から午前9時20分までいます。自室では、ねむることができるだけです。私は自室にいたくても、いることができません。午前9時20分に自分の部屋をはなれ、べつのブロック、1B-203に移動させられます。わたしはこのブロックに、午後4時45分までとどまらなければなりません。わたしは毎日じぶんの部屋を出て、[3階から1階まで]かご2つぶんの荷物をはこびます。着がえやタオル、重要な書類などを持っていかなければならないからです。さらに、まくらと寝具も持参します。1B-203で、テーブル(食事用のテーブル)のうえで寝るためです。わたしは[3階の]自室にわすれものをすることがありますが、わすれものを取りに自室にもどることは許可されません。わたしはここでつらい状況にあります。これを毎日くりかえすのに疲れています。
  わたしは、おなじブロック、わたしの部屋のあるエリアである3Bブロックのなかまの収容者たちと自由に会話することもできません。わたしは、朝9時20分にかれらをすこし見かけることができるだけです。わたしは自分の部屋を出てから、かれらの各部屋(203号室から210号室)のまえをとおって行きます。わたしは毎朝、かれらのそれぞれの部屋の窓にむかって「おはよう」とあいさつをします。しかし、警備の職員が立っていて、いつもわたしに早く行くように命じるので、わたしは満足にあいさつすることすらできないのです。わたしの仲間の収容者たちは、わたしにプレゼントの食べ物を差し出そうとしますが、それも許可されません。わたしたちはおなじ3Bブロックにいるのに、わたしは食べ物などを直接うけとることすらできないのです。3Bブロックでは、わたし以外の収容者たちはおたがい自由に何でももののやりとりをすることができますが、わたしに対してだけは、かれらがそうすることが許可されないのです。わたしのなかまの収容者たちは、そんなルールは理解できないと言っています。かれらは職員たちに対して怒っています。
  わたしは動物ではなく人間です。わたしはここ[茨城]で精神的圧力とストレスを受け、まいっています。法務大臣さま、どうかわたしを自室ですごさせてください。シャワーと30分の電話の時間さえあればよく、のこりの時間を自室のなかですごしたいのです。もうフリータイムもいりません。わたしにとって重要なのは、部屋でおだやかにすごすことです。東京品川の入管[東京入国管理局]では、わたしは自由に部屋にもどり、そこですごすことができました。そこ[品川]では、全体として精神的圧力やストレス、疲労は感じませんでした。わたしはそこではどの職員にも人間としてのあつかいを受けていました。どの職員もとても親切で理解がありました。わたしはそこでは問題がありませんでした。
  法務大臣さま、どうかわたしに思いやりをかけて、たすけてください。わたしを公正にあつかってください。わたしは、とてもとても精神的圧力とストレスでまいっているのです。わたしのここでの状況はとてもとてもつらいものです。あなたのたすけを必要としています。
  ご慈悲とご配慮のほど、よろしくお願いいたします。

心をこめて

K

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★【募集】牛久入管へKさんへ面会に行ける方、あと、お手紙を書ける方差し入れをおくれる方を募っています。 彼女にぜひはげましの言葉をかけてあげてください。宜しくお願いします。

1)お手紙について
    内容は英語か、ローマ字でお願いします
    住所は〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-13-3-404
    仮放免者の会宛(Kさんへのお手紙)という風に表書き下さい

2)面会について
    →ねごろまでお知らせ下さい。私が同行できなくても他のスタッフと調整できるようにします
        yunegoro@gmail.com
       直近では7/20にねごろは牛久へいきます

3)差し入れ
  お手紙も喜ばれますが、テレフォンカード(KDDI)のものがあるとKさんは入管から外へ電話をすることができます。なので彼女にテレカを送るというのも支援になります。中国の食料品店などで安めのものを売っていますが、面倒な方はズバリお金を振り込んで頂ければかわりにテレカをかって差し入れすることも可能です。

口座振り込み
  ゆうちょ銀行 10560-22655891 カリホウメンシャノカイ
  (他の金融機関から振り込む場合 店番 058 普通預金  2265589)
  ※「Kさんへのカンパ」とお書き下さい

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