Wednesday, July 25, 2012

【転載】関東弁護士会連合会より「要望書」――東日本入管センターの待遇等改善をもとめて

  このブログでもたびたび報じているとおり、東日本入管センター(茨城県牛久市)の被収容者が処遇等の改善をもとめて連名での要望書をセンターの所長あてにくりかえし提出してきました。このうち、3月9日の8Aブロック「要求書」、6月11日の9Aブロック「嘆願書」を受けて、関東弁護士会連合会が調査にうごき、東日本入管センター所長あてに「要望書」を提出しました。
  以下、関弁連の承諾を得て、この「要望書」の全文を公開させていただきます。
  なお、被収容者による8Aブロック「要求書」と9Aブロック「嘆願書」は、以下のリンク先ですでに公開しております。




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関弁連発第86号 
平成24年7月19日 

東日本入国管理センター
    所長  福  山      宏  殿

関東弁護士会連合会      
理事長  佐  野  善  房

要    望    書

当連合会は,貴センターにおいて,今春以降,被収容者より繰り返し待遇改善の要望がなされ,被収容者により数度にわたるハンガーストライキが行われているとの情報に接し,担当委員会において関係機関から情報提供を受けるとともに,委員による被収容者との面談を行うなどして,調査を実施いたしました。その結果,貴所において一定の対応はされているものの,依然として改善を要する点があり,特に下記の点については,早急に一層の改善を図られるべき事項であると思料しますので,速やかに対応されたく要望します。

  1. 西日本入国管理センターにおいては,退去強制令書発付処分からおおむね6か月を経過すると,仮放免許可決定をする運用がなされているところ,貴センターにおかれても長期収容の解消に向けて一層の努力をされること。特に,仮放免申請に対する判断をできる限り速やかに行うとともに,不許可とする場合には,具体的な理由を示されること。
  2. 定期的に,少なくとも1ヶ月に1度の健康診断を行うとともに,傷病者に対しては適切な医療を即時に提供されること。
  3. フリータイム(開放処遇時間)を現在よりも延長することにつき真摯に検討されること。
  4. 電話機の増設を至急に検討されること。
  5. 被収容者の声に真摯に耳を傾け,要望事項に対し誠実に協議されること。

要  望  の  理  由
1  収容期間が長期に及ぶこと
  貴センターに収容されている外国人の内,平成23年11月1日時点における収容期間別の人数について貴センターより報告いただいた人数は,以下のとおりとのことです。
    (1)  6カ月未満                       194人
    (2)  6カ月以上1年未満            96人
    (3)  1年以上1年6カ月未満      36人
    (4)  1年6カ月以上2年未満         6人
    (5)  2年以上                               3人
  これによれば,以前にくらべ短くなってきているとはいえ,未だ6カ月以上にわたり収容されている者が141人,1年を超えて収容されている者が45人に及びます。被収容者が長期の収容による拘禁反応からくる体調不良を訴えている現状もあり,かかる長期収容を早期に解消していくことが必要です。

2  仮放免許可基準の不明確さ
  収容には,刑務所と異なり収容期間の満期というものが存在しないため,被収容者が帰国しない限りは原則として収容が継続されるのであり,出所するには仮放免許可を得る必要があります。この仮放免許可にも取扱要領はありますが,どのような事案であれば許可が出るのか明確な基準がなく,不許可になった際に理由が具体的に示されないため,繰り返し仮放免申請が不許可となる者もいます。

3  医療面での待遇改善の必要性
被収容者について現状定期的な健康診断の実施がなされていません。被収容者の疾病の早期発見のため,定期的な健康診断を実施する必要性があります。また,被収容者処遇規則30条1項は,「所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。」と規定し,また同条2項は,「収容所等には、急病人の発生その他に備え、必要な薬品を常備しておかなければならない。」と規定していますが,熱や痛みなどを訴える被収容者に対して十分な対応がとられていない現状があります。

4  開放処遇時間の延長と電話機の設置
  現在,開放処遇が取られている時間帯は,午前9時から正午までと午後1時から同4時30分までとなっており,この時間帯以外は被収容者は居室に鍵をかけて閉じ込められ,電話をかけることや他の居室の収容者と会話すること,洗濯,シャワーなどが許されていません。開放処遇時間を可能な限り延長することが望まれます。また電話機は,ブロックの収容人数に限らず4台しかないため,限られたフリータイムに集中して電話をかけることができず被収容者間のトラブルが発生する原因となっています。

5  被収容者の声に真摯に耳を傾けること
  被収容者は,被収容者からの意見や要望事項に対し,貴センターが真摯に耳を傾けることなく無視されていると感じています。貴センターの被収容者は,8Aブロックの被収容者が3月9日に「要求書」を,9Aブロックの被収容者が6月11日に「嘆願書」をそれぞれ提出し,返答を求めていますが,貴センターにおいて,真摯な検討がなされた様子がうかがえません。被収容者の人格を尊重し,要望事項について真摯な検討を行い,可能な限りこれに応えていくことこそが貴センターにおける諸問題を解決する第一歩であると確信します。

6  結語
  以上の理由により,当連合会は,頭書のとおり要望いたします。
以上

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