Friday, December 27, 2013

東京入管執行部門職員の暴言・暴力行為等についての申入書

  12月26日に、被収容者に対する東京入国管理局の執行部門職員の暴言・暴力行為等について、申し入れをおこないました。

  執行部門とは、退去強制令書の「執行」、すなわち強制送還をおこなう部署です。「強制送還」と言うと、身体を拘束してむりやり航空機にのせるという方法での送還(「国費無理やり送還」とも呼ばれます)がイメージされるかもしれません。しかし、このような形での送還は件数としてはごく少数で、強制送還の大多数は「自費出国」というかたちで執行されています。「自費出国」においては、退去強制令書を発付された被送還者が出国に同意し、旅費をみずから負担するかたちで、送還されます。

  執行部門の「チケット担当」と呼ばれる職員は、退去強制令書を発付された人と「執行面接」をおこない、送還を忌避する人への帰国勧告もふくめた「自費出国」のための準備・相談の職務をになっているものです。

  ところが、この「執行面接」において、チケット担当による暴言や暴力行為があり、そのなかで難民申請の取り下げや行政訴訟の断念を強要するような行為があったこともあきらかになったことから、これに抗議し申し入れをおこないました。

  もちろん、申入書に例をあげたような個々のチケット担当の暴力そのものと言うべき行為はきびしく追及されなければならないし、東京入管執行部門のあり方が問われなければならないことも言うまでもありません。しかし、執行部門とその職員による、ひかえめに言っても「行き過ぎ」と言えるような暴力的な手法が、なにに起因するのかという点も同時に問わなければなりません。

  日本の社会・経済がさまざまな面で依存してきた非正規滞在者を文字どおり一掃しようという、2003年ごろに始まる政策がすでに破綻したことはあきらかだということ、また、その破綻した政策に無理に固執しようとしてきたことの帰結のひとつが、こんにちの「仮放免者問題」であるということは、これまでも私たちが主張してきたところです(参照:仮放免者問題と強制送還について――この10年の入管行政をふりかえって)。

  このたび申し入れた執行部門職員の暴言・暴力、そして、個別の国費無理やり送還と比較してもその強引さが覆うべきもなかったチャーター機による先日の一斉送還(参照:チャーター機によるタイ人一斉送還に抗議する申入書)は、政策のゆがみの反映でもあり、同時にこれを支えている経済界、日本社会の住民のあり方もまた問われなければならないところです。以前に転載した『日経新聞』の記事が論じるとおり、問われているのは「不法就労者と知りつつ利用しようとしてきた日本社会が負うべきつけの精算」でもあるのです。

  以下、今回の申入書の全文です。


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申  入  書


2013年12月26日

法務省入国管理局長  殿
東京入国管理局長  殿
東京入国管理局執行部門首席入国警備官  殿

関東仮放免者の会(PRAJ)


  東京入国管理局執行部門のいわゆる「チケット担当」による、被収容者にたいする暴言・恫喝・差別発言の事例があいついでいる。法務省入国管理局および東京入国管理局にたいし、以下にあげる事例について調査した上で、執行部門職員のフジワラ、タニダ2名を厳正に処分するとともに、暴言・恫喝・差別発言を受けた被収容者に局としての謝罪をおこなうことなどをもとめる。


事例1
  10月21日午後、チケット担当のフジワラ(B030)は、Iブロック(当時)の被収容者Aさんに対し、「難民をやめて欲しい。出来ないのだから、すぐにやめて下さい」などと述べ、難民申請を取り下げるよう罵声をはりあげて恫喝をくわえた。フジワラの怒鳴り声は、調べ室の外にも聞こえるほどのもので、ドアのまえを通りがかった他の被収容者が驚くほどのものであったという。さらに、フジワラは、自身のぼうしを机にたたきつけ、そのぼうしをAさんの顔にむかって投げつけるという物理的な暴力行為にもおよんでいる。また、フジワラはAさんに対して、「[調べ室に]毎日呼ぶから」と述べ、上記のような暴力的な聴取を今後ともくり返すことを予告して、精神的な圧迫をくわえている。
  Aさんは、これらの件に関し、不服申し出をおこない、11月7日付けで東京入国管理局長名での「理由あり」の判定書を受け取っている。ところが、Aさんは入管側から「[フジワラを]しかっておきましたから」と口頭での説明をうけたのみで、いまだフジワラおよび東京入国管理局からの謝罪はなされていない。さらに、フジワラに対する処分の有無および内容もあきらかにされておらず、フジワラはあいかわらずIブロックに出入りして職務をつづけているという。


事例2
  11月20日に、前述のフジワラは、Iブロック(当時)の被収容者Bさんに対しても、きわめて不適切な言動におよんでいる。Bさんが、自身の受けた退去強制令書発付処分について代理人をたてて行政訴訟をおこなう意向であることを述べると、フジワラは通訳を介して「あなたはお金があるのか? どこからそのお金を用意するつもりなのか? あなたは脳みそがないのか?」などと暴言をはいた。また、フジワラは、Bさんを「うそつき」よばわりしたうえで、「入管相手にあなたなんか勝てるわけがない」と述べて、訴訟を断念させようと恫喝をくわえた。さらにフジワラは、Bさんの婚約者が同国人の友人たちから経済的支援を受けていることについて「こじきと同じようなものだ」と侮辱する発言をおこなった。


事例3
  12月3日、チケット担当タニダ(ID番号不明)は、Cブロックの被収容者Cさんの家族が生活保護を受給していることについて、「サギである」などと決めつけ、「区役所が訴えれば、おまえの奥さんのビザも取り消しになる」「東京の警察は入管の言うことを聞く。警察におまえの奥さんをつかまえさせることもできる」などと述べて、Cさんを威嚇した。なお、Cさんの妻は、Cさんがオーバーステイであることを区役所の担当者に申告したうえで生活保護を受給しており、タニダによる「サギ」うんぬんは中傷以外のなにものでもない。また、いち行政機関にすぎない入国管理局の職員が、警察や区役所の権限事項をあたかもみずからが左右できるかのように語り、被収容者を密室で脅迫するのは、ひかえめに言っても職務の範囲と権限を逸脱した行為と言うべきものであって、許されない。
  タニダについては、11月にもべつのCブロックの被収容者Dさんに対しても、調べ室に呼んで威圧的な面接をおこない、面接終了時にドアをけっとばしてDさんに退室を命じるといった暴力行為におよんだことが、報告されている。また、タニダは着用を義務づけられた職員のIDをしるしたプレートをかくして職務をおこなっているという。


  以上にあげた事例から、フジワラ、タニダの2名が基礎的な人権意識を欠き、日本国憲法の遵守義務を課せられた公務員としての適性をいちじるしく欠いていることは明白である。
  ただし、かれら2名だけを処分して済むような問題とも考えられない。というのも、チケット担当の一部の者が、被収容者を「おまえ」呼ばわりし(上記タニダ以外にも「おまえ」という呼称をもちいるチケット担当がいるという証言が複数の被収容者からなされている)、差別的・侮蔑的な発言をくりかえし、ぼうしを投げつけたりドアをけりとばしたりといった行為におよぶのは、かれらがこれら行為を、「職務として許容される範囲内のもの」ないし、「組織において分担された役割として自身に期待された職務」と理解していたと考えられるからである。つまり、東京入国管理局ひいては入管組織全体において、外国人、とりわけ退去強制手続きの過程にある外国人に対しては、通常では人権侵害とみとめられるような言動があっても、それが人権侵害と認識されないという、外国人に対する根深い差別体質があると考えざるをえない。


  以上をふまえ、以下、申し入れる。

(1)  被収容者に対する暴力行為・暴言・差別発言・恫喝行為のあったフジワラ、タニダの2名、ならびにこれらの者を監督する責任のあった上司を厳正に処分すること。
(2)  東京入国管理局長ならびに東京入国管理局執行部門首席入国警備官は、被害を受けた4人に公式に謝罪すること。
(3)  東京入国管理局長ならびに東京入国管理局執行部門首席入国警備官は、東京入国管理局全被収容者に対し、文書の掲示等によって、フジワラ、タニダ2名の不適切な言動の内容と処分内容を具体的に報告するとともに、今後このような人権侵害を引き起こさないための改善方針と計画を提示すること。なお、同様の報告および方針・計画の提示は、すでに東日本入国管理センターに移収されたAさん、強制送還されたBさんに対しても、おこなうこと。
(4)  チケット担当による「執行面接」について、人権侵害を防止するための職務規定・規則がすでにあるならば、これを公表すること。ないならば、早急にこれをさだめ、公表すること。
(5)  一般論として、執行部門等に所属する入国警備官が、退去強制令書の発付を受けた者に対し、「難民申請してもムダ」「裁判をやってもあなたに勝ち目はない」等の発言により、難民認定申請、また退去強制令書発付処分に関する行政訴訟を断念させるように働きかける行為は、適法また適切な職務の遂行の範囲たりうると考えているのか。東京入国管理局としての見解を示されたい。
(6)  入国管理局職員、とくに退去強制手続きに関与する職員にたいする人権研修の現状を検証し、適切な人権研修をあらためておこなうこと。

以  上

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  申入書の事例1のAさんは、「チケット担当」から受けた暴力行為等について、東京入管局長に対し、不服の申し出をおこないました。これにたいし、東京入管側は「理由あり」としてAさんの申し出を認めました。

  ところが、Aさんにたいする謝罪が現時点でもなされていないばかりか、東京入管側は、不服の申し立てについて「放棄書」を書くようにAさんにすすめるなど、問題をもみ消そうとするかのような、きわめて不誠実な対応すらとっています。

  以下に、Aさんの不服申出書、および「理由あり」の判定後の入管の対応についてAさんが記した文書を、Aさん、文書を日本語訳したAさんの友人であるEさんおふたかたの了解を得て、公開します。


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【Aさんの不服申出書】



  私は、Iブロック○室の○○○○[国籍]のAと申します。昨日のチケットの担当とのやりとりの中におかしい点があったため、ここに書きます。
  昨日(10/21)の午後2:00~4:00の2時間の間に、チケット担当のB030の方に呼ばれ、取り調べ室へ行きました。そこで言われたのは、「難民をやめて欲しい。出来ないのだから、すぐにやめて下さい。」と言われました。何度も同じ事を言われ、最初は普通でしたが、だんだんと強い口調になりました。私は、最初からおかしいと思いました。難民の結果もまだ出ておらず、それどころかインタビューすら1回も受けていないのに、しかも「難民」担当ではなく、「チケット」担当だったため、おかしいと思いました。私はことわっていたため、しまいにはどなりつけたり、一番精神的に苦痛だったのは、その担当はぼうしをとり、そのぼうしで机をたたき、そして私の方へ投げつけてきました。私には当たらなかったのですが、左ほほをかすめました。この時に、「毎日呼ぶから。」とも言われました。難民担当でもない人、しかもどなりつけたり、物を投げつけたりするのは、法にふれる事だと思い、私は納得いきません。それに、私には家族の事など、事情があり、在留資格を得るための訴えは、私には自由に出来るはずです。ですから、人として、話すなら普通に話し、物など投げつけたり、精神的苦痛、精神的暴力はけっして許しません。そして、チケット担当の人はとにかく関係ないと思います。これは人権侵害です。ただちに調査を行い、厳正な処分を強く求めます。
  そして、この日本語訳を書いている私、○○○○[国籍]のEも、この時間に面会に呼ばれ、取り調べ室の前を通りましたが、どこのヤクザがどなっているのかと思ったくらいの罵声でした。すぐに、Aさんが呼ばれた事を思い出しました。あり得ない事だと思いました(同じ部屋で、事情を聞いていたため。)。
○○○○[国籍]のA


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【「理由あり」の判定後の対応について】

  私は、○○○○[国籍]のAと申します。私はチケット担当のB030のフジワラという担当にに呼ばれ、取り調べを受けました。内容は、「難民申請をやめて、国へ帰って下さい。」との事でしたが、最初は普通だったのがだんだん口調が荒くなり、取り調べ室の前を通る人(面会に行く人など)が気づくほどでした。そして、しまいには帽子で机をたたき、そのぼうしを私の方へ投げ、当たらなかったが、左ほほにかすめました。それから「これからは、あなたが難民申請をやめるまで、毎日呼ぶから。」と言われました。私はこの事で精神的暴力、精神的苦痛を受けたとともに、そもそもチケット担当の職員が、難民についてこれだけの口出しをする事は、疑問に思い、法に反する事ではないかと思ったので、不服申し立てをしました。そして、それから私は、この日から担当の顔を見たり、前に呼ばれたりするだけで、恐怖感を覚えました。
  そして、11/7(木)に判定書をいただき、結果は「理由あり」って事で、その担当の方(三浦さん)からは「B030にはしかっておきました。」とのみ言われました。私は、実際に何もあやまられてもいなければ、B030は今も毎日のように見かけます。私は先ほども言った通り、B030も、他の担当も、顔を見るだけで苦しくなります。毎日、恐怖と屈辱な思いで過ごしています。気が休まることは一時もありません。私はとにかくこの入管のシステムに問題があると思い、たとえ「理由あり」という結果でも、何の動きもなく、本当に、どのような対応をとってくれたのかも確認出来ていません。ですので、私はもう一度異議申し立てをし、B030に対しての処分の証明書をいただきたいと思いまして、異議申立書を出すために書きました。そして、翌日の11/8(金)にもう一度、この異議申立書を出すのに呼ばれました。そこで私はまた三浦さん(今度は通訳つき)に担当していただきましたが、異議申立書を受け取ってくれませんでした。というのは、「理由あり」(判定書)に対して「不服」がある時に異議申立書を書くという説明を受けました。これに関してはよくわかりましたが、その後に「書くなら『放棄書』を書くように。」とまで言われました。私は、この入管のやり方をぜひ変えていただきたく、このようにまた私みたく他の同じ目にあう人が出ないようにして欲しかったため、放棄書を書くのは違うと思いました。そして、私はこの時に実際に受けた扱いや、された事を入管が調査し、事実確認された内容を証明していただきたくお願いしましたが、判定書のみしか得られないと言われ、うまく言いくるめられました。
  私には難民申請をする権利があるのなら、何の関係もないチケット職員に呼ばれ、「申請をやめろ。」って言われ、暴言や精神的暴力を受けて、どうしても許せません。なぜ、このようなやり方、扱いを当たり前のようになされているのかが納得できません。私の他にも、似たような扱いを受けて苦しんでいる人が何人もいます。こういう現状を知りながら、紙一枚(判定書)ですませている入管の管理のあり方が不適切としか思えません。苦情の申し出をしても、責任者である方から言いくるめられ、もうこの職員とも接する事や、見るだけで怖くて仕方ないです。毎日が本当に屈辱で恐怖感を覚える日々です。私の人権を侵害され、人としての人格を大きくゆがめられたと感じています。
  誰を頼ればいいのか、わからなく、このようなかたちをとらせていただきました。どうかお力をいただきたく、お願い申し上げます。


○○○○[国籍]のA

Thursday, December 26, 2013

「医療を改善してほしい」「シャワーの湯が出るようにしてほしい」(東日本入管センター被収容者による要求書)

  東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の被収容者による連名の要求書を公開します(人名はイニシャル表記にあらためました)。

  要求書は5Aブロック(30名が署名)、8Bブロック(20名が署名)からそれぞれ出されています。



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【5Aブロック】

平成25年11月12日  東日本入国管理センター所長どの


  私は、5Aブロックで1番日本語がうまいという理由で、5Aのだいひょううとして、この手紙を書かせていただきます。私は5Aの○○○号室のA(ブラジル人)です。

  5Aブロックでは、困っている人が数多くいます。

  勿論一人一人問題をかかえてるんですが、1番困っている人達は、病気をかかえている人達です。今回はとりあえず、5AのB(中国人)、C(ブラジル人)、D(タイ人)の3人の状態を書かせていただきます。

  まず一人目のB(中国人)は、何という病気かわかりませんが、この病気は、4ヶ月前ぐらいから出て来て、身体中に14リットルぐらい水たまってて、入管内の病院に行きましたが、医者から薬をもらって飲みましたけど、全く病気が直らないです。足や頭、みぞおちが痛くて辛いです。そして、だんだん病気が悪化しています。

  次にCのことを話します。Cの場合は、刑務所から始まった病気です。病気はひふ病と言われているらしいです。この病気は、頭や身体全体に出てて、身体中全てかゆいです。にもかかわらず、外の病院に連れて行ってもらえず、ここの病院から、薬ばっかりです。でも、薬ぬっても正直全然変わらないです。

  それと、こしも悪いです。外の病院で2回ほど見てもらったけど、1回目は、こしの ところに ちゅうしゃをうたれて、痛み止めをもらった。 痛み止めを使用しても全く解決しません。痛みは、おさまらず、2回目行った時には、こしもんをもらって、現在は使用してます。そして、それでも痛みがおさまらなければ、もう1回 ちゅうしゃをうつって言われましたがちゅうしゃをうつと すごく ぐあいが悪くなって、頭もすごく痛みます。

  最後にD(タイ人)について書きます。Dの病気は、品川入管から痛くて、品川入管の病気には、1回行きましたけど、どんな病気かって聞いたら、わからないと言われて、そして、痛み止めをもらっただけです。品川入管では、何度も痛いと言いましたが、大丈夫ですか、どこが痛いとか聞かれたけど、心配しているようにみせていただけとしか言いようがないです。そして、結局 茨城入管に来て、こっちの方でも、見てもらったけど、同じく痛み止めをもらいました。そして、まだ痛いから、相変わらずだったので、もう1回ここの病院に行きました。そしたら、トミロンという薬をもらって、飲んでますけど、全く変わりません。しかし、どんな病気か、教えてくれません。普通は、どんな病気かとか、何で痛いかとか、教えるべきなのに、何も教えてくれません。こっちで何回も何回も外の病院に連れて行って下さいって頼んでも、まだ とか、あとで、としか答えてくれないです。この病気は毎日お腹の下らへんが痛みますし、しょんべんする時も痛いです。毎日我慢しています。でも、これ以上に病気が酷くなれば、こわいし、心配しています。

  3人の状態はこれで以上です。


  他のブロックは、わかりませんが、5Aブロックは、皆一人一人 色んな病気を背負っています。寝れないとか、ストレスで出来る病気も少なくありません。ここの病院に行っても、痛み止めばっかりです。

  病気とあわない薬とか、薬飲んでも全く変わらないのも少なくないです。時間がたつにつれ、病気は、どんどん悪化しています。病気をかかええてる人達は皆 同じことを言っています。病院に連れて行ってって言っても、結局2、3後にしか連れて[行って]くれない。これは本当に困ります。病気は止まらないし、待ってくれないです。すぐ何かしないといけないのが普通です。2、3ヶ月後に病院に行っても、直る病気が直りにくくなるのも十分ありえます。

  ここでは一人一人の病気を解決出来ないのであれば、なんらかの方法を考えて下さい。無理であれば、仮放免で出して、自分達で病院に行ける状態にするべきです。ここに居て、一人一人の病気はどんどん悪化しています。


  この手紙について、2週間以内に返答を願います。


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【8Bブロック】

申出書

  これから寒くなる季節に入りますので  入管に対し  カゼ薬(入管職員が保管し投与するもの)の不足と午前中のシャワーの湯が出ない事について見直してもらいたいので よろしくお願いします。

  まずはカゼ引いて、職員に薬を頼んでも ないと言われるので 薬の支給、出来れば「バファリン」や「パブロン」をお願いします。

  その次  午前中のシャワーの水を湯にしてもらいたいのです。午前中 運動後や面会前に体をキレイにしたくても  シャワーが冷たいので  運動したくても しない人や  面会で嫌な思いをしてしまうのが全体の意見です。
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  5Aブロックが問題にしていた医療処遇については、センター側から改善するとの回答があり、その後5Aの被収容者からも一定の改善がみられたとの評価の声も聞かれました。

  8Bブロックが要求していた、午前中にシャワーのお湯を出してほしいという件についても、お湯が出るようになったとのことです。

  ただし、シャワーの件にかんしては、そもそもなぜこのような基本的で当然な要求がこれまで放置されてきたのかという点は不可解です。午前中にシャワーのお湯が出るようにしてほしいという要求は、以前からあったものです。

  午前中にボイラーをとめてシャワーは冷水しか出ない状態にするというのは、2011年の東日本大震災後に東日本入国管理センターによってとられた措置ですが、なぜこのような状態を1年半にもわたって継続させてきたのか、その意図と理由をはかりかねます。

  また、医療にかんしても、以前から指摘しているとおり(同意なく一度に6本の抜歯/骨折を70日以上も放置(東日本入管センター) 参照)、そもそも予算・人員・設備の面で、センターが収容能力をこえた被収容者数をかかえているという構造的な問題が解消されていないからこそ、5Aブロックの要求書が指摘した医療放置が生じるのだと言えるでしょう。

Wednesday, December 25, 2013

チャーター機によるタイ人一斉送還に抗議する申入書

  12月8日に、法務省はチャーター機をつかってタイ人46名を強制送還しました。これについて、関東仮放免者の会(PRAJ)としては、当ブログなどをとおして抗議の呼びかけをおこなっております。


  また、12月19日に東京入国管理局、同20日に東京入国管理局横浜支局、同24日に東日本入国管理センターに出向き、以下に掲載する申入書を提出し、このたびの送還につよく抗議しました。


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申  入  書


2013年12月19日

法務大臣  殿
法務省入国管理局長  殿
東日本入国管理センター所長  殿
東京入国管理局長  殿
東京入国管理局横浜支局長  殿

関東仮放免者の会(PRAJ)


  法務省は、12月8日、タイ人46名(4歳児1名をふくむ男性26名と小学生2名をふくむ女性20人)をチャーター便により強制送還した。この一斉送還の実施につよく抗議する。
  当会としては、同意なき送還そのものに反対するが、今回の一斉送還は以下のような重大な人権侵害をともなっていた点でも看過できないものである。


1.送還による家族分離
  法務省は12月9日の記者会見において、今回の送還にあたり「家族をばらばらにしていない」との発表をおこなったようである。ところが、家族が分離されたケースが多数あることが確認されている。
  当会の調査によると、日本人の配偶者(日本およびタイでの婚姻が成立している)、永住者の配偶者(日本での婚姻手続きは準備中であるもののタイでの婚姻が成立している)がそれぞれ複数、また定住者の配偶者(日本およびタイでの婚姻が成立している)が今回の被送還者にふくまれていることがあきらかになっている。さらに、法的な婚姻はととのっていないものの、事実婚にある夫婦の一方が送還されたケース、血縁関係がないものの同居していた子(配偶者の子)と送還により分離されたケースもあり、実質的に家族として生活していたことが明確であるにもかかわらず、今回の送還により分離された家族は多数存在している。
  このたびの一斉送還は、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する」(第二十三条第1項)とさだめた「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(B規約)に違反し、家族を分離するきわめて非人道的なものであった。


2.長期滞在者の送還
  今回の被送還者には、7月6日におこなわれたフィリピン人一斉送還時と同様、2004年よりまえに来日した長期滞在者が多数ふくまれている。なかには、滞在期間が20年以上におよんだ者も複数いる。
  バブル期に製造、建築等いわゆる3K職場と呼称される労働現場で当時の日本の若者がこれを忌避した事から人手不足が深刻であった。当時それを埋め、日本の発展を底辺で支えていたのは非正規滞在外国人であった。こうした現実、またこれらに依拠しなければ日本の中小企業、労働市場は立ち行かなかったという現実があるのだから、とくに2003年10月の法務省入国管理局、東京入国管理局、東京都及び警視庁による「首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言」、2003年12月の犯罪対策閣僚会議による「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」等により国として非正規滞在外国人の労働力に依拠しないと明確に打ち出す以前に来日し、結果として定住するにいたった者を送還することは、社会的公正という見地からも容認できない。


3.仮放免者を再収容しての送還
  今回の一斉送還においては、仮放免者を再収容して送還したケースが複数あった。そのなかには、前述の日本人の配偶者もふくまれている。
  当会がこれまでくりかえし申し入れてきたとおり、過酷な収容にたえぬき仮放免された者たちは、帰国すると危険が予想されるため難民申請をしている、帰国によって家族が分離される、長期間の滞在によりすでに国籍国に生活基盤がないなど、それぞれ帰るに帰れない事情をかかえた者たちである。
  2010年の西日本、東日本両入国管理センターでの大規模ハンガーストライキ、東日本入国管理センターでの被収容者の相次ぐ自殺、国費無理やり送還中にガーナ人男性が死亡した事件、退令仮放免者によるあいつぐデモ、被収容者によるあいつぐハンスト等は、入管がどうしても帰国出来ない外国人の問題に対し収容や再収容、送還といった暴力的方法に対処しようとすることの限界を示している。いまや3000人を超える仮放免者をこうした暴力的方法によって帰国させることは事実上不可能なのであって、また人道上の観点から言っても、こうした帰るに帰れない仮放免者に在留資格をみとめる以外に解決の道はありえない。


4.行政訴訟の機会を不当にうばうかたちでの送還
  送還されたなかには、12月6日(金曜)夕方に難民不認定に対する異議申し立て棄却が通知され、週明けを待たずに8日(日曜)に強制送還された者があった。これは、難民不認定処分取消訴訟の出訴期間内(処分内容を知ってから6ヶ月以内)での送還であり、また、難民認定の再申請をはばむために送還直前の金曜夕方に異議申し立て棄却を通知するという姑息なやり方による送還であった。
  また、今回の被送還者のなかには、退去強制令書発付処分取消訴訟の出訴期間内(処分内容を知ってから6ヶ月以内)であるにもかかわらず強制送還された者が多数おり、そのなかには、提訴にむけて準備中の者もすくなからずいた。
  難民不認定処分、あるいは退去強制令書発付処分など行政処分を不服として裁判所の判断をあおぐことは、当然の権利であって、出訴期間内の同意なき送還は、裁判の機会をうばう不当なものである。


5.学齢期の児童の送還
  法務省は、今回の被送還者に小学生2人がふくまれていることをあきらかにしている。7月のフィリピン人一斉送還ではなされなかった学齢期の子どもを送還したわけである。
  当然ながら、不法残留や不法入国といった入管法違反について、こうした子どもの責任を問えるような道理はいっさい存在しない。日本で育ち、学校教育を受けている子は、一般的にタイ語をほとんど話せないことが多く、送還先社会への適応には困難が予想される。彼女たちを通っていた学校から引きはがした行為は学習権の侵害であり、学校や地域の友人たちと引き裂く行為の非人道性もあきらかである。


  以上のとおり、このたびの一斉強制送還に正当性がないことはあきらかであり、以下申し入れる。

(1)  送還した46名について、本人の申請があれば、すみやかに上陸特別許可をみとめること。とくに、日本に配偶者がいる被送還者については、早急に上陸特別許可をみとめ、非人道的な家族分離の状態を一刻もはやく解消するようつとめること。
(2)  今後、チャーター機によるものもふくめ、本人の同意なく送還することはやめること。別途、申し入れるとおり、東京入国管理局執行部門の入国警備官による、暴力行為・恫喝行為が横行し、行政訴訟や難民申請を取り下げさせようとした圧迫行為すらおこなわれている。このような状況にあっては、送還の正当性はなおさらないと言わざるをえない。


以  上


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  同意なき送還について、今後とも継続して、法務省および東京入国管理局をはじめとする各入国管理局地方局、入国管理センターにたいし抗議と反対の声をあげていきましょう。



抗議先

(1)東日本入国管理センター  総務課
tel: 029-875-1291
fax: 029-830-9010
〒300-1288 茨城県牛久市久野町1766-1

(2)東京入国管理局
tel: 03-5796-7250(総務課)
Fax: 03-5796-7125
〒108-8255  東京都港区港南5-5-30

(3)東京入国管理局横浜支局  総務課
tel: 045-769-1720
Fax: 045-775-5170
〒236-0002  神奈川県横浜市金沢区鳥浜町10-7



  なお、関西で入管問題と難民支援に取り組んでいるRFIQ(在日難民との共生ネットワーク)が、今回の一斉送還について法務大臣あての抗議署名をよびかけています。

Monday, December 9, 2013

【抗議の呼びかけ】タイ人に対する一斉無理やり送還について

  12月8日(日)、「昨晩、タイ人が居室から連れ去られた」という情報が、多数、私たちのもとに入ってきました。連れ去られたタイ人が収容されていたのは、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)、東京入国管理局(東京都港区)、東京入国管理局横浜支局(神奈川県横浜市)の各収容所・収容場です。

  入国警備官によって連れ去られたタイ人たちは、航空機で8日の夕方にバンコクに強制送還されたことが、あきらかになりました。被送還者数は50人ほどであるという情報も、送還された被害者からの電話等により寄せられています。

  私たちとしてはこの同意なき送還につよく抗議するとともに、みなさまにも電話やファクシミリなどでの抗議をひろくよびかけたいとおもいます。以下、とりあえずの抗議先をあげておきます。



抗議先

(1)東日本入国管理センター  総務課
tel: 029-875-1291
fax: 029-830-9010
〒300-1288 茨城県牛久市久野町1766-1

(2)東京入国管理局
tel: 03-5796-7250(総務課)
Fax: 03-5796-7125
〒108-8255  東京都港区港南5-5-30

(3)東京入国管理局横浜支局  総務課
tel: 045-769-1720
Fax: 045-775-5170
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  今回のバンコクへの一斉無理やり送還の実態については、当ブログで今後あらためて報告していきますが、現時点で、被送還者のなかには、日本での滞在期間が20年以上におよぶ人が複数ふくまれている事実が、あきらかになっています。

  このブログでもくり返し指摘し、また法務省などへの当会としての申し入れでも述べてきたとおり、日本の入国管理政策は、法務省などが言うところの「不法滞在者」をあえて「不法」状態においたまま放置することで、安価でフレキシブル(いつでも首を切れる)な労働「力」を国内産業の雇用主に「供給」する、という利益誘導政策をとってきました。

  いわば非合法的に外国人労働「力」を導入してきたのは法務省・入管であって、また、とりわけバブル期にこうした非合法的な労働「力」に日本の社会・経済は依存してきたのです。

  ところが、2003年から2004年にかけて、法務省はこうした方針を一転させ、 「不法滞在者の半減5か年計画」なる計画を立て、非正規滞在労働者の徹底的な排除へと舵(かじ)をきります。2004年には、製造業分野での労働者派遣事業が解禁されております。つまり、日本政府としては、“今後は安くて首を切りやすい労働力としては派遣労働者をあらたに用意し、かれらに低賃金で不安定な労働をになってもらうので、あなたたち不法滞在者は用済みになりました”としたわけです。


  このようにして法務省は「不法滞在者」の存在が問題なのだと言い出すのですが、デタラメ・あべこべもいいところです。その「不法」状態を意図的につくりだしてきたのは法務省であり、そうして「不法」状態におかれた外国人を安く買いたたいてきたのは日本の社会・経済にほかならないのですから。

  長期滞在者、とりわけ2003~04年より以前から滞在している人を暴力で追い出すことは、それ自体が不当であり不正義です。

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  また、今回の被送還者には、日本に家族がおり、帰国すると家族が分離されてしまうケースも複数あったことが、現時点で確認されております。この点でも、このたびの一斉送還の非人道性はあきらかであり、また、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する」(第二十三条第1項)とさだめた市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)に違反する違法な人権侵害行為です。

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  さらに、現時点で、被送還者に退去強制令書取消訴訟の提訴期限(退去強制令書発付を通知されてから6ヶ月間)を過ぎていない人が複数おり、そのなかには入管にたいして訴訟提起の意思を明確にしていた人も、やはり複数人いたことがあきらかになっています。

  送還された人たちは、退去強制令書が発付されていたとはいえ、その退去強制令書発付処分とは、入管という行政機関によるものにすぎません。この行政処分を不服として、裁判所にその取り消しや無効確認を申し立てるのは、当然の権利です。

  行政訴訟の意向を明確に示している人を、いち行政機関にすぎない入管が勝手に送還したことは、裁判所を愚弄する行政機関の暴走と言うべきなのはともかくとしても、重要なのは、これが裁判の機会を不当にうばう権利侵害であるということです。

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  ところで、こうした法務省による人権をいくえにもふみにじる凶行は、法務省がさだめる人権週間(12月4日~10日)のさなかにおこなわれました。


  うえの法務省のサイトでは、「考えよう 相手の気持ち 育てよう 思いやりの心」などという人権とはなんの関係のないお題目をとなえて、法務省自身が人権のなんたるかをさっぱり理解していないことをみずから暴露しております。じっさい入管が帰国強要の手段として日々おこなっているように、「相手の気持ち」をよく「考え」ているからこそ、相手に効果的に恫喝をくわえ、虐待し、より深く相手の心にダメージを与えられるということもあるのですし。人権とは、「思いやり」ではなく、「人としての不可侵の権利を保障しろ、またそれを侵害するな」ということでしょう。

  また、人権を、「相手の気持ち」に「思いやり」をもちましょうなどという個々人の心持ちのレベル一般の話におとしこむような理解からは、法務省をはじめとする政府機関による人権侵害の問題はぼやかされ、問われなくなってしまいます。政府によるものであれ、個人によるものであれ、人権侵害は、権力関係を背景にしておこなわるものです。「思いやり」の欠如からおこる個人間のいさかいやケンカがかならずしも人権侵害をともなうわけではありません。問わなければならないのは、権力による侵害行為にほかなりません。

  すくなくとも法務省に「人権」課題をまかせておくことなどできないことは、あらためてはっきりしました。人権を法務省からとりもどしましょう。

Friday, December 6, 2013

関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

  10月27日に、東京の板橋で関東仮放免者の会の第4回大会をおこないました。


  9月22日に病死したバングラデシュ人の仮放免者ムスタファ・カマルさん(42歳)。東京入管が医療放置したのち10月14日に死亡したロヒンギャ難民のアンワール・フセインさん(57歳)。最初に、ふたりの死をいたんで参加者全員で黙祷をささげ、大会をはじめました。

  今年は、2月の全国仮放免者生活実態アンケート調査や5月の再審情願一斉申立を通じてメディアが仮放免者問題を取り上げてくれることが増え、また報道の内容も仮放免状態の過酷さを良く理解して書かれたものが増えました。私たちの運動が社会的に注目され、仮放免者に在留資格を求めるという運動目的が社会的理解を得てきた重要な1年でした。

  一方、7月にチャーター機によるフィリピン人一斉送還がおこなわれるなど、帰国できない事情にある仮放免者および被収容者にとって、きびしくくやしさののこる年でもありました。


  入管による人権侵害は私たちの仲間を増やしてくれます。実際、第4回大会参加者の特徴として、たくさんのフィリピン人仮放免者が参加しました。しかし、犠牲者が出て仲間が増えるという構造から脱却し、犠牲者を出さないために仲間が増えていく構造への転換が求められているところです。

  大会ではまず、過去1年の情勢と私たちの足跡をふりかえり、あらたな1年の活動方針について討議しました。緊迫したきびしい局面はつぎの1年も続くだろうとの見通しから、会の機動性を高めるために組織のあり方を抜本的にみなおすことになりました。組織機構の改革に関連して、会則改正案・予算案・人事案が提起され、採決されました。

  そのいっぽうで、会の目的を明確化・再定義することにより、会員全体の目的意識の共有をはかり、よりいっそうの団結をすすめていこうという意図から、関東仮放免者の会としての「宣言」が提案され、採択されました。

  「宣言」は、大会にさきだつ2度のリーダー会議における長時間にわたる討議をつうじて文案が起草・修正され、10月27日の大会で採択されたものです。大会では、以下に掲載する日本語版と英語版を採択しましたが、今後、仮放免者それぞれが母語にしている多言語に翻訳したものをつくり、公開していく予定です。

  なお、関東仮放免者の会では、一般から賛助会員をつのり、また、賛助会員にかぎらず会へのカンパをひろくおねがいすることとなりました。会の運営は、結成以来3年間、おもに仮放免者による会費と支援者の持ち出しによってなされてきました。しかし、就労の許可をみとめられず、その住居も関東地方全体にちらばっている仮放免者が相互に交流するためにも、また支援者が仮放免者のもとにおもむくにも、より多くの資金が必要です。ご協力いただけるかたは、本記事の末尾の案内をごらんください。




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宣言

  2010年10月31日、仮放免者の会は結成されました。仮放免者の会は、仮放免者自身によってつくられ、仮放免者自身によって今日まで活動してきました。

  仮放免者は、入管から退去強制令書発付を受け、国に帰るようにさまざまなプレッシャーをかけられ、おどされながらも、帰国できない事情がある者たちです。仮放免者の多くは、入管でのきびしく長い収容生活をおくり、しかし仲間たちとともに在留資格を手に入れて日本に残ることをえらびました。

  仮放免者が帰国しない、帰国できない理由は、いろいろです。難民であること、家族が日本にいること、長く日本で暮らしてきたこと、などなど。しかし、そのようないろいろな事情のちがいをこえて、私たちは仮放免者として団結することをめざしてきました。

仮放免者に在留資格を!」

  これが、私たちが仮放免者の会をつくってから、ずっとかかげてきた目標です。たとえば「難民に在留資格を!」でもなく、あるいは「日本に家族のいる人には在留資格を!」でもありません。私たちがうったえてきたのは、「仮放免者に在留資格を!」です。

  難民も難民でない者も、入管によって人間としてあつかわれてこなかった点でおなじです。また、日本に家族がいる者も、そうでない者も、入管に「人間より下の存在」としてあつかわれてきた点でおなじです。つまり、入管、日本政府は、私たち“すべて”を人間として見ていないのです。

  だから、私たちは、“すべての仮放免者”としていっしょに闘ってこなければならなかったのです。難民も難民でない者も、結婚している者も結婚していない者も、刑務所に行った者もただのオーバーステイの者も、“すべての仮放免者”としての団結をめざさなければならなかったのです。

  立場のちがい、事情のちがいをこえて、私たちは要求します。私たちの“すべて”を人間としてあつかえ、と。そして、この私たちの要求は、日本で暮らすすべての外国人にたいする日本政府の考え方を変えさせる、という大きな目標へとつながっていきます。

  1940年代からいままで、外国人にたいする日本政府の考え方の基本は、変わっていません。それは、ひとつには「外国人には人権がない」という考え方です。もうひとつには、「外国人をどうあつかおうが、日本政府の自由だ」という考え方です。1965年に、法務省入国管理局参事官だった池上努は、自分の本で外国人は「煮て食おうが焼いて食おうが自由」だと書いています。

  また、1978年には最高裁判所が、マクリーン事件判決(*1)という、事実上外国人に人権はないと言っているにひとしい判決を出しています。マクリーン事件とは、日本に住んでいたアメリカ人のロナルド・アラン・マクリーンさんがベトナム戦争に反対する活動をしたために、入管が彼の在留許可の更新をみとめなかったという事件です。マクリーンさんは、これに納得できずに裁判をおこしました。しかし、最高裁判所は、外国人の在留期間の更新をみとめるかどうかは、法務大臣が勝手にきめてよいことで、それをきめるときにその外国人の人権なんて気にしなくてもよいのだというような意味の判決を出しました。まさに、「外国人には人権がない」「外国人をどうあつかおうが、日本政府の自由だ」という日本政府の考え方を、裁判所までもがみとめたわけです。

  この長くつづいてきた日本政府の考え方が変わらなければ、私たちは権利のある人間として日本で生活していくことはできません。たとえ、ある日、在留資格を認められたとしても、つぎの日には、在留資格をとりあげられるかもしれません。

  だから、私たちは、「仮放免者に在留資格を!」という目標のさらにむこうに、もっと大きな目標をかかげます。すべての外国人の人権が認められる社会へと日本の社会を変えていく、ということです。そのためには、「外国人には人権がない」「外国人をどうあつかおうが、日本政府の自由だ」という日本政府の考え方を変えさせなければなりません。

  この日本政府の考え方を変えさせ、日本の社会を変えるという目標に近づいていくために、私たちは、私たちより前に日本にやってきた外国人たちの長い闘いの歴史と経験から多くのことをまなぶことができます。権利をかちとるために闘ってきた彼ら・彼女らの歴史は私たちに勇気をあたえ、その経験は私たちに力をあたえてくれます。そして、私たちもおなじように日本政府の考え方と日本の社会を変えるための闘いをつづけることで、私たちの子どもたちや、私たちより後に日本にやってくる外国人たちに、財産をのこすことができるでしょう。また、外国人を差別しない社会をつくっていくことは、人間どうしの平等で自由な関係をのぞむ日本人たちにとってもよいことであると信じます。

  入管、日本政府は、私たちを人間としてあつかってきませんでした。しかし、私たちは、それぞれの事情や立場、あるいは国籍や人種や民族、思想信条や宗教、性別や性的指向などをこえて平等な人間として認めあうことができるはずです。そうしておたがいを平等な人間として認めあい、私たちのなかにある差別とも闘いながら、入管や日本政府、また日本社会にむかって主張していきます。「私たちには人権がある。私たちがここにいるのは私たちの権利である」と。

2013年10月27日  東京板橋にて
仮放免者の会(PRAJ)一同



注釈

*1  マクリーン事件判決
  長くなりますが、マクリーン事件判決から引用します。
 思うに、憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。しかしながら、前述のように、外国人の在留の許否は国の裁量にゆだねられ、わが国に在留する外国人は、憲法上わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものではなく、ただ、出入国管理令上法務大臣がその裁量により更新を適当と認めるに足りる相当の理由があると判断する場合に限り在留期間の更新を受けることができる地位を与えられているにすぎないものであり、したがつて、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎないものと解するのが相当であつて、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障、すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしやくされないことまでの保障が与えられているものと解することはできない。在留中の外国人の行為が合憲合法な場合でも、法務大臣がその行為を当不当の面から日本国にとつて好ましいものとはいえないと評価し、また、右行為から将来当該外国人が日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者であると推認することは、右行為が上記のような意味において憲法の保障を受けるものであるからといつてなんら妨げられるものではない。

  いま引用したところでこの判決が言っているのは、おおむねつぎのようなことです。

  1. 日本国憲法にさだめられている基本的人権は、日本に住んでいる外国人にも保障される。政治活動の自由についても、おなじく外国人にも保障される。しかし、外国人が日本に住んでよいかどうかは、法務大臣が自由にきめてよい。
  2. したがって、外国人の基本的人権は、日本の外国人在留制度のわくのなかであたえられているにすぎない(つまり、外国人に在留資格をみとめるかみとめないかについての日本政府の判断は、基本的人権を保障した憲法のわくをこえた、その外側でなされるものである)。
  3. 日本に住んでいる外国人の在留資格の更新を認めるかどうかを判断するときに、日本政府は、基本的人権についてさだめた日本国憲法の条文を気にしなくてよい。
  4. 日本に住んでいる外国人が日本の憲法や法律をまもっていたとしても、法務大臣は、その外国人が「日本にとってよくない」「日本の利益をそこなうかもしれない」と考えるならば、法務大臣がそう考えたということを理由にして、その外国人の在留期間の更新を認めなくてもよい。その場合、法務大臣はその外国人の人権なんて気にしなくてよい。

  この判決は、憲法は外国人の基本的人権を保障しているとも一応は言っています。しかし、外国人の在留期間の更新をみとめるかどうかについて、法務大臣の判断の自由をとても広くみとめています。“法務大臣の考え方しだいで、外国人の在留資格をみとめてもよいし、みとめなくてもよい。法務大臣がそれを判断するにあたって、日本国憲法の基本的人権の保障をさだめた条文にとらわれなくてもよい”と言っているわけです。これは、日本国憲法が保障している人権は、日本人だけのもので、外国人にはないのだ、と言っているのとおなじことです。
  この、法務大臣の自由、権限をとても広くみとめた1978年の判決は、いまの裁判でも入管がしょっちゅう引用しています。


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The Provisional Release Association in Japan was founded on October 31, 2010. It was created by us, the people those on provisional release themselves, and has been run by ourselves since then.

  Those on provisional release are people who have received a deportation order from the immigration authorities, are under various pressure and threats, but have reasons why we cannot go home. Most of us were detained at the immigration detention centers for a long time under harsh conditions, but chose to obtain a resident status and remain in Japan.?

  There are many reasons why we will not or cannot go home. Some of us are refugees, and some have a family in Japan, and others have lived in Japan for a long time. And yet beyond such differences of reasons, we have sought to unite as people on provisional release.

  “Resident Status for those on Provisional Release!”

This is the goal we have upheld since we founded the Provisional Release Association in Japan. It is not “resident status for refugees” or “resident status for those with a family in Japan,” for example. It is “resident status for those on provisional release” that we have been calling for.

  Refugees and non-refugees are the same in that they have not been treated as human beings by the immigration authorities. Also, those who have a family and those who do not are the same in that they have been treated as “presence below the human” by the immigration authorities. Another word, the immigration authorities and the Japanese government do not see us all as human beings.

  That is why we have had to fight as “all on provisional release.” We have had to seek unification as “all on provisional release” including refugees and non-refugees, married and unmarried people, those who were in prison, and those who merely overstayed.

  Beyond differences in positions and circumstances, we claim that we all be treated as human beings. Furthermore, our demands lead to a larger goal to change the attitudes of Japanese government toward all foreigners in Japan.

  Since the 1940s, the core of the attitudes of the Japanese government toward foreigners has not changed. It is the view that “foreigners do not have human rights,” and “it is up to the Japanese government no matter how they treat foreigners.” In 1965, Tsutomu Ikegami, a counselor of the Immigration Bureau of the Ministry of Justice, stated in his book that “we can do whatever we please with them.”

  In 1978, the Supreme Court also made a decision on the McLean case(*1), which is equal to saying that foreigners do not have human rights in effect.  It is the case that Mr.  Ronald Alan McLean, an American national living in Japan, was refused to renew the permission to stay because he was involved in anti-Vietnam War activities. Mr. McLean, unsatisfied with the decision, filed a lawsuit. The Supreme Court, however, ruled that it leaves to the discretion of the Minister of Justice whether or not to grant a renewal of a foreigner’s period of stay, and the minister does not need to consider the foreigner’s human rights when he makes decisions. Quite simply, the court also accepted the Japanese government’s view that “foreigners do not have human rights” and that “it is up to the Japanese government no matter how they treat foreigners.”

  Unless these long-lasting attitudes of the Japanese government change, we cannot live in Japan as human beings with rights. Even if we are granted a resident status one day, it may be taken away on the following day.

  Therefore, we have a larger goal beyond “resident status for those on provisional release,” which is, “we seek to change the Japanese society into the one in which human rights of all foreigners are respected.” In order to achieve this goal, we need to change the government’s view that “foreigners do not have human rights” and that “it is up to the Japanese government no matter how they treat foreigners.”

  Now, to change the government’s views and the Japanese society as well, we can learn various things from the long history of struggles experienced by the foreigners who came to Japan before us. The history of their struggles to win the rights gives us courage, and their experiences give us strength. As we continue fighting to change as our predecessor did, we will be able to leave assets to our children and others coming after us. We also believe that it is good even for Japanese who hope to have an equal and free relationship with others as human to create a society without any discrimination against foreigners .

  It is true that the immigration authorities and the Japanese government have not treated us as human beings. Beyond those differences in circumstances, positions, nationality, race, ethnicity, ideology/beliefs, religion, sex, and sexual orientations, however, we should be able to acknowledge each other as equal human beings. Therefore, while acknowledging each other as equal human beings and fighting against any thoughts and attitudes of discrimination within ourselves, we argue toward the immigration authorities, the Japanese government, and the Japanese society that “we have human rights. It is our rights to be here.”
 
October 27, 2013.
Itabashi, Tokyo.
Members of the Provisional Release Association in Japan


Note
1. The ruling of the Mclean case
  Let us quote from the ruling of the Mclean case at length:
It should be understood that the guarantee of fundamental rights included in Chapter Three of the Constitution extends also to foreign nationals staying in Japan except for those rights, which by their nature, are understood to address Japanese nationals only. This applies to political activities, except for those activities which are considered to be inappropriate by taking into account the status of the person as a foreign national, such as activities which have influence on the political decision-making and its implementation in Japan. However, as mentioned above, permission of sojourn of foreign nationals in Japan is left to the discretion of the state. Foreign nationals staying in Japan are not guaranteed the right to stay in Japan or request to continue to stay in Japan under the Constitution, and merely granted a status by which they can have the period of stay renewed only when the Minister of Justice, by his discretion, determines that there is a "reasonable ground to acknowledge that the renewal of the period of sojourn is appropriate." Guarantee of fundamental rights to foreign nationals by the Constitution should be understood to be granted only within the scope of such a system of the sojourn of foreign nationals and does not extend so far as to bind the exercise of discretionary power of the state, i.e. does not include guarantee that acts which are guaranteed as fundamental human rights under the Constitution during the sojourn should not be considered as negative circumstances in renewing the term of sojourn. Even if the activities of a foreign national are constitutional and lawful, the Minister of Justice is by no means hindered from assessing those activities as undesirable in terms of appropriateness for Japan, and from assuming from such activities that this foreign national may act against the interest of Japan, despite the fact that such activities of the foreign national are guaranteed by the Constitution in the above sense.

  What the ruling says here is basically the following:

  1. Foreigners in Japan are guaranteed the basic human rights in the Japanese Constitution. Political freedom is also guaranteed for foreigners.
  2. However, the Minister of Justice gets to decide whether a foreigner can stay in Japan.
  3. Therefore, the basic human rights for foreigners are merely granted within the frameworks of the visa system (that is, the decision of the Japanese government of whether to grant a resident status for a foreigner is made outside the Constitution, which guarantees the basic human rights).
  4. The Japanese government does not have to consider the articles of the Constitution on the basic human rights when they decide whether to grant a renewal of the resident status of a foreigner living in Japan.
  5. The Minister of Justice can refuse to renew the period of stay of a foreigner living in Japan even if he or she obeys the Constitution and the laws of Japan, if the Minister thinks that he or she is “not good for Japan” or “may hurt the interests of Japan.” In such cases, the Minister of Justice does not have to consider the human rights of the foreigner.

  In a fashion, this ruling states that the constitution guarantees the basic human rights for foreigners. However, it recognized the discretion of the Minister of Justice very broadly as to whether he grants the renewal of the period of stay of a foreigner. It basically says that the Minister of Justice can choose to grant or not to grant a resident status for a foreigner at his will, and that he is not bound by the articles of the Constitution which guarantees the basic human rights when he decides.” This is equal to saying the human rights guaranteed by the Constitution are only for Japanese, not for foreigners.

  The ruling of 1978, which recognized the discretion and authority very broadly, is often cited by the immigration in courts.




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賛助会員のご案内

  関東仮放免者の会では、あらたに賛助会員の制度をもうけることにしました。賛助会員は、月一口500円の賛助会費を支払うことで、どなたでもなることができます。なお、賛助会費は何口でも支払うことができます。

  上の「宣言」や当ブログで報告している会の活動にご賛同いただけるかたは、賛助会員としてご協力いただけるとさいわいです。下記のメールアドレスまでご連絡ください。

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カンパのおねがい


  上記賛助会員のかたでなくても、会に賛同していただけるかたに、可能なときに無理のない範囲で、以下の口座にカンパをいただけるとありがたいです。

    ゆうちょ銀行  記号10560  番号  22655891
    口座名  カリホウメンシャノカイ

  郵便局以外から振込する場合は、
    店名  〇五八(読み  ゼロゴハチ)    店番 058
    普通預金  口座番号  2265589

  これまでも、被収容者のハンストのおり、また、重病の仮放免者のために、私どものカンパの呼びかけにたいし、たくさんのかたがあたたかく応じてくだりました。また、定期的にカンパをふりこんでくださるかたもいらっしゃいます。みなさんのご協力にこれまでもささえられながら、当会は活動してきました。私たちとしても、支援してくださるみなさんのご期待を裏切らないよう、今後とも奮闘していく所存です。