Monday, January 20, 2014

収容長期化の回避・重病者の治療を!(東日本入管センター被収容者の連名要求書)


  東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の被収容者が、1月に同センターの所長あてに提出した連名の要求書を公開します。要求書は2A、5A、8Aの各ブロックからそれぞれ出されています(2Aは女性、5Aと8Aは男性が収容されているブロック)。

  くわしくは、各要求書の本文を参照していただきたいですが、同センターが、とりわけ医療処遇の面で、その収容能力をはるかにこえた人数を収容していることは明らかになっていると言えるでしょう(現在の同センターの被収容者数は300人超とおもわれます)。それぞれのブロックに、外部の診療機関に通院しての継続的治療が必要な病人が相当数おり、しかし、病院に連行するための人員等が足りていないために、病人の多くは事実上、医療放置をされている。そのような実態が3つの要求書から、うきぼりになっています。

  2Aや8Aの要求書が指摘しているとおり、長期収容が被収容者の健康状態を悪化させているおもな原因であることは、まちがいありません。収容の長期化が直接に病人を増やしているばかりでなく、収容長期化が収容人数における過剰収容をうみ、過剰収容が医療処遇の悪化をまねき、その結果としてますます病人が増えている、という面もあるでしょう。

  しがたって、仮放免許可によって収容人数を大幅に減らす、とくに収容期間が1年半や2年をこえるような被収容者については、ただちに仮放免を許可するべきです。そうする以外に、3つの要求書が具体的に指摘している医療放置の問題を解決する方法はないはずです。

  東日本入国管理センター収容されている人の多くは、難民申請をしていたり、退去強制令書について取り消し、ないし無効確認をもとめて訴訟をおこなっています。これらの人たちは、難民条約の規定により、あるいは裁判所による執行停止決定により、強制送還できない人たちです。そうでなくとも、快適というにはほど遠い、あるいは拷問施設と言っても過言ではない同センターに長期間にわたり収容されている人たちは、送還されると家族とばらばらになる、送還先に生活基盤がないなどの理由により、帰るに帰れない人たちですし、入管からみても送還する見込みのたっていない人たちであるわけです。

  このような人たちを収容しつづけることに、なんの意味があるのでしょう? そうした被収容者の仮放免申請をくりかえし不許可にして失意の底につきおとし、その不許可理由も説明しない。これは拷問というほかありません。また、とくに難民申請者や上記の訴訟中の者を長期にわたって収容しつづけているのは、無理やりの送還の対象外である彼ら・彼女らの心身をいためつけることで、彼ら・彼女らが「自主的に」帰国するよううながす意図のものになされているものと考えるほかありません。

  東日本入国管理センターに対しては、被収容者からの要求に対し、回答期限内に誠意ある回答をおこなうようもとめます。2A、5A、8Aから出されたのは連名での要求書であって、提出されたブロックの被収容者全員にたいして、責任ある立場の職員が直接出向いて、回答をおこなうべきです。

  以下、文章中の人名は匿名にしたうえで、3通の要求書を掲載します。


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【8Aブロック】
申  立  書

平成26年1月14日

東日本入国管理センター
8Aブロック収容者一同(代表)


  私達は、この8Aブロックの各問題を取り上げ、その中でも最も大きな問題となっているものを3点、強く要望致します。なお、私は日本語を書けるからという事で、代表して書かせていただきます。

  まず一つ目は、ここ入管での長期収容に対する問題です。実際に弁護士からも言われていますが、入管での収容期間は6ヶ月で、何か裁判などがあればその都度延長しなければならない者に関しては、その説明、そして用紙にて本人の同意となるサインをするとの事ですが、誰一人それをやった事がありません。私も、見た事がありません。そして、仮放免が認められなかった者に対しての、その理由も教えてくれません。私達は、家族、保証人などがいるのにもかかわらず、仮放免が認められず、そしてその理由もわからずに、長期にわたって収容され、日本に残る理由があるのにもかかわらず、いつ帰国させられるかもわからない状態で、身も心もボロボロです。私達は、仮放免が認められなかった時の理由が知りたいですし、知る権利もあります。何の理由も告げられないまま、長期にわたって収容されて、家族などの元にも帰れず、みんな苦しんでいます。体調もどんどん悪くなっています。ですから、上に述べたように、しっかりとした説明、同意のサイン、そして仮放免が認められなかった時のの理由を教えていただくよう、強く求めます。

  二つ目は、この体調の問題です。重い病気をわずらっている人が、この8Aブロックだけでもかなりの大人数です。ですから、全体を含めれば、すごい人数います。わずかながら紹介させていただきます。まず一人目は、バングラデシュ国籍のAさんです。このAさんの場合は、入管に収容されてから高血圧と頭痛に悩まされています。しかも、牛久の入管に来てから、医師に診察日を指定されても、入管の担当の都合で、連れてってもらえなかった事もありました。毎日血圧を計っていますが、担当は「高いねえ。」としか言いません。

  二人目は、同じくバングラデシュ国籍のBさんです。この方も入管に収容されてから、トイレ(小便)に行っても10~15分ずっと出ない状態が毎日続いていて、体には淡褐、暗褐の斑点が出来、胸や背中の痛みがとれず、薬も効きません。

  三人目は、同じくバングラデシュ国籍のCさんで、この方も高血圧と、ほこりへのアレルギー反応が出るようになりました。これも、収容されてからです。そのせいで、目、鼻、耳がとてもかゆく、夜も眠れていませんし、当然薬も効きません。

  四人目は、パキスタン国籍のDさんで、この方は変形性腰椎症で、常に腰にコルセットをし、見ていても生活しづらい状況が続いています。他にも同じ病状の、同じくパキスタン国籍のEさんも同じ病状で、コルセットをしています。もちろん、他にもまだたくさんいます。入管側に訴えても、結局医師の診察まで1ヶ月またなければならないので、その間に病気が悪化します。そして、1ヶ月後に診察に行った所で、痛み止めでごまかすだけです。中には、頭痛や風邪薬などもらいたいと言っても、担当はくれません。こうなると、やはり外の病院に行くしかないと思います。ですから、このように長期収容をするまで、こうした病気が発生しても、もはやおかしな話ではありません。ですから、私達は健康のためにも、まっている家族などのためにも、長期収容をやめ、医療に関する問題に目を向け、徹底的に改善するよう、強く求めます。収容をするのであれば、それなりに私達の命に関わる事に対しての、もっと強い責任をもって務めていただきたいです。

  三つめは、食事の改善です。こうして、体を壊す原因の一つの理由にもなっていると思います。と同時に、ここに収容されている人は皆外国人で、さまざまな国の方々がいらっしゃいます。ですので、「口に合わない。」だとか、「コレステロールやカロリーが気になる。」など、さまざまな意見がでていますが、何より、一番の望みは、私達を長期にわたって収容せず、病状が進む前に仮放免に出し、外で治療を受けられるようにするなどが一番ですが、収容するにあたって、食事の改善を求めます。主に味つけを変えてみたり、もうすこしバリエーションを増やすなどして欲しいのです。先ほども述べました通り、何より私達を長期にわたって収容する事をやめていただきたいと思います。国の税金をたくさん使う事にもなります。

  以上のとおり、私達を長期にわたって収容する事で、体、心身、そして外でまっている家族など、全ての事をふまえて、正当性がない事はあきらかであり、これを申し入れます。これらの事を考慮し、2週間以内にご返答をよろしくお願い致します。別紙にて、8Aブロックの方々の署名をいたします。

以上
[省略――署名用紙(8Aの被収容者37名が署名)]



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【2Aブロック】


要  求  書

  私たちは東日本入国管理センター2Aブロックの収容者です。私たちはみんなで話し合いのうえ、要求することを決めました。

1.仮放免について私たちの要求を申し上げます。
1)仮放免を申請する際に1ヶ月以内に結果出るのを要求します。最近結果をいただいたのは2ヶ月以上ある。結果待ちのが長すぎます。ストレスが増加する一方であります。
前は1ヶ月に結果出ますって私たちに知らせたじゃないですか。これを履行していただきたいです。

2)収容長期化を回避することを要求します。
今2Aブロックは2年以上の収容者3人がいます。
1年は以上の収容者7人がいます。1年~1年半の収容者2人がいます。
長期収容は私たちの心身を痛めつけられています。私たちの精神と健康を害しています。長期収容者の仮放免許可を申し入れます。


2.生活方面について私たちの要求を申し上げます。
1)Freetime の時間が短すぎます。洗濯するのは間に合わない時がありますから、Freetime は9時~12時、1時~5時を要求します。

2)ブロックの中の空気を改善していただきたいです。定時的に換気するのを要求します。今タバコの部屋がふたつあります。タバコのにおいがすごいです。タバコのにおいは私たちの健康を著しく害するものです。

3)トイレの消臭力を要求します。トイレが臭いからです。

4)食事について栄養のバランスを取るため、東京入管みたいに毎週にサラダ、フルーツを要求します。

5)担当さんたちのことばの暴力をやめていただきたいです。


3.医療について私たちの要求を申し上げます。
1)風邪薬を要求します。旦那さんが薬を差し入れるまで時間がかかります。風邪薬がないと風邪がひどくなります。ほかの人にうつったら、困りますから。

2)BOSSの薬をチェックする時間がかかりすぎます。薬チェックする間に病状が悪化するから、薬チェックする時間を1日にしていただきたいです。

3)病気の人はアプリケーションを書いて、病院に連れて行くまで待つ時間が長すぎます。病気が悪化してしまいます
すぐに病院に連れて行っていただきたいです。

貴センターにいる収容者の人権を尊重していただきたいです。
どうか要求をお聞きいれていただくようお願いいたします。



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【5Aブロック】


1月10日(金)
所  長  へ
5Aブロック

  こんにちは。私は5A-***[部屋番号]のF[名前](ブラジル人)です。
  私は、このブロックで生活してて、色んな事を見たり、聞いたりしています。時には、直接私に言ってくるのは少なくありません。
  皆入管のやりかたに納得出来ない点が多々あります。
  一つ例に言いますと、私の部屋のG[人名]は、おなかの痛みを、この長い休みの前にうったえていました。でも結局休みが来て、入管のドクターにさえ連れて行ってくれませんでした。
  そして、この長い休みの間に、何日も寝れなかったり、飯を食べると、おなかが余計に痛くなっていました。同じ部屋ですから、見るだけで辛かったです。
  本人は、毎日痛み止めをもらっていましたが、痛みは全然おさまらなかったです。
  私は、本人を見てて、我慢出来なかったから、私は、自分で担当に言いに行きました。
  本人は、飯全然食べてないし、ねむれてませんとか、夜中に苦しんでいること、全て本人の状態を伝えて、担当は、私は何も出来ないから、上の人に伝えると言われました。私は担当にこのことを伝えたのは、12月30日で、次の日か、その次の日にドクターにみれると思っていましたが、考えが甘かったです。結局本人がドクターに見てもらったのは、休みあけでした。
  私は、今回のことを見て、どういうことですかとしか言いようがないです。もし、休み中に本人が倒れたら、どうしてくれたんですかね? 私たちは、今回のようなことがあって、安心出来ないです。
  誰でも本人の立場に立って考えたら、ありえないことだと思います。休み中だからとか、本当にありえません。私達を安心な生活をさせることも一つの仕事だと思っています。これについて以上です。

  次には、ここのドクターについて話します。
  私達がドクターに見てもらったら、薬をもらっています。でも、その薬のほとんどが、病状を良くさせてくれません。
  ですから、一つお願いがあります。わかりやすく言うと、外で病院行ったら、薬をもらって、そして病状がなおってるとか、良くなってるとかの為に、次にまたこの日に病院に来て下さいって頼まれます。そして、良くなってなければ、薬を変えたりしています。これについては、全部自動的に行われてることです。何も自分でまた病院に行くことはありません。
  でも入管では、1回病状を見てもらう為は、アプリケーションを書いて、そして見てもらう! ここまでは、問題ないですけど、その後がちょっと納得出来ないです。
  ここでは、皆ドクターに病状を見てもらったら、薬をもらって、終わり、というかたちになっています。
  私達がお願いしたいのは、1回ドクターアプリケーションを書けば、1回だけ見てもらうんじゃなく、最後まで、なおるまで見てもらってほしいです。1ヶ月に1回、また病気の状態を見るとか、変化がなければ、薬を変えるとか、これを全てアプリケーション書くんじゃなく、自動的に呼んでほしいです。
  これが皆のお願いです。
  よろしくお願いします。
  返事3週間以内にお願いします。


平成26年1月10日

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