Tuesday, December 6, 2016

【告知】1・4「仮放免者に在留資格を!」デモ / MARCH AGAINST IMMIGRATION BUREAU


1月4日(水)に東京入国管理局にむけてデモをおこないます。


2017年1月4日(水)  1:30PM
集合:JR品川駅(港南口)入管ゆきバス停前

Wednesday, 4 January, 2017
Location: Shinagawa Sta. (Konan Exit)






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  法務省の報道発表資料によると、退去強制令書発付処分を受けたものの、送還にいたらず収容を解かれている仮放免者数は、2015年末の時点で3,606人にのぼったとのことです。

  この仮放免者数は、2009年7月段階での約1,250名でした。およそ6年の間に、3倍近くも増えていることになります。

  このように多数の仮放免者が存在し、いっこうに減っていないどころか増えているという現状が、人権の観点からきわめて重大な問題であることはあきらかです。この4,000人にせまろうとしている仮放免者は、就労が認められず、また在留資格がないために健康保険に加入できず高額な医療費がかかるため、体調不良があっても通院をひかえざるをえないという人も少なくありません。また、仮放免中の高校生・大学生ら(注1)は、ほとんど見知らぬ国籍国へと送還されるかもしれないという不安な状態におかれ、卒業後の展望を持つことも困難です。

  こうした仮放免者数の増加は、私たちがこれまで主張してきたように、ひとつには難民認定率のいちじるしい低さの結果であり、もうひとつには、バブル期以降の外国人をいわば使い捨ての労働「力」として利用してきた、日本政府のご都合主義的な労働政策の結果といえます。非正規滞在者をふくめ一時的な労働「力」として呼び込んだ外国人の少なくない数のひとびとが日本社会に定着していくのは当然のことでした。ところが、日本政府は、2004年にはじまる「不法滞在者の半減5か年計画」、そして2009年以降に顕著となった強力な強制送還執行の方針によって、非正規滞在者を一掃しようとしたのでした。政府のこのような強硬方針は、2010年以降ゆきずまり、先にみたように仮放免者数が年々増大していくという現状をまねいているのです(注2)

  法務省および入管各局は、強制送還を強硬に進めていくことで仮放免者数を減らすという、すでに破綻したことがあきらかな方針に今も固執しているようにみえます。再収容、長期収容、また2013年に始まったチャーター機を使用した集団送還は今年もおこなわれました(注3)。しかし、このように送還執行の強化によって仮放免者数は減らせないことはもはや明らかですし、こうした強硬方針を今後も続けることは、再収容・長期収容によっていたずらに心身を傷つけ、また収容されなくても仮放免状態が長期化することで仮放免者の健康や子どもの将来についての問題を今以上に深刻化させることにしかなりません。仮放免者に在留資格を認め、合法化していくということによってしか、問題の解決はないのです。

  ともに声をあげましょう。また、東京入管に収容されている仲間たちを外から激励しましょう。







【注】

1.仮放免中の高校生・大学生らについては、以下記事参照。



2.以上の経緯については、以下の記事を参照してください。



3.9月22日に法務省は、スリランカ人30人をチャーター機で強制送還しました。

Tuesday, November 8, 2016

裁判傍聴記(1)――大阪入管診療拒否事件


  9月16日(金)、Aさんの国家賠償請求訴訟の第1回期日があり、これを大阪地方裁判所にて傍聴してきました。


  裁判は、予定どおり13時10分に大阪地裁の806号法廷で開廷しました。小さな法廷でしたが、15人ほどの傍聴人が集まり、傍聴席はいっぱいになりました。

  原告席には、中井雅人・清水亮宏両弁護士が着席。原告のAさんは不在。大阪入管に収容中であるとはいえ、原告本人がこの場に来れないのはおかしいという気もします。

  被告席には、国側の弁護士2名のほか、大阪入管の職員3名の姿もありました。

  まず、原告意見陳述として、この場に来れないAさんにかわって、清水弁護士がAさんの陳述書を読みあげました。Aさんは、大阪入管にこれまで治療を拒否され続けてきたこと、費用を自分で出すと言っても診療を拒否されたこと、入管が何もしてくれないためにストトレスがたまり心身ともに状態が悪化していることなどを述べ、「しっかりと裁判長には書類を読んでもらいたい」とうったえました。

  つぎに、中井弁護士が原告代理人意見陳述をおこないました。中井弁護士は、法務省入国管理局が「全件収容主義」という考えをとっていること、また刑事事件であれば要求される司法審査をへないで入管が身体拘束をおこなっているということについて、批判しました。そのうえで、こうした形で被収容者の身体の自由をうばっている以上、入管には「被収容者の生命・健康に対して最高度の注意義務がある」と指摘しました(中井弁護士による「原告代理人意見陳述」はこの記事の末尾に全文を掲載しましたので、ぜひ一読してください)。

  人の身体を拘束しておきながら、診療をせずに放置し、収容主体としての最低限の責任すら果してこなかった大阪入管に対しては、あらためて怒りがわきます。Aさんは、右半身がしびれるとか、口元が思うように動かなくてろれつが回らないといった症状をうったえてきました。常識的にみて、尋常ではない症状です。このような症状を、もし家族や友人がうったえたならば、放置するということはありえないでしょう。ところが、大阪入管はAさんの診療要請を拒否しつづけました。死の恐怖をおぼえるようなひどい症状をくりかえしうったえても、とりあってもらえず、診療を拒否される。Aさんの絶望感・孤立感たるや、想像するにあまりあります。

  裁判では、Aさんに対する大阪入管の医療ネグレクト、人権侵害が追及されることになるのだと思われます。同時に、この裁判が、入管による「収容」のありかたについて、人身の自由、基本的人権の観点から根本的に問い直される機会になってほしいものです。今後とも、この裁判に注目したいと思います。

  この日は、被告である国側による答弁書は出ておらず、11月までに被告が提出するということになり、次回の期日は11月18日(金)13時からと決まりました。引き続いての傍聴・注目をよろしくお願いいたします。


第2回
  日時:11月18日(金)  13:10~
  場所:大阪地方裁判所806号法廷




◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇

追記)
  この第1回期日のひらかれた前日にあたる9月15日、Aさんふくめた大阪入管の被収容者3名に、当ブログの以下記事を印刷したものを差し入れしようとしましたが、大阪入管(福山宏局長)はこれを許可しませんでした。
  差し入れを認めないのは保安上の理由からということのようですが、読んでもらえればおわかりのとおり、裁判への注目と傍聴を一般に呼びかけただけの、どうということのない記事です。保安上の問題などあるはずがありません。たんに大阪入管に対する批判的な言及のある記事を被収容者が読むのはゆるせない、というだけの理由での不許可であることはあきらかです。国の機関であり、公的機関としての体裁をたもたなければならないという自制すら、もはや現在の大阪入管にははたらかなくなってきているようです。




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原告代理人意見陳述書
2016(平成28)年9月16日
 大阪地方裁判所第7民事部 御中
原告訴訟代理人 弁護士 中 井  雅 人
 身体が不当に拘束されてはならないことは、あまりにも当然のことです。あたりまえ過ぎるため、日本国憲法は、人身の自由を正面から定めた明文規定を置かず、憲法31条以下において、身体拘束等について適正手続を定めることで、人身の自由を実質的に担保しようとしているのです。
 特に、刑事事件においては、憲法31条以下の規定が刑事訴訟法においてさらに具体化され、「被疑者」「被告人」には、令状発付審査、準抗告、保釈等かいくつもの司法審査を受ける権利が保障されています。身体拘束は生命を奪うことに次ぐ重大な人権制約であることからすれば当然のことです。また、特に昨今の刑事司法実務においては、身体拘束という人権制約の重さにかんがみ、罪証隠滅及び逃亡を疑うに足りる相当の理由を厳格に審査し、身体拘束からの解放を認めようとする傾向にあります。
 他方、法務省入国管理局(日本政府)は、退去強制事由に該当する疑いさえあれば、逃亡の危険等、収容の必要性がない場合であっても、人身の自由を奪う収容が可能であるという「全件収容主義」という考えを一貫してとってきました。これは、外国人にも原則として人身の自由が保障されるという当然の考え方と相容れない解釈です。
 このように入国管理局は、司法審査を経ず、かつ「全件収容主義」のもとで、被収容者の身体の自由を奪っているわけですから、被収容者の生命・健康に対して最高度の注意義務があるといえます。当然、入管法61条の7を受けた被収容者処遇規則は、「所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。」と定めています。
 しかし、大阪入管では、外部の専門医の診察を受けることができないだけではなく、どんなに体調不良を訴えても、そもそも医者と会うことすらできないという現状にあります。
 「高血圧や糖尿病の人、聴覚が異常に低下している人などが、何度も何度も何度も医者に診てもらいたいと訴えても、診てもらえない。痛みに耐えかねて抗議すると、懲罰房(独房)に入れられ、制裁を加えられる。」という現状があります。
 本訴原告は、医療を受けられない被収容者の中でも、脳梗塞歴がある生命の危険が高い、特に深刻な問題のある方です。それにも関わらず、訴状記載の事案の概要のとおり、度重なる診療拒否を受けています。職員の勝手な判断によって、血液の流れをよくする薬の投薬中止も受けています。入国管理局では、過去に死亡事故を複数件発生させています。失われた人の命は二度とも戻ることはありません。 
 裁判所には、憲法及び入管法の正しい解釈を踏まえた、迅速で適正な判断をお願いしたいと思います。
以 上

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関連


Tuesday, October 18, 2016

10月23日(日) 仮放免者の会 第7回大会


仮放免者の会  第7回大会
PRAJ 7th ANNUAL CONFERENCE





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2016年10月23日(日曜日)12:30pm
集合・JR板橋駅 西口
会場・ハイライフプラザいたばし
一時旅行許可・東京都板橋区


10がつ23にち (にちようび)12:30pm
しゅうごう・JRいたばしえき にしぐち
かいじょう・ハイライフプラザいたばし
いちじりょこうきょか・とうきょうといたばしく


10gatu23niti(nitiyoobi)12:30
syuugoo:JR Itabasi eki nisi guti
kaijoo: High life plaza Itabasi
itiji ryokoo kyoka:tookyooto itabasi ku


みやさこMiyasako 090-6547-7628  | くどうKudoo 080-1008-9219  |  Elizabeth(English available) 080-4163-1978



Sunday, October 9, 2016

法務省入管に申入れ――スリランカへの一斉送還などについて


  10月6日(木曜)、仮放免者の会として、法務省入国管理局に申入れをおこないました。

  申入れの趣旨は、2点です。1つは、9月22日に法務省がおこなったスリランカ人30人の一斉強制送還に対する抗議です。2点目は、大阪入国管理局が当会の支援者1名に対して3か月間にわたり被収容者との面会を許可しない処分を続けていることについて、今後面会を許可するよう申し入れたものです。

  以下、この日に提出した申入書2通を掲載します。


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申 入 書
2016年10月6日
法務大臣 殿
法務省入国管理局長 殿
仮放免者の会
 本年9月22日(木)、貴職らはスリランカ人30人をチャーター機で強制送還しました。これについて抗議し、以下、申し入れます。
 退令仮放免者は昨年末、3,606人に達し、貴職らも退令仮放免者数の増大を問題とされているところです。これらの退令仮放免者の中には、私たちが在留特別許可を求めている、①2003年以前の入国者、②日本に家族がいる者、も多数、含まれています。1980年代後半のバブル景気の時期から非正規滞在の外国人労働者が増大しましたが、2004年に始まる「不法滞在者5年半減計画」によって摘発が進み、帰国できない事情を抱えた人たちがあぶりだされて来ました。これらの人たちは、過酷な長期収容にも耐え、仮放免となりました。また、私たちは難民申請者について、UNHCR難民認定ハンドブックに従って認定手続きを進めるよう求めていますが、ハンドブックが指摘する「灰色の利益」に相当する難民申請者も多数含まれていると思われます。
 無権利状態に置かれている退令仮放免者数の増大は、私たちとしても社会的に問題だと考えています。なおかつ、仮放免期間が5年を超える者も多数、出てきています。仮放免期間の長期化は、命にかかわります。一切の社会保障制度から排除されている仮放免者は、健康診断の機会もなく、体に異常を感じても全額自己負担となる高額な医療費に躊躇して受診しないケースが多く見られます。
 こうした仮放免者数を減少させることは、社会的にも求められていると私たちも考えます。しかしその方法は、今回も貴職らが行ったような、本人たちの意思に反しての強制送還ではなく、バブル期以降の非正規滞在者の歴史経緯に鑑み、最大限、在留特別許可によって救済する方法によるべきです。
 貴職らは、3回目となる2014年12月のチャーター機送還において、難民申請者を強制送還するという暴挙に出ました。送還前日に難民不認定異議棄却通知をおこない、6ヶ月以内なら難民不認定取消訴訟を提起できることを教示しおきながら、弁護士への連絡も許さずに貴職らは送還を強行しました。教示とは裏腹に、本国に送還された者たちは難民とは認められないため、難民不認定取消訴訟を提起することができず、今年8月2日には、被送還者が名古屋地方裁判所に国家賠償請求訴訟を提起しました。本年9月22日の送還でも、難民申請者が半数以上いると思われます。難民申請者の強制送還の是非について、司法の場で争われている今日、司法判断を待つこともなく繰り返された今回の送還に、私たちはよりいっそう強く、抗議するところです。
以 上

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申 入 書
2016年10月6日
法務大臣 殿
法務省入国管理局局長 殿
仮放免者の会
 当会支援者であるN[原文では実名表記のところ、ここではイニシャル表記とした。以下同様]の被収容者との面会が大阪入国管理局にて許可されない状況が続いている。最後に許可された面会は、7月8日のもので、この面会中のNの言動が、以後、大阪入国管理局が不許可処分を継続させている直接的な理由となっているものと考えられる。ところが、この日の面会中のNの言動において、以後の面会を継続的に不許可にするのに正当な保安上の理由があるとは思えない。
 資料として添付した当該面会についての「被収容者面会簿」[注:個人情報開示請求によって開示された大阪入管保有の文書]の「備考」欄には、Nが「局長は本当に命を軽く考えている」旨、発言したと記録されている。しかし、この発言は大阪入国管理局の被収容者に対する処遇をNが論評したものにすぎず、面会を許可しない正当な理由たりうるとはとうてい考えられない。
  当該面会において、被収容者が立会の職員を非難する発言をおこない、中止しなかったことから、当該面会を中止するとした職員の判断については、保安上の観点から理解することもできる。しかし、このことが、以後3か月にわたって、他の被収容者とのものもふくめNによる面会申出を継続して不許可にする正当な理由とは考えられない。
 以上のように、収容場の保安上の観点からみて、Nの面会が許可されない正当な理由として考えられるものがなく、Nが局長に対する批判的な論評をおこなってきたことに対する報復・意趣返しとして面会を許可しないのではないかと考えるよりほかない。
 面会が許可されなくなって以後も、大阪入国管理局の複数の被収容者からの面会要請・支援要請の連絡はたえない。正当な理由なく、被収容者が支援を得る機会を奪っているという点で、一連のNに対する大阪入国管理局の面会不許可処分は問題である。大阪入国管理局がNによる面会申出を許可するよう申し入れる。
以 上

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Sunday, October 2, 2016

9.22チャーター機送還への抗議、医療処遇の改善要求(東京入管被収容者より)


  東京入国管理局の被収容者21名が、入管あてに連名で意見書を提出しました。以下に、その全文を掲載します。


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入国管理局の医療等について
まずは九月中旬に八階Cブロックで生活を送って居た○○○さん[原文では実名が記されていますが、ふせます]の事からお伝え致します。彼は元々自病を持って居り、Cブロックに来てから三度発作を起こしましたが現在はGブロックの独居に移されて生活して居ます。この部屋にはカメラが付いて居るのですが24時間管理されているか判らず、Cブロックで生活中も私達が大声で担当を呼ばなければ中々対処もされず現在彼がどの様な生活を送っているのかさえも分からずCブロックの皆は心配して居ります。もし担当不在の時に発作を起こした時の事を考えると今迄通りCブロックで生活を送る事が一番の安全と思います。
又、ここでの医療には時間がかかり申し込んでっから1~2ヶ月はかかります。そして自分の番が廻って来たとしても分野違いの医師と話をするだけで、的はずれな薬を出され、何週間もその薬を飲まされ唯々我慢するしかありません。
腕や足のシビレに痛み止めを出されそれが合わない時には薬を強くするだけです。
外部にある病院に行けるのはごく一部だけの者で殆んどの者は合いもしない薬を飲まされて我慢しなくてはなりません。

TV、新聞等でも御存知とは思いますが、9月23日早朝スリランカに向け各入国管理局から強制退去が始まりました。
そのやり方は非人道的であり「面接がある」と騙し半強制的に退去されました。日本に来て27年以上も暮し日本人の妻や子供がいる者も例外ではありませんでした。
自国での生活では命の保証もなく、やっとの思いで着いた日本でだまされ自国に戻され、戻してしまえば事後確認もなく唯日本から追い出す為だけの理由でオーバーステイ等理由をつけ第3国への送還等と納得させ本国へ退去。
これが文明社会と呼ばれ、国連理事国に入ろうとする国のやることなのか。先々を考えると不安ばかりが残ります。

[以下、被収容者21名の署名――省略]


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  以上のとおり、意見書の要点は2つあります。1つは、9月22日に入管がスリランカ人30名をチャーター機で強制送還したことへの抗議です(注1)。送還前日に、東京入管は被送還者を居室から無理やり連れ出し、あるいは「インタビューがある」などとだまして連れ出し、そのまま羽田空港まで連行してスリランカへと送還しました。意見書は、同じ東京入管の収容場から仲間たちが送還されたことへの抗議する内容です。

  もう1点の要点は、東京入管の医療処遇の問題です。申請から診療にいたるまで時間がかかりすぎること、また、病状・症状にあった専門医による診療が受けられないことが指摘されています。さらに、意見書は、重病人をひとり部屋から複数人の雑居する居室にもどせと要求しています。入管はこの重病の被収容者の病状を見守るためにカメラ付きのひとり部屋に移したのだと思われます。しかし、被収容者側からすれば、入管がこのひとの病状をきちんと監視して必要に応じて病院に搬送する等の適切な対応をとるかどうか、まったく信用ができないので、この人を自分たち仲間の目の届くところにいさせろと要求しているわけです。

  東京入管が、被収容者の人命・健康を大事にした処遇を日ごろからおこなっていれば、このような要求が被収容者から出てくるわけがないのです。入管にまかせておいたのでは、病状が急変して倒れても、放置されてしまうのではないか。そのような心配を被収容者にいだかせていることを、東京入管は深刻に考えるべきです。

  実際、2014年11月に東京入管は、胸の痛みをうったえるスリランカ人被収容者ニクラスさんをひとり部屋に移したのち、死亡させるという事件を起こしています(注2)。このとき、ニクラスさんがぐったりして動かなくなったのを発見したのは、入管職員ではありませんでした。心配してニクラスさんのひとり部屋をおとずれた被収容者でした。

  事件から2年近くがたちますが、被収容者に「入管職員は被収容者の人命についてまじめに考えてなどいないのだから、自分たちがきちんと監視していなければ自分や仲間の命をまもれない」と思わせるような収容の実態をいまだ改善できていないということです。

  なお、おなじ東京入管Cブロックの被収容者は、7月、8月にもあいついで連名での要求書を提出しており、このブログでも紹介させてもらいました。こちらもあわせてお読みください。






《注》

注1
  スリランカ人30名の送還については、以下記事参照。




注2
  東京入管でのニクラスさん死亡事件については、以下記事を参照。



Friday, September 30, 2016

【抗議声明】スリランカへのチャーター機送還について

2016年9月30日

  9月22日(木)、法務省はスリランカ人30人をチャーター機で強制送還しました。

  法務省が2013年7月に初めておこなったチャーター機を使った強制送還は、今回で5回目になります。

    2013年7月6日  フィリピン人75名を送還
    2013年12月8日  タイ人46名を送還
    2014年12月18日  スリランカ人26名とベトナム人6名を送還
    2015年11月25日  バングラデシュ人22名を送還
    2016年9月22日  スリランカ人30名を送還


  私たちは、無理やりの送還そのものに反対していますが、とりわけチャーター機による集団送還には強く反対し、抗議してきました(注1)。集団送還は、その実施そのもの、あるいは送還対象の人数集めということが目的化して、被送還者ひとりひとりの事情はますますかえりみられなくなることを、私たちはこれまでも指摘してきました。2013年のタイへの集団送還では、学齢期(小学生)の子ども2人が送還されました。2014年に送還されたスリランカ人のなかには、送還によってフィリピン人永住者である妻と子と引き裂かれたひとがいます。法務省にとっては、航空機を一機わざわざチャーターするわけですから、それなりに費用にみあった人数をいわば「かき集め」なければ、かっこうがつかないわけです。



1.難民申請者の裁判を受ける権利の侵害

  今回の送還がおこなわれた翌日の23日(金)に、法務省は記者へのレクチャーというかたちで発表をおこないました。これによると、法務省がスリランカに送還したのは、男性27人、女性3人の計30人、年齢は24才から58才だということです。

  また、法務省は、送還された30人のうち、訴訟中、難民申請中の人はいないと発表したそうです。しかし、この法務省の説明は、ウソとは言えないものの、重大なごまかしをふくんだものと言えます。

  2014年、15年、そして今回の集団送還において、難民不認定処分に対する異議申し立てを棄却されて即座に送還された人がいます。たしかに、このようにして送還された人たちは、送還直前に異議申立の棄却を通知され、難民不認定処分が決定しているわけですから、送還される時点では、法務省の説明どおり「訴訟中、難民申請中」ではない、ということになります。しかし、行政処分を受けた者が処分を不服としてその取消をもとめて裁判所にうったえるのは、当然の権利です。入管も、難民申請者に対して難民不認定や異議申立棄却の通知をおこなうときには、不服がある場合は6ヵ月以内に訴訟をおこなうことができるむね、教示しています。

  送還する直前に異議申立棄却を通知するという、法務省がチャーター機送還においておこなってきた手口は、行政訴訟を封じるものであって、難民申請者の裁判を受ける権利を侵害するものです(注2)。法務省は、今回送還されたなかに「訴訟中、難民申請中の人はいない」と発表しています。しかし、訴訟の機会をうばう形で送還したのはほかならぬ法務省なのであって、その法務省自身が「訴訟中の人はいなかった」などとぬけぬけと言ってのけているのは、あきれるよりほかありません。2014年以降、こうした手続き上きわめて問題の大きい強引な手口で送還がなされてきたのは、法務省・入管当局にとって、チャーター機送還での被送還者の人数確保が課題となっていることのあらわれであろうと考えられます。

  2014年に送還されたスリランカ人3名らは、同様の形で送還されたことにより裁判を受ける権利を侵害されたなどとして、日本弁護士連合会に人権救済申し立てをおこなっています。




  さらに、同じチャーター便で送還されたべつのスリランカ人は、8月2日、名古屋地裁に国家賠償請求訴訟を提起したばかりです。




  チャーター機を飛ばす予定日の直前に難民不認定についての異議申し立て棄却を通知するという、この手法がまさに法廷において問われようとしているそのときに、その問題の手法で送還する、ということを、法務省はおこなったわけです。



2.「大義」なきチャーター機送還、送還のための送還

  さて、2014年12月の集団送還以来、法務省はこうした強引な手法をつかってまで被送還者数をかき集めてチャーター機を飛ばしてきたわけですが、ここまでする意義はいったいどこにあるのでしょうか。

  この送還によって、たとえば治安の向上などという効果があるのでしょうか。そんな効果などまったくありません。たとえ一部のひとに利益になるのだとしても、その「利益」が別のだれかの人権を侵害することでえられるものならば、これを容認することはできません。ところが、チャーター機送還は、これによってだれひとりとして幸福にはならないし、だれの生活も向上しないという点で、まったくのムダなのです。

  法務省は、今回30人を送還するのに3700万円の経費をかけたとしています。迫害のおそれをうったえ庇護を求めていた人を追い返し、あるいはその生活を破壊し、日本にいる家族や友人と無理やり引きはがすのに、ひとりあたり約123万円かけたのです。税金の使い方として最悪です。だれのためにもならず、なんの役にも立たないことに大金をつっこんだだけならばまだしも、ただただ人々に損害をあたえる結果をもたらしたわけです。いっそこの3700万円はドブにでも捨てたほうがマシでした。

  さらに、法務省は、来年度の概算要求書において、「送還忌避者の専属輸送による送還経費」として今年度と同額の9300万円あまりを計上しています。




  この「送還忌避者」の増大が法務省・入管当局にとって大きな問題となっていること、そして、その増大は日本政府の労働政策・入国管理政策がまねいた、いわば自業自得というべき帰結にほかならないことは、昨年の抗議声明などでくわしく述べてきたとおりです。




  チャーター機による送還、法務省の言うところの「送還忌避者の専属輸送」には、大義などないのです。このための予算を獲得し、ただ予算を消化するために、法務省はなりふりかまわず被送還者をかき集めている、というのが実態です。送還を実施することそのものが目的化しているのです。

  法務省の発表によると、今回スリランカに送還された人のうち、日本に在留した期間がもっとも長かったのは、27年9ヶ月だったということです。これほど長期に滞在したのであれば、日本社会への定着性も高かっただろうし、反対に、スリランカにもはや生活基盤などないでしょう。在留資格を認めさえしていれば、この人を送還する必要などなかったのです。

  在留資格を認めるべきひとに認めていないこと。あるいは、難民として認定すべき人を送還対象にしてきたこと。また、表向きは受け入れないことになっている、いわゆる「単純労働」を担う外国人労働者を、脱法的に導入し、使い捨てにしてきた日本政府の労働政策、出入国管理政策。こういった政策の道理の欠如や矛盾が、「送還忌避者」の増大をもたらしているのです。

仮放免者の会




《注》

注1

  1. チャーター機による強制送還に反対する3月行動(3月6日、水曜日) - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年1月29日)
  2. 仮放免者問題と強制送還について――この10年の入管行政をふりかえって - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年3月4日)
  3. チャーター機での強制送還に反対する声明(東日本入管センター被収容者より) - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年5月2日)
  4. 【転載】同意なきチャーター便強制送還への非協力を求める要望書 - 仮放免者の会(PRAJ) - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年6月27日)
  5. 入管による一斉無理やり送還に抗議します - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年7月6日)
  6. 【抗議の呼びかけ】タイ人に対する一斉無理やり送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年12月9日)
  7. チャーター機によるタイ人一斉送還に抗議する申入書 - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年12月25日)
  8. 【抗議声明】スリランカ・ベトナムへの集団送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2014年12月30日)
  9. ニクルスさん死亡事件、チャーター機送還、再収容、妊婦の収容などについて申入書(2月19日) - 仮放免者の会(PRAJ)(2015年3月8日)
  10. 【抗議声明】バングラデシュへのチャーター機送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2015年12月13日)



注2
難民審査についての棄却を通知してただちに送還するという手口の問題については、上記注1の8のでくわしく述べているので、あわせて参照してください。

Friday, September 9, 2016

【裁判傍聴の呼びかけ】大阪入管診療拒否事件――9月16日に第1回期日(大阪地裁)


  すでにこのブログでもお伝えしましたとおり、また、いくつかマスメディアでも報じられましたが、大阪入国管理局に収容されているイラン人男性(「Aさん」とします)が、6月29日に国家賠償請求訴訟を提起しました。


  この裁判は、Aさんが右半身のしびれなど脳梗塞を疑われる症状をうったえて職員にくりかえし診療を求めたものの、大阪入管は8か月以上にわたり(提訴日時点)これを拒否しつづけてきたことから、精神的苦痛に対する国家賠償と医師の診察の義務付けを国に求めたものです。

  この裁判の第1回期日が以下のとおり開かれます。


日時:9月16日(金)  13:10~
場所:大阪地方裁判所806号法廷(→Google map


  この日は、今回の訴訟の趣旨について原告側弁護士による意見陳述などがあります。

  Aさんは過去に脳梗塞の発作を起こしたことがあるといい、現在も、右半身のしびれ、ろれつが回らない、激しい頭痛などの症状にしばしば悩まされています。2月末からは、左耳の難聴、耳鳴りもうったえています。このような症状をうったえている人の診療を拒否し続ける大阪入管の人権意識の欠如はおそるべきものです。さらに、Aさんに対して「片方の耳が聞こえなくても生活できる」といった暴言をはいた職員もいるといいます。

  この裁判は、侵害されているAさん本人の基本的人権の回復という点での重要性はもとより、大阪入国管理局の組織としての人権侵害体質を問うという点でも重要です。大阪入管に収容されていて、病苦をうったえながら必要な診療を拒否されている人はAさんのほかにもいます。

  Aさんの裁判への注目をお願いします。また、都合のつく方には、ぜひ裁判の傍聴に足を運んでいただくよう、呼びかけます。


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関連リンク




大阪地裁での裁判の傍聴については、裁判所のウェブサイト( http://www.courts.go.jp/ )の以下のページをごらんください。






Tuesday, September 6, 2016

9・1 再収容中止を求める申入れ(東京入管に対して)


  9月1日(木)、東京入国管理局に申入れをおこないました。申入れは、仮放免者の再収容を中止するよう求めたもので、仮放免者当事者と支援者の10名強でおこないました。


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申 入 書
2016年9月1日
法務省入国管理局長 殿
東京入国管理局長 殿
東京入国管理局主任審査官 殿
東京入国管理局違反審査部門首席 殿
東京入国管理局審判部門首席 殿
東京入国管理局執行第二部門首席 殿
仮放免者の会

一、 難民不認定異議申立棄却通知や仮放免条件違反(指定住居、就労)を理由とする再収容の中止
 退令仮放免者は、入管法第24条該当者として退去強制令書発付処分を受け、多くは長期に渡る退令収容に耐えて仮放免となった者である。東京入管などの地方局、東日本入国管理センターなどの収容所において、退去強制手続き、退令発付後の執行部門による度重なる執行面接を受け、なぜ自分に退令が発付されたのかは充分に理解している。また長期に渡る収容は、心身をむしばみ、誰しも拘禁反応に苦しめられた。それでも私たちは退令に服することはできない。1980年代半ばからのバブル景気の労働力不足の時代から入国して働いて来た者、日本人や正規滞在外国人と日本で出会い結婚した者、子が日本で生まれ育ち就学している者、日本に庇護を求めて入国した難民など、事情は様々だが、いずれも帰るに帰れない事情を抱えているからこそ、執行面接にも長期収容にも耐えて仮放免になったのである。
 その仮放免者の再収容は、再び拘禁状況の中で心身を衰弱させるだけであり、人権侵害に他ならない。2009年7月から2011年1月にかけての東京局での再収容件数の激増の期間を見ても、また2013年以降の再収容の事例を見ても、ほとんどの者は、再び三度の長期収容に耐えて仮放免となった。
  また現在、今年に入ってからの仮放免条件違反を理由とする再収容が激増し、仲間たちが再度、再々度の収容に苦しめられている。逃亡したわけでもないのに、引越の報告が遅れたから収容されたり、生きていくためにやむなく稼働したことを理由に収容されたりしている。もはや、再収容そのものが目的化しているとしか受け止めることができない。収容-仮放免-再収容-仮放免-再々収容-仮放免と繰り返される入出所は、ただ本人を痛めつけ、生活を破壊するだけであり、収容権の濫用である。
  私たちは、こうした収容権の濫用について絶対に反対である。再収容を中止し、すでに再収容された者を速やかに仮放免することを申し入れる。

二、 長期滞在者、日本に家族がいる者、難民に在留資格の付与を求める
 私たちはこれまで、①2003年までに入国した長期滞在者、②日本に家族がいる者(日本人や正規滞在者と婚姻した者、家族で仮放免となっており子が就学中の者など)に在特を付与すること、また③難民認定手続きにおいてUNHCRハンドブックを指針とすることを求めてきた。
 さらに、④退令発付から5年を経過した者への在特を求める。
 今年2月、私たちの仲間である退令仮放免者が病死した。彼は仮放免から5年5ヶ月が過ぎていた。社会保障制度から排除され、病気を自覚しても医療機関を受診しないままに亡くなった。ただでさえ、外国人の医療アクセスは困難であり、地方自治体でも医療通訳の充実などに尽力されているが、在留資格を持たない仮放免者は国民健康保険に加入できず、なおさら受診が困難である。
 現在、退令仮放免者が増大する中、仮放免期間も長期化している。彼のような犠牲はこれからも出てくると予測される。私たちとしては、医療支援団体などと連携して、こうした犠牲者を繰り返さないよう努めているところだが、民間の医療支援にも限界が見えてきている。
 会員の収容期間にも6ヶ月から3年ほどと大きな差異があり、再収容された者は仮放免期間で見ると短期になる。そこから退令発付時を基準として、以降、5年を経た者への在特を申し入れる。
以 上

仮放免中の高校生・大学生らへの在留資格の付与を求める申入れ


  先にお知らせしていたとおり、8月24日(水)に法務省入国管理局に申入れをおこないました。


  この申入れは、仮放免状態にある高校生・大学生らに在留資格を付与するよう、法務省入国管理局に対して求めたものです。以下の申入書に述べたように、自身の進路選択をせまられる高校生・大学生らにとって、在留資格がなく、ほとんど見知らぬ国籍国へと送還されるかもしれない仮放免の状態におかれることの精神的なダメージははなはだ大きく、在留を合法化すべききわめて高い緊急性があると言えます。


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申 入 書
2016年8月24日
法務省入国管理局長 殿
東京都新宿区高田馬場3-13-3-404
仮放免者の会

 当会は貴殿に対してこれまでも、2003年以前に入国した仮放免者や日本に家族がいる仮放免者への在留特別許可を申入れてきた。
 今回、緊急性が極めて高い、高校生・大学生などへの在特付与を申し入れる。
 これまで当会は、高校生・大学生なども含んで、日本への定着性が極めて高い仮放免者家族全員に対しての在特付与を申入れてきた。当該家族の子どもらが、自己に深い愛情を注いでくれる大切な親と、これからも生活をともにしてゆきたいと考えるのは、人間として極めて自然なことである。
 しかし、高校生・大学生などとなった当該家族の子どもらの現状を鑑みる時、せめてまずはこの子らだけにでも、速やかな在特付与が必要とされている。その事情は以下である。
 今回、当会が速やかな在特を求める当該家族の子どもらとは、日本で生まれ育った、ないしは幼い頃に入国し、日本でしか就学していない子どもらである。この子らは、日本で義務教育を終え、日本語を通じて知識・経験を吸収し、人間関係を構築してきた。まわりの日本人の生徒らと同じように学校での勉強や部活動などに精を出してきた。
  しかしながら、仮放免という不安定な状態では、今の生活がいつ、失われてしまうのかわからず、かといって、国籍国というこれまでの言語体系とは全く異なる世界での生活は想定できないことから、将来の見通しも持てずに苦境に立たされている。現在の努力が将来、実を結ぶのか否かも不透明なままに過ごす子らの学校生活は、本人の精神状態に大変大きなダメージを与えている。たとえば、高校三年生であれば、来春には卒業を控え、卒業後の進路についての不安や恐怖は極限に達している。仮に高校一年生であっても、自己の将来について出口も見えず、押しつぶされそうなほどの不安にさいなまれながら高校生活を送っている。
 子どもらが、安心して学校生活に打ち込み、子らの持つ能力と向上心を十分に発揮し、その才能の芽を摘むことなく生きてゆけるよう、当該の高校生・大学生らへの早急の在特を求める。進路の選択を迫られている者もいるため、遅くとも、年内には在留資格を付与していただきたい。
以 上

Saturday, August 27, 2016

被収容者には「要求する権利はない」のか?――東京入管は被収容者の要求に回答せよ


  東京入管の被収容者34名(Cブロック)が、7月25日と8月15日に、それぞれ長期収容の回避と処遇改善などを求めた連名での「上申書」を入管あてに提出しました。

  東京入管の同じ収容区画(Cブロック)の被収容者からは、7月5日にも、同様の「上申書」が提出されていました。

  東京入管は、3通の「上申書」について被収容者側の求めている回答をおこなっていません。下に掲載する「上申書」を読んでもらえれば分かるように、被収容者側の要求には、寝具のを天日干ししてほしいということや、戸外運動をさせてほしいといった健康・衛生にかかわるものも含まれています。こうした基本的な要求に対してすら回答をせずに無視しつづける(収容場内に「意見箱」を設置しているにもかかわらず!)という対応は、被収容者に対しては、ごく基本的な人権すら尊重する意思はないという東京入管の姿勢をあらわしているように思えてなりません。

  半年あまり前の大阪での出来事ですが、1月19日に大阪入管の処遇部門の責任者のひとりであるYという職員が、被収容者には処遇の改善等を「要求する権利がない」との発言をしました。このような、職員、しかも責任ある立場の職員による、被収容者の基本的な人権を公然と否定する発言があったにもかかわらず、当時の大阪入管は謝罪も釈明もおこないませんでした。


  くしくも、当時、大阪入管の局長であった伊東勝章氏は、いま東京入管の局長になっています。被収容者には要求する権利などない、だから「意見箱」に被収容者が意見を投じても、そんなものにいちいち答える義務などない、というのが現在の東京入管の姿勢だということなのでしょうか。東京入管は、上申書に対して、誠意をもって回答すべきです。

  以下に、7月25日と8月15日にそれぞれ提出された「上申書」を掲載します。


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上  申  書
2016年7月25日
東京8入国管理局 品川局 御中

  私たち、収容者より、施設環境の改善をいただくようにお願い申し上げます。

1.栄養補給「ビタミン剤」について
  私たち、収容されているなかでの食事は、揚げものが多く占めています。長期間で栄養バランスがとれていない為、めまい、つかれやすくなり、血圧が下がり、顔色が悪くなり、津頭痛、便秘がちになります。今まで、私たちは施設内の「ビタミン剤」でなんとか、体調を管理していました。しかしながら、今月に入ってから、具体的な説明もなく、入管の一方的な都合で中止になってしまいました。どうか、私たちの体調もっと気にかけて、ビタミン剤を再提供して下さい。

2.昼食、夕食について
  お弁当があまりにもひどすぎたため、「人間の食べ物じゃない」と何度もクレームがあったにもかかわらず、改善されていません。多くの人がほとんど食べずに出しているところをみていつも嘆いてしまいます。コロッケ、かき揚げなどの揚げものばかりではなく、肉、魚、野菜を増やして下さい。お願いします。

3.購入リストの増加、もしくは業者変更をお願いします。
  予告、説明もなく、マヨネーズ、カップラーメンなど、多くのものが購入できなくなりました。「マヨネーズが欲しい」と果して、これはぜいたくとは言えるでしょう。しかし、収容者の私たちにとってはなくてはならないものの1つです。
収容者出所後、社会にとけこむように、英語、ワード、エクセルなどを教えるイギリスの入国管理局に思わず、敬意を払いました。その一方、世界有数の経済大国、日本の入国管理局では、日本語を教えるどころか、読みたい雑誌、勉強したい本すら購入できません。どうか購入できるように、もしくは業者の変更をお願いします。

4.映画がある為、金、土、日、3日間だけ、テレビを延長して下さい。
  収容者の多くは日本の番組がわからないので、金、土、日曜日の映画が唯一の楽しみとなります。しかし残念ながら、いつも10時で電気が消え、映画の半分しかみれませんでした。私たちはこの3日間、部屋に収容される時間を18時間から19時間にしてもかまいませんが、どうかテレビを1時間だけ延長して下さい。

5.マットレスを天日干し、消毒して下さい。
  今年3月に一度、天日干し以来、今日まで全然、天日干し、消毒していません。すでに臭いがするので、えいせい上にも問題があります。最低限で、1ヵ月に1回、天日干しで消毒するようにお願いします。

  以上、改善をよろしくお願いします。
  なお、返事がない場合が多いので、2週間以内にご返答をお願いします。
[以下、被収容者34名の署名――省略]




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上  申  書
2016年8月15日
東京入国管理局
局長 伊東 勝章 様

  被収容者一同、以下の環境、情況に対する意見、改善をお願いしたく、Cブロック全員同意し、サインした上、提出させていただきます。

1.意見書、上申書の返信をお願いします。
 私は今回の上申書を含め、計3通「視察委員会」「意見箱」に提出しました。しかし、最初の1通目(7月5日)から、返信も説明も何もありません。1ヶ月以上経過したにもかかわらず、お読みになられたかどうかすらわかりません。これでは、「意見箱」の意味が全くなく、ただの「ごみ箱」となってしまいます。私たちの意見を無視しないように3週間以内に返信いただくようにお願いいたします。

2.長期収容をやめてください。
 被収容者の中で、半年以上はごく普通で、中には1年以上の人もいます。私たちは、収容中、多くの病気にかかり、常にストレスと戦っています。私たちの病気、体の不調は抗生物質で一時的に抑えられるかもしれませんが、精神な面では薬では抑えきれません。まして、1日24時間勤務の入局警備官による看守の元で生活すると、更にストレスが増え、自殺傾向が高まり、拘禁症の発症が加速します。長期収容のせいで、私たちの精神、体共に蝕まれています。また、必要以上の収容は国民の税金を無駄に使うのと同様であります。そのため、半年以上の収容を直ちに辞めるように、お願い致します。

3.仮放免の結果通知を1ヶ月以内に下さい。
 現在仮放免結果が出るまでに約3ヶ月(90日)かかります。それに比べ、日本の裁判所で「仮釈放」の結果が3日以内となります。また、イギリス入国管理局も同様「仮放免」の結果が3日以内に出ます。日本はイギリスと比べ、30倍も遅くなっています。しかも90日間というのは非常に効率が悪く、非人道的であります。そのため一刻も早く改善、制度の見直しをいただくようにお願い致します。

4.戸外運動をさせて下さい。
 「被収容者処遇規則」第二十八条、「収容者に毎日戸外運動をさせなければなりません。」今のところ、私たちはそういった処遇をまだ受けていません。戸外運動がなく、太陽のひかりが浴びられず私たちは、体だけではなく精神まで病みがちなのです。実際のところは、ほとんどの収容者が病気にかかり、毎日薬を飲んでいます。私たちの体、この収容現状を改善すべく、毎日30分以上戸外運動をもうけていただくようにお願い致します。

5.マットレスの消毒、天日干しをお願いします。
「被収容者処遇規則」第二十九条、「収容者に寝具などについて、充分清潔を保持しなければなりません。」との規則がありますが、前回の交換から、今日まで、すでに6ヶ月目になります。この間で寝汗、バイ菌、ダニがどれだけたまっているのかいうまでもありません。私たちの健康上のことを考えていただき、直ちに交換、消毒をして下さい。

6.理容道具について
 被収容者の私たちの理容道具は「バリカン」のみでカットできるのは「ぼうず」一通りだけです。私たちはぼうず以外でかみをうすくしただけの人がほとんどですが、今のところそれが不可能です。被収容者は服役者ではありませんので、かみの毛をうすくすることができるように「理容バサミ」のかしだしも行って下さい。私たちは服役者ではありませんので、もう少し私たちの人権についてお考えくださいますようにお願いいたします。

7.まくらのさし入れを許可して下さい。
 被収容者たちの中で、多くの人がかしだしのまくらがあわず、頭痛、肩こり、腰痛に苦しんでいます。まくらがあわず、体の痛みを訴える人にはシップが支給されます。それで一時的に体の痛みが緩和されますが、一枚約100円もするシップを毎日複数枚支給するならば、新しくまくらチェンジするか、個人用まくらを許可したほうが、私たちの体のためであり、税金の節約にもなります。どうか、真剣にご検討くださいますように、お願い致します。

8.通信文(手紙)の発信、着信について
 私たちは家族、弁護士などより、いくら大事な手紙が送られて来ても、土、日、休日は届きません。理由をたずねても、「郵便局が休み」とかの答えとなります。本当にやすみかどうかは別として、私たちは一刻も早く、家族、弁護士から大事な手紙を読みたい気持ちをどうかお考えください。休日でも通常通りに手紙をお届け下さい。

9.テレビを1時間延長してください。
 私たちの多くは日本の番組がわからず、金、土、日曜日の映画が唯一の楽しみと言っても過言ではありません。しかし、それにはんして、テレビが22時までのため、映画の半分しかみれませんでした。非常に残念な気持ちですが、どうが、テレビを1時間延長し、最後まで映画をみさせて下さい。
 以上、9点の意見を上申させていただき、前向きにご検討、寛大に許可をいただきますようにお願い致します。
[以下、被収容者34名の署名――省略]

Sunday, August 21, 2016

【プレスリリース】仮放免中の高校生・大学生らへの在留資格の付与を求める法務省入国管理局への申入れ 及び 記者会見

仮放免中の高校生・大学生らへの在留資格の付与を求める法務省入国管理局への申入れ
及び
記者会見(「このまま日本で勉強を続けたい!」)のお知らせ

2016年8月19


仮放免者の会   事務局長 宮廻(みやさこ)
090-6547-7628 

同会顧問弁護士 指宿 昭一
電話 03-6427-5902/ファックス 03-6427-5903


申入れ予定日時 8月24日(水)14時 法務省
        代表数名が法務省に申入れ(30分) 
他の当事者らは法務省前でアクション:「このまま日本で勉強を続けたい!」

記者会見   8月24日(水)15時~16時   弁護士会館5階502号室DEF
会見者    仮放免中の高校生・大学生らとその親 弁護団 支援者




問題の核心

1、日本で生まれ育った仮放免者の子どもたち
 1980年代後半からのバブル景気以降、国内の深刻な労働力不足から、非正規滞在の外国人(観光目的の短期滞在ビザなどで入国し、オーバーステイとなった者等)が大量に雇用された。その多くは、日本人に敬遠されがちな、いわゆる3K職種での採用であった。こうして長らく日本経済の下支えをしてきた非正規滞在者の中には、日本で婚姻し、子どもを授かり、家族で生活する者もいる。また、入国時に幼い子どもを伴った者もいる。その子らは、在留資格のないまま、小学校、中学校と就学してきた。この子どもたちにとっての「故郷」は他でもない「日本」であり、母語や学習するための言語は「日本語」であり、行ったことのない国籍国での生活・学習は想定できない。


2、仮放免の子らの願い
 仮放免の子どもたちは、このまま、生まれ育った日本で形成した人間関係を維持し、学習を続け、就職し、生活してゆくことを希望している。当然のことながら、この子どもたち自身には、非正規滞在であることにつき、何らの落ち度もない。子どもたちの願いは、両親、兄弟姉妹も含めて家族全員で在留資格を得て、これからも安心して暮らしてゆくことである。


3、今回の申入れの緊急性
 家族全員での在留資格の取得はいつのことになるかわからない中、高校生・大学生らは、自らの将来に向けて今、岐路に立たされている。高校生・大学生の最終学年では、来春には卒業を控え、進路選択を迫られる。高校・大学の一年生にしても、自分がこのまま学業に精を出し生活を続けることが可能なのか、今の状態が失われてしまうのではないかと、不安との闘いを強いられている。人生の中で最も多感であろうこの時期は、子ども達にとって特別な時期である。この特別な時期を守り、子ども達の成長の芽を理不尽に摘んでしまうことの無いよう、まずは、高校生・大学生らへの早急の在留資格付与を求めるところである。

以 上

Thursday, August 18, 2016

またもやイスラム教徒の被収容者の食事に豚肉混入――謝罪も具体的な再発防止策もなし(東京入管横浜支局)



  マスコミ報道がいくつか出ていますが、東京入管横浜支局が、イスラム教徒の被収容者に豚肉の混入した食事を提供していたことがあきらかになりました。




  この問題について、8月17日(水)、仮放免者の会として、東京入管横浜支局に申入れをおこない、以下の申入書を提出しました(申入書原文に記載した被収容者の名前は、以下では「Aさん」「Cさん」と表記し、ふせました)。


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申 入 書
2016.8.17.
法務大臣 殿
法務省入国管理局長 殿
東京入国管理局横浜支局長 殿
関東仮放免者の会(PRAJ)神奈川
被収容者の抗議の拒食について 
 8月17日現在、横浜支局Aブロックに収容中のパキスタン国籍Aさんが、給食に豚肉が入っていたことをきっかけとして、2週間拒食を続けている。私たちが本人および同室の被収容者に聴き取りを行ったところでは、イスラム教徒であるAさんの8月3日の夕食に豚肉(ベーコン)が入っており、職員もそれを認め、Aさんに謝罪した。Aさんはその後、給食を食べることを拒否している。
 改めて言うまでもないことだが、貴支局は、2015年8月12日、Bブロックに収容されていたパキスタン国籍Cさんに豚肉(ベーコン)入りの給食を提供し、Cさんはその後長期間抗議の拒食を行った。それについて当会は8月27日に申し入れを行い、またこの件は8月28日の朝日新聞など、複数のメディアで報道された。貴支局はCさんの拒食を知りながら2週間以上ほとんど何もせずに放置し、またこの件をメディアの報道があるまで自ら公表しなかった。私たちは、貴支局が出来事の重大さを認識していないのではないかと思わざるを得なかった。しかも、それから一年後、パキスタン人収容者に豚肉(ベーコン)入りの給食が提供される、というまったく同じ事件が今回起こったのであり、私たちは驚きを通り越して呆れる他はない。貴支局は、昨年8月の朝日新聞の取材に対して「不適切な食材が入らないよう、業者と連携して再発防止に努めたい」とコメントしているが、結局再発が起こった。いったいどのような再発防止の努力が行われたのだろうか。Cさんによると、Cさんが今年5月に収容されてから、これまでも給食に髪の毛やゴキブリが入っていることがあったという。こうしたことからも、貴支局の収容者への給食の管理体制には根本的な問題点があるとしか考えられない。
 昨年8月27日の申し入れ書に書いたことの繰り返しになるが、イスラム教徒の収容者に豚肉入りの給食を提供し、しかもそのことを軽視する、というのは、法務省令である「被収容者処遇規則」第二条(入国者収容所長及び地方入国管理局長(以下「所長等」という。)は、収容所等の保安上支障がない範囲内において、被収容者がその属する国の風俗習慣によって行う生活様式を尊重しなければならない)の違反であるだけでなく、イスラム教徒の収容者にとって大変な屈辱を与えることであり、重大な人権侵害である。
 私たちは、貴局に対し、以下を申し入れる。
(1)  Aさんの健康に対して十分に留意すること。
(2)  Aさんに対して、支局としての謝罪を行い、適切な対処を行うこと
(3)  給食への豚肉混入の原因を調査し、再発防止の具体的な対策を、Aさんはじめ全収容者に対して早急に示すこと。
以  上

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  申入書にもあるように、東京入管横浜支局は、ちょうど1年前にも、イスラム教徒の被収容者の食事に豚肉を混入させるという、今回と同様の事件を起こしています。




  東京入管横浜支局は、1年前の事件を教訓化せず、ほとんど同じようなあやまちを2度にわたってくり返したことになります。そして、今回もまた、横浜支局の事後の対応はひどいものでした。

  NHKの報道によると、横浜支局は取材に対して、「このような事態となり、遺憾に思っています。原因を早急に調べたい」と述べているようです。「早急に」と言いますが、豚肉がAさんの食事に混入されたのは8月3日です。現在それからすでに2週間がすぎており、この間、Aさんは拒食を続けています。「原因を早急に調べたい」などというコメントをしてよい時期は、とっくに過ぎています。

  今回の17日の申入れで、問題発覚後になにか再発防止策をとっているのかと問う支援者に対して、横浜支局の職員は「対策はしています。しかしそのすべてをあなたたちにお話しすることはできません」「本人には説明しました。あなたたちは本人に聞いたんですか?」と発言しました。それならばとAさん本人に面会して聞くと、Aさんは職員からは「今後、気をつけます。よく確認します。」と言われただけで、具体的な再発防止策についての説明はなにもなかったといいます。Aさんによると、収容されている2か月弱の間に、Aさんの食事には、髪の毛やゴキブリなどが混入していることが何度もあり、そのたびに、職員はAさんに「気をつけます」と言ったということです。Aさんは「結局口先だけではないか、約束を守らないではないか」と言っています。

  イスラム教徒にその宗教的な禁忌である豚肉の混入した食事を出すという重大な問題を、1年もまたずに2度も起こしたあげく、その再発防止策が「気をつけます。よく確認します」なのだそうです。「まじめにやれ!」としか言いようのないデタラメな事後対応です。

  8月3日に豚肉混入が発覚してから現在にいたるまで、Aさんに対して、入管側はいまだに支局としての謝罪すらおこなっていません。本来ならば、Aさんはじめ被収容者全員に事件とその経緯について説明をおこなったうえで、対策を具体的に示して再発防止を約束するのは、人を収容する施設として果たすべき最低限の責任であるはずです。ところが、Aさんひとりに対してすら横浜支局は、これをしていません。それどころか、謝罪すらない。

  そのくせ、マスコミの取材に対しては、「このような事態となり、遺憾に思っています。原因を早急に調べたい」などと臆面もなく言ってのけています。横浜支局は、このようにマスコミの取材者に対しては、問題を深刻に認識しているかのようなそぶりを示しているわけですけれども、まじめに「原因を早急に調べ」るつもりがあるのかは、Aさんへのこの2週間の対応をみれば疑わしく思わざるをえません。2週間ものあいだ、横浜支局はAさんに「このような事態となり、遺憾に思っています」などと発言することもなかったし、「原因を早急に調べたい」との約束をすることもありませんでした。Aさんは食事を拒否して抗議していたにもかかわらず、です。マスコミに対しては役所としての体裁が気になるようですが、被収容者に対してはこのようにバカにしきった対応を続けているのが東京入管横浜支局の事後対応です。

  1年前の記事でも述べましたが、そもそも、問題の重要さをかんがみるならば、入管側がみずからマスコミ等を通じて事実経過と再発防止策を一般に公開するべきでありました。ところが、1年前のときも、今回も、事件発生から2週間ほどたって、マスコミからの取材を受けてようやく事実を認め公表する、というのが、横浜支局の対応でした。テレビや新聞でどう報じられるのかは気にするけれど、収容された被害者当事者が拒食を続けて抗議をしようがそんなものは屁とも思わない、という姿勢が、横浜支局の対応には覆うべくもなくあらわれているわけです。被収容者にどんな扱いをしようが、世間にバレなければよいという姿勢です。

  今回のように短い期間のあいだに同じ問題がくり返される背景には、横浜支局の、ひいては入管組織全体の、被収容者を人とも思わない根深い差別的な体質があるのではないかと考えざるをえません。

Thursday, August 11, 2016

【転載】2016年8月26日(金) 大阪入管へ一斉面会に行ってみませんか?

TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)のサイトより、以下、転載します。
(転載元URL http://try-together.com/event/20160826.html )


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2016年8月26日(金) 大阪入管へ一斉面会に行ってみませんか?

7月に被収容外国人が抗議のハンストを行った大阪入管で、被収容者への一斉面会を行います。

【大阪入管 一斉面会】
8月26日(金)
12時半に大阪入管前に集合・打合せ
13時~16時過ぎまで面会
※午前中からも面会は可能ですので、午前のご都合がつく方もぜひご参加下さい。(9時半に入管前に集合)
※面会の際に身分証明書が必要ですので持参ください。(免許証、保険証、パスポート、学生証など)
※参加される際は以下のメールアドレスまで参加の旨をご連絡ください。
問い合わせはTRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)まで
try@try-together.com

[大阪入国管理局収容場とは?]
法務省入国管理局が管轄で、外国人の出入国・在留管理を行っています。
大阪入管には外国人が収容される収容場があり、そこには入管法違反や退去強制処分を下された外国人が収容されています。

[人間の身体と精神をむしばむ長期収容]
大阪入管では退令が下された外国人が無期限で収容されていますが、大阪入管は長期収容施設ではありません。
にも関わらず、現在収容所から解放される制度である「仮放免」が許可されず、半年~1年以上収容されている人が大半を占めています。
一歩も収容所から出られず、外の空気を吸うことも制限され、先も見えず、送還の恐怖にさらされる緊張状態が続く収容所生活は、人間の身体と精神をむしばみます。
今年の3月28日には同施設内で、イラン人男性が首つり自殺を図りました。

[収容継続にお墨付きを与えるための医療処遇]
脳梗塞や高血圧、その他様々な体調不良を訴えても、大阪入管は適切な診療、治療を受けさせません。
入管医への診療を要求しても「大丈夫」と拒否され、入管医も外部の専門医への受診を「必要ない」と処理します。
今の大阪入管ではいつ人が倒れて、取り返しのつかない状態になってもおかしくありません。
国の収容施設において、被収容者の健康については収容主体である入管が責任を負います。
しかし、実態は収容継続を肯定するための医療になっていると言わざるを得ません。
現在も収容されているイラン人男性が、6月29日に入管の診療拒否について裁判を起こしています。

[6月23日~7月16日まで被収容者がハンスト]
以上のような収容所の処遇に対して、6月20日に被収容者が抗議と要求書を提出しました。
しかし、中心メンバーの男性を入管は懲罰房(独居房)へ隔離しました。
懲罰房は窓が無く、電灯は点きっぱなし。このような場所に二日間拘禁されたことに抗議し、男性は6月23日にハンガーストライキを始めました。
周りの被収容者もこのような人権を無視した処置に怒り、7月4日、6日から13名が男性のハンガーストライキに合流しました。
入管はハンガーストライキを起こした被収容者を隔離し、支援者・家族との面会を禁止し、さらに電話までも禁止にしました。
ハンストに参加してる中で倒れるものが三人も出て、これ以上のハンスト継続は犠牲者を生み出す恐れがあるという懸念から
7月16日に全員がハンストを解除し、7月19日にもとの居室に戻りました。
ハンストが終了した今も、体調不良が続いている人もいます。

実際に大阪入管へ面会に行ってみませんか?
大阪入管の収容場で起きている事実を多くの日本の人達に知ってもらいたい、それに対し抗議の声を上げてもらいたい、これがハンスト者の願いでした。
入管はハンスト依然と比較して診療を行うようになりましたが、引き続き「長期収容を止め、病気の人に対し適切な診療するよう」改善を求める必要があります。
今回より多くの人に、被収容者と面会して実際に話を聞いてもらい、大阪入管の処遇の実態について知ってもらうための一斉面会を行います。
面会に行ったことない方も、ぜひ一斉面会にご参加下さい。

Wednesday, July 27, 2016

被収容者36名が連名要求書(東京入管に)――長期収容回避、処遇改善など


  前回記事でお伝えしたとおり、大阪入国管理局での被収容者ハンガーストライキは、7月16日に解除されました。しかし、大阪入管による被収容者への人権侵害はいまも継続中であり、人命をいちじるしく軽視する大阪入管の体質も変わっておりません。そういうわけで、ひきつづきの抗議をお願いいたします。





《抗議先》

  大阪入国管理局
    電話番号 06-4703-2100

  法務省入国管理局
    電話番号 03-3580-4111
    FAX  03-5511-7212


◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇


  さて、今回の記事では、東京入国管理局の被収容者たち自身による連名での「上申書」を全文掲載し、紹介します。「上申書」は7月5日に被収容者36名(Cブロック)の署名をつけて東京入管あてに提出されたものです。

「上申書」を掲載する前に、すこし補足をしておきます。

  入管による収容には、2通りあります。

  ひとつは、「退去強制事由」(入管法第24条に列挙されています)に「該当すると疑うに足りる相当の理由があるとき」にその「容疑者」を収容することができるというものです(入管法第39条)。つまり、オーバーステイや不法入国など入管法の定める「退去強制事由」にあたるという「容疑」の段階で、人を拘束・監禁する権限を入管法は認めているわけです。なんと裁判所の令状もなしに、です。

  もうひとつは、その「容疑者」を入管が取り調べた結果、「退去強制令書」発付処分が決定された場合の収容です。入管法第52条第5項は、「入国警備官は、第三項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる」としています。

  なお、前述の「容疑」段階での収容が最大60日間と期限が定められているのに対し、「退去強制令書」発付後の収容は「送還可能のときまで」とあるようにその期限が定められていません。この無期限収容については、国連の拷問禁止委員会がくり返し日本政府に対して是正の勧告をおこなっているなど、国際社会からも厳しい批判があります。

  さて、これら2通りの収容のいずれにも、裁判所は関与していません。「容疑者」をつかまえて、取り調べて、「退去強制令書」を発付する、というこの一連のプロセスは、司法審査なしにおこなわれているのです。入管法上の規定はともかく、入管が現実におこなっていることがらを見てみましょう。入管は、裁判所の許可なしに、もっぱら入管自身の判断にもとづいて人間を監禁しつづける、という行為をおこなっているわけです。人間を逮捕して監禁するという、きわめて深刻に基本的人権にかかわる行政機関の行為が、司法の事前のチェックなしにおこなわれているのです。

  こうした状況をふまえながら、以下に紹介する「上申書」の2つめの項目「裁判中の人々に『仮放免』を下さい」を読んでください。入管は、司法審査なしに入管独自の判断で人間を拘束し、取り調べをおこない、退去強制(強制送還)するかどうかの決定をくだします。この決定は入管という、いち行政機関の決定にすぎませんから、当然、この行政処分の取り消しを裁判所に訴えることができます。ところが、その裁判中においてすら、入管はすぐに仮放免許可によって出所させずに、長期間にわたって拘束をつづけているのです。被収容者の側からすると、自身が裁判で争っている相手方によって身柄を拘束され自由をうばわれている、ということになります。

  長期収容が心身におよぼす影響についても、「上申書」は具体的に述べております。入管は収容やその継続が法にもとづいていると主張します。しかし、入管法にもとづいているのだとしても(むろん、入管法「だけ」に照らして適法/違法を判断できるものではありませんが)、長期収容が収容された人の心身を現に傷つけ、むしばんでいるのは事実です。入管が「法にのっとってやっております」といくら繰り返し述べたところで、人権侵害が人権侵害でなくなるわけではありません。

  収容施設の処遇についても、合理的な理由があるとは思えないさまざまな制約が「上申書」では指摘されています。なぜ、夜の映画の放送の途中でテレビが消されるのか。なぜ、24時間のうち、デイルームに出られるのが6時間だけで、残りの18時間も居室に施錠されて閉じ込められなければならないのか。また、なぜ、外界からの情報が厳しく遮断されなければならないのか。このような、不条理とも思える厳しい制約を被収容者に負わせる入管の「収容」とは、いったい何なのでしょうか。


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上  申  書
2016年7月5日
東京入国管理局御中

  私たち、外国人収容施設の改良、改善をお願い致します。

1.長期収容をやめてください。
  私たちは、一旦収容施設に入ったら、理由があるとしても、ほぼ半年から一年以上収容される人が多いです。なかで、奥さんがにんしん中、もうすぐ出産する人もいます。また、家族の人が体調不良、病気などして、収容者が必要としているにもかかわらず、なかなか仮放免をみとめてくれませんでした。その為に、私たち日々多くのストレスを抱えています。いつ精神がほうかいしても、おかしくありません。実際に、長期収容により、精神状態が悪くなり、おかしくなった人も多くいるそうです。また、半年以上の収容により、多くの人が拘禁症にかかります。最初は不眠、心悸高進、頭痛、食欲不振、下痢などの症状が出てきます。
  私たちは、一日でも早く外に出たい欲望が日々増えつつありますが、長期収容による現実が極端に乖離しています。その為、収容者たちが自殺する可能性は高くなります。実際にも自殺又は自殺未遂もいたそうです。私たち日々こういった極限状態におかれているので、長期収容をもうやめてください。これ以上悲しい事件がおこらないようにお願いします。

2.裁判中の人々に「仮放免」を下さい。
  収容者の中で、「退去強制令書」取消訴訟をしている人もいます。その人たち、多くはビザの取り消し、また不許可で裁判をしています。そういった人々は本来裁判中は、「嘆願書」を集めたり、証拠を集めたり、裁判資料を集めたり、弁護士とうち合わせをしたりするのが普通で当たり前だと思われます。しかし、現実的には裁判やっているにもかかわらず収容されつづけています。それどころか「あなたがいなくても裁判はできる、自分の国に帰って下さい」といったようなことを言われたこともあります。民事裁判は原告がいなければ、意味は全くありません。その為、裁判中の人々に本来あるべき権利、人権を下さいますように、「仮放免」を下さい。

3.仮放免者にアルバイト許可を下さい。
  既に仮放免されている人の中で、十年以上の人もいます。仮放免中は仕事が出来ない為、彼たちの生活も非常に困っています。その結果、犯罪に手をそめる人もいるでしょう。その為、日本の治安も悪くなりますので、どうか、仮放免者に限られた時間でアルバイトの許可をお願いします。

4.収容施設の改善をお願いします。
1) 収容中は限られた電話カードしか使用できない為、電話料金がとても高くなります。1ヵ月5,6万円かかっている人も少なくありません。それらすべて家族に負担がかかりますので、料金が安くなるように、公衆電話を設置して下さい。
2) 娯楽項目を増やしてください。私たちのストレスを少しでも減るように、品川入国管理局に卓球を設置して下さい。また、その他のボードゲームを増やして下さい。
3) テレビの時間を延長してください。毎週金、土、日曜日3日だけ映画がある為、この3日間だけでいいので、テレビを1時間延長して下さい。最後まで映画をみさせて下さい。
4) 私たち、毎日18時間部屋にとじこめられている為、外で活動できる時間を増やして下さい。少しでもストレスが減るようにフリータイム午前中30分、午後90分延長して下さい。
5) 果物を増やして下さい。収容中の食事の多くは揚げもので、購入できる果物はリンゴ、オレンジだけです。その為、収容中は便秘がちになりますので、どうか果物を増やして下さい。
6) 本、雑誌を購入させてください。
警察署、拘置所、刑務所ですら購入できるのに、犯人ではない私たちにも購入させて下さい。
7) インターネット検索できるようにして下さい。
私たち収容者は社会から遮断されているため、情報が極端に少なく、不安な事が多くあります。その為、情報が調べられるようにインターネット検索のみできる設備を設置して下さい。

  以上、どうか、ご検討、改善していただくようにお願いします。

[以下、被収容者36名の署名――省略]

Tuesday, July 19, 2016

大阪入管でのハンスト解除――引き続きの抗議をお願いします



  本日7月19日(火)の午前に、大阪入管でハンガーストライキを続けていた人とようやく連絡がとれました。最大14名が参加していたハンガーストライキは、16日(土)に、この時点でまだ継続していた12名全員が解除し、この日の夕方から食事を再開しているということです。

  そして、ハンスト参加者に対して大阪入管がとっていた電話禁止の措置が、ようやく今日19日の朝になって解除され、われわれ支援者はハンスト参加者全員が無事であるとの報告を受けることができました。

  懲罰房に拘禁されて拷問を受けたイラン人男性が摂食を拒否し始めた6月23日から数えて24日間、これに呼応して集団でのハンガーストライキが始まった7月4日から13日間をへて、被収容者14名によるハンストは一応は解除されました。

  法務省入管や大阪入管への抗議の呼びかけにこたえてくださったみなさま、また、情報拡散に協力してくださったみなさま、ありがとうございます。

  しかし、状況はなにひとつ改善されていないのも事実です。ハンスト者が求めていた長期収容の回避についても、入管はなんら前向きな回答をしていません。ハンスト中においてさえ、診療を求める体調不良者に「食べたらなおるよ」などと言い放つなど、医者でない職員の勝手な素人判断での診療拒否が横行する状況も以前と変わっていません。7月23日から2日間、懲罰房に拘禁されて拷問を受けたイラン人とガーナ人に対しても、いまだ大阪入管からの謝罪はありません。

  ハンスト開始直後、支援者に電話してきたハンスト者のひとりはこう言いました。「何もしなければ私たちは入管に殺される。だから、命がけでハンガーストライキをします。入管はハンストを続けるならば明日から電話も禁止すると言ってきた。これが最後の電話になるかもしれません」。

  非常に深刻な症状を長期間にわたってうったえながら大阪入管によって診療拒否され続けている人も、今回のハンストに参加しました。この人は、ハンストによる病状悪化を心配する支援者につぎのように語りました。「体のことを心配してくれるのはありがたいけど、ハンガーストライキをしてもしなくても、ぼくは毎日毎日がほんとにしんどい。入管は銃は使わないだけで、私をゆっくり殺しているんです」と。

  局長の福山宏以下、大阪入国管理局は、ハンストが解除されても、今日も被収容者を「ゆっくり殺している」ことに変わりません。病人を放置して、診療しない。診療や健康管理という収容主体としての最低限の責任すら果たさないくせに、長期にわたり収容を続けて出所させない。ハンスト者たちにむかって、入管側は「裁判で勝訴するか、難民認定される以外にここから出る方法はない」「2年、3年経ってもここから出さない」と言い放ちました。これは病気になっても死ぬまで出さないと言っているのとおなじで、2010年7月に法務省入国管理局が報道発表で示した「被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用することにより,収容長期化をできるだけ回避するよう取り組む」との方針をひっくり返すものでもあります。

  ハンスト解除後も、大阪入国管理局に対する抗議と監視の必要性はいささかも減じておりません。ハンストをした人が体調をくずしたときに、大阪入管はきちんと診療等をおこなって収容主体としての責任を果たすでしょうか。これまでの「実績」をみるに、信用も期待もまったくできません。大阪入管の苛烈な人権侵害状況はなにひとつ変わっていないのです。ただひとつ以前と変わった点があるとすれば、14名のハンガーストライキを通じて、大阪入管収容場における人権侵害の一端があかるみに出たこと、密室の人権侵害に少しでも関心を向け問題意識をいだく人が増えたであろうことです。

  そういうわけで、引き続いてみなさまに、法務省入管ならびに大阪入管に対して、抗議の声を届けていただくよう、呼びかけます。


  • 長期収容は止めろ
  • 病気の人は誠実に診療しろ
  • 職員の素人判断で診療の可否を決めるな
  • 懲罰房(保護房)への隔離収容はやめろ
  • 6月23日に懲罰房で拷問をおこなったことについて、被害者に謝罪しろ
  • ハンスト者の体調管理に責任をもち、異常がみられればただちに診察をおこなうこと


《抗議先》

  大阪入国管理局
    電話番号 06-4703-2100
    FAX    06-4703-2262

  法務省入国管理局
    電話番号 03-3580-4111
    FAX  03-5511-7212


  大阪入管収容場の人権状況について、今後もこのブログやTRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)のホームページなどを通じて、問題化してきます。抗議行動の呼びかけなどもやっていきますので、これからもご注目のほどよろしくお願いします。



  また、大阪入管の苛烈な人権侵害状況をなるべく多くの方に知っていただきたいと思います。TRYホームページより、以下の文書(日本語と英語それぞれあります)の拡散にご協力ください。







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Monday, July 18, 2016

ハンスト者3名が倒れたとの情報(大阪入管)



  大阪入国管理局での被収容者ハンガーストライキについて、続報です。

  入管側は依然としてハンスト者の面会や電話を禁止しています。ハンスト者がこうして外部との通信・情報交換の手段を遮断されているため、支援者としてもその安否を直接確認する手段はありません。

  ただ、7月15日(金)夕方の時点で、1名が倒れてハンストを中止したほかは、13名が継続しているという情報が支援者に入っています。また、この15日に中止した1名のほかに、2人がハンスト中に倒れたという情報もあります。

  14名のハンスト開始日は、つぎのとおりです。1名が6月23日、6名が7月4日、7名が7月6日。今日18日(月)の時点でハンスト開始から13~15日目、最長の人で26日目をむかえることになります。倒れたという人をふくめ、ハンスト者全員の体調が非常に気がかりです。

  ハンストの始まる前から、大阪入管は、脳梗塞の再発のおそれがある被収容者をふくめ、深刻な症状の出ている被収容者を診療せずに放置してきました(大阪入管の人命をいちじるしく軽視した医療処遇の実態については、「ご支援・ご注目のお願い――診療拒否された被収容者(大阪入管)が国賠訴訟を提起しました」およびその文末にリンクした一連の記事を参照してください)。

  このような組織が、ハンスト者の外部との面会・電話を遮断して、情報の隠蔽をはかっているのです。そういうわけで、依然として、ハンスト者の生命・健康が非常な危険にさらされていると言わざるをえません。みなさまには大阪入国管理局および法務省入国管理局に対して、引き続いての抗議をお願いします。


  • 長期収容は止めろ
  • 病気の人は誠実に診療しろ
  • 職員の素人判断で診療の可否を決めるな
  • ハンスト者と面会させろ
  • ハンスト者の電話禁止の措置を解除しろ
  • 情報を隠蔽するな
  • 懲罰房(保護房)への隔離収容はやめろ



《抗議先》

  大阪入国管理局
    電話番号 06-4703-2100

  法務省入国管理局
    電話番号 03-3580-4111
    FAX  03-5511-7212


◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇


  今回のハンストの経緯や背景、大阪入管の問題について、くわしくは以下の記事を参照してください。




  また、ロイター通信がこのハンストをくわしく報じています。こちらも、拡散してもらえるとありがたいです。




  大阪入管でいま起きているきわめて深刻な事態について、ひとりでも多くの人に知ってもらいたいと思います。問い合わせや取材などは、支援団体のTRY(→メールアドレス)、もしくは、仮放免者の会(永井:090-2910-6490)までお願いします。

Thursday, July 14, 2016

大阪入管前、あす(7月15日)も抗議行動やります


  大阪入管では、被収容者14名によるハンガーストライキがおこなわれています。

                                                                     
  昨日お知らせしていたとおり、本日、支援者一同で大阪入管前にて抗議行動をおこないました。


  入管前の歩道から、ハンスト者に対しては、みんなの体調のことを支援者としてとても心配しているということなどを伝え、「必ず生きて外に出よう」と激励しました。また、入管に対しては、ハンスト者の電話や面会を禁止していることに抗議するとともに、診療もろくに受けさせないまま長期間にわたって収容している入管のやり方は拷問・虐待と言うべきものであると非難しました。

  上階の収容場からは「ありがとう」といった声があがりました。

  この後、支援者一同で被収容者と面会しようとしましたが、ハンストに参加していない被収容者との面会もふくめ、面会申請した支援者5人とも面会は許可できないとの告知を受けました。職員に不許可理由を説明するよう求めたところ、「保安上の理由」「局長判断です」「今日みなさんが抗議行動をされたことも含めての判断」との回答でした。

  このような対応には、大阪入国管理局(福山宏局長)の幼稚な無責任体質がよくあらわれていると思います。今回のハンガーストライキの原因が、大阪入国管理局による人権・人命を軽視した劣悪な処遇と収容の長期化にあることはあきらかです。ところが、大阪入管側は、かれらのとっての今回のいわば混乱・騒動がみずからに原因があるという事実を直視できずに、また、自分たちの責任を回避したいあまりに、支援者に責任を転嫁しようとしているわけです。あたかも、支援者と被収容者の連絡・通信を断ち切ってしまえば、混乱・騒動の要因も消えてなくなるとでもいうかのように。

  こうして、支援者としては、ハンスト者の安否確認すらできないうえに、ハンストに参加していない被収容者との面会もできない、という状況にあります。とくにハンスト者の体調が非常に心配です。

  そういうわけで、ひきつづいて、以下リンク先にある大阪入管の現状について、情報拡散へのご協力をお願いするとともに、大阪入国管理局および法務省入国管理局への抗議・意見提示を呼びかけます。





《抗議先》

  大阪入国管理局
    電話番号 06-4703-2100

  法務省入国管理局
    電話番号 03-3580-4111
    FAX  03-5511-7212



◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇



  大阪入管前での抗議行動を、今日(7月14日)に続いて、明日(7月15日)もおこないます。お近くにお住まいでご都合のつく方は、ぜひご参加ください。


大阪入管前  抗議行動

  • 日時:7月15日(金)  14:00~
  • 集合:大阪入国管理局の前


Wednesday, July 13, 2016

7月14日(木)、大阪入管前で抗議行動をおこないます




大阪入国管理局での被収容者のハンガーストライキについて、すでに抗議をおこなってくださったみなさま、ありがとうございます。ひきつづき、大阪入国管理局または法務省入国管理局への抗議をお願いします。


  • 長期収容は止めろ
  • 病気の人は誠実に診療しろ
  • ハンスト者と面会させろ
  • 懲罰房(保護房)への隔離収容はやめろ


抗議先

大阪入国管理局
  電話番号 06-4703-2100
法務省入国管理局
  電話番号 03-3580-4111
  FAX  03-5511-7212

◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇


  また、直前のお知らせになってしまいましたが、大阪入国管理局への抗議行動をおこないます。

日時:7月14日(木曜) 9:30~
集合場所:大阪入国管理局前

  急なお知らせですみませんが、都合のつく方はご参加ください。大阪入管に対し、「長期収容やめろ」「拷問やめろ」「ハンスト者と面会させろ」と声をあげましょう。


Tuesday, July 12, 2016

【転載】大阪入管への抗議行動の緊急要請


  前回記事でお知らせしたとおり、大阪入国管理局(福山宏局長)で、被収容者14名がハンガーストライキをおこなっています。

被収容者14名がハンスト――大阪入管はハンスト者全員の面会・電話等を禁止

  ところが、大阪入管は、ハンスト者全員を隔離し、面会・電話を禁止しているため、支援者にも14名の状況がわからなくなっています。

  以下に、掲載する文書は、「大阪入管で面会する支援者一同」からの緊急要請です。

  転載は自由です。SNS、ブログ、メーリングリストなどで拡散していただけるとありがたいです。

  また、大阪入国管理局、法務省入国管理局への抗議をお願いします。


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【転載】


抗議行動の緊急要請 2016,7,12  「大阪入管で面会する支援者一同」

大阪入管収容場で、今、大変なことが起こっています。
皆さん!大阪入管、法務省入管への抗議をお願いします。

大阪入管の局長指示によって窓の無い、電灯が点きっぱなしの監視カメラで見張られた、しかも汚い床に掘られた小さい溝に流される水を犬のように這いつくばってしか飲めない、コンクリートの懲罰房に丸二日間も拘禁されるという拷問を受けたイラン人男性は「私は犬じゃない、大阪入管局長は謝罪しろ。私は人間か、動物か答えろ」と6月23日から抗議のハンガーストライキを開始しました。これに男性被収容者13名が合流し、7月4日、及び7月6日からハンガーストライキを決行しています。
裁判を起こしている人、難民申請している人を含め「2年、3年経ってもここから出さない」と言われ、また脳梗塞が再発するおそれのある難民申請者さえも診療を拒否する大阪入管の非情な扱いに対し、14名のハンスト者は「このままなら死体にならないとここから出られない。無期限収容はやめろ。病気の人をちゃんと治療しろ」と抗議のハンストを続行しています。
大阪入管はハンスト者を隔離し、支援者や家族とさえも面会させない、電話もさせないばかりか、「弁護士とも面会させない」と脅し、1週間に2回(計2時間)だけシャワーを使わせるために居室から解放する以外は居室に閉じ込めている、これが私たち支援者に入った最後の情報でした。ハンストに参加していない収容外国人は「ここは独裁国家の収容所だ。皆さん助けて欲しい、支援して欲しい」と呼びかけています。またハンスト者の一人が救急車で搬送されたという情報も入っています。
私たち支援者は、ハンスト者との面会が禁止され、ハンスト者の安否の確認さえできない状態です。非常に心配です。大阪入管の強硬な姿勢が続けば、次々と倒れる人が出るおそれがあります。この「自由で民主主義」の国で、ハンスト者に対し、独裁国家のような野蛮な弾圧が大阪入管によって行われています。
良識ある皆さん!以下の抗議を大阪入管と法務省入国管理局に抗議をお願いします。

・長期収容は止めろ
・病気の人は誠実に診療しろ
・ハンスト者と面会させろ
・懲罰房(保護房)への隔離収容はやめろ

抗議先
大阪入国管理局  電話番号 06-4703-2100
法務省入国管理局 電話番号 03-3580-4111
         FAX  03-5511-7212

Sunday, July 10, 2016

被収容者14名がハンスト――大阪入管はハンスト者全員の面会・電話等を禁止

  一部報道もでておりますが、大阪入国管理局(福山宏局長)の被収容者14名がハンガーストライキをおこなっています。





『朝日新聞』(2016年7月9日付)
  14名のうち、1名は6月23日(木)以来、食事をとっておらず、7月4日(月)には6名が、さらに7月6日(水)に7名が、ハンガーストライキを開始しました。

  ハンスト参加者の要求は、長期の収容をしないでほしい、仮放免許可を認めよ、ということです。

  大阪入管では、昨年9月の西日本入国管理センター廃止のあたりから、収容の長期化がすすんでおり、今年2月にも、長期収容の回避や処遇改善等をもとめて40人以上によるハンガーストライキがあったところです。




  ハンガーストライキがくり返される背景には、長期間の収容に適した施設とはとうてい言いがたい大阪入管において、収容が長期化している、ということがあります。とくに、診療を求めてもめったに許可されることがないという医療処遇の劣悪さに、被収容者たちは強い危機意識を持っています。つい先日、大阪入管で診療拒否されている被収容者が、適切な診療と損害賠償をもとめる訴訟を起こしたばかりです。




  このAさんは、脳梗塞の疑いがあり、右半身のしびれ、ろれつがまわらないなどの症状を訴えてきたにもかかわらず、大阪入管は8か月以上にもわたって、診療をおこなわずにAさんを放置しつづけています。

  問題は、たんに収容が長期化しているということではありません。人命をいちじるしく軽視しているとしか思えない施設にあって収容が長期化しているということが、問題なのです。被収容者たちは「このままでは殺される」という強い危機感をいだき、今回のハンストにいたったわけです。

  今回のハンガーストライキに対する大阪入管側の対応は、以下に述べていくように、情報の隠蔽・秘匿と、ハンスト参加者に事実上の懲罰をくわえることで制圧をはかろうとするもので、断じて容認できません。

  大阪入管は、7月4日(月)から、ハンスト参加者の一般面会を禁止しました。ハンストを理由に面会を許可しないというのは、入管収容施設の対応としてもきわめて異例です。さらに、7月7日(木)からは、ハンスト者14名をハンストをおこなっていない人と分離して別区画に移動させたうえで、電話を禁止しました。このために、ハンスト参加者が外部に連絡をとることができなくなり、支援者はハンスト参加者の状況を知ることができなくなりました。

  さらに、14名を移動させるにあたって、大阪入管側は、ハンストをやめるまで、開放処遇を停止し、一般面会、電話を禁ずる、弁護士面会も場合によっては禁止する、買い物や喫煙も禁止、シャワー・洗濯も制限するとの通告をおこなったといいます。

  こうした大阪入管の対応が、入管収容施設に認められていない懲罰を意図した違法なものであることは、あきらかです。心身に打撃を与えることで、ハンストをやめさせようとしているわけです。

  そこで、私たちとしては、大阪入国管理局(福山宏局長)に対して、ハンスト者にかかわる情報の隠蔽・秘匿をやめること、また、ハンスト者への懲罰をただちにやめるよう、抗議等の働きかけをしていただくよう、呼びかけます。

【抗議先】
  大阪入国管理局総務課
  06-4703-2100
  06-4703-2262(FAX)


  以下に、最近の大阪入管収容場での動き・できごとを、被収容者たちからの聞き取りをもとに再構成したものを掲載します。密室でなにが起こっているのか。大阪入管が隠蔽しようとしている人権侵害の実態について、多くのひとが関心を向けてほしいと思います。

  なお、報道関係者のみなさまなど、この件について取材されたいかたは、仮放免者の会・永井(090-2910-6490)までご連絡ください。




◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇




6月22日(水)

  Bブロックにて。収容場から建物の外に聞こえるような大声で「助けて」などと叫ぶ被収容者が複数。「入管わるい」などという声もあがった。

  この日は、申出書を提出して診療を求めていた被収容者2人に、職員から「不許可」の通知があいついであった。そのうちのひとりは、脳梗塞を過去に発症したことがあり、大阪入管入所後も右半身のしびれや左耳の難聴・耳鳴りをうったえてきたイラン人Aさん。

  その夜、べつのイラン人Bさんが居室で映画を見ていたところ、職員が居室に入ってきて、大声を出したことについて注意を受けた。大声を出していたひとは、この日、複数いたが、注意を受けたのはBさんのみ。



6月23日(木)

  朝9:00ごろ、Bさんの居室に職員がやって来て、「ルール違反ですよ」「今日から5日間一人部屋に行ってもらう」と言って、「保護室」と呼ばれる部屋に連行して隔離。Bさんのいつのどの行為がなんのルールに違反するのか、入管側から納得できる説明はなかった。

  保護室は、Bさんの表現では、コンテナのような、「部屋」というよりも「オリ」。天井の電灯がつけっぱなしで、夜も昼もわからないようなところ。便器と毛布2枚のほかには何もない(その毛布も夜の8時ぐらいまで入らなかった)。水の流れる溝が床にあり、職員がボタンを押すと水が流れる仕組み。2日目の夜にやっと職員がコップを持ってきたが、それまでは職員が「ここから飲め」と言って床の溝に水を流した。犬がするように床に口をつけなければ、水が飲めない。Bさんは、この日以来、食事をいっさいとっていない。

  Bブロックでは、9:30の居室開錠後、Bさんの隔離に怒る被収容者が大きな声を出して職員に抗議。騒然としているあいだに職員が非常ベルを鳴らした。しばらくして40人ぐらいの職員(50~60名との証言もあり)がBブロックに入ってきた(入国警備官の服の職員だけでなく、事務員の服装の職員まで動員されていたという)。

  入管側は「フリータイム[開放処遇]は中止にする。部屋に入れ」と命じたが、これに応じない被収容者側とのあいだで押し問答になった。入管側が「部屋に入ったらみんなの話は聞く」と言い、最終的には被収容者側は全員自分で居室に戻った。その間、職員のひとりが「無理やり入れろ」と他の職員たちに命じて強制的に居室に押し込もうとしたため、ガーナ人のCさんが「[「部屋に入ったら話し合いに応じる」とした]さっきの話はどうなった?」と強く抗議する場面もあった。

  全員がみずから居室に入り施錠されたあと、職員が「話がある」と言ってCさんを調べ室に連れ出した。Cさんは職員に「最近みんなが大声を出すのは、仮放免許可が出なく、みんなストレスがたまっているからだ」と説明した。この場は職員とのあいだで口論になることもなく、Cさんは居室に戻された。

  その後、10:30頃、Cさんが居室でコーヒーを飲んでいたところ、職員が来て、「隔離する」と言ってきた。Cさんは「いいよ。ただし、コーヒー飲みおわるまで待って」と答えた。Cさんは抵抗するそぶりをみせず、隔離を言い渡す職員に対して「いいよ」と従う意思を示していたにもかかわらず、指令役の職員が他の職員に「足をかかえて」と命じた。職員たちは、Cさんの体を5人がかりで持ち上げて連行。自分の足で居室から出る意思を示していたCさんを、わざわざかかえて無理やり連行したのは、Cさん本人への懲罰・制裁と、他の被収容者たちへの威嚇・見せしめといった意図があったのではないだろうか。

  Cさんは、隔離の際、その理由を「[Cさんが職員に]『あっち行け』と言ったからだ」と説明された。そのような発言をしたかどうか、Cさんは「おぼえていない」。9:30すぎに職員に抗議した際、興奮していたので、何を言ったかは記憶がはっきりしないところもあるとのこと。ただし、職員の体にふれたり、服をひっぱったりという行為はしていない。

  BさんとCさんは、この日から保護室に2日間隔離され、その後、単独室に3日間隔離された。

  この日は、朝の開放処遇停止以降、終日、居室に施錠され、Bブロックの被収容者全員が電話、運動、洗濯、入浴などを禁じられた。



6月24日(金)

  Bブロックは、開放処遇を制限。通常は、午前(9:30~11:30)と午後(13:30~16:30)にそれぞれある開放時間が、この日は居室ごとに午前のみ、または午後のみに制限された。職員は、同様の措置を日曜までは継続すると宣告。

  Bブロックより19名の連名で以下の要求書を提出。長期収容回避を要求。



要  求  書
  今私達がいる大阪入国管理局Bブロックには、難民の人達や家族が日本に住んでいる、もしくは今裁判で待っている人達もいて、私達の収容がたんなる裁判の妨げになっているとしか思いません。家族の苦しみや、精神的な苦痛などを考えると、私達の収容が不当であり、非人道的な収容を直ちに解くべきだと思い、受け入れ体制が整っている人だけでも、仮放免の制度を適用すべきだと思い強く希望致します。
  私達が仮放免[申請]を提出する際、不許可になることを想定して仮放免を出しているのではなく、多くの方々の協力を得てやっとの思いで仮放免を提出しています。なのに不許可になった理由を明らかにしないのです。今後入管はこのことについてきちんと説明すべきだと思います。
  現在私たちがいるBブロックに収容期間が長い人が多くいます。入管は私達を帰国に追い込むために長期収容していることは言うまでもありませんが、どんなに期間が長期化したとしても、やはり帰国できない正当な理由があり、認められるべきです。無意味な拘束を直ちに解くべきだと思い、最低限、仮放免の許可を認めるべきです。
  尚この要求書を提出してから1週間以内に回答をお願いします。



6月25日(土)

  Bさんは、「保護室は規則上48時間をこえて収容できない」と職員から説明され、畳の敷かれた単独室に移された。Cさんも同じく、隔離場所が保護室から単独室に変わった。



6月27日(月)

  午前にCさんの隔離が解除された。

  単独室のBさんのところに職員がやって来て、「反省しなければ隔離を延長することになる」などと言ってきた。Bさんとしては、納得する説明なくこのような懲罰的なあつかいを受けたこと、第三者の審査なく入管の一方的な意思でこのような懲罰的な扱いができる仕組み・制度、また入管から非人間的な扱いを受けたことは不当であって、Bさん側が反省すべきことではないと考え、これを拒否した。Bさんは職員に対して「一生、ここでいい」「説明ないことに納得できない」と述べた。

  しばらくしたら、職員が来て、Bブロックに戻され、昼頃、隔離が解除された。



6月29日(水)

  Aさんが、国家賠償請求訴訟を提起。夕方のNHKニュースなどで報じられた。



7月1日(金)

  Bブロック要求書の回答期限をむかえたが、入管側からの回答はなし。



7月3日(日)

  Bブロックでは、要求書に対する入管の回答がいまだないため、被収容者側から話し合いを持ちかけた。対応した職員が「上に伝える」と言ったので、被収容者側は「上」からの返答を待つことにした。



7月4日(月)

  Aブロック6名が朝食から摂食を拒否。ハンガーストライキ開始。

  以下、大阪入管に対するAブロックハンスト者からの声明。


Osaka immigration detention center hunger strike
We on hunger strike from Monday July 4 to protest against the reiterated refusal of our provisional release.
Application for reasons we are not told, we are being hold here in inhumane condition, some of us have been in this detention centerfor over a year and a half, because of prolonged confinement with very inadequate medical care.
We are suffering from illnesses both physical and mental.

  2月のハンスト時の入管の対応と異なり、この日は開放処遇の停止などはなかった。電話も自由にできた。ただし、支援者らとハンスト参加者の面会は禁止された。

  もういっぽうのBブロックでは、被収容者側が前日にひきつづき責任者との面談を求めた。

  職員が「要求は何か?」と聞くので、被収容者側が「短期収容のための施設なのに収容が長期化している。[要求しているのは]仮放免のことだ」と述べた。入管側は、短期収容のための施設だということを認めつつも、「収容が長期になっても違法ではない」と説明した。また、職員からは、「ハンストしても何も変わらない。してもしなくても長く収容する」との発言があった。



7月5日(火)

  前日の入管側との話し合いを受けて、Bブロック被収容者間でミーティング。

  前日からハンガーストライキをおこなっているAブロックで、入管側はハンスト者のひとりであるDさんを呼んで、話をした。Dさんは、長期収容を回避すること、そのために仮放免を許可することを求めた。これに対して、職員は「ハンストをしても入管側の考えは変わらない。ムダだ。ここから出るための方法は[帰国する以外には]2つしかない。裁判で勝訴するか、難民認定されるかだ」。これは、裁判中であろうが、難民審査中であろうが、また、病気になろうが仮放免は許可しないということを事実上宣告したにひとしい発言で、「被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用することにより,収容長期化をできるだけ回避するよう取り組むことと」とした2010年7月の法務省入国管理局によるプレスリリースの趣旨を真向からくつがえすものである。

  また、このとき入管側からはハンストを継続するならば、開放処遇を停止して、電話も禁止すると通告。



7月6日(水)

  Bブロックでも、6月23日から摂食を拒否しているBさんにくわえ、あらたに7名がハンスト開始。

  大阪入管は、先にハンストを開始していたAブロック6名にくわえ、Bブロックの8名についても、この日から、支援者らとの面会を禁止している。

Bブロックでは、午後の開錠前に職員が各部屋をまわり「ハンストを継続するならば、明日の朝から面会も電話も禁止する。薬も出さない」との警告をおこなった。



7月7日(木)

  入管は、朝、ハンストを継続している全員(Aブロック6人、Bブロック8人)を居室から連行し、別の区画に収容。以降、電話も禁じられたため、ハンスト者と外部の連絡は不可能になった。



7月8日(金)

  午前中に、永井(支援者)がハンスト中のCさんとの面会を申請したが、「保安上の理由」から大阪入管に許可されなかった(ハンストに参加していない被収容者との面会申請は許可された)。

  午後になって、職員から永井に対し「面会を許可できない」「局長判断で、今後も当分は永井さんの面会は[ハンストをしてない人との面会もふくめ]不許可になると思います」との通告がなされた。入管側は、永井が午前中の面会において被収容者に対して「ここの局長は、人命を軽視しているとしか思えない」と発言したことが不許可の理由だと説明した。入国管理局に対する面会者の論評の内容を理由にして、以後の面会を不許可にするという措置は、入管収容施設の対応としてもきわめて異例と思われる。

Friday, July 1, 2016

ご支援・ご注目のお願い――診療拒否された被収容者(大阪入管)が国賠訴訟を提起しました



  6月29日(水)、大阪入国管理局に収容されているイラン人男性(「Aさん」とします)が、大阪地方裁判所に国賠訴訟を提起しました。Aさんは、右半身のしびれなど脳梗塞を疑われる症状をうったえて職員にくりかえし診療を求めたものの、大阪入管がこれを拒否しつづけてきたことから、精神的苦痛に対する国家賠償と医師の診察の義務付けを国に求めたものです。






1.大阪入管による診療拒否・医療ネグレクトの実態

  Aさんは、1969年生まれの男性で、大阪入管に入所するまえに、脳梗塞を発症したことがあります。

  大阪入管入所後の昨年10月11日、Aさんは右半身がしびれ、ろれつがまわらないという症状があらわれ、動くこともしゃべることもできない状況になり、病院に搬送されました。搬送先の病院では、「脳梗塞疑い、一過性脳虚血発作疑い、視床痛」と診断されています。

  「一過性脳虚血発作」とは、「脳梗塞の前兆」とも言われ、これを治療せずに放置した場合、脳梗塞を発症する可能性が高いとされます。この病院に搬送された日は、さいわい後遺症など残らずにすみましたが、この後もAさんは右半身のしびれなどの症状にくり返し悩まされることになります。

  ところが、大阪入管は、その後現在ににいたるまで8か月以上にわたってAさんの診療をおこなわず放置しつづけています。2月末には、これも脳梗塞との関連の疑われる左耳の難聴と耳鳴りを発症。しかし、こうした新たな重要な症状が出ているにもかかわらず、大阪入管はAさんの診療要請を拒否しました。

さらに今年3月、Aさんが入所前に脳梗塞を発症して以来、7,8年間服用をつづけてきたバイアスピリン(血栓をできにくくする作用があり、脳梗塞を発症したことのある人に処方されることのある薬です)の処方が医師の診察もなしに突然中止されました(「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し」てはならないと規定する医師法20条に違反する可能性があります)。Aさんは処方再開を求めましたが、大阪入管はこれも拒否しました。



2.たびかさなる職員による暴言とその背景

  診療やバイアスピリンの処方再開を求めるAさんに対して、職員による問題発言・暴言もくりかえされています。

  診療の申し出が不許可になった際、Aさんが職員に「私はどうしたらいいのか」と尋ねると、「私たちには関係がない」「あなたの問題だ」と突き返されました。

  また、左耳が聞こえなくなったと訴えるAさんに対して、「片方の耳が聞こえなくても生活できるだろう」との職員の暴言もありました。さらに、その後も、「電話しているから耳は聞こえているはずだ」と暴言をはいた職員もいました(Aさんは聞こえるほうの耳を受話器にあてて電話していたのです)。

  もちろん、これらの職員の発言は許しがたいものですが、問題の本質は、大阪入国管理局が局としてAさんの診療を拒否しつづけていることにあります。大阪入管には週2回診察をおこなっている医師がいますが、Aさんが右半身のしびれなどの症状を訴えて以降、この医師は1度もAさんを診察しておりません。

  では大阪入管は、どうやってAさんの診察について「必要ない」と判断しているのでしょうか。医療従事者ではない入管職員が勝手に判断しているのか、あるいは、医師が職員らから症状等について報告を受けて判断をくだしているのか。いずれにしても、問題です。右半身のしびれや耳が聞こえなくなったという重大な症状をうったえている被収容者について、専門的な知見を有する医師が一度も直接診ることなしに、大阪入管は「診察不要」と判断しつづけているわけですから。

  Aさんは、入管に身体を拘束されているため、自分で病院に行って診療を受けることはできません。つまり、入管が「診療が必要である」との判断をしないかぎり、治療を受ける機会を得られないわけですが、大阪入管は医師による初診すらなしに診療不要との判断を下し、8か月あまりにわたってAさんが治療を受ける機会をうばっているのです。

  このように、あきらかに診察を必要としている被収容者にすら大阪入管はこれを許可しないのですから、現場の職員が目の前にいる被収容者の病状を軽く評価しようとするようになるのも不思議ではありません。入管の職員も、耳が聞こえなくなったとうったえているのがかりに自分の家族や友人だったならば、これを放置してよいとは考えないだろうし、「片方の耳が聞こえなくても生活できるだろう」などという暴言を平気ではくとも考えられません。「電話しているから耳は聞こえているはずだ」という、Aさんのうったえを詐病あつかいする発言も、そうであってほしいという職員の願望を反映したものではないでしょうか。

  常識的に見て病院に連れて行くべきだと思えるひとが目の前にいても、そのひとに診療を受けさせることを上司は許可しない。あるいは、症状の深刻さを報告書にまとめ、診察が必要だと思われるとの意見をそえても、診療は許可されない。このような組織で働いていれば、職員が被収容者の病苦のうったえや症状を軽くみつもったり、あるいは、詐病とみなしたりと、自身の認知のほうをゆがめるようになるのは、ある意味「自然」ではあります。

  以下の記事でもふれたように、2013年10月から翌14年11月の1年あまりのあいだに、東京入管および東日本入国管理センターでは、4人の被収容者を病死させています。


  このうち、ロヒンギャ難民フセインさんの死亡事件では、同室の被収容者によると、あわを吹いて痙攣(けいれん)しているフセインさんを前に職員が「癲癇(てんかん)なので大丈夫」と発言しています(フセインさんは結果的に癲癇ではなく「動脈瘤破裂によるくも膜下出血」で亡くなっています)。また、翌年のスリランカ人ニクラスさんの死亡事件でも、心臓の痛みをうったえるニクラスさんを前に、職員が「立ってるし、歩けるから大丈夫じゃないの」と発言したとの同室の被収容者の証言があります。

  これらのケースは、医療の専門家ではない職員が医療判断をおこなっているという点でまず問題ですが、被収容者の病状を軽く評価したいという、収容場の現場にいる職員の心理的傾向をあらわした事例にも思えます。

  病状が深刻なものかどうか、医者ではない素人には判断できないことですから、異常がみられればただちに専門家(=医者)にみせることが必要です。ところが、現場の職員がそうしようとしてもできないような職場であれば、職員は、病状が深刻かもしれないという可能性を打ち消す方向に自分の認知を操作しようとするでしょう。自分が重病人を助けずに放置しているかもしれないという可能性を認識するのはたえがたいものですから、目の前にいるひとの病状は「たいしたことはないはずだ」、あるいは「詐病にちがいない」と思い込もうとするわけです。

  もちろん現場職員の暴言は非難されなければなりませんが、なにより問題にすべきなのは、被収容者の生命を軽視していると言うよりほかない入管の診療体制ならびに組織的体質です。



3.Aさんの裁判、ならびに被収容者の人権状況にご注目を!

  入管によって退去強制の対象とされているひと、しかも収容中で入管に身体を拘束されているひとが、国賠訴訟をおこなうのは、きわめて異例です。提訴への報復として、入管が恣意的な不利益処分をおこなう可能性を考えないわけにはいかないからです。

  Aさんが今回提訴を決意するまでには、少なからず葛藤があったようです。かれが国・入管を相手に、法廷でみずからの権利を主張していくために、多くのひとの関心と支援が必要です。今後、裁判の傍聴など支援をここで呼びかけることになると思います。裁判の推移、また大阪入管の状況にご注目のほどよろしくお願いいたします。


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*この件について問い合わせ等は、仮放免者の会・永井(ながい) 090-2910-6490 までお願いします。


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