Thursday, March 26, 2020

なぜ入管で収容が長期化するのか?――「送還忌避者」をめぐる考察(第1回)


1.はじめに

 入管施設の収容長期化問題が社会的に注目されるなか、入管から国外退去を命じられ*1ながらも、帰るに帰れない事情をかかえる外国人の存在が知られるようになってきました。「帰るに帰れない」事情は、個々人によってさまざまです。国籍国に帰れば身の危険が予想されるという人もいれば、家族が日本にいるために帰国できないという人もいます。長期間にわたって日本で生活してきて出身国にはすでに生活基盤がないという人もいます。

 退去を命じられて入管施設で長期間収容されるということが、いかに過酷な経験なのかということについては、近年多くの報道もなされ、広く知られるようになりました。収容期限の定めがなくいつ出所できるともわからない不安、劣悪な医療、拘禁によるストレスと身体の不調(高血圧、不眠、頭痛など)、懲罰的な隔離処分や「制圧」と称しての職員による暴行などなど。このような「過酷」という言葉ですら足りないほどの入管施設の実態を報道などで知った人は、退去を拒否している外国人に対して、しばしばつぎのような問いを投げかけたくなるのではないでしょうか。

「国に帰れない理由は何ですか?」「どうして日本に残りたいのですか?」「そもそも、なぜ日本に来たのですか?」

 退去を拒否している人たちのそれぞれの事情を問い、理解しようとすることは大事でしょう。しかし、こうして外国人に向かって問うのと逆向きに、「日本の政府と社会が外国人をどうあつかってきたのか?」ということもまた問う必要があるのではないでしょうか。現在「不法滞在」状態にある外国人たちが日本にやって来て、ここで暮らすようになったのは、たんにその人たちひとりひとりの意思の結果ではあるとは言えません。それは日本社会が外国人を必要とし呼び込んできたことの結果でもあるからです。そうして外国人たちを呼び込んできた過程には、当然ながら入管政策も深くかかわってきました。

 あとでみるように、退去強制処分が出ているけれども国外退去を拒否している外国人は、現在、3,000人以上います。法務大臣や入管庁はこれを「送還忌避者」と呼び*2、収容長期化の原因だとしています。つまり、収容長期化は、国外退去すべき外国人たちが退去せずに送還を拒否しているために生じている問題だと主張しているわけです。

 しかし、私たちの見方はこれとちがいます。入管当局が「送還忌避者」と呼ぶところの外国人が数千人規模で存在するにいたった背景には、労働力不足から外国人を日本の政府と社会が呼び入れて来た歴史があります。近年、技能実習生制度の問題点も社会的に暴かれてきていますが、外国人労働者を利用しようとするだけの政策のツケが、現在の「送還忌避者」の増大をまねいているのです。「送還忌避者」がいつから、どのようにして増大するようになったのか。そこに入管政策がどのように関わってきたのかということを、今回から4回のシリーズ記事で問うていきたいと思います。

 第1回の今回は、現在、入管当局が「送還忌避者」をどのように位置づけ、またどんな姿勢で収容長期化と「送還忌避」の問題にのぞもうとしているのか、という点をおさえておきます。



2.収容長期化問題と「送還忌避者」

 2-1 長期収容への批判の高まり

 入管施設における収容の長期化に対し、世論の批判が高まっています。こんにち「送還忌避者」という言葉が法務大臣や入管庁によって積極的にもちいられるようになったのは、収容長期化への世論の批判から防御しようとする文脈においてです。

 まずは、収容長期化がどのようにして報道などで問題とされるようになったのか、ということを簡単にふりかえっておきましょう。

 収容期間の長期化傾向が顕著になるのは、施設によって若干のちがいがありましたが、2016年ごろ以降です。退去を命じられた外国人について、入管は施設に収容するのを原則としていますが、一時的に収容を解いて施設から出所させる「仮放免」という制度があります*3。この仮放免の許可*4が極端に認められにくくなったのが、施設によって時期のずれはあるものの2016年前後です。仮放免許可がこの時期に出にくくなった契機や背景については、次回以降の記事でくわしくみていきますが、それぞれの事情で帰国をこばんでいる人が仮放免されなくなることで、長期間にわたって施設に収容されている被収容者が増えていったわけです。

 こうして収容長期化の傾向が顕著になるなかで、各施設で被収容者たちによる抗議の声があがります。16年2月と7月に大阪入管、17年5月に東京入管、18年4月に茨城県牛久市にある東日本入管センターでそれぞれ被収容者による集団ハンガーストライキ(ハンスト)がおこなわれました。こうして被収容者自身が抗議の声をあげたことが多くのメディアで報道され、「密室」とも言うべき入管収容施設への社会的な関心が高まりました。

 この間、被収容者が死亡するという事件も各施設で起こっています。17年3月に東日本入管センターに収容されていたベトナム人がくも膜下出血で死亡。18年4月には同じ東日本センターでインド人被収容者が自殺。19年6月には大村入管センターでナイジェリア人被収容者が長期収容に抗議して食事を拒否したすえに餓死するという事件も起こりました。

 被収容者たち自身によるハンストなどの抗議にくわえ、あいついで被収容者の死亡事件が起きたことで、医療問題をはじめとする入管施設の処遇の実状や長期収容の問題がマスメディアなどで大きく報じられるようになりました。こうして、入管収容施設の実態が広く知られるようになると、市民による被収容者支援や入管への抗議の動きも広がり、SNSなどでも入管の収容・送還のあり方が活発に批判されるようになりました。



 2-2 収容長期化は「送還忌避者」のせいなのか?

 こうして収容の長期化への世論の批判が高まるなか、入管庁(出入国在留管理庁)は2019年10月、有識者らによる「収容・送還に関する専門部会」を立ち上げ、収容長期化を防止する方策などを検討することになりました。

 入管庁によって収容の長期化が深刻な問題として認識されているようだということ、そして、その防止策の検討がなされようとしていること自体は、歓迎すべきことです。

 しかし、この専門部会での議論のしかたには、いくつか大きな問題があるようにみえます。ひとつは、収容と送還に関して当事者というべき被収容者や仮放免者の声を聞かずに議論が進められようとしていることです。過酷な長期収容に耐えてまで送還を拒否している当事者たちには、それぞれ帰るに帰れない事情があります。専門部会の委員各氏には、そうした事情を当事者たちから直接に聞く機会をもうけてほしいという趣旨で、11月25日に仮放免者の会として入管庁に申し入れをおこないました*5

 もう1点、危惧せざるをえないのは、この専門部会での議論が、収容の長期化をもたらしている原因と責任について一面的な前提にもとづいてすすめられていくのではないかということです。たとえば、山下貴司法務大臣(当時)は、専門部会の立ち上げに先だってつぎのように発言しています。

 退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、様々な理由で送還を忌避する者がおり、それらの存在が、迅速な送還に対する大きな障害となっているばかりでなく、収容の長期化の大きな要因となっております。
(2019年10月1日法務大臣記者会見)*6

 「送還を忌避する者」という言葉が使われていますが、つまり法務大臣は、収容が長期化するのは送還を拒む者のせいだと言っているわけです。

 収容長期化問題について入管当局がこの間主張している論理は、きわめてシンプルで、ある意味「わかりやすい」ものです。すなわち、入管施設に収容されているのは退去強制令書の発付を受け国外退去すべき人たちであって、この人たちが送還にすみやかに応じず国外退去を拒否しているために収容が長期化しているのだというものです。収容が長期化するのは帰らない外国人がわるい、なぜなら退去命令にしたがって帰国すればすぐにでも施設から出所できるのだから、というのがこの問題についての入管の理屈なのです。

 しかし、この「わかりやすい」説明においては、日本政府の責任はいっさい問われることがありません。国籍国には帰ろうにも帰れないとして送還を拒否している人たちがそれなりの厚みをもって存在している背景には、日本政府の入管政策、外国人労働者をめぐる政策、難民庇護のあり方が関係しているはずです。そうした日本政府のあり方が問われないまま、収容が長期化するのは退去強制に応じない外国人がわるいなどと「送還忌避者」の側にのみ一方的に責任を負わせるような議論でよいのでしょうか?

 もし、法務大臣・入管庁が言うように、収容長期化の原因と責任がもっぱら「送還忌避者」の側にのみあるのだと考えるならば、この問題を解決・解消するには、強制送還をより強力に進めるべきで、そのための法改正・制度変更が必要だという議論になるでしょう。じっさい、入管庁は「収容・送還に関する専門部会」の議論をそうした方向に誘導しようとしているふしがあります。*7

 しかし、「不法滞在」状態になって退去強制処分を受けている外国人のうち、送還を拒否して「送還忌避者」となった人が数千人規模で存在しているという現状は、たんに個々の「不法滞在者」「送還忌避者」にその原因や責任を帰せばすむという問題ではありません。この点については、次回以降の記事で論じていきます。



3.従来の入管政策を批判的にふりかえること

 3-1 3,000人超の「送還忌避者」

 収容長期化の原因とされる「送還忌避者」ですが、では入管当局はこれをどう定義しているのでしょうか? また、その人数はどのぐらいにのぼるのでしょうか。

 「送還忌避者」の定義については、これをただした福島みずほ参議院議員の質問趣意書に対し、政府は昨年12月13日付の答弁書で以下のように答えています。*8

 お尋ねの「送還忌避者」については、法令上の用語ではないが、出入国管理の実務上、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、自らの意思に基づいて、法律上又は事実上の作為・不作為により本邦からの退去を拒んでいる者を指して用いている。

 では、この「送還忌避者」はどのぐらいの数にのぼるのでしょうか?

 入管庁は昨年10月1日に公表した資料で*9、その集計方法をあきらかにしていませんが、6月末時点で退去強制令書の発付を受けた被収容者1147名のうち858人が送還を忌避しているとしています。

 一方、入管庁資料は、おなじく退去強制令書の発付を受けているものの、現在は収容を解かれ仮放免されている人(退令仮放免者)の人数を2,302人としています。この退令仮放免者のうち大多数は、さきの「送還忌避者」の定義にあてはまる人たちと考えてよいものです*10

 とすると、現状で「送還忌避者」は、収容中と仮放免中の人数を合計して現状で3,000人超といったところになるでしょう。



 3-2 「送還忌避者」に対する強硬方針はすでに破綻している

 入管当局は、数千人規模にふくらんでいる「送還忌避者」に対して、これを強制送還によって縮減していこうという方針に固執しています。次回以降の記事でくわしくみていくように、2016年以降、入管は、非正規滞在者の在留をみとめてその滞在を正規化する在留特別許可の基準を厳しくするいっぽうで、長期収容と退令仮放免者の再収容によって「送還忌避者」を国外にたたき出そうというきわめて強硬な方針をとってきました。

 ところが、現状800人以上が各地の収容施設で国外退去を拒んでおり、さらに2,300人が退令仮放免者として施設の外で暮らしています。収容中の800人をさらなる長期収容の継続で退去に追い込み、そのことで生じた収容施設の空きに仮放免者を順次再収容していく。そうやって2,000人をこえる退令仮放免者を退去させるまで、いったい何年かかることでしょう?

 2016年以降の4年あまりのあいだに、自殺や拒食による餓死をふくめ入管施設で3人もの被収容者が命をうしないました。各地の施設で長期収容への抗議のハンストがあいつぎ、被収容者の自殺未遂・自傷行為がひんぱんに起こっています。入管が現行の強硬方針を手放さないかぎり、さらに多くの血が流れることになるでしょう。被収容者の死亡事件は今後もくりかえされ、おびただしい数の人が先の見えない監禁生活のなかで心身を病むことになるでしょう。

 現に今も、病気やけがのある被収容者たちは、ろくな治療を受けられないままいつ終わるとも知れない監禁下で苦しんでいます。入管は、普段はさんざん仮放免許可を出ししぶっておいて、被収容者がガンや脳梗塞といった生命にかかわるリスクのきわめて高い病気にかかったとみるや今度はあわてて仮放免をして収容所から放り出すといったことを、これまでしばしば行ってきました。高額な治療費を負担することをきらってのことと思われますが、虐待的な入管収容により病んだ結果、放り出されて仮放免者となった人たちは、治療できるあてもなく途方にくれることになります。仮放免者は社会保険制度から排除されるなど無権利状態にあり、医療費も全額負担しなければなりません。最悪のケースとして、なすすべなくそのまま命を失う人も出てきます。入管が方針を改めなければ、こうしたことは今後も確実に起こりつづけるのです。

 現実的にみて、長期収容をつづけることで「送還忌避者」を縮減していくという方針はすでに破綻しています。今後5年か10年、あるいはもっと多くの年月をかけてさらに犠牲者を出し続けたとしても、3,000人をこえた「送還忌避」の被収容者および退令仮放免者の人数をゼロに近いところまで減らすことはできません。あるいは、政策決定に関わる者の一部ないし大部分は、無責任にも、内心それでも構わないと考えているのかもしれません。いずれにせよ、それのもたらす結果は明らかです。破綻のあきらかな方針に入管当局が今後も固執し続ければ、病死や自殺などの犠牲が積みあがっていくだけです。それはほとんど「虐殺」ともいうべき最悪の結果であり、絶対に起きてはならないことです。

 さきにみたように、「送還忌避者」の存在が収容長期化の原因であるというのが入管当局の主張です。「送還忌避者」の存在が「迅速な送還に対する大きな障害」なのだ、と。なるほど、「送還忌避者」が増大しているという現状は、送還業務がとどこおっていることを示しているのでしょう。しかし、そもそもその「送還忌避者」が数千人規模にふくらむまでになったのはなぜなのでしょうか? どのような入管政策の結果として、こうした状況がもたらされているのでしょうか?

 収容の長期化への世論の批判が高まるなか、政府はその責任を「送還忌避者」に転嫁しようとしています。そうして政府がこれまでの政策の問題点をみずから検証することをおこたるならば、現実的に問題解決につながる可能性のないばかりか、最悪の結果を招く可能性の高い強硬方針に今後も固執するしかなくなります。

 従来の政策を批判的にふりかえり、送還と収容、さらには退去強制の対象となっている長期滞在者や難民に関する政策を転換させるのか。それとも、「迅速な送還に対する大きな障害」と入管が位置づける「送還忌避者」を長期収容と再収容によって国外退去に追い込むという非現実的かつ非人道的な方針にあくまでも固執して、今後とも何人もの人間を死に追いやっていくのか。いま重要な岐路に私たちは立っているのだと言えます。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

【注】

*1: 法的に厳密にいうと、「(退去強制手続を経て)退去強制令書(の)発付(処分)を受けた」となりますが、長いので(入管職員や法務大臣など以外で)こういう言い方をする人はあまりいません。略して「退去強制」「退去強制処分」とか「退令」「退令発付」「退令処分」とか言われたり、やや不正確ですが、「強制送還」「強制退去」「(国外)退去命令」などという語が使われることも多いです。「退去強制を受けた」「退去を命じられた」等も同じ意味で使われています。ちなみに、上陸手続において上陸許可等が認められず退去を命じられることを指す「退去命令」という用語があり、これは「退去強制令書発付処分」とは制度的に区別されますが、非常にまぎらわしいです。

*2: 私たちが把握しているかぎり、入管当局が最初に「送還忌避者」という言葉をおおやけに使いだしたのは、2013年度予算の概算要求においてです。法務省は、「送還忌避者の専属輸送による送還経費」、つまりはチャーター機をもちいた集団送還のための経費として、およそ3000万円を要求し、国会の承認をえて、これを獲得しています。以後、法務省は、この名目でチャーター機での送還経費を獲得してきました。

*3: 退去強制手続上おこなわれる収容には、「収容令書」を受けた場合と「退去強制令書」を受けた場合の二通りがあり、それを受けて「仮放免」にもいわゆる「収令仮放免」と「退令仮放免」の二種類があります。ここでいう「仮放免」は、後者です。

*4: どういう場合に仮放免が許可されるのかについては、入管は「個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して判断されるものであり,許否に係る基準はない」(入管庁「仮放免許否判断に係る考慮事項」より)とだけ述べ、基準を明らかにしようとしません。したがって仮放免許可事例の実態からいうしかありませんが、収容が長期間にわたったこと、病気の治療・療養や行政訴訟の準備の必要性、あるいは難民申請者が難民であることの立証作業をする必要があるなどの事情が、仮放免許可を求める理由として重く見られていたようです。

*5: 当事者の声を聞いて! 法務省に申し入れ 収容・送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2019年11月29日)

*6: 法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要

*7: 「収容・送還に関する専門部会」は、昨年10月から今年2月にかけて7回の会合を開いています。法務省のウェブサイトに掲載されている「開催状況」によると、専門部会では、送還を「忌避」する者に刑罰を科すことや、難民申請者を送還しやすくするための難民認定制度の改変などを議論しているようです。
 また、10月21日に開かれた第1回会合で、入管庁は「送還忌避者の実態について」と題された資料を委員たちに配布しました。この資料のなかに、仮放免者が「殺人未遂事件」の「加害者」になったとの記述がありますが、これは虚偽の事実であったことがあきらかになっています。
入管庁が仮放免者による「殺人未遂事件」をでっちあげ 資料捏造問題 - 仮放免者の会(PRAJ)(2019年12月1日)
 入管庁は、こうして資料を捏造してまで「送還忌避者」があたかも日本社会にとって危険な存在であるかのような印象づけをおこなおうとしたわけです。入管庁が、強制送還をより強力に進めるための制度変更へと専門部会での議論を誘導しようという意図をもっているのはあきらかでしょう。

*8: 第200回国会 外国人の収容および「送還忌避」に関する質問(2019年12月2日) - 福島みずほ OFFICIAL SITE(2019年12月25日)
 外国人の収容および「送還忌避」に関する質問主意書:参議院

*9: 法務省:送還忌避者の実態について

*10: 退令仮放免者であるということは、仮放免許可を受けるまで一定の期間、送還をこばんできたという場合がほとんどだからです。みずからの意思で国外退去をこばんでいるわけではなく、外的な要因によって退去が不可能になっている仮放免者、あるいは帰国準備のための必要性から仮放免を許可されている人は「送還忌避者」の定義に当てはまりませんが、こうした人たちは退令仮放免者のうちの数パーセントにすぎないと思われます。


 
                 

Saturday, March 21, 2020

【延期のお知らせ】「収容・送還専門部会」に関する記者勉強会(3月27日)は延期します

 3月27日(金)に予定していた下記の記者勉強会は、コロナウイルス感染防止の観点から、延期することとします。延期のお知らせが直前になってしまい、ご迷惑をおかけします。
 あらためての開催につきましては、決まりしだい告知させていただきますので、よろしくお願いいたします。
(3月26日 21時52分更新)




 「収容・送還問題を考える弁護士の会」「仮放免者の会」の共催で記者勉強会をおこないます。

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「収容・送還専門部会」に関する記者勉強会のご案内
最新情報の提供と質疑応答を行います!


「収容・送還問題を考える弁護士の会」・「仮放免者の会」 共催

弁護士 高橋 済 (台東協同法律事務所)
TEL 03-3834-5831FAX 03-3834-5833

弁護士 指宿昭一 (暁法律事務所)
TEL 03-6427-5902FAX 03-6427-5903

弁護士 駒井 知会 (マイルストーン総合法律事務所)
TEL 03-5790-9886FAX 03-3467-5585



日時) 2020年3月27日(金)18時~20
場所)〒100-0013 東京都千代田区霞が関1丁目13号 
弁護士会館5階508号室(ABC
報告者) 「考える弁護士の会」弁護士・「仮放免者の会」  (撮影可能)

勉強会の趣旨)
201910月より、第7次政策懇談会「収容・送還に関する専門部会」が開催されており、当初、2020年3月までに改正案の意見をまとめる異例の審議スケジュールが組まれていましたが、3月現在、意見(報告書)がまとめられていない状況です。しかし、当初の見立て通り、送還忌避罪の創設や難民申請者の早期送還を実施するという方向性に変わりはなく、そのような内容の結論の報告書となることは、これまでの議論内容からも容易に推察されるところです。他にも、仮放免された者による逃亡等の行為に対する罰則等の創設、メディア・支援者・研究者等からの批判が止まない無期限収容、全件収容主義などの現行の運用を維持すること、被収容者に対するペナルティーの設置などが議論されていることが公開されている議事録概要などからうかがわれます。

難民認定や在留資格を求める難民認定申請者を巡り、今年に入って勝訴判決の報が続く一方で、今月10日にはスリランカに44名の集団送還が実施されております。また、収容施設内での被収容者の実態は更に凄惨を極めております。

今回の勉強会では、収容・送還に関する専門部会での議論の問題点、収容・送還の最新の実態や関連裁判例の動向などにつき、これまでの勉強会で十分に時間をお取りできなかった質疑応答の時間を主体として、会場全体で議論しながら情報を共有させていただきたいと思います。                          

以上




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関連ページ





Saturday, March 14, 2020

入管庁が難民申請者ふくむスリランカ人44名を集団送還


 3月10日(火)、入管庁はスリランカ人44名を強制送還しました。仮放免者の会として、これに抗議の意思を示したいと思います。

 11日に法務省が報道関係者むけに発表したところによると、10日にスリランカに送還されたのは20~60歳代の44名(うち女性3名)、約4,000万円の経費がかかったということです。



被送還者数確保の目的化

 チャーター機をもちいての集団強制送還は、2013年に開始されて以来、今回で8回目です。私たちは、本人の意思に反しての無理やりの送還そのものに反対ですが、このチャーター機での集団送還についてはとくに批判し問題にしてきました。チャーター機での送還では、個別の無理やり送還にもまして、きわめて深刻な人権侵害がおこりやすいからです。

 チャーター機での集団送還は、従来からおこなわれてきた個別の送還と比較してコスト面での利点があるとして導入された経緯があります。つまり、一般の乗客も乗る航空機に被送還者を搭乗させる個別送還よりも、政府が借り上げた航空機に数十人から100人ほどの被送還者を乗せて一度に送還する集団送還のほうが、ひとりあたりの送還費用は安くすむはずだというわけです。

 しかし、以下の記事で指摘したように、この方式の送還は、法務省の当初想定したようなコスト抑制効果はあがらないいっぽうで、なりふりかまわず送還対象者をいわば「かき集める」ということがおこなわれてきました。


 たとえば、配偶者や子どもが日本にいる人など、人道的な見地から在留を認めることを検討する余地のおおいにあるような人たちがチャーター機で送還され、家族がばらばらになるといった事例を、私たちは調査にもとづいて指摘してきました。



裁判を受ける機会をうばう難民申請者の送還

 チャーター機での送還において、難民申請者については、入管は裁判の機会をうばってまで送還してきました。難民不認定処分について法務大臣に審査請求(異議申し立て)をおこなっている人に対して、その棄却を通知してただちに強制送還してしまうという手法での送還です。

 今回の集団送還においても、難民申請していた人がこうした手法で多数送還されたようです。東京入管などの被収容者に聞き取りしたところ、難民申請していた人が送還前日の9日に難民審査について話があるなどと居室から呼び出され、そのまま送還されてしまったというケースを多数確認できました。難民申請の却下を通知されてただちに空港まで連行されて送還されてしまったのだと考えられます。

 当然ながら、難民申請者は行政処分である難民不認定処分に対して、不服であれば裁判にうったえる権利があります。難民として認定しないという処分が裁判で取り消されたという事例も少なくありません。入管が、みずから出した難民不認定の処分について、難民申請者の訴訟を封じるようなかたちで強制送還をおこなったことは、断じて容認できません。

 上記の手法で2014年に強制送還されたスリランカ人が、裁判を受ける権利を侵害されたとして、国に損害賠償を求めた訴訟もおこなわれています。


 残念ながら、この訴訟は2月27日に東京地裁にて原告敗訴の判決がありましたが、控訴審にて今後あらそわれることになります。こちらの訴訟の推移もひきつづき注目していきたいと思います。



被送還者の安否

 今回の集団送還では、難民申請して日本政府に庇護を求めていた人が多数送還されました。その暴挙に怒りをおぼえるとともに、送還された人たちの安否が心配されます。私たちとしても、連絡のとれる被送還者から、送還後の状況、また、どのようなしかたで送還がおこなわれたのかを調査したいと思います。


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関連記事(これまで7回のチャーター機送還について)
  1. 入管による一斉無理やり送還に抗議します - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年7月6日)
  2. チャーター機によるタイ人一斉送還に抗議する申入書 - 仮放免者の会(PRAJ)(2013年12月25日)
  3. 【抗議声明】スリランカ・ベトナムへの集団送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2014年12月30日)
  4. 【抗議声明】バングラデシュへのチャーター機送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2015年12月13日)
  5. 【抗議声明】スリランカへのチャーター機送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2016年9月30日)
  6. 【記者会見のお知らせ】内外で排外主義への危機感が高まる中、入国管理局がチャーター機を使用してタイ人を集団送還 - 仮放免者の会(PRAJ)(2017年2月21日)
  7. 【抗議声明】ベトナムへのチャーター機での集団送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年3月6日)