Monday, February 19, 2018

長期収容・再収容などについて抗議・申入れ(東京入管に対し)

 2月16日(金)、東京入国管理局にて、申し入れと被収容者への激励行動をおこないました。

 仮放免者と支援者20名で東京入管に13時に集合し、拡声器もつかいながら「長期収容やめろ」「再収容やめろ」「友だち返せ」「家族を返せ」「病人を医者にみせろ」「チャーター機送還やめろ」などと声をあげました。

 被収容者への激励と入管への抗議の声をあげた後には、総務課および違反審査部門仮放免係に行き、申入れをおこないました。申入れた内容は、おもに、長期収容・再収容をやめること、被収容者への医療放置をやめることを求めるとともに、2月8日のチャーター機を使ってのベトナム人集団送還に対する抗議などです。

 以下の申入書を提出してきました。


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申 入 書
2018年2月16日
法務大臣 殿
法務省入国管理局長 殿
東京入国管理局長 殿
東京入管主任審査官 殿
仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)

一、長期収容は人権侵害であり、収容長期化の回避を求める
 長期収容は、被収容者の自殺、病死などいくつもの悲劇を生んできました。死に至らないまでも、心身を衰弱したのちにやっと仮放免され、仮放免・放免後に死亡したり、重病に苦しみ続ける人たちもいます。被収容者は入管法第二十四条に該当する人たちであるのは確かですが、行政法に違反したという罪に対して、長期収容はあまりに過酷な罰です。狭い場所に何人もが閉じ込められれば、誰しも不眠・食欲不振・めまいなどの拘禁反応を発症します。持病は悪化し、新たな病気も起こします。入管収容施設での生活が6ヶ月もすぎると、誰しも少なくとも拘禁反応を発症することは貴職らもご存じの通りです。こうした長期収容による弊害を回避するため、2010年7月には仮放免の弾力的運用についての通達が出されましたが、すでに2015年9月にはその通達が撤回され、収容期間の長期化が顕著です。過酷な収容生活に置かれても、難民であったり日本に配偶者がいたりなど、帰国することのできない事情を抱えた人たちはどんな長期の収容にも耐えざるを得ません。いたずらに収容期間を長期化させて被収容者を苦しめるのではなく、再び仮放免の弾力的運用をされることを求めます。

二、再収容の中止と再収容された者への即時仮放免を求める
 東京局では、2016年1月から、仮放免者への再収容が激増しました。難民手続きの終了(異議棄却あるいは審査請求棄却の通知)、指定住居・就労などの仮放免条件違反を契機として再収容が行われ、さらに退令取消訴訟などの敗訴確定も再収容の契機となっています。就労にしても、生きていくために必要な事であり、就労が再収容の契機となるのでは生存権の侵害です。また、仮放免者が仮放免期間延長申請のために出頭したタイミングで再収容はおこなわれており、再収容された人たちのほとんどは、次の延長出頭では再収容されそうだと予感しながら出頭しています。一方、貴職らも認めているように、逃亡する仮放免者も激増しました。再びの過酷な収容生活を考えると、逃亡したくなる気持ちもわかります。それでも、日本での在留を求めるしかなく、逃亡することのできない仮放免者は、再収容を覚悟して出頭します。そして再収容された人たちの大半は、再び三度の長期収容に耐えて、仮放免されていきます。入管法第五十五条に規定された「逃亡」や、刑事事件を犯したなどのケースならともかく、真面目に貴職らからの呼出しに応じ、出頭してきている人を再収容することは、またさらなる長期収容に置くことは人権侵害以外の何物でもなく、収容権の濫用です。最近の新聞報道では、再収容は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた治安対策だと貴職らは主張されているようですが、とんでもない話です。再収容を予感しながらも在留資格を求めて覚悟して出頭してくる仮放免者が、なぜ「犯罪の温床」などとみなされるのでしょうか。再収容を中止し、再収容された人たちは即時に仮放免にしてください。

三、被収容者への医療放置をやめ、診療を求める者は直ちに診療させることを求める
 2013年から、国費による強制送還(帰国忌避者への力ずくの送還)が再開され、同年より、チャーター機による帰国忌避者の集団送還も開始されました。こうした退令執行の厳格化は、同時に入管収容施設での死亡事件も連続させています。2013年の東京局でのミャンマーのロヒンギャ難民(死亡は搬送先の病院)、翌14年の東日本入国管理センターでのイラン人、カメルーン人連続死亡事件、同年の東京局でのスリランカ人、2017年には東日本センターでのベトナム人死亡と続きました。この過程では、仮放免・放免直後の死亡もありました。被収容者の生命や健康については、収容主体である貴職らが責任を負わなければなりません。しかし実際には、上記の亡くなった5人のなかでも、カメルーン人、スリランカ人、ベトナム人については明らかな医療放置が見られます。本人が体の痛み、異常を訴えているにも関わらず、医者に受診させず、はなはだしきは職員が仮病であると勝手に医療判断していました。現在の東京局の被収容者から面会で聞いても、診療を求めて申出書を要求してもなかなか渡してもらえない、東京局診療室の医師は自分たちの病状の訴えを聞いてくれない、専門医に外部受診して診断がされても「お金がかかるから」と治療してもらえないなどの訴えを聞きます。このようなひどい状況に置かれ、被収容者は病状を悪化させていきます。いつまた死亡者が出ても不思議ではないような状況が続いています。医療放置は明白な人権侵害です。直ちに改め、病人を受診させ、治療することを申し入れます。

四、チャーター機による集団送還の中止を求める
 帰国忌避者に対する個別の送還執行においても、同様の人権侵害は見られるが、特にチャーター機送還においては、多人数を集めるためか、あまりにひどいケースが多く見られます。今月8日にも、ベトナム人47人がチャーター機で送還されました。その中には、日本人と結婚している人も含まれています。急に配偶者と引き離され、本人もそうでしょうが残された家族は悲嘆にくれています。また今回も、難民申請者に対して、難民手続きの終了(審査請求棄却)の通知、あわせて難民不認定処分取消訴訟の教示をしておきながら、そのまま送還された人がいます。難民申請者の裁判を受ける権利を侵害する送還については、すでに2013年のスリランカ人チャーター機送還の犠牲となった元難民申請者による国家賠償請求訴訟も提起されているところです。これらの家族分離、裁判を受ける権利の侵害は私たちとしては許せません。帰国忌避者への送還、とりわけてチャーター機による集団送還に反対します。また、今回のチャーター機にも帰国希望者が乗せられていました。もともと帰国希望だが航空券代金を用意できなかった人が何人もいたことを私たちは承知しています。こうした帰国希望者も含めて送還人数を膨らませて、本来、「帰国忌避者の専属輸送による送還経費」として予算化されたチャーター機送還に固執するのは、税金の無駄遣いとの非難にもつながります。
以 上

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