Saturday, July 20, 2019

牛久からの手紙2

 東日本入管センターの被収容者から手紙をあずかりました。「収容所内の現実や辛さ、苦しい生活、痛み、ストレス、精神的虐待など本当の実態」について、被収容者の声を拡散してほしいとのことです。

 出入国在留管理庁長官の佐々木聖子氏や、国会議員、報道関係者、各支援団体にもおなじ手紙を送っているとのことですが、インターネット等でも広く拡散してくださいと託されましたので、ここに全文を公開します。(長崎の大村入管センターで亡くなった方のお名前だけはわからないよう修正しました)

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 東日本入国管理センター(牛久市)で拷問的な毎日が続き、誰にも考えられない過酷な所になりつつ日々を送っている。入管での収容はきわめて過酷なものです。収容期間の上限が定められていない無期限収容であることの、ストレス、強制送還されるかもしれないという恐怖と不安。こうした極度の精神的な負荷のかかった状態にあって、ほとんどの人は収容されて遅くても半年もすれば拘禁症状を発症しはじめます。このような入管収容施設にあって2年以上の収容が常態化しているのは、まさに「異常事態」というべきなのです。
 現在私達は収容所において長期収容が余儀なくされています。1年は勿論のこと、3年以上の人も多々あり異常事態になっています。私達の中には高血圧症をはじめ、ヘルニアから様々な病や長期収容により精神的な損傷いわゆる拘禁症状を患い苦しい収容生活を強いられている者は少なくありません。病気があり、専門的な治療が必要とされているにも拘らず医療放置、そして仮放免を一切許可せず見て見ぬふりをしているのは収容所の姿勢ではありませんか。現下において収容所の運用方針は極めて非人道的なやり方を行っており、私達は納得できません。私達は犯罪者ではないのに、日々私達の生活が貴センターによって監獄化されいつまでも人生の大切な時間を奪われなければなりませんでしょうか。私達はこれ以上我慢することが出来ません。
 6月24日、長崎収容所で起きたナイジェリア国籍のAさんの死亡事件はご存じでしょうか。彼は「異常事態」の結果でもあり収容所が見殺しにしたのも同然である。そんな入管の運用方針が変わらなければ、このような事件はまだ続くでしょう。
 収容所内の現実や辛さ、苦しい生活、痛み、ストレス、精神的虐待など本当の実態は私達収容者にしか分からない事であり、なんとかして皆様に真実を伝えなければなりません。この文章をご覧になった皆様には、入管センターに収容されている私達の声を拡散するのにご協力下さい。
以 上

7月11日
サブッセベ イャマネ
(エチオピア)

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 SNSや報道などでも情報が出ているように、東日本センターでは長期収容に抗議するハンストが被収容者のあいだに広がっています。ハンスト者がすでに70名をこえるとみられることは前回の記事でお伝えしたとおりです。この手紙の送り主のイャマネさんも7月16日からハンストをおこなっています。

 ハンストは他の入管施設でも広がっています。大村入管センターでは、7月15日から被収容者20名以上が、長期収容をやめることとナイジェリア人被収容者を死亡させた責任をとって荒川満所長が辞職することをもとめて、ハンストをしています。東京入管でも、私たちが確認しただけでも、4名の女性被収容者がハンストをおこなっています。

 こうしてハンストが広がっている現状は、また死亡者がでかねない危険な状態であると言わざるをえません。このハンストを早期に収束させ、被収容者たちの生命・安全をまもるためには、入管が長期収容を回避していくという姿勢を言葉だけではなしに、行動で明確に示すしかありません。私たちは、こうした観点から、2年以上の超長期被収容者を、ハンストをしているかどうかにかかわらず、無条件で仮放免するよう、17日に東日本入管センターにたいして申し入れました。

 入管は、長期収容問題について、退令発付を受けた被収容者を出国させる(送還する)ことで取り組んでいくのだという方針をいまだに断念していないようです。しかし、その「送還」という手段での長期収容の回避が不可能であり破綻しているということこそ、「2年以上の収容が常態化している」どころか、4年や5年をこえる被収容者がいるという現状からはすでにあきらかなのです。

 まずは超長期の被収容者を無条件で仮放免していくこと。このことが長期収容問題を解決する唯一の手段であるばかりでなく、被収容者の死亡事件をこれ以上くりかえさないために緊急に不可欠なことです。

 今回紹介したイャマネさんの手紙の拡散にご協力をお願いします。





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