Wednesday, July 17, 2019

収容期間2年以上の人を仮放免すること等を申し入れ 東日本入管センターでのハンストについて



 東日本入国管理センターでのハンストはますます広がっています。同センターで長期収容に抗議してハンストをおこなっている被収容者は、7月17日時点で70名をこえているものとみられます。

 あらたにまた死亡者の出かねない危険な状態であると考えられます。早期にこのハンストを収束させるためには、仮放免によって長期収容を回避していくという意思を東日本センターが被収容者たちに明確に行動で示す以外に方法はありません。こういった観点から、ハンストをしているかしていないかにかかわらず、「超長期収容」と言うべき2年をこえる被収容者を仮放免していくことなどを、本日、東日本センターに対して申し入れました。

 東日本入管センターに対して、収容が長い人、病気の深刻な人から仮放免せよ等、抗議・意見提示をお願いします。



抗議・意見提示先
東日本入国管理センター(総務課)
 電話:029-875-1291
 FAX:029-830-9010


 以下が、本日提出した申入書の全文です。



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申 入 書

2019717
東日本入国管理センター所長殿
仮放免者の会(関東)

 東日本入国管理センターにおいて、長期収容に抗議しての被収容者たちによるハンガーストライキ(ハンスト)が広がっている。そのなかで、ハンストが長期化して健康状態の悪化が深刻に憂慮される被収容者の一部について、貴職らが仮放免許可によって出所させていることは、適切な処置であると私たちは考えており、これを歓迎したい。

 しかし、ハンストはいまも収束しておらず、あらたにハンストを開始する被収容者もあとをたたないという現状である。

 周知のとおり、ハンストは抗議者自身の生命・健康を危険にさらしかねない抗議方法である。624日には、大村入国管理センターでナイジェリア人被収容者が亡くなったばかりである。私たちは、今後また入管施設で死亡者が出ること、あるいは死亡にはいたらないまでも、被収容者の出所後の生活・人生において支障が出るような健康被害・後遺障害が生じることを、強く危惧している。収容長期化が深刻化しているなかでハンストが広がっているという現状は、こうした危惧をいっそう強くいだかせるものである。

 このハンストを収束させるためには、長期収容を今後回避していくという姿勢を貴職らが明確に示す以外に方法はない。

 法務省の公式ウェブサイトによると、山下貴司法務大臣は72日の記者会見で、大村センターでのナイジェリア人被収容者が死亡した事件を受けて、つぎのように述べたとのことである。

「健康上の問題等のため速やかな送還の見込みが立たないような場合には,人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応しているところです。」

 現在の収容長期化は、この大臣の発言とはうらはらに、「速やかな送還の見込みが立たないような場合」であっても貴職らが収容継続に固執してきたことから生じている問題であると私たちは認識している。退去強制令書発付処分を受けた人が、長期間にわたって収容されても日本での在留をあきらめられないのは、帰るに帰れない事情をおのおのかかえているからである。その事情とは、国籍国に送還されれば迫害等により身の危険が予想されること、送還によって家族と引き離されてしまうこと、あるいは日本での在留が長期間にわたり国籍国での生活基盤がすでに失われていることなど、それぞれに切実なものである。こうした切実な事情があるからこそ、きわめて過酷な長期収容にも耐えざるをえないのであって、そうでなければ、とっくに帰国しているはずなのである。

 そのような帰るに帰れない切実な事情をかかえている人たちを、「送還の見込みが立たないような場合」であっても貴職らが長期間にわたって収容しつづけているということこそが、現在ハンストが広がっている事態の根本的な原因としてあるのである。

 したがって、くり返し犠牲者を出してしまう前にこのハンストを収束させるためには、法務大臣の「送還の見込みが立たないような場合には,人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応している」との言葉を、貴職らが明確に行動をもって示す以外にない。

 以上をふまえて、2点申し入れる。


1.2年をこえる超長期被収容者からすみやかに仮放免すること。

 私たちは、2010年に仮放免者の会を結成して以来、6か月以上の収容を「長期収容」と位置づけ、これに反対してきた。貴職らに対しても、この意味での「長期収容」をしないよう、これまで再三にわたり申入れてきた。

 6か月をこえるような収容は、高血圧・不眠等の拘禁症状を発症させるなど、被収容者の心身への負担がいちじるしく、人権・人道上の問題が大きい。また、こうして収容が長期化することは、送還の見込みが立たないにもかかわらず収容が継続されていることの証左でもある。送還という、収容のそもそもの目的を達する見込みがないのに長期にわたり収容をつづけるのは、いたずらに被収容者の心身に苦痛を与え、その健康をそこなわせることにしかならない。

 こうした観点から、私たちは6ヶ月をこえる長期収容に反対してきたが、こんにちではこれを大きくこえる「超長期」とも言うべき度をこした長期収容が常態化している。現在ハンストをおこなっている被収容者のなかにも、収容期間が4年をこえる人すらいる。このような超長期の収容が横行しているということこそが、帰るに帰れない被収容者たちの多くを絶望に追い込んでいる。この絶望が、多数の被収容者をハンストという危険な抗議手段に向かわせ、またあいつぐ自殺未遂・自傷行為を引き起こしているのである。被収容者の生命を守るための緊急の必要として、まずは2年をこえる超長期の被収容者たちから仮放免することをもって、収容長期化を回避すべき問題ととらえるこのたびの法務大臣発言を、貴職らが被収容者たちに行動をとおして明確に示すべきである。


2.高血圧症や心臓疾患などの持病があり収容継続が危険な被収容者、収容による精神疾患者を即刻仮放免すること。

 収容期間にかかわらず、こうした被収容者を即刻仮放免すべきであることは、入管施設における死亡者をこれ以上出すことを絶対に避けなければならないという観点から当然のことである。


以 上

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