Thursday, September 26, 2019

【傍聴呼びかけ】スリランカ人強制送還国賠「裁判受ける権利を侵害」


 10月1日に東京地裁にてスリランカ人強制送還国賠の弁論がおこなわれます。

 2014年12月に入管当局は、スリランカ人26人とベトナム人6人をチャーター機で一斉に強制送還しました。このときに強制送還されたスリランカ人2名が、送還によって裁判を受ける権利をうばわれたとして、国に損害賠償をもとめる裁判を起こしています(2017年10月19日提訴)。

 原告のうちひとりは、送還される直前、弁護士に連絡しようとしましたが、収容されていた東京入管にこれをはばまれ、弁護士と相談する機会をうばわれました。次回の弁論では、このときの弁護士の意見陳述がおこなわれます。

 弁論は、以下の日時と場所でおこなわれます。法廷での傍聴を呼びかけたいと思います。

日時:2019年10月1日(火曜) 11時30分
場所:東京地方裁判所 522法廷



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 チャーター機を使った集団送還は、2013から17年度にかけて7度にわたっておこなわれ、そのつど私たちとしても抗議・批判をおこなってきました(注)。集団送還にともなう問題点はさまざまにありますが、そのひとつは、難民申請者に対してその裁判を受ける権利を侵害するかたちで送還が強行されてきたことです。つまり、入管施設に監禁して身体を拘束した状態で難民申請の却下(難民不認定処分に対する異議申立の棄却)を通知し、そのまま空港に連行して航空機にのせるというやりかたでの送還です。

 2014年のスリランカ・ベトナムへの集団送還についての抗議声明で私たちはつぎのように述べました。

 私たちは、今回の被送還者について、異議申し立て棄却の通知がなされていない難民認定申請者が送還の直前に収容されたケースを多数確認しています。そのうちのAさんは、入管に収容された直後に外部への電話連絡を禁止され、「弁護士に電話をしたい」と職員に申し出たものの、許可されませんでした。こうして弁護士などの外部との連絡・通信手段を暴力的にうばわれた監禁状態で、Aさんは入管から異議申し立て棄却を通知されたといいます。
 異議申し立てを棄却された場合、申請者はその行政処分の取消しをもとめて訴訟をおこなう権利があります。入管は、棄却の通知にあたり、行政事件訴訟法にもとづき、その決定を知った日から6ヶ月以内に国を相手に決定の取消しをもとめて訴訟を提起することができるむねを、書面および口頭で教示することになっています。Aさんによると、棄却の通知時に入管は、きめられた形式どおりにこの教示をおこなったといいます。そこで、Aさんはその場で「裁判をします」と即座に言いましたが、入管職員は「いまはできません」などと言い、直前におこなったばかりの教示の内容をみずから反故にする発言をしたとのことです。入管は、Aさんの行政訴訟をおこなう意思を認識しながら、その機会をあたえず妨害し、無理やりに送還したわけです。
 難民認定申請者に対する法務省・入管のこのような送還のやりくちは、裁判を受ける権利(日本国憲法第32条)に対する明白な侵害であり、また、難民認定制度をますます形骸化させ、その公正さを決定的に破壊する暴挙というべきです。
【抗議声明】スリランカ・ベトナムへの集団送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2014年12月30日)

このように、身体を拘束した状態で難民申請の却下を通知してそのまま無理やり送還してしまうという手法が違法であると裁判所がきちんと断罪するのかどうかという点で、今回の裁判はきわめて重要です。

 なお、送還手法の強引さもさることながら、入管が政治難民を国籍国へと無理やりに送還したということそのものが、ゆるしがたい行為です。この裁判の原告も、スリランカに送還されたのち、現在にいたるまで自宅に帰ることはできず、国内各地を転々とする逃亡生活をよぎなくされているとのことです。


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《注》【抗議声明】ベトナムへのチャーター機での集団送還について - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年3月6日)など


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