Wednesday, October 5, 2011

東京入管Fブロック収容者の意見書

  東京入国管理局のFブロック(男性が収容されているブロック)の収容者が連名で提出した意見書の全文を公開します。
  27名、15国籍(アメリカ、フィリピン、イラン、ナイジェリア、韓国、ブラジル、インドネシア、ベトナム、スリランカ、ガーナ、タイ、中国、インド、ネパール)のかたがサインして、9月12日に提出されました。(画像はクリックするとおおきくなります)





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2011.9.12

にゅうかんの せきにんしゃへ

  われわれは おねがいが あります。ここの ルールは もちろん まもりますが、ただし われわれの おねがいも きいて 欲(ほ)しい。
  ここは いろんな ゆうぐうに されていますが、もっと ちがう ところも かいぜんして 欲(ほ)しいです。

一は フリータイムの じかんを 30ぷん えんちょうして ほしい。電話(でんわ)と シャワーと 洗濯(せんたく)の じかんを のばして 欲(ほ)しいです。
二は ねる時 ふとんじゃなく もうふを つかって いますが おきると からだが いたくなるのは しばしばです。
三は テレビと タバコの じかんも えんちょう して 欲(ほ)しい。毎日(まいにち) ここで あんまり やることが なくて それを できると ストレスや トラブルも へるし、いろいろ へんな ことも かんがえずに すむだから、おねがいします。

  われわれは じっさい ここで 生活(せいかつ)して いるので、ここの ふべんさは いちばん わかってるから、ぜひ しんけんに かんがえて、できるなら かいけつ して 欲(ほ)しいです。みなからの おねがいです!

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【補足】
  ほとんど補足説明は不要とおもわれます。いかに、入管が収容者の生活をきびしく制約しているかということが、要求項目から具体的につたわってきます。
  文章中にある「フリータイム」について説明します。
  入管の収容所・収容場では、「フリータイム」と呼ばれる時間帯以外、収容者は基本的に4~6人ほどの単位でカギのかかった居室にとじこめられます。食事と就寝などの時間は、このカギのかかった居室ですごすことをしいられ、シャワーや運動、洗濯、電話、他の部屋の収容者との会話はできません。
  午前と午後の「フリータイム」には、カギがあけられ、収容者は共用スペースに出ることをゆるされます。共用スペースは、フロアごとに「ブロック」とよばれる単位にわけられ、収容者は他のブロック(フロア)の収容者と直接あうことを禁じられています。おなじ収容所・収容場に同時に収容されていながら、夫婦で顔をあわせることはできないし、おなじ国の出身者であっても、ブロックがことなれば、あえません。
  東京入管のばあい、一日のスケジュールはつぎのようになっています。

  • 9:00 起床、点呼(朝7時過ぎに居室に弁当を持ってくる)
  • 9:30~12:00 フリータイム(「開放処遇」ともいう。共用スペースに移動でき、電話、洗濯、シャワー、運動場での運動などが出来る。居室に施錠監禁された状態から解かれる)

  • 12:00~13:00  昼食(各部屋に戻され施錠)

  • 13:00~15:30  フリータイム(その後、各部屋に戻され施錠)

  • 16:30~17:00  このあいだに、夕食が居室に運ばれる。
  • 21:00  点呼(TVが切れる。TVは上からぶら下がり式。リモコン操作。8時30分になると職員がリモコンを回収し、朝7時30分にかえってくる)
  • 22:00  消灯(照明は天井に埋め込み式)

  • 朝7:00  電気がつく。

  こうした収容のありかたは、「懲罰」「刑罰」としかおもえませんが、まえにこのブログでも説明したとおり(7A BLOCK収容者の嘆願書――東日本入管センター)、入管は法的に懲罰・刑罰の権限をみとめられていません。入管法からみても、入管はたんに国外への送還の手続き・準備のための「収容」をみとめられているにすぎないのです。
  そもそも、入管に収容されているひとたちは、「犯罪者」ではありません。日本での在留資格がみとめられず、たんに「不法滞在」の状態になっているだけです。そのなかには、いちど不認定になった難民認定を再度申請中で審査結果を待っているひともいれば、入管による行政処分としての退去強制令に対してその取消訴訟をおこなっているひともいます。また、刑事事件によって在留資格がとりけされたひともいますが、そのひとたちもすでに刑期をおえており、「犯罪者」としてこれ以上の刑罰をうけさせられるいわれはありません。
  このように「犯罪者」ですらないひとびとを、まるで「懲罰」「刑罰」としか言えないような状態で収容しているのが、入管の収容所・収容場における実態です。東京入管では、うえの意見書にあるように、ねるための敷きぶとんやマットレスすら与えていないとのことで、これもひどい話です。

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