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Sunday, August 21, 2011

7A BLOCK収容者の嘆願書――東日本入管センター

  東日本入管センター7A BLOCKの収容者の嘆願書を公開します。画像の下につけたテキスト・データは、じゃっかん表記をあらためたところがあります。
  嘆願書は、8月上旬に法務省と東日本入管センター所長あてで提出されました。入管側の誠実な回答をもとめます。
  この記事の末尾に、嘆願書にかんして解説めいた文章をつけました。よろしければ、そちらもあわせてお読みください。

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【画像はクリックするとおおきくなります】
 



法務省
東日本入国管理センター所長様

7A BLOCKの収容者の嘆願書

  7A BLOCKでは、難民申請者、日系人、日本人の配偶者、家族の生活など、様様な理由はあっても、収容されているわたしたちのことを考えてみませんか。
  今外はとても暑いので東日本入国管理センター中にあるエアコンの温度は上っていますので、昼は窓も閉まっています。今の状況には暑くるしく、たおれた人もいましたので、エアコンの温度は下げて下さい。窓を開けて下さい。よろしくお願いします。
  収容中一年以上の人はたくさいんいますし、再収容者は一回目と二回目2年6ヶ月以上東日本入国管理センター内での生活をしていますが、その間一度も食事を変えたことがないのです。いつも同じ食べものばかりなので食事の類を変えて下さい。よろしくお願いします。
  東日本入国管理センターでは、収容中病気にかかっている人はたくさんいます。いくら診察お願いしても、診察を受けないです。収容中は痛みのがまん出来なくストレスにかかって自殺した人もいましたし、自殺ミスイの人もいました。病人は外の病院に連れて行って下さい。よろしくお願いします。
  7A BLOCKでは刑期終了収容者が多いのです。折角刑期は終了しじゅうぶん反省しているのに東日本入国管理センターは同じ刑のこと考え、刑期終了者について長期収容するようにしています。東日本入国管理センターは入管法より刑法のことを考えることで、刑期終了者は東日本入国管理センター内で自殺した人もいました。刑期終了者は早めに外に出せるようによろしくお願いします。
  再収容者は東日本入国管理センターでは、2年6ヶ月以上収容生活した今も何時まで収容されているかまだ分からないままです。本国に帰国することが出来ない理由は申し立てているのに再収容しています。一回め収容は何だっだでしょうか。再収容者は東日本入国管理センター内でもっとも長い再収容者の仮放免許可を認めるようにお願いします。
 仮放免の許可されても保証金は高すぎて外に出られなくこまった人はいます。保証人と保証金とは二の保障なのでどっちかにもないし、保証金をこまっていることについても本人から仮放免担当様あてに説明しても、保証金はやすくしてないので、収容生活はもっと長くなってストレスなどの病気にかかっていいますので、保証金をやすくして下さい。よろしくお願いします。
7A BLOCKの収容中のみな様より
以上


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【解説めいた文章】
  昨年5月の東日本入管センター収容者によるハンガーストライキ、その後、仮放免で外に出たハンストの参加者たちが中心となっての「仮放免者の会」結成(同年10月)をへて、関東でも、収容者および仮放免者どうしの連帯・相互支援の輪は、しだいに大きく、また強くなってきました。
  昨年のハンストと「仮放免者の会」結成は、在留許可をもたないひとたち自身が、国籍や立場のちがいをこえて連帯をつくりあげていった点で画期的なものでした。ただ、当初は、中心となって運動をひっぱっていた難民申請者の存在感が色濃く出たものではありました。たとえば、5月のハンスト参加者たちの声明には、つぎのように書かれています。

  わたしたちが日本にやって来たのは、出身国での迫害から逃れるためです。ところが、難民資格を申請中であるにもかかわらず、わたしたちは入管に収容されてしまいました。そしてこの施設では適正な扱いを受けていません。

  実際には、このハンストに難民申請者ではないひとも参加していましたし、この声明文自体、いわゆる「難民」ではない日系ブラジル人の刑期終了者が自殺に追いこまれたことにもふれています。しかし、この昨年5月の声明文が、難民申請者の視点がつよく反映されたものであることは否定できません。
  これにたいし、上で紹介した「7A BLOCKの収容者の嘆願書」が特徴的なのは、「難民申請者、日系人、日本人の配偶者、家族の生活など、様様な理由」をかかえて「収容されているわたしたち」というふうに、難民申請者にとどまらない立場をこえた連帯が明確かつ意識的に表現されていることです。
  さらに、「7A BLOCKの収容者の嘆願書」は、「刑期終了者」が入管収容所でうけている不当な仕打ち(他の収容者よりも収容が長期化していること)についても、問題化しています。入管収容施設には、刑事事件(多くは薬物使用)を起こして、在留資格を取り消されたひとも収容されています。
  しかし、すでに刑務所での刑期を終えたひとに対し、収容によって自由をうばい、退去強制を命じるのは、あきらかに不当です。まず、日本国籍者ならば、刑事事件をおかしたからといって、日本から追放されることもなければ、刑期を終えたあとに無期限に収容されることも、当然ながらありません。外国人の場合のみ、こういった処置を受けるのですから、これは外国人差別・国籍差別にほかなりません。
  また、入管には、懲罰・刑事罰をあたえる権限を法的にみとめられていません。入管法上の「収容」とは、「退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる」と規定されるものにすぎません(「出入国管理及び難民認定法」第52条5)。つまり、入管は、国外への送還の手続き・準備のために収容をみとめられているにすぎません。ところが、刑事事件をおこした外国人たいし、入管は特別に収容を長びかせる処置をとっております。これは、入管が、懲罰機関でもないにもかかわらず、犯罪をおかしたひと、しかもすでに刑期をつとめあげたひとにたいし、事実上の二重三重の懲罰を勝手にくわえているようなものです。
  もちろん、刑事事件をおかしたひとであるかどうかにかかわらず、「嘆願書」で指摘されているような劣悪な処遇によって収容者を身体的・精神的に追いこむのは、先述の入管法上の「収容」の位置づけからみて、入管の権限をこえた越権行為であるのは言うまでもありません。すべての被収容者が、基本的人権の観点から不当であるのみならず、入管法からみても違法なあつかいを受けています。
  「嘆願書」は、「刑期終了者」もふくめたさまざまな立場をこえ、被収容者すべての問題として、入管による人権侵害を指摘し、改善をもとめています。こういった連帯は、7Bブロックにとどまらず、東日本入管センターの他のブロックや、東京入管の各ブロック、さらに仮放免で外に出ているひとたちのあいだでも、いま形づくられつつあります。
  私たち「仮放免者の会」に、Eさんというナイジェリア人リーダーがいます。彼女は、収容されるまえから、被収容者たちに面会し、支援する活動をおこなってきました。東日本入管センターに収容されているいまも、他の収容者に助言し励ましたり、精力的に支援をおこなっています。
  Eさんが面会時にくりかえし語っていたのは、「難民もオーバーステイのひとも、日本人と結婚しているひとも、みんなおなじ外国人だ」ということです。彼女が指摘しているのは、日本人と外国人のあいだに差別があるだけではなく、「おなじ外国人」のあいだに差別と分断の線が現にひかれているということ、外国人の運動は外国人差別とのたたかいであると同時に、「外国人」のあいだの差別と分断をも のりこえていくものでなければならない、ということだと思います。
  このようにして、収容中および仮放免中の在留資格をもたないひとたちが、おたがいの出会いと議論をとおして、強力な連帯と相互支援の輪をつくりだしつつあります。ご注目とご支援のほど、よろしくお願いいたします。

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