Sunday, December 31, 2017

被収容者の診療要求を隠蔽する東京入管



  入管の収容施設の医療について、これまで当会としても、さまざまな問題点を指摘し、改善を申入れてきました。被収容者の申し出があっても診療がなかなかおこなわれないこと、診療の必要/不必要を職員が判断するなど医師ではない者による医療判断が横行していること、医師の独立性が確保されておらず診療に入管が介入する事案がみられることなどについてです。




  入管に収容された人たちは、体調の不良があっても、自分で病院に行くことはできません。だからこそ、被収容者が診療を受ける権利を保障するうえで施設とその職員の責任は重大です。被収容者は、職員に対して診療を受けさせてほしいとの申し出をおこない、これを認められなければ、医師に会って話をすることすらできないのです。

  ところが、東京入国管理局は、被収容者が診療申出書を提出するのをこばんでいることがわかりました。以下に掲載するのは、東京入管に収容されているOさんが、担当(職員)との会話を記録したメモです。診療の申出書(アプリケーション)を書きたいと求めるOさんに対して、職員が拒否している様子がわかります。

  こうした職員の対応は、被収容者が診療を求めたという事実の証拠を、文書で残さないようにするためのものとしか考えられません。

  入管の収容施設では直近の4年間で5人もの被収容者が病死しています。あいついで病死者を出した施設が、医療処遇について事後的に検証可能な仕組みをととのえるのではなく、施設の責任を問われる証拠をのこさないようにふるまっているさまは、非常に不安をおぼえます。

  以下、Oさんのメモをお読みください。



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2017.10.5  B-128担当

すみません、なぜ診察を受けるためにアプリケーションを書けないんですか。
担当 順番が来たらアプリケーションを書いて貰っているよ。
いやいや前はみんな診察を受けるためには必ずアプリケーションを書いていましたよ。
担当 いつもアプリケーションを書けないよ。私5年間この仕事をしています。
いやいや私 1年前に2年間収容されていました。アプリケーションを書いていたことをちゃんと覚えています。
担当 アプリケーションを書くのは順番が来たら書いて貰うようになっていますよ。
それじゃ その順番がいつ来るかが分かりませんよ。
(1週間、2週間後に担当さんに確認して、いつ言ったんですか、記録がないとか)
言われたらどうするんですか。
担当 それは大丈夫。私たちちゃんと記録しているから。
それなら記録している物を見せてください。
担当 それはできません。
なぜできないんですか。見せて貰えるなら信じるよ。
担当 見せることができないので信じて待つしかないんです。


私が不服申出書を提出しますので担当さん呼んでくださいと言って会話が終わりました。担当さんと30分ぐらい話しました。


*その時の担当さんの態度が本当に悪かった。ずっと鼻で笑いながらえらそうに話をしていました。くそ外人何言っているのみたいな顔していました。
  たぶん担当さんが私のことあまり日本語分からないと思っていたかもしれない。
  次の日 総務課の担当さんが来て、私 B-128 担当さんの態度の悪さとアプリケーションについて話しました。注意してほしいと伝えました。
  不服申出書を提出しなかった。



2017.11.1  B-1358担当

腰が痛いから診察を受けたい
担当 はい分かりました

*本当に記録しているかな、アプリケーションを書けないからしょうがないな
  口頭で伝えました。



2017.11.16  B-1176担当
すみません、2週間前に診察を受けたいと伝えてあるんですけど、どうなっているんですか。確認して貰いますか。
担当 ちょっと待って。(戻って来て)すみません。記録がありません。いつ言ったんですか。
もう2週間が経ってるよ。何で記録がないんですか。
担当 記録がないから今日は記録して診察を受けるようにするから。毎日シップ貼っていること知っているから。
だから最初からアプリケーションを書いていればこんな事にならないよ。

この日 改めて記録して貰いました。本当に記録しているのかが分かりません。


*改めて診察を受けたいと記録されてから3日後に2017.11.19日にアプリケーションを書きました。次の日2017.11.20日に診察を受けることができました。
めちゃくちゃ早くない。ふつうは2週間ぐらい待たせるのにたぶんやりたくないんじゃないですか。やればできると思います。あとは担当さんの見た目で判断してやるのはやめてほしい。ちゃんと医者に診察を受けてほしい。なぜならここ品川収容施設の中で収容されていた何人も死亡したことが確かだ。それは担当さんたちの判断ではなくきちんと適切な措置をとっていればその人たち今も生きているかもしれない。みんなさん病気になった時はいつでも病院へ行って診察が受けることができます。私たちそれができないから順番待ったり、アプリケーションを書いたり、何週間も待ったりして本当に苦しんでいます。
みんなさんの眼には私たちどのように見えているのかが分かりませんが、私たちはみんなさんと同じ人間です。みんなさんと同じ家族もいる、子供もいる、だから同じ人間として人間と同じ扱いしてほしい。
よろしくお願いします。

*この不服申出書を[入国者収容所等]視察委員会とボランティア、仮放免者の会に提出します。

Friday, December 15, 2017

【転載】12月24日キャンドルナイトアクション






12月24日(日)に、大阪入管前で「キャンドルナイトアクション」と題した行動がおこなわれます。

主催団体のひとつであるTRYのブログより、以下転載します。







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12月24日キャンドルナイトアクション | TRY 入管面会報告

12月24日、家族や友人らと共に過ごす一日に、大阪入管に収容されている外国人の方たちを励ますキャンドルナイトアクションを行います。光を手にもって、思いを届けませんか。

日時:12月24日(日)16時半~17時半
場所:大阪入国管理局前に集合
持ち物:ライトなどの光るもの(火気厳禁)
参加費:無料
※面会は出来ません。外からの応援のみです。
問い合わせ:try@try-together.com
主催:TRY、WITH、難民支援コーディネーターズ関西

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【リンク】

Tuesday, October 3, 2017

仮放免者の会 第8回大会
















2017年10月29日(日曜日)12:30pm
集合・JR板橋駅 西口
会場・ハイライフプラザいたばし
一時旅行許可・東京都板橋区

10がつ29にち (にちようび)12:30pm
しゅうごう・JRいたばしえき にしぐち
かいじょう・ハイライフプラザいたばし
いちじりょこうきょか・とうきょうといたばしく

10gatu29niti(nitiyoobi)12:30
syuugoo:JR Itabasi eki nisi guti
kaijoo: High life plaza Itabasi
itiji ryokoo kyoka:tookyooto itabasi ku 

みやさこMiyasako 090-6547-7628  | くどうKudoo 080-1008-9219 


Thursday, September 28, 2017

大阪入管の現状について


  9月12日(火)、大阪入国管理局において一斉面会がおこわなれました。支援者ら17名がそれぞれ被収容者に面会するとともに、大阪入管に対して抗議・申し入れをおこなったものです。

  当日の様子と大阪入管に提出した申入書については、一斉面会を主催した支援団体のTRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)のブログをごらんください。




  申入書(この記事の下にも転載しております)にくわしく述べられているとおり、大阪入管ではさまざまな問題が立て続けに起こっています。

  6月29日には、大阪入管の職員5名がベトナム人夫婦の自宅を裁判所の令状なしに違法に侵入し捜索するという事件がありました。この事件は、NHKなどでも報道されたとおり、被害者が9月1日に大阪地方検察庁に刑事告訴したところです。




  7月12日には、職員による「制圧」行為(手首をつかまれ背中の後ろでひねりあげた)で、トルコ人被収容者が右肩を骨折する重傷をおわされました。

  食事(官給食)についても、賞味期限切れの食品が出されたり、朝食のゆで卵について火が通っておらず生のものが何人かに配食されたり、イスラム教徒の食事にあやまって豚肉が混入されていたり、といった事案が続いています(賞味期限切れの食品と卵の件では、被収容者の抗議を受けて、給食業者が入管職員とともに被収容者たちのもとに出向いて謝罪しました)。

  こうした問題に対し、大阪入管では被収容者たちの抗議もそのつどくり返しおこなわれており、9月14日にはAブロックの被収容者31名が連名での要求書を大阪入国管理局局長あてで提出しました。




  このように被収容者たちから激しい抗議の声があがっている背景には、大阪入管において顕著になっている長期収容問題があります。先述の申入書は、つぎのように指摘しております。

  大阪入管収容場において収容が長期化している。1年を越える被収容者が24名、その内2年を越える被収容者が7名もおり、その中には約3年になる被収容者もいる。大阪入管収容場の被収容者の3分の1が1年を越えるという異常状態となっている。
  このように、人間の時間的・空間的感覚を奪う外界と遮断され密閉収容施設に無期限長期収容(無期限拘禁)し、被収容者の心身を痛みつけることは拷問に該当する。

  申入書に述べられているように、日本政府は国連の拷問禁止委員会に対し「仮放免を弾力的に活用し,収容の長期化をできるだけ回避するよう取り組んでいる」と回答しています。ところが、大阪入管は、この国連への公約とはまったく異なって、2年間以上にわたって仮放免許可がほとんど出ていないという実態にあります。

  さて、この収容長期化傾向は、大阪ほど顕著ではないものの、他の地方入管局(東京および名古屋)や両入管センター(東日本および大村)においても深刻な問題となっています。また、各地方入管局は仮放免者の再収容を強化させています。こうした各施設での長期収容・再収容の背景に、3,000人以上にまで増加した仮放免者数を減少させるとの法務省入国管理局の方針があるとみられます。このことは、5月におこなわれた東京入管被収容者による大規模ハンストによせた以下の記事で述べてあります。




  仮放免者数の増大に対する現時点での入管の対応が、収容長期化と仮放免者の再収容の強化であるわけです。しかし、上記の記事をふくめこのブログでくり返し述べてきたように、そもそも仮放免者数の増大をもたらしているおもな要因は、難民認定率のいちじるしい低さとあわせて、バブル期から現在にいたる、日本政府の外国人労働者政策の矛盾にあるというべきなのです。

  そして何より問題なのは、送還の見込みのたたない人びとをもいたずらに長期間にわたって収容しつづけていること(収容が長期にわたっていることそのものが、送還の見込みのなさを示してもいます)です。2年も3年ものあいだ身体を拘束して自由をうばい、被収容者を拘禁症状で苦しめつづけることは、人権・人道上の観点から言って、たんなる「送還のための身柄確保」などという理由によって正当化されるものではありません。大阪入管は苦痛を与えることで在留の意思をくじき帰国においこむために収容を長期化させているのではないか。拷問を帰国強要の手段としてもちいているのではないか。そのように勘ぐられても、しかたがないのではないでしょうか。

  今後とも、大阪入管をはじめ入管施設の収容の問題への注目をお願いします。




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申 入 書
2017年9月12日

申し入れ団体
 WITH(西日本入管センターを考える会)
 TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)
 難民支援コーディネーターズ・関西
 難民支援団体 ピースバード

1.大阪入管収容場において収容が長期化している。1年を越える被収容者が24名、その内2年を越える被収容者が7名もおり、その中には約3年になる被収容者もいる。大阪入管収容場の被収容者の3分の1が1年を越えるという異常状態となっている。
 このように、人間の時間的・空間的感覚を奪う外界と遮断され密閉収容施設に無期限長期収容(無期限拘禁)し、被収容者の心身を痛みつけることは拷問に該当する。
  
  日本政府は2011年に国連拷問禁止委員会に対し、以下報告した。
収容中の難民認定申請や,難民認定申請を繰り返し行う場合などにより,近年,収容が長期化する傾向にあることを踏まえて,2010年7月から,退去強制令書が発付された後,相当の期間を経過しても送還に至っていない被収容者については,仮放免の請求の有無にかかわらず,入国者収容所長又は主任審査官が一定期間ごとにその仮放免の必要性や相当性を検証・検討の上,その結果を踏まえ,被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用し,収容の長期化をできるだけ回避するよう取り組んでいる。

  上記報告は2010年7月30日、法務省入管局がプレスリリースした「被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用することにより,収容長期化をできるだけ回避するよう取り組むこととし,より一層の適正な退去強制手続の実施に努めてまいります。」という声明に沿ったものである。
 
  しかるに貴局の「仮放免は極めて例外的な措置に過ぎない」(長期収容を回避せず無期限収容する)という被収容者に対する回答は、上記日本政府の国際における、及び法務省入管局の国内における公約を踏みにじるものである。
 私たちは、以下、要望し、かつ回答を求める。
①日本政府が国際において、また法務省入管局が国内において公約した「被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用し,収容の長期化をできるだけ回避」に沿って仮放免するよう求める。
②「仮放免は極めて例外的な措置に過ぎない」というBブロックの被収容者に回答内容は、法務省入管局としての見解か、それとも大阪入管局としての見解か否か。

2.処遇問題等について
 ①2017年7月12日、貴局入管職員らがトルコ人男性をうつ伏せに倒し、両手を背中に回して手錠を掛ける際、肩の骨を骨折させるという重傷を負わせた。理由がどうであれ、被収容者に重症を負わせる制圧行為は正当化できない。トルコ人男性は一人であり、それに対し5,6人の職員が正当な職務行為と称して、制裁を加えることは到底許されるものではない。
 ②2017年6月19日より、法務省入管局管理下の収容施設において全面禁煙となった。タバコを被収容者から取り上げ領置しておきならが、禁煙措置後、隔離房のあるフロアで貴局職員が喫煙をしていた。
 ③2017年8月20日の夕食において支給された味噌汁が賞味期限切れの味噌汁であった。このことがAブロックで発覚した。このことは、食事の選択権を奪われた被収容者にとって、賞味期限切れの味噌汁を貴局によって食わされたということである。このこと対し、収容場職員と給食業者が謝罪したが、その際「味は落ちるが、摂取しても問題はない」という趣旨の発言をした。これは被収容者に対し、安全管理責任義務のある貴局の責任を自覚した発言ではない。
 ④2017年9月4日、Aブロックの7号室の被収容者の大半に湿疹が発生し、同室全員がDブロックに移動された。湿疹の原因は、ダニの発生と思われる。居室の定期消毒は、被収容者に対する安全管理責任義務を果たすために必要不可欠である。
 ⑤2017年6月29日、ベトナム人女性の住居に、貴局警備職員5名が不法侵入し、同女性の夫のパスポートを捜索した。同女性の所持品も含め、職員らは勝手に捜索し、部屋の中をさんざん散らかして帰った。
  以上は、全てあってはならないことである。制圧と称して暴行を加えて重症を負わせ、タバコの喫煙を禁止して自分達はタバコを吸い、賞味期限切れの食事を食わせ、不衛生な居室に拘禁し、さらに外国人だからと住居に不法侵入する。これら全ては許されるものではない。上記項目の全てに対し、貴局に厳重に抗議するとともに、二度の同様のことが起こらないよう、適切な措置を講じるよう求める。
以 上

Wednesday, August 16, 2017

東日本入管センターで連名要求書(長期収容・再収容への抗議、医療問題など)

  東京入管で最大70名の被収容者が参加したハンガーストライキが起こってから、3か月がたちました(ハンストの経過や背景を解説した当ブログの記事、およびマスコミ報道等のリンクは、以下の記事にまとめています)。


  ところが、東京入管では、ハンストの主因となった仮放免者の再収容はひきつづきおこなわれており、おなじくハンスト参加者が問題にした長期収容の傾向もかわっておりません。

  おなじ関東地方にある東日本入国管理センターでも収容が長期化する傾向にあり、被収容者たちの心身の状況は悪化しています。

  こうした再収容の頻発と収容の長期化は、関東地方だけでなく、全国の入管収容施設で近年顕著になっている傾向です。

  たとえば、大阪入管では、2015年以降、仮放免申請してもほとんど許可が出ないという状況が続いています。難民申請して審査中の人も、また退去命令を不服として行政訴訟をおこなっている人も、仮放免許可がされず施設にとめおかれています。これらの人たちは、入管にとって送還の見込みが当面立たない人たちです。入管は送還を目的とした施設に、送還の見込みの立っていない人を収容しつづけているのです。いたずらに心身を痛めつけるだけの人身の自由をうばい拘束しているとしか言いようがありません。さらに大阪では、東京同様、仮放免者の再収容を最近強化しはじめました。

  長崎県にある大村入国管理センターでも、今年に入ってから、難民審査中であっても仮放免許可が出なくなり、収容の長期化が顕著になっています。

  こうした全国的な収容の長期化と再収容の強化の背景には、以下の記事で述べたように、増大した仮放免者数を減少させるという法務省の方針があるのはあきらかです。


  このような強硬方針は、難民であったり、あるいは家族が日本にいる、日本にしか生活基盤がないなど、国籍国に帰るに帰れない人々を苦しめるだけであって、これによって得られるものはなにもありません。

  6月7日、東日本入管センターでは、8Bブロックの被収容者が18名の連名で、同センター所長あてに要求書を提出しました。要求書は、入管側に対し、医療の改善、長期収容・再収容をやめること、仮放免保証金の減額、無理やりの送還の停止などをもとめ、所長からの回答を要求しています。

  ところが、入管側の対応は現在のところ誠実とは言いがたいものです。同センターは、6月21日に一応は所長からの回答をおこなったものの、その回答のしかたが姑息なものでした。以前は、同センターは、被収容者の連名での要求書に対しては、収容所内に文書を掲示して回答していました。ところが、今回は同センターは文書の掲示はせずに、代表者1名を別室に呼んで、その代表者の母語(ペルシャ語)の通訳をつけて、口頭で回答をおこないました。

  通訳をつけたということ自体は、適切な配慮といえるかもしれません。しかし、姑息と言うべきなのは、代表者ひとりだけを呼んで口頭でのみ回答をおこなうという、その方法です。同センターの職員は、回答にさいして所長による回答の文書(日本語)を手元にもっていたので、被収容者がその文書をコピーさせてほしいと要請しました。ところが、コピーをいま渡すことはできないが、この文書を開示請求することはできると言われ、拒否されたそうです。

  開示請求の手続きをとった場合、入管は請求から開示まで最大2ヶ月間、時間かせぎができます。日本語の回答文書を用意しているにもかかわらず、これを掲示または手渡すことをしなかったのも、通訳を介して代表者1名のみに口頭で回答するという方法をとったのも、その入管側の意図はあきらかです。それは、要求書を連名で出した被収容者たちが入管の回答の内容をただちに共有するのをさまたげようという意図です。

  東日本入管センターには、こういうやり口を考える時間があるなら、被収容者の声に真摯に向き合い、対話をするということにこそ手間をさいてほしいものです。


  以下、8Bブロックの要求書の原文(英文)を、日本語訳をつけて全文掲載します。

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To BUREAU OF IBARAKI IMMIGRATION CENTRE

2017-JUNE

  We would like to put forward these pressing issues to the Bureau ofImmigration regarding the standard of living and treatment ofdetainees and overall circumstances concerning their basic humanrights.


1. Medical Treatment
  In regards to recent incidents involving the health issues ofdetainees, we believe that the medical care and treatment proceduresat the detention facilities are in a dire need for change. The deathof a fellow detainee in March, 2017 is an example, too heavy tosuffer, which teaches how much a human life matters. Having to waitalmost a full month to get basic healthcare checkups is just farcical.Relying on medical instructions from officers with no medical historyis dangerous, and if need to be given a classification, is a crime. Itseems only natural for detainees to suffer several mental and physicaldisorders, with no consistent means of stress relief or relaxation,stretched further out by long durations of detention. If such durationcannot be reformed, provide us with better health care and a morecomfortable living environment.

2. Detention Duration
  Although there are a number of different detainees of differentcircumstances, we believe that it is simply inhumane that anybody hasto suffer through 1 or 2 years of detention, without pre-informednotifications regarding any classification on tha timing of release.Unless a clear set of durations are either set up or informed todetainees, it seems as if the Bureau is playing puppets with our livesand acting upon, either biased prejudice or simply individualopinions. Only rogue states with zero respect for human rights abusesuch authority and detain a person with no regards to their humanityand their existence. Such long detention periods, ultimately leads tomental and physical disorders, mostly due to stress, which, honestly,are torturous and no human being should go through. Any form ofdetention ranging from 8~12 months maximum, should be enough toprocess documents for either refugees or other detainees. We allpromise to oblige to the rules and norms of Japan as any normal humanbeing and have no intentions of any sort of distribute or harm peace.


3. Decision of Provisional Release
  The extraordinary amount to time taken to get the results of ourProvisional Release Applications are nowhere near efficient. Having towait 60-90 days in desperation, in addition to months, already spentin detention to get the results is very distressing. Also, as in mostcases, when the applications are eventually rejected without anydetailed reasons and facts provided to the applicants is ineffectiveand seem unreasonable to the applicants. Either approved or denied, webelieve that, such decision making durations should not be takinglonger than 30 days or less. When disapproved, please provide us withthe reasonings of such decision in detail, which will eventually helpus to prepare better documents and facts supporting our case when weapply for our Provisional Release again.


4. Amount of Guaranty Money (¥50,000~¥100,000)
  Most of the detainees are refugees coming from some of the mostunder-developed countries in the world, with little or no personalbelongings or valuables. Also when it comes to financial matters, eventhe detainees with a history of violations who having no properemployment history personal income, may also fall in the same categoryas their fellow refugee detainees. Since we are not allowed to work orbe employed under the conditions of Provisional Release, asking us fora high sum of money in the name of Guaranty Fee, is very difficult forus and only adds to our pre-existing troubles. We would like torequest the Bureau to limit such amounts to a maximum of ¥100,000,which for the most of us is still a high amount, but seems moremanageable.


5. Stop Re-detention
  As long as we follow the terms and regulations of our ProvisionalRelease statements, please don't detain us again without providing anydetailed reasons. We have met several detainees and have also heard ofseveral different cases, where a person was asked to visit a BureauOffice to receive their permit extensions, but were instead detainedwith no statements or if provided, vague and unrealistic statements.It only seems to us that the Bureau is playing with human lives assuch actions are just inhumane.


6. Stop Forceful Deportation
  Forceful deportations are an inhumane act of authority. It mirrorskidnapping, to give an example, which is also against a person's willand callous by nature. Such procedures are considered oppressive inmany developed countries of the world. Japan, a leading nation of theworld, adopting such uncivilized measures is inconceivable.Furthermore, such actions disregards many human rights issues andshould be seriously re-considered.


7. Provide Us with Proper Visa
  The Bureau is spending millions of yen to facilitate detentioncenters all over the nation. The accommodation costs of detainees, theutility bills, the medical and health care, the staffs and officers onpay with few duties to perform - all of these and  many more without adoubt, are being funded by the well-earned tax money of the Japanesepeople. And for that? To detain refugees, along with several personwho have families and relatives living, and willing to support themfinancially, in Japan. Nonetheless, such high cost of facilitatingdetention centers is a waste of valuable tax money. We as well want tobe a part of this system where we can instead be of a positivecontributer to the nation of Japan. Provide us with properdocumentations to work and pay back our freedom by paying taxes to thegovernment, rather than spending money to detain us. We want to be apart of the society, give us an opportunity, a chance to prove ourvirtues and potentials.



×        ×        ×

Letter of Petition
  We, the petitioners, understand that the requests mentioned in theabove statement, might be excessive at some point, and vague in thenature of some details. However, we the petitioners have no othermeans to express our sufferings and our discontent in the mattersraised in this statement. These issues are the very core of thefoundation that Bureau functions upon, which we believe are uneven andillegitimate, when it comes to basic human rights issues and hence,segregates from the status of Japan in the world as a global leaderand an exemplary member of the United Nations.
  We, the petitioners/detainees, have discussed such matters withvolunteer groups, refugee support organizations and Amnesty supportgroups share the same opinion in the fact that, there areirregularities in the various conducts and regulations that the Bureaubases its methods upon. We, the petitioners/detainees, and the beforementioned support groups, all agree that there is a need foramendments, which acknowledge the issues mentioned in this statementor any other issues that we might have overlooked.
  We are sending this letter of petition along with the signatures ofthe detainees, to the head of the East-Japan Immigration Center or anydepartment that oversee such related issues.
  We, the petitioners would like to sincerely request the head of theEast-Japan Immigration Center or any department that oversee suchissues, to acknowledge this petition and inform us of suchacknowledgement in the form of a written document. We would solemnlylike to request that this written document certifies that our concernshave been heard and the Bureau is in the process of making amendments.Due to the state of our conditions and the grave importance of theissues raised, we would like to recieve a Letter of Acknowledgement,in a period of at least 2 weeks, from the date of our submission ofthe Letter of Petition. Furthermore, we would also like to requestthat the Bureau put forward amendments, which reflect upon the issueswe have raised in this petition letter, in no further that a monthafter we receive the Letter of Acknowledgement.
  The underlined requests in the above paragraph are our solemnrequests. We, the petitioners, along with the help of the supportgroups and human rights organizations, pledge to this statement. Thisis our first action in requesting the Bureau for amendments. When ourfirst form of this request is not acknowledged by the Bureau, we willbe left with no choice but to demonstrate our pleadings through massparticipations, peacefully and actively, which shall induce theattention of the volunteer groups, and human rights organizations, themass media and not to mention, the Bureau.  Please understand theimportance of our proposed petition and help us move towards apositive conclusion.


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【日本語訳】
東日本入国管理センター御中
  私たちは、入国管理センターに対し、被収容者の基本的人権に関して、生活の水準や被収容者への処遇、全体的な環境に関しての急を要する問題について提言したい。 

1.医療について
  被収容者の健康問題をめぐる最近の事件に関し、私たちは、収容施設での医療のあり方、そして診療にいたる手続きのあり方はすぐに変えられるべきであると信じている。2017年3月に起きた仲間の被収容者の死はとても耐えがたく、どれほど人間の生命が重要であるかを示す1つの例だ。基本的な診察を受けるのにほぼまる1か月間待ち続けなければならないのは、ばかげているとしか言いようがない。医学を修めていない職員からの医学的な指示に頼るのは危険であり、またこう言ってよければ、[職員が医学的な指示をおこなうことは]違法行為ですらある。被収容者にとって、ストレスの軽減やリラックスのための着実な手段がない状況の下で、長く続く収容によってますます、様々な心身の不調に苦しむことはまったく不思議ではないことだと思われる。もし長期収容を改めることができないのならば、せめて私たちにより良いヘルスケアやもっと十分な生活環境を提供してほしい。

2.収容期間について
  さまざまな事情をもった多数の被収容者がいるが、釈放の時期の目安について事前に知らされることなく、誰もが1~2年間の収容に苦しまなければならないのは非人道的としか言いようがないと私たちは思っている。期間の明確な決まりが設定され、被収容者に通知されるのでない限り、それはまるで入管が私たちの命を操り人形のごとくもてあそんでいるように見え、あるいは偏見や単なる個人の意見に偏向しているように思える。こんなふうに権限を濫用し、人間をその人間性や実存をかえりみることなく拘束するのは、人権をいっさい尊重することのない、ならず者国家以外にはない。このような長期の収容期間は、多くはストレスに起因する心身の不調を最終的に引き起こすし、率直に言ってそれは大変な苦痛をともない、人間がやり過ごせるようなものではないほどである。どんな収容の形でも最大で8~12か月あれば、難民のであれ他の被収容者のものであれ、書類を処理するのに十分であるはずだ。私たち全員は普通の人間として、日本の規則や規範を順守すること、また混乱や平和をむしばもうとするいかなる意図も持っていないことを約束する。このような人間の基本的性質は、この国の誰も、世界中の誰も、同じく持ち合わせているものである。

3.仮放免の決定について
  私たちが仮放免申請の結果を受け取るまでの異常な長さは効率的とはとうてい言えない。収容されてすでに何カ月も経っているのに、さらに60~90日も絶望のなかで待ち続けなければならないのは、たいへんな苦悩をともなうのである。また、ほとんどのケースで、申請は何の詳細な理由や事実も申請者に与えられることなく結局却下される。それは非効率であり、また、申請者に対し不当であるように思う。許可にしても不許可にしても、このような決定は30日より長くかけるべきでないと私たちは思っている。許可されない時は、詳細にその決定の理由を私たちに示して欲しい。詳細な理由を示してもらえたら、私たちが仮放免を再度申請するときにより良い書類や私たちの事情を証拠立てる事実を準備する助けにいずれなるだろう。

4.保証金の額(5万円~10万円)について
  ほとんどの被収容者は世界で最も低開発の国々から来た難民であり、個人の持ち物や高価な品物はほとんど、あるいはまったく持っていない。また、金銭的な問題においては、定職と個人所得を持っていたわけではない犯歴のある被収容者も、いっしょに収容されている難民たちと同種の問題におちいりうる。私たちは仮放免の状況下で働いたり雇われることを許可されていないので、保証金の名の下に高い金額を求められても支払うのはとても難しく、前から存在する問題を増やすだけだ。私たちは、その金額の上限を10万円に設定することを入管に要求したい。10万円という金額は私たちのほとんどにとってそれでも高額であるが、いくらか融通しやすい。

5.再収容をやめること
  私たちが条件付きの仮放免という地位の[出頭]期日や規則に従っている限り、詳細な理由の説明もなしに私たちを再収容するのはやめて欲しい。私たちは何人かの被収容者に会い、そしていくつかの異なる事例を聞いた。ある人は延長の許可を受けるために入管を訪ねるように言われたが、代わりに何の説明もなしに収容され、仮に説明があっても曖昧で非現実的なものだった。そのような人間の生活をもてあそんでいるだけにしかみえない入管の行為は、ただただ非人道的である。

6.無理やりの送還をやめること
  無理やりの送還は職権によっておこなわれる非人道的な行為である。それはたとえるならば誘拐と似ており、また人の意思に反し、無情である。そのような行為は世界の多くの先進国では不当だと考えられている。世界をリードする国である日本がこのような非文明的な処置を採用するなんてあり得ない。さらに、このような行為は多くの人権課題を無視するものであり、深刻に再考すべきだ。

7.適切なビザを私たちに与えること
  入管は全国の収容施設の維持に何百万円も使っている。被収容者の収容費用、光熱費、医療や健康の管理費、わずかしか職務のない職員や警備官に支払う給料のための資金。それらすべてとそれ以外の経費は、疑いなく、日本の人々が働いて稼いだ税金から支出されている。何のために?難民を収容するためにである。また、日本に暮らす家族や親せきがおり、その人たちを経済的に支えたいと思っている人々を収容するためにである。しかし、収容施設の維持にこれほど高い費用をかけるのは貴重な税金の無駄使いだ。私たちも、日本の国に積極的に貢献しうる者として、このシステムの一部でありたいと思っている。私たちを収容するのにお金を使うよりは、私たちに適切な仕事の許可を与えてほしい。私たちが政府に税金を払うかわりに、私たちに自由を与えてほしい。私たちは社会の一員となりたい。私たち美徳と能力を発揮する機会を与えてほしい。



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嘆願の手紙
  私たち嘆願者は、以上述べてきた要求において、極端な点があり、また細部においてあいまいな点があることも理解している。しかし、私たち嘆願者にとって、この文書で示してきた問題についての私たちの苦しみや不満を表現するのに、ほかに方法がないのである。これらの問題は、私たちが不公平で違法だと思っている入管機能の基礎のまさに核心にあるものであり、基本的人権の問題に関しては、グローバル・リーダーであり国連の模範的なメンバーとしての日本の世界における地位からかけ離れていることを示すものである。
  私たち嘆願者/被収容者は、様々なボランティア団体、難民支援組織、支援団体とこのような問題を議論し、様々な行為や入管がそのやり方の基礎にしている規則について一貫性が欠如しているという事実に対して同じ意見を共有した。私たち嘆願者/被収容者と、前述の支援団体らは、この文書で言及した問題、あるいは私たちが見落としてるかもしれない問題について、改善の必要があるという意見で一致した。
 私たちは、この嘆願書を被収容者たちの署名をつけて東日本入国管理センター所長とこれら関連する問題を監督する機関に送る。
 私たち嘆願者は東日本入国管理センター所長と監督機関に、この嘆願書を受け取ったら、受け取ったということを文書の形で私たちに知らせていただくよう、心からお願いしたい。私たちは、入管がその文書によって、私たちの関心事が聞き届けられ、そして入管が改善の過程にあると示すよう、厳粛に求めたい。私たちの状況とここで述べてきた問題の重要さゆえ、この嘆願書を提出した日から2週間以内に、嘆願書を受け取ったことを示す文書をもらいたい。さらに、私たちがそれを受け取ってから1か月以内に、私たちがこの嘆願書でおこなってきた問題提起を反映した改善案を入管が提示することも求めたい。
 上の段落で下線を引いた要求は、私たちの真摯な要求である。私たち嘆願者は、支援団体や人権団体の援助のもと、この声明を宣言する。これは入管に改善を求める私たちの最初の行動である。この私たちの要求の最初のかたちが入管によって無視されるならば、平和的かつ行動的に、集団的参加をつうじて私たちの訴えを示し、ボランティア団体、人権団体、マスメディア、そして言うまでもなく入管の注目を集める行動をとらざるをえない。どうか私たちの訴えの重要性を理解し、前向きな結論に向かって進むようお願いしたい。



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8.14再収容停止の申し入れと東京入管前激励行動



   8月14日、東京入管の前にて、13時より被収容者を激励する行動をおこないました。この日の行動は、毎日新聞が報道しております。
  また、14時からは、東京入管にたいして、仮放免者の再収容をやめるよう、申し入れをおこないました。以下、申入書を掲載します。

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申 入 書

2017年8月14日
法務省入国管理局長 殿
東京入国管理局長 殿

東京入国管理局主任審査官 殿
仮放免者の会

難民不認定異議申立棄却通知や敗訴確定、仮放免条件違反(指定住居、就労)を理由とする再収容の中止、再収容者への早期仮放免を求めます
 退令仮放免者は、退去強制令書発付処分を受け、多くは長期に渡る退令収容に耐えて仮放免となった者である。長期収容は、心身をむしばみ、誰しも拘禁反応に苦しめられた。それでも退令に服することはできない者が退令仮放免者として存在している。1980年代半ばからのバブル景気の労働力不足の時代から入国して働いて来た者、日本人や正規滞在外国人と日本で出会い結婚した者、子が日本で生まれ育ち就学している者、日本に庇護を求めて入国した難民など、事情は様々だが、いずれも帰るに帰れない事情を抱えているからこそ、執行面接にも長期収容にも耐えて仮放免になったのである。
  その仮放免者の再収容は、再び拘禁状況の中で心身を衰弱させるだけであり、人権侵害に他ならない。2009年7月から2011年1月にかけての東京局での再収容件数の激増の期間を見ても、また2013年以降の再収容の事例を見ても、ほとんどの者は、再び三度の長期収容に耐えて仮放免となっている。
  また現在、昨年来の仮放免条件違反を理由とする再収容が激増し、難民異議棄却や敗訴確定を契機とする再収容も激増し、仲間たちが再度、再々度の収容に苦しめられている。逃亡したわけでもないのに、引越の報告が遅れたからと収容されたり、生きていくためにやむなく稼働したことを理由に収容されたりしている。もはや、再収容そのものが目的化しているとしか受け止めることができない。収容-仮放免-再収容-仮放免-再々収容-仮放免と繰り返される入出所は、ただ本人を痛めつけ、生活を破壊するだけであり、収容権の濫用である。
  私たちは、こうした収容権の濫用について絶対に反対である。再収容を中止し、すでに再収容された者を速やかに仮放免することを申し入れる。


以 上


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関連記事

Thursday, June 8, 2017

Abema TVで入管問題について放送(5月12日)

  5月12日、テレビ朝日系インターネットTV、Abema TVのAbema Primeで、入管の問題についての番組が放送されました。

  5月9日に始まった東京入管での被収容者ハンストの話題を入口に、入管収容施設における医療など処遇の問題、非正規滞在外国人の置かれた人権侵害状況などについて、番組では取り上げられています。仮放免者の会顧問弁護士の指宿昭一(いぶすき・しょういち)も出演して、上記の問題について実例をあげてお話しています。

  番組の動画が、Abema TVのサイトで公開されていますので、ぜひご視聴ください。



(「死ぬまで戦う」東京入管で収容された外国人たちが抗議の”断食” | Abema TIMES)




関連

Friday, June 2, 2017

日本外国特派員協会にて記者会見――東京入管でのハンストについて



  東京入管で2週間にわたっておこなわれた大規模ハンガーストライキについて、5月25日に日本外国特派員協会にて記者会見をおこないました。5月9日から22日まで最大70名の被収容者が参加してのハンストについて、仮放免者の会より宮廻満(事務局長)と指宿昭一(顧問弁護士)が、その概況、目的と要求、東京入管の対応の問題点、ハンストの背景としての法制度や入管行政の問題点などについて、お話しました。

  1時間以上にわたる動画ですが、ぜひご視聴ください。



Mitsuru Miyasako & Syoichi Ibusuki: "Foreign Detainees on Hunger Strike" - YouTube




  今回のハンストについては、国内メディアはもとより、ロイター通信のほか、香港やイランなど海外のメディアも多く報道しています。日本の入管による苛烈な人権侵害、ひいては日本政府がおこなってきた外国人差別・人種差別的な政策が、国際的な厳しい関心をむけられつつあるものと言えるでしょう。



◇        ◇        ◇        ◇        ◇


  今回のハンストの背景、経過と、ハンスト参加者の要求書・声明については、以下の記事も参照してください。



1.ハンストの背景について

2.ハンストの経過

3.ハンスト参加者の要求書・声明

Thursday, May 25, 2017

東京入管ハンスト、23日(火)に解除

  5月9日に始まった、東京入管での被収容者によるハンガーストライキは、23日(火)に解除され、現在では参加者全員が食事をとっているようです。参加者によると、ハンストはいったん解除・中断したうえで、入管の今後の対応をみるということです。最大70人が参加した2週間にわたった大規模ハンストは、とりあえずは収束しました。

  東京入管への抗議・意見提示、情報の拡散等にご協力いただいたみなさまに敬意を表しますとともに、感謝申しあげます。

  ただし、ハンストの原因となった問題はなんら解決していませんし、入管側が問題に前向きに取り組む姿勢をみせているわけでもありません。ハンスト者の要求書に対して、東京入管は回答をしていないどころか、受け取ってすらいないのです。東京入管は、ハンスト参加者との対話の入り口にもついておらず、非暴力的な抗議に暴力的制圧でこたえ、負傷者を出すにいたりました。

  また、今回のハンストの背景となっている問題も、根深いものがあります。以下の記事で指摘したとおり、このハンストの背景には、仮放免者問題(仮放免者数の増加と仮放免期間の長期化)があります。
  この仮放免者問題とは、バブル期以来の外国人労働者政策の矛盾に起因するものにほかなりません。ところが、法務省入国管理局は、増加した仮放免者数を収容と送還の強化によって減少・抑制しようという方針に固執しているようです。そうした法務省の方針のもと、東京入管は、昨年から再収容を強化しているのでしょう。

  しかし、政策的な矛盾に由来する問題を、いわば力づくで「解決」しようという方針が、反発をまねかないわけがありません。その意味で、今回の大規模ハンストがおこなわれたのは、必然的であったと言ってもよいと思います。

  東京入管の被収容者たちが、ハンガーストライキをとおして突きつけた問題は、解消されずに残っています。今後とも、東京入管の対応とともに、入管の収容と送還の問題、仮放免者問題への注目をお願いします。




【リンク】
ハンスト参加者の要求書・声明


ハンストの経過(5月9日~23日)


マスコミ報道

Friday, May 19, 2017

【日本語訳】東京入管ハンストの要求書

  東京入管での被収容者によるハンガーストライキが5月9日からおこなわれています。


  以下で紹介した被収容者の入管に対する要求書(英文)の日本語訳を掲載します。リンク先にある英語の原文、日本語で書かれた「要求書」兼「支援要請文」とあわせてごらんください。



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2017年5月8日

東京入局管理局
局長殿

拝啓


収容センター内被収容者ハンスト通知
以下の人権的懸念を提起することを目的として、2017年5月9日より、虐げられた被収容者はハンストを開始します。
  1. 繰り返され、長期に渡る収容が行われ、家族や人間関係の断絶につながっていること
  2. 死や負傷につながりうる強制送還
  3. 被収容者に不認定理由を告げることなく行われる仮放免申請不認定
  4. 生活費の支給なく行われる難民申請者への就労許可不認定
  5. 仮放免時における移民への移動制限
上記の人権的懸念が適切に対応されるまで、ハンストは継続します。

ご理解に感謝します。

Thursday, May 18, 2017

被収容者ハンスト10日目(東京入管)

  東京入管での被収容者ハンストは今日18日(木)時点で継続しています。5月9日に開始した最長の人はハンスト10日目になります。

  ハンスト参加者による要求書、ならびに今回の東京入管でのハンストの背景については、以下記事を参照してください。


  入管による暴力的な制圧行為によって負傷者が出たこと、またハンストの継続によって体調不良者が出ていることなどは、前回記事によって報告したとおりです。


  東京入管は、あるブロック(収容区画)では12日(金)に、別のブロックでは16日(火)になって、ようやくハンスト参加者の体重を測定しました。入管は被収容者の生命・健康に責任があるのであって、遅すぎるとはいえ、ハンストをおこなっている人の身体の状態を把握しようとし始めたこと自体は適切だと思います。

  ハンスト参加者が9日に提出しようとして職員が受け取りを拒否した要求書については、東京入管はいまだに受け取っていません。要求書を受け取らないというのは、ハンストをとおしての被収容者の要求を入管側が理解しようという入口にすら入っていないということです。

  さらに、東京入管は、ハンスト参加者をそれぞれ別の収容区画に移動させる、あるいは、単独室に移動させるなどの手段によって、ハンスト参加者間でのたがいの意思疎通をさまたげ、その分断をはかっています。

  被収容者は、それぞれのブロックで討議をおこない、要求すべきことがらを民主的にとりまとめ、連名での要求書提出にいたりました。そして、集団でのハンガーストライキなど非暴力での抗議をおこなっています。

  対するこれまでの東京入管の対応は、対話を拒否し、参加者の分断をはかり、座り込みによる帰室拒否ストライキには暴力をもって制圧するというものでした。東京入管はまるで、被収容者の民主主義的な討議、人権を尊重せよという訴え、非暴力的に投げかけられている抗議の言葉をおそれているかのようです。

  情報拡散、マスメディアへの情報提供、東京入管への抗議など、多くの方がおこなってくださっているようです。とくに電話などで直接抗議をよせるのは、なかなかストレスをともなうことでもあると思います。感謝と敬意を表しますとともに、可能な方はひきつづきよろしくお願いいたします。


【意見提示・抗議先】
    東京入国管理局
    tel: 03-5796-7250(総務課)
    Fax: 03-5796-7125
    〒108-8255  東京都港区港南5-5-30



【関連】




【報道等】

Monday, May 15, 2017

東京入管被収容者ハンストの背景について


1.なにに抗議してのハンストなのか?

  5月9日に開始された東京入管被収容者たちによるハンガーストライキ。どのような背景のもとで起こったハンストなのでしょうか。ハンスト者の声明と、ハンストにいたる経緯、被収容者をとりまく状況から考えていきたいと思います。

  ハンスト参加者の要求書(英文)には、6点の人権問題があげられています。


  くり返される収容(再収容、再々収容)、長期収容。生命にかかわる強制送還。理由の説明なく仮放免申請が不許可にされること。仮放免申請の結果が出るまで時間がかかりすぎ、また仮放免されるさいに預けなければならない保証金が高すぎること。生活費の支給なしに難民申請者の就労を許可していないこと。仮放免者の移動の自由が制限されること。

  ハンスト参加者たちが抗議しているこれら6点は、これから述べるように、仮放免者をめぐる最近の入管側の制度運用と密接に関係しています。



2.再収容の急増がまねいた反発と抗議

  昨年1月から東京入管は、就労と住所に関する「仮放免許可条件違反」を理由とした再収容・再々収容を頻繁におこなっています。仮放免者は、就労をしないことや、入管が許可した住所に住むことなどといった条件をつけられて仮放免を許可されています。東京入管では、こうした仮放免の許可条件に対する違反を理由としての再収容や、あるいは難民申請の棄却を契機とした再収容が、現在、激増しているのです。

  ところで、就労に関するものにしろ、住所に関するものにしろ、許可条件違反を理由としての再収容について、入管の運用はきわめて恣意的なものです。

  たとえば、住所について、以前は仮放免者が引っ越しをした後に住所変更の許可を申請しても、入管職員は、先に許可を受けたうえで引っ越すよう口頭で注意をするものの、いちいちこれを理由に再収容してはいませんでした。許可された住所に住むことを入管が仮放免許可条件のひとつとしているのは、居所の把握と逃亡の防止という趣旨によるものでしょう。このような趣旨に照らすならば、住所変更の許可申請が遅れても、仮放免者がみずから出頭して住所変更を申請している以上、仮放免許可を取り消して収容するまでの重大な条件違反ではないと以前の東京入管は判断していたものと思われます。ところが、現在では、住所変更申請が引っ越しよりも後になったという、それだけの理由で収容するように、東京入管は運用を変化させています。

  就労を理由とした再収容にしても、また、難民申請の棄却を契機とした再収容にしても、やはり東京入管は恣意的におこなっています。つまり、再収容する場合もあれば、再収容しない場合もある、ということです。そうした恣意的な運用をおこないながら、東京入管は近年、仮放免者の再収容を急増させてきました。

  こういった仮放免者の再収容・再々収容の増加が、反発と抗議をまねくのは、必然的でした。

  よく知られているように、入管による収容はきわめて過酷なものです。過酷な収容生活にたえてようやく仮放免になっても、就労は許可されず、国民健康保険に加入できないので思うように通院もできず、移動の自由が制限されたなかで生活していかなければならないのです。収容生活も過酷ならば、仮放免されても過酷。

 帰るに帰れない事情(難民であったり、日本に家族がいたり、長期の滞在のなかで出身国での生活基盤がすでにうしなわれていたり、など)があるからこそ、こうした過酷な状況にたえながら、日本での在留資格を求めているのだと言えます。

  今回の東京入管でのハンスト参加者の多くは、長期滞在者であり、収容2回目以上になる人たちです。要求書にあるように、くり返される収容と長期収容とともに、就労が認められず、移動の自由も制限された仮放免の苦境に置かれることに対する抗議として、ハンストがおこなわれているのだと言えます。



3.なぜ東京入管は再収容を急増させているのか?

  入管側はあきらかに、仮放免者数を減少させたい、あるいはその増加をおさえたいという目的意識をもって東京入管での再収容を急増させているのだと考えられます。

 仮放免者数は増加の一途をたどってきました。もともと2004年から5年間をかけての大量摘発前、退令仮放免者数(退去強制令書を発付された仮放免者の数)は500名程度でした。それが、非正規滞在者の大量摘発と共に、帰国することのできない非正規滞在者の存在をあぶりだす結果になりました。彼/彼女らは、2・3年を越える長期収容にも耐え、仮放免となっていきました。ここから、仮放免者数の増大が始まります。2009年7月の入管法改定時に約1,250名だった仮放免者数は、2012年10月末段階で約2,600名へと増え、2014年末で3,400名超にいたり、2015年末で3,600名をこえています。この人数が増大しているということは、何を意味するのでしょうか。それは、入管が退去強制の対象にしているけれども、当面、退去強制を執行できる見込みがない人の増大であると言うことができます。

  こうした仮放免者の増大の要因が、いちじるしく低い難民認定率にあるとともに、バブル期以来の外国人労働者政策の矛盾にあるのだということを、私たち仮放免者の会はくり返し主張してきました。日本政府は、外国人労働者の受け入れを「専門的な知識,技術,技能を有する外国人」に限定する政策を公式上はとってきました。しかし、日本社会は、非専門的分野での外国人労働者を呼び込み、いわば安価な労働力として利用してきました。以下の記事などで述べてきたとおり、いわゆる単純労働に従事する労働者の非公式的な導入・利用は、政策的な作為/不作為があって可能になったものでもあります。


  上記の記事で述べたように、バブル期以降に日本政府・日本社会が労働力として非公式的に導入した外国人のうち正規の滞在資格をもってない人たちを、2004年以降、法務省・入管当局は「不法滞在者の半減5か年計画」と称して強引に一掃しようとしました。けれども、そうした矛盾にみちた強引なやり口がゆきづまるのは必然でした。その結果として、退去強制の執行がとどこおり、仮放免者数が増加していくという現状をまねいたのです。

 2015年10月1日、全国の入管施設で一斉に、仮放免許可書に就労不可の記述を書き入れるようになりました。これまで黙認してきた就労についての禁止の明示です。すでに前年末、仮放免者が3,400人を越え、無視できなくなった法務省入国管理局から、全国の入管施設に指示が出ての動きだと思われます。すでに述べたように、仮放免者数が増大したこと、加えて仮放免期間が長期化していること、これが社会的に「仮放免者問題」を生み出しました。仮放免者は社会保障から排除されているため、病気になっても通院できずに我慢します。そのため、毎年、何人かが、治療を受けないまま亡くなっています。こうした仮放免者数が増大し、仮放免期間が延びて良いわけがありません。その解決のために、私たちとしては、在留特別許可の基準を緩和することを求めています。しかし、入管が選択したのは、退去強制執行の厳格化……収容、送還の強化でした。

  東京入管、名古屋入管、大阪入管、東京入管横浜支局などの地方入管は、仮放免許可書への就労不可の記述は一斉に始めたものの、その後、仮放免者を増大させない、できるだけ減少させるという点で、各地方入管なりにさまざまな運用をおこなっています。きっと、法務省入管から、仮放免者の減少という方針が出され、そのもとでの運用は各地方局に任されているのでしょう。東京入管がとった運用=手法は、昨年1月からの再収容の増大でした。難民手続きの棄却通知、あるいは就労、住居移転などの仮放免条件違反での再収容は、仮放免者数を減らすための手法でしかなく、送還の見通しも立たない仮放免者を再収容することは、いたずらに本人を苦しめるだけであり、収容権の濫用にほかなりません。



4.ハンスト参加者らから問われているもの

  今回の第一報の記事で紹介したように、ハンスト参加者たちは、「職員に手を出さない」「職員に汚い言葉は使わず丁寧に話す」「物を壊さない」の3点をおたがいに確認したうえでストライキを開始したそうです。


  それは、このストライキが、現場の職員たちを相手にするものではないこと、日本の法律、制度、組織のトップの考えをこそ第一に問題にしようとするものであることを示していると言えるでしょう。また、それは、たんなる収容場の処遇を問題にしたもの、いわば収容生活の改善を求めるものにはとどまりません。日本政府、また日本社会が、外国人に対するご都合主義的な利用と人権侵害をやめる方向に踏み出すことができるのか、ということが厳しく問われているのではないでしょうか。

(続報)東京入管ハンスト――入管による暴力的制圧、体調不良者

  5月9日(火)に開始された、東京入管での被収容者によるハンスト、週が明けて今日で7日目になります。

  22人で9日に始まったハンストは、新たにこれに呼応し合流する動きもあって、参加者数が大幅に増えています。正確な人数を把握するのは困難ですが、今日まで寄せられている情報では、この間65人がハンストに参加しているようです。

  この間、体調をくずして倒れる人もあいついでおり、さらに入管の暴力的な制圧による負傷者も出る深刻な事態となっております。



◇        ◇        ◇        ◇        ◇

制圧行動による負傷者

  9日(火)、16時30分、被収容者22人が帰室を拒否し、連名での要求書を入管側に手渡そうとするものの、職員が受け取りを拒否。帰室を拒否し、座り込むハンスト参加者たちに対し、東京入管は数十人の入国警備官を動員して制圧行動をとった。

  これにより被収容者3名が負傷。このうち1人と、仮放免者の会支援者が11日に面会し、両肩と胸部に4ケ所の擦過傷を確認。床に倒れこんだこの人に対し、職員のひとりは靴でふみつけるなどの暴行を働いたとの、他の被収容者の証言あり。負傷箇所について、写真を撮影して証拠に残すよう入管に求めたが、入管側はこれを拒否したという。

  12日(金)には上記とは別のブロックで、16時30分より、被収容者30人が帰室拒否のストライキをおこなった。18時30分ごろ、正確な人数はわからないが、60-70人ぐらいのヘルメットをつけタテをもった職員がやってきて制圧。制圧の過程で、すくなくとも被収容者2名が負傷。

  ひとりは、手錠を後ろ手にされ、背中からすごい力で押さえつけられ、意識を失った。気が付くと入管の別の部屋におり、心電図をとられたらしい形跡があったが、その間の記憶はない。15日に仮放免者の会の支援者が面会したとき、手首や腕に傷が残り、足を引きずって面会室にあらわれた。

  もうひとりも、強い力で押さえつけられ「死ぬかと思った」。15日に面会したところ、手首や腕に傷があった。病院に連れていかれ、足だけレントゲンを撮られたという。


体調不良者

  11日(木)、夜になって、ハンスト参加者1名が倒れ、担架で運び出された。

  12日(金)には、別のハンスト参加者が倒れ、救急車で搬送された。この人は、翌13日(土)になって入管に戻ってきたが、ハンストは継続。

  同じ12日の16時過ぎに、また別のハンスト参加者が通路を歩いていて、転倒した。この人は、翌日(14日)の未明(3時30分ごろ)、ふたたび倒れ、別のブロックに移動させられた。

◇        ◇        ◇        ◇        ◇


  ハンガーストライキや、座り込みによる帰室拒否は、非暴力的な抗議行動です。これに対して、暴力をもって制圧しようという東京入管の姿勢は許しがたいものです。しかも、体調不良で倒れる人が出てきているなかで、ハンストの収拾を困難にし、その長期化をまねきかねないような強硬な行動をとることは、問題です。

  ハンスト参加者のひとりは、面会におとずれた当会の支援者に対し、被収容者は丁寧な言葉を使っているのに、職員は「おまえ!おい!」など乱暴な言葉を使う、と語りました。


  この記事を読んでくださったみなさまには、情報の拡散、可能であればマスメディア等への情報提供をお願いします。

  また、東京入管に対し、ひきつづき抗議をよせていただくよう呼びかけます。


【意見提示・抗議先】
    東京入国管理局
    tel: 03-5796-7250(総務課)
    Fax: 03-5796-7125
    〒108-8255  東京都港区港南5-5-30


【抗議の例】

  • 被収容者の非暴力での抗議に対し、暴力で制圧するのをやめなさい。
  • ハンストを早期に収拾できるよう、抗議の声に丁寧に耳をかたむけ、誠実に対話をこころみること。
  • 倒れた人が出たら、職員は医療的な評価・判断をせずに迅速に救急車を呼ぶこと。




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