Monday, May 2, 2011

東日本入管の収容者による抗議文――震災時・震災後の対応をめぐって

  「仮放免者の会」では、3月11日の大震災発生時とその後に、入管が収容者にたいしてとった対応について、これまでも問題にしてきました。


  東京入管での震災時における鍵かけ事件では、災害対策がずさんであるばかりか、収容者たちをたんなる管理・統制の対象としかみなさない入管の態勢が、はっきりとあらわれました。この事件については、現在も、さらなる調査と入管にたいする責任追及をつづけているところです。
  さて、東京入管だけでなく、東日本入管センター(茨城県牛久市)の震災時およびその後の対応も、ひどいものでした。「仮放免者の会」では、茨城の収容者たちが、法務省と東日本入管センター局長あてに連名で提出した抗議文のコピーをあずかりました。
  これを掲載するまえに、いくつかの情報を補足させていただきます。
  まず、東日本入管センターの位置づけについて。入管はおもに、東日本入管センターをふくむ3つの「センター」(ほかに大阪の「西日本入管センター」と長崎の「大村入管センター」があります)と、全国主要都市におかれた8つの「地方局」からなります。まず、在留資格のない外国人を拉致・監禁する業務をになっているのは、「地方局」です。東京の場合ですと、「地方局」にあたる品川の東京入国管理局が拉致・監禁をおこない、帰国をうながすための精神的・肉体的拷問(期限の決まっていない収容、言葉による帰国強要、病人を放置するなど)をくわえます。東京入管での拷問のようすは、SYI(収容者友人有志一同)のブログなどで具体的に報告されています。


  こうした拷問・帰国強要に屈しなかった収容者たちの多くは、茨城県の「東日本入管センター」におくられ、収容されます。
  したがって、東日本入管センターに収容されているひとのほとんどは、長期の収容者ということになります。また、長期の収容にたえぬいてきた人たちは、それぞれに出身国には帰れない深刻な事情をかかえています。迫害をのがれて日本にのがれてきた難民や、日本人の配偶者がいる等、帰国すると家族がばらばらになってしまう人、幼少期に来日したり日本で生まれ育ったため「帰国」先で生活するのは困難な人などです。こうした、罪のない人びとを、たんに在留資格がないというだけの理由で、入管は長期間収容しているのです。
  このような収容じたいが許しがたい人権侵害ですが、収容する以上はせめて収容者の生命の安全と健康に、入管は責任をもつべきでしょう。
  ところが、3月11日の大震災以降も、東日本入管センターの職員たちが、収容者の安全確保と精神的なケアをおこたり、さらに、危険と恐怖にさらされている収容者たちにあきらかに差別的・侮蔑的な対応をつづけていることが、抗議文からわかります。
  地震の恐怖でパニックになった収容者が窓ガラスを破損してしまったのにたいし、入管は、なんと賠償金を要求してきたといいます。
  以下、抗議文の全文を掲載します。抗議文は3枚のびんせんに手書きの日本語で書かれています。掲載にあたって、意味の通じにくい表記や表現をじゃっかん改めました。また、【  】内は面会等で聞きとりした情報などをもとに、わたしたちがおぎなった文言です。
  なお、抗議文の差出人等に「5A-BLOCK(1A-BLOCK)」とあるのは、震災時に「1A-BLOCK」に収容されていた人たちが、震災後に全員「5A-BLOCK」にうつされたからです。
  この 5A-BLOCKの収容者たちの連名の抗議文にたいし、提出から1ヶ月以上もたち、しかもいまだ余震がつづき収容者の不安がつきない今現在も、入管からの回答はないそうです。



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2011年3月23日
東日本入国管理センター 5A-BLOCK(1A-BLOCK)の収容者

日本法務省
東日本入国管理センター所長様

2011年3月11日にあった大地震について入管の
職員と収容者と1A.BLOCKにあった被害のため。

  2011年3月11日、2:46pmころにあった大地震に大きな被害があったことについて、わたしたち収容者は心より心配申しあげます。
  地震があった日、収容者としているわたしたちがいちばんこわかったのは、害が加えられそうで体がふるえそうなようだったからです。日本人もそうだったと思いますが、その時わたしたちの命が助かるには安全な場所にうつることを職員さんに願っていました。その時いた職員さんたちはわたしたちの安全をまもってはいなかったです。収容中で我々の中で病気の人もいましたし、わたしたちの命の安全のためには入管の職員はなにも考えなかったことがよく分かりました。自分だけのことを考えて職員さんだけ頭にヘルメットをかぶっていました。
  その時になぜ職員だけヘルメットをかぶっているのか、わたしたちも人間ではないですかと言いましたが、その職員は逃げ出しました。
  大地震の前、2月ころ、長期収容者である1A-BLOCKのみなさんの願いとして、東日本入国管理センター所長様あてに手紙を書いて Opinion Box に入れました。手紙の内容とは、地震があった時にわたしたちがどうしますか? 地震くんれんを行なって下さい、地震のためにアドバイスして下さい、などでした。その手紙のへんじはなかったです。
  わたしたち長期収容となっている者は、難民や日本人の配偶者、日系人、家族の生活などの者です。11日大地震があった時、みんなが大パニックのじょうたいだったので、そのとき職員さんがわたしたちの気持ちは分かっておらず、1A-BLOCKのあった被害について収容中の難民申請者からそんがいばいしょうを払いなさいと言っているのです。
  入管で収容者がせいしんてきな病気やストレスなどをもっている人も多く、それなのに、とまらない地震の間で長期収容者のせいしんてきなストレスについてちょうばつを行ったなどのいじわるをされたことが、もっとも苦しいことでした。
  大地震のとき職員さんがいじわるしたじょうたいは、わたしたちが大パニックになるようすでしたから、自分で自分をまもろうという思いが強くなったから、入国管理センター内で被害【収容者が窓ガラスを破損したこと】があったと思います。わざわざ入管内で被害を行った人はだれもいませんでした。命の不安があったことからそのじょうたいが【生じたことを】よく考えて、このようなパニックのときにあった被害にたいしてのそんがい【ばいしょう】をあたえないように【請求しないように】、【5A-BLOCKに収容されている】みなさんの心よりお願い申しあげます。
  これからでも、大地震のとき安全な場所へうつれるようにお願いします。今ある運動所も安全な場所ではありませんので、わたしたち(収容者)が心配しております。
  命にかかわる地震があった場合どうするのかとの不安があるので、この手紙のへんじをよろしくお願いします。

以上

5A-BLOCK(1A-BLOCK)の収容者。

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