Thursday, December 17, 2020

長期収容問題と勤務医の不適切な言動について(12月3日、東日本入管センターに申し入れ)

  12月3日(木)、東日本入国管理センターに口頭での申し入れをおこないました。


 前回記事で述べたように、コロナ禍にあっても、長期収容問題は改善されずに残っています。


いまも深刻な長期収容問題、被収容者が連名で嘆願書(東日本入管センター)- 仮放免者の会(PRAJ)(2020年12月13日)


 あとで述べるように、この長期収容にかかわる2点のほか、センターの勤務医の問題についても申し入れました。被収容者たちから面会などを通じて、勤務医がの不適切な言動が多数報告されています。これらについて、抗議するとともに、入管として勤務医を適切に監督・指導するよう申し入れました。


 申し入れ内容は、以下のとおりです。



(1)11月6日に早期仮放免を申し入れた3名について

 前回11月6日の申し入れでは、拒食状態にある4名の被収容者について、ハンストもしくは体が食べ物を受けつけなくなっている(食べても吐いてしまうなど)ために、長期間食事をとっていない4名の被収容者について、早期に仮放免するよう求めていました(→参照)。このうち1名はすでに仮放免されましたが、他の3名は依然として収容が継続しており、心身の状態が悪いことから、前回に引き続き、早期仮放免するよう申し入れました。



(2)自殺未遂をした被収容者について

 11月の下旬に40歳代の被収容者(「Kさん」とします)が自殺をはかりました。Kさん本人に面会して話を聞いたところでは、睡眠薬や痛み止めなどの処方薬が停止されて不眠が続き、イライラもひどく、精神的に限界だと感じて自殺しようとしたとのことです。睡眠薬等が停止されたのは、10月中旬です。このときKさんは極度の食欲不振のため拒食状態にあり、勤務医が食事をとらずに薬を飲むと胃が荒れるからと言って処方をとめたということです。


 Kさんに限らず、入管施設では、近年の収容長期化傾向のなかで、睡眠薬や精神安定剤のかなり強いものが処方されている被収容者が多くなっています。長期間の拘禁のなかで強い精神的なストレスや不安をかかえ、本来は収容に耐えられないような状態の人を、無理に収容しているということ。そうした無理な長期収容を、入管は薬物の力を使っておこなっているということではないのでしょうか。


 すくなくともKさんについては、睡眠薬が服用できないことでイライラが高じて自殺未遂におよんでしまうような精神状態にあったのであり、そもそも収容にたえられる状態ではなかったことはあきらかです。したがって、Kさんの収容をこれ以上継続すべきではなく、早期に仮放免すべきだということを申し入れました。



(3)勤務医の言動について。

 勤務医の言動が医者のものとは思えないという訴えが、複数の被収容者から寄せられています。たとえば、ある人は診察中に「日本人の税金をあなたたちに使うのはムダ」という暴言をあびせられたと言います。


 また、ハンガーストライキをおこなっている、あるいは体調不良で拒食状態にある被収容者に対して、勤務医が懲罰的に処方薬を中止しているとみられる事例を、複数確認しています。たとえば、先述のKさんは、睡眠薬とともに、湿布(運動で負傷した足首に使用していた)や目薬も、医師の指示により止められています。睡眠薬については、Kさんが食事をとっていないという理由で処方中止することがありうるとしても、湿布・目薬を出すのをやめるのは不可解です。懲罰あるいはKさんに対する嫌がらせを目的にしているとしか考えられません。


 同様に、Mさんという別の被収容者は、それまで処方され服用していた19種類の薬が、7月におなじ勤務医の指示ですべて止められました。Mさんの持病である糖尿病や高血圧症、心臓の病気を治療するための薬もふくめてです。


 こうした勤務医の言動は、患者の健康上の利益を尊重するという医療従事者の倫理規範に反しており、こういった行為を改めるよう入管から指導・監督すべきです。なお、Mさんについては、糖尿病等の持病の投薬が4か月以上も停止しているという深刻な状況にあるので、べつの医師が診察するなどして、治療を再開するための措置を早期にとるよう申し入れました。


 東日本入管センターに申し入れた内容としては、以上です。


 再三指摘してきたことですが、問題の核心は、入管が「送還忌避者」と呼ぶところの人びとに対する帰国強要のために、長期の収容という手段をもちいているところにあります。とくに、2015年以降、入管はそれまでは例外的であった2年をこえるような超長期収容を常態化させ、「送還忌避者」に対するきわめて強硬な送還方針をとってきました。人間に対して長期間にわたり自由をうばい監禁しようとすれば、それだけ管理・統制を強めざるをえなくなります。それが、一方では、懲罰的な隔離処分や職員による「制圧」行為の増加となってあらわれ、他方では、睡眠薬や向精神薬を多くの被収容者が服用せざるをえないという状況としてあらわれているのです。医療従事者の倫理的荒廃も、おなじ要因によるものでしょう。


 問題の根幹は、帰るに帰れない事情をかかえる人びとに対して、長期収容で自由をうばい苦痛を与えることで帰国に追い込もうという入管のやり方であり、これをあらためることなしには、収容されている人の人権と生命を守ることはできません。




関連記事


Sunday, December 13, 2020

いまも深刻な長期収容問題、被収容者が連名で嘆願書(東日本入管センター)

  全国の各入管収容施設は、3~5月ごろにかけて、仮放免許可を積極的に活用することで、多くの被収容者を出所させました。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、施設内の密集を回避するためです。東日本入管センターでも、昨年12月4日時点で252名だった被収容者数(入管庁発表)は、現在では100名程度まで減っているとみられます。


 しかし、以下の記事でも述べたように、6月以降、仮放免の拒否判断はふたたび厳格化され、超長期の被収容者の仮放免申請が不許可になるケースがあいついでいます。


東日本入管センターに、拒食者などの早期仮放免を申し入れました- 仮放免者の会(PRAJ)(2020年11月14日)


 こうして、被収容者数は全体として大きく減少したものの、収容長期化はますます進行しているというのが現状です。


 こうした状況のなかで、東日本入国管理センターの被収容者たちが連名での「嘆願書」を作成しています。「嘆願書」は、早期の仮放免や帰国できない事情のある者への在留資格の付与などを求めたもので、国会議員などに送付しているとのことです。当会としても、「嘆願書」作成者たちから、収容所内の、あるいは仮放免されている仲間たちのおかれている問題を日本社会の多くの人に知らせてほしいということで、これを公表するよう要請されました。


 以下に「嘆願書」の全文を掲載します。長期収容問題は過去の問題ではなく、いまも進行中の問題であることを多くの人に知ってほしいと思います。


 「嘆願書」の署名欄には、署名者65名の名前のほかに、各人の国籍、収容期間、日本在留期間が記されていました。このうち国籍、収容期間、在留期間を集計したものをこの記事の末尾に資料としてまとめました。約100名の東日本センター被収容者全体のデータではないですが、これらの資料をとおして、常軌を逸して収容が長期化した状況が現在も続いているということ、またそのような状況に置かれても送還を拒否せざるをえないのはどのような人たちなのかということが、ある程度想像できるのではないかと思います。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


嘆願書


 茨城県牛久市の東日本入国管理センターに収容されている者を代表し、この嘆願書を書いています。


 長期の収容は心身にダメージを与え、仮放免後の後遺症が長く尾を引き、その後の人生にも大きく影響を及ぼす事になります。一日も早い仮放免が望まれます。

 また、仮放免後は仕事が禁止されていたり、移動の自由が制限されていたりと、人間として生きる権利が阻害されています。仕事をしなければ生きていく事は困難を極めます。

 我々は以下の事をお願い申し上げます。


  • 収容されている全ての人達の早期の仮放免を求めます。
  • 仮放免後は、自力で生活できる様、就労禁止という規則を撤廃し、仕事に就けるようにしてほしい。また、病気や怪我を負った時の為、医療保険に加入出来る様にしてほしい。
  • 日本国籍の配偶者や子供、永住権やその他の在留資格の配偶者がいる人には在留資格を認めて欲しい。
  • 難民を含む、日本に庇護を求めて来た人、長年日本で生活している人や幼少期から日本で生活している人にも在留資格を認めてほしい。


以上です。


 どうか、我々にこの日本にもう一度住むチャンスを与えて下さる様、お願い申し上げます。


東日本入国管理センター収容者一同

令和2年12月1日


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





【資料】署名者65名の国籍、収容期間、日本在留期間

1.国籍

国籍

人数

スリランカ

8

ブラジル

7

ペルー

4

ナイジェリア

4

ミャンマー

4

バングラデシュ

3

イラン

3

  そのほかに、ラオス、パキスタン、フィリピン、ベトナム、中国、ギニア、ネパール、カメルーン、コンゴ、インドが各2名、タンザニア、インドネシア、ウガンダ、トルコ、カンボジア、セネガル、米国、台湾、リベリア、ボリビア、ケニア、ジャマイカが各1名です。




2.収容期間

















 収容期間が何か月になると「長期収容」と呼ぶべきなのか、明確な答えがあるわけではありません。しかし、被収容者当事者や支援者の多くは、6か月以上の収容を「長期収容」として問題視することでだいたい見解が一致します。私たちも、会を結成した2010年以来、6か月をこえる「長期収容」をやめるよう、入管にくりかえし申し入れ等をおこなってきました。収容期間が6か月ほどになれば、ほとんどの被収容者は拘禁反応を発症するのであり(もちろん、もっと早く発症する人もいます)、これをこえて収容を継続するのは人権・人道の点から許容できないからです。

 ところが、現状は、1年、2年をこえるような収容が常態化し、4年をこえるようなすさまじい収容期間であっても入管が仮放免を許可しないというケースもめずらしくなくなっています。東日本センターの現状については次回の記事で追って報告しますが、強力な睡眠薬や精神安定剤を処方され、それなしには過ごせないとか、あるいは、拘禁ストレスからくる高血圧症に苦しんでいて、処方された降圧剤を服用しても血圧が下がらないとか、あきらかに心身が収容にたえられない状態にある人が長期間にわたって収容されているのです。



3.日本在留期間

















 過酷な長期収容にあっても送還を拒否せざるをえない人たちのなかには、日本での在留歴の長い人が相当数いるということが、グラフからうかがえるのではないかと思います。国に帰るに帰れない事情は人によってそれぞれですが、長年日本で暮らしてきてこの地にすでに定着しているということも、帰国できない事情として深刻なものなのです。

 先にみた苛烈な長期収容の状況は、それぞれに帰れない事情のある人たちを帰国に追い込むための手段として、入管が戦略的・意図的につくりだしている状況です。嘆願書にあげられている「日本国籍の配偶者や子供、永住権やその他の在留資格の配偶者がいる人」「難民を含む、日本に庇護を求めて来た人」「長年日本で生活している人」「幼少期から日本で生活している人」。こうした人たちを、出国に「同意」させるための手段として、「心身にダメージを与え」る長期収容がもちいられているのです。






Friday, November 20, 2020

【傍聴呼びかけ】11/25 ペルー人Bさんの国賠訴訟 第2回口頭弁論(大阪入管暴行事件)


 2017年におきた大阪入管職員による被収容者に対する2つの暴行事件。このうち、トルコ人Mさんが国に賠償を求めていた裁判は、9月29日に大阪地裁にて和解が成立しました。和解の条件は、大阪入管局長がMさんに謝罪し、同局に収容されている人の人権を尊重した処遇につとめることを確認すること、また国がMさんに和解金を支払うことなどです。


制圧行為による骨折等について入管が謝罪!再発防止も約束! - 暁法律事務所【大阪】(2020年10月2日)


 もうひとつの大阪入管での暴行事件は、Mさんの事件から5ヶ月後の2017年12月におきました。Bさん(ペルー国籍)が、大阪入管の職員たちから14時間以上にわたって後ろ手錠により拘束され、その間、トイレに行くことも食事をとることも許されず、また、後ろ手錠をつけた状態で右腕をねじりあげられ、骨折させられたという事件です。


 事件の詳細については、以下を参照してください。


大阪入管暴行事件で和解成立 / 大阪入管でのもうひとつの暴行事件裁判にも注目を! - 仮放免者の会(PRAJ)(2020年10月3日)


 この2つめの暴行事件は、被害者のBさんが国に賠償金の支払いを求める裁判が現在おこなわれています。提訴は今年の2月でしたが、新型コロナウイルスの影響で弁論が延期されており、先月の7日にようやく第1回の弁論がひらかれたところです。


 前回の弁論は、コロナ対策として14席に減らされた傍聴席が満席となり、法廷に入れないかたが数名いました。原告のBさん本人と、弁護団の大森景一弁護士による意見陳述がおこなわれました(意見陳述の全文は、この記事の末尾に掲載しております)。


 Bさんは、入管の職員たち自分を動物のようにあつかい、「拷問のようだった」としつつ、入管のなかでほかの人も「同じような目にあいました」と指摘しました。Bさんは意見陳述の最後を「入管の担当さんは外国人に暴力をしないでください。虐待をしないでください。外国人に動物みたいなあつかいをしないでください」という言葉で結んでいます。


 大森弁護士も、先日和解の成立した同じ大阪入管でのMさんの事件のほか、東日本入管センターや東京入管でも被収容者が暴力的に制圧されたと訴えている同種の事案があいついでいることを指摘しています。そのうえで、裁判所が「もし仮にB氏に対する行為を適法と判断するようなことがあれば、このような行為は今後も繰り返され、さらにエスカレートしていきかねません」と述べました。この裁判がBさんの損害の回復にとどまらず、入管施設に収容される外国人たちの今後にも影響を与える重要な意義をもつのだということだと思います。


 「制圧」と称しての被収容者への暴行事件のあいついでいる入管の体質がこの裁判で問われるのはもちろんですが、そうした外国人への入管職員の暴力行為をゆるすのかという点で、日本の裁判所、ひいては日本社会のあり方もまた問われているのだと思います。


 Bさんの裁判の第2回の口頭弁論は、以下の日時と場所でひらかれます。ご都合のつくかたは、傍聴をお願いします。


日時:11月25日(水) 10時30分

場所:大阪地方裁判所 1006号法廷(→地図



 以下、原告のBさん、および大森景一弁護士の意見陳述の全文を掲載します(人名をイニシャル表記にするなど、原文を一部加工しております)。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【Bさんの意見陳述】


意見陳述


わたしは、ペルーこくせきの、


Bです。


このさいばんで、わたしが、のぞんでいることは、


にゅうかんには、ほんとうのことを、いってもらいたいです。


ぜんぶ、びでおかめらに、うつつています。


しょうこが、のこっています。




にゅうかんの、たんとうさんは、わたしに、


げんどをこえて、ばつを、あたえました。


わたしは、くびを、しめられたり、


うしろでに、てじょうを、かけられました。


よなか、ずっと、てじょうをかけられたままでした。


それで、どうやって、トイレにいけるのでしょうか。


ごうもんのようでした。


せいしんてきにも、ごうもんでした。


わたしは、どうぶつみたいでした。




たんとうさんが、わたしを、ゆかに、うつぶせに、おさえつけているとき、


たんとうさんの、じょうしのひとが、


ちがう たんとうさんに、あいずを おくっていました。


そのとき、かめらを、とっているので、


かめらにうつらないように、


しょうこに のこらないように、


じょうしのひとが、あいずをおくって、


ちがう たんとうさんが、わたしを、つよく、おさえつけたり、


しめつけてきました。


わたしは「いたい いたい」といいました。


たんとうさんどうしで、こえをださずに、


あいずを、おくりあっていました。


たんとうさんは、みんなで、がいこくじんに、


うしろでに、てじょうをかけて、


ぎゃくたいをするれんしゅうをしています。




わたしのまえにも、にゅうかんのなかで、ほかのひとが、


おなじような、めに、あいました。


うしろでに、てじょうを、かけられたひとが、いました。


そのひとは、たんとうさんに、ぼうりょくをされて、


けがをさせられました。


にゅうかんのたんとうさんは、がいこくじんに、


ぼうりょくをしないでください。


ぎゃくたいをしないでください。


がいこくじんに、どうぶつみたいな、あっかいを、


しないでください。




2020年10月7日



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【大森弁護士の意見陳述】


令和2年(ワ)第1555号国家賠償請求事件

原告 B

被告 国


原告代理人意見隙述


2020年10月7日

大阪地方裁判所第17民事部 合議2F係 御中

原告訴訟代理人弁護士 大森景一



 1971年、アメリカ、スタンフォード大学の地下室で、心理学者フィリップ・ジンバルドー(Philip Zimbardo) によって、ある実験がおこなわれました。

 ジンバルドー教授は、学生21人を2つのグループに分けました。そして、一方を看守役に、一方を囚人役として、役割を与えて生活させました。すると、看守役は、指示されていなかったにもかかわらず、囚人役に対して徐々に権力的に振る舞うようになり、反抗する囚人役に対してトイレ掃除・独房監禁・断眠などの罰を与えるようになり、さらには禁止されていた暴力を振るうまでに至りました。看守役も、つい数日前までは、囚人役と同じ、普通の学生だったのにです。


 この実験が示唆するように、何も介入しなければ、権力関係はエスカレートしてしまう危険があるのです。入国管理局における収容についても同じような危険があるのではないでしょうか。


 日本の入国管理局においても、収容者に対する人権侵害事件は後を絶ちません。先日、大阪入国管理局rおけるM氏に対する暴行事件について、国が責任を認める和解が成立しました。この事案には、本件と同じ入管職員が関与していました。また、大阪入管以外でも、同種の事案が相次いでいます。現在、東日本入国管理センターに収容されていた、X人男性、東京入国管理局に収容されていたプラジル人男性やコンゴ人女性なども、入管職員に暴力的に制圧されたと訴えています。


 本件でも、ここにいるB氏が入管職員から暴力的な制圧を受けました。そして、B氏は、保護室に収容され、後ろ手に手錠をさせられた状態で放置されました。一晩中、14時間以上にわたってです。しかも、B氏は、その間、手錠を砲認するという名目で、朝まで1時間ごとにたたき起こされ、睡眠を取ることすらままならない状態におかれました。


 制圧行為と傷害結果との因果関係は、主要な争点ではありません。その後におこなわれた行為こそが主要な争点なのです。


 国は、保護室における対応は戒具の使用要領に従ったものであり、問題はない、と主張しています。確かに、戒具の使用要頒においては、「1時間に1回以上、手首、腰部等の緊縛部位について異常の有無を確認する」こととされています。しかし、この裁判で間われているのは、そのような法務省通達への当てはめの問題ではありません。


 日本国憲法においては基本的人権の保障がうたわれています。憲法36条は公務員による拷間を明確に禁止しています。憲法のほか、日本も批準している自由権規約や拷問等禁止条約、そして国連決議である国連被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラ・ルール)などの法規範も存在しています。この裁判では、B氏が受けた扱いが、これらに照らして許される行為なのか、その点こそが問われているのです。


 私が、海外に住んでいる人に日本の末決勾留や入管収容の実情を話すと、皆、驚きます。彼らは言います。「私たちが生きているのは中世じゃない。本当に日本でそんなことがおこなわれているのか。」と。


 好ましくない者、問題のある者に対して、どのような対応をするかという点には、人権感覚が如実に表れます。今回のB氏は、確かに模範的な行動をしていたわけではありません。入管からすれば、反抗的な被収容者であったでしょう。しかし、だからといって、このような状態に被収容者をおくことが、はたして許されてよいのでしょうか。


 この裁判の結果は、日本の裁判所が、どのような人権感覚を有しているかを示すとになります。そして、もし仮にB氏に対する行為を適法と判断するようなことがあれば、このような行為は今後も繰り返され、さらにエスカレートしていきかねません。この国がどのような国であることを望むのか、それを考えていただきたい。


 この裁判では、このようなことを念頭に、審理していただきたいと思います。


以上



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Saturday, November 14, 2020

東日本入管センターに、拒食者などの早期仮放免を申し入れました


 11月6日(金)、東日本入国管理センター総務課に口頭での申入れをおこないました。


 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になるなか、3月から5月ごろにかけては入管の各収容施設は仮放免許可を積極的に活用し、その結果、どの施設でも被収容者数は大きく減少するにいたりました。入管庁が5月1日に公表したタスクフォースによる「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」においても、密集回避などのために仮放免を積極的に活用することが方針として打ち出されています。


 ところが、6月ごろになると、前月までは仮放免が許可されていたようなケースでも不許可があいつぐようになり、現状、深刻な体調不良のある人の一部しか仮放免されないという、コロナ禍以前の状況に逆戻りしてしまっています。収容期間がもともと長くなっていた人たちも、こうして仮放免が許可されずに依然として施設にとどまることになっています。長期収容問題はコロナ禍の現在にあっても、まったく解決にむかっていないのです。


 東日本入管センターでも、長期間心身の状態の悪化がますます深刻になっている被収容者が多くいます。今回の申し入れでは、第1に、私たちが面会したなかで、ハンストもしくは体が食べ物を受けつけなくなっている(食べても吐いてしまうなど)ために、長期間食事をとっていない4名の被収容者について、早期に仮放免するよう求めました。この4名は、いずれも母国での危険や日本にしか生活基盤がないなど帰国できないきわめて深刻な事情のある人たちで、にもかかわらず2年半から4年7か月という常軌を逸した長期間収容が続いている人たちです。とくにこの4名の被収容者について、生命尊重の観点から健康状態も考慮してなるべく早期に仮放免してほしいということを申し入れました。


 第2に、拒食している被収容者について人権を尊重した対応をすることを求めました。私たちはハンストをおこなっている人からの面会での聞き取りで、シャワーを5日間許されなかった、また運動場に出ることを許可されていないということを聞きました。この人は、4日に訪問した新聞記者との面会の直前、突然職員からシャワーをあびるようすすめられたとのことです。したがって、それまでのシャワー禁止の措置は、たとえば転倒の危険があるからといった安全上の理由からのものではなく、懲罰的な目的でおこなわれていたとしか考えられません。


 シャワーが被収容者の衛生上、また健康維持や精神的ストレスの軽減のうえで必要なのはもちろんですし、1日50分の運動時間も、収容生活において日の光をあびることのできる貴重な時間です。ハンストが被収容者の心身に危険なのは確かですが、懲罰的に入浴や運動の機会をうばってこれをやめさせようとするのは問題です。


 また、ハンスト者に対する職員らによる暴言の事実が被収容者から報告されていることを指摘し、ハンスト者および拒食症的な症状で食事のとれなくなっている人たちに対して、人権を尊重した対応をするよう申し入れました。


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 早期仮放免を6日に申し入れた4名のうち1名は、その後11日にぶじ仮放免されました。心身の衰弱がいちじるしく、生命の危険すら心配せざるをえないような状態の人だったので、収容を解かれたことにひとまず安堵することができました。


 いっぽうで、東日本入管センターには、いまもおよそ100名の人が長期間収容されたままでいます。


 10日には、牛久警察署が同センターに収容されている人を建造物損壊の容疑で逮捕したという報道もありました。報道によると、この人は、センターの診療待合室で自身の糞尿を天井や壁などにまきちらしたのだといいます。


 逮捕される前に私たちはこのかたと同センターで面会しましたが、4年以上にもわたって入管施設に収容されていた人です。超長期の収容によるストレスにくわえ、このかたは、センターに勤務する医者から暴言を受けたことをきっかけにして、極度の食欲不振におちいっていました。体が食べ物を受けつけない拒食症のような症状がでて、4か月ほど食事をほとんどとれない状態が続いているとのことでした。このような状態になるきっかけとなった医者の暴言とは、「薬も食べ物も日本人の税金だ。あなたたちのために使うのはムダだ。気にくわないなら出て行け」というものだったそうです。患者の利益を第一にするという医療従事者としての責任をなげうった、ゆるしがたい発言です。このような外国人への差別主義と敵意をかくそうともしない人間が、患者の生命にかかわる医療行為に従事しているということは、見過ごせません。そして、この医者の行為は、長期収容によって被収容者を出国に追い込むという、心身を破壊する虐待を手段としている現在の入管の退去強制業務のやり口を忠実に体現するものでもあります。


 逮捕された人に報道されているような行為があったのが事実だとしても、そこまでの状態に被収容者を追い込んでいる入管の長期収容、その虐待・拷問とも言うべき実態こそが問われなければならないはずです。



関連記事

Saturday, October 3, 2020

大阪入管暴行事件で和解成立 / 大阪入管でのもうひとつの暴行事件裁判にも注目を!



トルコ人Mさんに対する暴行事件は和解成立

  大阪入管に収容されていたトルコ国籍のMさん(現在は仮放免)が、職員たちの暴行によって右腕を骨折する負傷をおわされた事件。Mさんが損害賠償をもとめて国を訴えていた裁判は、9月29日、Mさんと国のあいだで和解が成立しました。


 和解の内容としては、被告である大阪入管局長が原告のMさんに謝罪するとともに、同局に収容されている人の人権を尊重した処遇につとめることを確認するというものです。また、国がMさんに和解金300万円を支払うということでも双方が合意にいたりました。


 詳細については、以下の弁護団声明をごらんください。

 Mさんは、自分がされたように入管職員が外国人に暴力をふるうことは今後ないようにしてほしいということを、法廷での意見陳述ふくめ、一貫してうったえてきました。その点で、このたびの和解は意義の大きいものと言えます。


 事件のおきた2017年7月から3年超、2018年5月の提訴から2年4か月が経過しました。長期間にわたる困難な裁判をたたかいぬいたMさんの奮闘はもとより、たくさんの人がこの裁判をつうじて入管収容の問題に関心をよせ注視していたことが、この意義の大きい和解につながったものと思われます。しかし、大阪入管が約束したとおりに被収容者の人権を重視した処遇につとめるのかどうか、今後とも注視していくことが必要です。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



もうひとつの暴行事件

 さて、大阪入管については、上記のMさんの事件のほかに、職員によるもうひとつの暴行事件があります。こちらも、被害者のペルー人男性(「Bさん」とします)が国に賠償をもとめる訴えを大阪地裁にしております。Bさんが提訴したのは2月でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になったために弁論が延期となっていましたが、第1回口頭弁論期日が以下の日時と場所でひらかれます。都合のつくかたは、傍聴をお願いします。


日時:10月7日(水) 13時30分

場所:大阪地方裁判所 1006号法廷(→地図



Bさん事件の概要

 訴状などによると、事件の概要は以下のとおりです。


 Bさん(ペルー国籍の40歳代の男性)が裁判で国に賠償を求めている事件は、2017年12月20日から翌21日にかけて起きました。


 20日の昼ごろ、大阪入管で複数の被収容者が官給食の内容について職員に抗議をしていました。このときに、職員5名が居室に入ってきて、Bさんふくむ3人の被収容者に対し、別室で話がしたいと言って連れ出そうとしました。Bさんは、話すことはないからと拒絶。すると、数名の職員が腕などをおさえつけたので、Bさんが職員の手をふりほどこうとしたところ、職員は緊急隔離を告知。8名の職員がBさんの体をかかえあげて別室(入所手続室)に連行しました。職員らは、Bさんに後ろ手錠をかけ、12時30分ごろに「保護室」とよばれる部屋に連行し、隔離しました。


 なお、Bさんはあばれたりはしておらず、しかも保護室に施錠されてひとり閉じ込められたわけですから、職員に危害をくわえるおそれはまったくありませんでした。もちろん、「逃亡」などくわだてようもない状態です。したがって、手錠などの戒具を使用する必要性はまったくありませんでした。ましてや、はなはだしい苦痛をともなう後ろ手錠をしなければない理由がどこにあったのでしょうか。


 20分ほどたった13時49分に後ろ手錠はいったんはずされますが、夜になってふたたひ職員たちはBさんを後ろ手錠で拘束して、今度はその状態で14時間半以上にわたって放置するという、拷問としか言いようのない行為をおこないました。


 21時ごろ、Bさんが職員たちに大声で水とトイレットペーパーを求めました。トイレットペーパーのやりとりをめぐって職員たちが保護室に入り、Bさんをうつぶせにしておさえつけ、21時11分ごろに後ろ手錠をかけました。翌日の11時49分ごろまで、Bさんは後ろ手錠をかけられた状態で保護室で拘束されたままでした。この14時間半以上のあいだ、Bさんはトイレで用を足すことはゆるされず、食事もとれず、水を飲みたいときは職員をよんでコップを持ってもらってこれに口をつけて飲むしかないという状態でした。この間、職員は、およそ1時間ごとの間隔をあけて保護室に入ってきて、Bさんを立ち上がらせるなどして後ろ手錠を確認するので、ねむろうにもねむれません(午前4時30分ごろ、Bさんは職員に対し「なんでねむらせないんだ?」と抗議しています)。


 とびらにカギのかかった保護室に隔離され、職員に危害をくわえることも、「逃亡」することもおよそ不可能なBさんに対して、入管職員たちが長時間にわたりこのように苦痛をあたえ、尊厳をうばう行為をおこなう意図はいったいなんでしょうか。これらの行為は、Bさんを屈服させて入管の言うことを聞かせるという目的でおこなわれたと考えるほかなりません。


 さらに、この後ろ手錠による拘束の14時間のあいだに、大阪入管の職員たちはBさんに暴行をくわえて負傷までさせています。


 12月21日の午前0時すぎ、Bさんが保護室のとびらを足でけると、職員5名が部屋に入ってきて、Bさんをうつぶせ状態にしておさえつけ、後ろ手錠にされている右腕をねじるようにひっぱりあげました。すでに後ろ手錠に拘束されているBさんに対してこのような行為をするのは、Bさんを痛めつけ屈服させることを目的にしたものとしか考えられません。この暴行の結果、Bさんは左上腕骨幹部骨折の負傷をおいました。


 大阪入管職員による暴行・傷害、また手錠をかけ長時間放置したこと等について、Bさんは216万円の損害賠償をもとめています。大阪地裁でひらかれるこのBさんの裁判に、都合のつくかたはぜひ足をはこんで傍聴していただくよう呼びかけるとともに、裁判の今後の推移にご注目のほどよろしくお願いします。




◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



関連記事


Monday, June 8, 2020

コロナ禍に際し、仮放免者の出頭期日を延期するよう東京入管に申し入れました


 6月5日、私たちは東京入管に以下の申入書を提出し、申入れをおこないました。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


申入書
202065
東京出入国在留管理局
局長 福山 宏 殿

仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)

 以下の根拠に基づき、6/11() 18()】に予定されている他県からの仮放免者の出頭を延期するよう申入れます。

  • 日本政府は、県をまたぐ移動について、【6/18()まで】首都圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)との不要不急の往来を控えるように要請しています。この6/18()までに仮放免者を関東甲信越各県からわざわざ電車やバスに乗って貴局まで出頭させることは、政府の方針に反しています。6/2()には「東京アラート」が発動されましたが、新型コロナ感染拡大は予断を許しません。出頭してくる仮放免者の安全への配慮からも、また公衆衛生の観点からも、出頭は、早くとも19日以降とすべきです。また、東京アラートが解除されない限りは、都内在住者も含めて、出頭させるべきではありません。
  • 仮放免者の中には、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化する危険性が極めて高い疾患を抱えた人がいます。例えば、肺炎で貴局収容中の昨年、入院したペルー人男性のE.E.さんは6/11の出頭を指示されました。このような人を、移動に伴う感染のリスクに晒してまで、わざわざ貴局に出頭させることは合理的ではありません。


以上から、前述のE.E.さんを筆頭に、6/11()18()】に予定されている他県からの仮放免者の出頭は延期にすること、特に新型コロナウイルス感染により重症化する危険性が高い疾患を抱えた人々の出頭を延期するよう強く求めます。


以 上


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 この時期の仮放免者への出頭指示自体、感染拡大防止のために反対ですが、特に重症化する危険性の高い仮放免者の出頭は危惧するところです。申入書の2項めでは、具体的に名前もあげて出頭日の延期を求めようとしました。提出した申入書にはフルネームを記載しています。

 申入書を印刷して、東京入管に向かう途中、E.E.さんから電話があり、「昨日の夕方、入管から電話があって、11日は来なくて良いとの事だった」との事でした。私たちとしても安心しました。E.E.さんは2年近くの収容を経て昨年末に東京入管から仮放免になりました。昨年の収容中に肺炎で入院しています。東京入管はE.E.さんの肺炎の病歴を知っているので、E.E.さんだけ、出頭日の再延期をした可能性もあると考え、予定通り申入れをおこないました。

 申入れ先の総務課は、出頭日の再延長については具体的に聞いていないとの事でした。申入書の1項めについて申し入れると共に、E.E.さんのような重症化しそうな人にはなおさらの配慮をするように申し入れました。

 また、先月申し入れた、「仮放免を積極的に活用すること」についても重ねて申し入れました。5月17日に開催した「入管収容者緊急ホットライン」の結果を見ても、各収容施設で仮放免許可を出しているものの、東京入管は、帰国希望だが飛行機が飛んでおらず帰国できない人を職権仮放免で出し、長期収容で拘禁反応や病気の悪化に苦しむ人たちをあまり仮放免していません。帰国希望の人たちについても仮放免するのは賛成ですが、感染した時に重症化しそうな長期収容者を直ちに仮放免すべきだと申し入れました。

 会員からの報告で、前日に11日出頭予定者へ、当日には12日出頭予定者へ、出頭再延期の電話がかかっていることがわかりました。


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


関連記事



Tuesday, June 2, 2020

弁護士 指宿昭一氏 講演会のご案内 6月19日(金)


『使い捨て外国人』 出版記念
弁護士 指宿昭一氏 特別講演会

主催:仮放免者の会

2020年6月19日午後6時30分より

ご参加をお待ちしております!



指宿昭一弁護士の初の単著『使い捨て外国人―人権なき移民国家、日本』(朝陽会)の出版を記念し、外国人労働者受け入れ及び入管を巡る人権問題の最前線に立つ第一人者たる著者が、両分野の現況を語ると共に、日本社会の再生が、両問題を統一的に捉えて解決し、本気で多文化共生政策を押し進めることによってしかなし得ないとの重要な提言を行います。

弁護士会館507号A-C室にて開催予定ですが、コロナウィルス感染防止の観点より、会場においでいただく人数を限定させていただきたく、報道関係者の方々以外はZOOMにての御参加をお願いする予定です。御希望者が当方で用意出来ますZOOMの御参加人数可能数を越えました場合には、御参加をお断りさせていただく場合がございますので、大変申し訳ございませんが、その点、どうか御了承下さい。

御参加希望の方は、①御氏名、②御所属、③メールアドレスをお書き添えの上、
仮放免者の会事務局長 宮廻満 miyasako316(あっとまーく)ksh.biglobe.ne.jp
まで御連絡いただけますよう、お願い申し上げます。

【傍聴呼びかけ】大阪入管暴行事件国賠 6/5(金)大阪地裁


 2017年7月に起きた大阪入管職員によるトルコ人被収容者に対する暴行事件。被害者Mさんが国に賠償をもとめる裁判をおこしたのが、2018年5月29日でした。事件からは3年近く、提訴からは2年がたちました。

 前回は、約15人が傍聴席で見守るなか、午前に原告Mさん、午後にはMさんを診察して裁判所に意見書を提出するなど、この裁判に協力してくださっている医師が出廷し、証人尋問がおこなわれました。

 今回の弁論は、以下の日時でおこなわれます。

◎場所:大阪地方裁判所810号法廷(→地図
◎日時:2020年6月5日(金) 10:00~

 今回は最終準備書面を提出して、結審予定です。そうなればその次の期日に判決が出ると見込まれます。

 直前の告知となってしまい、申し訳ありませんが、ご都合のつくかたは傍聴をお願いします。


 事件の詳細については、以下をごらんください。



 以下は、前回の傍聴呼びかけの記事です。

Monday, June 1, 2020

「仮放免中の子どもたちが描く『家族の絆』」を開催しました

 5月5日、「仮放免中の子どもたちが描く『家族の絆』」と題した絵画イベントを開催いたしました。



 在留資格をみとめられず「仮放免」の状態にある子どもたち7人が9点の作品を寄せてくれました。7人ともみな、日本生まれの子たちです。

 審査員の中島京子さん(小説家、直木賞作家)、安田菜津紀さん(フォト・ジャーナリスト)、榎並和春さん(画家)、永野潤さん(哲学者)から、それぞれ作品についての講評をいただきました。

 イベントの記録は、レイバーネットTVが動画を公開してくださっています。ぜひ、ご視聴ください。






 子どもたちの作品はもちろん、審査員のみなさんのお話もどれも興味深いものでした。

 フィリピン国籍の小学生のお子さんの作品に描かれた虹について、安田菜津紀さんは「虹がご家族を守っているようにみえる」と述べたうえで、「しかし、ほんとうはこの虹がご家族を守っているように、私たち日本社会が本当はいろんなご家族を守らなければいけないと感じた」とお話されていました。

 子どもたちの寄せた作品やメッセージのどれもが、日本社会のありかたや私たち大人たちの責任を問いかけてくるものだと感じました。その意味で、もっぱら「鑑賞者」としての位置から作品を「評価」するということはできず、むしろ私たちのほうが作品をとおして「見られている」「映し出されている」のだという、そういう印象を受けました。



関連記事


Sunday, May 31, 2020

「入管内での感染が不安」、入管収容者緊急ホットライン(5月17日)の報告


2020417日記者会見にて、森雅子法務大臣は「出入国在留管理庁の収容施設は、矯正施設と同様、閉鎖空間であるため、ひとたび施設内で新型コロナウイルスの感染者が生じると、急速に感染が拡大して危機的状況となるおそれがあります」(法務省HP)と述べました。同年51日には、「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」が全国の収容施設に通知され、同マニュアルに基づく運用がはじまりました。

しかしながら、いまだ仮放免されない人も相当数確認されており、帰住先のない人でさえ解放(仮放免)される一方、日本に家族がいる人などが見せしめ的に解放(仮放免)されていない、収容施設から解放されていない人たちの間での発熱・感染拡大不安、入管職員による大規模な制圧事件などの情報があります。

また、427日から入管各施設は、感染防止を理由として被収容者の一般面会(領事官や弁護士をのぞく、家族や支援者らとの面会)をさせない取り扱いを始めました(この面会制限は525日に終了)。こうした面会制限によって、収容施設内の状況や被収容者の声がますます外部に伝わりにくくなるということも、懸念されました。

そこで、当会では、517日(日)、「入管収容者緊急ホットライン」として、有志の弁護士、支援者により、収容されている人たちから直接、窮状、内部の状況の聞きとりをおこないました。聞き取りは、事前に各施設の被収容者にホットラインの開催を告知したうえで、施設内から17日の午前930分から12時までのあいだに電話をかけてもらうというかたちでおこないました。

「緊急ホットライン」にかけて来てくれた被収容者からの声を聞く限り、コロナ感染者は出ていなさそうなものの(一部、発熱後に行方が分かっていない人もいますが)、これまでの情報から危惧されていた問題が、引き続き残されていることがわかります。それは、長期収容問題は依然として解決されておらず、コロナ感染への不安も非常に大きいという二点です。

長期収容によって心身をむしばまれている人たちは、感染した際、重症化する恐れの高い人たちです。電話をかけて来てくれた29人を見ても、60代以上はいませんでしたが、50代が3分の1以上の10人を占めており、また、半年以上の長期被収容者、2年以上の超長期被収容者が数多く入管収容施設に残され、しかも仮放免許可はそれなりに出ていつつも、そういう長期被収容者の仮放免が進んでいないことがわかります。もちろん、若いから、収容期間が短いから、感染しても重症化しないということではありません。しかし、電話してきた人たちからしばしば訴えられる不公平な状況というのは、入管が「マニュアル」策定後も作為的な基準に固執しているように見受けられます。居室にしても3人の部屋、4人の部屋がまだまだ残されています。「マニュアル」にある「仮放免を積極的に活用する」との方針のもと、もっと早く、積極的に仮放免を活用すべきです。支援者から見ても、感染の危険性を危惧するところですが、閉鎖空間に閉ざされ、三密を避けられない被収容者の感染拡大への恐怖感は、ホットラインを通じて伝わってくるところです。

すでに各入管施設での一般面会が再開されるなど、ホットライン当時からの変化もありますが、ホットラインを通じてわかる事実関係、また被収容者からの必死の訴えを受けて、仮放免者の会としては、さらなる長期収容問題の解決、コロナ感染拡大対策の前進を、入管庁、各収容施設に訴えていきます。

 全国5施設(東日本と大村の両入管センター、東京・名古屋・大阪の各地方入管局)、合計29名の被収容者から電話で声がよせられました。

 電話をいただいた29名の年齢、収容期間と国籍ごとのうちわけは、つぎのとおりです。

年齢
20
3
30
7
40
7
50
10
不回答
2


収容期間と国籍
6か月未満
スリランカ(3ヶ月)
6か月以上1年未満
イラン (10ヶ月)、中国(7ヶ月)
1年以上2年未満
ブラジル(1年3ヶ月)、ヴェトナム (1年9ヶ月)スリランカ(1
年2ヶ月)、イラン (1年6ヶ月)、ナイジェリア(1年9ヶ月)、
メキシコ(1年9ヶ月)
2年以上3年未満
ネパール(2年)、イラン (2年8ヶ月)、コンゴ(2年3ヶ月)、
フィリピン(2年6ヶ月)
3年以上4年未満
カメルーン(3年以上)、ナイジェリア(3年)、イラン (3年
半)、イラン 、(3年4月)、イラン (3年4ヶ月)、イラン (3
年5ヶ月)、ナイジェリア(3年9ヶ月)、イラン (4年5ヶ月)



 なお、支援者からは、被収容者に以下の項目を質問し、それぞれのブロック(収容区画)全体の状況をお話していただきました。

(1)ブロックの被収容者数
(2)ブロック部屋数
(3)各部屋の人数
(4)4月以降の仮放免状況(マニュアル策定以前からも含めて、感染拡大のなかで被収容者数を減らそうとしていたのかどうかがわかる)
(5)仮放免日が決まっている人(人数)(マニュアル策定後の仮放免許可状況がわかる)
(6)仮放免保証金は?(金額)
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人はいるか?
(8)伝えたいこと

ホットラインにて被収容者たちから聞き取った各施設のブロックごとの状況を以下に公開します。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇




東京入管Aブロック(男子区) 1名架電
(1)ブロックの被収容者数 16人くらい
(2)ブロック部屋数 7部屋(雑居房のみの数だと思われる)
(3)各部屋の人数 2人~3人が多く、4人のところも1室ある。(複数人がひとつの部屋に同居することについて)「自分は病気で、いつ倒れるかわからない。1人部屋は危ない」との返答。
(4)4月以降の仮放免状況 帰国希望のベトナム人が45人出た。その人たちは仮放免申請はしていない(→局長の職権による仮放免)
(5)仮放免日が決まっている人 1人。収容1ヶ月の人。
(6)仮放免保証金は? わからない
(8)伝えたいこと 帰国予定だが飛行機が飛んでないために帰国できなくなっている人、収容期間の短い人だけ仮放免。長期被収容者は誰も仮放免にならない(不公平感)


東京入管Bブロック(男子区) 1名架電
(1)ブロックの被収容者数 28
(2)ブロック部屋数 9部屋
(3)各部屋の人数 1人~4
(4)4月以降の仮放免状況 3人くらい
(5)仮放免日が決まっている人 0
(6)仮放免保証金は? 10万円くらい
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 いない
(8)伝えたいこと 入管内でのコロナ感染が不安。長期収容者が多く、病気になっているところに感染して重症化する危険性がある(感染への不安)。病気になり、病院に行ってちゃんと治したいのに連れていかず(医療放置)、帰国する人は出られるのに、難民や家族がいて、病気にもなっているが出られない(不公平感)


東京入管Cブロック(男子区) 1名架電
(1)ブロックの被収容者数 18
(2)ブロック部屋数 9部屋
(3)各部屋の人数 23
(4)4月以降の仮放免状況 1人。在留希望の人。
(5)仮放免日が決まっている人 0人。
(6)仮放免保証金は? 30万円
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 いない
(8)伝えたいこと 業者、職員の出入りがあるから心配(感染不安)。職員から「(仮放免許可を)順番に出すから」と言われておとなしくしているけど出られない。不許可になった人もいる。長期収容の人が出られない(不公平感)。病気の人を医者に連れて行ってくれない。行くまで何日もかかる(医療放置)


東京入管Dブロック(男子区) 1名架電
(1)ブロックの被収容者数 19
(2)ブロック部屋数 9部屋
(3)各部屋の人数 最大4
(4)4月以降の仮放免状況 3
(5)仮放免日が決まっている人 記載がないので0人と思われる
(6)仮放免保証金は? 払っていない(3人とも職権仮放免と思われる)
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 1人、熱のある人がいたが、別のブロックに移され、戻ってきた
(8)伝えたいこと 残っている人の不安は、いつ出られるかということ



東京入管Eブロック(男子区) 1名架電
(1)ブロックの被収容者数 19
(2)ブロック部屋数 9部屋
(3)各部屋の人数 34
(4)4月以降の仮放免状況 帰国予定の人78名と在留希望の人34人。在留希望の人も東京入管に来て34ヶ月で短い。収容期間の長い人は出ていない。
(5)仮放免日が決まっている人 2人。1人は明日で、帰らない人。
(6)仮放免保証金は? 50万、30万、10
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 1ヶ月前に、熱が何日も続く人がいて他のブロックに移室させられた。
(8)伝えたいこと 職員は外から(出勤して)来る。危険。コロナは危険(感染不安)。長い人は出ていない。日本人の奥さんがいても出ていない(不公平感)



東京入管Fブロック(男子区) 1名架電
(1)ブロックの被収容者数 18
(2)ブロック部屋数 9部屋
(3)各部屋の人数 23
(4)4月以降の仮放免状況 難民3人、帰国予定のベトナム人4
(5)仮放免日が決まっている人 いない
(6)仮放免保証金は? 10
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 1ヶ月前、2人熱があり他ブロックに移室。


東京入管Nブロック(女子区) 1名架電
(1)ブロックの被収容者数 20人くらい
(2)ブロック部屋数 7部屋(雑居房のみの数だと思われる)
(3)各部屋の人数 最大4
(4)4月以降の仮放免状況  56
(5)仮放免日が決まっている人 いない
(6)仮放免保証金は?  0円(全員職権仮放免と思われる)
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 今はいない
(8)伝えたいこと 長期収容者が仮放免で出られない(不公平感)
425日の制圧の事。収容が短い人は出られて、なぜ長い人は出られないのか、担当の人から話を聞こうとした。(閉鎖処遇時刻が来ても居室に戻らず)立っていただけ。静かにアピールした。私は「私たちに自由をください。お願いします」と英語で書いて立っていた。そうしたら4050人の職員が、ヘルメットや盾の軍隊のような姿で入ってきた。私は78名に体をつかまれた。頭を押さえつけられた。力強く。ケガをした人もいる。すごくびっくりした。自分の人生で初めて。(仮放免者の会とBONDで、58日に東京入管に申入れした件の人からの電話)

  
東京入管Oブロック(女子区) 1名架電 ブロック情報は聴取できず
(8)伝えたいこと 425日、みんなでデモをやった。病気の人もいる。難民もいる。制圧されて体が痛い。下着も付けていないところをビデオに撮られた。制圧には50人くらい来た。男も来た。(翌日)シャワーも電話もなしになった。体と心が苦しい。


東日本センター1Bブロック 1名架電(東日本は現状、男子区のみ)
(1)ブロックの被収容者数 13
(2)ブロック部屋数 9部屋
(3)各部屋の人数 04
(4)4月以降の仮放免状況 3人 
(5)仮放免日が決まっている人 3
(6)仮放免保証金は? 5万、10
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 いない
(8)伝えたいこと  コロナ感染への不安。長期収容への不満。面会禁止への不満。


東日本センター2Bブロック
(1)ブロックの被収容者数 6
(2)ブロック部屋数 6部屋(雑居房のみの数だと思われる)
(3)各部屋の人数 1人ずつ
(4)4月以降の仮放免状況 1
(5)仮放免日が決まっている人
(6)仮放免保証金は? 10万円
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 いない
(8)伝えたいこと 仮放免になるという期待があるのに不許可になると精神的に苦しい。前科がある人には(仮放免許否判断が)厳しい。日本に来て30年以上。子どもも社会人になっているが、私はいつまで前科の事を言われるのだろう(不公平感)。私たちの声を聞いてくれるのを(今日のホットライン)感謝している。コロナ感染の対策として、入管の発表で仮放免を出すと言って、出ている人もいるが三密を避けるためであって、人道的に罪のない人を解放するためではない。出す人(の基準)も、入管の勝手になっている。三年以上の長期収容者が牛久に340人いるが仮放免になっていない。4年以上も6人いるが1人もOKになっていない。前科がある人を差別している。入管のやり方は不公平(不公平感)。弱っている体でコロナの恐れもある(感染不安)


東日本センター3Aブロック 2名架電
(1)ブロックの被収容者数 12人くらい
(2)ブロック部屋数 10部屋
(3)各部屋の人数 2部屋に2人ずつ。他は1人ずつ。
(4)4月以降の仮放免状況 5
(5)仮放免日が決まっている人 1人。東京入管から移収されて1ヶ月半の人。
(6)仮放免保証金は? 5万、10
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 37度の人がいた。10日くらい前に他のブロックに移されたが、(その人のその後について職員は)何も教えてくれない。
(8)伝えたいこと 牛久に来て短い人が出ている。長くて病気の人が出られない(長期収容への不満。不公平感)


東日本センター3Bブロック 5名架電
(1)ブロックの被収容者数 8
(2)ブロック部屋数 10部屋
(3)各部屋の人数 1人ずつ
(4)4月以降の仮放免状況 7
(5)仮放免日が決まっている人 3
(6)仮放免保証金は? 10万円
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 いない
(8)伝えたいこと 仮放免が何度もダメだし、病気も治してもらえない。命が大切です(長期収容への不満。医療放置)。4年半以上収容され、狭い部屋にずっと入れられている。仮放免申請も17回した(長期収容への不満)。コロナ禍のなか、何でここにいるのか(感染不安)。東京入管から最近来た人たちが仮放免になっている。私たちも出せ(不公平感)。長期収容者が仮放免されずにいることへの不満。コロナ感染不安。


東日本センター7Aブロック 1人架電
(1)ブロックの被収容者数 25人くらい
(2)ブロック部屋数 13部屋
(3)各部屋の人数 13
(4)4月以降の仮放免状況  22
(5)仮放免日が決まっている人 3人。明日、1人でる。
(6)仮放免保証金は? 10万円
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 今はいない。
(8)伝えたいこと 業者や職員が出入りしており感染のリスクが怖い(感染不安)。面会はアクリル板越しなのになぜ禁止されているのか?(面会禁止不満)。後から牛久に来た人たちが仮放免になっているのはなぜ?差別だ(長期収容への不満。不公平感)


東日本センター8A 1人架電
(1)ブロックの被収容者数 25人くらい
(2)ブロック部屋数 13部屋
(3)各部屋の人数 13人。3人の部屋は2つで2人の部屋は7つ、他は1人ずつ。
(4)4月以降の仮放免状況 20人くらい
(5)仮放免日が決まっている人 2
(6)仮放免保証金は? ほとんどが10万。20万円の人も2人いた。
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 いない。隣の8Bでは、2~3週間前に2人が発熱した。
(8)伝えたいこと 面会に来てもらえないのが困る(面会禁止不満)


東日本センター9B 1人架電
(1)ブロックの被収容者数 12
(2)ブロック部屋数 6部屋(雑居房のみの数だと思われる)
(3)各部屋の人数 1人の部屋と3人の部屋
(4)4月以降の仮放免状況 7
(5)仮放免日が決まっている人 1人
(6)仮放免保証金は? 10万円
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 いない
(8)伝えたいこと 架電者の妻は末期がんで、死に目には会いたいと希望していました。ともかく死に目には会いたいと必死な様子でした。


名古屋入管Bブロック 1人架電
(1)ブロックの被収容者数 15
(2)ブロック部屋数 単独房2部屋と雑居房8部屋
(3)各部屋の人数 1人~2
(4)4月以降の仮放免状況 15人くらい
(5)仮放免日が決まっている人 1
(6)仮放免保証金は? 1020万円
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 今はいない。先週、38度になった人がいたが、違う部屋に行って、3~4日して戻った。
(8)伝えたいこと ローソンのカレーを頼んだら豚肉が入っていた。豚肉は食べられないのに。1ヶ月くらい前の事。入管は「ローソンの責任だ」というが納得できない。ローソンでの買い物できる商品が少ない。差入れもできない。弁当の容器も汚れている(その他、処遇の事)。医者がひどい。1人、中年で細身の医者がいるが、患者の顔も見ないで適当な診断を出している(医療放置)


大阪入管Bブロック(男子区)  2人架電
 (1)ブロックの被収容者数 22
(2)ブロック部屋数 単独房2つと4人部屋が8つあり、4人部屋には3人ずつ入っている。
(3)各部屋の人数 雑居房は3人ずつ。
(4)4月以降の仮放免状況 5人。前科のある人が2人でた。あとは入管法違反がオーバーステイのみの人。
(5)仮放免日が決まっている人 4
(6)仮放免保証金は? 10万円。0円の人もいる。
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 熱がある人はいないが、みんな感染におびえている。
(8)伝えたいこと コロナにいつ感染するのか、怖い。長期収容への不満。すごく狭いところで、長く生活するところではない。感染も心配(感染不安。長期収容への不満)。外にいる人達に私たちの声を聞いてもらいたい。伝えたい。



大村センター3Aブロック(第1区画か第2区画か不明) 大村は男子区のみ。
(1)ブロックの被収容者数 14
(2)ブロック部屋数 5部屋
(3)各部屋の人数 2人部屋2つ、3人部屋3つ。
(4)4月以降の仮放免状況 4
(5)仮放免日が決まっている人 1
(6)仮放免保証金は? 1050万円。
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 発熱は2人。389度。熱は上がったり下がったりだったが、同じ部屋にずっといた。病院にも行っていない。


大村センター3Bブロック第1区画 2名架電
(1)ブロックの被収容者数 15
(2)ブロック部屋数 5部屋
(3)各部屋の人数 3人ずつ
(4)4月以降の仮放免状況 1
(5)仮放免日が決まっている人 3
(6)仮放免保証金は? 10万円
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 1人、発熱した人がいたが、数日間隔離されて戻ってきた。
(8)伝えたいこと 各居室は三密だし、外から業者が出入りしていて安心できない。職員はくしゃみした手で薬をくれる。コロナの件で消毒してくれと頼んでもやってくれない。体温計の消毒も、毎回、言わないとやってくれない。コロナウイルスへの不安でいっぱい(感染不安)。面会できなくなってから入管はやりたい放題(面会禁止への不満)


大村センター3Bブロック第2区画 1名架電
(1)ブロックの被収容者数 10人くらい
(2)ブロック部屋数 5部屋
(3)各部屋の人数 2人~4
(4)4月以降の仮放免状況 3人。帰国予定の人。
(5)仮放免日が決まっている人 いない
(6)仮放免保証金は? 聞いていない。
(7)発熱者などコロナ感染が疑われる人 今はいない。
(8)伝えたいこと 感染不安。難民の人、帰れない人、たくさんいる。早く外に出たい(長期収容への不満)



以上、各施設の被収容者への告知など事前の準備、当日の電話対応、聞き取りした内容の集計等は、BOND、START、TRYの支援者、弁護士の指宿昭一さん、駒井知会さん、高橋済さんが連携しておこないました。





◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



関連する記事、マスコミ報道

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するなかでの、入管施設での収容問題に関して、関連する記事やマスコミ報道をまとめておきます。
 コロナ禍にあたり、当会ふくめ関東・東海・関西の6団体の連名で、4月30日に以下の申し入れを入管庁に対しておこないました。

5月17日に当会の主催した「入管収容者緊急ホットライン」にも取材しつつ、コロナ禍の被収容者のおかれている状況について問題化した報道もいくつか出ております。

 本記事でも紹介したように今回のホットラインにも被害者からの訴えが寄せられていますが、4月25日に東京入管で女性被収容者に対する職員の制圧事件が起こっています。これについては、「難民問題に関する議員懇談会」の入管庁に対するヒアリング、マスコミ報道等で問題にされているところです。

 上記制圧事件については、当会としても東京入管に対し抗議・申し入れをおこなうなどしているところです。

 以下は、東京入管の被収容者2名が仮放免をもとめて提訴したという報道です。