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Sunday, December 13, 2020

いまも深刻な長期収容問題、被収容者が連名で嘆願書(東日本入管センター)

  全国の各入管収容施設は、3~5月ごろにかけて、仮放免許可を積極的に活用することで、多くの被収容者を出所させました。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、施設内の密集を回避するためです。東日本入管センターでも、昨年12月4日時点で252名だった被収容者数(入管庁発表)は、現在では100名程度まで減っているとみられます。


 しかし、以下の記事でも述べたように、6月以降、仮放免の拒否判断はふたたび厳格化され、超長期の被収容者の仮放免申請が不許可になるケースがあいついでいます。


東日本入管センターに、拒食者などの早期仮放免を申し入れました- 仮放免者の会(PRAJ)(2020年11月14日)


 こうして、被収容者数は全体として大きく減少したものの、収容長期化はますます進行しているというのが現状です。


 こうした状況のなかで、東日本入国管理センターの被収容者たちが連名での「嘆願書」を作成しています。「嘆願書」は、早期の仮放免や帰国できない事情のある者への在留資格の付与などを求めたもので、国会議員などに送付しているとのことです。当会としても、「嘆願書」作成者たちから、収容所内の、あるいは仮放免されている仲間たちのおかれている問題を日本社会の多くの人に知らせてほしいということで、これを公表するよう要請されました。


 以下に「嘆願書」の全文を掲載します。長期収容問題は過去の問題ではなく、いまも進行中の問題であることを多くの人に知ってほしいと思います。


 「嘆願書」の署名欄には、署名者65名の名前のほかに、各人の国籍、収容期間、日本在留期間が記されていました。このうち国籍、収容期間、在留期間を集計したものをこの記事の末尾に資料としてまとめました。約100名の東日本センター被収容者全体のデータではないですが、これらの資料をとおして、常軌を逸して収容が長期化した状況が現在も続いているということ、またそのような状況に置かれても送還を拒否せざるをえないのはどのような人たちなのかということが、ある程度想像できるのではないかと思います。


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嘆願書


 茨城県牛久市の東日本入国管理センターに収容されている者を代表し、この嘆願書を書いています。


 長期の収容は心身にダメージを与え、仮放免後の後遺症が長く尾を引き、その後の人生にも大きく影響を及ぼす事になります。一日も早い仮放免が望まれます。

 また、仮放免後は仕事が禁止されていたり、移動の自由が制限されていたりと、人間として生きる権利が阻害されています。仕事をしなければ生きていく事は困難を極めます。

 我々は以下の事をお願い申し上げます。


  • 収容されている全ての人達の早期の仮放免を求めます。
  • 仮放免後は、自力で生活できる様、就労禁止という規則を撤廃し、仕事に就けるようにしてほしい。また、病気や怪我を負った時の為、医療保険に加入出来る様にしてほしい。
  • 日本国籍の配偶者や子供、永住権やその他の在留資格の配偶者がいる人には在留資格を認めて欲しい。
  • 難民を含む、日本に庇護を求めて来た人、長年日本で生活している人や幼少期から日本で生活している人にも在留資格を認めてほしい。


以上です。


 どうか、我々にこの日本にもう一度住むチャンスを与えて下さる様、お願い申し上げます。


東日本入国管理センター収容者一同

令和2年12月1日


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【資料】署名者65名の国籍、収容期間、日本在留期間

1.国籍

国籍

人数

スリランカ

8

ブラジル

7

ペルー

4

ナイジェリア

4

ミャンマー

4

バングラデシュ

3

イラン

3

  そのほかに、ラオス、パキスタン、フィリピン、ベトナム、中国、ギニア、ネパール、カメルーン、コンゴ、インドが各2名、タンザニア、インドネシア、ウガンダ、トルコ、カンボジア、セネガル、米国、台湾、リベリア、ボリビア、ケニア、ジャマイカが各1名です。




2.収容期間

















 収容期間が何か月になると「長期収容」と呼ぶべきなのか、明確な答えがあるわけではありません。しかし、被収容者当事者や支援者の多くは、6か月以上の収容を「長期収容」として問題視することでだいたい見解が一致します。私たちも、会を結成した2010年以来、6か月をこえる「長期収容」をやめるよう、入管にくりかえし申し入れ等をおこなってきました。収容期間が6か月ほどになれば、ほとんどの被収容者は拘禁反応を発症するのであり(もちろん、もっと早く発症する人もいます)、これをこえて収容を継続するのは人権・人道の点から許容できないからです。

 ところが、現状は、1年、2年をこえるような収容が常態化し、4年をこえるようなすさまじい収容期間であっても入管が仮放免を許可しないというケースもめずらしくなくなっています。東日本センターの現状については次回の記事で追って報告しますが、強力な睡眠薬や精神安定剤を処方され、それなしには過ごせないとか、あるいは、拘禁ストレスからくる高血圧症に苦しんでいて、処方された降圧剤を服用しても血圧が下がらないとか、あきらかに心身が収容にたえられない状態にある人が長期間にわたって収容されているのです。



3.日本在留期間

















 過酷な長期収容にあっても送還を拒否せざるをえない人たちのなかには、日本での在留歴の長い人が相当数いるということが、グラフからうかがえるのではないかと思います。国に帰るに帰れない事情は人によってそれぞれですが、長年日本で暮らしてきてこの地にすでに定着しているということも、帰国できない事情として深刻なものなのです。

 先にみた苛烈な長期収容の状況は、それぞれに帰れない事情のある人たちを帰国に追い込むための手段として、入管が戦略的・意図的につくりだしている状況です。嘆願書にあげられている「日本国籍の配偶者や子供、永住権やその他の在留資格の配偶者がいる人」「難民を含む、日本に庇護を求めて来た人」「長年日本で生活している人」「幼少期から日本で生活している人」。こうした人たちを、出国に「同意」させるための手段として、「心身にダメージを与え」る長期収容がもちいられているのです。






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