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Monday, May 11, 2020

女性被収容者たちへの暴力的制圧について東京入管に抗議・申し入れをおこないました

 前回記事でお伝えしたとおり、4月25日に、東京入管で女性被収容者たちに対し、男性ふくむ職員たちが身体接触をともなうかたちで暴力的な制圧をおこなうという事件がありました。
 この暴力行為について、5月6日(金)、東京出入国在留管理局に対し、BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)と当会の合同で抗議・申し入れをおこないました。以下、申入書を掲載します(掲載にあたって、被収容者の実名をイニシャルにあらためております)。


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申 入 書
202058

東京出入国在留管理局長 殿

仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)


 東京出入国在留管理局のNブロックに収容されている女性被収容者より、男性をふくむ貴局職員(入国警備官)たちから、身体接触をともなう暴力行為を受けたとの訴えが当会に寄せられた。


事実経過

 貴局被収容者によると、425()の夕方、Nブロックで入管側との対話を求めていた被収容者十数名に対し、貴職は数十名の入国警備官を動員し、暴力的に帰室させた。動員された入国警備官には多数の男性もふくまれており、男性警備官が女性被収容者の身体に接触するような場面もあった。

 また、こうして被収容者たちを実力で帰室させる過程で、男性をふくむ貴局職員たち78人がネパール人のBさんの体を持ち上げて保護室に連行した。さらにこの職員たちは、保護室内でBさんをうつぶせの状態で体をおさえつけ、頭部に手指で強い力をくわえるなどの暴行を働いた。


新型コロナウイルス感染防止の観点からの問題

 貴局職員たちによる上記行為は、新型コロナウイルス感染防止の観点から最悪のものであった。

 入管施設において、新型コロナウイルスの感染源になりうるのは、おもに職員、ガードマン、支給食業者である。その職員らはPCR検査を受けていないし、かりにPCR検査を受けて陰性だったとしても、検査後に感染することも考えられる。したがって、被収容者への感染を防止するには、職員が被収容者に接近・接触する機会を極力すくなくすることが不可欠である。他に、新たに収容された者も感染源になると危惧されるが、これについては、タスクフォースによるマニュアルに沿って、二週間にわたる隔離収容で様態観察をされていると推量する。

 一方、当時Nブロックの被収容者は、帰室すべき時刻に帰室せず、仮放免を求めるプラカードを手にかかげるなどしていた。被収容者が帰室時刻を守らなかったことは被収容者処遇規則・細則に違反する行為であるとはいえ、それ自体が他の被収容者や職員の安全をそこなうような行為ではない。集団生活で閉鎖空間に密閉され、新型コロナウイルス感染におびえ、仮放免を求める彼女たちの声に誠実に耳を傾け、仮放免申請許可の可能性を示唆するなど、いくらでも説得する方法はある。したがって、被収容者を帰室させることは、緊急に必要な措置であるとは言えない。被収容者への職員の接近・接触が新型コロナウイルス感染のリスクをともなうという状況において、緊急の必要性がないのにもかかわらず、職員に命じて被収容者たちを力ずくで帰室させた貴職の行為は、「被収容者に規則に従わせること」を被収容者の人命と、新型コロナウイルス感染拡大よりも優先させたということにほかならない。

 貴局被収容者には心臓疾患、呼吸器疾患、糖尿病等の持病のある人が少なくない。長期の収容によって疲弊・衰弱して免疫力の低下している人も多くいる。こうした被収容者たちは感染した場合の重症化リスクが高いうえに、収容場は多人数の被収容者が密集して生活しているため、感染がまたたく間に拡大する危険がある。そして、感染者が出た場合に、その人と接触した被収容者ひとりひとりを隔離するための個室の確保は不可能である。重症になれば、保健所の判断のもとに隔離病棟を持つ指定病院に移送されるだろうが、現状では軽症や無症状の患者を移送できる状態ではなく、貴局収容場での収容を続けるしかない。したがって、入管施設内でひとたび感染者が発生すれば、多くの犠牲者が出る危険性はきわめて高い。このような状況下で、貴職は、感染リスクの高い上記行為を職員たちに命じ、被収容者の、さらには職員たちの人命を軽んじたのである。

 なお、出入在留管理庁はタスクフォースによる「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」をまとめ、密集回避などのために仮放免を積極的に活用することなどをさだめている。実際、東日本入国管理センターなどでは積極的に仮放免許可をすることで被収容者数を大幅に減らそうという動きが現在みられる。貴局でも、同センターがそうしているように、積極的に仮放免を活用することが入管庁の方針であることを被収容者にていねいに説明し、実際にこれを実行していれば、人の密集する収容場で不安にかられた被収容者たちが帰室を拒否して抗議の意思を示す必要もなかったはずなのである。


女性被収容者に対し男性警備官を動員して制圧にあたらせたことの問題

 貴局職員たちの上記行為は、女性被収容者に対して男性職員が身体接触をともなう暴力行為をおこなったという点でも看過できない。Bさんら女性被収容者が、意に反して男性職員から身体をさわられて受けたショックを考えれば、貴職が命じて職員におこなわせた上記行為は、断じて許されるものではない。


 以上をふまえ、以下申し入れる。

一、 不要不急な制圧行為はしないことを貴局内で周知徹底すること。また制圧に限らず、被収容者へのソーシャルディスタンスを点呼の際も含めて最大限に確保することを貴局内で周知徹底すること。

二、 いかなる観点にたっても、今回の事態では制圧が必要だとは考えられないが、女性被収容者に対して制圧が必要な場合は、極力、女性職員のみによって行うこと。

三、 上記行為について、貴局として、不安にかられているNブロックの被収容者全員に謝罪すること。

四、退令収容者について、「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」に沿って、「仮放免を積極的に活用」すること。

五、貴局内に収容されている収令収容者については、法務大臣から委任された貴職の判断で在特を付与するか、「仮放免を積極的に活用」すること。


以 上

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関連記事
 4月30日、入管庁に対し、新型コロナウイルス感染者が出た場合に多くの犠牲者が出かねない入管施設から全員を解放すること、また、コロナ禍にあって社会保障から排除され、働く権利を奪われている仮放免者の全員に在留資格を付与することの2点を、関東・東海・関西の6団体で申し入れました。


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