Monday, July 29, 2019

【抗議声明】入管による見せしめ・恫喝を目的とした再収容について


 7月22日に東日本入国管理センターは、2人のイラン人(「Aさん」「Bさん」とする)をふたたび収容した。2人はこのわずか2週間前の7月9日に、おなじ東日本センターから仮放免されて出所したばかりであった。この2人の再収容は、東日本センター等で広がっているハンストを弾圧するための見せしめ・恫喝を目的としたものであることはあきらかであり、当会としても断じてこれを容認することはできない。



1.事実経過
 超長期収容に対する抗議のハンストが、今年の5月以降、東日本入管センターをはじめとする各地の入管収容施設で広がっている。AさんとBさんも、東日本入管センターにおいてハンストをおこなっていた。Aさんは6月4日からおよそ25日間、Bさんは5月10日から50日間にわたり食事を絶ち、2人とも自力で歩くことができなくなるほどに衰弱していた。

 2人がようやく仮放免がみとめられ、収容所から出ることができたのが、7月9日。ところが、そのわずか2週間後の7月22日、入管はAさんとBさんの身体を拘束し、東日本入管センターに連行して収容した。



2.長期収容・再収容の不当性
 今回、入管当局は、2年をこえる超長期収容とハンストでぼろぼろになった心身が回復するまもなく、AさんとBさんを再収容した。しかも、いったん拘束を解いたうえでたったの2週間でふたたび拘束するというやり方、わずかな希望を与えてすぐさまこれを打ち砕こうとするサディスティックな入管のやり口には、強いいきどおりをおぼえずにはいられない。

 2人に対する長期収容、そして仮放免した直後の再収容の不当性をあきらかにするために、まず入管法にさだめられている収容の目的を確認しておこう。入管法(「出入国管理及び難民認定法」第52条第5項)は、「退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで」収容することができると定めている。あくまでも、送還にいたるまでの身体の拘束・逃亡防止が、法にさだめられた収容の本来の目的である。入管による収容は、懲罰や制裁を目的としたものではない。したがって、収容が長期化して被収容者の健康がそこなわれるようなことがあってはならないのはもちろん、身体を拘束して自由をうばう期間は極力みじかくなければならない。

 山下貴司法務大臣は7月2日の記者会見で、大村センターでのナイジェリア人被収容者が死亡した事件を受けて、つぎのように述べている。

「健康上の問題等のため速やかな送還の見込みが立たないような場合には,人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応しているところです。」

 送還の見込みが立たないようなケースで収容が長期化することを回避するための制度として、仮放免制度が位置づけられていることに注意したい。この法務大臣の発言は、これまで法務大臣・入管当局が、国会答弁などでくりかえし表明してきた内容でもある。送還の見込みが立たないにもかかわらず収容を継続することは、入管法に規定された収容の目的に照らしても無駄かつ不当であり、そのような場合は仮放免によって長期収容を回避すべきなのである。

 この点で、まずAさんもBさんも2年以上という超長期にわたって収容されていたこと自体が、不当である。この収容期間の常軌を逸した長さこそ、入管が2人を送還の見込みが立たないことがあきらかであるにもかかわらず無駄に収容しつづけ、自由をうばい心身に苦痛を与えてきたことの証左なのであって、もっと早くに仮放免すべきであったのである。

 そして、入管は、あまりに遅すぎる仮放免許可を与えて2人を出所させたが、そのわずか2週間後に再収容した。このわずかな期間に、AさんおよびBさんについて送還の見込みが立つような状況の変化など生じていない。また、2人とも入管の指示したとおりに出頭したところを再収容されたのだから、「逃亡」の意思がなかったことはあきらかである。

 したがって、入管は、送還という法に定められた収容の目的を達せられないことがあきらかであり、しかも「逃亡」のおそれがなく身体拘束の必要性がないことがあきらかであるにもかかわらず、AさんとBさんを再収容したのである。

 とすると、なぜ入管が2人を再収容したのか、その目的はあきらかである。AさんとBさんはじめ、長期収容に抗議してハンストをおこなう被収容者たちに対して、「抗議しても無駄だ」「おまえたちの声を聞くつもりなどない」と恫喝するためである。このように、人間の生命をもてあそび、身体的・精神的に人を痛めつけてこれを見せしめにするような卑劣な行為を、われわれは絶対に許さない。



3.明確な悪意の存在
 さきにみたように、山下法務大臣は「速やかな送還の見込みが立たないような場合には,(中略)仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応しているところです」と発言している。

 しかし、この大臣発言は、入管当局の現におこなっている運用からみれば、まったく事実に反している。「速やかな送還の見込みが立たないような場合」に「仮放免制度を弾力的に運用」していたならば、2年や3年をこえる超長期収容が常態化しているという入管センターの現状は生じるはずがない。送還の見込みが立たないケースでも、仮放免せずに収容継続に固執しているからこそ、収容の超長期化と言うべき現状がもたらされているのだ。

 つまり、入管は、長期収容は回避すべきであり、送還の見込みが立たない場合は仮放免制度を弾力的に運用していると口先では言いながら、まったくこれと反する行動をとっているのである。問題は、入管はなぜこうしてウソをつくのか、という点である。

 入管は、この法務大臣発言がそうであるように、長期収容は回避すべき問題であるということを口先では一貫して表明してきた。そう言うことで、まるであたかも、この収容長期化という事態が入管にとって意図せざる不本意な結果であるかのようにふるまっている。しかし、その事態を回避する手段として仮放免制度にふれながらも、いっこうにこれを活用して収容長期化問題を回避しようとはしてこなかった。それは、入管が口先で言うのとはうらはらに、この収容長期化が意図されたものだからだ。

 入管は、ある明確な目的意識のもと、長期収容をおこなっている。それは、長期間にわたって身体を拘束し、自由をうばい、心身を痛めつけることによって、被収容者が送還に「同意」するように追い込むというものである。つまり、長期収容を帰国強要の手段として意図的におこなっているのである。

 したがって、今回のAさんとBさんに対する再収容は、入管がこれまでおこなってきたやり口の延長線上にあるものにすぎない、ということも言える。個人に苦しみを与え、また、そうして苦しんでいる様子をまわりの人びとへの見せしめにすることで、抵抗する者たちの意思をくじこうとする。こうした入管のやり方は、今回の再収容だけでなく、長期収容を帰国強要の手段としてきたことにもみられるものなのである。その意味で、入管のやり方は一貫しているとすら言える。

 ただし、今回のAさんとBさんへの仕打ちにおいて、入管幹部どもの陰湿で残虐な悪意、被収容者・仮放免者を虐待によって従属させようとする意図は、もはや隠しようがなくあからさまになった。AさんとBさんをはじめ、被収容者たちの闘争・抵抗が、これを暴露したのである。

 入管当局は、AさんとBさんらを即座に解放するとともに、長期収容と再収容によって人間をいたぶることをやめるべきである。

2019年7月29日
仮放免者の会(関東)

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 大村入管センターに関して

Sunday, July 28, 2019

大村入管でのハンストについて続報



 7月15日から始まった大村入国管理センターでのハンストは、現在も続いています。

 大村の被収容者たちからの電話等での連絡によると、開始から13日たった26日時点で、少なくとも16名がハンストを続行しているとのことです。

 ハンストで要求しているのは、つぎの2点です。

  1. 長期収容をやめること。仮放免を許可せよ。
  2. 大村入管センター所長の荒川満は、ナイジェリア人を死亡させた責任をとって辞任しろ。

 今回のハンストには参加していない人からの報告によると、ハンストによって体調をくずして尿に血がまじるという症状が出ている人が3人いるほか、病院に運ばれて点滴を打たれそうになったけれどもこれを拒否した人もいるとのことです。この連絡をくれた人は、「死ぬか生きて外に出るかどちらかだと言ってハンストをしている人がいる、このままではまた死人が出るのではないか」と心配しています。

 最近たびたび報道されている東日本入管センターと同様、大村でのハンストも、収容の超長期化と言うべき絶望的な状況のなかで、きわめて強い覚悟のもとハンストをおこなっている人が多数います。死亡者がまた出てしまうのではないかという危惧をいだかずにはいられない状況です。

 こうしたことから私たちは大村入管センターにたいし、2年をこえる超長期の被収容者はハンストをしているかしていないかにかかわらず無条件で仮放免し、長期収容をやめるという意思を明確に行動で示すよう、電話で申し入れました。

 みなさまには、大村入管センターの人権状況に今後とも注視していただくと同時に、同センターに対し、「人命を大事にする観点から長期の被収容者を解放すべきだ」などの意見を届けていただくよう、お願いします。


大村入国管理センター
 電話: 0957-52-2121
 ファクシミリ: 0957-27-3070
 住所: 856-0817 長崎県大村市古賀島町644-3


 また、報道関係者のみなさまには、ハンストの参加者ふくむ、入管施設の被収容者に取材し、その声を報道していただくよう、お願いします。


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 大村入管センターに関して

 東日本入管センターに関して

Sunday, July 21, 2019

被収容者死亡事件について真相究明と再発防止をもとめる申入書 大村入管センターの被収容者95名より

 大村入国管理センターの被収容者20名以上が7月15日からハンガーストライキをおこなっていることは、すでに報告したとおりです。


 大村でのハンストは、長期収容をやめて仮放免を許可することともに、6月24日に同センターで起きたナイジェリア人被収容者死亡事件の責任をとって荒川満所長が辞職することを求めています。

 このハンストにさきだって、6月29日には、大村センター所長にたいし、被収容者95名が連名で、死亡事件の真相究明と再発防止をもとめる申し入れ書を提出しています。その全文を以下に公開します。(公開にあたり、死亡した方の名前と申し入れ書に署名した被収容者95名の名前は匿名とし、申し入れ書の文章に適宜改行を入れました)


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申し入れ書
大村入国管理センター長 様
2019-6-29
 この度 私達の仲間 ナイジェリア人のAさんは2019年6月24日に収容された部屋の中で誰も見守る人は無く 一人で亡くなりました。おくやみ申し上げます。ご家族の方にこの辛い日を乗り越えることを私達の願いです。天国でゆっくり眠ってください。あなたの命は無駄にしないため、真相の糾明と再発防止を大村入管の所長に求めている。
 人の命は地球より重い。この言葉は誰が発言したですか。日本の元総理大臣 福田赳夫さんが全世界に伝えた重い言葉です。忘れないでください。
 長期収容は先見えないの不安から大事な命が失いました。後何人亡くなれば法務省出入国在留管理庁のやり方が変わるんですか。現在にも、ほかの方々も外の病院に危篤状態でいます。その方々も命を落とすこと待っていますか。今の出来事を考慮してください。

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追記)

 上で紹介した申し入れ書には、95名の署名とともに各人の国籍と収容期間が書かれています。大村入管センターの被収容者数は130名超とみられますから、ここから全体の4人のうち3人の国籍と収容期間がわかるという計算になります。大村センターにおける、とくに収容長期化について、その実態を知るうえで重要な資料になることはまちがいないだろうと思います。

 以下は、95名の国籍ごとの人数をグラフにしたものです。


 このほかに、アフガニスタン、ウガンダ、スーダン、ロシアが各1名です。

 つぎのグラフは、収容期間ごとの被収容者数をあらわしたものです。(縦軸のたとえば「1年~2年」という表記は、「1年以上2年未満」を意味します)


 5名をのぞく88名(約95%)が6か月をこえる「長期収容」です。39名(約42%)の収容期間が2年をこえています。

 こんにちのように収容の長期化が顕著でなかった2011から12年ごろは、2年をこえる超長期被収容者は「例外的」といえるものでした。くわしくはここで書きませんが、送還の見込みがたたないまま収容が長期化した被収容者にたいしては、仮放免が許可されやすい条件がととのうように入管職員が助言等をするということも、当時はめずらしくはありませんでした。2年をこえるような「超長期収容」は、収容施設を運営していく観点からすらも、きわめて異常なものであるはずなのです。当時は、仮放免の弾力的活用によって収容の長期化をできるだけ回避するよう取り組むとした2010年7月27日付の法務省入管通達がまだいきていました。

 ところが、以前の記事で述べたように、上記通達を廃止するとした通達「退去強制令書により収容する者の仮放免措置に係る運用と動静監視について」が、2015年9月18日付で法務省入管局長から出され、以後、収容の長期化傾向がしだいに顕著になっていくのです。こうして、かつては「例外的」であった2年以上の収容が常態化し、大村でも4割にまで達するというすさまじい現状にいたっているのです。それどころか、上のグラフからわかるように3年や4年をこえる被収容者もめずらしくありません。ちなみに今回紹介した申し入れ書の署名者では、収容期間がもっとも長いのは4年9か月です。

 じつは、入管当局としても、国会答弁や記者会見などをつうじて、長期収容は問題でありこれを回避する必要があるということを一貫して述べてはおります。問題は、その手段です。長期収容を回避するには、2つの方法があります。被収容者を仮放免許可によって出所させるか、出国させる(送還)か、です(注)。当面の送還の見込みがたたないひとについては、前者(仮放免)しか方法はありません。入管も2010年の通達では、仮放免を弾力的に活用するということを、長期収容回避の手段とする方針を明確にしていました。ところが、2015年以降は、被収容者には退令(退去強制令書)が発付されている以上、長期収容は国外への退去(送還)をもって回避するほかないのだという姿勢を入管は強めていきます。7月17日におこなわれた出入国在留管理庁長官の記者会見での発言も、こうしたこれまでの姿勢をくりかえし説明するものにとどまりました。

 しかし、そのような悠長なことを言っていられる状況ではすでにない、というということを示しているのが、さきのグラフです。3年や4年をこえる被収容者がこれほど多いという現状は、もっぱら国外退去によって長期収容を回避するとしてきた入管当局の方針が失敗におわったということをあきらかにしているのです。3年や4年たっても監禁されて自由をうばわれつづけている被収容者がたくさんいるという絶望的な状況のなかで、ハンストが広がり、自傷行為をおこなうひともあとをたちません。すでに、昨年4月には東日本センターで自殺によって命を落としたひとがおり、大村センターでもナイジェリア人被収容者が亡くなったばかりです。長期収容問題は国外退去によって回避するのが原則なのだというような、とっくに破綻したことがあきらかな方針に入管組織の幹部たちがしがみつきつづければ、またあらたに死亡者がでることはさけられません。

 これまでの方針が失敗であったことを認めたくないという、人の命とくらべたらケシツブほどの価値もないようなくだらない入管幹部のプライドのために、あと何人の命がうばわれなければならないのでしょうか。なにものにもかえられない人命をこれ以上犠牲しないためには、くりかえし述べていますが、仮放免を活用することによって長期収容を回避するという方針を入管が明確な行動をもって示すことが緊急に必要です。
 
 

(注)
 在留特別許可によって在留を合法化すればそもそも収容すべき根拠がなくなるのですが、ここではその点には立ち入らないこととします。




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Saturday, July 20, 2019

牛久からの手紙2

 東日本入管センターの被収容者から手紙をあずかりました。「収容所内の現実や辛さ、苦しい生活、痛み、ストレス、精神的虐待など本当の実態」について、被収容者の声を拡散してほしいとのことです。

 出入国在留管理庁長官の佐々木聖子氏や、国会議員、報道関係者、各支援団体にもおなじ手紙を送っているとのことですが、インターネット等でも広く拡散してくださいと託されましたので、ここに全文を公開します。(長崎の大村入管センターで亡くなった方のお名前だけはわからないよう修正しました)

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 東日本入国管理センター(牛久市)で拷問的な毎日が続き、誰にも考えられない過酷な所になりつつ日々を送っている。入管での収容はきわめて過酷なものです。収容期間の上限が定められていない無期限収容であることの、ストレス、強制送還されるかもしれないという恐怖と不安。こうした極度の精神的な負荷のかかった状態にあって、ほとんどの人は収容されて遅くても半年もすれば拘禁症状を発症しはじめます。このような入管収容施設にあって2年以上の収容が常態化しているのは、まさに「異常事態」というべきなのです。
 現在私達は収容所において長期収容が余儀なくされています。1年は勿論のこと、3年以上の人も多々あり異常事態になっています。私達の中には高血圧症をはじめ、ヘルニアから様々な病や長期収容により精神的な損傷いわゆる拘禁症状を患い苦しい収容生活を強いられている者は少なくありません。病気があり、専門的な治療が必要とされているにも拘らず医療放置、そして仮放免を一切許可せず見て見ぬふりをしているのは収容所の姿勢ではありませんか。現下において収容所の運用方針は極めて非人道的なやり方を行っており、私達は納得できません。私達は犯罪者ではないのに、日々私達の生活が貴センターによって監獄化されいつまでも人生の大切な時間を奪われなければなりませんでしょうか。私達はこれ以上我慢することが出来ません。
 6月24日、長崎収容所で起きたナイジェリア国籍のAさんの死亡事件はご存じでしょうか。彼は「異常事態」の結果でもあり収容所が見殺しにしたのも同然である。そんな入管の運用方針が変わらなければ、このような事件はまだ続くでしょう。
 収容所内の現実や辛さ、苦しい生活、痛み、ストレス、精神的虐待など本当の実態は私達収容者にしか分からない事であり、なんとかして皆様に真実を伝えなければなりません。この文章をご覧になった皆様には、入管センターに収容されている私達の声を拡散するのにご協力下さい。
以 上

7月11日
サブッセベ イャマネ
(エチオピア)

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 SNSや報道などでも情報が出ているように、東日本センターでは長期収容に抗議するハンストが被収容者のあいだに広がっています。ハンスト者がすでに70名をこえるとみられることは前回の記事でお伝えしたとおりです。この手紙の送り主のイャマネさんも7月16日からハンストをおこなっています。

 ハンストは他の入管施設でも広がっています。大村入管センターでは、7月15日から被収容者20名以上が、長期収容をやめることとナイジェリア人被収容者を死亡させた責任をとって荒川満所長が辞職することをもとめて、ハンストをしています。東京入管でも、私たちが確認しただけでも、4名の女性被収容者がハンストをおこなっています。

 こうしてハンストが広がっている現状は、また死亡者がでかねない危険な状態であると言わざるをえません。このハンストを早期に収束させ、被収容者たちの生命・安全をまもるためには、入管が長期収容を回避していくという姿勢を言葉だけではなしに、行動で明確に示すしかありません。私たちは、こうした観点から、2年以上の超長期被収容者を、ハンストをしているかどうかにかかわらず、無条件で仮放免するよう、17日に東日本入管センターにたいして申し入れました。

 入管は、長期収容問題について、退令発付を受けた被収容者を出国させる(送還する)ことで取り組んでいくのだという方針をいまだに断念していないようです。しかし、その「送還」という手段での長期収容の回避が不可能であり破綻しているということこそ、「2年以上の収容が常態化している」どころか、4年や5年をこえる被収容者がいるという現状からはすでにあきらかなのです。

 まずは超長期の被収容者を無条件で仮放免していくこと。このことが長期収容問題を解決する唯一の手段であるばかりでなく、被収容者の死亡事件をこれ以上くりかえさないために緊急に不可欠なことです。

 今回紹介したイャマネさんの手紙の拡散にご協力をお願いします。





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Wednesday, July 17, 2019

収容期間2年以上の人を仮放免すること等を申し入れ 東日本入管センターでのハンストについて



 東日本入国管理センターでのハンストはますます広がっています。同センターで長期収容に抗議してハンストをおこなっている被収容者は、7月17日時点で70名をこえているものとみられます。

 あらたにまた死亡者の出かねない危険な状態であると考えられます。早期にこのハンストを収束させるためには、仮放免によって長期収容を回避していくという意思を東日本センターが被収容者たちに明確に行動で示す以外に方法はありません。こういった観点から、ハンストをしているかしていないかにかかわらず、「超長期収容」と言うべき2年をこえる被収容者を仮放免していくことなどを、本日、東日本センターに対して申し入れました。

 東日本入管センターに対して、収容が長い人、病気の深刻な人から仮放免せよ等、抗議・意見提示をお願いします。



抗議・意見提示先
東日本入国管理センター(総務課)
 電話:029-875-1291
 FAX:029-830-9010


 以下が、本日提出した申入書の全文です。



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申 入 書

2019717
東日本入国管理センター所長殿
仮放免者の会(関東)

 東日本入国管理センターにおいて、長期収容に抗議しての被収容者たちによるハンガーストライキ(ハンスト)が広がっている。そのなかで、ハンストが長期化して健康状態の悪化が深刻に憂慮される被収容者の一部について、貴職らが仮放免許可によって出所させていることは、適切な処置であると私たちは考えており、これを歓迎したい。

 しかし、ハンストはいまも収束しておらず、あらたにハンストを開始する被収容者もあとをたたないという現状である。

 周知のとおり、ハンストは抗議者自身の生命・健康を危険にさらしかねない抗議方法である。624日には、大村入国管理センターでナイジェリア人被収容者が亡くなったばかりである。私たちは、今後また入管施設で死亡者が出ること、あるいは死亡にはいたらないまでも、被収容者の出所後の生活・人生において支障が出るような健康被害・後遺障害が生じることを、強く危惧している。収容長期化が深刻化しているなかでハンストが広がっているという現状は、こうした危惧をいっそう強くいだかせるものである。

 このハンストを収束させるためには、長期収容を今後回避していくという姿勢を貴職らが明確に示す以外に方法はない。

 法務省の公式ウェブサイトによると、山下貴司法務大臣は72日の記者会見で、大村センターでのナイジェリア人被収容者が死亡した事件を受けて、つぎのように述べたとのことである。

「健康上の問題等のため速やかな送還の見込みが立たないような場合には,人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応しているところです。」

 現在の収容長期化は、この大臣の発言とはうらはらに、「速やかな送還の見込みが立たないような場合」であっても貴職らが収容継続に固執してきたことから生じている問題であると私たちは認識している。退去強制令書発付処分を受けた人が、長期間にわたって収容されても日本での在留をあきらめられないのは、帰るに帰れない事情をおのおのかかえているからである。その事情とは、国籍国に送還されれば迫害等により身の危険が予想されること、送還によって家族と引き離されてしまうこと、あるいは日本での在留が長期間にわたり国籍国での生活基盤がすでに失われていることなど、それぞれに切実なものである。こうした切実な事情があるからこそ、きわめて過酷な長期収容にも耐えざるをえないのであって、そうでなければ、とっくに帰国しているはずなのである。

 そのような帰るに帰れない切実な事情をかかえている人たちを、「送還の見込みが立たないような場合」であっても貴職らが長期間にわたって収容しつづけているということこそが、現在ハンストが広がっている事態の根本的な原因としてあるのである。

 したがって、くり返し犠牲者を出してしまう前にこのハンストを収束させるためには、法務大臣の「送還の見込みが立たないような場合には,人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応している」との言葉を、貴職らが明確に行動をもって示す以外にない。

 以上をふまえて、2点申し入れる。


1.2年をこえる超長期被収容者からすみやかに仮放免すること。

 私たちは、2010年に仮放免者の会を結成して以来、6か月以上の収容を「長期収容」と位置づけ、これに反対してきた。貴職らに対しても、この意味での「長期収容」をしないよう、これまで再三にわたり申入れてきた。

 6か月をこえるような収容は、高血圧・不眠等の拘禁症状を発症させるなど、被収容者の心身への負担がいちじるしく、人権・人道上の問題が大きい。また、こうして収容が長期化することは、送還の見込みが立たないにもかかわらず収容が継続されていることの証左でもある。送還という、収容のそもそもの目的を達する見込みがないのに長期にわたり収容をつづけるのは、いたずらに被収容者の心身に苦痛を与え、その健康をそこなわせることにしかならない。

 こうした観点から、私たちは6ヶ月をこえる長期収容に反対してきたが、こんにちではこれを大きくこえる「超長期」とも言うべき度をこした長期収容が常態化している。現在ハンストをおこなっている被収容者のなかにも、収容期間が4年をこえる人すらいる。このような超長期の収容が横行しているということこそが、帰るに帰れない被収容者たちの多くを絶望に追い込んでいる。この絶望が、多数の被収容者をハンストという危険な抗議手段に向かわせ、またあいつぐ自殺未遂・自傷行為を引き起こしているのである。被収容者の生命を守るための緊急の必要として、まずは2年をこえる超長期の被収容者たちから仮放免することをもって、収容長期化を回避すべき問題ととらえるこのたびの法務大臣発言を、貴職らが被収容者たちに行動をとおして明確に示すべきである。


2.高血圧症や心臓疾患などの持病があり収容継続が危険な被収容者、収容による精神疾患者を即刻仮放免すること。

 収容期間にかかわらず、こうした被収容者を即刻仮放免すべきであることは、入管施設における死亡者をこれ以上出すことを絶対に避けなければならないという観点から当然のことである。


以 上

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Tuesday, July 16, 2019

大村入管センターでも20人以上がハンスト 長期収容に抗議して


 全国の入管施設で常軌を逸した長期収容がつづいていますが、長崎県にある大村入国管理センターでも、長期収容に抗議しての集団でのハンストがおこっております。

 大村センターでは、6月24日に40歳代のナイジェリア人被収容者が死亡するという事件がありました。センターは、このかたの死亡した経緯や死因についていまだ公表しておらず、被収容者たちにも説明していませんが、亡くなったかたは3年7か月ものあいだ入管施設に収容されていました。

 亡くなる直前の大村センターの対応に問題はなかったのか、これから厳しく問われなければなりません。しかし、いまの時点ではっきりと言えることがあります。それは、長期収容を回避するということに入管当局がまじめに取り組んでいれば、このかたが入管施設のなかで命を落とすことはなかったということです。入管施設は、送還を目的とした収容施設です。3年7か月という途方もない収容期間は、入管にとっての収容の目的である送還の見込みが立たないにもかかわらず、まったく意味のない収容をだらだらと入管が続けてきたということを意味します。送還の見込みが当分立たないからと、入管がこのかたの収容を早期に断念し、仮放免によって出所させていれば、起きようのなかった死亡事件なのです。

 収容期間が3年以上、あるいは4年をこえることもめずらしくないという、「収容の超長期化」と言うべき状況において、仲間が命をうばわれたことにたいして、大村の被収容者たちのあいだで抗議のハンストがおこっています。7月15日には、大村センター3Bブロックの20人がハンストを開始したと、被収容者から私たちに連絡がありました。他のブロックでも、これに先立ってハンストをおこなっている被収容者が複数名いるということも聞いています。

 3Bブロックでハンストをおこなっている被収容者たちは、センターにたいしてつぎの2点を要求するとのことです。

  1. 長期収容をやめること。仮放免を許可せよ。
  2. 大村入管センター所長の荒川満は、ナイジェリア人を死亡させた責任をとって辞任しろ。

 私たちとしては、他団体とも連携して大村での動向を注視し、今後とも情報を発信していきたいと思いますが、非正規滞在外国人の人権に関心をよせるみなさまにも、これを注視し情報を拡散していただくよう、お願いします。また、報道関係者のみなさまには、ハンストの参加者をふくむ、入管施設の被収容者に取材し、その声を報道していただくよう、お願いします。



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関連ページ

 大村入管センターの長期収容問題については、6月26日に私たちをふくむ5団体でこれを是正するようにとの申し入れをおこないました。「申入書」にて、収容が長期化するなかで生じている深刻な人権侵害の事例をいくつか具体的にあげていますので、そちらも参照してください。


 以下の記事は、当会の立場から、「長期収容」とはなにか、また、それがなぜ問題なのか、概説したものです。

 
 つぎの記事では、2015年9月の法務省入管局長による通達を契機にして収容長期化が顕著になってきた経緯をおさえつつ、収容長期化などにあらわれている強硬方針を入管当局がどのような目的意識のもとに進めてきたのか、批判的に分析しました。

 また、茨城県牛久市にある東日本入管センターにおいても、長期収容に抗議するハンストが広がっております。そうしたなかで書かれた、長期収容による人権侵害を告発する同センターの被収容者からの手紙を、つぎの記事では紹介しています。


Tuesday, July 9, 2019

入管施設での長期収容をめぐって(大村での死亡事件/法務大臣の発言/牛久からの手紙)


 6月24日に大村入管センターでナイジェリア人被収容者が死亡した事件を受けて、山下貴司法務大臣は7月2日の記者会見で、つぎのように述べたとのことです。

「健康上の問題等のため速やかな送還の見込みが立たないような場合には,人道上の観点から仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応しているところです。」(注1)

 法務大臣発言のこの部分は、注目すべきものです。

 先月に大村センターで亡くなった方は、3年半をこえる超長期被収容者でした。大村をはじめとして、現在、全国の入管施設で2年や3年をこえる超長期収容はめずらしくなくなってしまっていますが、2011年から14年ごろまでは収容期間が2年をこえるような被収容者は例外的といってよいものでした。

 ところが、2015年・16年頃から収容の長期化が顕著になりはじめます。その背景には、以前の記事で述べたように(注2)、15年9月の法務省入管局長による「退去強制令書により収容する者の仮放免措置に係る運用と動静監視について」と題された通達がありました。これは、仮放免を弾力的に活用することにより収容長期化をできるだけ回避するよう取り組むとした5年前の通達(注3)を取り消すという内容をふくむものでした。つまり、収容長期化が回避すべき問題であり、仮放免によってこれを回避していくのだというそれまでの公式の立場を入管として撤回したのが2015年9月。これ以降、仮放免が許可されにくくなっていき、現状の収容の超長期化をまねいているのです。

 さきの法務大臣発言が注目すべきなのは、この点についてです。山下大臣は、仮放免制度の弾力的運用と収容長期化の回避ということにふれています。入管が今後これを機に、超長期収容をまねいてきた2015年以降の運用の見直しにむかうのかどうか、注視していきたいと思います。

 ただし、「健康上の問題等のため速やかな送還の見込みが立たないような場合には,……仮放免制度を弾力的に運用することにより,収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応している」という大臣の発言は、現状での入管の運用を説明したものとしては、あきらかに事実に反するものです。たとえば、大村入管センターについて言えば、先月26日に、私たちふくめ5団体で提出した「申入書」(注4)は、以下のように指摘しています。

 貴センター[大村入国管理センター]で収容の長期化がいちじるしくなっている。私たちが大阪局で面会支援してきた被収容者のなかにも、貴センターに移収されたのちも長期にわたり収容がつづき、大阪局からの通算収容期間が4年をこえる人が5名いるほか、2年超3年超といったすでに超長期と言うべき被収容者がめずらしくない事態となっている。
 こうした異常な収容長期化は、貴センターが送還のための施設でありながら、送還の見込みの立たない被収容者の収容継続にかたくなに固執していることから生じている現状である。

 大臣が述べるように、健康上の問題などで速やかな送還が見込めない場合は仮放免制度を弾力的に運用して出所させているというのが本当ならば、このような常軌を逸した長期収容がおこるわけがないのです。

 「申入書」が具体的なケースをあげて指摘しているように、健康状態の悪化が深刻な被収容者の多くが、仮放免されずに長期にわたって収容されつづけています。他方で、大村センターは、ガンが見つかって医師から手術をしなければ命を落とす危険があると宣告された人や、脳梗塞で倒れて救急搬送され入院した人については、仮放免しています。ようするに、収容中に死亡する危険が大きいか、もしくは高額の医療費がかかるとみこまれるような重病人でなければ仮放免せずに収容をつづけるというのが、大村センターにおけるこんにちまでの運用であったわけです。こうした運用を続けるなかで、先日のナイジェリア人の死亡事件があったということは重要です。

 また、東日本入管センターにて、5月から長期収容に抗議してのハンガーストライキが、参加者を増やしながらつづいていることは、すでに報告したとおりです(注5)。現在も20名以上がハンストを続けるなか、同センターは、ハンストが長期化した人ら複数名に対して、仮放免を許可方向で検討しているということを伝えているようです。これについては今後の推移を注視しなければなりませんが、長期収容への抗議のハンストが東日本センターにおいて拡大しつづいているという現状は、「収容の長期化をできるだけ回避するよう柔軟に対応しているところです」という先の大臣の発言を裏切るものになっています。

 以下では、法務大臣が「回避するよう柔軟に対応しているところです」としている収容の長期化について、東日本センターに収容されている当事者のひとりが書いた手紙を紹介したいと思います。

 手紙は山本太郎参議院議員に送られたものですが、「日本国民へ」あてられてもいます。筆者の承諾をえて、ここに公開させていただきます。(掲載にあたり、誤記などについて文意をそこなわない範囲で原文を一部修正したところがあります。また、いくつか文中に「注」をつけて、それぞれ関連するこのブログの記事へのリンクを示しました。)

 ちなみに、山本議員は、この手紙を受け取って、7月1日に東日本センターをおとずれ、手紙の筆者をふくむ4人の被収容者に面会し、その話を直接に聞いたとのことです。



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参議院議員 山本太郎様
 こんにちは。
 入国管理施設の長期収容問題についてこの書簡をおくります。
 2014年、牛久の東センターで、胸痛を訴えるカメルーン人治療が無視され、死去(注6)2017年にもベトナム人の頭痛と胸痛に治療として、たくさんの痛み止めをのませても死去となり(注7)、収容施設管理体制への不十分な衛生と医療状態に対して、不満が高まり、集団的な抗議を行うと、抗議の中心メンバーたちは たたみのみの小部屋に隔離され、衛生医療や長期収容にはかわりがなく、翌年2018年4月13日難民申請者のインド人長期収容の間 自殺して死去のあと、海外メディアのニュースになるほど集団ハンストや抗議がひろがると(注8)、当時法務大臣は、国会で議員さんの質問に対して、入管にいる外国人収容者の事を強制送還待ちと述べ、外国人の何年間も人生は収容所で奪われる事実をメディアや国民におしえず、今だに入管のトリック箱のふたが押し閉めたまま、今だにテレビによって、外国人のあげあしをとる映像を捜して、不法就労や、ごみすて、白タクなど意図的な番組を遣い、毎週のように、社会や国民のマインドに、外国人の事は、犯罪! 敵! 危険……というイメージを映すとも言わざるをえない。
 入管に収容される外国人は、犯罪人でも、日本の敵でもありません。入管で収容されている外国人は、様々な理由で、帰国が出来ず、たとえビザがなくても、仮放免でも日本滞在を希望している外国人の中:
*日本生まれ多国籍の人、
*家族の一部は日本人や日本住まいの人、
*母国への政治的問題と社会や宗教など、様々な理由で亡命、日本への難民申請をしている人など、
入管の施設に何年間も収容されています。
 そして、帰国や強制送還出来る見込みの立たない人びとを、非人道的ないたずらに、長期間にわたって収容を、「自殺や病気で、死者が出るほど」被収容者に苦痛、「即拷問」をあたえ、体と精神の健康をはかいする入管に対して、集団的ハンストや自殺未遂の人びとは自らひきこもりになるのは、今だに続いています。今年5月15日から、水だけのむハンスト中の5人は、体調が悪くなり、病室へ移動されましたが、病室も全て満杯となり、2019-6-18の現在、16人のハンスト中の人々は、いっぱんのブロックからはなされ、隔離ブロックへ移送されています。ほかにも、長期収容問題に対しての抗議行動はひろげないように、外国人の緊張を収める狙いか?! 入管は去年から収容者らに、大量の安定剤と眠剤を「RELAXくすりとして」意図的な大量投与を行い、外国人を収容施設でねむらせています。長期収容や非人道的な強制送還のような入管の一方的な場当たり政策でのけっかは、毎年のように死者が出る事です。この手紙を、助けをもとめる外国人収容者らの方から、山本太郎さんはじめ、日本国民へおくります。
2019年6月20日 東日本センター収容者の一人

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 この手紙を書いた方からは、送還の見込みのない人や深刻な体調不良・病気をかかえている人を長期にわたり収容している具体的なケースを説明した書面もあずかっております。次回以降の記事でそれらも紹介していきたいと思います。





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注1 法務大臣閣議後記者会見の概要(7月2日) - 法務省

注2 入管にとって長期収容の目的はなにか? - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年6月27日)

注3 2010年7月27付法務省管警第172号「退去強制令書により収容する者の仮放免に関する検証等について(通達)」

注4 大村入管センターに対して申し入れ(6月26日) - 仮放免者の会(PRAJ)(2019年7月1日)

注5 東日本入管センターでのハンスト、50日近くになる人も - 仮放免者の会(PRAJ)(2019年6月25日)

注6 【抗議のよびかけ】東日本入管センターで被収容者2名があいついで死亡 - 仮放免者の会(PRAJ)(2014年4月4日)

注7 「痛い、痛い」と訴えるも放置――東日本入管センターでベトナム人被収容者が死亡 - 仮放免者の会(PRAJ)(2017年3月30日)、友人Vさんの手記――入管でのNさんの死について - 仮放免者の会(PRAJ)(2017年4月3日)

注8 【抗議の呼びかけ】インド人被収容者の死と集団ハンストについて(東日本入管センター) - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年4月19日)、【ひきつづきの抗議の呼びかけ】インド人死亡事件とハンストについて(東日本入管センター) - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年4月22日)、東日本入管センターに申入れ(Dさんの死とこれを契機としたハンストについて) - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年4月25日)

Monday, July 1, 2019

大村入管センターに対して申し入れ(6月26日)

 6月26日(水)に、仮放免者の会をふくむ5団体の連名で、大村入国管理センターに対して、長期収容をやめるように求める申入書を提出しました(申入書はこの記事の最後に掲載しております)。

 一部報道が出ていますが、大村入管センターでは24日、ナイジェリア国籍の被収容者が死亡するという大変に悔やまれる事件がありました。

 私たちは、生前のこのかたと面会したことがあり、それだけになおさら痛恨のきわみでありますが、このかたは2015年11月から通算3年半以上にわたって入管施設に収容されていました。現在の入管施設における「収容の超長期化」と言うべき状況のなかで起きてしまった死亡事件です。亡くなった経緯の事実関係はもとより、被収容者に対するセンター側の態勢・対応に問題はなかったのか、きちんと解明されなければなりません。

 私たちとしても、亡くなった方を知っている被収容者たちとの面会などをとおして、事実関係の把握につとめているところです。今後とも、この点について、他団体支援者等と協力していきたいと考えています。

 26日の申入書提出にさいしては、このたびの死亡事件について、以下3点を大村入管センター総務課にて口頭で緊急に申し入れました。

  1. 死亡した経緯・原因についてさかのぼって検証すること。
  2. 仲間の死にショックを受け強い不安をおぼえている被収容者たちに、死亡の経緯についてきちんと説明すべきであること。
  3. 懲罰的な隔離処分はすべきでないこと。

 3は、入管側が被収容者3名を隔離処分としたことに対して抗議したものです。

 25日に事件の報道を受けてショックを受けた一部被収容者たちと職員らのあいだでもみ合いがありました。目撃していた人によると、被収容者と職員の身体が接触する場面はあったものの、意図的にたたくというような暴力的なものではなく、けが人もいなかったということです。入管は、その翌日の26日になって、被収容者3名を隔離処分としました。

 入管は、自損行為や職務執行の妨害を理由として被収容者を隔離することが「被収容者処遇規則」で認められていますが、懲罰的な隔離をおこなう権限はありません。ところが、今回のように、ことが起こった翌日になってから隔離をするというのは、懲罰とみなさざるをえません。かりに25日の時点で隔離をおこなうべき理由があったのだとしても、その理由・必要性がすでになくなっているであろう翌26日になって隔離するというのは、どういうことなのでしょうか? この隔離処分が、「職員に反抗したら痛い目にあわせるぞ」「規律を乱した者は狭い部屋に閉じ込めるぞ」という脅し・懲罰をとおして、被収容者の行動をコントロールしようという意図にもとづいていることはあきらかでしょう。

 とりわけ、このときの被収容者たちは、仲間の死に悲しみ動揺しているところであったのだから、こうした暴力的な手段でおさえつけようとするのは、なおさらやめるべきであると考えます。これが、口頭で申し入れた3点目の趣旨です。

 以下に、「申入書」として提出した書面を掲載します。なお、掲載にあたって、被収容者の実名はふせました。


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申 入 書

2019626

大村入国管理センター所長殿

申し入れ団体
難民支援コーディネーターズ関西
Save Immigrants Osaka
TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)
WITH
仮放免者の会


 関西で入管施設被収容者への支援をおこなっている団体・支援者の有志として、以下申入れます。


 貴センターで収容の長期化がいちじるしくなっている。私たちが大阪局で面会支援してきた被収容者のなかにも、貴センターに移収されたのちも長期にわたり収容がつづき、大阪局からの通算収容期間が4年をこえる人が5名いるほか、2年超3年超といったすでに超長期と言うべき被収容者がめずらしくない事態となっている。

 こうした異常な収容長期化は、貴センターが送還のための施設でありながら、送還の見込みの立たない被収容者の収容継続にかたくなに固執していることから生じている現状である。

 以下の理由から、仮放免制度を弾力的に運用することにより、貴センターにおける収容長期化を是正するよう申入れる。


1.長期被収容者の健康状態の悪化

 収容長期化にともない心身の状態がすでに限界と言える被収容者が多数いる。

 たとえば、Aさん(イラン国籍、収容期間43ヶ月)は、収容後に精神の状態が悪化し、精神科に通院している。Aさんは昨年1031日、処方されていた抗うつ薬と睡眠薬を飲んだ直後に全身の激しいふるえがとまらなくなり、貴センター職員が測定したところ収縮期血圧が210であった。このとき救急搬送された病院の医師の診断書によると、「興奮状態、易怒的、高血圧(薬物の副作用の可能性)」とのことであった。

 収容前には健康だった人間が、長期収容の過程で、抗うつ薬・睡眠薬が必要とされるまでに精神状態が悪化し、しかも強い副作用の生じる可能性のある強力な薬が処方されている。病気を悪化させる要因である収容(身体拘束)は継続したまま薬を投与しても、治療の効果が期待できないばかりか、収容のストレスと薬の副作用とで心身はますますむしばまれていくよりほかない。

 また、Bさん(スリランカ国籍、収容期間46ヶ月)は、通院先の病院の医師から昨年1115日付で「変形性頸椎症に伴う筋緊張性頭痛」との診断を受けている(添付資料参照)。診断書は、この病気は「心因的な影響が大きく」、ストレスのある「今の環境が変わらない限り良くなるとは考えられない」とし、「薬物療法を続けるだけ無駄である」と結論付けている。このように、収容された状態では効果の見込まれる治療はできないと医師が断じているにもかかわらず、貴センターはBさんの収容を続けている。

 上記の2人ように長期収容が心身の不調の原因であり、収容を続けるかぎり治療のしようのない病状にある人の収容を継続している一方で、貴センターは腸に癌のみつかった中国人被収容者を昨年9月に、また脳梗塞で倒れたミャンマー人被収容者を今年1月に仮放免した。ここには、貴センターにとって、長期収容によって被収容者の心身がどれほど破壊されようが知ったことではなく、高額な治療費がかかったり被収容者が収容所のなかで死亡したりする事態さえ避けられればよいのだという、人命・健康をいちじるしく軽視した姿勢がみてとれる。


2.収容長期化によって収容能力をこえた過剰収容がもたらされていること

 被収容者は身体を拘束され行動をきびしく制限されているため、自分自身の意思で病院に行って診察を受けることはできない。したがって、これを制限している入管には、被収容者処遇規則にも規定されているとおり、被収容者の安全や健康を守る責任義務がある。こうした責任義務を果たす能力を欠くならば、入管は人を収容してその自由を奪う資格がない。

 Cさん(ガーナ国籍、収容期間41ヶ月)は、昨年9月に外部病院を受診して、白内障と診断された。人の顔やテレビがぼやけてよく見えない状態だが、治療はなされず収容が継続している。

 Dさん(ブラジル国籍、収容期間32ヶ月)は、運動場で右手人差し指を骨折するけがをした。1ヶ月ほどして骨折は治ったものの、固定具を外したところ、負傷した指をまったく動かすことができなかった。19日に診察した外部病院の医師は、入院もしくは通院して理学療法士の指導のもと毎日リハビリをおこなうようにと指示した。ところが、貴センターは週2回しかDさんをリハビリに通わせなかった。この頻度では回復は保証できないと医師が述べたにもかかわらずである。そのリハビリも打ち切られ、Dさんは人差し指を動かせない状態にある。

 治療・リハビリを受ける機会を奪ったために被収容者が失明したり、あるいは生涯にわたって後遺症が残ったりした場合、貴センターはどうやって責任をとるつもりなのだろうか。

 また、貴センターでは、3ヶ月ごとに被収容者の血圧と体重を測定しているほかは、定期健診をおこなっていない。4年も5年も人間を収容している施設としては、ありえないことである。

 こうした事例からは、被収容者数に見合うだけの必要な医療体制を貴センターが欠いているということが言える。大村センターは、2015年から大阪入管・名古屋入管・東京入管からの移収が増え、さらに同時期から顕著になった収容の長期化傾向もあいまって、当時20名ほどだった被収容者数が現在では120名をこえるほどまで激増している。さきにあげた事例は、貴センターが過剰収容によって被収容者に対する健康管理義務を果たせていない現状を明らかにしている。


3.難民申請者への立証妨害

 貴センターに長期間にわたって収容されている人のなかには、難民申請者も少なくない。難民申請者は、みずから証拠を集めて自身の難民該当性を立証しなければならない。難民申請者を長期間収容してその通信をふくむ行動の自由をいちじるしく制限することは、その立証作業を妨害し、公正な難民審査を受ける機会を奪っているということにほかならない。


 以上述べてきた理由により、①1年を越える長期被収容者を仮放免すること、および②高血圧症や心臓疾患などの持病があり収容継続が危険な被収容者、収容による精神疾患者を即刻仮放免することを申入れる。


以 上


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関連ページ
 大村入管センターにおける長期収容については、以下の記事なども参照してください。