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Sunday, July 21, 2019

被収容者死亡事件について真相究明と再発防止をもとめる申入書 大村入管センターの被収容者95名より

 大村入国管理センターの被収容者20名以上が7月15日からハンガーストライキをおこなっていることは、すでに報告したとおりです。


 大村でのハンストは、長期収容をやめて仮放免を許可することともに、6月24日に同センターで起きたナイジェリア人被収容者死亡事件の責任をとって荒川満所長が辞職することを求めています。

 このハンストにさきだって、6月29日には、大村センター所長にたいし、被収容者95名が連名で、死亡事件の真相究明と再発防止をもとめる申し入れ書を提出しています。その全文を以下に公開します。(公開にあたり、死亡した方の名前と申し入れ書に署名した被収容者95名の名前は匿名とし、申し入れ書の文章に適宜改行を入れました)


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申し入れ書
大村入国管理センター長 様
2019-6-29
 この度 私達の仲間 ナイジェリア人のAさんは2019年6月24日に収容された部屋の中で誰も見守る人は無く 一人で亡くなりました。おくやみ申し上げます。ご家族の方にこの辛い日を乗り越えることを私達の願いです。天国でゆっくり眠ってください。あなたの命は無駄にしないため、真相の糾明と再発防止を大村入管の所長に求めている。
 人の命は地球より重い。この言葉は誰が発言したですか。日本の元総理大臣 福田赳夫さんが全世界に伝えた重い言葉です。忘れないでください。
 長期収容は先見えないの不安から大事な命が失いました。後何人亡くなれば法務省出入国在留管理庁のやり方が変わるんですか。現在にも、ほかの方々も外の病院に危篤状態でいます。その方々も命を落とすこと待っていますか。今の出来事を考慮してください。

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追記)

 上で紹介した申し入れ書には、95名の署名とともに各人の国籍と収容期間が書かれています。大村入管センターの被収容者数は130名超とみられますから、ここから全体の4人のうち3人の国籍と収容期間がわかるという計算になります。大村センターにおける、とくに収容長期化について、その実態を知るうえで重要な資料になることはまちがいないだろうと思います。

 以下は、95名の国籍ごとの人数をグラフにしたものです。


 このほかに、アフガニスタン、ウガンダ、スーダン、ロシアが各1名です。

 つぎのグラフは、収容期間ごとの被収容者数をあらわしたものです。(縦軸のたとえば「1年~2年」という表記は、「1年以上2年未満」を意味します)


 5名をのぞく88名(約95%)が6か月をこえる「長期収容」です。39名(約42%)の収容期間が2年をこえています。

 こんにちのように収容の長期化が顕著でなかった2011から12年ごろは、2年をこえる超長期被収容者は「例外的」といえるものでした。くわしくはここで書きませんが、送還の見込みがたたないまま収容が長期化した被収容者にたいしては、仮放免が許可されやすい条件がととのうように入管職員が助言等をするということも、当時はめずらしくはありませんでした。2年をこえるような「超長期収容」は、収容施設を運営していく観点からすらも、きわめて異常なものであるはずなのです。当時は、仮放免の弾力的活用によって収容の長期化をできるだけ回避するよう取り組むとした2010年7月27日付の法務省入管通達がまだいきていました。

 ところが、以前の記事で述べたように、上記通達を廃止するとした通達「退去強制令書により収容する者の仮放免措置に係る運用と動静監視について」が、2015年9月18日付で法務省入管局長から出され、以後、収容の長期化傾向がしだいに顕著になっていくのです。こうして、かつては「例外的」であった2年以上の収容が常態化し、大村でも4割にまで達するというすさまじい現状にいたっているのです。それどころか、上のグラフからわかるように3年や4年をこえる被収容者もめずらしくありません。ちなみに今回紹介した申し入れ書の署名者では、収容期間がもっとも長いのは4年9か月です。

 じつは、入管当局としても、国会答弁や記者会見などをつうじて、長期収容は問題でありこれを回避する必要があるということを一貫して述べてはおります。問題は、その手段です。長期収容を回避するには、2つの方法があります。被収容者を仮放免許可によって出所させるか、出国させる(送還)か、です(注)。当面の送還の見込みがたたないひとについては、前者(仮放免)しか方法はありません。入管も2010年の通達では、仮放免を弾力的に活用するということを、長期収容回避の手段とする方針を明確にしていました。ところが、2015年以降は、被収容者には退令(退去強制令書)が発付されている以上、長期収容は国外への退去(送還)をもって回避するほかないのだという姿勢を入管は強めていきます。7月17日におこなわれた出入国在留管理庁長官の記者会見での発言も、こうしたこれまでの姿勢をくりかえし説明するものにとどまりました。

 しかし、そのような悠長なことを言っていられる状況ではすでにない、というということを示しているのが、さきのグラフです。3年や4年をこえる被収容者がこれほど多いという現状は、もっぱら国外退去によって長期収容を回避するとしてきた入管当局の方針が失敗におわったということをあきらかにしているのです。3年や4年たっても監禁されて自由をうばわれつづけている被収容者がたくさんいるという絶望的な状況のなかで、ハンストが広がり、自傷行為をおこなうひともあとをたちません。すでに、昨年4月には東日本センターで自殺によって命を落としたひとがおり、大村センターでもナイジェリア人被収容者が亡くなったばかりです。長期収容問題は国外退去によって回避するのが原則なのだというような、とっくに破綻したことがあきらかな方針に入管組織の幹部たちがしがみつきつづければ、またあらたに死亡者がでることはさけられません。

 これまでの方針が失敗であったことを認めたくないという、人の命とくらべたらケシツブほどの価値もないようなくだらない入管幹部のプライドのために、あと何人の命がうばわれなければならないのでしょうか。なにものにもかえられない人命をこれ以上犠牲しないためには、くりかえし述べていますが、仮放免を活用することによって長期収容を回避するという方針を入管が明確な行動をもって示すことが緊急に必要です。
 
 

(注)
 在留特別許可によって在留を合法化すればそもそも収容すべき根拠がなくなるのですが、ここではその点には立ち入らないこととします。




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