先週、ハンストをしていた5A、5B、7A、9A、8Aの各ブロック、遅れて合流した2Bブロックは、いずれも先週末から月曜日にかけてハンストを解除し、摂食を再開していました。いっぽうで、日曜日ごろからハンストを開始した人も、複数いるようです。
東日本センターがどのような対応をとるのか、また、東日本センターはじめとする各入管収容施設において長期収容がどうなるのか、今後とも推移を注視したいと思います。このかん、同センターや法務省入国管理局に対してさまざまなかたちで抗議の意思を示されたみなさまに敬意を表します。
なお、25日(水)午前、東日本入管センターにて、仮放免者の会として文書および口頭での申入れをおこないました。
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申 入 書
2018年4月25日
法務省入国者収容所東日本入国管理センター所長 殿
仮放免者の会(関東)BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)
本年4月13日(金)、東日本センター5寮Aブロックに収容されていたインド人男性・Dさんは自ら命を絶たれた。Dさんは東京入管収容場から合わせて9ヶ月の長期収容となっていたが、直近の仮放免申請が3ヶ月近くたっても結果が出ず、周りの被収容者の経験から許可となる可能性が高いと期待していたが、自殺の前日、またもや不許可であったと知り、自殺に及んだと、同ブロックのDさんと親しい被収容者から私たちは聞いた。
また、Dさんの死を契機に、彼の死を悼み、彼を死に追い込んだ長期収容に抗議し、ハンガーストライキがブロックを越えて広がった。先週から、私たちは5Aブロックを中心に各ブロックと面会し、ハンストに至る経緯、目的、状況などを聞いた。寮、ブロックを越え、国籍・在留理由などの違いを越えた大規模ハンストは、過去、2010年5月、2012年8月にも発生しており、これで3回目となるが、これまで以上に大規模であると同時に、Dさんの死という突発的な事件を契機に起こった今回のハンストは、開始日も収束日もバラバラであり、目的においても、各ブロック内においてもハンスト参加者の間で事前に統一されて始められたわけではない。特に、Dさんと日々の収容生活を共にしていた5Aブロックと他のブロックでは、ハンストをしてまで貴職に求める要求内容に差異がある。しかし、共通しているのは、長期収容という人権侵害に対する憤りであり、無期限の収容をやめるよう求めている。
私たちが各ブロックから聞き取りしたところ、15日(日)~17日(火)にかけて、5つのブロックでハンストが始まり、最大で120人を越える被収容者がハンストに参加したとの事である。Dさんの死という、衝撃的な事件があったにしても、ここまでハンストが広がるには、その伏線があった。それは事前にも私たちは報告を受けていたが、本年3月の5寮A・Bブロックと8A・9A・9Bブロックによる貴職らへの要求書(書面の表題はそれぞれ異なる)の提出であり、それに対する貴職からの、全面否定の回答である。
ハンスト参加者の多くから意見として聞いたが、3月の要求書に応え、収容長期化を回避する方向に踏み出していれば、Dさんの自殺は防がれたはずである。
私たちは、法務省入国管理局から各入国管理官署に、送還を忌避する被退令発付者の縮減が指示されていることは知っている。しかし、収容長期化をはじめとする退令業務の強化は、貴センターにおいて昨年3月にはベトナム人男性の病死を、そして今回の自殺を生み出してしまった。人間の命を絶つまでの退令業務は明らかに人権侵害であり、貴職が彼らを死に追いやったと言わざるを得ない。
被収容者処遇規則は被収容者への人権の尊重を貴職に求めている(第一条「目的」)。人命の尊重は人権の尊重の最たるものである。本省の方針、政策がどうあれ、東日本センターにおいては、貴職が責任を負って運用にあたらなければならない。これにあたって、被収容者の人権を尊重し、これ以上の犠牲者を出さないよう、以下、申し入れる。
一、収容長期化を回避し、仮放免を弾力的に運用すること
閉ざされた狭い空間への監禁的拘束は、被収容者の誰においてもストレスを高進させ、その収容が半年に及ぶころには拘禁反応を発症する。しかも、入管での収容は期間の定めのない収容であり、精神的拷問である。地方局・地方支局収容場での入所から通算して6ヶ月を越える収容は明らかに長期収容であり、そのような長期収容者については、仮放免を許可することを求める。
一、被再収容者の早期仮放免
入管収容施設での収容に耐えて仮放免となった者は、帰国できない事情があるからこそ、耐えたのである。2016年以降、東京入管などは再収容を激増させた。難民手続きの終了や訴訟での敗訴確定、また就労や住居をめぐる仮放免条件違反を契機としてこれらの再収容が行われている。また、再収容は仮放免期間延長のための出頭時に行われるが、再収容される者たちの多くは、次の出頭時には自分は再収容されそうだと予感しながらも、逃亡することはできずに地方局に出頭して再収容される。こうした被再収容者は、本国に帰国できず、日本で在留を求めるしかない事情があるからこそ、再収容を覚悟して出頭しているのである。こうした者たちを再収容し、再び長期収容しても、ただ本人やその家族を苦しめるだけであり、人権侵害を引き起こすだけである。再収容された者については、とりわけて早期の仮放免を求める。
一、病気を訴える者を速やかに受診させること
いまだに貴センターにおいては、病気を訴えてもなかなか受診させないとか、貴センター診療室に勤務する医師が専門外の病状について外部受診の必要性がないと判断するなど、診療問題が多々残されている。昨年3月のベトナム人男性の死亡事件はその最たるものである。看守職員が受診の必要性の有無を判断することは、無資格者による医療判断である。適切な診療ができないということは、被収容者が命と健康をおびやかされているということであり、一切の言い訳は許されない。予算、人員などの条件から適切な診療ができないのであれば、被収容者数を減少させるなど、できるための措置をとるべきである。貴職が、被収容者の生命と健康を守るための、具体的な改善をなされることを求める。
一、ハンスト発生時は、ハンスト者の体重を測ること
先週から私たちは、貴センター総務課に何度も口頭で申し入れたが、ハンストをする者については、毎日、体重を測るべきである。無論、本人の意思を無視して体重を測ることはできないが、本人たちの体調管理のためにもハンスト時の体重測定は必須である。今回の大規模ハンストにおいて、面会したどのブロックでも、「なんでハンストをしているのかも聞かれない。体調はどう?とも心配されない。私たちは入管から無視されている」との訴えがあった。貴職が、ハンスト参加者に関して「健康を害する恐れがあり、中止するよう説得している」と報道機関にコメントしているのは全くのウソであることがわかる。だが、「中止するよう説得」することは、その方法によってはハンスト者への脅しともなり、慎重な対応が求められる。しかし、体重測定することは、貴職がハンストの発生を認知しており、ハンスト者の健康状態を気づかっていることをハンスト者に伝えることになる。一方、貴職は「一部ではカップラーメンや菓子などを食べている」とも報告されているようだが、そのような垣間見た情報ではなく、体重測定すれば、体重が減少しているのか否か、減少しているならどれくらい減少しているかなどの客観的な数字を報告することができる。ハンスト参加者が「カップラーメンや菓子など」を食べるのは、服薬のためであったり、過去のハンストで倒れた者がブロックチェンジさせられた経緯があるため仲間が倒れるのを防ごうとしてなど、理由がある。自らができる客観的な調査もせず、官給食を拒食していても自費購入の物を食べていると、ハンストの真剣さ、ハンストに及ぶ被収容者の切羽詰まった精神状態を茶化すような報告は差し控えられたい。
以 上
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