画像は、大村入国管理センターに収容されている方が描いた絵です(クリックすると大きくなります)。5月に、この絵の作者から公開してほしいと託されたものです。
さまざまな問題がマスメディアで報道され、日本社会で関心を集めていますが、入管施設における収容の問題にも関心をむけてほしいとの意図をこめて描いた絵だということです。
現在(とりわけ2016年以降)、各地の入管収容施設で、収容の長期化が深刻な問題になっています。
長期収容問題のひとつのあらわれとして、被収容者による集団ハンガーストライキがそれぞれの入管施設で続発しています。2016年6月から7月にかけて大阪入管で、2017年5月には東京入管で、集団ハンストがありました。2018年になってからは、被収容者の自殺事件を契機とするかたちで、東日本入管センターにて、4月に120人超が参加する史上最大規模のハンストがあったところです。
各施設でのハンストとその経過については、以下の記事でそれぞれリンクしている記事等を参照してください。
- 大阪入管でのハンスト解除――引き続きの抗議をお願いします - 仮放免者の会(PRAJ)(2016年7月19日)
- 日本外国特派員協会にて記者会見――東京入管でのハンストについて - 仮放免者の会(PRAJ)(2017年6月2日)
- 「東日本入国管理センターという場所は人の命を奪う場所」8Aブロック被収容者による要求書 - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年5月18日)
長崎にある大村入管センターにおいても、収容長期化は深刻です。被収容者が入管当局に対し、長期収容の回避をもとめる要望書を連名でくり返し提出するという事態になっており、また、先月には九州弁護士会連合会が収容長期化を問題にする理事長声明を出しています。
- 【拡散希望・取材要請】大村入管センターに収容された80名が連名で要望書提出(収容長期化への抗議と処遇改善をもとめて) - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年2月28日)
- 大村入管被収容者から仮放免を求める「要望書」 - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年6月26日)
- 大村入国管理センター等の長期収容者について仮放免等収容代替措置の活用による速やかな解放等を求める理事長声明 - 九州弁護士会連合会
入管による「収容」とは何か、また、その「収容」の長期化がなぜ問題なのか、ということについては、たとえば以下の記事で述べたとおりです。
- 入管施設の収容長期化問題について――被収容者「嘆願書」によせて - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年4月10日)
昨今の収容長期化が顕著になったのは、「退去強制令書により収容する者の仮放免措置に係る運用と動静監視について」と題された2015年9月の法務省入管局長による通達が出されて以降です。この通達には、長期収容と再収容をつうじて非常に強硬に送還をおこなっていこうという入管の現在の方針があらわれています。法務省・入管当局がこの強硬方針にいたった経緯は、以下の記事で述べております。
- 入管にとって長期収容の目的はなにか? - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年6月27日)
この記事でみたとおり、法務省は、仮放免者をふくむ「送還忌避者」を「大幅に縮減する」という目的で、長期収容と再収容をおこなっています。2015年9月ごろから、法務省は入管の各入管局・入管センターに対し、収容を長引かせ、また仮放免者の再収容を積極的におこなうように指示をしています。難民審査や行政訴訟中のため当面送還の見込みのない人びとも、長期間にわたり収容を解かれていません。というか、送還の見込みがないにもかかわらず収容を継続するからこそ、現在の収容長期化という問題が起きるのです。
前掲の記事で分析しましたように、この現在の長期収容・再収容は、あきらかに、帰国強要の手段としておこなわれているものだといえます。つまり、長期収容・再収容によって、被収容者および仮放免者の心身を痛めつけて、日本への在留を断念させ、送還に応じさせよういうことを、法務省は自覚的におこなっているわけです。他者の意思に働きかけ、自分の思うような行動を他者にとらせるために、拘禁症状を発症するほどの長期間にわたり他者の身体を拘束しつづけ、精神的な圧力をくわえているのです。
他者の意思と行動をコントロールをするための手段として、心身に苦痛を与えるということ。これは、まぎれもなく拷問と呼ぶべき行為です。先日紹介した被収容者からの手紙は、「私達は、今ここ東日本入国管理センターで入管による拷問を受けています」と書き出されていました。この「拷問」という表現は、誇張でもなければ、比喩でもありません。
長期収容、そしてくり返しの収容は、法務省という国の機関がおこなっている拷問にほかならず、けっしてゆるされることではありません。
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