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Tuesday, December 30, 2014

【抗議声明】スリランカ・ベトナムへの集団送還について


  12月18日(木)、法務省は、スリランカおよびベトナムにチャーター機をつかった強制送還をおこないました。

  翌19日の法務省自身の発表によると、今回の被送還者の概要は以下のとおりです。



被送還者総数 32人

内訳
  • スリランカ人26人(男25性人、女性1人)
  • ベトナム人6人(男性6人)


年齢階層別内訳
  • 21歳~30歳 男性6人
  • 31歳~40歳 男性12人
  • 41歳~50人 男性8人
  • 51歳~60歳 男性4人、女性1人
  • 61歳以上  男性1人
      (最年少25歳、最年長64歳)



  法務省によるチャーター機をもちいた集団送還は、昨年7月のフィリピン同12月のタイにつづき、今回で3度目になります。

  本人の同意なしに暴力によって無理やり送還するということそのものにわれわれは反対しますが、集団送還は、いわば被送還者の人数確保が目的化したなかでおこなわれるため、個別の送還以上に、送還される個々人の事情がかえりみられることなく、人権侵害と人道上の問題がはなはだしいものになるよりほかありません。じっさい、今回のスリランカ・ベトナムへの集団送還は、「人権に最大限配慮した」(12月10日付『日経新聞』)という法務省発表とうらはらに、日本に配偶者と11ヶ月の子のいる人を送還したばかりか、被送還者に反政府活動を活発におこなってきた亡命者や人身取引の被害者もふくまれるというものでした。

  仮放免者の会としては、各支援団体と連携しつつ、被送還者について、また送還のありようについて、調査をすすめているところです。

  調査をつうじて現時点であきらかになっているもろもろの事実からみても、送還翌日19日の法務省発表は、誠実なものとはとうてい言いがたいと評価せざるをえません。

  法務省は「日本に配偶者がいたり、難民認定を申請しているケースは含まれていないという」と発表しています(12月20日付『毎日新聞』)。この点についてまずは検証し、さらに今回の送還での人権侵害のはなはだしい事例を紹介していきます。



1.法務省発表「難民認定を申請しているケースは含まれていない」について

  たしかに、今回の集団送還で、われわれは申請者の送還は確認していません。そのかぎりでは、被送還者に「難民認定を申請しているケースは含まれていない」という法務省発表が「ウソ」であるとまでは私たちとしても現時点では言いきれません。しかし、この法務省の発表には、今回の集団送還の問題性を隠蔽しようとするゴマカシがあると言わざるをえません。というのも、私たちが把握しているだけでも、法務省・入管が、難民不認定処分を受けての行政訴訟や難民認定の再申請を妨害するかたちで強引に送還したケースが多数含まれているからです。

  下の図は難民認定の手続きを図解したものです。法務省のページから引用しました。



  図のとおり、難民認定の審査は2段階でおこなわれます。第1次の審査で法務大臣による「不認定」、つまり、難民として認めないという判断がなされた場合、申請者はこれを不服とし、異議申し立てをおこなうことができます。異議申し立てをおこなうと、申請者は第2次の審査を受けることになります。この第2次の審査においては、法務大臣はその諮問機関である難民認定参与員の意見を参考にして、ふたたび認定・不認定の判断をくだすことになります。

  私たちの調査では、今回の被送還者のなかに、多数、難民認定を申請していた人がふくまれていることがあきらかになっています。そして、送還された当事者からの聞き取りで、かれらが送還の直前に上記の異議申し立て、つまり第2次審査の棄却を通知されていたこともわかりました。

  法務省の理屈からすれば、難民認定の異議申し立てを棄却したあとで強制送還したのだから、「難民認定を申請しているケースは含まれていない」ということになるのでしょう。なるほど、難民認定の異議申し立ての棄却前に送還すれば「難民認定を申請しているケース」にあたるが、送還直前にこれの棄却を通知しておけば、形式上、送還の時点では「難民認定を申請しているケース」にはあたらないということに、理屈上はなります。

  入管法上は、難民の認定・不認定の決定をおこなうのも、また強制送還を執行するのも、ともに法務省(正確には法務大臣)にその権限があたえられています。現行の法制度自体がいわば「胴元がバクチを打っている」あるいは「競技に参加するプレーヤーの一部が審判をもつとめている」という状況をみとめているわけで、入管法そのものが難民認定審査の公正さを担保しえない欠陥立法であると言うこともできます。

  こうした立法上の問題点はここではおくとしても、今回の法務省の強制送還執行および難民認定異議申し立て棄却の手続きには、きわめて重大な問題があるといえます。

  私たちは、今回の被送還者について、異議申し立て棄却の通知がなされていない難民認定申請者が送還の直前に収容されたケースを多数確認しています。そのうちのAさんは、入管に収容された直後に外部への電話連絡を禁止され、「弁護士に電話をしたい」と職員に申し出たものの、許可されませんでした。こうして弁護士などの外部との連絡・通信手段を暴力的にうばわれた監禁状態で、Aさんは入管から異議申し立て棄却を通知されたといいます。

  異議申し立てを棄却された場合、申請者はその行政処分の取消しをもとめて訴訟をおこなう権利があります。入管は、棄却の通知にあたり、行政事件訴訟法にもとづき、その決定を知った日から6ヶ月以内に国を相手に決定の取消しをもとめて訴訟を提起することができるむねを、書面および口頭で教示することになっています。Aさんによると、棄却の通知時に入管は、きめられた形式どおりにこの教示をおこなったといいます。そこで、Aさんはその場で「裁判をします」と即座に言いましたが、入管職員は「いまはできません」などと言い、直前におこなったばかりの教示の内容をみずから反故にする発言をしたとのことです。入管は、Aさんの行政訴訟をおこなう意思を認識しながら、その機会をあたえず妨害し、無理やりに送還したわけです。

  難民認定申請者に対する法務省・入管のこのような送還のやりくちは、裁判を受ける権利(日本国憲法第32条)に対する明白な侵害であり、また、難民認定制度をますます形骸化させ、その公正さを決定的に破壊する暴挙というべきです。



2.送還によって配偶者・子どもと引き裂かれたケース

  さきにみたように、法務省は記者会見で、被送還者のなかに日本に配偶者がいるケースは含まれていないと発表しています。この発表もまた、言葉どおりに受け取るわけにはいかないものです。

  Bさんは、婚姻手続きは済んでいないものの、永住者の資格をもって滞在するフィリピン国籍の女性Cさんと事実上の婚姻関係にあり、Cさんとのあいだに生後11ヶ月の子がいます。Bさんは、送還されて、妻子とのあいだを引き裂かれてしまいました。また、Bさんが送還されたことで、Cさんと子は、夫・父と引き裂かれてしまいました。

  BさんCさん夫妻の婚姻手続きがおわっていないのは、婚姻制度が障壁になっているためです。外国人が日本で婚姻届を受理されるためには、原則として国籍国の政府の発行する婚姻具備証明書類(独身であることを証明する書類)の提出をもとめられます。フィリピンには制度上「離婚」がないため、Cさんが婚姻具備証明の発行を受けるためには、フィリピンの裁判所に前夫との婚姻の無効確認をもとめる訴訟を提起し、これを認められなければなりません(すでに成立した婚姻関係を「離婚」によって事後的に解消することができないため、婚姻の成立した時点にさかのぼってその「無効」を確認するという手続きが必要なのです)。この「アナルメント」と呼ばれる裁判には、多額の費用もかかりますし、時間もかかります。

  入管は、当然、フィリピンの婚姻制度に関する諸事情についても熟知しています。BさんとCさんが実質的に婚姻関係にあること、ふたりのあいだに子がいること、したがって、Bさんを送還すれば、夫婦・親子をむりやり引きはがす結果になることも認識したうえで、Bさんを送還したのです。さらに、Bさんは、夫婦のあいだに子がうまれ、退去強制令書の発付を受けた当時との事情が変化していることもあり、行政訴訟を提起しようとしていました。当会の支援者が入管への収容中にBさんと面会していたさいに、入管は立会官をつけて会話を聞いていましたから、Bさんに行政訴訟を提起する意思があることも把握していたはずです。

  法務省は、これらの事実をすべて認識したうえで、形式的に婚姻手続きが済んでいないのをよいことにBさんを送還対象にえらび、報道発表ではぬけぬけと、被送還者に日本に配偶者がいるケースは含まれていないなど言ってのけたわけです。



3.人身取引の被害者も送還

  さらに今回の集団送還では、被害からの回復途中の人身取引被害者DさんとEさんもむりやりに送還されました。

  DさんとEさんは、母国で日本人のブローカーから、3年の在留資格で日給8,000円の仕事があるともちかけられて、来日。日本に来てみると、日給2,000円の仕事をさせられ、在留資格も短期滞在、仕事の内容もブローカーの事前の話とはまったくことなるものでした。

  ふたりは、未払い賃金の支払い等をもとめて提訴し、雇用主とのあいだに和解が成立、また、裁判所はブローカーの日本人に対しあっせん料の返還を命じていました。ところが、雇用主は8回に分割して支払うべき未払い賃金のうち1回分を支払ったのみで、残金の支払いにいっこうに応じていません。また、ブローカーは居所不明のため、判決に基づく損害金の回収もできていませんでした。DさんとEさんはこれらに対する法的措置を準備しているところでした。

  法務省は、「性的搾取,強制労働等を目的とした人身取引(トラフィッキング)は,重大な犯罪であり,基本的人権を侵害する深刻な問題です」として、その撲滅のための自分たちの取り組みを宣伝しています。


  しかし、今回のDさんとEさんの強制送還は、法務省・入管が人身取引の被害者の権利回復を妨害し、加害者側に加担しその片棒をかついだ、ということにほかなりません。



4.送還のための送還

  以上みてきたように、18日のスリランカ・ベトナムへの集団送還は、難民不認定処分に対する行政訴訟の機会をを不法かつ暴力的にうばったケース、夫婦・親子のあいだを引き裂いたケース、人身取引被害者の権利回復を阻害したケースなど、重大な人権侵害と人道上の問題を生じさせるものでした。昨年度にひきつづき今年度も、このチャーター機による集団送還のために法務省は3,000万円の予算を獲得していました。その予算消化のための被送還者の人数確保が目的化したなかで集団送還がおこなわれたことが、無理やりの送還に必然的にともなう人権侵害をますます甚大なものにしたといえます。

  法務省は今年度、フィリピンおよび中国にあわせて200人を送還する費用として合計3,000万円の予算を計上していました。ところが、この両国への送還が困難とみるや、送還先をスリランカとベトナムに変更。これにあわせて、送還対象者をいわば「かき集めた」ということでしょう。まさに「送還のための送還」であって、このような人権侵害しか生まないチャーター機送還は即刻やめるべきです。

  法務省は、記者会見で、今回の送還には4,000万円の費用がかかったとしています。予算として計上していた3,000万円に対し、1,000万円ほど超過したことになります。また、4,000万円という費用は、今回の32人の被送還者1人あたりの送還費用として、125万円になります。法務省は、チャーター機送還をはじめるにあたって、一般の旅客便で1人ずつ送還する方法にくらべ「費用と安全の両面で利点がある」とし、費用について「送還対象者1人当たりの費用は、最大で現在の約3割に抑えられる」と試算していました(2012年12月19日付『毎日新聞』。チャーター機による強制送還に反対する3月行動(3月6日、水曜日)の末尾に記事を転載しています)。この法務省の試算の前提は、3,000万円の予算で200人を送還するという計画だったわけですから、被送還者1人あたりにして15万円。とすると、法務省がこの試算で一般旅客便での送還費用として想定していたのは、およそ50万円ということになります。

  したがって、今回のチャーター機送還でかかった125万円という1人あたりの送還費用は、チャーター機送還における当初の想定の約8倍、一般旅客便での個別送還とくらべてもその「約3割」どころか2.5倍にのぼる計算になります。チャーター便での送還には費用の面で「利点」があるとした法務省の前提は、完全に破綻したといえます。



5.送還対象者リストはどのようにつくられたのか?

  ところで、今回、送還先として当初の計画であったフィリピン・中国にかわってスリランカ・ベトナムがえらばれた背景のひとつとして、日本政府と送還先の政府との関係という要因も無視できません。日本側が送還をおこなおうとしても、送還先の政府とのあいだで合意が成立し、その協力をえられなければ、送還は不可能なわけです。ですから、当然、日本政府と送還先政府のあいだで事前の協議がもたれたはずです。

  私たちとしては、とくに今回、スリランカ政府とのあいだでどのような事前協議がおこなわれたのかという点に、関心をよせています。

  スリランカに送還されたFさんは、本国でも、また来日後も、独裁政治に反対する活動を積極的にしていた人です。彼は、日本でも、在日スリランカ人に呼びかけて独裁政治反対のデモを在日スリランカ大使館に対しておこなうなど、活発な反政府活動をしており、送還後の動向が危惧されるひとりです。

  こうしたFさんの政治活動については、日本の入管・スリランカ政府双方とも事前に具体的に把握していたのは確実です。大使館前での抗議行動は、Fさんの難民申請の主張に含まれていたのですから、入管がこれを知らなかったということはありえません。スリランカ大使館も、抗議行動の写真撮影などで、Fさんの人物を特定していたとみてまちがいありません。

  したがって、法務省・入管は、Fさんの政治活動の内容を知りながら、かれを送還したということになりますが、これを日本側が独自の判断としておこなったとは考えにくい、ということもいえます。日本でのスリランカ人亡命者は強力なネットワークを形成しており、本国の野党諸政党の本部とのあいだにも密接な連絡がありますから、かりにFさんの身に危害がおよんだり行方不明にでもなるような事態があれば、その情報は日本にもすぐさまつたわることが予想されます。送還翌日の「人権に最大限配慮した」という報道発表が口先だけのものであるとしても、みずからの保身と組織防衛には最大限の配慮をするであろう法務省・入管の官僚たちが、自分たちの責任を問われる大問題にもなりかねない「リスク」の高い選択をすることは、考えにくいのです。法務省にとっての今回の送還の主目的のひとつが、さきに指摘したように予算消化であろうことを考えれば、なおさらそういえます。被送還者の人数確保という観点からすれば、Fさんでなければならない理由はかならずしもなかったはずだからです。

  となると、法務省・入管があえてFさんを送還対象のひとりにえらんだことには、年明けに大統領選挙の投票をひかえたスリランカ政府の思惑・意向が関係しているのではないかということ、また、かれの送還後の処遇について事前にスリランカ側から法務省・入管を「安心」させるようななんらかの条件提示がなされたのではないかということを、強くうたがわざるをえません。

  もちろん、本国で生命・身体に危害のおよぶおそれのある人を無理やりに送還することは、両国間での協議のうえでであれ、日本側の独自の判断の結果であれ、いずれにしても大問題です。しかし、前者の場合、Fさんの人権上の問題にくわえ、難民は保護するという日本の国際的な約束そのものが根底からくつがえされることにもなります。

  Fさんをはじめ、強制送還された人たちのなかには、政治的な迫害のおそれがあることを理由に難民認定をもとめていた人が多数含まれていました。このような集団送還が、送還する側と送還先の政府間での協議のもとおこなわれたということの問題もまた、きわめて大きいといわなければなりません。それは、難民としての保護をもとめようとする人たちからすれば、建前上は難民保護をうたい、難民認定申請を受け付けている日本政府が、自分を迫害する本国政府と通謀して強制送還について話し合いをもっているということを意味するのですから。



  12月18日に法務省がおこなった集団送還は、なんら正当化しうる根拠の存在しない暴挙と言うべきであり、これに強く抗議するとともに、被送還者の今後の状況を注視していきます。




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Thursday, December 4, 2014

東京入管でスリランカ人被収容者が死亡――くりかえされる医療放置による死亡事件

  11月22日(土)、またもや入管の収容施設で死亡者が出てしまいました。

  亡くなったのは、東京入管に収容されていたスリランカ人男性、Mihindukulasuriya Nickeles Emmanuwel Fernandoさん(ご遺族の同意のもと、実名と写真を公開します。以下、「ニクルス」さんといいます)です。57歳でした。

  当会では、亡くなったニクルスさんの親族、当会顧問の指宿昭一弁護士らとともに、12月1日(月)に記者会見をおこない、私たちが東京入管の被収容者との面会等をつうじて把握した事実関係などを、報道関係者に公表しました。




1.死亡日当日の状況――被収容者の証言

  被収容者の証言からあきらかになった、ニクルスさんが亡くなった当日の状況は、以下のとおりです。

  11月中旬から東京入管に収容されていたニクルスさんは、他の被収容者2人と雑居房にいましたが、22日の朝、胸の激しい痛みを訴え、7時半頃に同国人の日本語のできる被収容者の通訳で入管職員と面接をおこないました。このさい、ニクルスさんは、聖書を手に持ち職員に見せるなどして「私はクリスチャンだ。嘘は言わない。本当に心臓がひどく痛む。病院に行かせてほしい」等と泣きながら職員に懇願したといいます。職員は当日が土曜日で局内に医者がいないことなどをを理由にこれを聞き入れず、8時頃にはニクルスさんを雑居房から監視カメラ付きの単独房に移動させました。

  ニクルスさんは、単独房移動後も泣きながら病院に行かせてくれとうったえていましたが、職員はこれに取り合わなかったといいます。8時50分頃ニクルスさんの声は聞こえなくなったそうです。9時半から12時までは開放処遇といって被収容者は、各居室から共用部や他の部屋に移動することができるようになるのですが、ニクルスさんは開放処遇の間中うつ伏せの状態のままで姿勢は全く変わっていなかったようだと他の被収容者は証言しています。13時すぎに他の被収容者がニクルスさんの居室をたずねたところ、ニクルスさんは意識不明で脈がなく、体のつめたくなった状態でした。この被収容者はすぐに職員を呼び、職員は心臓マッサージや人工呼吸、AEDの使用などしたが、まるで反応がなかったといいます。救急車が到着し、13時30分頃にニクルスさんは単独室から運び出されたとのこと。

  その後、ニクルスさんは搬送先の病院で死亡が確認されました。警察で法医解剖(新法解剖)をおこない、病理検査中。死因については内因性のものである(外因性のものではない)という以上のことはまだわかっていません。



2.あいつぐ被収容者の死亡――その背景と問題

  入管の収容施設では、このところ、被収容者の死亡事件があいついでいます。この1年あまりのあいだに、収容中の死亡だけにかぎっても、入管は4人もの外国人を死なせています。

  昨年の10月9日には、東京入管でビルマ(ミャンマー)出身のロヒンギャ難民、アンワール・フセインさんが倒れ、搬送先の病院で10月14日に亡くなりました。死因は「動脈瘤破裂によるくも膜下出血」。フセインさんは9日に東京入管で嘔吐(おうと)、体を痙攣(けいれん)させて倒れ、意識不明の状態におちいりましたが、東京入管は50分ちかくものあいだ救急車を呼ばないという信じがたい対応をとりました(急死した被収容者に対する東京入管の医療放置などについての申入書参照)。

  今年にはいって東日本入国管理センターで、3月29日(土)にイラン人男性のSさん、翌30日(日)にカメルーン人男性のWさんが、あいついで亡くなりました(【抗議のよびかけ】東日本入管センターで被収容者2名があいついで死亡参照)。このうちWさんは、1か月近く医療放置され、最後には自力で歩くのが困難な状態になっていましたが、センターはそれでも彼に診療を受けさせることをしませんでした。

  また、収容中の死亡ではないものの、東京入管から東日本入管センターに移収されたのち出所した中国人男性Hさんが、7月11日に肺ガンで亡くなりました(元被収容者が死亡――東日本入管センターに診療の抜本的改革等を申し入れ参照)。Hさんは、収容中、頭痛や腹痛をうったえていましたが、ガンの発見が遅れ、出所後に死亡したものです。

  今回のニクルスさんの件もふくめ、入管収容施設でこうもたてつづけに死亡事件がおきている背景には、緊急医療体制のいちじるしい不備、処遇のやはりいちじるしい不備、そして、外国人にたいする入管の人権無視の体質があるとみてまちがいありません。

  緊急医療体制の不備については、昨年のフセインさん事件でその問題があきらかになったはずであるにもかかわらず、法務省および東京入管はそれをじゅうぶんに教訓化することなく、またあらたな犠牲者を出すにいたったということになります。

  東京入管がニクルスさんをわざわざカメラ付きの単独室に移動させておきながらも、他の被収容者から知らされるまでニクルスさんの異変にまったく気づかなかったという点には、処遇の「不備」と言うにも軽すぎる、「ずさんさ」があらわれています。複数の職員がニクルスさんの居室を何度も通りがかっているはずであるのに、同じ姿勢で長時間動かないニクルスさんの異変に注意を払うことがなかったというのは、おどろくべきことです。12時の昼食の搬送時などもふくめ、異変に気づく機会は何度もあったはずなのです。ところが、職員がようやく事態の深刻さを認識したのは、ニクルスさんの体がすでにつめたくなった後で、しかも、その状態を発見したのは職員ではなく、おなじブロックの被収容者だったのです。

  そもそも、東京入管はなんのためにカメラ付きの単独室にニクルスさんを移動させたのでしょうか。以上の経過をみるに、結果的にニクルスさんは、他の被収容者とともに雑居房にそのままいたほうが、安全だったにちがいないのです。病状を心配し気にかけてくれる他の被収容者の目が届く雑居房のほうが、深刻な病状をうったえても病院に搬送しないばかりか、人が伏して動かなくなっていてもこれを深刻な異常と認識しないような入管職員の目しか基本的には届かない単独房よりも、はるかに安全であることはたしかです。

  こうした緊急医療体制および処遇のいちじるしい不備のさらなる背景には、入管の組織的な体質としての外国人にたいする人権無視の思考があると言うべきです。東京入管のみならず東日本入国管理センター等、入管施設には重篤な状態にある被収容者に対し救急車を呼ばない、または、重篤な状態にある者でも病院に行かせないといった医療放置がしばしばみられます。入管職員にしても、相手が家族や友人、あるいはそうでなくても、たとえば通りすがりの見ず知らずの他人が相手であっても、けっしてこのような対応はしないのではないでしょうか。ところが、被収容者に対しては、ニクルスさんにたいしておこなったような仕打をしているのです。ニクルスさんが病状をうったえ、聞き入られることなく亡くなるにいたるまでの入管の対応からは、いわば、外国人は死んでも構わないという外国人の人権を著しく軽視した姿勢を見て取らないわけにいきません。

  入管は外国人を収容する限りその人権、生命、安全、健康を守る義務、収容主体責任があります。それらを守ることができないならばそもそも収容をいっさいやめるべきです。

  当会としては、東京入管および法務省にたいし、ニクルスさんを死にいたらしめた経過や組織的構造的問題について、また事後の対応について、今後、抗議や申し入れをつうじて追及していきます。また、みなさまにも、抗議・意見提示をよびかけます。



【抗議先】

法務省



東京入国管理局

  • 東京入管総務課 電話  03-5796-7250
  • 東京入管代表ファクス  03-5796-7125



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Sunday, November 9, 2014

【転載】大阪入管への申し入れ

  11月7日(金)、関西の4つの支援団体(WITH、TRY、難民支援コーディネーターズ・関西、ピースバード)が大阪入管にたいして、申し入れをおこないました。

  申入書は、医療問題の改善をもとめているほか、支援団体側のこれまでの申し入れにたいする大阪入管の真剣さ・真摯さを欠いた対応も問題にしています。支援団体は、大阪入管が、医師法第20条で禁じられている無診察投薬をおこない、また不適切な投薬によって被収容者の治癒を遅らせたという調査資料を提示しての申し入れを8月におこなっていました。ところが、大阪入管は9月に、総務課渉外担当をつうじて、「緊急性がない」ことを理由に「回答しない」との回答をつたえてきました。

  医師法に抵触する違法行為がおこなわれているのではないかという指摘について、その事実を否定・否認するでもなく、また事実関係を調査する意思を示すのですらなく、ただ「回答しない」との回答をよこしてくる大阪入管の対応は、おどろくべきものです。事実関係がどうであるかにかかわらず、一般論として無診察診療がかりにあるとすればそれは問題であるという原則的な前提すら、大阪入管には共有されていないのではないか。こうした疑念をいだかざるをえません。

  さらに、医療問題の指摘にたいする大阪入管による「緊急性がない」という評価にいたっては、ほとんど理解をぜっするものと言うほかありません。不適切な、しかも違法性のうたがわれる投薬によって身体的苦痛と精神的不安をあじわったという被収容者のうったえについて、「緊急性がない」とは、いったいどういう意味なのでしょうか?

  こうした大阪入管の対応についても、以下に転載する申入書はその真意を問うております。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
申し入れ書
                          
大阪入国管理局 局長殿
 2014年11月7日
申し入れ団体
WITH(西日本入管センターを考える会)
TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)
難民支援コーディネーターズ・関西
難民支援団体 ピースバード

一、「回答しない」という回答に対する幾つかの質問とについて
1.各申入れ団体は大阪入管収容場の被収容者と面会し、被収容者の相談を受け、支援を行っている支援団体である。2014年8月7日に貴局に対して申し入れ書の提出及び回答を求める陳情を行った。同年9月1日に貴局は申し入れに対して「申し入れ内容について緊急性がないため、回答しない」という回答をしてきた。
2.貴局の上記「緊急性がない」という見解について具体的にはどういうことかと問い質したが、それに対しても貴局は答えていない。医療問題を具体的に指摘し改善するよう申入れした。それに対し「緊急性がない」とは被収容者が倒れたり、瀕死の容体ではないということを指しているのか。皮膚病患者に対する貴局医師は適切な診察をせず、したがって診断もせず、適当に誤った薬を投与し、被収容者患者を不安と苦痛に陥らせた(これについては具体的証拠資料を明示してある)。確かに皮膚病患者は、その疾患によって倒れたり、死に至るものではかった。だから「急性がないため、回答しない」ということなのか。
3.改めて以下の質問に答えて頂きたい。
 ①貴局は被収容者に対して高度な管理責任義務(被収容者の安全、健康、命を守る責任義務)があることを認めるのか、否か。
 ②貴局は被収容者に対して適切な診療を行う義務があると認めるのか、否か。
 ③貴局の「緊急性がないため、回答しない」という回答は「勝手に解釈しろ」という回答と同一であるが、ならば「被収容者(外国人)が皮膚病に掛かってもそれは死ぬような疾患ではない、適当に診療しておけばよいというのが大阪入管の考えである。大阪入管は外国人を差別する人種差別組織である」と解してよいか、否か。
 
以上は被収容者の人権に関わる非常に重要かつ真剣な質問である。

二、貴局収容場の医療アクセスについて
①無診察投薬をやめること
(1)貴局入管医は移送時の刑務所からの診療情報提供書のみの処方を行ったり、薬が変わったにもかかわらず、経過をみる診療等は行っていない。被収容者が診察申請を出しても、診療を拒否されている。
(2)処方が変更され、別の薬を出されから、診療なしで放置されている。薬が変わっているにもかかわらず、その後長期間、医師の診察がないまま薬が出続けている。
上記のような、診療をせずに処方を変更・継続することは、無診察投薬である。医師法に抵触する医療行為はやめること。

②被収容者の受診申請を受け付け、速やかに入管医の受診をさせること。
診療の申し出があった被収容者について、看護師が面会して診療の可否・要不要を判断している。被収容者本人が体調不良や未診察の新たな症状を訴えた場合、速やかに診療を受けさせるべきである。貴局収容場で看護師が被収容者の症状を診て診療不要の判断を下すことは、医師の診療の妨げである。

③処遇担当の入国警備官による問題ある言動
(1)外部病院の医師がMRI検査を勧めたにも関わらず、職員が「(費用が)高い」と言って妨げた。
(2)職員に「薬がほしい」と言ったところ、「こういうことのためにあなたここに来てません」「私たちは、ここではしません」と言われた。
(3)受診申請を何度も出し、不服申出(薬があわないことを訴えた)も出したが、回答は「理由なし」。職員からは、「これ以上、あなたの病気を治す考えはない」「仮放免を受けたいから、病気のことをおおげさに言っているのではないか」等の暴言を受けた。「あまりぶつぶつ言うと、仮放免なんか許可しないよ」と言われた。
職員による治療妨害や診療の要不要の判断に入管が介入することは、医師と患者の関係の妨害である。職員が自身の職務以上の権限と判断を行使することをやめること。
貴局は「入管で治療を行う必要はなく、出所後に本人が治療すればよい」と考えており、収容期間に治療が中断することの危険性や本人の苦痛や不安は考慮する必要がないと考えているのがみてとれる。 収容による体調の悪化・異常についての問題意識が欠落している。
収容前に健康だった人が体調を崩したり、収容前になかった症状が収容後に発症するなど、入管による監禁と関連があると思われる症状の出ている被収容者を受診させずに放置しているのは重要な人権侵害の問題である。

1、 面会制限について
複数の被収容者との面会は許可しない面会制限を廃止すること。

2、 仮放免延長申請における貴局の対応について
仮放免の際にパスポートを持参すること、常時携帯を促すことをやめること。

Tuesday, November 4, 2014

【紹介・転載】無料の医療相談会のご案内(群馬県高崎市、11・30、主催:北関東医療相談会)

11月30日(日)、カトリック高崎教会(群馬県高崎市)で、無料の医療相談会がひらかれます。主催団体の北関東医療相談会さんの承諾をえて、このブログでも紹介させていただきます。

医療相談会では、医者との相談ができるほか、レントゲン、尿検査、子宮ガンの検査、血液検査なども受けられます。
あわせて、弁護士による無料の法律相談もあります。
相談会に参加したいかたは、長澤(ながさわ)さん(080-5544-7577)まで、電話で申し込んでください。また、お友達やお知り合いで医療相談を必要とするかたがいましたら、この相談会のことをお知らせしてください。
くわしくは、下のほうに(↓)、相談会の案内を転載していますので、そちらを読んでください。日本語以外のことば(英語、韓国語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語、タイ語、スペイン語)で書かれたパンフレットも、リンクがあります。

この医療相談会は、1997年からつづけられ、今回で31回目になるそうです。
経済的な問題などで、なかなか病院に行けないかたのための相談会です。お金はかかりません
どの国の人でも、また、ビザがない人でも、相談会に参加できます

仮放免の人も、もちろん参加できます。
仮放免者の多くは、国民健康保険に入れないために、病気があるのに、思うように治療を受けられません。関東・東海・関西各地区の仮放免者の会が、535人の仮放免者に調査したところ、123人(23%)が「継続的な治療が必要な病気がある」とこたえています(2013年仮放免者実態調査報告)。その多くは、病院に行きたくても行くことができず、必要な治療が受けられていません。
こうした仮放免者のなかにも、医療相談会での検査をきっかけに、その後も相談会の支援者のサポートを受け、病院での医療につながることができたかたがいます。

ビザがない人をふくめ、ここで生活しているすべての人が必要な医療を受けられるようにすることは、人権にかかわることであって、本来ならば、日本の政府や市役所などがやらなければならないことです。しかし、日本の政府が、こうした責任をはたしていないため、とくに仮放免者などのビザがない人が病院にかかるには、北関東医療相談会さんのようなボランティア団体の献身的なサポートと負担にたよらざるをえないわけです。とくに、全国で約3,500人におよぶ仮放免者を在留資格のない、きわめて不安定な身分におきつづけている法務省・入管の責任は大きいというべきです。

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11がつ30にち(にちようび)、カトリックたかさききょうかい(ぐんまけん たかさきし)で、むりょうの いりょう そうだんかいが ひらかれます。しゅさい だんたいの 「きたかんとう いりょう そうだんかい」さんの しょうだくを えて、この ブログでも しょうかい させて いただきます。

いりょう そうだんかい では、いしゃとの そうだんが できる ほか、レントゲン、にょうけんさ、しきゅうガンの けんさ、けつえき けんさ なども うけられます。
あわせて、べんごし による むりょうの ほうりつ そうだんも あります。
そうだんかいに さんか したい かたは、ながさわさん(080-5544-7577)まで、でんわで もうしこんで ください。また、おともだちや おしりあいで いりょう そうだんを ひつようと する かたが いましたら、この そうだんかいの ことを おしらせ してください。
くわしくは、したの ほうに(↓)、そうだんかいの あんないを のせて いますので、そちらを よんで ください。にほんご いがいの ことば(えいご、かんこくご、ポルトガルご、タガログご、ベトナムご、タイご、スペインご)で かかれた パンフレットも、リンクが あります。

この いりょう そうだんかいは、1997ねん から つづけられ、こんかいで 31かいめに なるそうです。
けいざいてきな もんだいなどで、なかなか びょういんに いけない かたの ための そうだんかいです。おかねは かかりません
どの くにの ひとでも、また、ビザが ない ひとでも、そうだんかいに さんか できます

かりほうめんの ひとも、もちろん さんか できます。
かりほうめんしゃの おおくは、こくみん けんこう ほけんに はいれない ために、びょうきが あるのに、おもうように ちりょうを うけられません。かんとう・とうかい・かんさい かくちくの 「かりほうめんしゃの かい」が、535にんの かりほうめんしゃに ちょうさ した ところ、123にん(23%)が「けいぞくてきな ちりょうが ひつような びょうきが ある」と こたえています(2013年仮放免者実態調査報告)。その おおくは、びょういんに いきたくても いく ことが できず、ひつような ちりょうが うけられて いません。
こうした かりほうめんしゃの なかにも、いりょう そうだんかいでの けんさを きっかけに、そのごも そうだんかいの しえんしゃの サポートを うけ、びょういんでの いりょうに つながる ことが できた かたが います。

ビザが ない ひとを ふくめ、ここで せいかつ して いる すべての ひとが ひつような いりょうを うけられる ように する ことは、じんけんに かかわる ことであって、ほんらいならば、にほんの せいふや しやくしょ などが やらなければ ならない ことです。しかし、にほんの せいふが、こうした せきにんを はたして いない ため、とくに かりほうめんしゃなどの ビザが ない ひとが びょういんに かかるには、「きたかんとう いりょう そうだんかい」さんの ような ボランティアだんたいの けんしんてきな サポートと ふたんに たよらざるを えない わけです。とくに、ぜんこくで やく3,500にんに およぶ かりほうめんしゃを ざいりゅうしかくの ない、きわめて ふあんていな みぶんに おきつづけている ほうむしょう・にゅうかんの せきにんは おおきいと いうべきです。

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【転載(北関東医療相談会のウェブサイトより)】 http://npo-amigos.org/index.html

2014年11月30日(日)第31回 北関東医療相談会(高崎会場)を開催します。
  • ◆ 日時  2014年11月30日(日)10:00~14:30
  • ◆ 費用  無料 
  • ◆ 場所  カトリック高崎教会  
  •        群馬県高崎市高松町16 TEL 027-322-6243
  • ◆ 検査項目 胸部レントゲン、血圧、血液検査、尿検査、問診
  •        身体測定、子宮頸癌検査(希望者)
  • ◆ お問合せ先 080-5544-7577(長澤)19:00~22:00(毎日/予約可)
  • ◆ 注意事項
  •  ・検査6時間前は食事を避けてください(水飲み摂取は可能)
  •  ・時間を守ってください
  •  ・妊娠中の方、及び12歳以下の方はX線撮影を受けられません
  •  ・X線撮影を受ける方はTシャツを着てください。金具のついた服はさけてください
  • ◆ 結果説明会のお知らせ 
  •  ・日時  2014年12月21日(日)13:00~15:00
  •  ・場所  カトリック高崎教会(こられない方は郵送可)
  •  ・連絡先 080-5544-7577(長澤)
  • ◆ 主催 NPO法人 北関東医療相談会
  • ◆ 協賛 群馬県健康づくり財団
  • ◆ 後援 群馬県 高崎市
  •      群馬県観光物産国際協会
  •      青年海外協力隊群馬県OB会
  •      カトリック群馬使徒職協議会
  •      栃木県使徒職評議会
  •      赤い羽根・三井物産・上毛新聞社
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【リンク】


       

Wednesday, October 22, 2014

11.19入管抗議デモ / DEMONSTRATION AGAINST IMMIGRATION BUREAU



  11月9日(水)に、東京入国管理局にむけてデモをおこないます。

  昨年度に法務省は、前例のないチャーター機による集団送還を実施し、マニラに75名バンコクに46名を強制送還しました。

  今年度も、法務省はそのための予算をとってチャーター機送還を計画しています。

  いっぽう、東京入管では被収容者による集団でのハンガーストライキがあいついでいます。無期限の収容や劣悪な処遇に抗議してのハンストです。このハンストには、仮放免されたものの東京入管に再収容された私たちの会の仲間も参加しています。


  こうして仮放免者や被収容者がたたかわなければならない理由をつくっているのは、法務省であり、入管にほかなりません。

  3,500人におよぶと推定される仮放免者。入管は、この増大した仮放免者を、集団送還によって、あるいは劣悪な環境下での長期収容・再収容という肉体的・精神的な拷問で「帰国」させることによって減らそうとする方針にいまだ固執しているようにみえます。

  仮放免者や被収容者が「帰国」を拒否しているのは、彼ら彼女らが難民であるからであり、あるいは長期にわたって日本でくらしてきたためにここにしか生活の基盤がないからであり、また日本に家族や友人がいるからです。

  また、日本社会が働き手として必要とし、じじつ利用してきたてきた彼ら彼女らにたいし、いわば「使い捨て」同然に「帰れ」と要求するのは、いちじるしく道理に反します。

  チャーター機によるものをはじめとした、本人の同意のない無理やり送還、長期収容・再収容。こうした暴力的手段によって仮放免者問題を「解決」しようとする法務省・入管の方針に私たちは反対します。


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2014年11月19日(水)
14:00  品川駅(港南口)入管行きバス停集合

  • 強制送還反対、チャーター機送還反対!
  • 長期収容、再収容するな!
  • 被収容者への医療問題を改善しろ!
  • 仮放免者に在留資格を!
電話:みやさこ 090-6547-7628, Elizabeth(English available) 080-4163-1978


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Wed.19th Nov.2014
Assemble 14PM in front of Bus Stops for Immigration Bureau, Konan Exit of Shinagawa Station

  • No Deportation by Charterd Plane!
  • Stop long-Term Detention & Re-Detantion!
  • Improve Medical Treatment for Detainees!
  • Resident Status those on Provisional Release!

Contact : Miyasako  090-6547-7628,  Elizabeth(English available)  080-4163-1978

Tuesday, October 7, 2014

東京入管で集団ハンスト:被収容者76名が参加

  報告がおそくなりましたが、9月9日の記事でお伝えしていた、東日本入国管理センター8Aブロック被収容者6名によるハンガーストライキは、すでに解除されました。ハンスト参加者によると、9月6日(土)に始められたハンストは、その後、センター側からの一応の回答を受けていったん中断することとし、9日の朝から摂食を再開したとのことです。

  被収容者の申出書に対するセンターからの口頭での回答は、具体的実際的な中身のあると言えるものではありませんでした。仮放免申請から審査結果告知までの期間をみじかくするようにとの要求にたいして、センター側の回答は「みじかくするよう努力しているし、今後も努力する」というものでした。医療改善の要求に対しても、同様に「努力しているし、今後も努力する」。仮放免不許可の理由を申請者本人に知らせることという要求にたいしては、「おしえられない」と。

  8Aのハンスト参加者たちにとって、こうした回答はじゅうぶんに満足できるものではありませんでしたが、参加者どうしの話し合いの結果、今後の入管側の行動を注視することにし、 6日に開始したハンストは「いったんやめる」こととしたそうです。

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  いっぽう、東京入国管理局では、9月のなかばから10月のあたまにかけて、3つのブロックであいついで集団ハンストがおこなわれ、総計76名の被収容者が参加しました。それぞれのブロックの被収容者がかかげた要求をみると、入管収容施設の処遇の劣悪さにとどまらず、入管という組織の外国人に対する人権無視・人権侵害の体質を、あらためてうきぼりにしております。

  今回、東京入管で集団ハンストをおこなったのは、E, F, Jの3つのブロックの被収容者です。それぞれの要求をここで紹介させてもらいます。

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  Eブロックでは、9月16日朝から18日夜にかけて、ハンストがおこなわれました。24名12国籍(パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、セネガル、フィリピン、ギニア、ガンビア、インド、パラグアイ、スリランカ、ブラジル、中国)の被収容者がハンストに参加しました。

  被収容者たちは、口頭で以下4つの問題を入管側につたえ、その改善を要求しました。

  1. 収容の長期化。仮放免を何度申請しても不許可になる。1年近く収容されている人もいる。
  2. 仮放免の不許可理由がわからない。説明がいっさいない。
  3. 食事の量が少ない。毎日同じ食べ物。栄養に配慮されていない。
  4. 在留資格所持の妻子がいるのに在留資格が出ない。自身が収容されたことで家族は経済的に困窮している。心理的打撃も大きい。

  さらに、Eブロックに収容されているフィリピン人男性Aさんの妻が5月に流産したことが、Aさんだけでなく、Eブロックの他の被収容者の強いいきどおりと抗議を引き起こしました。

  Aさんは入管法違反の容疑で東京入管に収容され、4月末に口頭審理を受けました。この口頭審理には、Aさんの妻のBさん(フィリピン国籍、永住者の資格)が立会人として同席しましたが、東京入管は、妊娠中のBさんが同席するなか、この日に途中5回の休憩をはさみつつも、朝9時半から夜9時にわたって尋問をおこないました。Bさんはその後、病院に行きましたが、10日後に流産しました。医者からは、「極度のストレスが原因」と説明されたとのことです。

  Bさんにとっては、夫に退去強制命令が出るかどうか、今後も夫が自分や子どもたちといっしょに日本で暮らせるかどうか、という、それ自体で非常な緊張をしいられる取調べを夫とともに受けなければならなかったわけです。そうした場に、妊娠中の女性を事実上強制的に呼び出して朝から夜おそくまで拘束し、長時間にわたって尋問するという、東京入管のやり方は、母子の健康や人権を考慮していたとはおよそ考えられない、非常識きわまりないものです。

  外国人が相手となると、生命の安全や人権の観点などおかまいなし、行政手続きを優先するという、入管のこの体質こそ、入管によって収容され、あるいは取り締まられ審査を受ける立場におかれた外国人の多くが、日ごろから強い不満や怒りを表明しているところでもあります。そういうこともあって、Eブロックのたちの被収容者たちもAさんやBさんの怒りや悲しみに共鳴したのだといえます。

  今回のEブロックのハンストには、これまでの入管の被収容者のハンストにはみられなかった顕著な特徴があります。それは、退去強制命令の出ていない審査中の被収容者の参加がめだったということです。審査を受ける側からすれば、こうした抗議行動に参加するということで入管から不利益なあつかいをうけるのではないかというおそれをいだくのは、当然のことです。そうしたおそれの気持ちを超えるほどの怒りや理由が、このEブロックでは共有されていたのだと思われます。

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  Fブロックでは、9月20日から26日までハンストがおこなわれ、24人が参加しました。

  要求の具体的な内容については、連名で出された局長あての要求書をこの記事の下に転載しておりますので、そちらを参照してください。

  長期収容をしないことや、食事や自由時間などに関する処遇の改善をもとめています。「私達動物園に入れられてる動物ではありません」という一文が、入管の被収容者にたいするあつかいのありようをものがたっています。

  また、要求書は、仮放免許可申請の審査基準や審査期間、あるいは処遇等についての規則の根拠が不明確・不透明であることも、問題にしています。「入管にはルールがない」とは、被収容者や仮放免者からしばしば聞くことばです。じっさい、仮放免の審査にせよ、処遇等の規則にせよ、入管の運用はきわめて不透明です。さらに、このブログでもくりかえし指摘してきましたが、退去強制令書を発付された人について、その収容期間の限界はさだめられていないこと(無期限の収容・監禁)も大問題です。

  入管側はことあるごとに「われわれは法と規則にのっとってやっている」ということを強調しますし、それはたしかに入管組織内部の人の意識において、かならずしもいつわりとは言えない発言なのでしょう。恣意的に権限をふるっているのではないのだ、と。

  しかし、重要なのは、組織外部の者にとって、入管の規則やその運用が不透明きわまりないという事実です。とくに、入管の規則によって管理される被収容者や仮放免者にとって、どのようなルールにもとづいているのか、あるいはそのルールの根拠はなんなのか、ほとんど明かされないままルールに従うことをもとめられるのは、「おとなしくしていろ、不平を言うな、さもなくばお前に不利益をあたえるぞ」とおどされているのとなんら変わりません。

  こうした、規則や運用の不透明さこそが、被収容者による集団ハンストがくりかえしおこなわれてやまない本質的な原因のひとつであることを、入管側は肝にめいずるべきですし、Fブロックの要求書が、責任者との「話し合いの場を設けてほしい」とむすばれていることの意味をよくよく考えるべきでしょう。

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  Jブロックのハンストは、9月24日に開始され、10月2日までつづけられました。28名9国籍(フィリピン、イラン、スリランカ、ナイジェリア、中国、ペルー、インド、ネパール、ベトナム)の被収容者が参加しました。

  要求書は、この記事の最後に転載しています。

  要求内容は、仮放免者の再収容をやめること、長期収容や無理やりの送還をしないこと、病人に治療を受けさせることなどです。

  要求書の冒頭では、「一人一人色んな理由で母国に帰れない」事情があるということが述べられ、その事情について2つの類型が示されています。ひとつは長期間、日本に滞在して生活の基盤がすでに日本に移っているということ、もうひとつは、難民であるため母国から離れざるをえないということです。いずれか一方がおもな理由となって帰国できない人もいれば、両方の理由で帰国できない人もいます。  「母国に帰れない」のは、「一人一人色んな理由」があり、このJブロックでも、そうしたいろいろな背景をもったひとびとによる団結のもと、ハンストがおこなわれました。

  そして、こうした「母国に帰れないこと」は、「一人一人」の当人のそれぞれの個別的事情であるばかりではなく、総体として、入管行政、もっといえば日本社会が生み出した問題なのだという点は、あらためてふりかえっておきたいところです。

  ひろく指摘されているとおり、日本は、難民申請者に対する難民認定率は難民条約加盟国のなかでも段違いに低く、また難民認定以外のかたちでの難民申請者の在留資格取得もなかなか認められていません。

  いっぽうで、日本政府・日本社会は、外国人を労働力等として利用(日本政府ごのみの用語でいえば「活用」でしょうか?)し、そこに深く依存してきたにもかかわらず、彼ら・彼女らを不安定な地位のまま放置してきました。というより、不安定な地位に置きつづけることで、外国人を安価な労働「力」として利用することを可能にしてきた、と言うべきでしょう。

  こうして在留資格に値打ちをつけて出しおしみし、そのかわりに退去強制令書を濫発してきたことのツケとして、おびただしい数の(法務省用語で言うところの)「送還忌避者」をうみだし、3,000人以上の仮放免者を生じさせるにいたっているのが現状なのです。その経緯については、以下の記事も参照してください。



  入管が直面しているのは、「不法滞在者」の存在などではありません。日本政府・日本社会が支払いをおこたってきたみずからのツケ・負債にこそ直面している、と言うべきなのです。くり返しの収容(再収容)や長期収容によって肉体的・精神的に痛めつけたり、無理やりの送還によって「送還忌避者」や仮放免者を帰国させて減らす、という方針に法務省・入管が固執しつづけるかぎり、この問題に終わりはありません。問題解決の最善かつ迅速な方法は、このJブロックの要求書が最後のほうで明確に示してくれています。



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【Fブロック 要求書】 

東京入国管理局長殿

1.仮放免不許可の明確な理由
1-1 仮放免不許可になるにあたって一人一人個人の仮放免不許可の理由を明確化してほしい。
1-2 仮放免許可申請に必要な書類一式の明確化
現在仮放免許可申請に必要な書類は、「住民票」「預金残高証明書」「源泉徴収票」の3点ですが、この3点と別に必要な書類があれば明確化していただきたい。
1-3 仮放免許可後、何故、仕事をしてはいけないのか?
外に出る以上、収容されている時とは違い、自分自身で生計を立てなければいけません。そのうえで仕事をするという事は、生活するうえで一番大切な事です。その仕事を許可出来ない理由を明確にしていただきたい。
1-4 仮放免許可申請の結果日数の明確化、短期化
現在、色々な仮放免許可申請を出している中で、結果が出るまでに45日以上と長期な為、20日以内結果を出す事。
1-5 仮放免許可に際して明確な理由がない人達が仮放免許可されている理由を明確にしていただきたい。
1-6 入管に収容されている期間の明確化
現在、収容されている人達の収容期間が6カ月以上と長期に渡っている。なのに、仮放免を許可しない理由と、何時まで収容されているのか、明確化していただきたい。
1-7 茨城、大阪入管は短期で仮放免許可しているのに、東京入国管理局は何故、東京は長期にも関わらず、仮放免は不許可になるのか、理由を明確化していただきたい[注:東日本入管センター(茨城県牛久市)や大阪入管(大阪市)において、短期で仮放免許可が出る傾向にあるという事実はないので、ここで引き合いに出されているのは大阪府茨木市にある西日本入管センターのことと思われます]。

2.ビザに関して
2-1 どの様な状態で私たちはビザは許可になるのか?
同じような状況の人がビザが出る人と出ない人の違いを明確化、ビザが出ない人の理由の明確化していただきたい。

3.一日のフリータイム(自由時間に関して)
3-1 現在のフリータイムの時間は、AM9:30~AM12、PM13~PM16:30までと、なっていますが、私達動物園に入れられてる動物ではありません。私達要求は、AM9:30~PM21の点呼まで。その間、部屋のドアの施錠しない事。

4.食事に関して
4-1 現在の東京入国管理局の食事は、精神的苦痛を与えるものであり、栄養面も、期待できるとは思えません。茨城、大阪入管は、食事面で、満足出来るものであり、不満等ありません。私達の要求はこの東京入国管理局の食事の改善、私たちの意見を取り入れたメニュー作りをしていただきたい。

5.差し入れに関して
5-1 何故、東京入国管理局は食品関係差し入れを許可していないのか? 茨城、大阪入管が許可しているのに、何故東京入管は不許可なのか。私達の要求は、食品関係の差し入れを許可していただきたい。

  現在、私達は外に家族を待たせています。
  待たせている身として、とても心苦しく精神的にまいってしまっていますし、私達を早く入管の外に出してください。
  この中に長期収容されていて、精神的苦痛により、健全だった人が長期収容により、心身を害して、仮放免で外に出たとしても、心身を害した人が完治しなかった場合、誰が責任を取るのですか? 明確にしてほしいです。
  私たちは、この東京入管のNo.2の荒川さんと話し合いの場を設けてほしい、出来ない場合辞職していただきたい。
平成26年9月22日
東京入管Fブロック一同









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【Jブロック 要求書】 

我々は収容者たち一人一人色んな理由で母国に帰れないことがあります。

一つ:長期間で日本に滞在して、生活基盤を出来て日本の社会に馴染んでまして、その他、大切な家族を出来て、豊かではない生活けども、幸せな家庭を持つ人もいる。我々にとって大切な家族には急に離れる事は出来ません。

二つ:自身や家族の命を守るために母国から離れなければならない理由もあり、だから日本に来ました(日本政府は難民条約に賛成してると知ってからです)。でも、この組織は我々に対し人間としての扱いで我々はものすごく不安、不満感じ、日々に実感してます。人権と言う権利この組織のやりかたや人間扱いでうばわれてます。色んな意味で人権しんがいを感じてます。我々もう我慢の限界です。同じ人間として人権と言う権利をこの組織に我々を要求します。

1)仮放免者達の再収容はやめて下さい。特に病いに抱えてる人達。通院してる人、再審情願の結果通知出ずに、理由を教えないままに突然再収容されるのがやめて下さい。

2)病いに抱えてる人達、特に手術を必要な収容者達、早く許可を出して治療をさせて下さい。患者のかかえてる病気によって専門の医師に徹底的に治療を行うようにして下さい。

3)長期間の収容をやめて下さい。我々も人間です。ストレスも溜まる精神的に不安に成ります。日本人と同じ赤い血体に流れてます。同じ空気を吸ってます。動物扱いで我々も野生化に進化させないで下さい。

4)無り矢りに強制送還をやめて下さい。我々も命をかけて抵抗します。

5)仮放免申請した人達の審査を徹底的短期間で行うようにして下さい。早めに結果を出して下さい。

 この組織(入国管理局)のやり方十分人権侵害であります。この間、9月20日午後4:30、テレビ6局で放送されたニュースで無り矢りに強制送還された外国人のケースに対し、何故死んだのか、不十分な説明と解答であり我々を感じます。

 我々を帰らせるより在留資格を与え......それも一つの方法でもあります。そして、日本と言う国は世界で一番心広い国でも言えます。


 我々の要求に早めに解答を下さい。もし解答は無いであれば我々はこの行動を続けます。







Friday, September 19, 2014

第5回大会のおしらせ

関東仮放免者の会 第5回大会をおこないます。
大会では、1年間の活動報告と、今後1年間の活動計画についての話し合いをします。
仮放免者、そして仮放免者問題に関心をよせるみなさまの参加をお待ちしております。









仮放免者の会  第5回大会
かりほうめんしゃのかい  だい5かい たいかい
5th ANNUAL CONFERENCE
5ta ASAMBLEA GENERAL
5ème ASSEMBLÉE GÉNÉRALE


10月12日(日曜)
10がつ12にち(にちよう)
Sunday 12 October
Domingo 12 de Octubre
Dimanche 12 Octobre



集合場所/しゅうごうばしょ/Rendezvous/Lugar de Reunion/Lieu de Réunion :
上板橋駅(東武東上線)北口
かみいたばし えき(とうぶ とうじょうせん)きたぐち
Kami-Itabashi station(Tōbu Tōjō Line), North Exit
Estacion de Kami-Itabashi(Línea Tōbu Tōjō), Puerta Norte
La Gare de Kami-Itabashi(Ligne Tōbu Tōjō), Sort ie Nord

急行電車は止まりません。普通電車に乗ってください。
きゅうこう でんしゃ は とまりません。ふつう でんしゃ に のって ください。
Express trains don't stop at Kami-Itabashi. You need to take a local train.


会場/かいじょう/Hall)/Sala/Sale :
常盤台地域センター(Tokiwadai Chiiki Center)


終了時間/しゅうりょう じかん/finish time/hora de terminar/heure de terminer : 17:00
一時旅行許可 >> 旅行先 >> 「東京都板橋区」
いちじ りょこう きょか >> りょこうさき >> 「とうきょうと いたばしく」
Application for permission for trip >> Destination of trip >> “ Itabashi ward, Tokyo”

電話/でんわ/Contact :
おおまちOmachi : 090-3549-5890
みやさこMiyasako : 090-6547-7628
Elizabeth(English available) : 080-4163-1978




前回大会(第4回大会)の報告は、以下リンク先で読めます。




Tuesday, September 9, 2014

東日本入管センターでハンスト――長期収容の回避、病人の仮放免等をもとめて

  牛久入管収容所問題を考える会のホームページや、一部新聞で報じられていますが、東日本入国管理センターでは、9月1日に、クルド人被収容者がハンガーストライキを開始しました。

  センターでは、これに呼応するかたちで、寮・ブロックや国籍をまたいで被収容者がハンガーストライキをおこなう動きがあります。

  8Aブロックでは、被収容者6人(イラン、タイ、ブラジル、ペルー国籍)が、以下に転載する「申出書」を連名で提出し、9月6日(土)にハンストを開始しました(8日時点で継続中)。

  8Aブロックのハンスト参加者からは、センターに対し、3点の要求が出されています。(1)長期収容をやめ、収容期限を限定すること。(2)仮放免申請の審査期間を短縮し、不許可の場合にはその理由を説明すること。(3)医療の改善。

  (3)の医療問題が重要かつ切迫した課題であることはいうまでもありません。センターでは、3月末に被収容者2名があいついで死亡しており、さらに7月には、元被収容者が、在留特別許可をみとめられて出所後に病死しております。



  東日本入管センターは、誇張ぬきに“収容されたひとが、つぎつぎと死んでいく収容所”といえるような現状にあり、しかもその背景にある劣悪な医療の問題は改善されていません。それゆえ当会としても、センターの閉鎖を要求しているところです。いますぐの閉鎖がむずかしいのであれば、当面は、医療改善とともに、8Aの被収容者が(1)で要求しているように、長期収容の解消、とくに病人等の早期仮放免をみとめることが最低限、必要です。これらは、これ以上犠牲者をださないために、即刻とりくむべきことです。

  また、退去強制令書を発付されたひとの収容期限がきまっていない、事実上の無期限の収容であること、そして、仮放免不許可の理由が説明されないことも、非常に大きな問題といえます。

  仮放免許可を申請している被収容者たちは、私たちと面会するときに、ほぼ例外なく、申請日からかぞえて今日で何日めなのか、正確に話してくれます。被収容者たちは、収容期限がさだめられておらず、いつ出られるのか、また仮放免で出られる日がほんとうにいつか来るのかわからない監禁状態をすごしながら、審査結果がでるのを、まいにち指折りかぞえて待っているわけです。

  こうした人びとに、審査結果をなかなか出さずに長いあいだ待たせたあげくに、不許可理由の説明もなしにくり返し(4回も5回も)不許可を出すという、センターのおこなっている行為は、精神的・肉体的な拷問というべきものです。

  これらの問題は、本質的には法律(入管法)における人権尊重の観点の不備からくるものであるとはいえ、所長あるいは法務省の裁量によって大きく改善可能な問題でもあります。ハンスト参加者によると、センター側は、申出書に対して回答する姿勢をしめしているとのこと。まずは、センター側がハンスト参加者の意見をきちんと聞き、誠実に回答と説明をおこなうことをもとめます。

  以下、8Aブロックのハンスト参加者による「申出書」を転載します。
  なお、8Aブロックの被収容者からは、7月にもセンター所長あてに「申出書」を提出しております。ぜひ、こちらもあわせてごらんください。




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申  出  書
平成26年9月2日
  私達は、以下の要求を実行する約束をしてくれるまで、無期限でのハンガー・ストライキをします。今日から3日間の間に、お話しをしに来なければ9/6(土)からはじめます。下記の者が参加します[注:参加者6名の署名は省略]。
<要求する事>
(1)長期収容をやめ、収容期間を6カ月とし、病気の人、体の弱い・不自由な人は6カ月以下にする事。
(2)仮放免の結果の告知を40日以内とし、不許可になった時の理由も本人に知らせる事。
(3)医療をもっと早急に対応し、私達の命にもっと責任をもってやる事。

Monday, August 18, 2014

家族を再収容しないで――家族会による申し入れ(東京入管)


  8月15日(金)に、仮放免者の会(PRAJ)家族会(以下、「家族会」といいます)として、東京入国管理局にて申し入れをおこないました。

  家族会は、収容中または仮放免中の家族をもつ者たちからなる集まりです。妻・夫など家族が退去強制令書発付をうけているため、家族いっしょに日本で暮らしていくことができるよう、在留資格をもとめて活動しています。

  入管は、非正規滞在者について、日本人、あるいは永住者など合法的に在留する者と婚姻した場合、在留特別許可をしばしば出しています。しかし、本国からの書類の取り寄せなどで婚姻手続きが間に合わないうちに摘発された者、婚姻手続きは整っているがオーバーステイ以外の入管法違反などがある者について、退去強制令書発付処分とする運用を現状ではとっています。

  退去強制に服するとなると、夫婦または親子が日本と他国に引き裂かれ、夫婦関係の破綻の危機にも追いやられます。夫婦として暮らしていくために、行政訴訟も起こし、長期収容にも耐え(そのかん夫婦は、片方が収容されているので別居生活を強いられる)、仮放免後も国民健康保険に入れないなどの不安定な位置に置かれながらこれに耐え続けています。

  ところが、東京入管は、昨年10月から、こうした夫婦のケースについて、つぎつぎに再収容をし始めました。昨年10月に再収容された人たちの中には、すでに再収容から10ヶ月以上の長期収容となっている人もいます。あるいは、再収容後に 体調を崩し、重篤状態となり、2回目の仮放免となった人もいます。

  昨年10月には、ビルマのロヒンギャ難民のフセインさんが再収容によるショックから亡くなりましたが、再収容によるショックは、収容された本人にとってはもちろん、配偶者にとってもたいへんに大きいものです。

  申入書にも書かれているように、東京入管は「夫婦なのだから、一度帰国して、日本人の(あるいは永住者の)配偶者として在留資格を得たうえで堂々と再入国してくるのが筋ではないか」と言います。しかし、法的には退去強制によって出国した者は再入国できるまで5年以上かかります。また、上陸特別許可という制度もありますが、これによって2年とか3年で再入国できるのは、さまざま条件をクリアできる人たちです。それが無理だからこそ、1回目の収容時の過酷な長期収容にもたえたのです。

  今回、 東京入管に出頭している仮放免者の夫婦14組(仮放免者の国籍は、中国、台湾、韓国、インドネシア、バングラデシュ)と、支援者、弁護士で、東京入管の審判部門および違反審査部門をおとずれ、申入れをおこないました。

  在留特別許可をあつかう審判部門には、国民健康保険に入れず医療費が大変であること(検査でもなんでも、一度病院に行くと一万円以上の診察料がかかる、など)などが訴えられ、一日も早く在特を出して、安定した生活を送られるようにしてもらいたいと配偶者から口々に訴えがありました。

  仮放免期間の延長、ないしは再収容をあつかう違反審査部門には、再収容しないでほしいという、配偶者からの切実な訴え、また本当に上陸特別許可で二年くらいで再入国できるならばその保証を出してほしい、さらに、二年で在留資格を出すなら、日本にいても出してほしいなどの訴えがありました。

  以下、このときに提出した申入書を掲載します。



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申  入  書
2014年8月15日
法務大臣  殿
法務省入国管理局長  殿
東京入国管理局長  殿
東日本入国管理センター所長  殿
仮放免者の会(PRAJ)家族会一同
  私達は、仮放免者の配偶者など、仮放免者あるいは再収容された者の家族です。私達は、たまたま非正規滞在外国人の異性と巡り合い、愛し合い、夫婦となりました。本人が、不法残留、不法入国、不法上陸などで不法滞在となってしまっていたことについては、私達、家族の側からも深くお詫び申し上げます。
  しかし、すでに夫婦・家族として生活し、本人は長期収容にも耐え、私達も面会に通いながら寂しい生活に耐えてきました。本人が仮放免されたのちも、国民健康保険に加入できないなどの制約を受け、また再収容されて引き裂かれることへの不安にさいなまれながら日々を過ごしています。
  東京入国管理局では、昨年10月から、再審情願申立中の仮放免者本人への再収容が行われています。「仮放免期間延長申請を許可する理由がなくなったから」との説明を東京局違反審査部門仮放免係から受けましたが、私たちの夫婦関係は円満に続いているのに、なぜ収容場の内外に引き裂かれなければならないのか、とても納得できるものではありません。さらに、「夫婦なのだから、一度帰国して、日本人の(あるいは永住者の、など)配偶者として在留資格を取得して堂々と再入国してくるのが筋ではないか」とも聞かされました。ここでは上陸特別許可(以下、上特)の話も聞かされました。しかし、一度帰国して在留資格を得ての再入国、また上特については、1度目の収容時にも執行面接でさんざんに聞かされてきたことです。本人はもちろん、配偶者である私達も東京局で、あるいは東日本センターで、執行部門から何度も聞かされてきました。私達ははっきりと証言できますが、以前の東京局や東日本センターの執行部門の職員が、これらの説明を怠っていたということはありません。それなのに、改めて同じことを聞かされても、私達はその説明に服することはできません。それができるならば、退去強制令書発付処分を受けた1度目の収容時に本人を帰国させていました。違反事由が不法残留のみであったり、本人の帰国後に私達配偶者が年何回も本人と会いに渡航できる条件があったり、その他、私達の親族も本人と会いに渡航するとか、地位・収入が安定しているとか、持ち家があるとか、それらの上特の諸条件を満たせないからこそ、期限の知れない収容生活、引き裂かれた生活に夫婦共に耐え、本人の仮放免後も夫婦で力を合わせて支え合ってきたのです。
  昨年10月以降、ご本人が再収容されたご夫婦の何組かは、上特を期待してご本人が帰国する道を選ばれました。帰国するにせよ、再度の長期収容に耐えるにせよ、その選択の苦しみは痛いほどわかります。誰が、自らの配偶者の収容生活を望むでしょうか。すでに1回目の長期収容を経験し、長期収容による本人の苦しみを知り、そのかんの外での自分の苦しみを堪え忍んできた私達です。この方々が選択された道は、私達家族会に集う者たちとは異なりますが、他人事とは思えません。どうかご本人の帰国を選択されたご夫婦には、1日も早く上特によって夫婦生活を取り戻せるよう、お願い申し上げます。
  同時に私達は、私達の夫婦のケースではなかなか上特も認められないと認識しています。現に、昨年10月・11月と再収容された者は、一部は再度の仮放免許可をいただきましたが、その他の者は今も東京局や東日本センターで2回目の長期収容に耐えています。長いものはすでに10か月を越えました。仮放免後、御局のご指導に従い、出頭指示にも常に応じてきた者が、なぜまた長期収容を繰り返され、私達としても孤独な身に置かれるのでしょうか。私達は心底からのお願いとして、以下、申し入れます。

一、長期収容にも耐えた私達夫婦のつながりの強さにご配慮いただき、速やかに仮放免者本人への在留特別許可をいただき、安定・安心した夫婦生活を送れますよう、お願いしたします。
二、長期収容に耐えた仮放免者本人を再収容し、再び私達の夫婦に分離と孤独な生活の苦しみを与えないようにお願いいたします。
三、すでに再収容された本人たちを可及的速やかに仮放免されることをお願いいたします。
以 上

Sunday, July 27, 2014

長期収容者・病人等の仮放免などをもとめ被収容者が申出書提出(東日本入管センター)

  7月23日、東日本入国管理センター8Aブロックの被収容者が、申出書を同センターに提出しました。申出書は、8Aブロックの14国籍42名の被収容者の連名で出されています。

  同センターでは、3月末に被収容者2名があいついで病死する事件があり、7月11日にも、元被収容者が死亡しました。


  3人の死の背景に、同センターの、破綻しているといってもよい診療体制と常態化した医療放置の問題があることは、あきらかです。

  ところが、こうしてつぎつぎと人が死んでいっているにもかかわらず、同センターの診療体制には、いまだ改善のきざしがみられません。

  同センターの被収容者にしてみれば、だれがつぎの犠牲者になるのだろうか、つぎに殺されるのは自分ではないか、という不安のなかで暮らさざるをえない状況なのです。

  まともな診療体制をとれないのであれば、同センターは収容することそのものをやめなければならないのであって、私たちとしても、長期収容者と病人の仮放免をはじめとした8Aブロックの要求すべてに賛同し、これら要求を受け入れるよう、同センターにもとめます。

  みなさまには、同センターの「殺人施設」と言っても言いすぎでないような状況と、被収容者のうったえに、今度ともひきつづきの注目をお願いします。


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申 出 書

東日本入国管理センター所長殿

平成26年7月23日

東日本入国管理センター
8Aブロック収容者一同

 私達8Aブロック収容者一同は、これまでにも医療問題、長期収容問題について要望書を出してきました。先日、この8Aブロックでは、総務課の方と我々8Aブロック収容者の代表3名とでお話をする機会をいただきました。そういった機会をいただけたのは、とても良かったのですが、まともな答えは得られず医療で問題に関しては「いつ死ぬかわからない。」という不安をかかえたままの人が変わらないのは事実です。ご説明の中で、納得できる所もありますが、根本的に常勤医の必要性が求められている中で、これが実現されないとなれば、やはり病気の進行を防ぐためには、ただちに長期収容をやめる事が最も重要な事と思います。

 被収容者処遇規則第30条1項が「所長等(入国者収容所長及び地方入国管理局長)は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。」と規定していることからも明らかなのにもかかわらず、常勤医の確保ができずに、診療を1ヵ月以上またなければならないのが現状ですし、そう説明も受けました(Nという職員より)

 私達一同は外でまっている家族などのもとへ、健康な状態で共に生きる権利がありますし、私達には国に帰らない、帰れない理由があります。「帰って当たり前」という入管の一方的な考えでは、私達への「人権侵害」になります。以前名の方が亡くなり、多数の自殺みすいなど、私達は先の見えない長期収容から来る過度のストレス、拘禁病、その他の病気に悩まされています。このような事から、以下の5点を強く要望致しますので、2週間以内に処置を願います。

  1. 入管施設への入所が合計6ヵ月経過している者の仮放免の許可
  2. 精神的又は身体的の理由で通院が必要と認められる者は入所期間に関係なく仮放免を許可
  3. 保証金の金額を本人や身元保証人・引受人の金銭状況を考慮し本人等の希望を重視
  4. 仮放免申請後、おおむね1ヵ月以内結論を出す
  5. 在留資格の交付


もう一方で、8Aブロック内の設備に関しても2点ほど要望したいと思います。

  1. 連日、暑い日が続いているのにもかかわらず、冷房もきかず、時間も限られ、扇風機の台数が、2部屋(しかも雑居部屋)で1つと、去年やおととしに比べて減っていますし、他のブロックは独居部屋でさえ、1部屋1台になっています。8Aブロックは、(平成26年7月現在。)45名と多人数のため、扇風機の台数を増して欲しい。
  2. ここ最近から、午前中のシャワーのお湯が出なくなりました。①でも述べたように、8Aブロックは多人数です。水のみでは、体に良くありません。午後にはお湯のシャワーに入りたいと、シャワー室が混みます。ですから、しっかりと朝からお湯が出るようにして下さい。午前中の運動後にもシャワーに入りたい人たくさんいます。ですので、よろしくお願いします。


      以上の事を全て、強く要望致します。


以 上

(注)
申出書原本はボールペンによる直筆
文中 職員名を「N」とイニシャルにした


おなじ8Aブロックの被収容者は、1月14日にも、センターに対し、仮放免の不許可理由の開示、医療の改善、食事の改善などをもとめて申立書を提出している。こちらもあわせて参照されたい。





添付ファイル エリ

Saturday, July 26, 2014

元被収容者が死亡――東日本入管センターに診療の抜本的改革等を申し入れ

  3月末に、被収容者のあいつぐ死亡事件を起こした東日本入国管理センター(茨城県牛久市)ですが、また犠牲者が出てしまいました。


  亡くなったのは、27歳の中国人男性Hさんです。Hさんは肺がんと診断され、在留特別許可を得て出所したのち、7月11日に東京の病院で亡くなりました。

  収容中の死亡ではないといえ、ガンの発見・診断がもっと早ければどうだっただろうかという思いを禁じえません。

  くりかえしこのブログでも述べてきたとおり、東日本入管センターの医療体制は、収容人数等からみての必要にまったく追いついてない状況です。体調の異変をうったえても、外部診療機関で受診できるまでに2週間以上、あるいは1か月以上も待たされるのが常態になっているような施設で、診察が致命的に遅れる事例が出てくるのは、必然とも言うべきことなのです。

  Hさんの死亡事件を受けて、当会はBOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)と連名で、7月24日(木)に東日本入管センターに申入書を提出しました。

  申入書で私たちは、診療の抜本的改革などをもとめましたが、私たちが申し入れた具体的対処をもってしても、センターの診療体制の「正常化」といえる程度の改善にすらほど遠いと言わなければなりません。センターが存続しているあいだは、法務省およびセンターが早急・迅速に抜本的な改革に取り組まなければならないことはいうまでもありませんが、東日本入管センターの閉鎖にふみきらない限り、問題の根本的な解決はないのだということをうったえたいとおもいます。  

  以下に、申入書の全文を公開します。文中に、関連するこのブログの記事などをリンクしておりますので、リンク先の記事も読んでいただければさいわいです。





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申 入 書
2014年7月24日
法務大臣 殿
法務省入国管理局長 殿
東日本入国管理センター所長 殿
            仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)

一、診療(医療)の抜本的改革
本年三月末の相次ぐ死亡事件を受けて、私たちは4月3日に東日本センター閉鎖も含めて申し入れた。その後、6月19日には、法務大臣、法務省入国管理局長、東京入国管理局長、東京入国管理局主任審査官の各位に宛てて、東京入管から東日本センターへの移収を止めるように申入れた被収容者の生命と健康に責任を負わない東日本センターに移収されれば、その被収容者の生命と健康は危機におかれるからである。しかし、現に東日本センターが存在し、地方局、地方支局からの移収が行われている現在、引き続き東日本センターの閉鎖を求めると共に、その存続する期間、診療(医療)問題の抜本的改革を申し入れる。
ついに第3の犠牲者が出てしまった。7月11日に亡くなった中国人Hさん(享年27)である。Hさんは肺癌、転移性脳腫瘍との診断を受け、入院中に在留特別許可を受け、出所の扱いとはなったものの、その後、東京の病院に転院し、転院先で亡くなった。Hさんは東京入管収容中から頭痛、腹痛を訴えており、昨年11月に東日本センターに移収されたのちも同様であった。Hさんが移収された5Aブロックは昨年から今年にかけて何度も診療問題の改善を東日本センター所長宛てに申し出ていた。それは、東日本センターでは診療を申し出ても2週間から1ヶ月、場合によってはそれ以上放置され、また診療を受けたとしても被収容者(患者)からの訴えを医師が誠実に聞かないことがしばしばだと思われるからである。Hさんは在特を受けて放免後に死亡したものであり、3月末に相次いだ被収容者の死亡とは異なる。しかし、被収容者への医療放置においては同様である。一般的に若年者は癌の進行が早いと言われる。もっと早い段階で肺癌が発見されていたら、Hさんの余命は違ったものとなったであろう。Hさんはすでに出所した者だからと責任を放棄するのではなく、なぜ癌の早期発見ができなかったのか、真剣に検証していただきたい。
また、東日本センター各ブロックからの申し出に真摯に応え、診療問題について抜本から改革していただきたい。
東日本センターは、常勤医師を募集している。谷垣法務大臣も「施設内の医療体制を充実させたい」などとコメントされている。しかし東日本センターにおける診療問題は、医師の常勤体制を作れば解決するものではない。現に2011年度までは常勤医師がいたが、被収容者はしばしば、その医師の診察時の態度に対して強い怒りを表していた。さらにその医師について辞めさせるよう、申し出が出されていた。なぜそのような問題がおこったのだろうか。東日本センター被収容者は、東日本センター診療室で、あるいは外部診療時に、東日本センター職員が医師に対して、「この人(被収容者)はもうすぐ帰国する人ですから」と話し、医師が丁寧な医療を施そうとするのを妨害していることを私たちに訴えてきた。この事からわかるのは、東日本センターは、被収容者が被退令発付者であることから送還までの短期間収容されているだけであり、診療についてもその期間、病気が進行しない、あるいは痛みなどの症状を抑えれば良いと考えているのであろうということである。しかし実際には、東日本センター被収容者は、難民申請者であったり退去強制令書取消訴訟等を提起していたりしており、仮放免されない以上、長期収容される。「もうすぐ帰国する人」がいるとしても極わずかである。その長期収容される人たちの生命と健康を守ろうと思えば、医療法、医師法などに基づき「良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない(医療法第一条の四)」。
例え募集に応じて常勤医師が採用されたとしても、平日の八時間弱の勤務であり、診療科目は内科に限られる。1人の常勤医師の体制で、ほぼ全員が病気、少なくとも拘禁反応を抱える250名規模の被収容者に「良質かつ適切な医療」を施せるわけがない。
問題なのは東日本センターが、被収容者が長期にわたって収容されている事実、また難民手続きや係争中であることから仮放免となって日本での治療が続く者であるという事実を認めることであり、また、これに合致する診療を行うための予算と人員を手当てし、「良質かつ適切な医療」を施せるようにすることである。これについて東日本センターの診療問題の抜本的課題として申し入れる。
また具体的対処として以下、申し入れる。
1.急患者が出た際、医師と連絡が取れず判断、指示が仰げない場合、入管の判断で救急車を呼ぶように方針を統一すること。
2.職員へ人権教育、管理責任義務についての教育を施し、適切な対応ができるようにすること。
3.高血圧症、糖尿病、心臓疾患等の患者を把握し、その患者については仮放免すること。

二、  長期収容者、再収容者、重病・慢性疾患患者の仮放免
 「高血圧症、糖尿病、心臓疾患の患者」の仮放免については上記の通りであるが、疾病の程度に限らず、退令執行から6ヶ月を越える長期収容者、また逃亡などの仮放免の取消(出入国管理及び難民認定法第五十五条)事由に該当しないにもかかわらず再収容された者について人道上の配慮から直ちに仮放免されることを申し入れる。
 東日本センターにおいては、収容が長期化し、また再収容者が次々と移収されてくるなか、2010年には自殺者が相次ぎ、大規模なハンガーストライキも発生した。そうしたなか、同年7月30日に法務省入国管理局から「退去強制令書により収容する者の仮放免に関する検証等について」が報道発表され、東日本センターでも「収容長期化をできるだけ回避するよう取り組む」ことがなされていた。しかし、翌年、東日本大震災があり、退令に服して帰国する者が東日本センターに移収されてこなくなると、当時400名規模であった収容人員を維持するためか、2011年度には再び収容が長期化していった。
 これまで私たちからも繰り返し申入れてきたし、各界でも問題視されるように長期収容は明らかに人権侵害である。さらに、法令を順守し、仮放免の条件(出入国管理及び難民認定法第五十四条2項)を守り、出頭義務を果たしているにも関わらず、再収容が行われることには私たちは反対である。この再収容された者が東日本センターに移収されている。退令収容6ヶ月を越える長期収容となっている者、また再収容されている者について直ちに仮放免されることを申し入れる。
 ただし被収容者の中には、仮放免するのではなく東日本センターの責任で治療する事を求める者もいる。長期収容により羅病し、また病状が進行し、仮放免になっても治療を受ける費用を用意できない者が東日本センターの責任で治療を求めるのはもっともな要求である。こうした者について職権仮放免で放り出すようなことがあってはならない。本人の意思に基づいて治療する事、あるいはHさんのように在留特別許可を付与して社会保障を受けられるようにすることを申し入れる。

三、収容期間の規定について
 仮放免取扱要領は第9条<仮放免の許否>において「(4)被収容者の収容期間」を定めている。この「被収容者の収容期間」について、東日本センターは以前は、退令収容期間について地方局、地方支局からの通算で算出していた。しかし2012年度の途中から、東日本センターでの収容期間に置き換えた。東京入管、同横浜支局においては、退令発付後もしばらくは東日本センターに移収されず、それぞれの収容場での退令収容が執行される。また収容場での退令収容の期間は人によってさまざまであり、6ヶ月以上経ってから東日本センターに移収される者もいる。収容場での退令収容と東日本センターなどの入国者収容所での退令収容にとりわけて区分すべき法的根拠も実態の違いもない。収容場での退令収容を「被収容者の収容期間」に加えないのは不当である。これも2011年度からの収容人員の確保と、それによる収容長期化を覆い隠すためとしか私たちには理解できないが、このような姑息な変更は直ちに止めていただきたい。

四、面会の以前の状況への復元
 一昨年11月から東日本センターでは、一度に面会できる被収容者人数の制限、支援者の1日当たりの面会回数の制限(家族の面会を優先することを理由として支援者の面会を後回しにすることによって、結果的に1日当たりの面会回数が減少した)などを行ってきた。それまでも2010年9月から寮・ブロックをまたいでの同時面会ができなくなるなど、面会活動への制約が課されてきた。被収容者が家族と面会することを重視するのは人道上の配慮として当然の事である。だがそれならば、第二面会室の使用条件を緩和するなど、取るべき措置はいくらでもある。一方、被収容者には日本に家族がいない者、支援者との面会を求める者が多数いる。支援者は、「なぜ面会に来てくれないのか」との被収容者の切実な訴えの電話に常に悩まされている。面会室の面積からして、一昨年10月まで認められていた5名を越える人数を求めることは不可能だと思われる。少なくとも一昨年10月までの状態に直ちに戻していただきたい。また、通訳、同国人同士の交流という面から、寮・ブロックをまたいでの面会は重要である。2010年8月までの状態に戻していただきたい。ただし、2010年8月段階では、仮放免者が面会する際は1名とだけしか面会できなかった。これが現在、解除されている点は、被収容者への人道配慮上有益である。仮放免者の面会については引き続き、日本人や在留資格を有する者と同様にしていただきたい。

          以 上