PRAJ (Provisional Release Association in Japan): Who We Are
in English
日本語(漢字かなまじり)
にほんご(ひらがな・カタカナ)


関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

http://praj-praj.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html


仮放免者の会 ホームページ

Thursday, January 29, 2015

医療問題の抜本的改革をもとめる緊急申し入れ(東日本入管センターに)

  東日本入管センターの医療問題等について、1月28日に、仮放免者の会(関東)とBOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)の連名で、申し入れをおこないました。

  同センターでは、昨年3月末に被収容者2名があいついで亡くなるという事件がありました。


  このあいついだ死亡事件を受けて、法務省は昨年11月に報道発表をおこない、カメルーン人Wさんの死亡については医療態勢の問題を認めたものの、イラン人Sさんへのセンターの対応については適切だったとの評価を発表しました。

  しかし、この連続死亡事件についての法務省による検証・教訓化が十分なものだったとは、とうてい言えません。11月20日の法務省発表のわずか2日後の22日に、東京入国管理局でスリランカ人男性が胸にはげしい痛みをうったえたものの診療を認められずに放置され、亡くなりました。

  今回の申し入れでは、東日本センターでのSさん・Wさんの死亡の経緯をあらためて問題にするとともに、診療問題の抜本的改革と、長期収容者、再収容者、重病・慢性疾患患者へのすみやかな仮放免をもとめました。

  以下、28日に提出した申入書の全文です。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
申  入  書
2015年1月28日
法務大臣  殿
法務省入国管理局長  殿
東日本入国管理センター所長  殿
仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)
一、  診療(医療)問題の抜本的改革
  昨年3月末の東日本入国管理センターでの連続死亡事件について、昨年11月20日、法務省入国管理局は記者会見をおこなった。記者会見では、イラン人男性については対応は適切だった、カメルーン人男性については医療態勢に問題があり、診療を受けていたら助かった可能性は否定できないと発表した。

  イラン人・Sさんへの対応が適切だったとの評価について、私たちは到底容認できない。33歳の若者が、官給食を喉に詰まらせて窒息死するなど通常、考えられない。Sさんは東京入管横浜支局から通算で1年2ヶ月に及ぶ長期収容であり、精神安定剤など大量の薬を服用していた。収容場、収容所における収容は拘禁的収容であり、被収容者は拘禁反応に苦しめられる。私たちは、9寮Bブロック201の同室者や彼をよく知る同ブロックの被収容者たちから、Sさんが官給食を普通に咀嚼・嚥下できず、無理して丸飲みしたり、水を口に含んで流し込むようにしていたりだったと聞いている。また、Sさんは薬を飲んだ後、ふらふらしていたとか、ろれつが回らなくなっていたとも聞いている。私たちは、Sさんは、長期収容と、劣悪な医療処遇の犠牲者であると認識している。
  カメルーン人・Wさん死亡については、法務省入管は医療態勢の問題があることを認めた。Wさんの容態悪化の経緯について、同じ9寮Aブロックの被収容者たちから聞き取りしたところ、人によって証言に違いがあったが、遅くとも亡くなる3週間前には居室に閉じこもり、明らかな衰弱が認められる状態であったと思われる。Wさん自身は、他の被収容者に自分は糖尿病であると話していた。また3月27日(木)の午前中、目が見えなくなり、歩くことができなくなったWさんの容態悪化に、同ブロックの被収容者たちは、このままではWさんが死亡すると危機感を持ち、即時の受診を求めた。昼食時間の正午になっても彼らは居室に戻らずWさんの即時の受診を求め、12時半ころに、職員が「病院に連れていく」と言ってWさんを連れ出した。法務省入管の説明によれば、Wさんは16日に脚の痛みを訴えたが、医師の診察は27日だったとの事だが、同ブロック被収容者から聞いたところでは、脚の痛みという範囲ではなく、糖尿病への治療が何もおこなわれず、また官給食も他の被収容者と同じ物が支給されており、糖尿病の進行が疑われる。少なくとも27日の午前から正午過ぎにかけて同ブロックの被収容者たちが要求したものは、脚の痛みに限定した診療ではない。
  なぜ東日本センターは、27日に至るまでWさんを受診させなかったのか、また27日以降にしてもなぜWさんの諸症状に対する総合的な診察を受けなせなかったのか。28日にはWさんは知人と面会しているが、その時は、Wさんは職員に両脇を抱えられて面会室に入って来、極度に衰弱した状態だったと聞いている。27日以降に限定して考えても、28日、29日と、一日一日、死へと向かうWさんを救急搬送していれば、30日の死亡は回避できたかもしれない。
  27日にWさんが受診していたことからもわかるように、問題は、常勤医が存在するかどうかにあるのではない。貴職らが被収容者の生命と健康に責任を持つのかどうかである。
  昨年7月24日にも私たちは申入れをおこなったが、貴職らが、被収容者の多くは長期収容となっており、日本での継続的治療が想定されるという事実を承認し、「良質かつ適切な医療」(医療法第一条の四)を施せるよう、抜本的な診療問題改革をおこなわれるよう、改めて申し入れる。

二、  長期収容者、再収容者、重病・慢性疾患患者への速やかな仮放免
  長期収容者、再収容者、重病・慢性疾患患者への仮放免は、これまでも繰り返し申入れてきた。この一年強の間に、東京入国管理局、東日本センターで四人もの死亡者を出しており、今後の医療処遇の改善を図るにしても、出せる者は早期に出所させ、まずは被収容者総数を減少させていただきたい。東日本センターにおいては、昨年9月期は、被収者総数が230人前後で推移していた。その時期にあっても、被収容者が診療申出をしてから受診するまで2週間から4週間ほどかかっていた。新たな症状が発症した場合は初診として速やかな診察がされるケースもあったが、そのような速やかな診察はまれであった。
  私たちは長期収容、再収容について人権侵害としてこれまでも反対してきたが、本日の申入れにおいては、次なる犠牲者を出さないための緊急性を持っての申入れである。昨年3月末、すなわち年度末において、なぜ連続死亡事件が発生したのか、私たちとしてはあれこれと想像してみるしかない。そこでの検証と検証結果の公表を貴職らが真摯におこなわない以上、また今年度末にも悲劇が繰り返されるのではないかと私たちは危惧せざるを得ない。
  被収容者は持病が悪化し、拘禁反応を発症しており、誰もが病人だと言っても過言ではない。現在の東日本センターの組織体制、予算の範囲において死者を出さない状況を作るためには、被収者総数=患者数を減らすしかないと考える。
  仮放免許否審査にあたっては、昨年7月24日にも申入れた通り、地方局収容場からの退令収容期間を通算で収容期間として計上して審査していただきたい。
以  上

Sunday, January 25, 2015

暖房時間・電話可能な時間の延長をもとめる連名意見書(東日本入管センター被収容者から)

  東日本入国管理センター被収容者40名が、1月15日と17日に、同センター所長あてに、処遇改善をもとめた申出書を提出しました。

  2通の申出書は、いずれも8Aブロックの被収容者の連名によるもので、それぞれ、暖房の入る時間帯の延長、夜間の電話できる時間帯の延長を要求しております。

  どちらの要求も、申出書の文面を読んでいただければわかるとおり、切実なものです。と同時に、自分の判断で必要なときに暖房を入れるとか、都合のよい時間に電話をかけるとか、そういった被収容者のごくごく基本的な自由すら入管はうばっているのだということも、あらためて認識させられます。

  入管は被収容者に対して、こうして専制的な統治・管理をおこなっているわけですが、いっぽうの被収容者たちは、申出書を提出するにあたり、討議をとおして全体の要求をとりまとめ、その結果として40名の署名のもとこれを提出しているのです。つまり、被収容者による申出書の提出は、入管の圧政のもとでの民主的な自治の取り組みとしても理解できるものなのです。

  ところで、先月の記事「東京入管でスリランカ人被収容者が死亡――くりかえされる医療放置による死亡事件」で述べたとおり、入管は1年あまりのあいだに、4人もの被収容者を医療ネグレクトにより病死させております(「4人」というのは、収容中の死亡に限定した場合であって、ほかに出所直後に病死している人も複数名います)。そのうち、2名は東日本入管センターの被収容者でした(「【抗議のよびかけ】東日本入管センターで被収容者2名があいついで死亡」)。

  2014年3月30日に同センターが死亡させたカメルーン人Wさんが収容されていた9Aブロックの仲間たちは、急激に体調悪化して歩くのも困難になっていたWさんを心配し、センターに対してかれを外部の病院に連れて行くよう、文書や口頭でくりかえし要求していました。Wさんが亡くなる3日前の27日の午前には、9Aの被収容者たちは職員に「[Wさんが]もう死にそうだ。待てない」とうったえ、みんなで帰室拒否をおこないました。にもかかわらず、センター側はWさんを病院に搬送せず、死亡というとりかえしのつかない事態をまねいたのでした。

  2013年10月に東京入管に収容されていたロヒンギャ難民フセインさんが死亡させられた事件も、おなじです。痙攣(けいれん)し嘔吐しているフセインさんの状況を同室の仲間たちはただちに職員に報告し、医者をすぐに呼ぶこと、また病院に搬送することを要求しました。ところが、東京入管はフセインさんを50分近くものあいだ放置したのです(「急死した被収容者に対する東京入管の医療放置などについての申入書」)。

  入管収容施設であいついでいる死亡事件について、入管の管理責任がきびしく問われるべきなのはもちろんです。が、同時に、入管が被収容者たちの自由・自治を軽視し、これをいちじるしく制限していることが、死亡事件の頻発という事態をまねいているのだということも、指摘しておかなければなりません。

  Wさんの9Aブロックの仲間たちは、その自由が制約されてなければ、Wさんを早期に病院に連れて行ったはずです。また、フセインさんの同室の仲間たちも、もしその自由があったならば、フセインさんが倒れたあと、ただちに電話をかけて救急車を呼んだことでしょう。50分ものあいだ、ただ様子をみているとか、上司の判断・命令を待っているなどということは、けっしてなかったはずです。言うならば、入管は、助けることのできる仲間たちの自由をうばい、かれらが仲間を助けようとするのを邪魔したのです。

  4人の命は、入管が被収容者たちの相互の助け合いをさまたげ、自治の能力・権利を抑圧するなかで、うばわれました。

  そしてまた、こうも言えるでしょう。入管の専制的な管理・統治に対する、被収容者たちの自治的な取り組みと抵抗がなかったならば、もっと多くの命がうばわれていただろう、と。じっさい、被収容者たちが協力して要求した結果として、入管が重病人の受診を許可したケースは多数あり、また処遇等の改善がみられた部分もあります。東日本センターの歴代所長などは、本来、収容所に足をむけて寝られないはずなのです。

  以下に紹介する、このたびの8Aブロック40人による申出書も、そうした自治的な取り組みとしてあるのであって、センターはこれを軽視すべきではありません。要求に真摯に向き合い、誠意をもって回答するようもとめます。

  なお、当ブログがこれまで紹介してきた、被収容者による申出書・意見書は、つぎのリンクでまとめて表示することができます。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
所長宛
申出書
平成27年1月15日
  私達8A BLOCKは、ここでの生活が少しでも緩和されればと思い書かせて頂きました。
  私達8A BLOCKのみんなは、最近かぜが多くいます。そこで以前カゼ薬がほしいという願い事きました。
  現在は、朝のAM:7:00~PM:10:00まで暖房が付いていますが、それ以外はものすごく寒くもう少し暖房の時間を伸ばしてほしいと思い書きました。特に朝はすごく寒い時季なのでよろしくお願い致します。
  暖房の時間が少しでも増えればカゼを引く人数が減ると思います。
  下記のものはみなこの意見賛成する者です。
[省略――8Aブロック40名の署名(13の国籍・民族:ブラジル、カメルーン、スリランカ、ガーナ、ベトナム、フィリピン、クルド、ネパール、バングラデシュ、中国、イラン、インド、インドネシア)]


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
所長宛
申出書
平成27年1月17日
  私達8A BLOCKは皆、夜の電話は今現在、3日に一回と2日に一回の週で電話を回したり借りたりしていますが、日本時間と海外では時間が全くことなり、家族と話せない人達がたくさんいる状況です。日本での家族、友人いる人達も夜のPM7:00~9:00の2時間では多くの人達が帰宅時間(仕事関係)で9:00以降が多く、9:00まででは、つながらない人達がたくさんいます。 
  この中(入管)では、自分の家族、友人に話す時間がとても大事な時間なのでもうすこし時間を増してほしいです。どうか、よろしくお願い致します。 
  下記の者は、この意見賛成する者です。

[省略――8Aブロック40名の署名(13の国籍・民族:ブラジル、カメルーン、スリランカ、ガーナ、ベトナム、フィリピン、クルド、ネパール、バングラデシュ、中国、イラン、インド、インドネシア)]

Wednesday, January 7, 2015

1・11緊急説明会(スリランカ人男性死亡事件、チャータ機強制送還について)


  昨年11月22日に東京入管で起きたスリランカ人男性死亡事件、また12月18日に法務省がおこなったチャーター機強制送還について、緊急説明会を東京でおこないます。


日時:2015年1月11日(日曜日)、13:00~16:00ごろ
会場:仲宿地域センター(→MAP)、東武東上線大山駅に12:30 集合で会場まで案内します。
連絡先:大町(おおまち)  090-3549-5890

  会の前半では、スリランカ人男性死亡事件とチャーター機強制送還について、経過等の説明と情報共有をおこないます。後半では、これらについて対応策・対抗策を話し合います。



【関連記事】

Tuesday, December 30, 2014

【抗議声明】スリランカ・ベトナムへの集団送還について


  12月18日(木)、法務省は、スリランカおよびベトナムにチャーター機をつかった強制送還をおこないました。

  翌19日の法務省自身の発表によると、今回の被送還者の概要は以下のとおりです。



被送還者総数 32人

内訳
  • スリランカ人26人(男25性人、女性1人)
  • ベトナム人6人(男性6人)


年齢階層別内訳
  • 21歳~30歳 男性6人
  • 31歳~40歳 男性12人
  • 41歳~50人 男性8人
  • 51歳~60歳 男性4人、女性1人
  • 61歳以上  男性1人
      (最年少25歳、最年長64歳)



  法務省によるチャーター機をもちいた集団送還は、昨年7月のフィリピン、同12月のタイにつづき、今回で3度目になります。

  本人の同意なしに暴力によって無理やり送還するということそのものにわれわれは反対しますが、集団送還は、いわば被送還者の人数確保が目的化したなかでおこなわれるため、個別の送還以上に、送還される個々人の事情がかえりみられることなく、人権侵害と人道上の問題がはなはだしいものになるよりほかありません。じっさい、今回のスリランカ・ベトナムへの集団送還は、「人権に最大限配慮した」(12月10日付『日経新聞』)という法務省発表とうらはらに、日本に配偶者と11ヶ月の子のいる人を送還したばかりか、被送還者に反政府活動を活発におこなってきた亡命者や人身取引の被害者もふくまれるというものでした。

  仮放免者の会としては、各支援団体と連携しつつ、被送還者について、また送還のありようについて、調査をすすめているところです。

  調査をつうじて現時点であきらかになっているもろもろの事実からみても、送還翌日19日の法務省発表は、誠実なものとはとうてい言いがたいと評価せざるをえません。

  法務省は「日本に配偶者がいたり、難民認定を申請しているケースは含まれていないという」と発表しています(12月20日付『毎日新聞』)。この点についてまずは検証し、さらに今回の送還での人権侵害のはなはだしい事例を紹介していきます。



1.法務省発表「難民認定を申請しているケースは含まれていない」について

  たしかに、今回の集団送還で、われわれは申請者の送還は確認していません。そのかぎりでは、被送還者に「難民認定を申請しているケースは含まれていない」という法務省発表が「ウソ」であるとまでは私たちとしても現時点では言いきれません。しかし、この法務省の発表には、今回の集団送還の問題性を隠蔽しようとするゴマカシがあると言わざるをえません。というのも、私たちが把握しているだけでも、法務省・入管が、難民不認定処分を受けての行政訴訟や難民認定の再申請を妨害するかたちで強引に送還したケースが多数含まれているからです。

  下の図は難民認定の手続きを図解したものです。法務省のページから引用しました。



  図のとおり、難民認定の審査は2段階でおこなわれます。第1次の審査で法務大臣による「不認定」、つまり、難民として認めないという判断がなされた場合、申請者はこれを不服とし、異議申し立てをおこなうことができます。異議申し立てをおこなうと、申請者は第2次の審査を受けることになります。この第2次の審査においては、法務大臣はその諮問機関である難民認定参与員の意見を参考にして、ふたたび認定・不認定の判断をくだすことになります。

  私たちの調査では、今回の被送還者のなかに、多数、難民認定を申請していた人がふくまれていることがあきらかになっています。そして、送還された当事者からの聞き取りで、かれらが送還の直前に上記の異議申し立て、つまり第2次審査の棄却を通知されていたこともわかりました。

  法務省の理屈からすれば、難民認定の異議申し立てを棄却したあとで強制送還したのだから、「難民認定を申請しているケースは含まれていない」ということになるのでしょう。なるほど、難民認定の異議申し立ての棄却前に送還すれば「難民認定を申請しているケース」にあたるが、送還直前にこれの棄却を通知しておけば、形式上、送還の時点では「難民認定を申請しているケース」にはあたらないということに、理屈上はなります。

  入管法上は、難民の認定・不認定の決定をおこなうのも、また強制送還を執行するのも、ともに法務省(正確には法務大臣)にその権限があたえられています。現行の法制度自体がいわば「胴元がバクチを打っている」あるいは「競技に参加するプレーヤーの一部が審判をもつとめている」という状況をみとめているわけで、入管法そのものが難民認定審査の公正さを担保しえない欠陥立法であると言うこともできます。

  こうした立法上の問題点はここではおくとしても、今回の法務省の強制送還執行および難民認定異議申し立て棄却の手続きには、きわめて重大な問題があるといえます。

  私たちは、今回の被送還者について、異議申し立て棄却の通知がなされていない難民認定申請者が送還の直前に収容されたケースを多数確認しています。そのうちのAさんは、入管に収容された直後に外部への電話連絡を禁止され、「弁護士に電話をしたい」と職員に申し出たものの、許可されませんでした。こうして弁護士などの外部との連絡・通信手段を暴力的にうばわれた監禁状態で、Aさんは入管から異議申し立て棄却を通知されたといいます。

  異議申し立てを棄却された場合、申請者はその行政処分の取消しをもとめて訴訟をおこなう権利があります。入管は、棄却の通知にあたり、行政事件訴訟法にもとづき、その決定を知った日から6ヶ月以内に国を相手に決定の取消しをもとめて訴訟を提起することができるむねを、書面および口頭で教示することになっています。Aさんによると、棄却の通知時に入管は、きめられた形式どおりにこの教示をおこなったといいます。そこで、Aさんはその場で「裁判をします」と即座に言いましたが、入管職員は「いまはできません」などと言い、直前におこなったばかりの教示の内容をみずから反故にする発言をしたとのことです。入管は、Aさんの行政訴訟をおこなう意思を認識しながら、その機会をあたえず妨害し、無理やりに送還したわけです。

  難民認定申請者に対する法務省・入管のこのような送還のやりくちは、裁判を受ける権利(日本国憲法第32条)に対する明白な侵害であり、また、難民認定制度をますます形骸化させ、その公正さを決定的に破壊する暴挙というべきです。



2.送還によって配偶者・子どもと引き裂かれたケース

  さきにみたように、法務省は記者会見で、被送還者のなかに日本に配偶者がいるケースは含まれていないと発表しています。この発表もまた、言葉どおりに受け取るわけにはいかないものです。

  Bさんは、婚姻手続きは済んでいないものの、永住者の資格をもって滞在するフィリピン国籍の女性Cさんと事実上の婚姻関係にあり、Cさんとのあいだに生後11ヶ月の子がいます。Bさんは、送還されて、妻子とのあいだを引き裂かれてしまいました。また、Bさんが送還されたことで、Cさんと子は、夫・父と引き裂かれてしまいました。

  BさんCさん夫妻の婚姻手続きがおわっていないのは、婚姻制度が障壁になっているためです。外国人が日本で婚姻届を受理されるためには、原則として国籍国の政府の発行する婚姻具備証明書類(独身であることを証明する書類)の提出をもとめられます。フィリピンには制度上「離婚」がないため、Cさんが婚姻具備証明の発行を受けるためには、フィリピンの裁判所に前夫との婚姻の無効確認をもとめる訴訟を提起し、これを認められなければなりません(すでに成立した婚姻関係を「離婚」によって事後的に解消することができないため、婚姻の成立した時点にさかのぼってその「無効」を確認するという手続きが必要なのです)。この「アナルメント」と呼ばれる裁判には、多額の費用もかかりますし、時間もかかります。

  入管は、当然、フィリピンの婚姻制度に関する諸事情についても熟知しています。BさんとCさんが実質的に婚姻関係にあること、ふたりのあいだに子がいること、したがって、Bさんを送還すれば、夫婦・親子をむりやり引きはがす結果になることも認識したうえで、Bさんを送還したのです。さらに、Bさんは、夫婦のあいだに子がうまれ、退去強制令書の発付を受けた当時との事情が変化していることもあり、行政訴訟を提起しようとしていました。当会の支援者が入管への収容中にBさんと面会していたさいに、入管は立会官をつけて会話を聞いていましたから、Bさんに行政訴訟を提起する意思があることも把握していたはずです。

  法務省は、これらの事実をすべて認識したうえで、形式的に婚姻手続きが済んでいないのをよいことにBさんを送還対象にえらび、報道発表ではぬけぬけと、被送還者に日本に配偶者がいるケースは含まれていないなど言ってのけたわけです。



3.人身取引の被害者も送還

  さらに今回の集団送還では、被害からの回復途中の人身取引被害者DさんとEさんもむりやりに送還されました。

  DさんとEさんは、母国で日本人のブローカーから、3年の在留資格で日給8,000円の仕事があるともちかけられて、来日。日本に来てみると、日給2,000円の仕事をさせられ、在留資格も短期滞在、仕事の内容もブローカーの事前の話とはまったくことなるものでした。

  ふたりは、未払い賃金の支払い等をもとめて提訴し、雇用主とのあいだに和解が成立、また、裁判所はブローカーの日本人に対しあっせん料の返還を命じていました。ところが、雇用主は8回に分割して支払うべき未払い賃金のうち1回分を支払ったのみで、残金の支払いにいっこうに応じていません。また、ブローカーは居所不明のため、判決に基づく損害金の回収もできていませんでした。DさんとEさんはこれらに対する法的措置を準備しているところでした。

  法務省は、「性的搾取,強制労働等を目的とした人身取引(トラフィッキング)は,重大な犯罪であり,基本的人権を侵害する深刻な問題です」として、その撲滅のための自分たちの取り組みを宣伝しています。


  しかし、今回のDさんとEさんの強制送還は、法務省・入管が人身取引の被害者の権利回復を妨害し、加害者側に加担しその片棒をかついだ、ということにほかなりません。



4.送還のための送還

  以上みてきたように、18日のスリランカ・ベトナムへの集団送還は、難民不認定処分に対する行政訴訟の機会をを不法かつ暴力的にうばったケース、夫婦・親子のあいだを引き裂いたケース、人身取引被害者の権利回復を阻害したケースなど、重大な人権侵害と人道上の問題を生じさせるものでした。昨年度にひきつづき今年度も、このチャーター機による集団送還のために法務省は3,000万円の予算を獲得していました。その予算消化のための被送還者の人数確保が目的化したなかで集団送還がおこなわれたことが、無理やりの送還に必然的にともなう人権侵害をますます甚大なものにしたといえます。

  法務省は今年度、フィリピンおよび中国にあわせて200人を送還する費用として合計3,000万円の予算を計上していました。ところが、この両国への送還が困難とみるや、送還先をスリランカとベトナムに変更。これにあわせて、送還対象者をいわば「かき集めた」ということでしょう。まさに「送還のための送還」であって、このような人権侵害しか生まないチャーター機送還は即刻やめるべきです。

  法務省は、記者会見で、今回の送還には4,000万円の費用がかかったとしています。予算として計上していた3,000万円に対し、1,000万円ほど超過したことになります。また、4,000万円という費用は、今回の32人の被送還者1人あたりの送還費用として、125万円になります。法務省は、チャーター機送還をはじめるにあたって、一般の旅客便で1人ずつ送還する方法にくらべ「費用と安全の両面で利点がある」とし、費用について「送還対象者1人当たりの費用は、最大で現在の約3割に抑えられる」と試算していました(2012年12月19日付『毎日新聞』。チャーター機による強制送還に反対する3月行動(3月6日、水曜日)の末尾に記事を転載しています)。この法務省の試算の前提は、3,000万円の予算で200人を送還するという計画だったわけですから、被送還者1人あたりにして15万円。とすると、法務省がこの試算で一般旅客便での送還費用として想定していたのは、およそ50万円ということになります。

  したがって、今回のチャーター機送還でかかった125万円という1人あたりの送還費用は、チャーター機送還における当初の想定の約8倍、一般旅客便での個別送還とくらべてもその「約3割」どころか2.5倍にのぼる計算になります。チャーター便での送還には費用の面で「利点」があるとした法務省の前提は、完全に破綻したといえます。



5.送還対象者リストはどのようにつくられたのか?

  ところで、今回、送還先として当初の計画であったフィリピン・中国にかわってスリランカ・ベトナムがえらばれた背景のひとつとして、日本政府と送還先の政府との関係という要因も無視できません。日本側が送還をおこなおうとしても、送還先の政府とのあいだで合意が成立し、その協力をえられなければ、送還は不可能なわけです。ですから、当然、日本政府と送還先政府のあいだで事前の協議がもたれたはずです。

  私たちとしては、とくに今回、スリランカ政府とのあいだでどのような事前協議がおこなわれたのかという点に、関心をよせています。

  スリランカに送還されたFさんは、本国でも、また来日後も、独裁政治に反対する活動を積極的にしていた人です。彼は、日本でも、在日スリランカ人に呼びかけて独裁政治反対のデモを在日スリランカ大使館に対しておこなうなど、活発な反政府活動をしており、送還後の動向が危惧されるひとりです。

  こうしたFさんの政治活動については、日本の入管・スリランカ政府双方とも事前に具体的に把握していたのは確実です。大使館前での抗議行動は、Fさんの難民申請の主張に含まれていたのですから、入管がこれを知らなかったということはありえません。スリランカ大使館も、抗議行動の写真撮影などで、Fさんの人物を特定していたとみてまちがいありません。

  したがって、法務省・入管は、Fさんの政治活動の内容を知りながら、かれを送還したということになりますが、これを日本側が独自の判断としておこなったとは考えにくい、ということもいえます。日本でのスリランカ人亡命者は強力なネットワークを形成しており、本国の野党諸政党の本部とのあいだにも密接な連絡がありますから、かりにFさんの身に危害がおよんだり行方不明にでもなるような事態があれば、その情報は日本にもすぐさまつたわることが予想されます。送還翌日の「人権に最大限配慮した」という報道発表が口先だけのものであるとしても、みずからの保身と組織防衛には最大限の配慮をするであろう法務省・入管の官僚たちが、自分たちの責任を問われる大問題にもなりかねない「リスク」の高い選択をすることは、考えにくいのです。法務省にとっての今回の送還の主目的のひとつが、さきに指摘したように予算消化であろうことを考えれば、なおさらそういえます。被送還者の人数確保という観点からすれば、Fさんでなければならない理由はかならずしもなかったはずだからです。

  となると、法務省・入管があえてFさんを送還対象のひとりにえらんだことには、年明けに大統領選挙の投票をひかえたスリランカ政府の思惑・意向が関係しているのではないかということ、また、かれの送還後の処遇について事前にスリランカ側から法務省・入管を「安心」させるようななんらかの条件提示がなされたのではないかということを、強くうたがわざるをえません。

  もちろん、本国で生命・身体に危害のおよぶおそれのある人を無理やりに送還することは、両国間での協議のうえでであれ、日本側の独自の判断の結果であれ、いずれにしても大問題です。しかし、前者の場合、Fさんの人権上の問題にくわえ、難民は保護するという日本の国際的な約束そのものが根底からくつがえされることにもなります。

  Fさんをはじめ、強制送還された人たちのなかには、政治的な迫害のおそれがあることを理由に難民認定をもとめていた人が多数含まれていました。このような集団送還が、送還する側と送還先の政府間での協議のもとおこなわれたということの問題もまた、きわめて大きいといわなければなりません。それは、難民としての保護をもとめようとする人たちからすれば、建前上は難民保護をうたい、難民認定申請を受け付けている日本政府が、自分を迫害する本国政府と通謀して強制送還について話し合いをもっているということを意味するのですから。



  12月18日に法務省がおこなった集団送還は、なんら正当化しうる根拠の存在しない暴挙と言うべきであり、これに強く抗議するとともに、被送還者の今後の状況を注視していきます。




【関連記事】



Thursday, December 4, 2014

東京入管でスリランカ人被収容者が死亡――くりかえされる医療放置による死亡事件

  11月22日(土)、またもや入管の収容施設で死亡者が出てしまいました。

  亡くなったのは、東京入管に収容されていたスリランカ人男性、Mihindukulasuriya Nickeles Emmanuwel Fernandoさん(ご遺族の同意のもと、実名と写真を公開します。以下、「ニクルス」さんといいます)です。57歳でした。

  当会では、亡くなったニクルスさんの親族、当会顧問の指宿昭一弁護士らとともに、12月1日(月)に記者会見をおこない、私たちが東京入管の被収容者との面会等をつうじて把握した事実関係などを、報道関係者に公表しました。




1.死亡日当日の状況――被収容者の証言

  被収容者の証言からあきらかになった、ニクルスさんが亡くなった当日の状況は、以下のとおりです。

  11月中旬から東京入管に収容されていたニクルスさんは、他の被収容者2人と雑居房にいましたが、22日の朝、胸の激しい痛みを訴え、7時半頃に同国人の日本語のできる被収容者の通訳で入管職員と面接をおこないました。このさい、ニクルスさんは、聖書を手に持ち職員に見せるなどして「私はクリスチャンだ。嘘は言わない。本当に心臓がひどく痛む。病院に行かせてほしい」等と泣きながら職員に懇願したといいます。職員は当日が土曜日で局内に医者がいないことなどをを理由にこれを聞き入れず、8時頃にはニクルスさんを雑居房から監視カメラ付きの単独房に移動させました。

  ニクルスさんは、単独房移動後も泣きながら病院に行かせてくれとうったえていましたが、職員はこれに取り合わなかったといいます。8時50分頃ニクルスさんの声は聞こえなくなったそうです。9時半から12時までは開放処遇といって被収容者は、各居室から共用部や他の部屋に移動することができるようになるのですが、ニクルスさんは開放処遇の間中うつ伏せの状態のままで姿勢は全く変わっていなかったようだと他の被収容者は証言しています。13時すぎに他の被収容者がニクルスさんの居室をたずねたところ、ニクルスさんは意識不明で脈がなく、体のつめたくなった状態でした。この被収容者はすぐに職員を呼び、職員は心臓マッサージや人工呼吸、AEDの使用などしたが、まるで反応がなかったといいます。救急車が到着し、13時30分頃にニクルスさんは単独室から運び出されたとのこと。

  その後、ニクルスさんは搬送先の病院で死亡が確認されました。警察で法医解剖(新法解剖)をおこない、病理検査中。死因については内因性のものである(外因性のものではない)という以上のことはまだわかっていません。



2.あいつぐ被収容者の死亡――その背景と問題

  入管の収容施設では、このところ、被収容者の死亡事件があいついでいます。この1年あまりのあいだに、収容中の死亡だけにかぎっても、入管は4人もの外国人を死なせています。

  昨年の10月9日には、東京入管でビルマ(ミャンマー)出身のロヒンギャ難民、アンワール・フセインさんが倒れ、搬送先の病院で10月14日に亡くなりました。死因は「動脈瘤破裂によるくも膜下出血」。フセインさんは9日に東京入管で嘔吐(おうと)、体を痙攣(けいれん)させて倒れ、意識不明の状態におちいりましたが、東京入管は50分ちかくものあいだ救急車を呼ばないという信じがたい対応をとりました(急死した被収容者に対する東京入管の医療放置などについての申入書参照)。

  今年にはいって東日本入国管理センターで、3月29日(土)にイラン人男性のSさん、翌30日(日)にカメルーン人男性のWさんが、あいついで亡くなりました(【抗議のよびかけ】東日本入管センターで被収容者2名があいついで死亡参照)。このうちWさんは、1か月近く医療放置され、最後には自力で歩くのが困難な状態になっていましたが、センターはそれでも彼に診療を受けさせることをしませんでした。

  また、収容中の死亡ではないものの、東京入管から東日本入管センターに移収されたのち出所した中国人男性Hさんが、7月11日に肺ガンで亡くなりました(元被収容者が死亡――東日本入管センターに診療の抜本的改革等を申し入れ参照)。Hさんは、収容中、頭痛や腹痛をうったえていましたが、ガンの発見が遅れ、出所後に死亡したものです。

  今回のニクルスさんの件もふくめ、入管収容施設でこうもたてつづけに死亡事件がおきている背景には、緊急医療体制のいちじるしい不備、処遇のやはりいちじるしい不備、そして、外国人にたいする入管の人権無視の体質があるとみてまちがいありません。

  緊急医療体制の不備については、昨年のフセインさん事件でその問題があきらかになったはずであるにもかかわらず、法務省および東京入管はそれをじゅうぶんに教訓化することなく、またあらたな犠牲者を出すにいたったということになります。

  東京入管がニクルスさんをわざわざカメラ付きの単独室に移動させておきながらも、他の被収容者から知らされるまでニクルスさんの異変にまったく気づかなかったという点には、処遇の「不備」と言うにも軽すぎる、「ずさんさ」があらわれています。複数の職員がニクルスさんの居室を何度も通りがかっているはずであるのに、同じ姿勢で長時間動かないニクルスさんの異変に注意を払うことがなかったというのは、おどろくべきことです。12時の昼食の搬送時などもふくめ、異変に気づく機会は何度もあったはずなのです。ところが、職員がようやく事態の深刻さを認識したのは、ニクルスさんの体がすでにつめたくなった後で、しかも、その状態を発見したのは職員ではなく、おなじブロックの被収容者だったのです。

  そもそも、東京入管はなんのためにカメラ付きの単独室にニクルスさんを移動させたのでしょうか。以上の経過をみるに、結果的にニクルスさんは、他の被収容者とともに雑居房にそのままいたほうが、安全だったにちがいないのです。病状を心配し気にかけてくれる他の被収容者の目が届く雑居房のほうが、深刻な病状をうったえても病院に搬送しないばかりか、人が伏して動かなくなっていてもこれを深刻な異常と認識しないような入管職員の目しか基本的には届かない単独房よりも、はるかに安全であることはたしかです。

  こうした緊急医療体制および処遇のいちじるしい不備のさらなる背景には、入管の組織的な体質としての外国人にたいする人権無視の思考があると言うべきです。東京入管のみならず東日本入国管理センター等、入管施設には重篤な状態にある被収容者に対し救急車を呼ばない、または、重篤な状態にある者でも病院に行かせないといった医療放置がしばしばみられます。入管職員にしても、相手が家族や友人、あるいはそうでなくても、たとえば通りすがりの見ず知らずの他人が相手であっても、けっしてこのような対応はしないのではないでしょうか。ところが、被収容者に対しては、ニクルスさんにたいしておこなったような仕打をしているのです。ニクルスさんが病状をうったえ、聞き入られることなく亡くなるにいたるまでの入管の対応からは、いわば、外国人は死んでも構わないという外国人の人権を著しく軽視した姿勢を見て取らないわけにいきません。

  入管は外国人を収容する限りその人権、生命、安全、健康を守る義務、収容主体責任があります。それらを守ることができないならばそもそも収容をいっさいやめるべきです。

  当会としては、東京入管および法務省にたいし、ニクルスさんを死にいたらしめた経過や組織的構造的問題について、また事後の対応について、今後、抗議や申し入れをつうじて追及していきます。また、みなさまにも、抗議・意見提示をよびかけます。



【抗議先】

法務省



東京入国管理局

  • 東京入管総務課 電話  03-5796-7250
  • 東京入管代表ファクス  03-5796-7125



【関連記事】

Sunday, November 9, 2014

【転載】大阪入管への申し入れ

  11月7日(金)、関西の4つの支援団体(WITH、TRY、難民支援コーディネーターズ・関西、ピースバード)が大阪入管にたいして、申し入れをおこないました。

  申入書は、医療問題の改善をもとめているほか、支援団体側のこれまでの申し入れにたいする大阪入管の真剣さ・真摯さを欠いた対応も問題にしています。支援団体は、大阪入管が、医師法第20条で禁じられている無診察投薬をおこない、また不適切な投薬によって被収容者の治癒を遅らせたという調査資料を提示しての申し入れを8月におこなっていました。ところが、大阪入管は9月に、総務課渉外担当をつうじて、「緊急性がない」ことを理由に「回答しない」との回答をつたえてきました。

  医師法に抵触する違法行為がおこなわれているのではないかという指摘について、その事実を否定・否認するでもなく、また事実関係を調査する意思を示すのですらなく、ただ「回答しない」との回答をよこしてくる大阪入管の対応は、おどろくべきものです。事実関係がどうであるかにかかわらず、一般論として無診察診療がかりにあるとすればそれは問題であるという原則的な前提すら、大阪入管には共有されていないのではないか。こうした疑念をいだかざるをえません。

  さらに、医療問題の指摘にたいする大阪入管による「緊急性がない」という評価にいたっては、ほとんど理解をぜっするものと言うほかありません。不適切な、しかも違法性のうたがわれる投薬によって身体的苦痛と精神的不安をあじわったという被収容者のうったえについて、「緊急性がない」とは、いったいどういう意味なのでしょうか?

  こうした大阪入管の対応についても、以下に転載する申入書はその真意を問うております。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
申し入れ書
                          
大阪入国管理局 局長殿
 2014年11月7日
申し入れ団体
WITH(西日本入管センターを考える会)
TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)
難民支援コーディネーターズ・関西
難民支援団体 ピースバード

一、「回答しない」という回答に対する幾つかの質問とについて
1.各申入れ団体は大阪入管収容場の被収容者と面会し、被収容者の相談を受け、支援を行っている支援団体である。2014年8月7日に貴局に対して申し入れ書の提出及び回答を求める陳情を行った。同年9月1日に貴局は申し入れに対して「申し入れ内容について緊急性がないため、回答しない」という回答をしてきた。
2.貴局の上記「緊急性がない」という見解について具体的にはどういうことかと問い質したが、それに対しても貴局は答えていない。医療問題を具体的に指摘し改善するよう申入れした。それに対し「緊急性がない」とは被収容者が倒れたり、瀕死の容体ではないということを指しているのか。皮膚病患者に対する貴局医師は適切な診察をせず、したがって診断もせず、適当に誤った薬を投与し、被収容者患者を不安と苦痛に陥らせた(これについては具体的証拠資料を明示してある)。確かに皮膚病患者は、その疾患によって倒れたり、死に至るものではかった。だから「急性がないため、回答しない」ということなのか。
3.改めて以下の質問に答えて頂きたい。
 ①貴局は被収容者に対して高度な管理責任義務(被収容者の安全、健康、命を守る責任義務)があることを認めるのか、否か。
 ②貴局は被収容者に対して適切な診療を行う義務があると認めるのか、否か。
 ③貴局の「緊急性がないため、回答しない」という回答は「勝手に解釈しろ」という回答と同一であるが、ならば「被収容者(外国人)が皮膚病に掛かってもそれは死ぬような疾患ではない、適当に診療しておけばよいというのが大阪入管の考えである。大阪入管は外国人を差別する人種差別組織である」と解してよいか、否か。
 
以上は被収容者の人権に関わる非常に重要かつ真剣な質問である。

二、貴局収容場の医療アクセスについて
①無診察投薬をやめること
(1)貴局入管医は移送時の刑務所からの診療情報提供書のみの処方を行ったり、薬が変わったにもかかわらず、経過をみる診療等は行っていない。被収容者が診察申請を出しても、診療を拒否されている。
(2)処方が変更され、別の薬を出されから、診療なしで放置されている。薬が変わっているにもかかわらず、その後長期間、医師の診察がないまま薬が出続けている。
上記のような、診療をせずに処方を変更・継続することは、無診察投薬である。医師法に抵触する医療行為はやめること。

②被収容者の受診申請を受け付け、速やかに入管医の受診をさせること。
診療の申し出があった被収容者について、看護師が面会して診療の可否・要不要を判断している。被収容者本人が体調不良や未診察の新たな症状を訴えた場合、速やかに診療を受けさせるべきである。貴局収容場で看護師が被収容者の症状を診て診療不要の判断を下すことは、医師の診療の妨げである。

③処遇担当の入国警備官による問題ある言動
(1)外部病院の医師がMRI検査を勧めたにも関わらず、職員が「(費用が)高い」と言って妨げた。
(2)職員に「薬がほしい」と言ったところ、「こういうことのためにあなたここに来てません」「私たちは、ここではしません」と言われた。
(3)受診申請を何度も出し、不服申出(薬があわないことを訴えた)も出したが、回答は「理由なし」。職員からは、「これ以上、あなたの病気を治す考えはない」「仮放免を受けたいから、病気のことをおおげさに言っているのではないか」等の暴言を受けた。「あまりぶつぶつ言うと、仮放免なんか許可しないよ」と言われた。
職員による治療妨害や診療の要不要の判断に入管が介入することは、医師と患者の関係の妨害である。職員が自身の職務以上の権限と判断を行使することをやめること。
貴局は「入管で治療を行う必要はなく、出所後に本人が治療すればよい」と考えており、収容期間に治療が中断することの危険性や本人の苦痛や不安は考慮する必要がないと考えているのがみてとれる。 収容による体調の悪化・異常についての問題意識が欠落している。
収容前に健康だった人が体調を崩したり、収容前になかった症状が収容後に発症するなど、入管による監禁と関連があると思われる症状の出ている被収容者を受診させずに放置しているのは重要な人権侵害の問題である。

1、 面会制限について
複数の被収容者との面会は許可しない面会制限を廃止すること。

2、 仮放免延長申請における貴局の対応について
仮放免の際にパスポートを持参すること、常時携帯を促すことをやめること。

Tuesday, November 4, 2014

【紹介・転載】無料の医療相談会のご案内(群馬県高崎市、11・30、主催:北関東医療相談会)

11月30日(日)、カトリック高崎教会(群馬県高崎市)で、無料の医療相談会がひらかれます。主催団体の北関東医療相談会さんの承諾をえて、このブログでも紹介させていただきます。

医療相談会では、医者との相談ができるほか、レントゲン、尿検査、子宮ガンの検査、血液検査なども受けられます。
あわせて、弁護士による無料の法律相談もあります。
相談会に参加したいかたは、長澤(ながさわ)さん(080-5544-7577)まで、電話で申し込んでください。また、お友達やお知り合いで医療相談を必要とするかたがいましたら、この相談会のことをお知らせしてください。
くわしくは、下のほうに(↓)、相談会の案内を転載していますので、そちらを読んでください。日本語以外のことば(英語、韓国語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語、タイ語、スペイン語)で書かれたパンフレットも、リンクがあります。

この医療相談会は、1997年からつづけられ、今回で31回目になるそうです。
経済的な問題などで、なかなか病院に行けないかたのための相談会です。お金はかかりません。
どの国の人でも、また、ビザがない人でも、相談会に参加できます。

仮放免の人も、もちろん参加できます。
仮放免者の多くは、国民健康保険に入れないために、病気があるのに、思うように治療を受けられません。関東・東海・関西各地区の仮放免者の会が、535人の仮放免者に調査したところ、123人(23%)が「継続的な治療が必要な病気がある」とこたえています(2013年仮放免者実態調査報告)。その多くは、病院に行きたくても行くことができず、必要な治療が受けられていません。
こうした仮放免者のなかにも、医療相談会での検査をきっかけに、その後も相談会の支援者のサポートを受け、病院での医療につながることができたかたがいます。

ビザがない人をふくめ、ここで生活しているすべての人が必要な医療を受けられるようにすることは、人権にかかわることであって、本来ならば、日本の政府や市役所などがやらなければならないことです。しかし、日本の政府が、こうした責任をはたしていないため、とくに仮放免者などのビザがない人が病院にかかるには、北関東医療相談会さんのようなボランティア団体の献身的なサポートと負担にたよらざるをえないわけです。とくに、全国で約3,500人におよぶ仮放免者を在留資格のない、きわめて不安定な身分におきつづけている法務省・入管の責任は大きいというべきです。

◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇

11がつ30にち(にちようび)、カトリックたかさききょうかい(ぐんまけん たかさきし)で、むりょうの いりょう そうだんかいが ひらかれます。しゅさい だんたいの 「きたかんとう いりょう そうだんかい」さんの しょうだくを えて、この ブログでも しょうかい させて いただきます。

いりょう そうだんかい では、いしゃとの そうだんが できる ほか、レントゲン、にょうけんさ、しきゅうガンの けんさ、けつえき けんさ なども うけられます。
あわせて、べんごし による むりょうの ほうりつ そうだんも あります。
そうだんかいに さんか したい かたは、ながさわさん(080-5544-7577)まで、でんわで もうしこんで ください。また、おともだちや おしりあいで いりょう そうだんを ひつようと する かたが いましたら、この そうだんかいの ことを おしらせ してください。
くわしくは、したの ほうに(↓)、そうだんかいの あんないを のせて いますので、そちらを よんで ください。にほんご いがいの ことば(えいご、かんこくご、ポルトガルご、タガログご、ベトナムご、タイご、スペインご)で かかれた パンフレットも、リンクが あります。

この いりょう そうだんかいは、1997ねん から つづけられ、こんかいで 31かいめに なるそうです。
けいざいてきな もんだいなどで、なかなか びょういんに いけない かたの ための そうだんかいです。おかねは かかりません。
どの くにの ひとでも、また、ビザが ない ひとでも、そうだんかいに さんか できます。

かりほうめんの ひとも、もちろん さんか できます。
かりほうめんしゃの おおくは、こくみん けんこう ほけんに はいれない ために、びょうきが あるのに、おもうように ちりょうを うけられません。かんとう・とうかい・かんさい かくちくの 「かりほうめんしゃの かい」が、535にんの かりほうめんしゃに ちょうさ した ところ、123にん(23%)が「けいぞくてきな ちりょうが ひつような びょうきが ある」と こたえています(2013年仮放免者実態調査報告)。その おおくは、びょういんに いきたくても いく ことが できず、ひつような ちりょうが うけられて いません。
こうした かりほうめんしゃの なかにも、いりょう そうだんかいでの けんさを きっかけに、そのごも そうだんかいの しえんしゃの サポートを うけ、びょういんでの いりょうに つながる ことが できた かたが います。

ビザが ない ひとを ふくめ、ここで せいかつ して いる すべての ひとが ひつような いりょうを うけられる ように する ことは、じんけんに かかわる ことであって、ほんらいならば、にほんの せいふや しやくしょ などが やらなければ ならない ことです。しかし、にほんの せいふが、こうした せきにんを はたして いない ため、とくに かりほうめんしゃなどの ビザが ない ひとが びょういんに かかるには、「きたかんとう いりょう そうだんかい」さんの ような ボランティアだんたいの けんしんてきな サポートと ふたんに たよらざるを えない わけです。とくに、ぜんこくで やく3,500にんに およぶ かりほうめんしゃを ざいりゅうしかくの ない、きわめて ふあんていな みぶんに おきつづけている ほうむしょう・にゅうかんの せきにんは おおきいと いうべきです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【転載(北関東医療相談会のウェブサイトより)】 http://npo-amigos.org/index.html

2014年11月30日(日)第31回 北関東医療相談会(高崎会場)を開催します。
  • ◆ 日時  2014年11月30日(日)10:00~14:30
  • ◆ 費用  無料 
  • ◆ 場所  カトリック高崎教会  
  •        群馬県高崎市高松町16 TEL 027-322-6243
  • ◆ 検査項目 胸部レントゲン、血圧、血液検査、尿検査、問診
  •        身体測定、子宮頸癌検査(希望者)
  • ◆ お問合せ先 080-5544-7577(長澤)19:00~22:00(毎日/予約可)
  • ◆ 注意事項
  •  ・検査6時間前は食事を避けてください(水飲み摂取は可能)
  •  ・時間を守ってください
  •  ・妊娠中の方、及び12歳以下の方はX線撮影を受けられません
  •  ・X線撮影を受ける方はTシャツを着てください。金具のついた服はさけてください
  • ◆ 結果説明会のお知らせ 
  •  ・日時  2014年12月21日(日)13:00~15:00
  •  ・場所  カトリック高崎教会(こられない方は郵送可)
  •  ・連絡先 080-5544-7577(長澤)
  • ◆ 主催 NPO法人 北関東医療相談会
  • ◆ 協賛 群馬県健康づくり財団
  • ◆ 後援 群馬県 高崎市
  •      群馬県観光物産国際協会
  •      青年海外協力隊群馬県OB会
  •      カトリック群馬使徒職協議会
  •      栃木県使徒職評議会
  •      赤い羽根・三井物産・上毛新聞社
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



【リンク】