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大腸ガンの手術が必要なフィリピン人の仮放免者、ダニロさんについて、前記事以降の経過報告とみなさまへの支援要請を申しあげます。
9月3日に春日部市役所で申請した生活保護は、9月6日付の文書にて却下の通知を受け取りました。却下の理由として「在留カードを有しない外国人である、受給資格を有しないことにより」とたった1行書かれているのみで、申請に対して通常おこなわれる生活状況等の調査はいっさいおこなわれないままの、事実上の門前払いでした。
9月14日には、ダニロさんをはじめ12人の仲間(ダニロさんのほかの仮放免者もふくむ)で東京入国管理局をおとずれ、ダニロさんへの早期の在留特別許可をもとめました。このとき東京入管に提出したダニロさんの「再審情願申立書」は記事の末尾に転載しています。ダニロさんをめぐる現状を詳細に説明しております。お読みいただけると、さいわいです。
さて、再審情願の申立は、結果が出るまでに1年以上の時間がかかるのが通例であり、法令によって審査の手続きが明記されているわけでもない「請願」にすぎません。私たちとしては東京入管に対し、ダニロさんの申立を緊急の事案としてあつかうよう、強く要請しています。しかし、これにどう対応するかは、結局のところ入管側しだいというところもあります。
ところがダニロさんが一刻も早く入院と手術を必要としているのであり、病院はダニロさんに在留資格が出ないと入院・手術には入ることができないと言っています。病院側は、最大限、患者が必要な治療を受けられるよう努力してくれていますが、ダニロさんが生活保護を受給するなり国民健康保険に加入できるなりして、費用を回収できる見込みがたたないと、入院・手術はおこなえないという事情があります。したがって、可能なかぎり早期に在留資格を得ることが、ダニロさんが手術を受けられるための最善の道と言えます。
そこで、みなさまに2つお願いがあります。
第1は、本ブログに掲載しているダニロさんの状況について、情報拡散にご協力していただきたいということです。住民としてここに存在し、私たちの隣人として25年にわたり日本社会に暮らしてきた人間が、在留「資格」がないという、ただそれだけの理由で社会保障から排除され、生存権をうばわれるのは、あきらかに不当なことであり、不正義であると思います。なるべく多くのかたに、ダニロさんひいては仮放免者全体のおかれている無権利状態への関心をもっていただき、またその関心を目に見えるかたちで示していただくことを、私たちとしては希望しております。どうか、ツイッターやフェイスブック、メーリングリストなどで、情報拡散・転載してください。
第2に、ダニロさんの治療のためのカンパをお願いいたします。ダニロさんは、まず喫緊に手術を必要としており、また、その後も長期加療が必要との診断が出ております。よろしければ、可能な範囲でのカンパにご協力いただけるとさいわいです。なにとぞ、よろしくお願いいたします。
【カンパふりこみ先】
ゆうちょ銀行 記号10560 番号 22655891
口座名 カリホウメンシャノカイ
郵便局以外から振込する場合は、
店名 〇五八(読み ゼロゴハチ) 店番 058
普通預金 口座番号 2265589
【お問い合わせ連絡先】
仮放免者の会(関東)
e-mail: junkie_slip999@yahoo.co.jp
以下、ダニロさんの再審情願申立書を転載します。
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再審情願申立書
2012年9月14日
法務大臣 殿
東京入国管理局 御中
住所 埼玉県春日部市××××××
出身国 フィリピン
申立人 ×××× Danilo ××××
生年月日 1963年2月17日
1 申立の趣旨
緊急に、×××× Danilo ××××の在留を特別に許可されたく、本申立に及びます。
2 申立の理由
1) 私の在留状況について
私は1963年2月17日にフィリピンで生まれました。父は××××××、母は××××××です。父母ともに、すでに他界しております。
私は、1987年2月18日に日本に入国し、観光ビザの期限が切れて以来、オーバーステイ状態にあります。25年間以上、日本に在住し、さまざまな現場で労働し、生計をたててきました。来日した当初は、茨城県、千葉県、東京都で、建築現場での土木や解体の作業員、飲食店の店員などの仕事をしていました。1990年ごろからは、フィリピン料理店でコックとして働き、技術と人望をみとめられて東京都内と埼玉県内の通算5つの店でチーフ・コックを、その後およそ5年間は店長をつとめておりました。1999年ごろからは、埼玉県に移り、やはり飲食店などで働き、2008年からは倉庫での仕分け・検品の仕事に従事していました。
2011年5月27日に東京入国管理局に収容され、のち退去強制令書が発付され、同年9月27日に東日本入国管理センターに移収され、2012年2月27日に仮放免許可により出所し、現在にいたります。
私は来日以来25年以上にわたって、入管法違反をべつとしましては1度も法令違反に問われたことはなく、税金もおさめ、まじめに仕事し暮らしてきました。この間、私は1度もフィリピンに帰国しておらず、父母もすでに故人となり、出身国には生活基盤がありません。
2) 大腸ガンの治療
私は先述のとおり、2012年2月27日に仮放免許可により東日本入国管理センターを出所したわけですが、収容中からの体調不良は仮放免後もつづきました。
息切れ、めまい、立ちくらみ、動悸、胸の痛み、手足のむくみなどがひどく、しかし、無保険で診療費を払うだけの貯蓄もなかったので、無料低額診療事業を利用して、同年3月21日、当時外国人登録の住所のあった東京都足立区内の××××病院を1度受診しました。レントゲン、心電図、採血、尿検査などの検査を受け、貧血状態にあることはわかったものの、心臓、肺、腎臓、肝臓に異常はみつかりませんでした。受診に先立って相談におとずれた足立区役所からは、無料低額診療事業による診療は1度きりしか認められない旨説明され、その後、継続しての診療を断念せざるをえませんでした。
その後も体調は改善せず、埼玉県春日部市内の××××病院で検査を受けたところ、7月に大腸ガンと告げられました(添付した診断証明書参照)。3月に[足立区内の]××××病院の医師から指摘された貧血状態についても、ここにいたってようやく、大腸の腫瘍からの出血によるものと明らかになりました。××××病院からは、一刻も早い手術とこれにともなう2週間程度の入院が必要であり、手術は10月または11月に延期できない切迫した病状であると説明されております。
同病院は、9月24日から入院と手術を実施するという前提でスケジュールを組み、すでに診療費の未払いが生じているにもかかわらず、手術に必要な諸検査等をおこなってくれております。しかし、同病院からは、250万から260万円かかると見込まれる入院・手術料の支払いの見込みがたたないかぎり、入院・手術の実施に移ることはできないと言われています。現在の無保険状態で私がこれだけ高額の費用を用意することは不可能です。
そこで、同年7月、私の住所のある春日部市の国民健康保険課に、国民健康保険加入の相談をしました。ところが、春日部市から8月28日付で返ってきた回答は、加入資格の適用対象に該当しないというものでした(詳細は添付資料「春 国 保 第 1253 号」参照)。
同年9月3日には、春日部市の社会福祉課に行き、生活保護の申請をしてきました。ところが、市の職員からは「県に照会したところ、適法に滞在し、活動に制限を受けない永住者、定住者等の在留資格があることが生活保護の適用の要件であるという厚生省通知があるとの県からの回答があった」旨の説明があり、申請は受けるが却下になる可能性が高いと言われました。そして、春日部市社会福祉課からは、9月6日付で、保護申請却下の通知を受けました(添付資料「春福所発第 1569号」参照)。生活保護申請者に対して通常おこなわれるような、訪問等による生活状況の調査すら一切おこなわれず、「在留カードを有しない外国人であり、受給資格を有しないことにより」との理由による却下でした。
ところで、7月9日に外国人登録制度が廃止され、新しい在留管理制度が施行されて以降、自治体の窓口の対応も目に見えてきびしい方向に変化しているよう、見受けられます。3月に足立区役所をおとずれたときは、職員は外国人登録証を提示した私に対し、せめて話を聞いて、法的・制度的な枠組みのなかで可能な運用を模索しようという姿勢がみられました。しかし、7月9日以後におとずれた春日部市役所では――自治体や対応した職員のちがいもあるかもしれませんが――国民健康保険課でも社会福祉課でも、あなたは加入資格あるいは保護の対象に該当しないとの一点張りで、事実上の門前払いのような対応を受けました。社会福祉課での生活保護の申請も、こちらから強く要求してようやく職員は「申請を受けないと申請権の侵害になってしまうので」と渋々申請書類を用意するというありさまでした。
私が入院・手術の費用を準備して大腸ガンの治療を継続するためには、国民健康保険への加入、ないしは生活保護の受給がどうしても不可欠です。私は、1987年に日本に来て以来、現在にいたるまで独身です。家族もありません。したがって、援助を見込める身内はひとりもおりません。新在留管理制度施行後、在留資格なしには、国民健康保険への加入、または生活保護の受給等の相談に自治体をおとずれても、自治体側の対応はますます厳しいものになっております。
また、私の大腸ガンの発覚・診断が遅れ、緊急の手術を要するにいたった一因に、東京入国管理局および東日本入国管理センター収容中の処遇の不備があることはあきらかです。とくに、東日本入国管理センターにおける収容中、私は2011年12月10日には血圧が急低下して収容所内で倒れたことがありましたし、排便時の肛門からの出血をはじめとした深刻な症状をセンターにくりかえし訴えてきました。しかし、センター側は、そうした症状と体調不良を認識しながら私を収容し続け、またその症状・体調不良の原因を究明する措置をとらないまま2012年2月27日に私を仮放免しました。
出所後も、仮放免許可という現在の状態では、先に述べたとおり、私が生きるために緊急に不可欠な入院と手術を断念するほかなく、このままでは死を待つのみです。
25年間にわたって、一度も帰国せず日本で暮らしてきた私は、出身国のフィリピンでは、生活はおろか、大腸ガンの手術を受けることのできるような条件がまったくありません。
以上、緊急に再度の審査のうえ、可及的すみやかに在留特別許可を求める次第です。
なぜ 春日部市なのでしょうか。他に自費でも対応できる病院への移送はありえないのでしょうか。違法に住んでいる外国人を保護する義務があるのは、警察、国です。市町村ではないはず。
ReplyDelete国民健康保険に入る必要性や保護を受ける必要性について今ひとつ説明が欲しいところです。
症状が見えておりませんが、大腸がんのみであれば、他にも優秀なところが多数あります。
一市町村に過ぎない春日部市に負担を押し付ける根拠が見えておりません。
法制度の盲点と思われますので、国会議員に相談するのが妥当と判断します。