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関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

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Tuesday, April 30, 2013

被収容者から食事改善の要求(東日本入管センター)


  東日本入国管理センターの被収容者より、食事改善の要求が出されました。4月15日付けで所長あてに提出された、9Bブロック被収容者一同による「食事改善申出書」の全文を紹介します。また、これに先だって2月13日に、同じく9Bブロック被収容者が提出した「食事改善申出書」もあわせて紹介します。

  入管収容施設の給食については、被収容者からの改善要求がくり返し出されています。たとえば、このブログの以下に記事(2011年7月のものです)なども参照してみてください。


  たびかさなるこうした要求・要請がありながらも、給食の質の根本的な改善はなされていないのは、入管側が被収容者の食事を軽視しているということ、もっと言えば、のちに述べるように、被収容者を対等な人間として遇する意思と態勢を欠いているところに原因があると考えられます。

  このたびの「食事改善申出書」からもあきらかなのは、東日本入管センターの給食の調理および衛生管理の驚くようなずさんさです。「申出書」が改善をもとめている異物や虫の混入の問題は、以前から指摘されており、それでも現在なお、これらの混入の報告はあとをたちません。また、揚げ物や焼き物にじゅうぶんに火が通っていないという事例も、以前からしばしば被収容者たちによって報告されています。

  このような事例を聞くと、給食業者の水準がいちじるしく低いのかとおもわれるかもしれませんが、そうではありません。東日本入管センターの1階には、職員や来訪者(面会等におとずれる家族・友人・弁護士・支援者など)の利用できる食堂があります。この食堂は、収容所の給食を請け負っているのと同じ業者ですが、なかなかおいしいランチを出していて、評判もけっしてわるくありません。仮放免により収容を解かれた人が食堂をおとずれて一様に驚くのが、この食堂と収容所の給食を請け負っている業者が同じだという事実です。「同じ会社とは信じられない」「[収容所の]中のご飯はぜんぜんちがう」と。

  問題は、「申出書」が指摘しているとおり、調理を十分におこなえるような調理設備がないことです。また、現在の収容人数であるおよそ400人分の食事を管理するだけの衛生上の態勢がまったくととのっていないことです。こうした問題は、調理設備を充実させ、また給食業者が十分に人件費をかけられるよう、必要な予算さえ確保すれば、容易に解決するはずのものです。ところが、何年間も問題が根本的に解決されないままであるということは、入管がそのための予算を確保する意思がないためとしか考えようがありません。ようするに、入管は被収容者にまともな食事を提供する気がないということです。

  「申出書」が、食事に関してのアンケート調査実施をもとめている点も重要です。これは、言うならば「私たちが食べる食事について、私たちの意見と要望をせめて聞いてほしい」という、しごく当然の最低限の要求にすぎません。いちいち被収容者が連名でこうした「申出書」を作り提出しなければならないほど、食事の改善についての意見聴取や被収容者たちとの話し合いの機会が持たれていないということこそ、きわめて異常と言うべきです。これは、施設側が一方的に決めた食事を出すだけになっており、被収容者の意見や要望をきちんと聞いていないということであって、入管センターが被収容者を対等な人間とみなしているのだとすれば、ありえない対応です。

  入管による収容は、法的にも懲罰や制裁としておこなわれているものではなく、収容施設側が被収容者の食生活を劣化させてよい権限など、当然のことながらありません。入管センターは、被収容者を拘束して自由をうばっている以上、提供する食事が、すくなくとも収容施設の外で生活している場合と同等の水準に近づくように努力する責任と義務があります。その責任と義務をはたすため、入管センターは、被収容者たちから対等な立場で意見を聞き、話し合いをするのは、最低限の責務であると言えます。


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東日本入国管理センター所長殿
2013年4月15日
食事改善申出書

現在、当収容所で私達に支給されています食事について、いくつかの改善を申出ますので、速やかに改善して下さい。
又、食事業者が介入していますが、入管責任として今後徹底して下さい。

1.混入物やゴミ、虫や髪の毛が入らないようして下さい。
今までの食事には、プラスチックやゴム等の混入物、ゴミや虫、髪の毛といった物が入ったまま提供され、このような事がないように頼んできましたが、改善されずに何回も同じくくり返されています。
私達が自ら作れず、そちら(入管)が責任持ってやっている以上これらの再発防止に努め、その対策を私達にも説明して下さい。
又、再発した場合には責任やペナルティが必要になってきますので、徹底的に指導し、今後ないよう願います。

2.唐揚げや、カツ揚げの衣、廃止か、改善について。
現在、当収容所での厨房ですが、揚げ物など作れる施設が不足し、これらの調理は蒸して行われ、レトルトで調理されているこれらの物は水分をたくさん取り、衣だらけで常識的に食べられる物ではありません。
これらをしっかり改善できなければ廃止して下さい。

3.下記のメニューは廃止して欲しい物ですので、お願いします。
  • チキンボール
  • チリ豆腐
  • 鶏団子
  • 麻婆豆腐
  • オムレツ
  • 厚揚げのおろしソース

4.食事に関してのアンケート調査実施について。
当収容所で提供されています食事は正直な所、私達の事を考えてもらえていなく、残さず食べるよう皆の要望を把握する必要があり、予算のむだ[抑制]を計れメリットになる事が多いので、アンケート調査をお願いします。
経済的に厳しい人も多数おり、食事が悪いときは何も食べられないので、私達の事情を理解して下さい。

   以上     
9B一同より


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第3回目
食事改善申出書

近々当初の食事業者を決める入札と契約がありますが、その中に私達の要望を1つでも多く取り入れてもらいたく、提案致します。
健康管理等も重要ですが、毎日の大事な栄養と楽しみでありますので、下記の要望を出来るだけ願います。

朝食
現在の朝食は、パン、牛乳(2日に1日はオレンジジュース又はアップルジュース)、マーガリン、りんごジャム(1日交互にいちごジャム)、卵となっています。
今後は飲料水とジャム類の種類を豊富にし、フルーツも出して頂きたいです。
フルーツを出すに到っては予算などの関係も出てくると思いますが、こちらは卵、マーガリン又はジャムのどちらかを出さず替わりにフルーツ類を出して頂くなど交互でも構いませんので検討して頂き、前向きに願います。

今後の飲料水のリクエスト
コーヒー、ココア、カフェオレ、いちごジュース、グレープジュース、ミルクティー、紅茶など

今後のジャム類とフルーツのリクエスト
ピーナッツバター、ブルーベリージャム、チョコ、バナナ、いちご、オレンジ


昼食・夕食
改善して欲しいメニュー等について色々申しあげたい点がいくつかありますので、それらを参考にして頂き、今後おいしい食事を提供して下さい。

  • 揚げ物についてはしっかり揚げてもらい、焼き物についてもしっかり火を通して下さい。
  • スープは毎昼夕食時に出してもらっていますが、毎日一緒の物なので違うスープ類を願います。

改善、又は中止をして欲しいメニュー
  • チキンボール、鶏団子
  • ヒジキサラダ
  • オムレツ
  • インゲンのトマトソース
  • チリ豆腐、麻婆豆腐
  • 鯖のプロバンス風

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Wednesday, April 24, 2013

強制送還再開への抗議を!――入管が被送還者の食事に睡眠薬を盛った疑惑も



1.国費無理やり送還の再開
  法務省が2013年に入ってから、3件の無理やり送還をおこなったことがわかりました(東日本入国管理センターから1件、東京入国管理局から2件)。仮放免者の会(関東)として、この3件の無理やり送還について、法務省入国管理局・東京入国管理局・東日本入国管理センターの3者あてで抗議の申し入れをしました(申し入れ内容については記事末尾の「申入書」をごらんください)。

  2010年3月に、法務省はガーナ人スラジュさんを送還中に死亡させる事件を起こしております。


  この事件以来、帰国に同意していない人の身体を拘束して無理やり飛行機にのせて帰国させる、いわゆる「国費無理やり送還」を、法務省はほとんどおこなっていませんでした。
  ところが、昨年末に法務省は、チャーター機を使っての集団送還の方針を打ち出しました。


  法務省は、こうして集団送還の方針を打ち出すいっぽう、この3年近く事実上の停止状態にあった個別の無理やり送還を、1月から3月にかけて立て続けにおこなってきたことになります。


2.長期滞在者を送還することの不当性
  このたび送還された3人は、いずれも難民申請者ではなく、また日本に家族がいなかったようですが、それぞれ12年から26年ものあいだ日本に滞在していた長期滞在者でした。

  法務省側の理屈からすれば、「不法滞在者」を入管法にさだめられた退去強制手続きにのっとって摘発し、審査し、退去強制令書を発付し、強制送還した、ということになるのかもしれません。しかし、「申入書」にも述べたとおり、この3件の送還は、この10年あまりの入管行政の歴史的経緯をかんがみるに、いちじるしく道理を欠くものであって、とうてい容認できません。

  とりわけ2003、2004年以降の入管行政がいかにご都合主義としか言いようのないものであったのかは、このブログの以下の記事でくわしく述べていますので、ここでは、要点のみかいつまんで述べます。


  周知のとおり、1980年代以降、バブル期を中心に、日本の社会・経済は、正規の滞在資格をもたない移住労働者に大きく依存してきました。法務省『出入国管理白書』によると、ピーク時の1995年には30万人弱、その10年後の2005年にも20万人以上のオーバーステイの外国人が日本に滞在していたといいます。

  ところが、法務省は2003年の政府による「不法滞在者の半減5か年計画」を受けて、非正規滞在外国人の集中的な摘発にのりだします。実際にこの「計画」の目標どおり、結果として非正規滞在者を5年で「半減」させることになるこの徹底的な摘発は、日本政府みずからが主導する差別的なプロパガンダのもとで、すすめられました。上述の記事でもみたように、在留資格のない人たちがあたかも凶悪犯罪の温床であるかのような差別煽動キャンペーンを結託して推進してきたのは、たとえば、法務省であり、入管であり、警察であり、また東京都のような自治体だったわけです。そうした官による差別煽動とともに、一部のマスメディアもまた「外国人」とりわけ「不法滞在」の外国人と凶悪犯罪をむすびつける差別的な報道を現在までくり返してきました。

  こうして外国人に対する「国民」の不安・敵意をあおることで、法務省等は、それまでさまざまな場所で日本社会・日本経済において必要な労働をになってきた非正規滞在外国人を摘発し追放することを正当化しようとしてきたのです。

  なぜ、この2003年から2004年にかけて、従来は積極的な摘発を見合わせてきた非正規滞在者に対し、一転して徹底的に排除する方向へと政策転換がおこなわれたのか。そこには、さまざまな利害関係や利権、意図が複雑にからみあっていただろうことはたしかです。しかし、はっきりしているのは、この法務省の入管行政の転換は、労働行政において進められていた労働者派遣事業への規制緩和とあきらかに連続しているということです。

  「申入書」でも指摘したとおり、「不法滞在者の半減5か年計画」の初年にあたる2004年とは、派遣労働の自由化が製造業分野にもおよんだ年にあたります。製造業で働く非正規滞在の労働者が入管や警察に摘発され強制送還されるいっぽうで、そのすき間を埋めるように、労働行政によって、あらたに雇用の不安定な派遣労働者が創出されたわけです。つまり、ここで生じたことは、製造業分野における、(雇用者側からみれば)安価でかつ解雇しやすい「労働力」を、非正規滞在労働者から非正規雇用労働者へと入れ替えるということであります。

  非正規滞在の外国人労働者であれ、非正規雇用の派遣労働者等であれ、たんなる「労働力」ではなく、人間です。尊厳があり、生活があります。雇用者側の都合しだいで使い捨てられてよいわけがありません。

  もとより、非正規滞在の労働者は、労働者として必要とされながらもその滞在と就労が不法「化」され、その不安定な地位によって雇用者にとって解雇しやすく安価な「労働力」として利用されてきた存在です。労働者として必要なのであれば、日本政府は、かれら・かのじょらの滞在と就労の資格をきちんと法的にみとめたうえで移住労働者として受け入れるべきでした。それは、かれら・かのじょらの権利と尊厳が保障されるために最低限必要なことだったはずです。

  ところが、日本政府がおこなったことは、かれら・かのじょらを雇用者が利用しやすいようにあえて不法状態に置いたまま導入し放置するということでした。そして、政府方針の変更とともに、その「不法」状態をよいことに、突如として摘発を強化し、追い払いにかかったわけです。なんと自分勝手なのでしょう。ご都合主義もいいところです。

  以上の理由で、私たちは、今年に入って立て続けにおこなわれた、長期滞在者に対する無理やり送還を容認することはできません。


3.被送還者の食事に薬を混入させた疑惑
  関東での3件の無理やり送還のうち1件(東京入管からの送還)については、被送還者(以下、「Gさん」とします)の食事に入管がひそかに薬物を混入させた疑いがあります。

  まず、Gさんが送還される数日前に、職員のあきらかに不振な行動が目撃されております。

  その日の午後、東京入管に収容されていたGさんは、ひざの関節炎の診療のため、職員の同行により外部の病院に出かけており、夕食が配られる17時ごろに帰室が間に合いませんでした。入管の収容施設では、食事は、施錠された居室に職員らが人数分の弁当を差し入れるかたちで配られるのですが、その時間にGさんはまだ病院から帰ってきておりませんでした。

  こういった場合、通常では、差し入れられた弁当は外出中の被収容者が帰室するまで居室に置いたままにされるそうですが、この日は職員が通常とは異なる行動をとりました。職員は「Gさんはまだ帰ってこないから」と同室の被収容者に声をかけ、いちど差し入れたGさんの弁当を職員に返却するようにもとめました。同室の人がこれに応じ、職員はGさんの弁当を持ち去りました。

  東京入管や東日本入管センターの被収容者に聞いてみたところ、診療や聴取などのために被収容者の帰室が遅れるのはよくあることだといいます。しかし、いちど差し入れた弁当を職員が持ち去るという場面は皆「見たことがない」と口をそろえて言います。

  さて、Gさんは18時ごろに病院での診療からもどってきて、すると、職員はさきほど持ち去った弁当をふたたび居室に差し入れました。Gさんはすぐに弁当を食べ、ねむってしまいました。Gさんは、ふだんは食後のタバコを欠かさない人だったため、同室の人たちはGさんが食後すぐにタバコもすわずにねむってしまったのが、印象にのこったと言います。また、Gさんは、いつもは、食事のあと同室の人たちとカードゲームをするなどし、消灯の10時頃にはかならず歯みがきをし薬を飲んで寝るという習慣を規則正しくまもっていたので、その日、歯もみがきも服薬もせずに寝てしまったのが変だったといいます。

  翌日の午前中には、Gさんは、おなじフロアの被収容者たちに「体がだるくて力が入らない」「体が動かない」と身体の異変をうったえています。

  このように、職員の不振な行動、食事後のGさんの身体の異変から、入管がGさんの弁当に睡眠薬のような薬をひそかに盛った可能性は高いとおもわれます。また、強制送還において被送還者本人の同意なく薬物をもちいるという入管の犯罪的な手口は、過去にも被送還者の証言等からあきらかになっており、そのような手法を入管が今回とったとしても「意外」ではありません。


  ただし、Gさんが送還されたのが、この薬物混入疑惑の数日後であって、この疑惑が事実だとすると、なぜ薬物混入と結果的に送還された日のあいだにズレがあるのかという疑問はのこります。薬物を混入させた翌朝に送還する予定だったのがなんらかの事情で送還を延期したのか。あるいは法務省が計画しているチャーター機での一斉送還にむけて、より確実な執行方法を検討するために「試験的に」薬物を混入させたのか。

  送還対象者の収容および送還の執行が、第三者の監視なしの、いわば密室でおこなわれるため、ことの真相はあきらかではありません。むりやり送還自体の不当性はおくとしても、送還が合法的かつ安全におこなわれた(おこなわれる)のかということは、現状ではまったく担保されておらず、疑惑が事実ではないというのなら、その説明責任は法務省と入管の側にあります。


4.東京入管への申し入れ――執行部門担当者は面会拒否
  私たちは、4月5日の東京入国管理局への申し入れで、以上の薬物混入の疑惑についてもふくめて、送還の執行を担当する部署である執行部門の責任者に面会して問いただしたいと考えていました。しかし、執行部門は私たちとの面会を拒否したため、申し入れは総務課の渉外担当にのみおこないました。また、総務課をつうじて執行部門との面会のアポイントを申し込みましたが、これも実現しませんでした。

  結局、私たちの申し入れに対し、「ご意見としてうけたまわりますが、回答はひかえさせていただきます」というのが、総務課をつうじての東京入管の返答でした。また、私たちが要請した執行部門との面会についても、総務課をつうじて「さしひかえさせていただきます」との返答がありました。

  私たちが東京入管執行部門に面会をもとめたのは、申入書への回答を聞きたいこともありましたが、違法な薬物投与等の行為がおこなわれなかったのかといった、強制送還執行にあたっての合法性・適切性について確認をしたいということもありました。

  入管は執行部門にかぎらず、私たちに対しては、「個別の事例についてはお答えできない」と言ってくるのがつねです。もちろん、「個別の事例」についての説明や回答ができないという事情も、場合によっては納得できます。しかし、一般論としての質問、たとえば「送還において被送還者の同意なく薬物投与をおこなうことはありうるのか?」「そのような行為がかりにおこなわれたとして、それを入管は合法また適切な送還手段と考えるか?」といった質問をされることに、入管側にとってなにか支障があるというのでしょうか。違法あるいは不適切な送還をやっていないのなら「やっていない」と答えればよいのだし、合法かつ適切な方法で送還をおこなっているのならば、そう説明すればよいだけの話です。

  ところが、東京入管の執行部門は自分たちが合法的に職務を遂行しているという最低限の主張・説明すらしようとせず、現時点まで面会を拒否しているわけです。

  したがって、私たちとしては、入管の強制送還がほんとうに合法的におこなわれているのかという点で最低限の信用すらできないのが現状であり、この観点からも国費無理やり送還の再開を容認することはできません。


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申  入  書
2013年4月5日
法務省入国管理局
東京入国管理局
東日本入国管理センター
仮放免者の会(関東)

  2013年に入り、貴局らは3人の帰国拒否者を同意なしに国籍国に送還しました。1月に東日本入国管理センターに収容されていた1名(タイ国籍)、2月末と3月中旬にはそれぞれ東京入国管理局に収容されていた1名ずつ(2名ともフィリピン国籍)が、送還されたことが仮放免者の会の調査によりあきらかになりました。この3人の送還に厳重に抗議するとともに、以下、申し入れます。


1. 国費無理やり送還の再開の経緯について説明すること
  2010年3月に、ガーナ人Abubakar Awudu Surajさん(以下「Surajさん」)が強制送還中に死亡する事件がありました。この事件以降、本人の同意なく、身体を拘束しての国費送還(以下「国費無理やり送還」)は、事実上の停止状態にあったと私たちは理解しております。ところが、2013年に入って、貴局らは立て続けに3件の国費無理やり送還をおこないました。

  Surajさんの事件により、私たちは国費無理やり送還の安全性について強い疑念をいだいております。また、Surajさんは入管職員による制圧の直後に死亡しており、職員による制圧と被害者の死亡のあいだの因果関係が疑われます。しかも、被害者遺族が提起した国家賠償請求訴訟はいまも進行中であって、貴局らは、法廷における事件の真相究明にあたっての事実関係の開示や立証等の責任を依然負っているところです。

  このような状況にあって、なぜ国費無理やり送還を再開したのか、その判断の根拠の説明を求めます。また、今年になって再開した国費無理やり送還において、貴局らがSurajさん死亡事件をふまえての十分な再発防止策をとったと考えているのか、また具体的にいかなる再発防止策をとったのかについて、回答と説明を求めます。


2. 国費無理やり送還を即時停止すること
  今回送還された3名の日本滞在歴は、それぞれ12年~26年間におよぶものと私たちは把握しております。3名とも難民認定申請や退去強制令書取り消し訴訟をおこなっておらず、また日本に家族がいなかったとのことですが、いずれも長期の滞在者です。

  仮放免者の会では、今年2月に法務省入国管理局に対して、とくに以下に該当する者に早期に在留資格を付与するよう、申し入れました。

(1)UNHCRの難民認定基準ハンドブックにのっとり、難民に該当する者
(2)日本に家族がいる者
(3)2003年以前からの長期滞在者

  今回、送還された3名は、いずれも(3)に該当する長期滞在者でした。

  2003年12月の政府の犯罪対策閣僚会議による「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を受けての法務省の「不法滞在者の半減5か年計画」開始後、貴局らは、非正規滞在外国人の集中的な摘発をおこない、まさにこの計画のとおり、5年間で「不法滞在者」数を半減させるにいたりました。

 しかし、この2004年ごろからの突如としての摘発強化は、それ以前から非正規に滞在していた外国人にとって、いちじるしく整合性を欠くご都合主義的なものと言わざるをえませんでした。なぜなら、1980年代後半からのバブル景気におけるいわゆる3K労働の現場、阪神・淡路大震災からの復旧・復興工事、長野オリンピック会場の建設工事をはじめとするさまざまな場において、日本経済・日本社会が欠かせない労働力として、これら非正規滞在の外国人に依拠してきたのはまぎれもない事実だからです。そして、この非正規滞在外国人の労働力への依拠は、貴局らの関与(摘発をあえてゆるめるといったことも含めて)なしには不可能であったのも、まぎれもない事実です。

  「不法滞在者の半減5か年計画」の初年にあたる2004年とは、労働者派遣事業の規制緩和(派遣労働の自由化)が製造業分野にも及んだ年でもあります。この年からの貴局らによる集中的な摘発は、製造業現場から非正規滞在外国人をしめだすことになり、結果的に、労働者派遣事業者にとって日本人労働者や在留資格・就労資格のある外国人労働者を派遣できる「すき間」をつくり出したことになります。

  このように貴局らの摘発強化は、労働者派遣事業者のビジネス・チャンス拡大には多大な貢献をしましたが、それまで製造業や建築業等の現場で労働に従事してきた非正規滞在外国人にとってみれば、ご都合主義としか言いようのないものでした。それまで必要な労働力として非合法のまま放置されていたかと思えば、こんどは「もはや用済み」とばかりに、摘発され帰国をせまられたのですから。

  非正規滞在の外国人は、たんなる「労働力」ではなく人間です。10年以上もの長期にわたって滞在している者は、すでに日本に深く生活基盤を有し、出身国での人的なつながりがもはや希薄になっている者が大多数です。国籍国への送還が、身の危険をもたらすおそれのある難民申請者や家族との分離をもたらす者はもとより、長期の滞在者の多くもまた、帰るに帰れない事情をかかえた者たちであると言えます。長期にわたり日本に滞在してきた送還忌避者には、それぞれ帰国に同意できない事情があるのであって、また、とくに2003年以前から滞在する者を本人の同意なしに送還することは、入管行政の整合性の観点から言って道義がありません。

  以上の理由をもって、国費無理やり送還の即時停止をもとめます。


以  上
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【写真(4月5日、東京入管にて)】



Monday, March 4, 2013

仮放免者問題と強制送還について――この10年の入管行政をふりかえって

  すでに告知と参加の呼びかけをしておりますとおり、仮放免者の会では、3月6日(水曜)、チャーター機による強制送還に反対するデモをおこないます。


  このデモは、昨年12月19日付けで『毎日新聞』に報じられた法務省方針を受け、これに反対するものです。「不法滞在者:チャーター機で一気に強制送還へ 法務省方針」と題された『毎日新聞』記事によると、「法務省幹部」が、以下の内容を記者に語ったとのことです(記事全文は、上記リンク先の末尾に転載しております)。

  1. 退去強制令書を出されたものの送還を拒否し、収容を解かれている仮放免者はこの5年間で約3倍に増え、2500人にのぼる。
  2. 一般客も乗り合わせる航空機で対象者を1人ずつ送り出す従来の方法だと、送還対象者とこれに付き添う入国警備官2~5人の航空券代がかかり、コストが高くつく。
  3. そのうえ、上記従来の送還方法では、送還拒否者が出発前の機内で大声を出すなどして航空会社から搭乗を拒否され送還が中止となることもある。
  4. そこで、法務省は、「不法滞在者」の強制送還を効率化するため、一度に多数を帰国させられる専用チャーター機の活用する方針で、来年度予算の概算要求で関連費用約3000万円を計上しようと考えている。

  要するに、この5年間で急増した、送還未執行の送還対象者を、コストが割安なあらたな方法でいっきに送還してしまおう、というプランです。しかも、この航空機をチャーターしての送還方法ならば、従来の方法のようには人目につかないかたちで、いやがる送還対象者の抵抗を暴力的に制圧できるというわけです。

  同意なき送還は、それ自体が、送還対象者の生活の基盤を破壊し、パートナーや親子や友人たちとをひきさく暴力であり、深刻な人権侵害です。難民申請者の場合、帰国には殺害・投獄・暴行等の危険も考えられます。

  もちろん、同意なき送還は、このような人道上みすごせない深刻な問題をはらんでおり、人権侵害であるという点で、これに反対しなければならないものです。しかし同時にこのあらたな送還方法は、法務省が、すでに破綻したことのあきらかな2003年以来の方針にむりに固執しようとするものであって、入管行政がみずからの矛盾を暴力的に「解決」しようとするものでもあります。その点を、ここ10年ほどの入管行政の経緯をふりかえりながら、以下に述べていきたいと思います。
 
◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇


1.  '00年代前半

1-1  「不法滞在者の半減5か年計画」と差別扇動
  上記『毎日新聞』記事によると、入管が送還執行を事実上留保している仮放免者の数が、この5年間で約3倍に増え、2500人にのぼるとのことです。なぜ現在このような状況になっているのか。この点を問うてみる必要があります。

  そこを考えていく際には、80年代から90年代なかばにかけて急増した超過滞在者数(ピーク時で30万人近くと言われる)が、現在およそ5分の1にまで激減した過程で、入管政策がどのように関わっているのか、みていかなければなりません。

  日本における超過滞在者数(法務省が言うところの「不法残留者」の数)がピークをむかえるのは、1990年代の前半です。法務省『出入国管理白書』(以下、『白書』)によると、1993年5月1日の29万8,646人が過去最高として記録されています(注1)。『白書』によると、この数はその後一貫して減り続け、10年後の2005年には20万7,299人に、最新のデータである2012年の推計では6万7,065人までに減少しています。

  1993年にピークをむかえた超過滞在者数が '00 年代前半まで減少し続けた大きな要因としては、バブル崩壊後長くつづく景気低迷が影響していたと考えられます。しかし、2003年、2004年以降の減少については、これにくわえて法務省の入管行政の方針転換、「非正規滞在外国人狩り」とも呼べる摘発の激化の影響を考えなければなりません。

  2005年の『白書』は、前年比での「不法残留者」の減少にふれたうえで、その要因をつぎのように分析しています。

 これ[引用者注:不法残留者の減少]は,依然として低迷を続ける経済・雇用情勢が大きく影響していることに加え,厳格な入国審査の実施,関係機関との密接な連携による入管法違反外国人の集中摘発の実施,不法就労防止に関する積極的な広報の実施などに加え,平成16年[引用者注:2004年]は当局が行っている不法滞在者の半減5か年計画の初年であり,総合的な不法滞在者対策の効果によるものと思われる。[引用者注:強調は引用者]

  ここで言及されている「不法滞在者の半減5か年計画」とは、2003年12月に政府の犯罪対策閣僚会議が発表した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」のなかにうたわれたものです。

 近年、外国人犯罪の深刻化が進み、その態様も、侵入強盗等の凶悪なものが増加しているほか、暴力団と連携して犯罪を敢行している例も多くみられるようになっている。我が国の不法滞在者は25万人程度と推計されているが、これら犯罪の温床となる不法滞在者を、今後5年間で半減させ、国民が安心して暮らすことができるようにし、また、平穏かつ適法に滞在している多くの外国人に対する無用の警戒感を払拭することが必要である。

  同じ年の10月には、法務省入管、東京入管、東京都、警視庁の4者が、「首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言」を出しています。

 不法滞在者は、その多くが不法就労活動に従事しているほか、安易に金を得るため犯罪に手を染める者も少なくなく、さらには、暴力団等と結託し、あるいは犯罪グループを形成するなとして、凶悪犯罪に関与する者も増加しているなど、一部不法滞在者の存在が、多発する外国人組織犯罪の温床となっているとの指摘があり、我が国の治安対策上、これら不法滞在者問題の解決が喫緊の課題となっている。

  このように、法務省をはじめとする当局は、「不法滞在者」があたかも犯罪の温床であるかのような偏見にみちた印象づけをおこないました。そうして在留資格のない外国人住民に対する「国民」の不安と恐怖、さらには憎悪を煽りかきたてることで、その暴力的排除(摘発と国外追放)を正当化しようとしたわけです。ある属性(この場合、外国人であることや在留資格がないこと)と凶悪犯罪を結びつけて語ること自体が差別の扇動と言うべきですが、政府と法務省、さらに東京都は、こうした差別扇動を組織的におこなうことによって、みずからの暴力に「国民」による理解と支持をとりつけようとしてきたと言えるでしょう。


1-2  法務省の方針転換――「不法滞在」「不法就労」への法適用の厳格化
  私たち「仮放免者の会」には、この「不法滞在者の半減5か年計画」のはじまる2003年より前から日本に滞在している会員が多数いますが、この2003~2004年前後から、入管および警察による摘発が急にきびしくなったという点で、かれら・かのじょらの証言は一致しています。

「以前はつかまるとか帰されるとかの問題はあまりなかった。外国人にはアパートを貸さない大家が多く、それが一番の問題だった」「昔は、交番のおまわりさんに道を聞いたりしてたものだけど、仲間がどんどんつかまって帰されて。それからは警察には気をつけるようになった」「取締りがきびしくなるまえ、自動車で追突事故を起こしてしまって警察を呼んだことがあった。罰金は払ったけれど、オーバーステイは問題にされなかった」「当時は入管と警察は別だった。警察官は、オーバーステイなんてよく知らなかったし、興味もなかったよ。職務質問されて『オーバーステイです』と言っても、『あ、そう。犯罪やってないよな?』で終わりだった」などなど。

  2003~2004をさかいにして急に取締りがきびしくなったということは、裏をかえして言えば、それ以前の80年代後半から'00年代初頭にかけては、入管と警察は「不法滞在」や「不法就労」について厳格な法の適用をしていなかったということです。いわば、「見逃して」いたわけです。

  あらためて言うまでのことではありませんが、日本の多くの製造業や建築現場、飲食店などは、外国人の働き手にささえられてきました。そのなかには、多くの非正規滞在者がいました。こうした非正規滞在の外国人は、日本の社会・経済に欠かせない存在と考えられていたからこそ、法務省は、かれら・かのじょらを「不法」状態においたまま、「見逃して」いたのでしょう。日本の社会・経済は、非正規滞在の外国人を安価でフレキシブルな労働力として利用してきたわけですが、それが可能だったのは、この人たちを法務省が「不法」状態という不安定な法的地位に置いたまま放置してきたからです。民間(とりわけ財界)と入管行政のあいだには、あきらかに共犯関係がありました。

  ところが、法務省は、2003年の「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を受けて、厳格な法の適用をおこない、「不法滞在者」を5年で半減させるという方向に、その方針を転換させました。その方針にそって、「厳格な入国審査の実施,関係機関との密接な連携による入管法違反外国人の集中摘発の実施,不法就労防止に関する積極的な広報の実施」へとのりだしたわけです。

  おそらく、この入管行政の転換は、派遣労働を原則自由化した1999年の労働者派遣法改定を反映したものとみられます。入管が「不法滞在者」の集中的な摘発へとのりだす2004年とは、まさしく派遣労働の自由化が製造業の分野にもおよんだ年にほかなりません。派遣労働の自由化ないし規制緩和とは、製造業をになってきた非正規滞在の外国人労働者を、非正規雇用化された日本人あるいは在留資格・就労資格のある外国人の労働者へとおきかえようとするものだったと言うこともできます。そして、法務省・入管は、この時期に政策的にあらたにつくり出された非正規雇用の労働者を労働者派遣事業者が送り込めるように、製造業分野から非正規滞在の労働者を追い払っておく。このようなかたちで、入管行政は、労働行政の下請けをになったのだと言ってよいでしょう。

  そして、入管が警察をはじめとする「関係機関との密接な連携」によって集中的な摘発をおこなった結果、法務省が2004年時点で約25万人と推定していた「不法滞在者」数は、5年後の2009年には約12万8千人~13万6千人(推定)まで減少するにいたります。2003年に政府がかかげた「半減計画」はほぼ達成されたことになります。
 
◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇


2.  '00年代後半

2-1  外国人労働者の脱法的な利用から法適用の厳格化へ
  このように、入管行政は2003年ごろから、外国人を「不法」状態に置きながら労働力として利用するものから、法をより厳格に適用するかたちで外国人の在留と就労を管理していくものへの転換を指向してきたとひとまずは言えます。

  こんにち法務省は、しきりと「不法滞在」「不法就労」という言葉をもちいて、これに対する取り締まり・摘発を正当化しようとします。しかし、バブル期にこの「不法」状態を作り出してきた責任は入管行政にもあるし、日本の社会・経済がその「不法」状態を利用して利益を得てきた点も忘れるわけにはいきません。

  こうした従来の入管行政のあり方が非常に問題のあるものなのは、言うまでもありません。入管は、外国人の働き手(注2)を「不法」の存在に置くことで、かれら・かのじょらに対してきわめて大きな権限をもつことができます。「不法滞在」「不法就労」とは、文字通り滞在または就労が「不法」化されているということであり、それはすなわち日本で生活し生存していくことそのものが、あらかじめ「不法」化されているということです。したがって、入管はこの外国人をいつでも好きなときに摘発して退去強制を命じることができます。一方、入管は非正規滞在者を「滞在」「就労」させておくのが都合がよいと判断すれば、摘発を見送っていわば「泳がせて」おくこともできます。外国人の働き手をあらかじめ「不法」化しておくことで、入管はこうした恣意的な権力行使を――形式上は「合法的に」――おこなうことができるわけです。

  実際、集中的な摘発に乗り出す2003年以前の入管行政は、日本の社会・経済に必要な外国人の働き手を、いわば脱法的に導入するものだったと言えます。非正規滞在者の立場から言うならば、かれら・かのじょらは日本の社会・経済において欠かせない役割をにないながら(当然、納税もしています)、きわめて不安定な法的な地位しか与えられてこなかった、いやそれどころか、恣意的に取り締まられ国外追放を受けうる存在として、法の外に置かれてきたわけです。

  ただし、'00年代前半以降、入管行政をふくむ日本政府の方針は、このような、労働力としての非正規滞在者を「不法」化した状態で導入し、脱法的に利用するという従来のあり方からの転換・脱却を志向しているようにもみえます。

  外国人の働き手を受け入れようとするのであれば、脱法的に外国人の働き手を利用するのではなく、厳格に法を適用し、合法化されたかたちでおこなうべきでしょう。それは、なにより外国人の働き手の人権尊重の観点から重要なことです。入国管理に関して行政権力が事実上野放しにされてきた従来のあり方をあらため、そこに法による厳格かつ公正な制約を課していくことは、必要です。

  しかし、入管行政が、脱法的に外国人を利用するようなあり方から、より厳格な法適用を志向するものへと転換しつつあるとして、だからといって、それまでまさに働き手として利用してきた外国人に対して「方針が変わったので日本から出ていってください」などと言うのでは、筋がとおりません。こんなまったく筋のとおらないことをやろうとしても、破綻するのは当然です。その破綻の明白なあらわれが、冒頭でふれた、入管が送還執行を事実上留保している仮放免者が、この5年間で約3倍に増え、2500人にのぼるという現状です。

  では、「この5年間」において、法務省・入管が具体的にどのような方針でのぞんできたのか。その点をつぎにみていきましょう。


2-2  2009年の入管法改定と在留カード
  この5年間のうちには、まず2009年の入管法(出入国管理及び難民認定法)の改定があります。この改定の大きなポイントのひとつは、2012年7月9日に施行されることになる新しい在留管理制度の構築にあります。これは、従来、各市区町村が管理してきた外国人登録制度を廃止し、外国人住民の情報管理を法務省に一本化するものです。従来の制度においては、非正規滞在者であっても、居住する自治体に届け出れば、外国人登録が可能であり、IDカードとして外国人登録証の発行を受けることができました。ところが、あたらしい在留管理制度においては、非正規滞在者は在留カードの発行を受けることができません。

  重要なのは、この新しい在留管理制度が「非正規滞在者は存在しない」ことを前提に設計されているということです。法務省は、2009年時点で約12万8千人から13万6千人の非正規滞在者がいると推定していました。そのまま、あたらしい制度に移行するならば、日本政府の在留管理の対象からもれるような存在が12万人以上の規模で発生することになるわけです。当然これは法務省にとってこのましい状況ではありません。というよりも、法務省は、改定入管法が完全施行される4年後の2012年には、非正規滞在者が存在しない、あるいは存在したとしても無視できるほどの少数になっているという前提で、新制度を設計したと考えるべきでしょう。

  当然、ほうっておいても12万人をこえる非正規滞在者が自然に消えてなくなるということはないわけですから、法務省としてはこれらの非正規滞在者のほとんどを摘発し、送還するという強い決意をもっていたと考えられます。

  『白書』に公表されている各年の送還数などのデータからも、法務省のそうした決意の強さはうかがい知ることができます。

  さきに述べたように、2003年末に発表された「不法滞在者の半減5か年計画」は2009年にほぼ達成され、この間、非正規滞在者は「半減」しました。一方でその間、「国費送還」と呼ばれる送還の件数は増えつづけています。1999年から2003年まで2ケタで推移していた「国費送還」の件数は、2004年に3ケタの大台(119件)にのり、その後も2009年まで増加しつづけます(05年192件, 06年239件, 07年361件, 08年383件, 09年438件)。

  送還対象者の大多数は、退去強制令書を受け入れ、自分で旅費(航空機券代)を用意しての「自費出国」というかたちで、送還されます。「国費送還」とは、送還には同意したものの旅費を用立てられない人や、送還に同意しない人を、国費で送還することです。後者の送還に同意しない人については、入管はむりやり身体を拘束して送還します。これは「国費むりやり送還」と呼ばれます。

  2003年以降、入管と警察による強力な摘発がおこなわれた結果、非正規滞在者が5年間で半減したことは先にみたとおりですが、2006年からはこれにともない、退去強制令書が発付される件数も年々減っていきます。また、年間の送還の総数(その大部分は自費出国)も2005年から減少に転じ、現在にいたります。

  このように、非正規滞在者数の激減にともなって '00年代の中ごろから退去強制令書の発付件数および送還総数が減りつづけるなかで、しかし国費送還の件数だけが増加していくわけです。国費送還のすべてがむりやり送還ではないものの、この時期の国費送還の激増は、むりやり送還増加の影響によるものと考えてまちがいないでしょう。

  このブログでもたびたび報告してきたとおり、入管の収容施設での収容は「拷問」と言っても言い過ぎでないほどに過酷ですから、退去強制令書が発付されて収容されたひとは、その多くが「自費出国」で帰国していきます。そして、送還されるひとの大多数は「自費出国」です(最近の国費送還のピークにあたる2007年~2009年の3ヶ年とも、「自費出国」が送還総数の96%をこえています)。

  しかし、過酷な収容をこうむりながらも送還を拒否するひとがおり、入管はむりやり送還をひんぱんにおこなうことによって、そうした送還拒否者を帰国に追いこもうとしたものと思われます。

  実際には、送還拒否者の身体を拘束してひとりずつ飛行機にのせる送還の方法は、先の『毎日』の記事にもあったように「コスト」もかかりますし「効率」もよくないので、入管にとってこの方法だけで送還拒否者を減らすのは簡単でありません。入管があわせておこなうのが、むりやり送還をちらつかせての帰国強要です。入管は送還拒否者に対して「あなたをむりやり飛行機に乗せることもできるのだから、それがいやなら自分で帰りなさい」と脅しをかけて「自費出国」に追いこむ、という手段をしばしばとります。

  入管がこうしてむりやり送還を年ごとにどんどん増やしながら、きわめて強硬かつ強引に送還拒否者を一掃しようとしたのが、'00年代後半のことです。そして入管を強硬姿勢にかりたてていたものこそが、2012年7月に完全施行される09年の改定入管法にほかなりません。つまり、「不法滞在者」が存在しないという前提で設計された新しい在留管理制度の開始にそなえて、「不法滞在者」を一掃しようとくわだてたわけです。
 
◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇


3.  2010年以降

3-1  非正規滞在者一掃方針の破綻と仮放免者問題
  ところが、以上のような厳しい送還方針は、文字どおり「血を見る」結果をもたらしました。

  国費むりやり送還の頻発、さらに収容の長期化や、仮放免で収容を解かれた人の再収容、再々収容があいつぐなかで、2010年2月に東日本入国管理センターに収容されたブラジル人男性が自殺に追いこまれます。翌4月にはやはり東日本入国管理センターで韓国人男性が自殺に追いこまれます。

  また、同じ年の3月22日には、強制送還中のガーナ人男性が成田空港で死亡する事故が起こりました。
  こうした痛ましい事件がつづくなか、3月には西日本入国管理センターで、5月には東日本入国管理センターで、被収容者の大規模集団ハンストがたたかわれることになります。過酷な収容所のなかで送還を拒否する被収容者たちはそれぞれが、送還によって迫害等の危険が予想される、あるいは家族がバラバラになるなど、帰るに帰れない深刻な事情をかかえています。入管の強硬な送還方針は、そうした被収容者たちの壮絶な抵抗をまねいたのです。また、送還中のガーナ人の死亡事故は、被収容者・仮放免者の大きな悲しみと怒りをひきおこしたばかりでなく、これによって入管にとってのむりやり送還のハードルが高くなったこともたしかです。

  このように、'00年代後半の入管の強硬な送還方針の結果、私たちにとって、国費むりやり送還、長期収容、再収容に反対・抵抗せざるをえない状況が形づくられてきたわけです。その結果として、5年前とくらべて3倍増の2500人の仮放免者が存在するという現状があります。これは、昨年7月にスタートした新しい在留管理制度の対象からもれる住民が、未摘発の非正規滞在者をのぞいても2500人も存在しているということであって、法務省・入管の想定していなかった事態にちがいありません。


3-2  仮放免者問題の公正で人道的な解決を
  チャーター機による一斉送還という法務省のあらたな方針は、法務省にとってのこの想定外の事態を「解決」しようとするものなのでしょう。しかし、このように強硬かつ強引に非正規滞在者をまさに一掃しようとする方針は、2010年にすでに破綻したものと言わざるをえません。

  なるほど法務省・入管にとっては、法を「厳格に」適用するという意識のもと、このたびの方針を実現しようと考えているのでしょう。しかし、以上展開してきたように、この10年あまりのスパンで入管行政の変遷をふりかえってみるならば、その「厳格」さもまた、恣意的でご都合主義的な法適用の一環であり、筋のとおらないものと評価せざるをえません。

  筋の通らない暴力的な「解決」は、帰るに帰れない仮放免者たち、送還をこばんでいる被収容者たちにとりかえしのつかない悲劇をもたらすことはもとより、むりやり送還を直接執行する入国警備官や収容所で日々被収容者に接しつきあっている職員らにも、やはりとりかえしのつかない傷をのこすことになると危惧します。

  私たちがのぞむのは、暴力的な「解決」ではなく、公正で人道的な解決です。




【注】

注1: 法務省『出入国管理白書』。統計的な数字は、以下にあげるものもふくめ、すべてこの『白書』による。
注2: ここでいう「働き手」は、狭い意味での被雇用の「労働者」だけでなく、配偶者などの立場で家事・育児・介護などをシャドーワークとしてになう働き手や自営業者などもふくむ。

Thursday, February 28, 2013

記者会見のお知らせ:チャーター機による強制送還に反対するデモ(3月6日)

  昨年末、法務省がチャーター機をつかっての強制送還を検討しているという報道がありました。これに対して反対するデモを、3月6日におこないます。また、デモ出発(14時)前の13時12時からは、記者会見をおこないます。


  報道関係者各位に送っているニュースリリースを以下に掲載します。ご関心のある報道関係者はぜひよろしくお願いいたします。また、報道関係者にかぎらず、以下のニュースリリースおよびデモについて、情報の拡散にご協力いただけるとありがたいです。

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チャーター機による強制送還反対、仮放免者に在留資格の付与を訴えて、法務省に対する全国の仮放免者による初のデモ  (ニュースリリース)

2013/02/26 仮放免者の会
  我が国に在留する非正規滞在外国人は2012年初で70000人弱いる。そのなかでも、難民として庇護を求めて来日した者、日本で日本人などと婚姻した者など、帰国できない事情を抱えた者は、入国管理局による摘発を受け退去命令を受けても帰国できない。その者たちは、全国に3カ所(茨城県牛久市、大阪府茨木市、長崎県大村市)ある入国者収容所に長期収容され、仮放免許可を受けて関東・東海・関西地方などを中心に居住している。その数は年々増え、昨年10月末段階で2,500人となった。
  仮放免中の者を仮放免者と呼ぶ。仮放免者は、難民認定手続きを行っていたり、婚姻などを理由とする行政訴訟(退去強制令書等取消訴訟)や再審情願申し立てなどをして在留資格の取得を目指している。
  しかし仮放免者は、(1)就労資格がなく、合法的に働いて収入を得ることができない、(2)在留資格がないことから社会保障制度から排除され、病気になって通院すると、自由診療として最低でも100%、高いところでは300%の医療費を請求される。収入の少ない仮放免者は病気になっても通院することができない、(3)月一度の入管局への出頭が義務付けられ、また都道府県を越えて移動するには事前の許可を求められ、日常生活において大きな制約をされている。仮放免となって収容は解かれたものの、以上の三点において生存権がおびやかされた状態であり、人権が侵害された状態におかれている。現に、病気の痛みにも耐え、重篤化しても通院することなく死亡した仮放免者もいる。
  2010年以降、関東・東海・関西の各地で在留資格の付与を求めて「仮放免者の会」が結成され、各地で精力的に活動している。各地の仮放免者の会は統一的に、この2月期、全国的に仮放免者の生活実態調査アンケートを行った。
  一方、法務省入国管理局は、2013年度、チャーター機を導入しての100名規模の一斉送還を方針化した。チャーター機による一斉送還は、帰るに帰ることのできない者まで混在させる危険性がある。2010年3月、日本人女性と婚姻したガーナ人・スラジュさんが無理やり送還させられそうになり、成田空港で抵抗し命を落とした(妻により国家賠償請求訴訟が進行中)が、こうした悲劇が繰り返されかねない。
  本年3月6日、記者会見を開いてアンケート結果を公表し、仮放免者の窮状を報告する。また同日、チャーター機による強制送還への反対と仮放免者への在留資格の付与を求めて法務省へのデモンストレーションを行う。全国三地区の仮放免者の会の共催で行うデモは今回が初めてである。

  要綱
記者会見  3月6日(水)正午~13時  弁護士会館1001号室
デモ        同日        14時から    日比谷公園出発

連絡責任者:省略。( junkie_slip999@yahoo.co.jp までメールでご連絡ください)

Tuesday, January 29, 2013

チャーター機による強制送還に反対する3月行動(3月6日、水曜日)





  法務省がチャーター機をつかって「不法滞在者」を一気に強制送還する方針をたてている。『毎日新聞』が昨年末にそう報じています(2012年12月19日付の記事。『毎日』の記事は、末尾に転載しました)。

  入管が従来おこなってきたような、送還者ごとに航空券を一枚一枚買って一般乗客も乗り合わせる飛行機でひとりずつ送還する方法だと、大声を出して抵抗されるなどするので、航空会社が協力するのをいやがる。コストもかかる。一方、入管が退去強制令を出したにもかかわらず送還できずに仮放免になっているひとの数は、この5年で3倍の2500人にものぼっている。そこで飛行機をチャーターして、一気に送還してしまおう。

  このような方針を法務省幹部が『毎日新聞』の記者に語ったのだそうです。

  ということなので、仮放免者の会としては、これに反対する行動を3月6日(水曜日)におこないます。

  東京の日比谷公園に集合してデモ行進をおこない、街頭のひとびとと霞ヶ関の法務省にたいして、「強制送還をするな」「仮放免者にビザ(在留資格)をだせ」「再収容・長期収容をやめろ」といった主張をします。

  このデモは、関東地区はもちろん、東海地区や関西地区の仮放免者の会のメンバーと支援者も多数かけつけ、合同でおこないます。

  強制送還という不正義に反対する、たくさんのかたがたの参加をお待ちしております。また、3月6日のデモへの参加の呼びかけ、情報の拡散へのご協力をお願いいたします。

  以下、「チャーター機による強制送還に反対する3月行動」のチラシの文面と、法務省方針をつたえる『毎日新聞』記事の転載です。

  この法務省方針については、今後、このブログで論評していく予定です。ご注目のほど、よろしくお願いします。


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【チラシ表面】

チャーターき、きょうせいそうかん
はんたい 3がつ こうどう              

3がち6にち、「仮放免者の会(かりほうめんしゃの かい)」では、東京都千代田区(とうきょうとちよだく)日比谷(ひびや)、霞ヶ関(かすみがせき)で デモンストレーションを おこないます。
わたしたちは このデモで、ほうむしょうに たいして つぎの ことを もとめます。
「きょうせいそうかんをするな」「かりほうめんしゃにビザをだせ」「さいしゅうよう、ちょうきしゅうようをやめろ」。
 げんざい、にほんに きて せいかつ して いる ひとたちの なかには、ほんごくに かえると はくがいを うける なんみん である とか、かぞくが にほんに いるとか、10ねん、20ねんと にほんに いる など、かえるに かえれない りゆうが ある ひとたちが います。われわれは このような ひとたちに たいして にゅうかんが きょうせい そうかんを すること、さいしゅうよう、ちょうきしゅうようを する ことに はんたい します。われわれは 3がつ6にち、ほうむしょうに たいし このような きこく できない りゆうの ある ひとたちに びざを だす ように ようきゅうする、デモンストレーションを おこないます。
こんかいの デモには、かんとう だけでなく、かんさい、とうかいちく など、にほん ぜんこくの かりほうめんしゃが さんか します。
いっしょに たたかいましょう!

★2013ねん 3がつ 6にち(すいよう)13:00~
★ひびや こうえん「だいふんすい」(ひびやもんのちかく)の まえに きて ください













もよりえき:「ひびや」(ちかてつ)、または 「ゆうらくちょう」(JR)
いちじ りょこう きょか:「とうきょうと ちよだく」で とって ください。

しゅさい:仮放免者の会(かりほうめんしゃの かい,PRAJ)
れんらくさき:ますだ080-3421-4060 みやさこ090-6547-7628 Elizabeth 080-4163-1978
Blog: http://praj-praj.blogspot.jp/
e-mail: junkie_slip999@yahoo.co.jp

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【チラシ裏面】
NO Deportation
by chartered plane!!
 
DIE or ASK for the rights to live??

On December 19th 2012, cruel and heartless news made headlines around PRAJ.
Immigration budgeted for chartering the plane to send OVER-STAYED foreigners back to where we were born. Last year, approximately 500 people are provisionally released and more will be Karihomen this year.

The Ministry of Justice has decided to start using chartered planes to forcibly repatriate non-Japanese residing illegally in Japan in a bid to cut costs, it has been learned. Under the current system, deportees are sent home individually on commercial flights with other passengers. The ministry says chartered flights have the advantage of being safer and more economical.
Mainichi News December 19th, 2012

WHERE IS  OUR  DIGNITY??
Are we going to be deported just like the luggage?


On MARCH 6th, at HIBIYA PARK
  WATERSQUARE  1pm *map


Closest Station is Hibiya Station (TOKYO METRO) or YURAKUCHO (JR)
**Travel Permission “Tokyo, Chiyoda ward”


We are going to hold a demonstration to Immigration to stop deportation by chartered plane without our and family’s consent.
Some of us have been here for decades and make our living in Japan.
The others have family in Japan.
Many of us cannot go back home because we are refugees.
But all together, our voice will be heard.

Contact :MASUDA 080-3421-4060(ENGLISH)
Miyasako 090-6547-7628 Elizabeth 080-4163-1978 (ENGLISH)

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【「毎日新聞」記事(転載)】

不法滞在者:チャーター機で一気に強制送還へ  法務省方針
毎日新聞  2012年12月19日  02時30分

  不法滞在者の強制送還を効率化するため、法務省は、一度に多数を帰国させられる専用チャーター機の活用方針を固めた。一般客も乗り合わせる航空機で対象者を1人ずつ送り出す現在の方法より、費用と安全の両面で利点があるとしている。同省は来年度予算の概算要求で関連費用約3000万円を計上。予算が通れば、年間150人程度にとどまっていた送還拒否者の帰国人数を350人程度に増やせるという。

  不法滞在者には、同省が「退去強制令書」を出した上、原則として入管施設に収容し、飛行機などで母国へ帰国させている。昨年1年間で退去強制令書が出された不法滞在者は9348人で、国別では中国3103人、フィリピン1681人、韓国1172人の順。しかし、送還を拒んだり、難民認定手続きをして収容が長期化するなどし、仮に収容を解かれているケースはこの5年で約3倍に増え、10月末現在で約2500人に上る。

  送還費用(航空券代)は原則自己負担だが、送還拒否者は帰国する意思がないため、国費を充てざるを得ない。また、機内で不測の事態が起きないよう付き添う2~5人の入国警備官の航空券代も必要となる。現在の方法では送還拒否者が出発前の機内で大声を出すなどして航空会社から搭乗を拒否され送還が中止となることもあり、多い年は10件程度もあったという。

◇費用3割に抑制
  こうした事情から、同省はチャーター機で帰国先が同じ100人程度を一度に帰国させる方法を検討し、コストを試算。送還対象者1人当たりの費用は、最大で現在の約3割に抑えられることが分かった。

  同省幹部は「チャーター機の活用は欧米では一般的。コスト、安全の両面で一石二鳥の方法」と話している。【伊藤一郎】

Saturday, January 26, 2013

【ご支援ありがとうございました】ダニロさんのその後の経過と現状

  みなさまにご支援をよびかけた、フィリピン国籍のダニロさんの件について、その後の経過と現状の報告をいたします。

  ダニロさんは、退去強制令書の発付にともない入管に収容され、昨年1月に仮放免許可により収容をとかれたものの、大腸ガンが危機的なほどに進行していることがわかりました。かれは帰国できない事情をかかえており、日本で治療が受けられなければ死をまつしかなく、しかし、在留資格がないために、国民健康保険の加入や生活保護などが認められず、高額の手術や入院の費用を用意する見込みがたたない状況にありました。

  しかし、カンパや情報拡散等のご支援のよびかけにみなさまがこたえてくださり、また入管の迅速な再審のおかげもあって、昨年9月21日、ダニロさんは在留特別許可(在留資格は「特別活動」の1年)を認められました。

  以上は、9月23日のこのブログの記事「【ご支援ありがとうございました】ダニロさんに在留特別許可が出ました!! 」で報告したとおりです。

◇        ◇        ◇        ◇        ◇

  その後、ダニロさんが、春日部市の社会福祉課と病院のソーシャルワーカー・医師をはじめとするスタッフのお力添えもあり、10月15日、ぶじに大腸ガンの切除手術をうけることができました。

 術後の経過もよく、10月の大腸ガン切除にともなう付随的な手術をつい先日(1月21日)うけたところで、こちらも現在のところ経過は順調です。

 今後は、抗ガン剤による薬物療法等があり、まだしばらくは入退院をくりかえしながらの闘病になりますが、おかげさまで病院と相談しながら治療をすすめていく見通しをたてられる状態です。

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  カンパ・情報拡散のよびかけにこたえてご支援いただいたみなさまにふかくふかく感謝いたします。ありがとうございました。寄せていただいたカンパは、在留資格獲得の前にかかっていた医療費の未払い分の返済にあてさせていただきました。その後にかかる治療の費用につきましても、おかげさまでめどが立っている状態です。

  また、ダニロさんの再審情願について、東京入管審判部門は、ダニロさんの病状、今後の治療方針などについて真剣に聞き取り、申し立てから一週間という迅速さで、在留特別許可があたえられました。生命の危機におかれた仮放免者に在留特別許可を出すのは人道上当然のことではありますが、一週間という極めて短期のうちに在特が出されたのは、ダニロさんの深刻な病状を理解して特別に審査を急いでくれたからでしょう。東京入国管理局、法務省入国管理局に感謝いたします。

Saturday, December 22, 2012

東日本入管センターの不当な検閲について改善を申し入れました

  昨日(12月21日)、仮放免者の会(関東)として、東日本入国管理センターに申し入れをおこないました。

  入管の収容施設は、被収容者の外部との通信を検閲していますが、その検閲においてとりわけ不当と言える3点について指摘し、改善を申し入れました。

  ひとつは、被収容者が弁護士と訴訟等のうちあわせのためにかわす書面の検閲です。入管の行政処分の取り消しなどを提起ないし準備している被収容者は多くいます。そうした入管の処分についてあらそう裁判での弁護士との通信を、裁判のもう一方の当事者である入管が検閲するのは、あきらかに不当です。

  第2に、検閲にともなう処分(書面の一部抹消や発信の保留・禁止など)が、その理由・根拠を明示することなく、恣意的におこなわれていることを問題にし、改善を求めました。

  第3に、上記検閲にともなう処分が、被収容者にたいして懲罰的・制裁的におこなわれている点を指摘し、改善を求めました。

  以下、申入書の全文です。


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申  入  書

2012年12月21日
東日本入国管理センター所長 殿
仮放免者の会(関東)


  日本国憲法第二十一条第二項は、「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」として、検閲の禁止と通信の秘密を規定しております。言うまでもなく、東日本入国管理センターは政府機関として、被収容者の通信の秘密を尊重する義務を憲法により課せられております。
  被収容者処遇規則第三十七条第一項は、被収容者が発信する通信文の検閲について、「収容所等の保安上支障があると認める部分があるとき」の通信文の訂正・まつ消の指示、または領置について規定しています。また、同第二項は、被収容者が受信する通信文の検閲について、「収容所等の保安上支障があると認める部分があるとき」の削除・まつ消または領置について規定しています。
  このように被収容者処遇規則は、通信文の検閲の権限を所長等に与えてはおりますが、憲法第二十一条第二項で保障された通信の秘密にかんがみ、検閲とこれにともなう削除・領置等の処置は必要最小限のものにとどめなければならないと考えます。
  ところが、東日本入国管理センターにおいて、職務上の必要を逸脱した、また恣意的な検閲等行為の濫用が行われているように見受けられます。

1.被収容者が弁護士から受け取る通信文について、その内容を見せるよう職員から強要されたとの証言を、複数の被収容者から得ております。
  被収容者のなかには、退去強制令書発付処分取消訴訟などの訴訟を提起中、あるいは準備中の者が多くおります。訴訟の一方の当事者にもなる入管の職員が、これらの者と弁護士のあいだでかわされる通信文を検閲するのは、日本国憲法第二十一条第二項に保障された通信の秘密の侵害にあたるのみならず、裁判の公平性をさまたげ、被収容者の利益を不当にそこなわせるものであって、とうてい容認できません。
  さらに、これは入管の収容関係において適用される法律ではありませんが、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」135条2項1号は、「未決拘禁者が弁護人等から受ける信書」について、同条1項に定める「検査は、これらの信書に該当することを確認するために必要な限度において行うものとする」と規定しています。同規定は、人権に対する重大な侵害となる刑罰権行使を争う刑事裁判において国家と直接対峙する被告人の特殊な地位にかんがみ、刑事弁護に関する弁護人との通信について、特に厚く通信の秘密を保護したものと解されます。ならば、退去強制という、ある意味で刑罰にも劣らない不利益をもたらす国家入管行政上の処分を訴訟において争う被収容者についても、同様の趣旨から訴訟代理人弁護士との通信の秘密は厚く保護されなければならないところです。まして、刑事手続と異なり、退去強制手続においては、訴訟の相手方と収容施設を管轄する主体が同じ入国管理局なのですから、通信の秘密はさらに厳格に保護されなければならないと考えます。このような意味において、なおさら貴職らが行っている検閲は許容しがたいものです。

2.検閲等の行為において、貴職らは「保安上の理由」「保安上の問題」を根拠にしますが、通信文のどの内容がどういう理由でそれにあたるのか、具体的かつ明示的な説明が十分になされているとは言えません。これが明示されなければ、通信文のいかなる記述についても「保安上の問題」を理由にした削除やその指示等の措置が可能になり、つまりは貴職らの恣意的な運用、職権の濫用が可能になってしまいます。具体的になにが「保安上の問題」にあたるのかのガイドラインを被収容者にも提示すること、および、通信文の削除やその指示にあたって「保安上の理由」とはその場合なにか当該の被収容者に十分に説明することが必要と考えます。
  なお、第三者の「個人情報」が記載されていることをもって、郵送や宅下げによる通信文の発信が許可されなかったという事例が、東日本入国管理センターにおいて生じております。たとえば、貴職らへの被収容者の連名の要求書・嘆願書に署名があることをもって、宅下げを認めないという措置がおこなわれています。また、ある被収容者が他の被収容者の東日本入国管理センターで受けた不当な扱いについて書いた通信文が、名前等の本人を特定しうる記述をしていないにもかかわらず、発信にあたりまつ消を指示された例もあります。
  もとより、通信文に記載された情報が第三者のプライバシー権を侵害しているかどうかは、通信文の発信者とそこに個人情報を記載された第三者のあいだの問題であって、貴センターが判断すべきことでもなければ、貴センターが削除・まつ消等の指示や発信を不許可にすることの根拠にもなりえません。被収容者処遇規則にのっとっても、これら処分はあくまでも「当該通信文の内容に収容所等の保安上支障があると認める部分があるとき」に貴職らに認められた権限にすぎません。

3.被収容者が発信した文書がインターネット上に公開されたのをもって、貴職は公開された文書の「修正」を要求し、「修正」が確認されるまでは当該被収容者のその後の発信を「保留」するという事例がありました。これは、貴センターが検閲をし一度は発信を許可した文書について、事後的にその内容を理由に当該被収容者に対し懲罰・制裁をおこなったものと解することができます。こうした事後的な懲罰・制裁措置は、被収容者処遇規則等で規定された権限を逸脱したものであり、また被収容者の言論活動を不当に妨害するものであって、容認できません。

  以上をふまえまして、以下、申し入れます。

  1. 被収容者が弁護士から受け取る通信文、また被収容者が弁護士に発信する通信文を検閲しないこと。
  2. 検閲およびこれにともなう処分については、「収容所等の保安上支障がある」とはどのような内容を指すのか、被収容者全体に具体的にガイドラインを明示すること。また、被収容者が通信文を発信するにあたり、削除の指示等の検閲にともなう処分をおこなう場合、どの記述がどのような理由で「収容所等の保安上支障がある」と判断したのか、当該被収容者に明確に説明すること。
  3. 被収容者の言論・表現の自由を尊重し、被収容者に対する通信の禁止・制限の処分をを懲罰的・制裁的にもちいないこと。
以  上