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Thursday, December 17, 2020

長期収容問題と勤務医の不適切な言動について(12月3日、東日本入管センターに申し入れ)

  12月3日(木)、東日本入国管理センターに口頭での申し入れをおこないました。


 前回記事で述べたように、コロナ禍にあっても、長期収容問題は改善されずに残っています。


いまも深刻な長期収容問題、被収容者が連名で嘆願書(東日本入管センター)- 仮放免者の会(PRAJ)(2020年12月13日)


 あとで述べるように、この長期収容にかかわる2点のほか、センターの勤務医の問題についても申し入れました。被収容者たちから面会などを通じて、勤務医がの不適切な言動が多数報告されています。これらについて、抗議するとともに、入管として勤務医を適切に監督・指導するよう申し入れました。


 申し入れ内容は、以下のとおりです。



(1)11月6日に早期仮放免を申し入れた3名について

 前回11月6日の申し入れでは、拒食状態にある4名の被収容者について、ハンストもしくは体が食べ物を受けつけなくなっている(食べても吐いてしまうなど)ために、長期間食事をとっていない4名の被収容者について、早期に仮放免するよう求めていました(→参照)。このうち1名はすでに仮放免されましたが、他の3名は依然として収容が継続しており、心身の状態が悪いことから、前回に引き続き、早期仮放免するよう申し入れました。



(2)自殺未遂をした被収容者について

 11月の下旬に40歳代の被収容者(「Kさん」とします)が自殺をはかりました。Kさん本人に面会して話を聞いたところでは、睡眠薬や痛み止めなどの処方薬が停止されて不眠が続き、イライラもひどく、精神的に限界だと感じて自殺しようとしたとのことです。睡眠薬等が停止されたのは、10月中旬です。このときKさんは極度の食欲不振のため拒食状態にあり、勤務医が食事をとらずに薬を飲むと胃が荒れるからと言って処方をとめたということです。


 Kさんに限らず、入管施設では、近年の収容長期化傾向のなかで、睡眠薬や精神安定剤のかなり強いものが処方されている被収容者が多くなっています。長期間の拘禁のなかで強い精神的なストレスや不安をかかえ、本来は収容に耐えられないような状態の人を、無理に収容しているということ。そうした無理な長期収容を、入管は薬物の力を使っておこなっているということではないのでしょうか。


 すくなくともKさんについては、睡眠薬が服用できないことでイライラが高じて自殺未遂におよんでしまうような精神状態にあったのであり、そもそも収容にたえられる状態ではなかったことはあきらかです。したがって、Kさんの収容をこれ以上継続すべきではなく、早期に仮放免すべきだということを申し入れました。



(3)勤務医の言動について。

 勤務医の言動が医者のものとは思えないという訴えが、複数の被収容者から寄せられています。たとえば、ある人は診察中に「日本人の税金をあなたたちに使うのはムダ」という暴言をあびせられたと言います。


 また、ハンガーストライキをおこなっている、あるいは体調不良で拒食状態にある被収容者に対して、勤務医が懲罰的に処方薬を中止しているとみられる事例を、複数確認しています。たとえば、先述のKさんは、睡眠薬とともに、湿布(運動で負傷した足首に使用していた)や目薬も、医師の指示により止められています。睡眠薬については、Kさんが食事をとっていないという理由で処方中止することがありうるとしても、湿布・目薬を出すのをやめるのは不可解です。懲罰あるいはKさんに対する嫌がらせを目的にしているとしか考えられません。


 同様に、Mさんという別の被収容者は、それまで処方され服用していた19種類の薬が、7月におなじ勤務医の指示ですべて止められました。Mさんの持病である糖尿病や高血圧症、心臓の病気を治療するための薬もふくめてです。


 こうした勤務医の言動は、患者の健康上の利益を尊重するという医療従事者の倫理規範に反しており、こういった行為を改めるよう入管から指導・監督すべきです。なお、Mさんについては、糖尿病等の持病の投薬が4か月以上も停止しているという深刻な状況にあるので、べつの医師が診察するなどして、治療を再開するための措置を早期にとるよう申し入れました。


 東日本入管センターに申し入れた内容としては、以上です。


 再三指摘してきたことですが、問題の核心は、入管が「送還忌避者」と呼ぶところの人びとに対する帰国強要のために、長期の収容という手段をもちいているところにあります。とくに、2015年以降、入管はそれまでは例外的であった2年をこえるような超長期収容を常態化させ、「送還忌避者」に対するきわめて強硬な送還方針をとってきました。人間に対して長期間にわたり自由をうばい監禁しようとすれば、それだけ管理・統制を強めざるをえなくなります。それが、一方では、懲罰的な隔離処分や職員による「制圧」行為の増加となってあらわれ、他方では、睡眠薬や向精神薬を多くの被収容者が服用せざるをえないという状況としてあらわれているのです。医療従事者の倫理的荒廃も、おなじ要因によるものでしょう。


 問題の根幹は、帰るに帰れない事情をかかえる人びとに対して、長期収容で自由をうばい苦痛を与えることで帰国に追い込もうという入管のやり方であり、これをあらためることなしには、収容されている人の人権と生命を守ることはできません。




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Sunday, December 13, 2020

いまも深刻な長期収容問題、被収容者が連名で嘆願書(東日本入管センター)

  全国の各入管収容施設は、3~5月ごろにかけて、仮放免許可を積極的に活用することで、多くの被収容者を出所させました。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、施設内の密集を回避するためです。東日本入管センターでも、昨年12月4日時点で252名だった被収容者数(入管庁発表)は、現在では100名程度まで減っているとみられます。


 しかし、以下の記事でも述べたように、6月以降、仮放免の拒否判断はふたたび厳格化され、超長期の被収容者の仮放免申請が不許可になるケースがあいついでいます。


東日本入管センターに、拒食者などの早期仮放免を申し入れました- 仮放免者の会(PRAJ)(2020年11月14日)


 こうして、被収容者数は全体として大きく減少したものの、収容長期化はますます進行しているというのが現状です。


 こうした状況のなかで、東日本入国管理センターの被収容者たちが連名での「嘆願書」を作成しています。「嘆願書」は、早期の仮放免や帰国できない事情のある者への在留資格の付与などを求めたもので、国会議員などに送付しているとのことです。当会としても、「嘆願書」作成者たちから、収容所内の、あるいは仮放免されている仲間たちのおかれている問題を日本社会の多くの人に知らせてほしいということで、これを公表するよう要請されました。


 以下に「嘆願書」の全文を掲載します。長期収容問題は過去の問題ではなく、いまも進行中の問題であることを多くの人に知ってほしいと思います。


 「嘆願書」の署名欄には、署名者65名の名前のほかに、各人の国籍、収容期間、日本在留期間が記されていました。このうち国籍、収容期間、在留期間を集計したものをこの記事の末尾に資料としてまとめました。約100名の東日本センター被収容者全体のデータではないですが、これらの資料をとおして、常軌を逸して収容が長期化した状況が現在も続いているということ、またそのような状況に置かれても送還を拒否せざるをえないのはどのような人たちなのかということが、ある程度想像できるのではないかと思います。


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嘆願書


 茨城県牛久市の東日本入国管理センターに収容されている者を代表し、この嘆願書を書いています。


 長期の収容は心身にダメージを与え、仮放免後の後遺症が長く尾を引き、その後の人生にも大きく影響を及ぼす事になります。一日も早い仮放免が望まれます。

 また、仮放免後は仕事が禁止されていたり、移動の自由が制限されていたりと、人間として生きる権利が阻害されています。仕事をしなければ生きていく事は困難を極めます。

 我々は以下の事をお願い申し上げます。


  • 収容されている全ての人達の早期の仮放免を求めます。
  • 仮放免後は、自力で生活できる様、就労禁止という規則を撤廃し、仕事に就けるようにしてほしい。また、病気や怪我を負った時の為、医療保険に加入出来る様にしてほしい。
  • 日本国籍の配偶者や子供、永住権やその他の在留資格の配偶者がいる人には在留資格を認めて欲しい。
  • 難民を含む、日本に庇護を求めて来た人、長年日本で生活している人や幼少期から日本で生活している人にも在留資格を認めてほしい。


以上です。


 どうか、我々にこの日本にもう一度住むチャンスを与えて下さる様、お願い申し上げます。


東日本入国管理センター収容者一同

令和2年12月1日


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【資料】署名者65名の国籍、収容期間、日本在留期間

1.国籍

国籍

人数

スリランカ

8

ブラジル

7

ペルー

4

ナイジェリア

4

ミャンマー

4

バングラデシュ

3

イラン

3

  そのほかに、ラオス、パキスタン、フィリピン、ベトナム、中国、ギニア、ネパール、カメルーン、コンゴ、インドが各2名、タンザニア、インドネシア、ウガンダ、トルコ、カンボジア、セネガル、米国、台湾、リベリア、ボリビア、ケニア、ジャマイカが各1名です。




2.収容期間

















 収容期間が何か月になると「長期収容」と呼ぶべきなのか、明確な答えがあるわけではありません。しかし、被収容者当事者や支援者の多くは、6か月以上の収容を「長期収容」として問題視することでだいたい見解が一致します。私たちも、会を結成した2010年以来、6か月をこえる「長期収容」をやめるよう、入管にくりかえし申し入れ等をおこなってきました。収容期間が6か月ほどになれば、ほとんどの被収容者は拘禁反応を発症するのであり(もちろん、もっと早く発症する人もいます)、これをこえて収容を継続するのは人権・人道の点から許容できないからです。

 ところが、現状は、1年、2年をこえるような収容が常態化し、4年をこえるようなすさまじい収容期間であっても入管が仮放免を許可しないというケースもめずらしくなくなっています。東日本センターの現状については次回の記事で追って報告しますが、強力な睡眠薬や精神安定剤を処方され、それなしには過ごせないとか、あるいは、拘禁ストレスからくる高血圧症に苦しんでいて、処方された降圧剤を服用しても血圧が下がらないとか、あきらかに心身が収容にたえられない状態にある人が長期間にわたって収容されているのです。



3.日本在留期間

















 過酷な長期収容にあっても送還を拒否せざるをえない人たちのなかには、日本での在留歴の長い人が相当数いるということが、グラフからうかがえるのではないかと思います。国に帰るに帰れない事情は人によってそれぞれですが、長年日本で暮らしてきてこの地にすでに定着しているということも、帰国できない事情として深刻なものなのです。

 先にみた苛烈な長期収容の状況は、それぞれに帰れない事情のある人たちを帰国に追い込むための手段として、入管が戦略的・意図的につくりだしている状況です。嘆願書にあげられている「日本国籍の配偶者や子供、永住権やその他の在留資格の配偶者がいる人」「難民を含む、日本に庇護を求めて来た人」「長年日本で生活している人」「幼少期から日本で生活している人」。こうした人たちを、出国に「同意」させるための手段として、「心身にダメージを与え」る長期収容がもちいられているのです。






Friday, November 20, 2020

【傍聴呼びかけ】11/25 ペルー人Bさんの国賠訴訟 第2回口頭弁論(大阪入管暴行事件)


 2017年におきた大阪入管職員による被収容者に対する2つの暴行事件。このうち、トルコ人Mさんが国に賠償を求めていた裁判は、9月29日に大阪地裁にて和解が成立しました。和解の条件は、大阪入管局長がMさんに謝罪し、同局に収容されている人の人権を尊重した処遇につとめることを確認すること、また国がMさんに和解金を支払うことなどです。


制圧行為による骨折等について入管が謝罪!再発防止も約束! - 暁法律事務所【大阪】(2020年10月2日)


 もうひとつの大阪入管での暴行事件は、Mさんの事件から5ヶ月後の2017年12月におきました。Bさん(ペルー国籍)が、大阪入管の職員たちから14時間以上にわたって後ろ手錠により拘束され、その間、トイレに行くことも食事をとることも許されず、また、後ろ手錠をつけた状態で右腕をねじりあげられ、骨折させられたという事件です。


 事件の詳細については、以下を参照してください。


大阪入管暴行事件で和解成立 / 大阪入管でのもうひとつの暴行事件裁判にも注目を! - 仮放免者の会(PRAJ)(2020年10月3日)


 この2つめの暴行事件は、被害者のBさんが国に賠償金の支払いを求める裁判が現在おこなわれています。提訴は今年の2月でしたが、新型コロナウイルスの影響で弁論が延期されており、先月の7日にようやく第1回の弁論がひらかれたところです。


 前回の弁論は、コロナ対策として14席に減らされた傍聴席が満席となり、法廷に入れないかたが数名いました。原告のBさん本人と、弁護団の大森景一弁護士による意見陳述がおこなわれました(意見陳述の全文は、この記事の末尾に掲載しております)。


 Bさんは、入管の職員たち自分を動物のようにあつかい、「拷問のようだった」としつつ、入管のなかでほかの人も「同じような目にあいました」と指摘しました。Bさんは意見陳述の最後を「入管の担当さんは外国人に暴力をしないでください。虐待をしないでください。外国人に動物みたいなあつかいをしないでください」という言葉で結んでいます。


 大森弁護士も、先日和解の成立した同じ大阪入管でのMさんの事件のほか、東日本入管センターや東京入管でも被収容者が暴力的に制圧されたと訴えている同種の事案があいついでいることを指摘しています。そのうえで、裁判所が「もし仮にB氏に対する行為を適法と判断するようなことがあれば、このような行為は今後も繰り返され、さらにエスカレートしていきかねません」と述べました。この裁判がBさんの損害の回復にとどまらず、入管施設に収容される外国人たちの今後にも影響を与える重要な意義をもつのだということだと思います。


 「制圧」と称しての被収容者への暴行事件のあいついでいる入管の体質がこの裁判で問われるのはもちろんですが、そうした外国人への入管職員の暴力行為をゆるすのかという点で、日本の裁判所、ひいては日本社会のあり方もまた問われているのだと思います。


 Bさんの裁判の第2回の口頭弁論は、以下の日時と場所でひらかれます。ご都合のつくかたは、傍聴をお願いします。


日時:11月25日(水) 10時30分

場所:大阪地方裁判所 1006号法廷(→地図



 以下、原告のBさん、および大森景一弁護士の意見陳述の全文を掲載します(人名をイニシャル表記にするなど、原文を一部加工しております)。



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【Bさんの意見陳述】


意見陳述


わたしは、ペルーこくせきの、


Bです。


このさいばんで、わたしが、のぞんでいることは、


にゅうかんには、ほんとうのことを、いってもらいたいです。


ぜんぶ、びでおかめらに、うつつています。


しょうこが、のこっています。




にゅうかんの、たんとうさんは、わたしに、


げんどをこえて、ばつを、あたえました。


わたしは、くびを、しめられたり、


うしろでに、てじょうを、かけられました。


よなか、ずっと、てじょうをかけられたままでした。


それで、どうやって、トイレにいけるのでしょうか。


ごうもんのようでした。


せいしんてきにも、ごうもんでした。


わたしは、どうぶつみたいでした。




たんとうさんが、わたしを、ゆかに、うつぶせに、おさえつけているとき、


たんとうさんの、じょうしのひとが、


ちがう たんとうさんに、あいずを おくっていました。


そのとき、かめらを、とっているので、


かめらにうつらないように、


しょうこに のこらないように、


じょうしのひとが、あいずをおくって、


ちがう たんとうさんが、わたしを、つよく、おさえつけたり、


しめつけてきました。


わたしは「いたい いたい」といいました。


たんとうさんどうしで、こえをださずに、


あいずを、おくりあっていました。


たんとうさんは、みんなで、がいこくじんに、


うしろでに、てじょうをかけて、


ぎゃくたいをするれんしゅうをしています。




わたしのまえにも、にゅうかんのなかで、ほかのひとが、


おなじような、めに、あいました。


うしろでに、てじょうを、かけられたひとが、いました。


そのひとは、たんとうさんに、ぼうりょくをされて、


けがをさせられました。


にゅうかんのたんとうさんは、がいこくじんに、


ぼうりょくをしないでください。


ぎゃくたいをしないでください。


がいこくじんに、どうぶつみたいな、あっかいを、


しないでください。




2020年10月7日



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【大森弁護士の意見陳述】


令和2年(ワ)第1555号国家賠償請求事件

原告 B

被告 国


原告代理人意見隙述


2020年10月7日

大阪地方裁判所第17民事部 合議2F係 御中

原告訴訟代理人弁護士 大森景一



 1971年、アメリカ、スタンフォード大学の地下室で、心理学者フィリップ・ジンバルドー(Philip Zimbardo) によって、ある実験がおこなわれました。

 ジンバルドー教授は、学生21人を2つのグループに分けました。そして、一方を看守役に、一方を囚人役として、役割を与えて生活させました。すると、看守役は、指示されていなかったにもかかわらず、囚人役に対して徐々に権力的に振る舞うようになり、反抗する囚人役に対してトイレ掃除・独房監禁・断眠などの罰を与えるようになり、さらには禁止されていた暴力を振るうまでに至りました。看守役も、つい数日前までは、囚人役と同じ、普通の学生だったのにです。


 この実験が示唆するように、何も介入しなければ、権力関係はエスカレートしてしまう危険があるのです。入国管理局における収容についても同じような危険があるのではないでしょうか。


 日本の入国管理局においても、収容者に対する人権侵害事件は後を絶ちません。先日、大阪入国管理局rおけるM氏に対する暴行事件について、国が責任を認める和解が成立しました。この事案には、本件と同じ入管職員が関与していました。また、大阪入管以外でも、同種の事案が相次いでいます。現在、東日本入国管理センターに収容されていた、X人男性、東京入国管理局に収容されていたプラジル人男性やコンゴ人女性なども、入管職員に暴力的に制圧されたと訴えています。


 本件でも、ここにいるB氏が入管職員から暴力的な制圧を受けました。そして、B氏は、保護室に収容され、後ろ手に手錠をさせられた状態で放置されました。一晩中、14時間以上にわたってです。しかも、B氏は、その間、手錠を砲認するという名目で、朝まで1時間ごとにたたき起こされ、睡眠を取ることすらままならない状態におかれました。


 制圧行為と傷害結果との因果関係は、主要な争点ではありません。その後におこなわれた行為こそが主要な争点なのです。


 国は、保護室における対応は戒具の使用要領に従ったものであり、問題はない、と主張しています。確かに、戒具の使用要頒においては、「1時間に1回以上、手首、腰部等の緊縛部位について異常の有無を確認する」こととされています。しかし、この裁判で間われているのは、そのような法務省通達への当てはめの問題ではありません。


 日本国憲法においては基本的人権の保障がうたわれています。憲法36条は公務員による拷間を明確に禁止しています。憲法のほか、日本も批準している自由権規約や拷問等禁止条約、そして国連決議である国連被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラ・ルール)などの法規範も存在しています。この裁判では、B氏が受けた扱いが、これらに照らして許される行為なのか、その点こそが問われているのです。


 私が、海外に住んでいる人に日本の末決勾留や入管収容の実情を話すと、皆、驚きます。彼らは言います。「私たちが生きているのは中世じゃない。本当に日本でそんなことがおこなわれているのか。」と。


 好ましくない者、問題のある者に対して、どのような対応をするかという点には、人権感覚が如実に表れます。今回のB氏は、確かに模範的な行動をしていたわけではありません。入管からすれば、反抗的な被収容者であったでしょう。しかし、だからといって、このような状態に被収容者をおくことが、はたして許されてよいのでしょうか。


 この裁判の結果は、日本の裁判所が、どのような人権感覚を有しているかを示すとになります。そして、もし仮にB氏に対する行為を適法と判断するようなことがあれば、このような行為は今後も繰り返され、さらにエスカレートしていきかねません。この国がどのような国であることを望むのか、それを考えていただきたい。


 この裁判では、このようなことを念頭に、審理していただきたいと思います。


以上



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Saturday, November 14, 2020

東日本入管センターに、拒食者などの早期仮放免を申し入れました


 11月6日(金)、東日本入国管理センター総務課に口頭での申入れをおこないました。


 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になるなか、3月から5月ごろにかけては入管の各収容施設は仮放免許可を積極的に活用し、その結果、どの施設でも被収容者数は大きく減少するにいたりました。入管庁が5月1日に公表したタスクフォースによる「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」においても、密集回避などのために仮放免を積極的に活用することが方針として打ち出されています。


 ところが、6月ごろになると、前月までは仮放免が許可されていたようなケースでも不許可があいつぐようになり、現状、深刻な体調不良のある人の一部しか仮放免されないという、コロナ禍以前の状況に逆戻りしてしまっています。収容期間がもともと長くなっていた人たちも、こうして仮放免が許可されずに依然として施設にとどまることになっています。長期収容問題はコロナ禍の現在にあっても、まったく解決にむかっていないのです。


 東日本入管センターでも、長期間心身の状態の悪化がますます深刻になっている被収容者が多くいます。今回の申し入れでは、第1に、私たちが面会したなかで、ハンストもしくは体が食べ物を受けつけなくなっている(食べても吐いてしまうなど)ために、長期間食事をとっていない4名の被収容者について、早期に仮放免するよう求めました。この4名は、いずれも母国での危険や日本にしか生活基盤がないなど帰国できないきわめて深刻な事情のある人たちで、にもかかわらず2年半から4年7か月という常軌を逸した長期間収容が続いている人たちです。とくにこの4名の被収容者について、生命尊重の観点から健康状態も考慮してなるべく早期に仮放免してほしいということを申し入れました。


 第2に、拒食している被収容者について人権を尊重した対応をすることを求めました。私たちはハンストをおこなっている人からの面会での聞き取りで、シャワーを5日間許されなかった、また運動場に出ることを許可されていないということを聞きました。この人は、4日に訪問した新聞記者との面会の直前、突然職員からシャワーをあびるようすすめられたとのことです。したがって、それまでのシャワー禁止の措置は、たとえば転倒の危険があるからといった安全上の理由からのものではなく、懲罰的な目的でおこなわれていたとしか考えられません。


 シャワーが被収容者の衛生上、また健康維持や精神的ストレスの軽減のうえで必要なのはもちろんですし、1日50分の運動時間も、収容生活において日の光をあびることのできる貴重な時間です。ハンストが被収容者の心身に危険なのは確かですが、懲罰的に入浴や運動の機会をうばってこれをやめさせようとするのは問題です。


 また、ハンスト者に対する職員らによる暴言の事実が被収容者から報告されていることを指摘し、ハンスト者および拒食症的な症状で食事のとれなくなっている人たちに対して、人権を尊重した対応をするよう申し入れました。


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 早期仮放免を6日に申し入れた4名のうち1名は、その後11日にぶじ仮放免されました。心身の衰弱がいちじるしく、生命の危険すら心配せざるをえないような状態の人だったので、収容を解かれたことにひとまず安堵することができました。


 いっぽうで、東日本入管センターには、いまもおよそ100名の人が長期間収容されたままでいます。


 10日には、牛久警察署が同センターに収容されている人を建造物損壊の容疑で逮捕したという報道もありました。報道によると、この人は、センターの診療待合室で自身の糞尿を天井や壁などにまきちらしたのだといいます。


 逮捕される前に私たちはこのかたと同センターで面会しましたが、4年以上にもわたって入管施設に収容されていた人です。超長期の収容によるストレスにくわえ、このかたは、センターに勤務する医者から暴言を受けたことをきっかけにして、極度の食欲不振におちいっていました。体が食べ物を受けつけない拒食症のような症状がでて、4か月ほど食事をほとんどとれない状態が続いているとのことでした。このような状態になるきっかけとなった医者の暴言とは、「薬も食べ物も日本人の税金だ。あなたたちのために使うのはムダだ。気にくわないなら出て行け」というものだったそうです。患者の利益を第一にするという医療従事者としての責任をなげうった、ゆるしがたい発言です。このような外国人への差別主義と敵意をかくそうともしない人間が、患者の生命にかかわる医療行為に従事しているということは、見過ごせません。そして、この医者の行為は、長期収容によって被収容者を出国に追い込むという、心身を破壊する虐待を手段としている現在の入管の退去強制業務のやり口を忠実に体現するものでもあります。


 逮捕された人に報道されているような行為があったのが事実だとしても、そこまでの状態に被収容者を追い込んでいる入管の長期収容、その虐待・拷問とも言うべき実態こそが問われなければならないはずです。



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Saturday, October 3, 2020

大阪入管暴行事件で和解成立 / 大阪入管でのもうひとつの暴行事件裁判にも注目を!



トルコ人Mさんに対する暴行事件は和解成立

  大阪入管に収容されていたトルコ国籍のMさん(現在は仮放免)が、職員たちの暴行によって右腕を骨折する負傷をおわされた事件。Mさんが損害賠償をもとめて国を訴えていた裁判は、9月29日、Mさんと国のあいだで和解が成立しました。


 和解の内容としては、被告である大阪入管局長が原告のMさんに謝罪するとともに、同局に収容されている人の人権を尊重した処遇につとめることを確認するというものです。また、国がMさんに和解金300万円を支払うということでも双方が合意にいたりました。


 詳細については、以下の弁護団声明をごらんください。

 Mさんは、自分がされたように入管職員が外国人に暴力をふるうことは今後ないようにしてほしいということを、法廷での意見陳述ふくめ、一貫してうったえてきました。その点で、このたびの和解は意義の大きいものと言えます。


 事件のおきた2017年7月から3年超、2018年5月の提訴から2年4か月が経過しました。長期間にわたる困難な裁判をたたかいぬいたMさんの奮闘はもとより、たくさんの人がこの裁判をつうじて入管収容の問題に関心をよせ注視していたことが、この意義の大きい和解につながったものと思われます。しかし、大阪入管が約束したとおりに被収容者の人権を重視した処遇につとめるのかどうか、今後とも注視していくことが必要です。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



もうひとつの暴行事件

 さて、大阪入管については、上記のMさんの事件のほかに、職員によるもうひとつの暴行事件があります。こちらも、被害者のペルー人男性(「Bさん」とします)が国に賠償をもとめる訴えを大阪地裁にしております。Bさんが提訴したのは2月でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になったために弁論が延期となっていましたが、第1回口頭弁論期日が以下の日時と場所でひらかれます。都合のつくかたは、傍聴をお願いします。


日時:10月7日(水) 13時30分

場所:大阪地方裁判所 1006号法廷(→地図



Bさん事件の概要

 訴状などによると、事件の概要は以下のとおりです。


 Bさん(ペルー国籍の40歳代の男性)が裁判で国に賠償を求めている事件は、2017年12月20日から翌21日にかけて起きました。


 20日の昼ごろ、大阪入管で複数の被収容者が官給食の内容について職員に抗議をしていました。このときに、職員5名が居室に入ってきて、Bさんふくむ3人の被収容者に対し、別室で話がしたいと言って連れ出そうとしました。Bさんは、話すことはないからと拒絶。すると、数名の職員が腕などをおさえつけたので、Bさんが職員の手をふりほどこうとしたところ、職員は緊急隔離を告知。8名の職員がBさんの体をかかえあげて別室(入所手続室)に連行しました。職員らは、Bさんに後ろ手錠をかけ、12時30分ごろに「保護室」とよばれる部屋に連行し、隔離しました。


 なお、Bさんはあばれたりはしておらず、しかも保護室に施錠されてひとり閉じ込められたわけですから、職員に危害をくわえるおそれはまったくありませんでした。もちろん、「逃亡」などくわだてようもない状態です。したがって、手錠などの戒具を使用する必要性はまったくありませんでした。ましてや、はなはだしい苦痛をともなう後ろ手錠をしなければない理由がどこにあったのでしょうか。


 20分ほどたった13時49分に後ろ手錠はいったんはずされますが、夜になってふたたひ職員たちはBさんを後ろ手錠で拘束して、今度はその状態で14時間半以上にわたって放置するという、拷問としか言いようのない行為をおこないました。


 21時ごろ、Bさんが職員たちに大声で水とトイレットペーパーを求めました。トイレットペーパーのやりとりをめぐって職員たちが保護室に入り、Bさんをうつぶせにしておさえつけ、21時11分ごろに後ろ手錠をかけました。翌日の11時49分ごろまで、Bさんは後ろ手錠をかけられた状態で保護室で拘束されたままでした。この14時間半以上のあいだ、Bさんはトイレで用を足すことはゆるされず、食事もとれず、水を飲みたいときは職員をよんでコップを持ってもらってこれに口をつけて飲むしかないという状態でした。この間、職員は、およそ1時間ごとの間隔をあけて保護室に入ってきて、Bさんを立ち上がらせるなどして後ろ手錠を確認するので、ねむろうにもねむれません(午前4時30分ごろ、Bさんは職員に対し「なんでねむらせないんだ?」と抗議しています)。


 とびらにカギのかかった保護室に隔離され、職員に危害をくわえることも、「逃亡」することもおよそ不可能なBさんに対して、入管職員たちが長時間にわたりこのように苦痛をあたえ、尊厳をうばう行為をおこなう意図はいったいなんでしょうか。これらの行為は、Bさんを屈服させて入管の言うことを聞かせるという目的でおこなわれたと考えるほかなりません。


 さらに、この後ろ手錠による拘束の14時間のあいだに、大阪入管の職員たちはBさんに暴行をくわえて負傷までさせています。


 12月21日の午前0時すぎ、Bさんが保護室のとびらを足でけると、職員5名が部屋に入ってきて、Bさんをうつぶせ状態にしておさえつけ、後ろ手錠にされている右腕をねじるようにひっぱりあげました。すでに後ろ手錠に拘束されているBさんに対してこのような行為をするのは、Bさんを痛めつけ屈服させることを目的にしたものとしか考えられません。この暴行の結果、Bさんは左上腕骨幹部骨折の負傷をおいました。


 大阪入管職員による暴行・傷害、また手錠をかけ長時間放置したこと等について、Bさんは216万円の損害賠償をもとめています。大阪地裁でひらかれるこのBさんの裁判に、都合のつくかたはぜひ足をはこんで傍聴していただくよう呼びかけるとともに、裁判の今後の推移にご注目のほどよろしくお願いします。




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Monday, June 8, 2020

コロナ禍に際し、仮放免者の出頭期日を延期するよう東京入管に申し入れました


 6月5日、私たちは東京入管に以下の申入書を提出し、申入れをおこないました。


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申入書
202065
東京出入国在留管理局
局長 福山 宏 殿

仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)

 以下の根拠に基づき、6/11() 18()】に予定されている他県からの仮放免者の出頭を延期するよう申入れます。

  • 日本政府は、県をまたぐ移動について、【6/18()まで】首都圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)との不要不急の往来を控えるように要請しています。この6/18()までに仮放免者を関東甲信越各県からわざわざ電車やバスに乗って貴局まで出頭させることは、政府の方針に反しています。6/2()には「東京アラート」が発動されましたが、新型コロナ感染拡大は予断を許しません。出頭してくる仮放免者の安全への配慮からも、また公衆衛生の観点からも、出頭は、早くとも19日以降とすべきです。また、東京アラートが解除されない限りは、都内在住者も含めて、出頭させるべきではありません。
  • 仮放免者の中には、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化する危険性が極めて高い疾患を抱えた人がいます。例えば、肺炎で貴局収容中の昨年、入院したペルー人男性のE.E.さんは6/11の出頭を指示されました。このような人を、移動に伴う感染のリスクに晒してまで、わざわざ貴局に出頭させることは合理的ではありません。


以上から、前述のE.E.さんを筆頭に、6/11()18()】に予定されている他県からの仮放免者の出頭は延期にすること、特に新型コロナウイルス感染により重症化する危険性が高い疾患を抱えた人々の出頭を延期するよう強く求めます。


以 上


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 この時期の仮放免者への出頭指示自体、感染拡大防止のために反対ですが、特に重症化する危険性の高い仮放免者の出頭は危惧するところです。申入書の2項めでは、具体的に名前もあげて出頭日の延期を求めようとしました。提出した申入書にはフルネームを記載しています。

 申入書を印刷して、東京入管に向かう途中、E.E.さんから電話があり、「昨日の夕方、入管から電話があって、11日は来なくて良いとの事だった」との事でした。私たちとしても安心しました。E.E.さんは2年近くの収容を経て昨年末に東京入管から仮放免になりました。昨年の収容中に肺炎で入院しています。東京入管はE.E.さんの肺炎の病歴を知っているので、E.E.さんだけ、出頭日の再延期をした可能性もあると考え、予定通り申入れをおこないました。

 申入れ先の総務課は、出頭日の再延長については具体的に聞いていないとの事でした。申入書の1項めについて申し入れると共に、E.E.さんのような重症化しそうな人にはなおさらの配慮をするように申し入れました。

 また、先月申し入れた、「仮放免を積極的に活用すること」についても重ねて申し入れました。5月17日に開催した「入管収容者緊急ホットライン」の結果を見ても、各収容施設で仮放免許可を出しているものの、東京入管は、帰国希望だが飛行機が飛んでおらず帰国できない人を職権仮放免で出し、長期収容で拘禁反応や病気の悪化に苦しむ人たちをあまり仮放免していません。帰国希望の人たちについても仮放免するのは賛成ですが、感染した時に重症化しそうな長期収容者を直ちに仮放免すべきだと申し入れました。

 会員からの報告で、前日に11日出頭予定者へ、当日には12日出頭予定者へ、出頭再延期の電話がかかっていることがわかりました。


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Tuesday, June 2, 2020

弁護士 指宿昭一氏 講演会のご案内 6月19日(金)


『使い捨て外国人』 出版記念
弁護士 指宿昭一氏 特別講演会

主催:仮放免者の会

2020年6月19日午後6時30分より

ご参加をお待ちしております!



指宿昭一弁護士の初の単著『使い捨て外国人―人権なき移民国家、日本』(朝陽会)の出版を記念し、外国人労働者受け入れ及び入管を巡る人権問題の最前線に立つ第一人者たる著者が、両分野の現況を語ると共に、日本社会の再生が、両問題を統一的に捉えて解決し、本気で多文化共生政策を押し進めることによってしかなし得ないとの重要な提言を行います。

弁護士会館507号A-C室にて開催予定ですが、コロナウィルス感染防止の観点より、会場においでいただく人数を限定させていただきたく、報道関係者の方々以外はZOOMにての御参加をお願いする予定です。御希望者が当方で用意出来ますZOOMの御参加人数可能数を越えました場合には、御参加をお断りさせていただく場合がございますので、大変申し訳ございませんが、その点、どうか御了承下さい。

御参加希望の方は、①御氏名、②御所属、③メールアドレスをお書き添えの上、
仮放免者の会事務局長 宮廻満 miyasako316(あっとまーく)ksh.biglobe.ne.jp
まで御連絡いただけますよう、お願い申し上げます。