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Tuesday, October 29, 2019

【抗議のよびかけ】人命をもてあそぶ入管による再々収容について


  10月28日(月)、東京入管はわずか2週間前の10月16日に仮放免したばかりのAさん(50歳代のイラン国籍の難民申請者)を収容し、同日中に茨城県の東日本入国管理センターに移収しました。Aさんが、仮放免期間2週間での再収容というきわめて非人道的な仕打ちを受けるのは、この7月に続いて2度目のことになりますから、これはいわば「再々収容」ということになります。

 しかも、Aさんは、7月22日に再収容されたのち、長期収容や、わずか2週間の仮放免からの再収容という入管の仕打ちに抗議してハンガーストライキ(ハンスト)をおこなっており、長期の収容とハンストによって衰弱した身体が回復していない状態でした。 今回の「再々収容」は、このような状態のAさんにとり、単に非人道的な仕打ちというにはとどまらない、残酷きわまりない虐待、拷問というべきものです。

 Aさんについては、以下の3つの記事でもおなじ「Aさん」というイニシャル表記で紹介してきたところです。




  仮放免者であったAさんが2017年に入管に収容され、今回の再々収容にいたるまでの経緯を以下にまとめておきます。
 Aさんは難民申請者であり、自身が難民であることの立証作業をする必要があることから2010年から仮放免許可を受けて関東地方で暮らしていた。
 2017年2月に難民認定申請が却下されたことを理由に東京入管に収容されたが、帰国すれば迫害される危険性が解消されたわけでないので、ふたたび難民申請した。同年10月に東京入管から東日本入管センターに移収された。
 2019年6月上旬、この時点でAさんは収容期間が2年4か月という超長期におよんでおり、これに抗議してハンストを開始。同年7月9日に仮放免された。
 ところが、このわずか2週間後の7月22日、仮放免期間更新申請のために東京入管に出頭したが更新は許可されずに再収容され、ただちに東日本入管センターに移収された。
 再収容後にもAさんは抗議のハンストをおこなった。
 10月16日にふたたびの仮放免。ところが、10月28日に仮放免期間更新申請が許可されず、東京入管に再々収容され、ただちに東日本入管センターに移収された。

 2年5ヶ月間の収容→仮放免→2週間後の再収容→3か月後に仮放免→2週間後に再収容、というのが、この2年8ヶ月あまりのAさんの経験してきたことです。このくり返しの収容は、きわめて不当なものです。

 まず、入管法が規定する収容の目的から完全に逸脱しています。入管法が入管当局に収容を認めているのは、あくまでも強制送還が可能になるまでの身体拘束としてです(「出入国管理及び難民認定法」第52条第5項)。Aさんは送還の禁じられた難民申請者であり、入管にとって送還の見込みが当面たたない人です。2年半をこえるAさんの収容期間の長さは、入管が送還の見込みがないにもかかわらず、不当にも収容継続に固執してきたことの証左でもあります。しかも、Aさんの場合、「逃亡のおそれ」がなく、したがって身体拘束の必要がないことはあきらかです。というのも、Aさんは仮放免されていた2010年から17年までの期間、入管の指示する1~2か月ごとの出頭日に欠かさず出頭していましたし、再(々)収容が予測された今年7月と10月にも「逃亡」することなく出頭し、その結果、収容されたのですから。

 入管にとって収容の目的をはたせる見込みがなく、しかも「逃亡」しないとわかりきっている相手を医療もまともに受けられないような施設に閉じ込め、自由をうばいつづける必要がどこにあるのでしょうか?

 Aさんにかぎらず、7月以降、東日本と大村の両入管センターでハンストをおこなって健康をそこなった被収容者について、入管は2週間ほどの短期間だけ仮放免したのち再収容するということをくりかえしています。これら一連の再収容は、被収容者の抗議をおさえこむための見せしめ・恫喝を意図したものとしか理解しようがありません。このように人間の身体を見せしめの道具としてもちい、人の生命と尊厳をもてあそぶやり方は、けっして許されるものではありません。

 また、このくり返しの収容は、入管当局の意図はどうであれ、被収容者たちのハンストをあおり助長する結果になっています。長期収容とハンストで衰弱・疲弊し、心身がぼろぼろになった人をいったん仮放免しては短期間で再収容するということを入管はおこなっていますが、Aさんふくめこうして再収容された人の多くが、ふたたびハンストを再開する結果になっているのです。

 ハンストを何度もくり返すのは、心身にきわめて負担が大きく、言うまでもなく生命を危険にさらすものです。ところが、入管はAさんに対し、まるで魚釣りの「キャッチ・アンド・リリース」のような仕打ちを、1度ならず2度までもおこないました。こうしたくり返しの収容が、現に被収容者による危険なハンストを助長しているという事実があるにもかかわらずです。

 Aさんの再収容は、入管施設において今後死亡者がまた出かねない状況を入管みずからが選んで作っているという点で、人命軽視もはなはだしく、絶対に容認するわけにいきません。

 東日本入管センターに対し、10月28日に再々収容した人をただちに仮放免するようになどと抗議・意見提示をおこなうよう、よびかけます。また、多くの報道関係者にぜひともこの問題を取材・報道していただくようお願いします。


抗議先
東日本入国管理センター(総務課)
 電話:029-875-1291
 FAX:029-830-9010


 なお、今回の問題に関しては、抗議の声、批判的な意見があるということを入管の組織のなかで共有・検討してもらうことが重要だとおもいます。電話で対応する職員に対し「所長につたえてください」「抗議の内容を文書にして上に報告してください」などと要請するかたちで、抗議として十分意義があると考えています。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇





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Friday, October 18, 2019

10月15日 東京入管への申し入れと抗議行動 再収容の中止などもとめて


 10月15日(火)、仮放免者の会とBOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)とで東京出入国在留管理庁(東京入管)に対し、申し入れと抗議行動をおこないました。

 申し入れた内容は、以下の3点です。

  1. 2週間といった短期間での再収容はしないこと
  2. 超長期の被収容者をただちに全員仮放免すること
  3. 被収容者への医療放置をやめ、診療を求める者は直ちに診療させること

 抗議行動は、東京入管への抗議と被収容者への激励をこめて、仮放免者と支援者あわせて10名ほどでおこないました。参加者全員で「長期収容をやめろ」「再収容をやめろ」「病人を病院につれていけ」「外国人への差別をやめろ」などとシュプレヒコールをあげるとともに、仮放免者たちがそれぞれ英語・フランス語・スペイン語で収容されている仲間を激励するスピーチをおこないました。東京入管の8から11階に収容されている仲間たちからもこれに答える声や指笛があがりました。

 この日に東京入管に提出した申入書を以下に掲載します。



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申 入 書
 
2019年10月15日

東京出入国在留管理局長 殿
東京出入国在留管理局主任審査官 殿


仮放免者の会(関東)
BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)


一、2週間といった短期間での再収容はしないこと

 現在、入国者収容所の両センターは、収容中にハンストをおこなうなどして健康状態が深刻に悪化した人について、仮放免を約束して摂食を再開させ、2週間といった短期の仮放免期間を与えて仮放免している。そして貴職らは、2週間後に再収容してセンターに戻すということをくりかえしている。

 ハンストの広がりと長期化が被収容者たちの生命・健康を危険にさらすものである以上、これを収束させる必要があることは言うまでもない。しかし、ハンスト後に出所した人を短期間で元のセンターにもどし、これを他の被収容者への見せしめにして「ハンストしてもムダだ」と恫喝するようなやり方が許されるわけがない。法は貴職らに対し、見せしめに使用するために人間の身体を拘束する権限を与えているのではない。

 拒食をくりかえすことは、心身への負担がきわめて大きく、生命の危険をもたらす行為である。両センターと貴職らが、見せしめのための再収容を今後もつづけるならば、被収容者たちをこのような危険な行為に駆り立て、本年6月の大村センターでの犠牲者につづき、また新たに死亡者を出す危険がきわめて高い。人命尊重を最優先する観点から、短期間での再収容をしないことを求める。



二、超長期の被収容者をただちに全員仮放免すること

 私たちは、6ヶ月以上の収容を「長期収容」と位置づけ、これに反対してきた。6ヶ月をこえるような収容は、高血圧・不眠等の拘禁を原因とするとみられる症状を発症させるなど、被収容者の心身への負担がいちじるしく、人権・人道上の問題が大きい。また、こうして収容が長期化することは、送還の見込みが立たないにもかかわらず収容が継続されていることの証左でもある。送還という、収容のそもそもの目的を達する見込みがないのに長期にわたり収容をつづけるのは、いたずらに被収容者の心身に苦痛を与え、その健康をそこなわせることにしかならない。

 こうした観点から、私たちは6ヶ月をこえる長期収容に反対してきたが、こんにちでは2年を超える「超長期」とも言うべき度をこした長期収容が各入管収容施設において常態化している。

 超長期の収容が横行しているということこそが、帰るに帰れない事情をかかえる被収容者たちの多くを絶望に追い込んでいる。この絶望が、多数の被収容者をハンストという危険な抗議手段に向かわせ、また被収容者たちのあいだにあいつぐ自殺未遂・自傷行為を引き起こしているのである。

 私たちはこれまで通り、6ヶ月を越える長期収容には反対だが、超長期収容が増大する中、まずこうした人たちから仮放免許可することを求める。



三、被収容者への医療放置をやめ、診療を求める者は直ちに診療させることを求める

 2013年から国費による強制送還(帰国忌避者への力ずくの送還)が再開され、同年よりチャーター機による帰国忌避者の集団送還も開始された。こうした退令執行の厳格化は、同時に入管収容施設での死亡事件も連続させている。2013年の東京局でのミャンマーのロヒンギャ難民(死亡は搬送先の病院)、翌14年の東日本センターでのイラン人、カメルーン人連続死亡事件、同年の東京局でのスリランカ人、17年には東日本センターでのベトナム人死亡と続いた。さらに昨年の東日本センターでのインド人自殺、本年の大村センターでの飢餓死がおこってしまった。この過程では、仮放免・放免直後の死亡もある。被収容者の生命や健康については、収容主体である貴職らが責任を負わなければならない。しかし実際には、上記の亡くなった7人のなかでも、カメルーン人、スリランカ人、ベトナム人については明らかな医療放置が見られる。本人が体の痛み、異常を訴えているにも関わらず、医者に受診させず、はなはだしきは職員が仮病であると勝手に医療判断していた。現在の東京局の被収容者から面会で聞いても、診療を求めて申出書を要求してもなかなか渡してもらえない、東京局診療室の医師は自分たちの病状の訴えを聞いてくれない、専門医に外部受診して診断がされても「お金がかかるから」と治療してもらえないなどの訴えを聞く。このようなひどい状況に置かれ、被収容者は病状を悪化させていく。いつまた死亡者が出ても不思議ではないような状況が続いている。医療放置は明白な人権侵害である。直ちに改め、病人を受診させ、治療することを申し入れる。

以 上

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1.東日本センターでのインド人自殺事件(2018年4月)
2.東日本センターでのベトナム人死亡事件(2017年3月)
3.東京入管でのスリランカ人死亡事件(2014年11月)
4.出所直後の中国人死亡(2014年7月)
5.東日本センターでのイラン人、カメルーン人連続死亡事件(2014年3月)
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