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Friday, August 3, 2012

東京入管による法務省令違反と人権侵害――被収容者からの「申し出書」

  東京入国管理局の被収容者たち(男性、Iブロック)が7月15日に連名で提出した「申し出書」を転載し、紹介します。「申し出書」には 11国籍(フィリピン、ナイジェリア、中国、インドネシア、ネパール、ベトナム、スリランカ、ウズベキスタン、韓国、ペルー、タイ)の26名が署名しております。

  この「申し出書」は、大きくわけて、前半・後半の二部構成になっております。前半では、入管収容施設の処遇の規則をさだめた「被収容者処遇規則」(以下「処遇規則」とします)が抜粋されています。後半では、この「処遇規則」にももとづきながら、合計33項目の改善要求がかかげられています。(以下転載において、「処遇規則」の抜粋である前半部分はグレーの文字で表示しております。まずは後半の具体的な要求項目をお読みいただいて、前半部分は必要に応じてそのつど参照していただければとおもいます)

  後半の要求内容を読んで具体的に思い知らされるのは、まず、入管の収容施設が、いかに収容されたひとたちの基本的な人権を侵害しているかということです。医療ネグレクトや衛生面の劣悪さもひどいですし、照明をつけたり消したりといったごく基本的な自由すら被収容者はうばわれています。ごくごくあたりまえのことがらですら、被収容者がこうしてひとつひとつ要求しなければならない。それほどひどく基本的人権が侵害されているのが、入管収容施設です。

  また、33項目におよぶ具体的で詳細な要求項目からうかがえることの第2点は、この「申し出書」が Iブロック被収容者たちの民主的な話しあいをとおしてつくられただろうことです。要求項目を一読してわかるのは、「申し出書」に多数の被収容者の意見・欲求が反映していることです。ひとりひとりの被収容者が意見を出し、また、そのひとりひとりの意見をみんなが尊重して聞き、話しあうというプロセスをへなければ、こうした具体的で詳細な要求項目は出てこないでしょう。

  要求の内容をみても、日本語が不得意な被収容者が職員から不利なあつかいを受けていることを問題化していたり、お金のない被収容者への便宜を要求していたりと、被収容者のなかでもとくに立場の弱いひとの権利が尊重されなければならないという、Iブロック被収容者たちの意思がつたわってきます。

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  今回の「申し出書」は、さきにふれた法務省令である「処遇規則」の第四十一条に規定された「処遇に関する申出」として、東京入国管理局に提出されています。「申し出書」でも引用されていますが、ここでもその第四十一条の条文をあげておきます。
(被収容者の申出に対する措置)
第四十一条  入国警備官は、被収容者から処遇に関する申出(次条第一項の規定によるものを除く。)、その他法令に定める請求又は申出があつたときは、直ちに所長等に報告しなければならない。
2  所長等は、前項の報告のあつた事項について、速やかに処理し、その結果を当該被収容者に知らせるものとする。

  当然、このたびの「申し出書」にたいして、東京入管の所長は被収容者たちに回答する義務を負いますが、「申し出書」がもうけた回答期限である 7月27日になっても、いまだ回答がないとのことです。
  「ルールを守って国際化」が入管の「合い言葉」だそうですが(入国管理局ホームページより)、東京入管はルールを守らないのでしょうか?

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  なお、「申し出書」は、東京入国管理局とともにもうひとつ、入管収容施設に対する視察等を行い,意見を述べる第三者機関である「東日本地区入国者収容所等視察委員会」をあて先にしております。「東日本地区入国者収容所等視察委員会」には、本日8月3日、「申し出書」を郵送いたしました。
  「東日本地区入国者収容所等視察委員会」には、「申し出書」が指摘する東京入管の法務省令違反および人権侵害について、公正な調査と改善勧告をおこなうよう、要請いたします。

  以下、「申し出書」の全文を転載します。


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2012年7月15日

申し出書

東日本地区入国者収容所等視察委員会
施設名:東京入国管理局(収容場)

  私は以前、提案書を作成し、2012年6月14日に皆の署名と共に提出しました。
  けれど未だにほとんどの意見が受け入れられていなく、返答も改善の変化がなく、直接意見を入管職員に申し込んでも相手にされず、私達の人権が尊重されていないので改めて期限を設け、皆の意見と人権を署名の元に主張し申し出ます。
  私達の意見は早期の改善を要求し、拘禁生活で最も必要な措置で人権の確保を強く要望します。早急の対応、又は返答をお願いします。

※回答期限  2012年7月27日

  出入国管理・実務六法を元に主張します。

被収容者処遇規則

    第1章  総則
(目的)
第一条  この規則は、出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)により入国者収容所又は収容場(以下「収容所等」という。)に収容されている者(以下「被収容者」という。)の人権を尊重しつつ、適正な処遇を行うことを目的とする。

(生活様式の尊重)
第二条  入国者収容所長及び地方入国管理局長(以下「所長等」という。)は、収容所等の保安上支障がない範囲内において、被収容者がその属する国の風俗習慣によつて行う生活様式を尊重しなければならない。

(意見聴取等)
第二条の二  所長等は、被収容者からの処遇に関する意見の聴取、収容所等の巡視その他の措置を講じて、被収容者の処遇の適正を期するものとする。

    第二章  収容
(適法な収容)
第六条  所長等は、新たに収容される者を収容所等に収容するときは、その収容が適法であることを確認しなければならない。

(健康診断)
第八条  所長等は、新たに収容される者について、必要があると認めるときは、医師の健康診断を受けさせ、り病していることが判明したときは、病状により適当な措置を講じなければならない。

    第四章  保安
(戒具の使用)
第十九条  所長等は、被収容者が次の各号の一に該当する行為をするおそれがあり、かつ、他にこれを防止する方法がないと認められる場合は、必要最小限度の範囲で、入国警備官に、当該被収容者に対して戒具を使用させることができる。ただし、所長等の命令を受けるいとまがないときは、入国警備官は、自ら戒具を使用することができる。
  一  逃走すること。
  二  自己又は他人に危害を加えること。
  三   収容所等の設備、器具その他の物を損壊すること。

(戒具の種類)
第二十条  戒具は、次の四種類とする。
一  第一種手錠
二  第二種手錠
三  第一種捕じよう
四  第二種捕じよう

    第五章  給養及び衛生
(適正な給養等)
第二十一条  所長等は、被収容者の給養の適正と衛生の保持に努めなければならない。

(物品の使用)
第二十四条  被収容者に使用させる物品は、次に掲げるものとし、その品目、数量及び使用期間は、所長等が定める。
  一  食卓
  二  いす
  三  食器
  四  理容用具
  五  運動用具
  六  娯楽用具
  七  図書
  八  掃除用具
  九  洗面用具
  十  喫煙用具
2  所長等は、必要があると認めたときは、物品の種類を増加することができる。
3  前項により、物品の種類を増加したときは、理由を付してその旨を法務大臣に報告しなければならない。
4  所長等は、前項の理容用具、運動用具及び娯楽用具については、被収容者の申出により、収容所等の保安上又は衛生上支障がないと認める範囲内において、使用させるものとする。

(運動)
第二十八条  所長等は、被収容者に毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与えなければならない。ただし、荒天のとき又は収容所等の保安上若しくは衛生上支障があると認めるときは、この限りでない。

(衛生)
第二十九条  所長等は、被収容者の衛生に留意し、適宜入浴させるほか、清掃及び消毒を励行し、食器及び寝具等についても充分清潔を保持するように努めなければならない。

(傷病者の措置)
第三十条  所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。
2  収容所等には、急病人の発生その他に備え、必要な薬品を常備しておかなければならない。

第八章  雑則
(被収容者の申出に対する措置)
第四十一条  入国警備官は、被収容者から処遇に関する申出(次条第一項の規定によるものを除く。)、その他法令に定める請求又は申出があつたときは、直ちに所長等に報告しなければならない。
2  所長等は、前項の報告のあつた事項について、速やかに処理し、その結果を当該被収容者に知らせるものとする。




  以上の事が明記されていますが、現状に違法性があり、その改善を徹底して頂きたい為その主張をし、申出ます。


(目的、「第一章  総則、第一条」)、(生活様式の尊重、「第二条」)について。
一、収容所の入管職員の身分証が現在ID番号のみで、氏名等が負傷で私達に対しての配慮が無いので、正式な身分証の義務を進めてもらい、互いが尊重出来るよう氏名明記を願います。

一、照明の管理は現在職員にしてもらっていますが、早朝眠たい者がいたり、消灯を頼んでも拒否され、自分たちの意見が通らないので、その管理を私達の部屋でも出来るようにして下さい。

一、現在入管職員の点呼時にはどんな理由があろうと1人ひとりが座った状態でないと進まず、認めてもらえないので、その措置の中止を申出ます。睡眠途中でも起こされ、侵害されている為、点呼時横になる事が認めてもらえるよう検討して下さい。

一、電気使用の延長、下記の帰還に冷蔵庫の設置、アイスや氷、冷凍物を購入した時の保管用の為、この処遇を取り入れて下さい。

一、電話機周辺が人の出入りや、呼び出し等のアナウンス音が頻繁にあり、その騒音で電話の音声が聞き取りづらく、大事な話も含まれている為、その対策として各電話機を切願に仕切りボックス等の設置を願い申出ます。

一、日本語での会話が出来る、出来無いで職員の対応が違い、平等な扱いが実施されていない為、今後このような対応が無いよう徹底し、平等にみて下さい。

一、入管施設の詳細なルールの明記を提出して下さい。職権による違法措置が頻繁に行なわれ、統一が無いので強くこの明記を提出頂くよう主張します。

一、他の拘禁施設にも認められている官支給での[日本語、英語]新聞閲覧を申出ます。

一、映画専門のチャンネル、又はその放送を投入して下さい。

一、私達は現在フリータイム(居室からの一時的解放)を1日6時間もらって生活していますが、これではほとんど生活が居室となり、監禁状態でストレスの種となり限界がありますので、早急に夜間のフリータイムを設け、又は朝から夜8時まで連続のフリータイムにするよう申出ます。フロア内は二重扉で保安上問題無く厳重なので私達の人権を考慮し、検討して下さい。

一、テレビの視聴延長を願います。現在は午前9:30~午後10:00となっていますが、今後午前7:00~午後11:55まで延長を検討して下さい。

一、運動場、居室にラジオ放送を投入して下さい。音楽が流れるだけで精神的に違うので、精神病、うつ予防の為よく検討し、早急に投入して下さい。

一、オリンピック、ワールドカップ等、国際競技の行事開催期間中には、多国籍の私達が母国と共に参加し、見守り応援する機会を得たいので、時間関係無く視聴出来るよう人権を元に申出ます。

一、居室、居室内トイレ、面会室、電話機等にカメラ、又は盗聴機等の有無の実証を求めます。そのような疑いが様々な証言によってあるので、この背景の事実確認を至急照明して下さい。

一、飲食料の差し入れを実施可能にして下さい。金銭的余裕の無い者や、当施設の給養が間に合わない者が多数いるのでこの処遇があるととても助かります。保安上の問題がある場合はその検査部門を設け、人権の尊重を元に検討して下さい。

一、ここ東京入国管理局に収容されている者には、短期、中期、長期の収容者が多数収容されているので、出国待ちの理由で私達の意見を反対せず、受け入れの姿勢で少しでも多くの意見を取り入れて下さい。


(意見聴取等、「第二条の二」)について。
一、提案・意見箱に投函されるその旨の書面が回収されるまで4週間以上もかかり、回収される意見書、提案書を元に会議されるのが年3回程となっていますが、これでは投函した者が当収容所にはいないのが現状で、私達の生活に対して尊重でない為、今後提案箱、意見箱の書面を頻繁に回収し、速やかに処理されるよう願います。


(適法な収容、「第二章、第六条」)について。
一、以前、当収容所で禁煙者の者を喫煙者専用のフロアに強制的に収容し、タバコの煙に害があり、体調不良を訴え、禁煙者専用のフロアに移してもらうよう頼んだのですが、この時、入管職員は「適法な収容で、タバコの煙は我慢するよう」と発言し、マスク1枚与えたのみで放置されましたが、この違法性の事実確認を早急にし、今後2度とこの違法な収容がないよう徹底して下さい。


(健康診断、「第八条」)、(傷病者の措置、「第五章、第三十条」)について。
一、私達はいつも体調不良を職員にしか申し込めず、この度に訴えていますが、毎回職員に「様子観てから」と言われ、薬の支給のみの対応だけで終わらせ、専門の分野でないにも関わらず、私達の病状への適当な措置と必要な診断がないので、改善の措置を強く主張します。

一、カウンセラーによるカウンセリングの設置を設けて下さい。精神療法の取り入れを特に強く主張します。長期、短期に関わらず今の生活で多数の者が精神障害を被っている為、早急の投入をして下さい。


(適正な給養当、「第二十一条」)について。
一、当収容所食事は揚げ物等でカロリーがありますが、体格等により当収容所の食事では間に合わない者が多数おり、皆が自費で自弁を購入出来る余裕等は無いので、その者が食事の量を増やすよう求めた時は受け入れるようにして下さい。


(戒具の使用、「第四章、第十九条」)について。
一、私達の急病や重傷の理由等で外部の病院に行く際に手錠(第一種手錠、及び第一種補じょう)での連行が私達に対して義務化されていますが、これでは外部の病院内で視線の的(まと)となり、犯罪者扱い同様で私達の人権の尊重が無く、連行職員6名が毎回居るにも関わらず、保安上義務されるのは違法な措置であり、体調不良の負担がより大きくなるので、この違法な措置を早急に中止し、今後この様な違法な措置がないよう徹底して下さい。又、その他の理由で外出する際も同様、違法な措置がないよう人権を尊重し、徹底して下さい。


(物の使用、「第五章、第二十四条」)について。
一、いす、入管側貸与の図書(多国籍用語)、洗面用具(せっけん、ハブラシ、歯みがき粉)の貸与が一切無く、申し出ても貸与拒否されている為、早急に必要な者に貸与願います。

一、運動用具として、(ダンベル等の筋力トレーニングを職員立ち会いの元、少し硬いサッカーボール)の貸与を申出ます。

一、娯楽用具として、(CDプレーヤー、MP3、ノートパソコン)の使用を認めて下さい。

一、娯楽用具にチェスの投入をして下さい。将棋は分かりません。


(運動、「第二十八条」)について。
一、当収容所の運動場では日が当たらなく、健康にも良くないので、余計な部品を取り外し、太陽の陽が入り当たるよう改善して下さい。又、一部には熱中症予防の為、付けておいて下さい。

一、運動場にラジオ放送(音楽有線)をして下さい。外部の船や、荷物運搬のトラックの騒音等で動き出す度に聞こえるので、投入すればリラックスした運動が出来るので強く願います。


(衛生、「第二十九条」)について。
一、以前フロアリーダー(職員の日直責任者)に、入浴室、各居室のエアコン機(ほこりがたくさん付着している為)、洗濯機周辺の徹底した消毒を申出ましたが、未だに実施されておらず、清潔に保てない為、早急に消毒を実施して下さい。

一、各居室が不快に異臭する為、消毒除菌を早急に実施して下さい。又、居室用フレッシュ、トイレ用芳香剤を各居室に貸与し、又は支給して下さい。

一、各居室の畳にダニ等が頻繁に大量発生し、その除菌も徹底されていなく、私達に出来る掃除と消毒には限界があるので、各居室の畳の張り替えを強く主張し、要求します。このままでは生活上支障あるままで、衛生的環境も良くないのでお願いします。又、当収容所の畳に年季もあり、だいぶ替えてなく、ぼろぼろなので、この事情も考慮して下さい。


(被収容者の申出に対する措置、「第八章、第四十一条」)について。
一、以上の申出を早急に投入し、又は改善されるよう強く主張します。

一、今まで述べた真相の事実確認の意味も含め、全被収容者に対してアンケート検査の実施をして下さい。又、この結果の開示及び報告も実施して下さい。

一、2012年7月15日現在までの処遇に関する申出です。
以上

平成24年7月15日     代表(I-6  ジミー)


  以上の提案、意見に同意し、この書面をよく理解して私も主張の場を借りてここにサインし、署名を参考にしてもらい、早期の改善を期待し、適正な措置などを要望します。

(以下、署名覧――省略)













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