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Wednesday, June 19, 2013

【速報】東日本入管センターでも被収容者のストライキ(注目と抗議をお願いします)

  昨日6月18日(火)より、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の被収容者が集団での帰室拒否ストライキを開始しました。

  東日本入管センターでは、フリータイムと呼ばれる開放処遇の時間帯(9:20~11:40、13:00~16:30)をのぞき、カギのかかった居室に閉じこめられます。今回おこなわれているストライキは、フリータイム終了時刻の16:30になっても帰室を拒否し、団体でのセンター側との交渉をもとめるものです。

  ストライキに参加している被収容者数など、現在のところ詳細は不明ですが、複数のブロックにまたがり、数十名規模での帰室拒否がおこなわれているもようです。

  あるブロックでは、およそ20名が18日夕方に帰室を拒否し、以下の要求をセンター側につたえたうえで、この日は18時前に全員が帰室したとのことです。なお、こうした夕方の抗議行動は、きょう(19日)以降も、被収容者たちは継続してくりかえしおこなう意向だといいます。

  1. 仮放免申請の審査に長期間かかっている(2ヶ月以上待たされている事例も多い)ので、その理由を説明すること。
  2. 長期収容をしないこと。
  3. 仮放免不許可の場合に不許可理由を説明すること(現在、センター側はいっさい理由を説明していない)。
  4. 医療処遇を改善すること。
  5. 人権を尊重すること。
  6. チャーター機での一斉送還の計画は本当なのか、説明すること。

  被収容者側は、これまでも連名での嘆願書提出などの手段によって、くりかえし処遇の改善等をうったえてきました。


  ところが、こうした要求に対し、入管センター側が真剣に検討し、回答してこなかったことに、被収容者たちの不満がたかまっております。

  今回の集団での帰室拒否ストライキは、以上のような経緯があっての行動であり、誠実に話し合いに応じることをセンター側にもとめた、非暴力による抗議行動です。センター側による暴力的な弾圧をゆるさないため、みなさまに、今後の推移を注目していただくとともに、電話やファクシミリ等によるセンターへの抗議をよびかけます。

  とりわけ、暴力的な制圧をおこなわないこと、被収容者との話し合いに応じ、誠意ある回答をすることを、センター側にもとめていただけるとさいわいです。


【抗議先】東日本入国管理センター  総務課
  • tel: 029-875-1291
  • fax: 029-830-9010
  • 〒300-1288 茨城県牛久市久野町1766-1



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【解説】
  このたびの被収容者による抗議行動の背景について、当ブログのこれまでの記事なども参照しながら、以下に整理しておきます。

  東日本入管センターには、現在およそ400名が収容されています。その大多数は、入管から退去強制令書を発付されたものの、それぞれ帰国できない事情をかかえ、国籍国への送還を拒否している人たちです。

  帰国できない事情は人によりさまざまですが、そのひとつは、帰国することで殺害や投獄の危険が予想される難民であるということです。周知のとおり、日本の難民認定審査は、申請者自身に難民性の立証責任をおわせるなど、申請者にとってきわめてきびしい運用がなされており、例年の認定者数も諸外国にくらべて異常に少ないという現状があります。こうしたなかで、退去強制令書を発付されながらも難民認定申請をおこない、仮放免許可での出所を待っている人が多数おります。

  また、日本に家族がいるために、帰国すると配偶者や子どもなどと離ればなれになってしまう人も多数収容されています。オーバーステイ状態にあっても、パートナーとの婚姻をととのえたうえで出頭すれば、入管は在留資格をみとめる場合が多いです。しかし、不運にも、婚姻の手続きを終えるまえに摘発されてしまった場合、摘発後に婚姻しても入管はなかなか在留資格を認めません。婚姻の手続きに時間や費用がかかるケースは多々あり、婚姻の準備をすすめているところで摘発されてしまうというケースも多くあります。また、法的な婚姻手続きが完了していても、「偽装結婚」の疑いありと入管側が判断すれば、在留資格が認められません。これは入管側の裁量ひとつで「偽装結婚」かどうかの判断を恣意的におこなえるということであって、これに対して外国人の側からは、訴訟等によって「真正な結婚」であるとの立証をみずからおこなっていくしかありません。

  帰国できない事情として、ほかに、日本への滞在が長期にわたるため、国籍国には生活基盤がもはやないという人も多数おります。そのなかには、10年以上あるいは20年以上ものあいだ、非正規滞在の労働者として職場等で不可欠な労働力として必要とされてきたものの、「不法滞在」「不法就労」を「厳格に」取り締まるという日本政府・法務省の方針転換後に、摘発され強制退去を命じられている人がいます。日本政府が、在留資格・就労資格をもたない外国人を「不法」化した状態で安価な労働力として利用する政策から、これをいわば「不要」とみなし集中的に摘発し追放する方針へと転換した過程については、以下の記事を参照してください。


  また、国籍国に帰国できないという人のなかには、かつて在留資格があったものの、刑罰法規違反により在留資格が取り消されたりその更新を認められず、退去強制令書を発付されたという人もいます。こうした人たちは、すでに懲役等の処分を受けたうえで入管に収容されているわけです。これにくわえて入管から国外追放を命じられるということは、ひとつの違法・違反行為に二重の制裁が科されるということです。日本国民であれば科されることのない、こうした二重の制裁が、外国人の場合は入管法を根拠に科されることがあるわけです。とくに、長期滞在により国籍国に生活基盤がない人、あるいは幼少期に来日しており国籍国での教育を受けていない人にとって、退去強制は、更生し社会復帰する機会を不当にうばうものにほかなりませんし、刑罰法規違反を理由にほとんど見知らぬ土地に放り出されるということを意味します。

  以上のように、帰るに帰れない事情を、東日本入管センターの被収容者のほとんどがかかえており、そうしたそれぞれの事情や国籍・宗教・民族等をこえた団結のもと、抗議行動がおこなわれています。

  しかも、昨年からとくに仮放免許可が出にくくなり、これにともない収容の長期化が生じています。収容期間が1年半や2年をこえる被収容者もおります。収容の長期化によって、病状が深刻化する被収容者がふえますし、センターの医療体制は約400人の収容人数にとうてい追いついていない状況があるため、以下のようなおどろくべき深刻な事態も現に生じています。


  このように、収容の長期化とこれにともなう医療処遇のさらなる悪化が、今回の被収容者のストライキの大きな背景としてあることはまちがいありません。

  なお、西日本入管センター(大阪府茨木市)でも、被収容者による抗議行動が6月14日からおこなわれています。長期収容と劣悪な医療処遇に対する抗議とのことで、被収容者数63人のうち、30人弱が参加してのハンガーストライキが継続中です。

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