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Friday, December 27, 2013

東京入管執行部門職員の暴言・暴力行為等についての申入書

  12月26日に、被収容者に対する東京入国管理局の執行部門職員の暴言・暴力行為等について、申し入れをおこないました。

  執行部門とは、退去強制令書の「執行」、すなわち強制送還をおこなう部署です。「強制送還」と言うと、身体を拘束してむりやり航空機にのせるという方法での送還(「国費無理やり送還」とも呼ばれます)がイメージされるかもしれません。しかし、このような形での送還は件数としてはごく少数で、強制送還の大多数は「自費出国」というかたちで執行されています。「自費出国」においては、退去強制令書を発付された被送還者が出国に同意し、旅費をみずから負担するかたちで、送還されます。

  執行部門の「チケット担当」と呼ばれる職員は、退去強制令書を発付された人と「執行面接」をおこない、送還を忌避する人への帰国勧告もふくめた「自費出国」のための準備・相談の職務をになっているものです。

  ところが、この「執行面接」において、チケット担当による暴言や暴力行為があり、そのなかで難民申請の取り下げや行政訴訟の断念を強要するような行為があったこともあきらかになったことから、これに抗議し申し入れをおこないました。

  もちろん、申入書に例をあげたような個々のチケット担当の暴力そのものと言うべき行為はきびしく追及されなければならないし、東京入管執行部門のあり方が問われなければならないことも言うまでもありません。しかし、執行部門とその職員による、ひかえめに言っても「行き過ぎ」と言えるような暴力的な手法が、なにに起因するのかという点も同時に問わなければなりません。

  日本の社会・経済がさまざまな面で依存してきた非正規滞在者を文字どおり一掃しようという、2003年ごろに始まる政策がすでに破綻したことはあきらかだということ、また、その破綻した政策に無理に固執しようとしてきたことの帰結のひとつが、こんにちの「仮放免者問題」であるということは、これまでも私たちが主張してきたところです(参照:仮放免者問題と強制送還について――この10年の入管行政をふりかえって)。

  このたび申し入れた執行部門職員の暴言・暴力、そして、個別の国費無理やり送還と比較してもその強引さが覆うべきもなかったチャーター機による先日の一斉送還(参照:チャーター機によるタイ人一斉送還に抗議する申入書)は、政策のゆがみの反映でもあり、同時にこれを支えている経済界、日本社会の住民のあり方もまた問われなければならないところです。以前に転載した『日経新聞』の記事が論じるとおり、問われているのは「不法就労者と知りつつ利用しようとしてきた日本社会が負うべきつけの精算」でもあるのです。

  以下、今回の申入書の全文です。


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申  入  書


2013年12月26日

法務省入国管理局長  殿
東京入国管理局長  殿
東京入国管理局執行部門首席入国警備官  殿

関東仮放免者の会(PRAJ)


  東京入国管理局執行部門のいわゆる「チケット担当」による、被収容者にたいする暴言・恫喝・差別発言の事例があいついでいる。法務省入国管理局および東京入国管理局にたいし、以下にあげる事例について調査した上で、執行部門職員のフジワラ、タニダ2名を厳正に処分するとともに、暴言・恫喝・差別発言を受けた被収容者に局としての謝罪をおこなうことなどをもとめる。


事例1
  10月21日午後、チケット担当のフジワラ(B030)は、Iブロック(当時)の被収容者Aさんに対し、「難民をやめて欲しい。出来ないのだから、すぐにやめて下さい」などと述べ、難民申請を取り下げるよう罵声をはりあげて恫喝をくわえた。フジワラの怒鳴り声は、調べ室の外にも聞こえるほどのもので、ドアのまえを通りがかった他の被収容者が驚くほどのものであったという。さらに、フジワラは、自身のぼうしを机にたたきつけ、そのぼうしをAさんの顔にむかって投げつけるという物理的な暴力行為にもおよんでいる。また、フジワラはAさんに対して、「[調べ室に]毎日呼ぶから」と述べ、上記のような暴力的な聴取を今後ともくり返すことを予告して、精神的な圧迫をくわえている。
  Aさんは、これらの件に関し、不服申し出をおこない、11月7日付けで東京入国管理局長名での「理由あり」の判定書を受け取っている。ところが、Aさんは入管側から「[フジワラを]しかっておきましたから」と口頭での説明をうけたのみで、いまだフジワラおよび東京入国管理局からの謝罪はなされていない。さらに、フジワラに対する処分の有無および内容もあきらかにされておらず、フジワラはあいかわらずIブロックに出入りして職務をつづけているという。


事例2
  11月20日に、前述のフジワラは、Iブロック(当時)の被収容者Bさんに対しても、きわめて不適切な言動におよんでいる。Bさんが、自身の受けた退去強制令書発付処分について代理人をたてて行政訴訟をおこなう意向であることを述べると、フジワラは通訳を介して「あなたはお金があるのか? どこからそのお金を用意するつもりなのか? あなたは脳みそがないのか?」などと暴言をはいた。また、フジワラは、Bさんを「うそつき」よばわりしたうえで、「入管相手にあなたなんか勝てるわけがない」と述べて、訴訟を断念させようと恫喝をくわえた。さらにフジワラは、Bさんの婚約者が同国人の友人たちから経済的支援を受けていることについて「こじきと同じようなものだ」と侮辱する発言をおこなった。


事例3
  12月3日、チケット担当タニダ(ID番号不明)は、Cブロックの被収容者Cさんの家族が生活保護を受給していることについて、「サギである」などと決めつけ、「区役所が訴えれば、おまえの奥さんのビザも取り消しになる」「東京の警察は入管の言うことを聞く。警察におまえの奥さんをつかまえさせることもできる」などと述べて、Cさんを威嚇した。なお、Cさんの妻は、Cさんがオーバーステイであることを区役所の担当者に申告したうえで生活保護を受給しており、タニダによる「サギ」うんぬんは中傷以外のなにものでもない。また、いち行政機関にすぎない入国管理局の職員が、警察や区役所の権限事項をあたかもみずからが左右できるかのように語り、被収容者を密室で脅迫するのは、ひかえめに言っても職務の範囲と権限を逸脱した行為と言うべきものであって、許されない。
  タニダについては、11月にもべつのCブロックの被収容者Dさんに対しても、調べ室に呼んで威圧的な面接をおこない、面接終了時にドアをけっとばしてDさんに退室を命じるといった暴力行為におよんだことが、報告されている。また、タニダは着用を義務づけられた職員のIDをしるしたプレートをかくして職務をおこなっているという。


  以上にあげた事例から、フジワラ、タニダの2名が基礎的な人権意識を欠き、日本国憲法の遵守義務を課せられた公務員としての適性をいちじるしく欠いていることは明白である。
  ただし、かれら2名だけを処分して済むような問題とも考えられない。というのも、チケット担当の一部の者が、被収容者を「おまえ」呼ばわりし(上記タニダ以外にも「おまえ」という呼称をもちいるチケット担当がいるという証言が複数の被収容者からなされている)、差別的・侮蔑的な発言をくりかえし、ぼうしを投げつけたりドアをけりとばしたりといった行為におよぶのは、かれらがこれら行為を、「職務として許容される範囲内のもの」ないし、「組織において分担された役割として自身に期待された職務」と理解していたと考えられるからである。つまり、東京入国管理局ひいては入管組織全体において、外国人、とりわけ退去強制手続きの過程にある外国人に対しては、通常では人権侵害とみとめられるような言動があっても、それが人権侵害と認識されないという、外国人に対する根深い差別体質があると考えざるをえない。


  以上をふまえ、以下、申し入れる。

(1)  被収容者に対する暴力行為・暴言・差別発言・恫喝行為のあったフジワラ、タニダの2名、ならびにこれらの者を監督する責任のあった上司を厳正に処分すること。
(2)  東京入国管理局長ならびに東京入国管理局執行部門首席入国警備官は、被害を受けた4人に公式に謝罪すること。
(3)  東京入国管理局長ならびに東京入国管理局執行部門首席入国警備官は、東京入国管理局全被収容者に対し、文書の掲示等によって、フジワラ、タニダ2名の不適切な言動の内容と処分内容を具体的に報告するとともに、今後このような人権侵害を引き起こさないための改善方針と計画を提示すること。なお、同様の報告および方針・計画の提示は、すでに東日本入国管理センターに移収されたAさん、強制送還されたBさんに対しても、おこなうこと。
(4)  チケット担当による「執行面接」について、人権侵害を防止するための職務規定・規則がすでにあるならば、これを公表すること。ないならば、早急にこれをさだめ、公表すること。
(5)  一般論として、執行部門等に所属する入国警備官が、退去強制令書の発付を受けた者に対し、「難民申請してもムダ」「裁判をやってもあなたに勝ち目はない」等の発言により、難民認定申請、また退去強制令書発付処分に関する行政訴訟を断念させるように働きかける行為は、適法また適切な職務の遂行の範囲たりうると考えているのか。東京入国管理局としての見解を示されたい。
(6)  入国管理局職員、とくに退去強制手続きに関与する職員にたいする人権研修の現状を検証し、適切な人権研修をあらためておこなうこと。

以  上

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  申入書の事例1のAさんは、「チケット担当」から受けた暴力行為等について、東京入管局長に対し、不服の申し出をおこないました。これにたいし、東京入管側は「理由あり」としてAさんの申し出を認めました。

  ところが、Aさんにたいする謝罪が現時点でもなされていないばかりか、東京入管側は、不服の申し立てについて「放棄書」を書くようにAさんにすすめるなど、問題をもみ消そうとするかのような、きわめて不誠実な対応すらとっています。

  以下に、Aさんの不服申出書、および「理由あり」の判定後の入管の対応についてAさんが記した文書を、Aさん、文書を日本語訳したAさんの友人であるEさんおふたかたの了解を得て、公開します。


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【Aさんの不服申出書】



  私は、Iブロック○室の○○○○[国籍]のAと申します。昨日のチケットの担当とのやりとりの中におかしい点があったため、ここに書きます。
  昨日(10/21)の午後2:00~4:00の2時間の間に、チケット担当のB030の方に呼ばれ、取り調べ室へ行きました。そこで言われたのは、「難民をやめて欲しい。出来ないのだから、すぐにやめて下さい。」と言われました。何度も同じ事を言われ、最初は普通でしたが、だんだんと強い口調になりました。私は、最初からおかしいと思いました。難民の結果もまだ出ておらず、それどころかインタビューすら1回も受けていないのに、しかも「難民」担当ではなく、「チケット」担当だったため、おかしいと思いました。私はことわっていたため、しまいにはどなりつけたり、一番精神的に苦痛だったのは、その担当はぼうしをとり、そのぼうしで机をたたき、そして私の方へ投げつけてきました。私には当たらなかったのですが、左ほほをかすめました。この時に、「毎日呼ぶから。」とも言われました。難民担当でもない人、しかもどなりつけたり、物を投げつけたりするのは、法にふれる事だと思い、私は納得いきません。それに、私には家族の事など、事情があり、在留資格を得るための訴えは、私には自由に出来るはずです。ですから、人として、話すなら普通に話し、物など投げつけたり、精神的苦痛、精神的暴力はけっして許しません。そして、チケット担当の人はとにかく関係ないと思います。これは人権侵害です。ただちに調査を行い、厳正な処分を強く求めます。
  そして、この日本語訳を書いている私、○○○○[国籍]のEも、この時間に面会に呼ばれ、取り調べ室の前を通りましたが、どこのヤクザがどなっているのかと思ったくらいの罵声でした。すぐに、Aさんが呼ばれた事を思い出しました。あり得ない事だと思いました(同じ部屋で、事情を聞いていたため。)。
○○○○[国籍]のA


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【「理由あり」の判定後の対応について】

  私は、○○○○[国籍]のAと申します。私はチケット担当のB030のフジワラという担当にに呼ばれ、取り調べを受けました。内容は、「難民申請をやめて、国へ帰って下さい。」との事でしたが、最初は普通だったのがだんだん口調が荒くなり、取り調べ室の前を通る人(面会に行く人など)が気づくほどでした。そして、しまいには帽子で机をたたき、そのぼうしを私の方へ投げ、当たらなかったが、左ほほにかすめました。それから「これからは、あなたが難民申請をやめるまで、毎日呼ぶから。」と言われました。私はこの事で精神的暴力、精神的苦痛を受けたとともに、そもそもチケット担当の職員が、難民についてこれだけの口出しをする事は、疑問に思い、法に反する事ではないかと思ったので、不服申し立てをしました。そして、それから私は、この日から担当の顔を見たり、前に呼ばれたりするだけで、恐怖感を覚えました。
  そして、11/7(木)に判定書をいただき、結果は「理由あり」って事で、その担当の方(三浦さん)からは「B030にはしかっておきました。」とのみ言われました。私は、実際に何もあやまられてもいなければ、B030は今も毎日のように見かけます。私は先ほども言った通り、B030も、他の担当も、顔を見るだけで苦しくなります。毎日、恐怖と屈辱な思いで過ごしています。気が休まることは一時もありません。私はとにかくこの入管のシステムに問題があると思い、たとえ「理由あり」という結果でも、何の動きもなく、本当に、どのような対応をとってくれたのかも確認出来ていません。ですので、私はもう一度異議申し立てをし、B030に対しての処分の証明書をいただきたいと思いまして、異議申立書を出すために書きました。そして、翌日の11/8(金)にもう一度、この異議申立書を出すのに呼ばれました。そこで私はまた三浦さん(今度は通訳つき)に担当していただきましたが、異議申立書を受け取ってくれませんでした。というのは、「理由あり」(判定書)に対して「不服」がある時に異議申立書を書くという説明を受けました。これに関してはよくわかりましたが、その後に「書くなら『放棄書』を書くように。」とまで言われました。私は、この入管のやり方をぜひ変えていただきたく、このようにまた私みたく他の同じ目にあう人が出ないようにして欲しかったため、放棄書を書くのは違うと思いました。そして、私はこの時に実際に受けた扱いや、された事を入管が調査し、事実確認された内容を証明していただきたくお願いしましたが、判定書のみしか得られないと言われ、うまく言いくるめられました。
  私には難民申請をする権利があるのなら、何の関係もないチケット職員に呼ばれ、「申請をやめろ。」って言われ、暴言や精神的暴力を受けて、どうしても許せません。なぜ、このようなやり方、扱いを当たり前のようになされているのかが納得できません。私の他にも、似たような扱いを受けて苦しんでいる人が何人もいます。こういう現状を知りながら、紙一枚(判定書)ですませている入管の管理のあり方が不適切としか思えません。苦情の申し出をしても、責任者である方から言いくるめられ、もうこの職員とも接する事や、見るだけで怖くて仕方ないです。毎日が本当に屈辱で恐怖感を覚える日々です。私の人権を侵害され、人としての人格を大きくゆがめられたと感じています。
  誰を頼ればいいのか、わからなく、このようなかたちをとらせていただきました。どうかお力をいただきたく、お願い申し上げます。


○○○○[国籍]のA

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