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Monday, December 9, 2013

【抗議の呼びかけ】タイ人に対する一斉無理やり送還について

  12月8日(日)、「昨晩、タイ人が居室から連れ去られた」という情報が、多数、私たちのもとに入ってきました。連れ去られたタイ人が収容されていたのは、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)、東京入国管理局(東京都港区)、東京入国管理局横浜支局(神奈川県横浜市)の各収容所・収容場です。

  入国警備官によって連れ去られたタイ人たちは、航空機で8日の夕方にバンコクに強制送還されたことが、あきらかになりました。被送還者数は50人ほどであるという情報も、送還された被害者からの電話等により寄せられています。

  私たちとしてはこの同意なき送還につよく抗議するとともに、みなさまにも電話やファクシミリなどでの抗議をひろくよびかけたいとおもいます。以下、とりあえずの抗議先をあげておきます。



抗議先

(1)東日本入国管理センター  総務課
tel: 029-875-1291
fax: 029-830-9010
〒300-1288 茨城県牛久市久野町1766-1

(2)東京入国管理局
tel: 03-5796-7250(総務課)
Fax: 03-5796-7125
〒108-8255  東京都港区港南5-5-30

(3)東京入国管理局横浜支局  総務課
tel: 045-769-1720
Fax: 045-775-5170
〒236-0002  神奈川県横浜市金沢区鳥浜町10-7



◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇

  今回のバンコクへの一斉無理やり送還の実態については、当ブログで今後あらためて報告していきますが、現時点で、被送還者のなかには、日本での滞在期間が20年以上におよぶ人が複数ふくまれている事実が、あきらかになっています。

  このブログでもくり返し指摘し、また法務省などへの当会としての申し入れでも述べてきたとおり、日本の入国管理政策は、法務省などが言うところの「不法滞在者」をあえて「不法」状態においたまま放置することで、安価でフレキシブル(いつでも首を切れる)な労働「力」を国内産業の雇用主に「供給」する、という利益誘導政策をとってきました。

  いわば非合法的に外国人労働「力」を導入してきたのは法務省・入管であって、また、とりわけバブル期にこうした非合法的な労働「力」に日本の社会・経済は依存してきたのです。

  ところが、2003年から2004年にかけて、法務省はこうした方針を一転させ、 「不法滞在者の半減5か年計画」なる計画を立て、非正規滞在労働者の徹底的な排除へと舵(かじ)をきります。2004年には、製造業分野での労働者派遣事業が解禁されております。つまり、日本政府としては、“今後は安くて首を切りやすい労働力としては派遣労働者をあらたに用意し、かれらに低賃金で不安定な労働をになってもらうので、あなたたち不法滞在者は用済みになりました”としたわけです。


  このようにして法務省は「不法滞在者」の存在が問題なのだと言い出すのですが、デタラメ・あべこべもいいところです。その「不法」状態を意図的につくりだしてきたのは法務省であり、そうして「不法」状態におかれた外国人を安く買いたたいてきたのは日本の社会・経済にほかならないのですから。

  長期滞在者、とりわけ2003~04年より以前から滞在している人を暴力で追い出すことは、それ自体が不当であり不正義です。

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  また、今回の被送還者には、日本に家族がおり、帰国すると家族が分離されてしまうケースも複数あったことが、現時点で確認されております。この点でも、このたびの一斉送還の非人道性はあきらかであり、また、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する」(第二十三条第1項)とさだめた市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)に違反する違法な人権侵害行為です。

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  さらに、現時点で、被送還者に退去強制令書取消訴訟の提訴期限(退去強制令書発付を通知されてから6ヶ月間)を過ぎていない人が複数おり、そのなかには入管にたいして訴訟提起の意思を明確にしていた人も、やはり複数人いたことがあきらかになっています。

  送還された人たちは、退去強制令書が発付されていたとはいえ、その退去強制令書発付処分とは、入管という行政機関によるものにすぎません。この行政処分を不服として、裁判所にその取り消しや無効確認を申し立てるのは、当然の権利です。

  行政訴訟の意向を明確に示している人を、いち行政機関にすぎない入管が勝手に送還したことは、裁判所を愚弄する行政機関の暴走と言うべきなのはともかくとしても、重要なのは、これが裁判の機会を不当にうばう権利侵害であるということです。

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  ところで、こうした法務省による人権をいくえにもふみにじる凶行は、法務省がさだめる人権週間(12月4日~10日)のさなかにおこなわれました。


  うえの法務省のサイトでは、「考えよう 相手の気持ち 育てよう 思いやりの心」などという人権とはなんの関係のないお題目をとなえて、法務省自身が人権のなんたるかをさっぱり理解していないことをみずから暴露しております。じっさい入管が帰国強要の手段として日々おこなっているように、「相手の気持ち」をよく「考え」ているからこそ、相手に効果的に恫喝をくわえ、虐待し、より深く相手の心にダメージを与えられるということもあるのですし。人権とは、「思いやり」ではなく、「人としての不可侵の権利を保障しろ、またそれを侵害するな」ということでしょう。

  また、人権を、「相手の気持ち」に「思いやり」をもちましょうなどという個々人の心持ちのレベル一般の話におとしこむような理解からは、法務省をはじめとする政府機関による人権侵害の問題はぼやかされ、問われなくなってしまいます。政府によるものであれ、個人によるものであれ、人権侵害は、権力関係を背景にしておこなわるものです。「思いやり」の欠如からおこる個人間のいさかいやケンカがかならずしも人権侵害をともなうわけではありません。問わなければならないのは、権力による侵害行為にほかなりません。

  すくなくとも法務省に「人権」課題をまかせておくことなどできないことは、あらためてはっきりしました。人権を法務省からとりもどしましょう。

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