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Tuesday, June 26, 2018

大村入管被収容者から仮放免を求める「要望書」

 各地の入管の収容施設において、収容の長期化が問題になっています。

 長崎県大村市にある大村入国管理センターでも、収容が長期化しており、被収容者から同センターあてに再三にわたって連名での要求書が出されていることは、以下の記事で紹介したとおりです。




 被収容者たちによると、大村センターでの仮放免審査は昨年の春ごろから極端に厳しくなっており、以来、数人の重病人をのぞいては、難民申請者など日本での在留を望んでいるひとの仮放免許可は1名にしか出ていないとのことです。

 大村センターでの収容長期化問題については、6月21日に九州弁護士会連合会が理事長声明を出しています。




 大村の被収容者たちは、5月1日に72名の連名で長期収容に抗議する「要望書」を提出しました。この「要望書」の全文を、以下に掲載します(「要望書」本文では、「4月20日」との日付が付されていますが、5月1日に収容所内に設置された意見箱に投函したとのことです)。

 なお、以下のリンク先の記事では、この「要望書」にもふれながら、とくに2015年以降に顕著になった全国の入管施設における長期収容問題がどのようにして生じてきたのか、また、入管のそのねらいは何なのか、解説しました。こちらもあわせてごらんください。





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平成30年4月20日

入国者収容所大村入国管理センター所長殿

全ブロックの被収容者

要 望 書

 この度、所長様には、大村入国管理センターに所長として就任になされましたこと、おめでとうございます。お目に掛かったこともございませんのに一筆差し上げる失礼をご容赦下さい。

 さて、被収容者に対する収容期間が長期的に継続されていること、いわゆる収容長期化に伴い、現在収容所内における被収容者の生活の環境改善の需要が高まっています。取り分け、この外界と完全に隔離された密閉環境の下での長期収容生活ですから、日々私達の心身に付き纏われるストレスは、大変過酷で本当に耐え難いものです。そのお蔭で現在、1年以上の長期収容者の殆どは、次々と拘禁症状を発症しています。主に、目まいや食欲不振や不眠などといった症状が典型的ですが、中には、バセドウ病という専門的かつ長期の治療が必要になる程、重病を発症している者も居ます。長期収容・拘禁の過酷なストレスによって持病のある者には、その症状が悪化し新たな病気が発症することに繋がります。長期収容・拘禁のみならず24時間体制の下で監禁・監視されることによって、月日と共に私達の心身が衰弱され、元々はとても健康だった人間であっても、どんどん病気になり苦しい、辛い長期収容生活が強いられているのは現状です。この収容所において、私たちが病気になったところで、たとえ薬が与えられても、治療を受けても、この収容・拘禁状態が継続されているままのでは、どんな薬でも効き目がありません。つまり、収容・拘禁される状態のままでは、治療には意味がないのです。この観点からも一日も早く長期収容の中止や仮放免制度の緩和が必要です。

 さらに、近年大村入管も含めて日本全国の入管収容施設で被収容者が病死している事件が多数起こっていることも考慮すれば、大村入管には、医療体制を含め、入管運用方針そのもの全体の改善も必要になります。言うまでもない話ですが、現在貴センターにおいて身柄が拘束されている100名以上の私たちの中には、収容期間が2年から3年の者は、大半を占めており、その中、収容期間が3年半を越えている者も居るのです。それにも拘らず、私たちの仮放免請求に対する許否の判断基準が大変厳しく設けていて、昨年(2017年)では、仮放免が許可されたケースは、殆どありません。このような事態は、拷問や人権侵害とも言うべき異常なものでありながら未だに続いており、改善される目処が立っていません。上記のように、これまで貴センターが行なって来たその運用方針は、この上なく非人道的なものであるとして、私たちは納得できません。一刻も早く改善して頂きたいと望んでおります。

 長々しい文書になってしまいますが、この異常事態・この現状を早めに改善して頂くためにも下記の事実に基づいた記述をご参考になって頂きたいと思います。



1.「収容中の被収容者については、仮放免の請求の有無にかかわらず、入国者収容所長又は主任審査官が一定期間ごとにその仮放免の必要性や相当性を検証・検討の上、その結果を踏まえ、被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用し、収容の長期化をできるだけ回避するよう取り組んでいる」。上記1の内容は、これまで法務省入国管理局が毎年ごとにパンフレット等を用いて一般世間に対し、声明を出している、そのパンフレット等から引用したものです。

2.「入管法では、退去強制令書の発付を受けた外国人を直ちに送還できないときは、その外国人の身柄の拘束を一時的に解く仮放免という制度を規定しており、被収容者等から仮放免の申請があった場合には、被収容者の情状及び仮放免の申請の理由となる証拠並びにその者の性格・資産等を考慮し、その許否を決定することとされている」。

3.「入管法上、退去強制手続きは外国人の身柄を拘束し進めることとされているところ、退去強制令書を発付された者で長期に渡っても送還できない場合や収容期間の長短を問わず、年齢、健康状態、その他の人道上配慮を要する場合には、個々の事案に応じて仮放免制度を弾力的に運用し、一次身柄を解く措置をとっており、収容が長期間に渡らないように配慮している」。上記の2と3の内容は、これまで日本政府が拷問禁止委員会の質問に対し、回答した資料等から引用したものです。

 このように、これまで日本政府は、国民や拷問禁止委員会や国際社会に対し、退去強制令書の発付を受けた外国人については、入管収容施設等において、長期に渡っても送還できない場合には、仮放免と言う制度を弾力的に活用し、収容の長期化をできるだけ回避します。又、仮放免の請求の有無にかかわらず、入国者収容所長、又は主任審査官が一定期間ごとに被収容者のその仮放免の必要性や相当性を検証・検討して頂けることや人道的な配慮・措置などをとっています、などなどと情報を公開しています。

 しかし、現下において、大村入国管理センターの運用方針は、上記1ないし2の日本政府が説明した内容とは完全に逆のものになっています。政府の言ってることと入管のやってることは、全く違うものになっています。貴センターの私たちに対する扱い方は、どうなっているのですか。

 本年2月に私たち全ブロックの被収容者は、連名で要望書を提出し、大村入国管理センターに対して、これまで日本政府のこうした公式見解と現下の入管の仮放免許可実務と全く異なることを指摘し、話し合いを求めました。そして、3月15日に3Aブロックをはじめ全ブロックで説明会が開かれました。ご参考になって頂ければと、以下に当時の説明内容をまとめて来ました。

「これまで大村入管は、被収容者から仮放免の申請があった際には、その申請の理由を総合的に考慮の上、結果を下している。それは昔も今も同じやり方でやって来ている。しかし、最近仮放免を得た者が逃亡したり、犯罪を犯したり、不法就労する者が沢山居るから、現在大村入管は仮放免を許可しなくなった。実は、大村入管も常に他の入管と情報交換しています。例えば、東京入管や牛久入管や名古屋入管などで今もなお、仮放免が許可されているケースがあるという事実は、確かであるが、しかし、他の入管では、収容者数が多いため、仮放免を出しているのであり、一方、大村入管においては、収容者数が少ないため、仮放免を出す必要はない。又、基本的に入管というのは、同じ組織であり、どこの入管でどういうケースが仮放免されているのかも、当然我々大村入管は把握している。続けて、病気のある被収容者については、被収容者が入管の中で病気を発症した場合には、まず医者に診断してもらい、その結果を踏まえて仮放免を許可するか否か総合的に判断している。被収容者が病気がある、あるいは、入管収容施設の中で病気を発症したからといって、必ず仮放免の対象となるものではない。つまり、病気は、仮放免審査の一つの要素にすぎない。又、色んな種類があるため、一概には言えないが人道的な配慮が必要かどうかも審査の一つの要素として仮放免を判断している」。

 これでは、私たちは納得できません。どう理解すれば良いのでしょうか。

 まず、入管法上、退去強制の手続きは、退去強制令書(退令)の発付を受けた外国人の身柄を拘束し、進めることと規定されている。しかし、入管法上では、退令の発付を受けた者で入管収容施設等において、長期に渡っても送還することが不可能な場合に備えて一時的にその者の身柄の拘束を解くという仮放免の制度も設けられている。というふうに分析しておきます。

 この点において、貴センターにご理解して頂きたいのは、私たちには、確かに退令の発付を受けましたが、しかし、現在長期収容されている私たちの殆どは、退令に対する取消し訴訟裁判を行なっており、これと同時に退去強制手続の執行停止という部分も裁判官に認められています。退令の取消し訴訟裁判というのは、もし最高裁まで訴訟を継続させる場合では、その期間が4年又は5年に及ぶことも珍しくありません。入管は法律に則って被収容者の収容期間の長短を問わず一定期間ごとに仮放免の必要性や相当性を検証・検討して頂けるか否かは、別においといても構いませんが、まずご理解して頂きたいのは、私たちがまだ退令の取消し訴訟裁判を行ない続けている以上は退去強制手続の執行停止部分の効力が継続されていることになっています。この退去強制手続きに対する執行停止部分の効力がある以上、被退去強制対象者の身柄を強制的に送還することは、法律上では、基本的に不可能であります。従って入管は、裁判を行なっている被収容者で、なおかつ退去強制手続きの執行停止部分が認められている者の身柄を入管収容施設に長期間収容・拘禁させているのは、何の意味もないであることは、十分に考えられます。このような収容は、企画外の収容でしょうか、悪戯の収容でしょうか、それとも収容権の濫用でしょうか。私たちからすれば、どちらにも当たると考えております。

 さらに言えば、一年間で被収容者一人当たりの生活費・医療費・諸々の費用は、少なくとも70万円以上掛かると計算すれば、毎年、日本全国の各入管収容施設に、国庫から支出される経費は、莫大なものであることが分かります。そういう意味では、このような意味不明・悪戯の長期収容は、日本国民の税金を只只無駄遣いしているだけであることをご理解して頂きたいのです。これまで長期収容・拘禁されて来た者の殆どは、それぞれのケースは異なるものの、皆絶対に帰国することの出来ないという相当の理由・事情を抱えていて入管側もそれを承知した上で送還に踏み切れず、仕方なく、長期収容させているものであり、国民の税金を無駄遣いせざるを得ない状況にあります。そして、この先もこうした状況を継続させれば、さらなる税金の無駄遣いがエスカレートすることになると言えるのではないでしょうか。

 続けて、大村入管は、他の入管で収容者数が多いから仮放免が許可されているだけであって、一方大村入管において収容者数が少ないから仮放免を許可する必要はないとしています。この点について、どうしても道理にかなった説明であるとは思えません。入管法上、仮放免という制度が存在している以上、入国管理センターとしては、法律に則ってその仮放免制度を弾力的に活用し、長期収容を回避すべきであると私たちは考えておりますが、若しや、貴センターは、施設運営のために最低限の収容者数を確保しているのでしょうか。若し、本当にそうであれば、私たち被収容者一人ひとりは、貴センターにとっては、ビジネスの一つの商品として利用されていることになっている、というふうに考えなければなりません。如何なる弁解であろうと、少なからず私たちにとっては、貴センターが施設運用のために、皆、利用されているという印象が強く与えられています。本当にこの点の説明については、非常に残念に思います。又、大村入管は、人道的な配慮や措置などをとっていると言いながら他の仮放免者が仮放免者が逃亡したり、犯罪を犯したり、要するに仮放免の規則を順守しない者が多数存在するなどという理由から、現在私たちの仮放免請求に対して、一切認めず、むやみに長期収容・拘禁を継続させている、しかも被収容者の殆どは、仮放免許可というもの自体、一度も受けたことがない、また、仮放免許可されたものの入管は適切な理由もなく、好都合であれば何らかの難癖を付けては再収容させている。この様なやり方・扱い方は、不当・不公平なものであると言わざるを得ない。仮放免の規則を順守して生活して行かなければならないのは、当然ですが、しかし、どれだけ他人が仮放免の規則を順守しなかったとはいえ、法律上、私たちには、他人の犯した過ちに対して、その責任を負わなければならないという義務が存在するとは思えません。よって、これまで大村入管の行なって来たその運用方針、そのやり方というのは、不適切なものであり、むしろ、人道に反した行為であり、人権侵害に当たる行為であると言わなければならない。大村入管のこうした被収容者の私たちに対する悪質極まりない扱い方は、人道上看過できるものとは到底言えません。又、度々、大村入管の職員さんらが口を揃えては、「入管が仮放免制度を厳しくしているのは、2020年のオリンピック・パラリンピックを控え日本政府は、より安全・安心社会を実現するためである」などと私たちに説明しています。しかし、オリンピック・パラリンピックは、私たちに何が関係あるというのでしょうか。入管のこのようなやり方は、果して日本社会にとって本当に良いものであったのか、そしてこのままのやり方を続けることによって弊害が生じることはないのか、又、悪影響や不利益を負う人間は本当に誰も居ないのでしょうか。そもそも、オリンピック・パラリンピックというのは、国際交流・平和のために開かれる催しであると私たちは思います。では、何故、その平和のために罪のない、犯罪者でもない、日本政府の庇護を求めている難民認定申請者である私たちの身柄が拘束され入管収容施設に無期限の収容・拘禁という罰を受けることによって人生の大切な時間が奪われ、命まで犠牲にされなければならないのでしょうか。それだけではありません。私たちの中には、日本に配偶者・家族・幼い子供が居る者も多く、今もなお、私たちの社会復帰を待ってくれています。そうすると貴職らが言うより安全・安心社会作りやオリンピック・パラリンピックと言うもののために、犠牲・弊害を受けるのは私たち自身だけでなく、私たちのことを待ってくれている家族の方にも影響を及ぼしていることになります。幼い子供には、親が居なければ、教育に支障を来たしますし、子供にとって最善の利益や親からの教育機会が奪われるようなことは、絶対に許されるものではありません。強制送還によって家族の崩壊や家族と分離させるような行為も許せれません。これまで入管のやって来たことは、日本社会にとって利益になったかどうかはともかく、目前に確認できるのは、私たちが入管収容施設において、長期収容・拘禁されることによって、心身が衰弱され、次々に病気を発症しているのは、前述の通りです。しかし、入管は、残念ながら、被収容者が重病を患っているのが分かっているのにも拘わらず仮放免を一切許可せず、適切な治療を受けさせないことから、これまで多くの被収容者が病死しています。中には、長期の収容・拘禁による過酷なストレスに耐えられず、又、幾度もの仮放免請求が却下されることから精神に重大な打撃を与えることとなり、最終的には、被収容者が精神的に追い詰められてしまい、自殺を図り、命を失ってしまった事例も多数存在しています。本年4月13日に牛久入管で起こったインド人男性の自殺死亡事件も一つの悲惨な事例であるとして指摘したいところです。一体、入管は人の命は何だと思っているのですか。入管は、私たちが収容施設の中で何人が死んでも構わないと私たちの身柄を拘束・拘禁し続けているつもりなんでしょうか。入管はよく不法滞在者だの外国人だのと文句ばかり言っているようですが、この世の中は、外国人と日本人しか居ないじゃないでしょうか。例えば不法滞在者であれ、不法就労者であれ、その者の身柄を拘束し、入管の収容施設に入れて無期限の収容・拘禁という罰を与えてはいけません。その者の人生や命を軽視・無視してはいけません。どうか、ご理解して頂けないでしょうか。このままでは、もっと多くの死者が出てしまう恐れがあります。私たち被収容者全員は、これ以上黙ってはいられません。我慢も限界を越えている状態です。私たちには、確かに退令が発付されていますが、しかし私たちには、どうしても帰国してはならない、というそれなりの理由がありますので、命を掛けても、こうして日本に残ることを選択している訳です。長期収容が多数の死亡事件を生み出す原因になっているような事態になっているので、この現状、この異常事態を一刻も早く改善されるべきであることは、論を俟たないところです。どうか私たちの事情についてもう一度深慮して頂き、その上で現状のこの異常事態を改善して下さること、私たち被収容者一同、伏してお願い申しあげます。

 本年4月から、大村入国管理センターには、更迭[人事異動?]があり、所長も新しく入れ替わっていることなど、私たちは承知しております。そこで、これから大村入管の運用方針・ポリシーというものは、どう変わっていくのか、どのようなものになるのか、又今後私たちの人生はどのように扱われるつもりなのかなどについて、是非明らかにされたいところです。改めて話し合いの場を設けて頂き私たちに納得が行くような説明・回答を出して下さるようお願いしたいと思います。なお今回のこの要望書に付きましては、ご返事・ご回答をが行なわれる際には、書面をもって回答して頂きたいです。

 貴センターには、日々大変ご多忙とは存じますが、この要望書を回収後、2週間以内に返事して下さい。何卒宜しくお願い致します。
別紙にて、全ブロックの被収容者の署名・国籍・収容期間を記載しております。又、私たちは、別紙に記載されている自分の個人情報については、仮放免者の会や支援者の団体やメディアや国会議員さんに自分の個人情報を提供し、公開されることに同意します。

以上

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