フセインさん死亡事件について、ジャパンタイムズが11月3日に記事を掲載しております。記事の日本語訳を掲載します。
注目すべき点として、東京入国管理局の広報担当が、「職員の取った行動に不適切な点はなかったと信じる」とジャパンタイムズ記者に答えていたことが、記事によりあきらかになりました。
これまで、本ブログのいくつかの記事で述べてきたとおり、東京入管職員は、フセインさんが意識不明の状態にあることを認識しながら、救急車の出動要請をするまでに1時間近くも要しています。これは、東京入管も認めている事実です。「職員の取った行動に不適切な点はなかった」と考えるのは、あまりに無理があるように思えます。
東京入管として、あるいは入管組織全体として、今回の事件を徹底的に検証し、根本的な改革にとりくむのでなければ、フセインさんのような犠牲者が今後とも出続けるのは必然です。その意味でも、東京入管および国の責任は、徹底的に追及されなければなりません。
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「失敗した難民申請者たち」への制度
2013年11月3日 ジャパンタイムズ日曜版
●NGO、医師の不在を非難
●通り一遍の医療チェック
●ミャンマーの難民の死、怒りを喚起
大崎ともひろ記者(スタッフライター)
東京入国管理局(品川)でのミャンマー人収容者の直近の死は、全国的な慢性的な医療スタッフの不足の下での難民申請者の直面する医療措置の不適切さを際立たせると、専門家は言う。
迫害されたロヒンギャ民族の一人である57歳のアンワール・フセイン氏は、10月9日、適切な医療行為を否定されたままくも膜下出血で倒れた。ミャンマー難民を支援する東京に本部を置くNGO、ビルマ人民フォーラムによると彼は食べ物を吐き、発作を起こし正午ごろ意識を失ったと言う。
彼の同房の他の収容者たちは、何回も入管職員に助けを求めた。しかし、伝えられるところでは救急車と医師を呼べという彼らの要求は、医師が昼食中という理由で無視されたと上記NGOは言った。医師が現れた時には約50分が経過していた。そして入院後、10月14日にフセイン氏は死亡が確認されたと、彼らは言った。
「彼は、彼が倒れる当日の午前中ずっと(入管職員に)頭痛を訴えていた。しかし、職員は彼に全く無関係な薬を与えた。」と、彼の日本における唯一の親類である従弟のマウン・フラ・マウンは言った。「彼らの対応は緩慢で憐みでしかなかった。」
入管問題の専門家たちは、何年も日本の入管施設を悩ませてきた医療崩壊の長く退屈な説明の直近の悲劇としてこの事件を非難した。
横浜に拠点を置き、収容所の難民申請者たちに面会している医師山村淳平によると、東京と茨城県牛久市の入管収容所で最近少なくとも入管職員が適切な医療検査を行わなかったために隔離に失敗した2件の結核感染事件があったという。
専門家たちはフセインさんの悲劇を日本の入管を悩ませてきた医療崩壊の直近の長く退屈な説明として非難した。
元入管被収容者の団体であるPRAJ・仮放免者の会は、5月牛久入管に医療状況の改善を求める申立書を提出し、崩壊の渦中にある医療制度を非難した。
申立書は、一部言葉の壁のために十分な同意なく、1回の手術で6本の歯を抜かれた女性の被収容者にも言及した。手術は、非常に痛くその後彼女は十分にものが食べられなくなった。
アンワール・フセイン氏の死に対して、東京入管の多くの被収容者たちが直ちに「医療の専門家でもない者による独断的な判断の中止と医師による不適切な診療の改善を求める」申立書を提出した。
「病気を感じるとすぐに我々は、職員にどこが悪いか告げ、彼らは我々を診る。しかし、彼らは医師の資格がないのでしばしば効かない薬を我々に与えて終わりにする。」と手書きの日本語で書かれた申立書は述べ、治療の遅延は心臓の痛みを含む最も深刻な訴えに対応するのを妨げるとも述べている。
「我々は1、2週間ほったらかしにされる」と申立書は述べる。
仮放免者の会のメンバーである宮廻満は彼らの主張を再言する。健康の危機を医師が実際に診なければならないと職員が認めるまで、否その時でさえ診察を受けるまで簡単な様子見しか行われない。と宮廻は言った。
「数人の医師は、被収容者の声にさえ耳を傾けず、鎮痛剤を与えて急いで診察を終えようとする」と彼は言った。
彼はまた、入管の医師たちは彼らの医学的判断を入管の職員のメモに求め、自分自身の判断を行わないと申立てた。
宮廻はさらに医学問題に精通したプロの通訳の救いがたい人材不足を非難した。また入管は概して、被収容者を単に日本の法律を比較的自由に使いこなすために利用できる道具としてしか扱っていない、と彼は言った。
医師不足は激しい。
東京入管では、フルタイムの医師は月、水、金交代で勤務するのみだと広報担当の浅井祥子は言った。
このパートタイムスケヂュールの批判に対して、浅井は(医師がいない時でも)救急車の呼び出しは保障されていると言った。
しかし、問題は明らかにそこで終わっていない。ビルマ人民フォーラムの中野あきは、医師は被収容者の訴えが彼らの知らない医学的問題であれば、時として被収容者の訴えに耳を貸さないと言った。
宮廻は、素早い行動があればアンワール・フセイン氏の死は防ぐことができたと信じている。
「彼に起きたことは、明らかに入管の職員が被収容者の健康をとるに足らぬものと考えていることを示している。」と言った。「これは氷山の一角に過ぎない。入管は直ちに医療の責任から逃れるな。さもないと別のアンワール・フセイン氏を生むだろう。」
アンワール・フセイン氏は、2006年庇護を求めて日本に逃げてきたが不法入国で捕まった。9カ月の収容の後、彼は人道的理由で仮放免を与えられ名古屋に移動した。そこで彼は職を得た。しかし、仮放免の外国人は働くことが許されていない。
彼は、10月9日仮放免の延長を求めて東京入管に出頭した。しかし、最早資格がないと告げられ再収容され数時間後に倒れた。
東京入管の浅井は、警備官が被収容者が何度も救急車と医師を呼べと言ったことを無視したこと、また両者の到着に何分ぐらいかかったのかをふくめ、「プライバシー」を理由に彼の死の細部の確認を拒否した。
「私は、状況に対して職員の取った行動に不適切な点はなかったと信じる」と浅井は言った。
伝えられるところでは、アンワール・フセイン氏の妻と2人の子供は日本政府を訴えることを考えているという。
写真:アンワール・フセイン氏 (提供 仮放免者の会)
写真:数少ない幸運。ミャンマーから別の4組の家族が国連の第三国定住で9月日本に来た。日本に来る大多数の難民が個人的に政治難民を申請し、しばしば来日するや否や入管に収容される。アンワール・フセイン氏(57歳)の死後、入管での医療体制の不適切さが批判されている。(配信 共同通信)
(翻訳 仮放免者の会 増田博光)
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