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Thursday, August 18, 2016

またもやイスラム教徒の被収容者の食事に豚肉混入――謝罪も具体的な再発防止策もなし(東京入管横浜支局)



  マスコミ報道がいくつか出ていますが、東京入管横浜支局が、イスラム教徒の被収容者に豚肉の混入した食事を提供していたことがあきらかになりました。




  この問題について、8月17日(水)、仮放免者の会として、東京入管横浜支局に申入れをおこない、以下の申入書を提出しました(申入書原文に記載した被収容者の名前は、以下では「Aさん」「Cさん」と表記し、ふせました)。


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申 入 書
2016.8.17.
法務大臣 殿
法務省入国管理局長 殿
東京入国管理局横浜支局長 殿
関東仮放免者の会(PRAJ)神奈川
被収容者の抗議の拒食について 
 8月17日現在、横浜支局Aブロックに収容中のパキスタン国籍Aさんが、給食に豚肉が入っていたことをきっかけとして、2週間拒食を続けている。私たちが本人および同室の被収容者に聴き取りを行ったところでは、イスラム教徒であるAさんの8月3日の夕食に豚肉(ベーコン)が入っており、職員もそれを認め、Aさんに謝罪した。Aさんはその後、給食を食べることを拒否している。
 改めて言うまでもないことだが、貴支局は、2015年8月12日、Bブロックに収容されていたパキスタン国籍Cさんに豚肉(ベーコン)入りの給食を提供し、Cさんはその後長期間抗議の拒食を行った。それについて当会は8月27日に申し入れを行い、またこの件は8月28日の朝日新聞など、複数のメディアで報道された。貴支局はCさんの拒食を知りながら2週間以上ほとんど何もせずに放置し、またこの件をメディアの報道があるまで自ら公表しなかった。私たちは、貴支局が出来事の重大さを認識していないのではないかと思わざるを得なかった。しかも、それから一年後、パキスタン人収容者に豚肉(ベーコン)入りの給食が提供される、というまったく同じ事件が今回起こったのであり、私たちは驚きを通り越して呆れる他はない。貴支局は、昨年8月の朝日新聞の取材に対して「不適切な食材が入らないよう、業者と連携して再発防止に努めたい」とコメントしているが、結局再発が起こった。いったいどのような再発防止の努力が行われたのだろうか。Cさんによると、Cさんが今年5月に収容されてから、これまでも給食に髪の毛やゴキブリが入っていることがあったという。こうしたことからも、貴支局の収容者への給食の管理体制には根本的な問題点があるとしか考えられない。
 昨年8月27日の申し入れ書に書いたことの繰り返しになるが、イスラム教徒の収容者に豚肉入りの給食を提供し、しかもそのことを軽視する、というのは、法務省令である「被収容者処遇規則」第二条(入国者収容所長及び地方入国管理局長(以下「所長等」という。)は、収容所等の保安上支障がない範囲内において、被収容者がその属する国の風俗習慣によって行う生活様式を尊重しなければならない)の違反であるだけでなく、イスラム教徒の収容者にとって大変な屈辱を与えることであり、重大な人権侵害である。
 私たちは、貴局に対し、以下を申し入れる。
(1)  Aさんの健康に対して十分に留意すること。
(2)  Aさんに対して、支局としての謝罪を行い、適切な対処を行うこと
(3)  給食への豚肉混入の原因を調査し、再発防止の具体的な対策を、Aさんはじめ全収容者に対して早急に示すこと。
以  上

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  申入書にもあるように、東京入管横浜支局は、ちょうど1年前にも、イスラム教徒の被収容者の食事に豚肉を混入させるという、今回と同様の事件を起こしています。




  東京入管横浜支局は、1年前の事件を教訓化せず、ほとんど同じようなあやまちを2度にわたってくり返したことになります。そして、今回もまた、横浜支局の事後の対応はひどいものでした。

  NHKの報道によると、横浜支局は取材に対して、「このような事態となり、遺憾に思っています。原因を早急に調べたい」と述べているようです。「早急に」と言いますが、豚肉がAさんの食事に混入されたのは8月3日です。現在それからすでに2週間がすぎており、この間、Aさんは拒食を続けています。「原因を早急に調べたい」などというコメントをしてよい時期は、とっくに過ぎています。

  今回の17日の申入れで、問題発覚後になにか再発防止策をとっているのかと問う支援者に対して、横浜支局の職員は「対策はしています。しかしそのすべてをあなたたちにお話しすることはできません」「本人には説明しました。あなたたちは本人に聞いたんですか?」と発言しました。それならばとAさん本人に面会して聞くと、Aさんは職員からは「今後、気をつけます。よく確認します。」と言われただけで、具体的な再発防止策についての説明はなにもなかったといいます。Aさんによると、収容されている2か月弱の間に、Aさんの食事には、髪の毛やゴキブリなどが混入していることが何度もあり、そのたびに、職員はAさんに「気をつけます」と言ったということです。Aさんは「結局口先だけではないか、約束を守らないではないか」と言っています。

  イスラム教徒にその宗教的な禁忌である豚肉の混入した食事を出すという重大な問題を、1年もまたずに2度も起こしたあげく、その再発防止策が「気をつけます。よく確認します」なのだそうです。「まじめにやれ!」としか言いようのないデタラメな事後対応です。

  8月3日に豚肉混入が発覚してから現在にいたるまで、Aさんに対して、入管側はいまだに支局としての謝罪すらおこなっていません。本来ならば、Aさんはじめ被収容者全員に事件とその経緯について説明をおこなったうえで、対策を具体的に示して再発防止を約束するのは、人を収容する施設として果たすべき最低限の責任であるはずです。ところが、Aさんひとりに対してすら横浜支局は、これをしていません。それどころか、謝罪すらない。

  そのくせ、マスコミの取材に対しては、「このような事態となり、遺憾に思っています。原因を早急に調べたい」などと臆面もなく言ってのけています。横浜支局は、このようにマスコミの取材者に対しては、問題を深刻に認識しているかのようなそぶりを示しているわけですけれども、まじめに「原因を早急に調べ」るつもりがあるのかは、Aさんへのこの2週間の対応をみれば疑わしく思わざるをえません。2週間ものあいだ、横浜支局はAさんに「このような事態となり、遺憾に思っています」などと発言することもなかったし、「原因を早急に調べたい」との約束をすることもありませんでした。Aさんは食事を拒否して抗議していたにもかかわらず、です。マスコミに対しては役所としての体裁が気になるようですが、被収容者に対してはこのようにバカにしきった対応を続けているのが東京入管横浜支局の事後対応です。

  1年前の記事でも述べましたが、そもそも、問題の重要さをかんがみるならば、入管側がみずからマスコミ等を通じて事実経過と再発防止策を一般に公開するべきでありました。ところが、1年前のときも、今回も、事件発生から2週間ほどたって、マスコミからの取材を受けてようやく事実を認め公表する、というのが、横浜支局の対応でした。テレビや新聞でどう報じられるのかは気にするけれど、収容された被害者当事者が拒食を続けて抗議をしようがそんなものは屁とも思わない、という姿勢が、横浜支局の対応には覆うべくもなくあらわれているわけです。被収容者にどんな扱いをしようが、世間にバレなければよいという姿勢です。

  今回のように短い期間のあいだに同じ問題がくり返される背景には、横浜支局の、ひいては入管組織全体の、被収容者を人とも思わない根深い差別的な体質があるのではないかと考えざるをえません。

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