PRAJ (Provisional Release Association in Japan): Who We Are
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関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

http://praj-praj.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html


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Friday, May 12, 2017

ハンスト参加者による声明――「より良い人類の未来のために」

  ひとつ前の記事で報じたとおり、東京入管の被収容者が集団でハンガーストライキをおこなっています。


  東京入管側が要求書の受け取りを拒否していることが、ハンスト参加者の怒りを増幅させていることも、先の記事で述べたとおりです。

  その被収容者たちの連名での要求書を、私たちはハンスト参加者からあずかり、公開するように要請を受けました。以下に公開する英文が入管宛ての「要求書」、日本語で書かれた文章が「要求書」兼「支援要請文」だということです。

  ハンスト参加者たちからは、自分たちがこうして闘っている事実をひとりでも多くの人に広めてほしいとの要請も受けています。以下に公開する被収容者たちのうったえを読み、これを拡散していただけるよう、お願いします。


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2017/5/8
To
The Immigration Director,
Tokyo Rigional Immigration Bureau
Tokyo
Dear Sir/Madam,
NOTICE OF INMATES' HUNGER STRIKE
INSIDE THE DETENTION CENTER

The aggrieved inmates are embarking on a hunger strike, beginning from the 9th May, 2017, to press home the following human rights concerns:
  1. Repeated Detainment and long period of detainment, leading to family and relational seperation;
  2. Forced deportation that can lead to deaths and injuries;
  3. Denial of Provisional release application without informing inmates the reason(s) for denial;
  4. Result of provisional release application takes too long a time. Bond fee is also expensive.
  5. Denial of asylum seekers the permit to work withont giving them any stipend/maintenance allowance;
  6. Restrictions on migrants mobility/movement when they are provisional released;
The hunger strike will continue unabated untill our human rights concerns listed above are properly addressed.
Thank you for your understanding.
    →日本語訳















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  我々は東京入国管理局に収容されているAブロックの被収容者たちです。最近入管が頻繁に行われている仮放免者に対する再収容(2回、3回、4回の人もいます)、法的根拠のない即日強制収容や威嚇、恐喝、暴力を振るうなどの行為、また犠牲者が再び出たなどの諸問題に関する東京入国管理局の卑劣な違法行為に対し、我々は強く抗議し、人権と正義のために最後まで戦おうと決意しました。以下のことを申し入れ、ご支援をお願い申し上げます。

(1) 仮放免について
  東京入管において、一部の仮放免者は、特に住所変更の問題や難民不認定異議申立棄却や行政訴訟での敗訴確定などを契機と狙われ、再収容されています。難民申請者や日本に家族がいる者や20年以上に渡り長期滞在し生活基盤を築いてきた者などの仮放免者は、それぞれどうしても帰国できない事情を抱えています。ゆえに長期に渡る過酷な収容生活、仮放免中の無権利状態に等しい生活にもかかわらず、在留資格取得を目指しています。過去と同じように、このような仮放免者に対する収容、とりわけ再収容は本人及び家族に人生を絶望させ、自殺未遂や疾病、あるいは自殺といった最悪の事態に至る重大な人権侵害です。
  法的根拠もない、説明責任も果たさない、合理でもない、合法でもない。21世紀の今、先進国としての日本は、人権の道で、法的システムの道で全く進めてなく、しかも国の力を使って、外国の人々をなんらかの理由で計画的、組織的に監禁、暴行、長期収容などの人間の自由を奪うというのは、ファシズムに間違えありません。日本国憲法の精神んに反する違法行為に間違えありません。日本の元首相も「人の命は地球より重い」と語りました。
  再収容を行うについては、細心の上にも細心の注意が払われるべきです。入管法第五十五条違反、犯罪行為などの新たな強制退去事由によるもの以外の再収容は行わないようにしていただきたいと思います。
  仮放免者は現在3600人以上にのぼります。就労禁止されても、生活のために仕事しない人はほとんどいません。ゆえに、ほぼすべての仮放免者は就労禁止のルールを違反しています。入管は仮放免を取消し、全人を収容することになります。一方で、現実や十分な人道配慮をした上で、我々は改善を求めます。
  また、仮放免を申請した後、1ヵ月以内に結果が出ることです。不許可の結果になっても、きちんと不許可の理由を説明した上で、適切な対応をしていただきたいです。現在は仮放免の結果が出るまで2か月以上かかり、不許可されても理由なしという理不尽すぎることはあってはならないです。

(2) 収容生活について
  現在、東京入管と東日本入国管理センター(茨城の牛久市)などの他の収容施設と比べると、かなり差別化されています。被収容者の処遇に関しては同じようにしなければなりません。
①朝の点呼をなくすこと、もしくは東日本入国管理センターのように、静かに点呼を行うことです。この収容施設は刑務所ではありません。
  今までは、我々は受刑者に扱いされ、点呼開始から終了まで静かに座り、職員さんは数名が部屋に入り、チェックするように行っています。このような点呼はありえないです。
②電話の使用については、現在東京入管から携帯電話にかける場合、1分間約80円の料金がかかります。今の時代では、これは考えられません。就労禁止され、収入のない我々は家族や友人との連絡には極めて重い負担です。我々に対する嫌がらせやいじめのようにである一方、この収容施設は利益を得る場所であってはならないです。また、電話は他の収容施設と同じように部屋の中にどこでも使えるようにしていただきたいです。
③フリータイムについては、我々は受刑者ではありませんので、今までのように、朝9時30分から12時まで、午後1時から4時30分まで、部屋の扉を開錠され、1日18時間ぐらい狭い部屋で過ごすことは考えられません。夕食の後はもう1回開放し、夜9時までになるように改善を求めます。
④食べ物と買い物については、入管が提供されている弁当はあまり味と栄養がなさすぎ、日本料理が世界文化遺産になったにもかかわらず、ここの弁当は日本食だと信じられません。また、買い物できる範囲も厳しい制限され、我々は消費税を支払っているのに、権利が取られたのは考えられません。ゆえに、我々は差し入れや買い物について、差別なく、他の収容施設と同じようにしていただきたいと思います。
⑤入管の職員の対応については、日々収容生活の中で、職員らの傲慢な態度や不適切な対応などで困っています。例えば、取り調べの中、配偶者のプライバシーに関する乱暴すぎる質問や不服で物申す際に、いきなり数名の職員に囲まれ、威嚇、恐喝のような言動がよくありました。職員らからの暴行で致傷された人も何人かいます。東京入管にはこのような職員に対し、職を停止し、教育の徹底すべきです。トラブルや事件を未然に防ぐことができるようにしていただきたいと思います。
⑥診療問題については、過去、東日本入国管理センターで相次ぐ死亡事件が発生しました。しかし、現在に至るも我々の診療問題は何も改善されていません。重篤な被収容者に対して適切な診察や治療を行わず、持病のある人は日々身体的および精神的な被害を受けています。入管に対して、我々は人間の生命と健康の責任は取っていただきたいと思います。

 長期収容期間中、我々は数百件の人権侵害のケースを見てきました。入管の職員は法務省の国家公務員の一員として、基本的人権への無視や傲慢な態度、汚い言葉使い、怒鳴り、暴行などの人権への践踏は決して許せません。各国が難民に対する人道的な支援を行っている一方、日本の入国管理局は「人権宣言」、「日本国憲法」、国際法および国際難民条約などに反する卑劣な行為は何十年前に戦争で全人類に犯した罪と同じような反人類罪だと強く訴えます。この国では、弱い人間をいじめて快感を感じる人がたくさんいると思いますが、法務省の下で入国管理局は勝手に権力を使い、法律の上で暴走し、人間をいじめるまた迫害するやりたい放題のような行為は許せません。
 自由、民主主義、人権は人類の共同の普遍価値であり、恥の知らない卑劣な行為には良識や良心のある人々は黙っていけません。国際社会も厳しく批判すべき、日本政府は改善しなければなりません。
 我々は手元の資料や事実に基づいてドキュメントリー映画を作ろうと思っています。人類が何百年の努力と犠牲で作り上げた自由と人権の信念は揺れません。より良い世界のために、より良い人類の未来のために、我々は最後まで戦います。ご支援をお願い申し上げます。





東京入管で被収容者が5月9日より集団ハンスト

  5月9日(火)の夕食から、東京入管Aブロックの被収容者22名が、再収容、長期収容に反対して拒食を開始しました。

  Aブロックは男性ブロックであり、現在、約40名が収容されています。ハンガーストライキに参加している22名は、12の国籍(中国、ミャンマー、バングラデシュ、インド、スリランカ、パキスタン、イラン、ナイジェリア、ガーナ、リベリア、カメルーン、ペルー)、年齢は25歳から55歳。来日後、非正規滞在のまま外国人労働者として働いて来た期間は、長い人は30年以上になります。

  ハンスト参加者は、9日の夕方の官給食が配られる前の16時30分頃、東京入管局長に要求書を渡してほしいと東京入管職員に依頼しました。しかし、職員はかたくなに拒否しました。翌々日の11日時点でも、東京入管は要求書を受け取っていません。

  仮放免者の会の支援者がハンスト参加者と10日に面会して聞いたところ、ハンストに期限の定めはない。また、入管から支給される官給食だけでなく、入管内で購入可能なカップラーメンなども一切食べないとのことです。さらに、22人のうち、約10名は水も飲まないとしています。

  またハンスト参加者間では、つぎの3点を確認しているとのことです。

  1. 職員に手を出さない
  2. 職員に汚い言葉は使わず丁寧に話す
  3. 物を壊さない


  今後の入管の対応の中で、どのような事態が生じるか予測不可能ですが、

  • 問題なのは日本の法律、制度、組織のトップの考えであり、現場の職員は指示のもとに働いているだけであり、職員に問題があるわけではない
  • 自分たちの主張、闘いが、正しく入管にも日本社会にも伝わるように

との理由からだと、ハンスト参加者は支援者に語りました。

  水を飲まないと決めたハンスト参加者の意見としては、「水を飲まないと数日のうちに倒れるだろう。倒れると入管は栄養剤を打つ。それでもハンストを続ける。これは自分の仮放免のための闘いではない。みんなのための闘いだから命がけで闘う」と語りました。

  さらに、上記の22名にくわえて、11日の朝食からGブロックの被収容者13名がハンストを開始しました。

  ハンストは、心身への打撃が大きく、長期化した場合、心身への深刻な影響が心配されます。水さえも飲まないとなると、なおさら非常な危険をともないます。そんななかで、東京入管は、ハンスト参加者からの要求書の受け取りすらこばみ、そのうったえをいっさい相手にしないという姿勢を続けています。

  東京入管のこのような対応は、収束を困難にしてハンストをいたずらに長引かせる結果をまねきかねません。東京入管は、要求書について、「意見箱に入れるように」との対応に終始しています。確かにブロック内に意見箱が設置されいます。しかし、これまで何度も意見箱に投函してきて、何の返事も得られたことがないという、自分たちの経験を踏まえて、今回はとりわけて重要なことなのだから職員に手渡すのだと、ハンスト参加者たちは話し合ったそうです。命がけでハンストを続ける被収容者と、なぜハンストをしているのか理由も聞こうとしない東京入管……。東京入管の姿勢が、ますますハンスト参加者の怒りを増幅させています。

  東京入管には、こうした対応をただちにあらためるよう求めます。

  また、みなさまにも、東京入管に対して、

  1. 要求書を受け取ったうえで、そのうったえをていねいに聞いて理解するようつとめること
  2. そのうえで、誠実に回答をすること

など、意見提示や抗議をおこなうよう、呼びかけます。


【意見提示・抗議先】
    東京入国管理局
    tel: 03-5796-7250(総務課)
    Fax: 03-5796-7125
    〒108-8255  東京都港区港南5-5-30



【報道等】

Monday, April 3, 2017

友人Vさんの手記――入管でのNさんの死について


  東日本入国管理センターに収容されていたベトナム人Nさんが、3月25日に亡くなった事件。Nさんの死因はくも膜下出血であったとロイター通信が報じています。


  前回記事で述べたとおり、Nさんは、(私たちが他の被収容者の証言をえてわかっているだけでも)遅くとも亡くなる1週間前にあたる3月18日には、すでに首の強い痛みを入管側にうったえていました。しかも、この亡くなるまでのあいだ、くり返し、継続して「痛い、痛い」とうったえていたといいます。


    Nさんが「痛い、痛い」と叫びつづけた1週間のあいだ、もし入管が外部の病院に連れていき受診させていれば、Nさんは命をとられることはなかったかもしれません。同センタは、Nさんの死亡直後に発した「現時点で処遇に問題はなかったと考えている」との所長コメントを撤回して、処遇の問題について徹底検証し、今度こそ真剣に再発防止策を講じるべきです。

  以下に、亡くなったNさんの古くからの友人(Vさんとします)の手記を、Vさんご本人の承諾のもと公開します。Vさんは、東日本入管センター7Bブロックに現在も収容されています(注)。なお、原文中にある人名はイニシャル表記にあらためました。記事末尾に掲載している手紙の画像も、人名等が見えないよう加工しました



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こんにちは。

支援者たちへ!

  私は V と申します。ベトナム人です。

  今日、2017年3月25日、大変のこと起きたですよ。

  私の[収容されている]7Bブロック209号室で、一人のベトナム人が亡くなりました。亡くなった人は、名前はNさんです。原因は入管に見殺しだったので、死亡時間は午前1時15分に搬送されましたが、本当はNさんが死んだ時間は多分2017年3月24日夜8:00ごろでした。

  Nさんと私は同じインドシナ難民です。5年前に私とNさんは横浜入管から仮放免許可されましたが、今までずっと5年間に毎月仮放免の延長していますので、今回の仮放免延長のときに、そのまま理由がなく名古屋入管に強制収容されましたが、その後、品川入管に移送されて、そして品川入管から東日本入国管理センターに来ましたですが、入所[の]ときはNさんは体調不養なったので、指定された9Aブロックでした。[Nさんの9Aブロックでの]同室人はNさんが入ってから3~4日ぐらい朝から夜までずっと痛痛しい[ので]職員を呼んで診察してもらったので、熱が高いと思ったですが、診察終ってから、ブロックがチェンジになりましたので7Bブロック2017年3月18日土曜日18時30分くらいです[Nさんがずっと痛い痛いと言い続けたので見かねた同室者が担当を呼び、体温と血圧を測らせたところ、非常に高熱だったので18日(土)に7Bに移された]。7B-209室なった。

  一人部屋ですので[けれども?]、Nさんと私は、もともと友だちです。[Nさんは]7Bブロック来てから4日間ずっと室内一人で痛痛しい。私はNさんの室に来て様子みました。Nさんは声かけたけど、何も返事してなかった。

  [Nさんの]一人苦しそうな姿を見て可哀想に思いますが、その4日間に職員たち誰でも見に来なかったので、3連休あけ3月22日[←当会支援者が執筆者に面会して確認したところでは、「22日」は誤記で「21日」が正しいとのこと。]Nさんの苦しそうな姿に通路出て、私とNさんに卓球台上に横なってNさんと話したので、「どこが痛いですか?」と[私が尋ねると]Nさんから言うて「首と頭がすごく痛いですが」、私たちは、すぐ職員を呼んで、「Nさんが痛い言ってるけど、早く医者に見[せ]て下さい」、そのときは13時30分だったので、けっきょく15:00すぎNさんを[診察室に]連れていったけど、医者さんはレントゲン診断と痛み止めの薬を出すだけ、室に戻ってからあと担当たち一切来なかったので、それとNさんは苦しい間ずっとごはんを食べてなかったので、本人は「おかゆごはんほしい」と言うたので、担当に「ダメ」言われた。Nさんは日本語をあまり分からないし、一日牛乳を1本飲むだけ。本当に入管たちに人殺しと同じ思う。

  いつも私たちのウソ病気に言って思ったので[Vさんによると、Nさんの痛みの訴えについて職員は他の被収容者に「ウソ病気」だと話していたという]、私たちは人間だから、この件が一日でも早く解決してほしいですので、命が入管にとられましたです。

  Nさんが死んだ一日前[3月23日]の夜は本人はとっても苦しんで、担当たちに来てもらうけど、Nさんの自身も分からないので、「痛い痛い」と叫ぶのときは、担当たちの口から言うた、「静かにしろ」と言われましたが、Nさんのことはまったく不用心なので、こんな病気が外の病院に通院させてなかったので、次の日2017年3月24日の夜10時ごろ担当さんがライターと灰皿を回収のときに「Nさん――Nさん灰皿下さい」。Nさんはまったく反応してないので、あと10時15分ごろ3人担当がNさんの部屋のドアをかぎあけたのしゅんかんにドアをしめたまま、逃げました[Nさんの居室から立ち去りました]けど、しばらく夜中2017年3月25日午前1時15分再び3~4人担当にNさんの部屋のドアをあけて、中入って心電図をしてますので、そのあと救急車隊員たちが来てNさんの遺体は外の通路で担架に乗せて、カメラ設置された場所にNさんのしんぞうをマッサージして、そのやりかたはかたちだけ、本当はNさんが何時間前亡くなった。遺体は固まってましたが、とっても可哀想の死に方、7Bブロック6人いますので、みんな全てわかります。

  私たち[7Bブロックの被収容者]はほとんど病気人ばっかりなのにパキスタン人は1年間ごはんをまったく食べてないのですが、入管たちはぜんぜん心配してなかったので、私も肝臓病気とC型肝炎持ってますので、ここ中でC型肝炎を治したいけど、お薬下さいと願いしたけど、ここの医者さん[から]は、ひどいの言葉を言われた、「ここになおる薬はない、外に出て自分で治しなさい」。入管のドクターは、どんな病気でも「大丈夫」と言いますので、私たちは、こんな場所で死にたくないです。これ以上、私たちががまんできないので、Nさんと同じなりたくないです。

  どうか、私たちに助けて下さい。お願い致します。

  上記のこと全て真実のことです。

[Vさんの署名]

2017-3-25 記
[7Bブロック被収容者6人の名前、部屋番号、国籍]

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注)
  掲載にあたり、原文の誤字と助詞を一部修正し、改行による段落わけをしたところがあります。また、Nさんや職員の会話での発言を記したところにはカギかっこ(「  」)を付しました。[    ]内は注釈や説明をおぎなったものです。

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Thursday, March 30, 2017

「痛い、痛い」と訴えるも放置――東日本入管センターでベトナム人被収容者が死亡



  またもや入国管理局(入管)の収容施設で死亡者が出ました。

  東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に収容されていた40歳代のベトナム人男性Nさんが、亡くなりました。新聞報道等によると、Nさんは搬送先の病院で3月25日午前2時20分ごろに死亡が確認されたと同センターが発表したようです。死因は不明で、牛久警察署が司法解剖をおこない死因を調べる方針だとのことです。

  仮放免者の会としては、Nさんが死亡にいたった経緯などについて、現在、調査をしています。死亡の原因については今後の解明を待たなければなりませんが、死亡にいたるまでNさんがくりかえし痛みをうったえ診療を求めていたにもかかわらず、同センターはこれを詐病扱いしてとりあわなかったことが明らかになりました。

  Nさんが他の入管収容施設から移収されて東日本入管センターに入所したのが、3月15日(水)。同18日に、亡くなるまでを過ごしたブロック(収容区画)の単独室に移されます。以下、Nさんと同じブロックに収容されていた人が支援者にあてた手紙と、面会での聞き取りなどから明らかになった同センターの対応を、時系列にそってまとめたものです。


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■18日(土)
  18:30ごろに単独室への移室。以降、Nさんは居室にいて「痛い、痛い」と首から肩にかけての痛みを訴えつづけ、「医者に連れて行ってくれ」と言って診療も求めたが、4日間にわたって医療的な対応はなんらなされなかった。

■21日(火)
  13:30ごろ  同じブロックの被収容者たちがNさんから症状等を聞き取ったうえで、職員を呼んで診療を要請。
  13:40ごろ  職員が湿布と氷枕をもってきて「もう少し待ってて」と言った。
  15:00ごろ  所内の診察室でようやくグエンさんの診察がおこなわれた。X線検査と痛み止めの処方。

■23日(木)
  夜  Nさんはとても苦しんでいたので、同じブロックの被収容者たちが職員を呼び出した。このとき職員はNさんにむかって「静かにしろ」と言った。

■24日(金)
  朝から夕方までNさんは「痛い、痛い」とくり返し叫んでいた。しかし、職員はこれに対応せず。
  20:00ごろ  それまでずっと「痛い、痛い」という声が聞こえていたのが、急に静かになった。
  22:00ごろ  喫煙具の回収に来た職員が居室内のNさんに声をかけたのが他の被収容者に聞こえたが、Nさんからの応答は聞こえなかった。
  22:15ごろ  職員3名がNさんの居室を開錠して様子をうかがったが、すぐに立ち去った。

■25日(土)
  1:15ごろ  職員が居室からNさんを担架にのせて運び出し、心臓マッサージなどの処置をおこない、病院に救急搬送。同じブロックの被収容者は、このときNさんの身体は硬直しておりすでに「遺体」であったと証言している。
  2:20ごろ  搬送先病院でNさんの死亡が確認された(茨城新聞、ロイター通信等の報道による)

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  おどろくべきことに、東日本入管センターは、叫び声をあげるほど痛がり診療を求めていたNさんを、判明しているだけで少なくとも4日間(3月18日~21日)、医療的な対応をせずに放置しつづけたことになります。21日になって、Nさんの悲惨な状況を見かねた同じブロックの被収容者たちの要請に応じるかたちで、ようやく入管側はNさんを受診させます。ところが、21日の診察後も痛みをうったえるNさんを死にいたるまで入管は放置しつづけました。

  なぜ、このようなむごたらしい医療放置がおこったのでしょうか?  その要因として強く疑われるのは、職員らがNさんの痛みのうったえを詐病(仮病)とみなしていたのではないかという点です。実際、職員がNさんのうったえを「ウソ病気」であると発言したのを聞いたと、おなじブロックの被収容者が証言しています。詐病と職員たちがみなしていたと考えれば、「痛い、痛い」と叫ぶNさんにたいする職員の「静かにしろ」という暴言のゆえんも、理解できます(むろん、このような暴言を施設職員が入所者にむかってはくことは容認できません)。

  当然ながら、病状についての評価をおこなうことができるのは、そのための専門的な技能と知識をもつ医師だけです。入管職員(入国警備官)は、そうした評価をおこなう能力はないはずですし、おこなうべきではありません。ところが、入管の収容施設においては、医療についての専門家ではない入管職員が、被収容者の病状についての評価、医師の診療を受けさせるかどうかの判断をしばしばおこなっている実態があり、これまでその点を私たちは問題にし、入管当局に対しても改善を申し入れてきました。

  私たちは、2013~14年にかけて東京入管および東日本入管センターであいついだ被収容者の死亡事件において、実際に職員が医療的な判断・評価をおこなっていた事実を、他の被収容者の証言などから明らかにしたうえで、医療処遇における「改善すべき課題」として以下の4点を示しました。


(1)医師でない者、入管職員が被収容者の病状について判断し、予断にもとづく対応をしてはならない。
(2)各収容施設に勤務する医師が医道に基づいて良質かつ適切な医療をほどこせるよう、医師の独立性を尊重し、その診療を制約させるような介入をしてはならない。
(3)医師にはそれぞれの専門性、すなわち能力の限界がある。また収容施設内の診療機器・薬剤などの制約がある。そのため、医師が患者への責任を負ううえで、しばしば外部病院の専門科・専門医による受診の必要性があるとの判断が出る。その場合、速やかに被収容者(患者)を外部受診させなければならない。
(4)以上のために必要な予算を確保すること。 
なぜ入管の収容施設で死亡事件があいつぐのか?――医療処遇について仮放免者の会の見解】(2015年3月11日)


  入管は、結局、4人をあいついで死なせた事件を教訓としていかせず、医療処遇の根本的な欠陥を改善しえないまま、またもや死亡者を出してしまいました。もちろん、Nさんに対する入管センターの対応と、Nさんの死亡とのあいだの因果関係については、今後の検証・解明を待たなければなりません。しかし、痛みをうったえるNさんについて、医師ではない職員が予断にもとづいて「ウソ病気」と判断し、そのことによってNさんが亡くなるまで医療処置を受けられなかったという事実は、大変に重いものと言わざるをえません。

  法務省と東日本入管センターは、今回の事件について、処遇上の不備・欠陥がなかったのか、今後、真摯に検証すべきです。ところが、新聞報道によると、同センターは「現時点で処遇に問題はなかったと考えている」との所長(北村晃彦氏)によるコメントを発表しています(3月26日付『茨城新聞』)。

  死亡事件直後に発せられたコメントが、今後の検証作業を約束するものではなく、「問題はなかったと考えている」という、保身と責任回避を第一に考えたとしか思えないようなものであったことには、おどろかずにいられません。「問題はなかった」という(入管にとって)希望的な予断のもとにおこなわれる検証作業では、処遇上の問題の洗い出しが徹底的におこなわれるとは思えません。

  今回、同じブロックに収容されている被収容者たちが、Nさんが亡くなるにいたる経緯を記した手紙を、支援者にあずけてくれました。その手紙は、Nさんの死について「とてもかわいそうな死に方でした」とつづる一方で、「私たちはこんな場所で死にたくないです。これ以上、私たちは我慢できません」とも書かれていました。この言葉に、法務省および東日本入管センターは、真剣に向き合うべきです。

Tuesday, February 21, 2017

【記者会見のお知らせ】内外で排外主義への危機感が高まる中、入国管理局がチャーター機を使用してタイ人を集団送還

報道各社あてに、以下ご案内を送付しております。

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内外で排外主義への危機感が高まる中、入国管理局がチャーター機を使用してタイ人を集団送還

2017年2月21日
仮放免者の会   事務局長 宮廻(みやさこ)満
090-6547-7628  
miyasako316★ksh.biglobe.ne.jp
(★を@に変えてください)


記者会見    2月21日(火)16時30分~   司法記者クラブ
会見者     仮放免者の会




[事案の概要]

  入国管理局は、本年2月20日(月)から21日(火)にかけて、タイに非正規滞在者を、チャーター機を利用して集団強制送還した。(本日15時半から法務省にて発表があります)

  2013年から開始された非正規滞在者へのチャーター機送還は今回で6回目。家族分離、難民の送還など、様々な問題を指摘されつつ継続されてきた。非正規滞在者の中には、80年代後半からのバブル景気の時期に来日して働き続きてきた者も多く、来日20年以上になる者を強制的に送還することへの批判もある。

  欧米での難民受け入れ拒否の動き、トランプ政権での移民の強制送還への動きなど、国際的にも排外主義への動きとそれへの危機感が高まる中、我が国においても、非正規滞在者に対して、事情を無視した非人道的な送還が行われている。

  今回のタイ人チャーター機送還において、
ケース① 50代男性 2001年来日 タイ人永住者の女性と婚姻。この女性に日本国籍の子がおり、男性も含めて家族として生活していた。
ケース② 50代男性 1991年来日。バブル期に来日し、25年間以上、日本で建設業などに従事してきた。
  などのケースも含まれている。

  ケース①の家族分離の問題は明らかな人権侵害である。妻としても、日本人である子を育てており、タイに転居することはできない。ケース②は独身者であるが、25年間以上日本で生活し、生活基盤は明らかに日本にある。四半世紀を経て、50代で帰国しても、生活の見通しは立たない。

※入管は、不法滞在者を大量に、また①確実に、②安価に、送還できるとチャーター機送還を開始した。当初、年間3千万円で二百人の送還を予定した(一人当たり15万円)。しかし第三回(32人)は一人120万、第四回(22人)は一人159万円と、人数が少ないうえに個別の強制送還よりも格段に高額となっており、費用対効果の面からの批判も出されている。

以 上

Tuesday, December 6, 2016

【告知】1・4「仮放免者に在留資格を!」デモ / MARCH AGAINST IMMIGRATION BUREAU


1月4日(水)に東京入国管理局にむけてデモをおこないます。


2017年1月4日(水)  1:30PM
集合:JR品川駅(港南口)入管ゆきバス停前

Wednesday, 4 January, 2017
Location: Shinagawa Sta. (Konan Exit)






◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      ◇


  法務省の報道発表資料によると、退去強制令書発付処分を受けたものの、送還にいたらず収容を解かれている仮放免者数は、2015年末の時点で3,606人にのぼったとのことです。

  この仮放免者数は、2009年7月段階での約1,250名でした。およそ6年の間に、3倍近くも増えていることになります。

  このように多数の仮放免者が存在し、いっこうに減っていないどころか増えているという現状が、人権の観点からきわめて重大な問題であることはあきらかです。この4,000人にせまろうとしている仮放免者は、就労が認められず、また在留資格がないために健康保険に加入できず高額な医療費がかかるため、体調不良があっても通院をひかえざるをえないという人も少なくありません。また、仮放免中の高校生・大学生ら(注1)は、ほとんど見知らぬ国籍国へと送還されるかもしれないという不安な状態におかれ、卒業後の展望を持つことも困難です。

  こうした仮放免者数の増加は、私たちがこれまで主張してきたように、ひとつには難民認定率のいちじるしい低さの結果であり、もうひとつには、バブル期以降の外国人をいわば使い捨ての労働「力」として利用してきた、日本政府のご都合主義的な労働政策の結果といえます。非正規滞在者をふくめ一時的な労働「力」として呼び込んだ外国人の少なくない数のひとびとが日本社会に定着していくのは当然のことでした。ところが、日本政府は、2004年にはじまる「不法滞在者の半減5か年計画」、そして2009年以降に顕著となった強力な強制送還執行の方針によって、非正規滞在者を一掃しようとしたのでした。政府のこのような強硬方針は、2010年以降ゆきずまり、先にみたように仮放免者数が年々増大していくという現状をまねいているのです(注2)

  法務省および入管各局は、強制送還を強硬に進めていくことで仮放免者数を減らすという、すでに破綻したことがあきらかな方針に今も固執しているようにみえます。再収容、長期収容、また2013年に始まったチャーター機を使用した集団送還は今年もおこなわれました(注3)。しかし、このように送還執行の強化によって仮放免者数は減らせないことはもはや明らかですし、こうした強硬方針を今後も続けることは、再収容・長期収容によっていたずらに心身を傷つけ、また収容されなくても仮放免状態が長期化することで仮放免者の健康や子どもの将来についての問題を今以上に深刻化させることにしかなりません。仮放免者に在留資格を認め、合法化していくということによってしか、問題の解決はないのです。

  ともに声をあげましょう。また、東京入管に収容されている仲間たちを外から激励しましょう。







【注】

1.仮放免中の高校生・大学生らについては、以下記事参照。



2.以上の経緯については、以下の記事を参照してください。



3.9月22日に法務省は、スリランカ人30人をチャーター機で強制送還しました。

Tuesday, November 8, 2016

裁判傍聴記(1)――大阪入管診療拒否事件


  9月16日(金)、Aさんの国家賠償請求訴訟の第1回期日があり、これを大阪地方裁判所にて傍聴してきました。


  裁判は、予定どおり13時10分に大阪地裁の806号法廷で開廷しました。小さな法廷でしたが、15人ほどの傍聴人が集まり、傍聴席はいっぱいになりました。

  原告席には、中井雅人・清水亮宏両弁護士が着席。原告のAさんは不在。大阪入管に収容中であるとはいえ、原告本人がこの場に来れないのはおかしいという気もします。

  被告席には、国側の弁護士2名のほか、大阪入管の職員3名の姿もありました。

  まず、原告意見陳述として、この場に来れないAさんにかわって、清水弁護士がAさんの陳述書を読みあげました。Aさんは、大阪入管にこれまで治療を拒否され続けてきたこと、費用を自分で出すと言っても診療を拒否されたこと、入管が何もしてくれないためにストトレスがたまり心身ともに状態が悪化していることなどを述べ、「しっかりと裁判長には書類を読んでもらいたい」とうったえました。

  つぎに、中井弁護士が原告代理人意見陳述をおこないました。中井弁護士は、法務省入国管理局が「全件収容主義」という考えをとっていること、また刑事事件であれば要求される司法審査をへないで入管が身体拘束をおこなっているということについて、批判しました。そのうえで、こうした形で被収容者の身体の自由をうばっている以上、入管には「被収容者の生命・健康に対して最高度の注意義務がある」と指摘しました(中井弁護士による「原告代理人意見陳述」はこの記事の末尾に全文を掲載しましたので、ぜひ一読してください)。

  人の身体を拘束しておきながら、診療をせずに放置し、収容主体としての最低限の責任すら果してこなかった大阪入管に対しては、あらためて怒りがわきます。Aさんは、右半身がしびれるとか、口元が思うように動かなくてろれつが回らないといった症状をうったえてきました。常識的にみて、尋常ではない症状です。このような症状を、もし家族や友人がうったえたならば、放置するということはありえないでしょう。ところが、大阪入管はAさんの診療要請を拒否しつづけました。死の恐怖をおぼえるようなひどい症状をくりかえしうったえても、とりあってもらえず、診療を拒否される。Aさんの絶望感・孤立感たるや、想像するにあまりあります。

  裁判では、Aさんに対する大阪入管の医療ネグレクト、人権侵害が追及されることになるのだと思われます。同時に、この裁判が、入管による「収容」のありかたについて、人身の自由、基本的人権の観点から根本的に問い直される機会になってほしいものです。今後とも、この裁判に注目したいと思います。

  この日は、被告である国側による答弁書は出ておらず、11月までに被告が提出するということになり、次回の期日は11月18日(金)13時からと決まりました。引き続いての傍聴・注目をよろしくお願いいたします。


第2回
  日時:11月18日(金)  13:10~
  場所:大阪地方裁判所806号法廷




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追記)
  この第1回期日のひらかれた前日にあたる9月15日、Aさんふくめた大阪入管の被収容者3名に、当ブログの以下記事を印刷したものを差し入れしようとしましたが、大阪入管(福山宏局長)はこれを許可しませんでした。
  差し入れを認めないのは保安上の理由からということのようですが、読んでもらえればおわかりのとおり、裁判への注目と傍聴を一般に呼びかけただけの、どうということのない記事です。保安上の問題などあるはずがありません。たんに大阪入管に対する批判的な言及のある記事を被収容者が読むのはゆるせない、というだけの理由での不許可であることはあきらかです。国の機関であり、公的機関としての体裁をたもたなければならないという自制すら、もはや現在の大阪入管にははたらかなくなってきているようです。




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原告代理人意見陳述書
2016(平成28)年9月16日
 大阪地方裁判所第7民事部 御中
原告訴訟代理人 弁護士 中 井  雅 人
 身体が不当に拘束されてはならないことは、あまりにも当然のことです。あたりまえ過ぎるため、日本国憲法は、人身の自由を正面から定めた明文規定を置かず、憲法31条以下において、身体拘束等について適正手続を定めることで、人身の自由を実質的に担保しようとしているのです。
 特に、刑事事件においては、憲法31条以下の規定が刑事訴訟法においてさらに具体化され、「被疑者」「被告人」には、令状発付審査、準抗告、保釈等かいくつもの司法審査を受ける権利が保障されています。身体拘束は生命を奪うことに次ぐ重大な人権制約であることからすれば当然のことです。また、特に昨今の刑事司法実務においては、身体拘束という人権制約の重さにかんがみ、罪証隠滅及び逃亡を疑うに足りる相当の理由を厳格に審査し、身体拘束からの解放を認めようとする傾向にあります。
 他方、法務省入国管理局(日本政府)は、退去強制事由に該当する疑いさえあれば、逃亡の危険等、収容の必要性がない場合であっても、人身の自由を奪う収容が可能であるという「全件収容主義」という考えを一貫してとってきました。これは、外国人にも原則として人身の自由が保障されるという当然の考え方と相容れない解釈です。
 このように入国管理局は、司法審査を経ず、かつ「全件収容主義」のもとで、被収容者の身体の自由を奪っているわけですから、被収容者の生命・健康に対して最高度の注意義務があるといえます。当然、入管法61条の7を受けた被収容者処遇規則は、「所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。」と定めています。
 しかし、大阪入管では、外部の専門医の診察を受けることができないだけではなく、どんなに体調不良を訴えても、そもそも医者と会うことすらできないという現状にあります。
 「高血圧や糖尿病の人、聴覚が異常に低下している人などが、何度も何度も何度も医者に診てもらいたいと訴えても、診てもらえない。痛みに耐えかねて抗議すると、懲罰房(独房)に入れられ、制裁を加えられる。」という現状があります。
 本訴原告は、医療を受けられない被収容者の中でも、脳梗塞歴がある生命の危険が高い、特に深刻な問題のある方です。それにも関わらず、訴状記載の事案の概要のとおり、度重なる診療拒否を受けています。職員の勝手な判断によって、血液の流れをよくする薬の投薬中止も受けています。入国管理局では、過去に死亡事故を複数件発生させています。失われた人の命は二度とも戻ることはありません。 
 裁判所には、憲法及び入管法の正しい解釈を踏まえた、迅速で適正な判断をお願いしたいと思います。
以 上

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