1.大阪入管でもハンスト
マスコミ等でも報じられましたが、11月20日から東日本入国管理センターで、長期収容に抗議するハンガーストライキがおこなわれました。
- 【抗議呼びかけ・拡散希望】牛久の入管で30名超がハンスト:長期収容への抗議 - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年11月22日)
- 【抗議集中の呼びかけ】続報・牛久の入管でのハンスト:「申入書には回答しない」と所長 - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年11月25日)
東日本センターでのハンストは、12月6日には全員が摂食を再開し、収束しました。
いっぽう、大阪入管でも、被収容者によるハンガーストライキがおこなわれています。 12名が参加して12月3日にはじまったハンストは、9日の夕方時点でもほぼ全員が継続しています。
2.ハンストのきっかけと背景
大阪での集団ハンストのきっかけとなったのは、被収容者Mさんに対する入管側の対応でした。以下は、Mさんをはじめとする複数の被収容者による面会での証言にもとづくものです。
Mさんは30代の男性。胃腸の疾患のため、11月中旬に病院に搬送され、10日間あまり入院しました。腸と胃の接合部分あたりに穴があいているということで、入院中は栄養をほぼもっぱら点滴で摂取し、退院の前日になってようやくおかゆなどを少量食べることができたという状態でした。医師からは、退院後もあぶらっこい食事はさけるようにとの指示があったそうです。
11月26日にMさんは退院し、大阪入管に戻りました。ところが、12月3日、大阪入管がMさんに出した昼食は、他の被収容者と同じメニューで、おかずにとてもあぶらっけの多い肉料理が入っていたため、Mさんはおどろいて「これはあかんですよね?」と職員に言い、弁当箱ごと差し戻しました。職員は、「そうですね」と言って給食の内容がMさんの病気に配慮したものではなかったことを認め、謝罪はしたそうです。ところが、かわりの食事を用意してくださいというMさんの当然の要求に対しては「それはできません」と拒否し、ミスの原因についての説明もいっさいしなかったとのことです。
Mさんに対するこうした大阪入管の対応に、Mさんだけでなく、おなじAブロックの他の被収容者たちも怒り、12名が3日から抗議のハンストを開始しました。
こうして集団でのハンストへと抗議が拡大した背景には、これまでにも大阪入管では、2度にわたってイスラム教徒の給食のおかずに豚肉が混入する事件があったほか、給食に異物が混入する事例がたびたびあったということがあります。
- 10月4日 大阪入管 支給食に豚肉、抗議したらAブロック31人を居室に閉じ込める - TRY 入管面会報告(2017年10月5日)
- 長期収容の回避等7項目を申し入れ(大阪入管に対して) - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年6月7日)
とくに、豚肉混入は深刻な問題で、複数のイスラム教徒の被収容者は、「入管の食事は信用できない」と言ってパンと牛乳以外の食事は拒否するようになって1年以上になります。
抗議が広がっているのには、このように被収容者の宗教や健康に配慮する最低限の責任すらはたしてこなかったという入管に対する不信感が、背景としてあります。
3.ハンストをとおしての要求
6日(木)に、ハンスト参加者が連名で、食品の差し入れを認めるよう求める要求書を入管側に提出しました。大阪入管は、家族や支援者など外部からの食品の差し入れをいっさい認めていません。したがって、入管の提供する食事を安心して口にできない被収容者にとって、食べられるものがないのです。10日間以上もの入院を終えたばかりのMさんも、ハンストに参加していますが、それは入管の食事を信用できないからでもあります。
7日(金)には、Mさんをのぞくハンスト参加者11名が連名で、Mさんを仮放免せよという要求書を入管に提出しました。Mさんの病状に対する大阪入管の対応は、配慮がたんに「不十分」だというレベルの問題ではありません。食事について医師の指示があったにもかかわらず、これに従わず、Mさんの病状をますます悪化させかねない食事を出したのです。このようなデタラメな対応をしておいて、収容継続など許されるはずもありません。
4.ハンストへの大阪入管の対応の問題
7日(金)にハンスト参加者に面会して話を聞いたところでは、大阪入管側は、ハンスト参加者に対して、なんらヒアリングなどもしていなければ、その健康状態を把握しようともしていないとのことでした。
ハンスト参加者は収容期間が1年をこえて体調の悪い人も多く、Mさんふくめ病人もいます。ハンストが長期化すれば、その健康状態が心配されます。大阪入管は、人を拘束している以上、当然ながらその健康に配慮し、必要に応じて医療を受けさせる責任があります。被収容者がハンストをとおして何に抗議しているのか、また各人の健康状態はどうなのか、聞き取りすらせず、放置しているという現状では、大阪入管はみずからの責任をはたしているとは言えないし、いたずらにハンストの長期化をまねきかねない対応と言わざるをえません。
このたびの集団ハンストは、大阪入管の対応のまずさがきっかけとなって起こったのは明白です。大阪入管は、まずはハンスト参加者の話をきちんと聞くべきですし、参加者個々人の健康状態を聞き取りして必要ならば診察を受けさせるなどの対応をとるべきです。
抗議先:大阪入国管理局 総務課
電話 06-4703-2100
ファクシミリ 06-4703-2262
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