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関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

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Friday, September 7, 2012

【緊急要請】ダニロさんがガンの手術を受けられるよう、ご支援おねがいします




  私たち「仮放免者の会」の仲間であり、大切な友人であるダニロさんが、非常に深刻な病状にありながら、必要な医療を受けられずにいます。みなさまの支援をお願いしたく、この場でうったえます。



(1) 9ヶ月の収容と体調悪化
  ダニロさんは、埼玉県春日部市在住、フィリピン国籍の49歳の男性です。入管が在留資格を認めておらず、オーバーステイ状態にあるとはいえ、1987年の来日以来、25年間、日本で働き、生活し、また納税してきた住民です。

  昨年の5月に入管に収容され、今年の2月に東日本入管センターから仮放免されるまで、9ヶ月にわたって収容されました。その間、体調はいっかんしてすぐれず、排便時の出血などの症状をダニロさんは、入管センターにうったえてきました。昨年12月10日には血圧が急低下して収容所内で倒れるということもありました。収容中にダニロさんはすでに深刻な病状にあったと考えられますが、東日本入管センターは必要な検査等を受けさせて体調悪化の原因を究明することなく、2月にかれを仮放免し出所させました。



(2) 仮放免後に大腸ガンの診断
  2月末の仮放免後、3月下旬には一度、東京都足立区内の病院で受診するも、原因は特定できず。そして、その後も体調不良がつづき、春日部市内の病院で検査を受けたところ、7月に大腸ガンと告げられました。

  病院からは、一刻もはやく手術が必要、その手術は10月11月まで待てるような状況ではないと言われております。また、手術にともなって2週間程度の入院が必要で、無保険状態では、入院費も込みで250万から260万円の費用が必要と見込まれるとのこと。

  ダニロさんは、入管による収容のためにアパートと家財道具のいっさいをうしない、仮放免後になんとか生活を立て直そうと努力しているところでもあり、200万円以上の治療費を用意できるような状況ではありません。かれは独身で援助してくれる家族もなく、公的な扶助なしには大腸ガンの治療を断念せざるをえません。



(3) 国民健康保険の加入をことわられ、生活保護を申請中
  そこで、7月、住所のある春日部市の国民健康保険課に、国民健康保険加入の相談をしました。ところが、春日部市から返ってきたのは、加入資格の適用対象に該当しないとの回答でした(以下の画像参照。クリックすると大きくなります)。



  そして、9月3日、春日部市のこんどは社会福祉課に行き、生活保護の申請をしてきました。ところが、市の職員からは「県に照会したところ、適法に滞在し、活動に制限を受けない永住者、定住者等の在留資格があることが生活保護の適用の要件であるという厚生省通知があるとの県からの回答があった」というむねの説明があり、申請は受けるが却下になる可能性が高いと言われました。

  そこで2日後、埼玉県庁をおとずれ、春日部市からの照会を受けた県側の担当者に説明をもとめたところ、「自分たちは実施機関である市町村から、疑義などがあって照会が来た場合に、国の基準にもとづいた法解釈などをお答えするだけ」とのこと。

  つまり、市は市で、県側の回答を根拠に申請却下を示唆し、もう一方の県は県で、決定するのは実施機関である市の側であると言っているわけです。



(4) なんのための「法律」であり「通知」なのか?
  春日部市の職員も、また埼玉県の職員も、厚生労働省の「通知」を理由に、ダニロさんが制度の適用外であることを言います。また、自分たちの仕事が法律にもとづき、国の制度のわくぐみのなかでおこなわれているのだということを言います。

  なるほど、行政が法律や一定の手続きでさだめられた規則にもとづいておこなわれることは重要なことです。それはもっともなことです。

  しかし、このダニロさんをめぐって、この私たちの社会の不正義と不公正があらわになっているということもまた、あきらかではないでしょうか?

  一方には、病気にくるしみ、治療を必要とする患者が存在しています。そのかれが自宅アパートから歩いてゆける距離に、立派な設備のある病院があり、高い技能をもった医者や看護師らがいます。病院には、患者が必要とする医療を受けられるよう、適用可能な制度を模索して懸命に動いてくれているソーシャル・ワーカーもいます。

  手術の必要な患者が存在し、そのすぐ近くに、その必要とする手術を受けられる医療機関があるのに、「法律」や「通知」がそれをはばんでいるのだとしたら、それは公正や正義と言えるでしょうか? その「法律」や「通知」はなんのためにあるのでしょうか?



(5) みなさまへの協力要請
  ダニロさんは、25年まえに25歳でフィリピンから日本にわたり、以来、関東地方の建築現場や飲食店、倉庫での仕分けや検品などの仕事をになってきました。フィリピン・レストランが景気のよかった90年代には、かれは熟練したコックとして腕をふるい、つぎつぎと引き抜きの声がかかり通算5つの店でチーフ・コックをつとめ、またフィリピン・パブで5年間店長をつとめたこともあります。

  ダニロさんが建設にたずさわった道路にはおびただしい数の人や車が行き来し、またダニロさんが解体にたずさわった土地にはあらたな建物がたち、多くのひとがダニロさんの料理を食べたことでしょう。

  かれは――あらゆる、いま存在している、あるいは存在してきた者がそうであるのとおなじく――いやおうなく私やあなたと関係している存在です。かれもまたひとりのメンバーとして関わり、つくってきたこの社会から、一方的にかれが排除されて見殺しにされてよい理由などありません。

  法や規則が重要なのはいうまでもありません。しかし、法や規則を、ひとりの存在を助けずにその命の危機を見すごす口実に使いたくはありません。「厚生労働省の通知があるので」というような理由でひとりの命をあきらめることはできません。「何卒、ご理解をいただきますようお願い申し上げます」と言われても、ダニロさんを見殺しにすることを「ご理解」するわけにはいきません。

  むろん、入管に対する働きかけも最大限おこなっていきますが、まずはみなさまに春日部市への要請と激励を呼びかけます。「残念だがしかたがない」と、あきらめ見すごすための口実としてではなく、ダニロさんが必要な治療を受けられるために、法や決まりをどう活用できるのか。それを模索する努力を続けるよう、春日部市に要請(とまた激励)をしていただきたいです。

【要請先】
  春日部市 社会福祉課 保護担当
  • 電話:048-736-1111
  • 内線:2518
  • ファックス:048-733-0220

  なお、この要請の呼びかけは、春日部市の他の重要な業務をさまたげる目的でおこなっているのでは、もちろんありません。また、ダニロさんが公共の制度から疎外され、基本的人権が侵害された状態にあるのは、役所のみに帰せられる責任ではなく、こうした法制度と行政をこれまで温存してきた私たちの不作為も問われるべきことです。ここで責任を問われるのは、外国人支援にたずさわってきた者たちも当然ながら例外ではありません。極力、穏当なかたちでの要請(あるいは市職員へのあたたかい激励)をどうかよろしくお願いいたします。


仮放免者の会(関東) 連絡先
  • e-mail: junkie_slip999@yahoo.co.jp

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