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関東仮放免者の会「宣言」/賛助会員募集とカンパのおねがい

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Saturday, September 26, 2015

【転載】2015.9.11 大阪入管一斉面会・抗議行動



  TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)のホームページより、以下、転載します。

  あわせて、大阪入管Bブロック被収容者25名が連名で局長あてに提出した「苦情申立願い」も掲載します。

  大阪での被収容者、仮放免者、支援者の取り組みに、今後ともご注目ください。


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【転載】

2015.9.11 大阪入管一斉面会・抗議行動

  9月11日に大阪入国管理局(以下大阪入管)にて一斉面会と抗議行動を行いました。約20名の支援者と仮放免者で、面会とシュプレヒコールを通じて被収容者を励まし、大阪入管への抗議と申し入れを行いました。

  私たち支援者の外からのシュプレヒコールに応えるように、被収容者からは6階という高さにも関わらず大きな歓声が聞こえてきました。 「助けて!」「入管悪い!」という声もありました。

  それだけ声を上げざるを得ないほど、劣悪な処遇と、先の見えない収容に対する、収容場の中での不満と苦痛は大きいのだと思います。

  今後もTRYは当事者と一緒に、各支援団体の皆さんと連携しながら、大阪入管の劣悪な処遇改善へ向けて取り組んでいきます。ぜひ皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。


  大阪入管収容場の状況と抗議内容は以下を参照ください。






当日の配布チラシ




























大阪入国管理局に対する申し入れ書


申し入れ書
2015年9月11日
大阪入国管理局局長 殿
申入れ団体
  WITH
  TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)
  難民支援コーディネーターズ関西
  難民支援団体 ピースバード

  貴局収容場では常時60名前後の被収容者を収容している。しかも西日本入国管理センターの閉鎖決定(今年9月閉鎖)に伴い、貴局収容場での被収容者の収容期間は長期化している。以前は、貴局収容場での収容期間は2、3か月であった。退去強制手続きを経て退令処分を受けても帰国を拒否し、収容が長期化する帰国忌避者は西日本入国管理センターに移収された。移収先の同センターは、支援者や被収容者の度重なる抗議と改善要求によって、レントゲンや歯科治療などの医療設備が整い、かつ外部の専門医に受診させるなど被収容者の健康、生命、安全を守る収容主体責任義務を自覚し、それを果たそうとしていたし、また支給食において貴局とは比較にならないほど充実していた。ちなみに同センターは、貴局収容場と同数の被収容者数が収容されていた2013年度には、月平均約15件の外部受診を実施している。それゆえ同センターが閉鎖決定されるまでは、貴局収容場は短期間の収容場としての役割を持って処遇改善に努力することもなく、帰国忌避者を西日本入国管理センターに移収していればよかった。しかし、同センターの閉鎖決定によって貴局収容場の役割は、帰国、あるいはセンター移収までの一時的収容施設から帰国忌避者を長期収容する施設へとその役割は変化した。にもかかわらず、この変化に適切に対応することなく短期収容でことたりた時期の処遇が続けられている。もちろん短期収容施設なら処遇が劣悪で良いと言っているのではない。貴局収容場の役割の変化に伴い被収容者自身が、自身の健康や生命を守るため、また人間として扱えという要求を持って処遇改善を強く求めるようになったということである。
  私達は、退令処分を受けた者の収容は、帰国させるための収容であり、送還が我々の仕事であるという入管の言い分は重々承知している。だが難民申請者や日本に家族がいる被収容者、さまざまな事情で帰国できない人たちが帰国を拒否している。その中には退令処分取り消し訴訟を起こしている人もいる。このような人達を長期収容し、「こんな待遇で収容されるのはもういやだ」と音をあげさせ、帰国を強要するような処遇は直ちに改めるよう申し入れる。
  日本も加盟する拷問等禁止条約において「「拷問」とは、身体的なものであるか精神的なものであるかを問わず人に重い苦痛を故意に与える行為」であると定義されている。被収容者は時間的、空間的感覚を奪われる密閉施設に拘禁され、入管の厳重な管理下で診療の自由を奪われ、食事の選択権も奪われている。その被収容者の人権を尊重するという収容主体責任義務を果たそうとせず、体調不良を訴えて医師への受診を何度も要求しても認めず、また腐りかけのキャベツの入った支給食の改善を訴えても改善しようとせず、今年8月には支給食に生きたゴキブリが混入していたこともあった。これらの事実から私達は、貴局は恣意的に被収容者の心身を痛めつけようしていると評価せざるを得ない。
  私達は、これまで貴局の自浄努力に期待し、何度も貴局収容場の医療や食事の改善を申し入れてきた。しかも医療問題については、東京入管、東日本入国管理センターにおいて昨年、一昨年と四人もの被収容者が適切な診療を受けられず死亡した事件を取り上げ、このような犠牲者を絶対出させないという支援者としての強い意志を示して改善を申し入れてきた。しかし、「適切にやっている」と決まりきった回答しかせず、一向に処遇改善の努力をしようとしない。
  日本社会は、貴局入管が被収容者の人権を侵害し、被収容者を非人間的に扱うことを決して認めることはない。1951年、出入国管理令が公布されたが、そのとき以来入管法第五章の「退去強制手続き」の基本は変わっていない。出入国管理令は、東西冷戦が厳しくなる政治情勢の中で日本の旧植民地出身者を対象に、政治的治安目的から作成されたがゆえに、入管は政治的治安組織としての体質を持って成長してきた。東西冷戦構造が崩壊して25年も経っているのに、いまだに国益のためなら何をしても許されるという体質を大阪入管は引きずっているのか。かつて大阪の日本人住民の中には大阪入管を「入管」とは呼ばず、あそこは朝鮮人の行くところだと蔑み、「朝鮮庁」と差別的に呼ぶ者もいた。このような被収容者に対する人種差別意識に大阪入管は凝り固まっているのか。
  だが一方で、私達は「開かれた入管」というスローガンを掲げ、入管行政は国民の理解なくして成立しないという認識に立ち努力してきた入管の歴史も知っている。貴局が、入管が日本社会との軋轢の中で、もまれ、学び、改革してきた歴史を逆行させ、古い体質に引き戻そうとしているとまでは思わない。しかし、貴局収容場の処遇は、あまりにもひど過ぎる。改めて貴局入管の自浄努力に期待し、以下質問と改善の申し入れを行う。

一、医療問題について
(1)ベトナム人被収容者が、結核の疑いが持たれるような微熱が数週間続いた。本来ならしかるべき医療機関を速やかに受診させるべきであるが、貴局はそれをしなかった。大阪入管局長は、収容場の管理責任者である。管理責任者として感染症の感染拡大を防ぐ責任があるか否かについて回答してもらいたい。
(2)胸にシコリが発生したブラジル人女性が乳がんではないかと心配している。なぜ乳がんの検診を受けさせず、放置しているのかについて回答してもらいたい。検診もせず、乳がんではないと入管が言い張っても女性の不安は消えないことは常識的にわかるはずである。
二、支給食の改善について
これまでとりわけ男性被収容者から支給食の量が少ないこと、またその質において腐ったキャベツが度々出される、さらに支給食にゴキブリが混入したことがあったとの訴えがある。業者に対し、支給食の質量を改善するよう強力に指導すること。
三、食品の差し入れを許可すること
貴局収容場において被収容者に差し入れできる品目を食品まで拡大すること。西日本入国管理センターでは無制限ではないが、果実や野菜類の差し入れも可能であった。また以前、貴局収容場においてもカップ麺等の差し入れを許可していた。収容場内で購入できる食品は、外部で購入する食品と比べて異常に高額である。また所持金のない被収容者は貴局収容場で食品の購入さえできないが、こうした被収容者に対し、支援者が食品の差し入れもできない状態にある。
四、面会時の録音を許可すること
面会立ち合い時に面会内容を無断で録音する職員がいる。入管側が録音するのであれば、録音している事実を被収容者と面会者に告示するとともに、面会者側にも面会内容を録音することを許可するべきである。


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【Bブロック被収容者の連名要求書】


大阪入国管理局署長
苦情申立願い
  支給されている食事のメーン[メイン]のおかずが炭水化物ばっかりで(焼きそば、じゃがいも、コロッケ)または少ないです。食事のメーンとなる肉類が入っていませんので、栄養分が不十分で、このままでは私たちの健康によくないです。ちゃんとしたメーンのおかず(肉類)を業者に出して欲しい。もしくは今の業者よりもよい業者に変えて下さい。
  宜しくお願いいたします。
27-9-7
[以下、被収容者25名の署名(省略)]
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関連リンク



Friday, September 25, 2015

【転載】チャーター機による難民強制送還反対決起・関西集会開催!! (プレスリリース)




当ブログでもすでに案内させてもらっていますが、10月3日に大阪で「憲法違反の難民申請者チャーター便送還を問う」関西集会が開催されます。



この集会の、マスコミ向けに配布しているプレスリリースを転載します。

なお、集会内容に一部変更があります。変更点については、TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)のページ、または、以下に転載するプレスリリースをご参照ください。




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【転載】


マスコミ各位

2015年9月25日
「憲法違反の難民申請者チャーター便送還を問う」関西集会 実行委員会 


シリア難民だけではない、日本国内の難民にも光を!!
チャーター機による難民強制送還反対決起・関西集会開催!!


  2014年12月18日、法務省入国管理局がチャーターした航空便でスリランカ難民申請者が大量に強制送還されました。そのうち多くは難民として認めない入国管理局の最終処分が出た直後、うむを言わせずバスに乗せられ羽田空港まで無理矢理送られました。日本は1981年に難民条約に加盟しているにも関わらず、このような蛮行は許されてよいのでしょうか? 

  日本国憲法32条は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」。この条文によって入国管理局の難民不認定処分を保護を求める人は、処分の取り消しを求める裁判を受けることが出来るのです。しかしながら、保護すべき難民の裁判を受ける権利を無視して強制送還は強行されました。入国管理局は、自国での迫害の恐怖に怯え命からがら助けを日本に求めてきた多くの人の自国の迫害する可能性が高い「為政者」 に無条件で引き渡したのです。

  日本国憲法前文は、次のように私たちに語りかけます。「私たちは、全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」日本国憲法違反のチャーター便による強制送還という難民政策の正当性や私たちに突き付けられた課題を考えていただきたく、本集会を開催いたします。 


開催日:2015年10月3日(土) 
時間:13時30分~16時00分 
場所:エル・おおさか(視聴覚室) 
参加費:1000円 
内容: ネットを介した強制送還された難民へのインタビュー 、解説
憲法違反についての解説、今後の取り組みについて
集会の最後には、写真アクション(日本でも難民を受け入れよう!というメッセージを世界に発信するため、バナーを用いた参加者全員での写真撮影)を行う予定です。

■連絡先■ 
主催:「憲法違反の難民申請者チャーター便送還を問う」実行委員会  
宣伝広報担当:TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)  
メール:try@try-together.com 

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関連

Thursday, September 17, 2015

9月9日、「仮放免者に在留資格を!」デモ報告




  9月9日(水)15時から、法務省入国管理局に対して仮放免者に在留資格の付与を求めるデモ行進と申入れをおこないました。翌10日には茨城県で堤防の決壊などの大災害をもたらした大雨の中でのデモですが、120人の参加を得て決行されました。



  当日、集合場所である日比谷公園(東京都千代田区)では、雨は降ったりやんだり、一時、やんだかと思えばまた強く降り出したりしていた。会員が住む関東全域が同様の状況であり、朝の内から、出身国別に選出されたリーダーや支援者のもとに、特に北関東エリアの会員から、「今日は電車がどうなるかわからないから行けない」と電話が次々と入ってきた。雨に濡れた体で、帰宅も困難になり風邪をひけば、国民健康保険に加入できず受診費用に事欠く仮放免者からしたら死活問題である。東京都以外に居住する会員は、デモに参加するため、東京入管、横浜入管に事前に申請して一時旅行許可を得て、自分達への在留資格を求めるこの日のデモを待ち望んでいたが、この悪天候では参加をあきらめざるを得ない。集合時刻の14時30分になっても、集まっているのは50人弱。主催者側としても、今日はこの程度の数でもしかたないかと話し合っていた。しかし、15時前にデモ出発地点である日比谷公園中幸門で隊列を組んでいると、次々と会員が合流してきた。さらに新橋駅近くから外堀通りと、道行く人たちに仮放免者問題(※)への理解を訴えて行進していると、遅れて来た仲間たちが合流してくる。最終的に、法務省を一周するころには参加者120名となっていた。うち、支援者30名ほど、会員90名ほどである。

  会員の参加者は東京や隣接県に住む人が多かったが、北関東から「今日は大事な日だから」「自分たちの事だから」と参加してくる会員もいた。長い収容生活で体調を崩し、やっと数日前に仮放免となった人も「筋肉が落ちていて最後まで歩けるか自信がないけどやってみる」と加わった。幼児を抱きかかえて行進する母子の仮放免者、雨合羽を着た児童の手を引き行進する家族連れの仮放免者、みんなで助け合いながら、声を限りに「長期収容やめろ」「再収容やめろ」「無理やり(送還)するな」「チャーター機(送還)するな」「難民にビザを」「家族にビザを」「仮放免者にビザを」などとシュプレヒコールを叫ぶ。

  会員の国籍は、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国にまたがり、在留理由は、難民であったり、家族結合であったり、長期滞在であったり様々。しかしみんなに一致しているのは、オーバーステイなどで入管法違反者となり、退去強制令書を発付され、長期収容に耐え、仮放免後の不自由な生活にも耐えてきていることである。理由はさまざまであるが、いずれも帰国できない事情を抱えているからこそ、長期収容にも耐えてきたのである。

  仮放免者に在留資格を求める私たちの主張に対して、入管職員から、「退去強制令書発付処分に服して帰国する人もいるのに、耐えたから在留資格をもらえるというのでは『耐え得』になるから」と言われたこともある。しかし、収容生活の過酷さは、現場の職員ならばよくわかっているはずである。密閉された狭い居室に多国籍の者たちが押し込まれ、病気になってもなかなか治療してもらえず、いつ出られるともしれない中、不安にさいなまれながら一日一日を過ごしていく。仮放免になっても、移動・就労の自由を奪われ、社会保障制度の枠外に置かれ、病院に行けないまま亡くなった仲間もいる。単なる処遇の運用の問題というよりも入管収容所という施設そのもの、そして仮放免者という立場そのものが、「耐え得」など狙えない、人権を無視されたものである。そういう年月を過ごしてきた会員たちが、積もり積もった万感の思いを込めて、コールを叫ぶ。


  デモ行進の前半、雨は小降りになり、やんだ時間もあったが、後半になるとまた土砂降り。そんな中、デモ隊は主目的である法務省に到着した。リーダーと支援者の代表が法務省入管に申入書を渡す。いやがうえにも、みんなの気持ちは最高潮に達する。雨に濡れる体が熱気を帯びて「ビザ!ビザ!ビザ!」の連呼。法務省を一周する間、苦しかった収容生活が思い起こされ、治療を受けられないまま亡くなっていた仲間が思い起こされ、憤りと在留資格への期待が入り混じるなか、コールをとどろかせた。


  そして、裁判所の角を左折し、日比谷公園霞門から入ってデモ行進を終了し、悪条件の中、多数の仲間が集まって目的を達成できたことを確認した。そして、次は10月18日の第6回大会での再会を確認して解散した。

  仙台の大学生が10名以上、支援で参加してくれ、支援者も30人と悪天候の割に多く集まった。支援者は日本人のほか、正規滞在の外国人、中には、自分も退令発付を受けて長期収容に苦しめられ、仮放免生活も送り、在留資格を得た仲間も参加してくれた。

  会員の参加者も、自分は行くにしても、この雨だから参加者は少ないだろうと予測していたところ、思いのほか多数の仲間が参加し、また支援者も多く、仮放免者の会の団結した力、またそれに対する支援者の力を感じ取ることができた。「雨で心配したけど、こんなに集まってよかった」「支援者がたくさんいて心強かった」「みんなにビザが出るまであきらめない」などなど、参加した会員の感想が寄せられている。

  メディアは、ロイター、週刊金曜日などが取材に来てくれたので、そちらの記事も読んでください。


  また、この日、法務省に提出した申入書は、以下の記事に掲載しています。













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※仮放免者問題の深刻化

  仮放免者は、難民申請や再審情願申立などで在留資格を求める手続きをしている。帰国できないために長期収容にも耐えるしかなく、仮放免後に、帰国できるように事情が変わった者は帰国するが、そうでなければいつまででも仮放免生活を耐え忍ぶしかない。しかし、在留資格がないため極めて不安定な生活状況におかれる。本人たちの人権のためにも、また社会的状況としても、仮放免と言うグレーな状況は最大限、避けるべきである。しかし、私たちが「仮放免問題の解決」を求めるのは、当事者一人ひとりの人権擁護のためであると同時に、「仮放免者数の増大と仮放免期間の長期化」という事象が近年、深刻化しているからである。

  2004年以降、警察も含めて全国的にオーバーステイなどの摘発が強化された(この摘発強化は、日本の入管行政・労働行政の方針転換、すなわち、それまで「不法滞在外国人」を脱法的に労働力として利用するものから、彼ら彼女らを摘発して追い出すかわりにこれを派遣労働者に置き換えていくという方針への転換として理解することができる。「仮放免者問題と強制送還について――この10年の入管行政をふりかえって」を参照)。それに連れて退去強制令書の発付件数も増えた。しかし、そのなかで、実は難民として日本に逃れて来ていた者、すでに日本人などと婚姻していた者、とっくに生活基盤を本国から日本に移していて帰国しても生活できない者などが、長期収容者として増大し、さらにそれらの者が、心身を極度に衰弱させ、仮放免となることにより、仮放免者が増大してきた。現在公表されている退令仮放免者総数で最も古い統計は、2006年末の631人であり、すでに大量摘発が始まり、被収容者数も仮放免者数も増大する中での数字である。これが2008年末には1,000人を超え、2011年末には2,000人を超え、2013年末には3,000人を超え、激増している。

  また、東海地区、関西地区とも協力して全国仮放免者の会として、2013年2月に全国一斉調査を行ったところ、仮放免期間について520名の回答を得た(「2013年仮放免者実態調査報告」を参照)。この数字は、当時の退令仮放免者の約5分の1である。仮放免期間について1年区切りで聞いたところ、1年未満が最も多く175人、1年以上が149人、2年以上が134人と多く、ここまでで全回答者の88%を占めた。3年以上は26人と急に少なくなり、最長は8年以上の5人であった。当時であっても5年以上が合計27人おり、信じがたい状況であったが、当時2年以上だった134名は次々と仮放免期間5年にさしかかっているところである。実際、関東で仮放免者の会を結成した2010年10月、この年に仮放免になった者を主体として結成大会をおこない、その後も、この層が運動を主力としてリードしてきた。帰国した者もいるし在留資格を得た者もいる。しかしそれらは極少数であり、大半の会員は仮放免生活を続けている。仮放免期間は1年であっても短いとは言えないが、5年を超過するなど誰がどう見ても異常な長期間である。会員ではないが、脳に直径8cmもの腫瘍ができながら病院に行くお金がなく、痛みをこらえながら死亡した仮放免者もいた。仮放免期間の長期化は、こうした悲劇をも再来させかねない。また、全国一斉調査において3年以上が極端に少なくなっていたのは、2009年から10年にかけて頻発していた再収容の影響もある。調査では、最後の仮放免許可からの期間を質問したが、一度目の仮放免許可からの期間を質問すれば、仮放免期間はもっと長いものとなったはずである。

  私たちが法務省入管に求めているのは、長期収容にも耐えざるを得なかった退令仮放免者には、人権擁護の観点から在留を認めてもらいたいということである。こうした退令仮放免者たちに順次在留を認めていくことは、現行の法制度下でも可能なはずである。法務省入管が、人権擁護あるいは人道上の観点に立って被退令発付者を在留特別許可によって救済してきた前例・実績も一定程度すでにある。退令仮放免者の在留を正規化していく以外に、この仮放免者問題を解決する道はない。

Wednesday, September 16, 2015

9.9法務省デモ「申入書」



「仮放免者に在留資格を!」 9.9法務省デモにて、以下の申入書を法務大臣および法務省入管局長あてに提出しました。

  9月9日におこなったデモについては、おってこのブログで報告します。


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申  入  書
2015年9月9日
法務大臣  殿  
法務省入国管理局長  殿
  我々、仮放免者の会は、どうしても帰国する事の出来ない仮放免者達に在留資格を付与するようあらためて強く申し入れる。仮放免者達は自身の難民性のため、自身が長年かけて築いてきた生活、人間関係、社会とのつながりを守るため、自身の病気の治療のため、愛する家族との生活のため等、それぞれの理由のために日本での生活を希望している。彼ら、彼女らにはどうしても帰国出来ない理由、断ち切りがたい絆が日本に存在する。これらの者達に入国管理局(以下、「入管」という。)が帰国を強制することは、当人たちにとって死刑にも等しい甚大な損害をもたらす場合がある。これら仮放免者に対し、最大限の人道上の配慮を持って在留資格を付与していくことを我々は申し入れる。

再収容、送還は仮放免者問題の解決策とはなりえないこと
  入管では2010年、3月及び5月の西日本・東日本両入国管理センターでの大規模ハンガーストライキ、2月及び4月の東日本入国管理センターでのブラジル人・韓国人被収容者の自殺、3月の国費無理矢理送還中におけるガーナ人男性の死亡といった事件が次々に起こった。また、2013年10月の東京入管におけるロヒンギャ男性を皮切りに、入管の収容所における死亡事件が頻発している(2014年3月の東日本入国管理センターにおけるイラン人男性とカメルーン人男性、同年11月の東京入管におけるスリランカ人男性)。この間現在に至るまで、被収容者によるハンストや退令仮放免者によるデモが繰り返し行われている。
  これらの事実は、どうしても帰国出来ない外国人に対し、入管が収容や再収容、送還といった暴力的方法をもって対処することの限界を明らかに示している。退令仮放免者らの多くは、どうしても帰国出来ない事情があるからこそ過酷な収容にも耐え、仮放免者となってからも人権上の著しい制約を受けつつ、なお本邦での在留を求めて生活している。仮放免者の送還に固執する入管が、際限なく再収容を繰り返すことは、退令仮放免者及びその家族の心身を無用に痛めつけるものであり、当事者の自殺といったような痛ましい犠牲を生み出すことにつながるのみで、問題の解決にはなりえない。入管行政からみても、非効率、不経済であろう。仮放免者の問題の解決には、彼ら、彼女らの本当に帰国出来ない理由を斟酌し、在留資格を付与していく以外の方法はない。
  難民不認定異議申立棄却や行政訴訟での敗訴確定を契機として行われる再収容や、行政訴訟の敗訴確定後、事情の変化等により再審情願を申し立てている者等に対して行われる再収容については、当人の帰国出来ない事情を十分に考慮した上、これを行わないよう強く申し入れる。再収容を行うにあたっては、細心の上にも細心の注意が払われるべきであり、入管法第55条1項規定の仮放免の取消によるものや、犯罪行為等の新たな退去強制事由によるもの以外の再収容は原則的に行わないでいただきたい。
  また、前述してきたようなどうしても帰国できない事情を抱えた者たちに対する強制送還は、刑罰にも比すべき重大な不利益処分である。難民申請者であれば文字通り生命への危機をもたらすものである。長期滞在者であれば長年にわたり築いてきた生活基盤を根こそぎにするものであり、送還先の本国において生活の手段がなく、生存すら困難な場合も少なくない。本邦に配偶者、子供等の家族がいる者に関しては、家族と暴力的に引き離され、長期間、場合によって永久に会うことの出来ないものもいるだろう。このように、強制送還は、時として死刑にも等しい苦しみを仮放免者達にもたらす。当会は、本人の意思に沿わない強制送還は個別、チャーター機によるものいずれもこれを行わないよう申し入れる。
  とりわけて当会は、チャーター機による集団送還にはいかなる場合も絶対に反対である。またすでにチャーター機送還は、その導入趣旨からして破綻していると言わざるを得ない。入管は、個別送還に比して安全かつ安価であるとして2013年度からチャーター機送還を開始した。チャーター機送還では、同国人を一定人数かき集めなければならないことから、個別送還事例に比しても人権侵害の度合いが高い送還ケースが出てきている。昨年12月のスリランカ人・ベトナム人同時送還においては、難民を送還し、かつ難民不認定処分異議申立棄却告知と共に収容し翌日のチャーター機で送還し、裁判を受ける権利を侵害した。また、夫婦・父子を分離するケースもあった。個別送還についても当会は反対だが、極めて深刻な人権侵害のケースを招くチャーター機送還についてはとりわけて強く反対し、これまでのチャーター機送還に抗議する。しかも、昨年12月のチャーター機送還では、一人当たり125万円という高額の送還経費となった。人権問題を金額の多寡で云々することはできないが、入管が自ら主張したチャーター機による集団送還の導入趣旨の「安価」という側面からは大きく逸脱して決行された。かつて集団密航者などを船舶を利用して集団送還した時代とは、あまりに国際的・社会的状況が変化し、非正規滞在者、とりわけて退令仮放免者の状況が変化している。当会としては、あくまで人権擁護の立場からチャーター機送還に反対するものであるが、入管として、総合的見地からチャーター機送還方針は取りやめていただきたい。

難民申請者について
  難民申請者については、現在日本では、難民認定に際して、認定基準においても申請者自身に課せられる立証責任においても、国際的基準からかけ離れた極めて厳しい運用がなされ、例年極めて低い認定率で推移してきている。これらは、国内外からの厳しい批判にさらされているところである。現在の運用は、帰国すれば生命の危険があり保護が必要な者達に保護を与えることを、実質的に拒否する実態となっている。日本の難民認定制度は、少なくともUNHCR難民認定基準ハンドブックの定める「灰色の利益」に鑑み、国際的基準に沿う形で運用を改善すべきである。仮放免者の中にも多くいる上記基準に該当するものに対しては、難民として認定することを求める。また迫害主体が政府ではない場合にも、UNHCR難民認定基準ハンドブックで定められているように政府がこれら迫害を容認している場合、あるいは効果的な保護を与えない、与えられない場合には、難民として認定する、あるいは人道的な配慮から在留を特別に許可する事でこれを救済するよう求める。
  近時、難民申請をしつつ就労する外国人を「偽装難民」と決めつけるがごとき報道が散見されるところである。入管は、このような「偽装難民」によって「真の難民の迅速な庇護に支障が生じる」とし、これへの対応と称して審査の簡素化や再申請等に関する各種の制約等の難民認定の厳格化策を打ち出し、これにより適正な難民保護を図っていく等と述べている。こうした厳格化はすべての難民申請者に関して及ぶものであるだけに、当会としても看過出来ない。
  そもそも、難民申請者が生存のため就労することは全く責められるべきことではないし、就労の意思を有することと難民であることが重なり合うことがあっても何ら不思議はない。既述のとおり、入管の難民認定制度は国際的基準とかけ離れたもので本来保護すべき者に適正に保護を与えているとはいいがたい。まずは、本来保護すべき者に然るべき保護を与えることが先決である。繰り返すがUNHCR難民認定基準ハンドブック、国際的基準に則って、難民認定、あるいは在留特別許可を付与していくことで適正な難民保護を図っていくべきである。
  さらに、実習先から「逃亡」し難民申請を行う技能実習生たちが、「偽装難民」としてことさらに問題視されている。しかし、技能実習制度そのものが、技術移転を通した国際貢献といった建前とは裏腹に、適正な賃金での雇用が困難となった業種に低賃金で働く労働力を導入するための制度となっていることはもはや明白である。以前から研修生・技能実習生制度は、外国人を安価な労働力として酷使し使い捨てにする現代の奴隷制度であるとして国内外からも大きな批判を浴びてきたものである。問題は明らかに「偽装難民」にではなく、こうした「偽装受け入れ」にある。このような欺瞞的で人権を無視した外国人政策をあらためることが肝要である。技能実習生制度は廃止し、然るべき在留資格を付与したうえで外国人を労働者として受け入れるべきである。自らの制度の欠陥を改めずして難民申請者自身にのみ責任を転嫁することは社会的公正、道理を著しく欠いている。

長期滞在者について
  1980年代後半からのバブル景気時、さらにはバブル崩壊後も余韻が残る数年間は、製造、建築・土木、廃棄物処理業等いわゆる3K職場(キツイ、キタナイ、キケン)と呼ばれた労働現場では、日本の若者がこれを忌避し、新規の就労は少なく、すでに就労している者は他の職場に転職して行った。特にバブル景気時には人手不足が深刻であり、仕事はいくらでもあるが労働者がいなくなって会社が潰れるという「労務倒産」も多発して社会問題化していた。この異常事態は、需要に供給がまったく追いつかないという状況を生み出しかねなかった。当時その労働者不足を埋め、日本の産業構造を底辺で支えた一翼が、非正規滞在の外国人労働者、あるいは短期滞在中に就労する外国人労働者であった。現実に外国人労働者が社会的生産力として力を発揮する中、さらなる、かつ正規の外国人労働者導入策として、1990年に改正入管法が施行された。そこでは主に中南米の100万人と言われた日系人社会をターゲットとして、その二世には「日本人の配偶者等」、すでに稼働年齢に達しつつあった三世には「定住者」の在留資格を付与することにした。同時に、外国人研修生を中小企業も活用できるように団体監理型受け入れが新設され、続く1993年改正入管法では技能実習制度(一年間)が設けられ、さらに1997年には技能実習期間が最大二年に延長された。
  正規滞在か非正規滞在かを問わず、日本の労働市場の需要に応えて外国から供給されたのが外国人労働者であり、入管法上はともかくとして、日本社会が受け入れたのである。日本の経済的繁栄がその血の滲むような労働の上に成り立っていたことを忘れてはならない。以前、入管職員はしばしば、「不法就労が日本の労働者の職場を奪う」と発言することがあった。それは明らかな事実誤認である。上述の通り、日本の労働者が抜けた穴を非正規滞在外国人と、日系人が埋めたのである。日本の労働者を駆逐したというならば、「時給300円の労働者」とも呼ばれて文字通り奴隷労働に置かれた研修生であろう。研修生制度においては、すでに本国でプロの技術を身に着けた若い労働者が、違法な低賃金状態で雇用され、それまでいた日本人労働者や正規滞在の外国人労働者を駆逐する例がしばしば見られた。
  一方、2003年10月の法務省入国管理局、東京入国管理局、東京都及び警視庁による「首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言」、2003年12月の犯罪対策閣僚会議による「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」等により、国等は、非正規滞在外国人の労働力に依拠しないことを明確化した。少なくともそれ以前に入国し、結果として定住するに至った非正規滞在外国人、とりわけて退令仮放免者に在留資格を付与していく事は社会的公正という見地からも人道上の配慮からも重要である。
  我々仮放免者の会は、これら長期滞在の仮放免者については、彼ら、彼女らが日本の発展、繁栄を支えてきたことを率直に認め、職場で、地域社会で築いてきた人間関係等の豊かな社会関係を最大限考慮し、在留資格を付与していくことを求める。
  2020年東京オリンピック、パラリンピック開催に向け、労働力の不足を埋めるため、政府は技能実習生の拡充を決めた。国際貢献を建前とする技能実習生制度で労働者不足を補おうというのである。こうした政策は、バブル期の労働力不足を非正規滞在外国人、日系人、研修生などで補った当時の繰り返しであり、外国人を都合のいい労働力として利用したいだけ利用し、用が済んだらば帰ってもらうといったものである。このようなご都合主義的、偽装受け入れ的なやり方はもはや許されない。外国人労働者が必要ならば、技能実習生といった小手先の方法でなしに労働者として然るべき在留資格を付与したうえでこれを正面から受け入れるべきである。長期滞在の仮放免者に対しては、前述してきたようなバブル期の外国人政策の清算、社会的公正の観点からも在留資格を付与していくことを重ねて求める。
  長期滞在の仮放免者の中には、日本語能力も高く、日本での生活習慣にもなれ、日本社会にとけこんでいて、仕事にも習熟し稼働してきた労働現場において専門的な高い技術を習得している者もいる。こうした者達は長い経験の中で学んだ技術を、後進に伝え継承していくことができる。日本社会にとって非常に貴重な存在でもある。こうした仮放免者は日本社会を昔も今もそしてこれからも支えて来、支えてくれる存在であり、良き友人、仲間、家族でもありうる。彼ら、彼女らを正規化していくことは日本社会にとって有益であり、社会的公正にもかなう。
  また、仮放免者は特に医療の面において著しい排除を受けているが、仮放免期間の長期化に伴い、生命の危機のある疾病に罹患する者も増加していく。労働災害によって回復不能な障害を負った者もいる。これら重大な病気・ケガを抱えた長期滞在仮放免者に対しても、日本経済を底辺で支え続けてきたことを考慮し早期の在留資格付与を求める。

家族統合について
  仮放免者達の中には、日本人の配偶者もいれば、在留資格保持者の配偶者もおり、一家全員が仮放免者(異なる国籍を持つ在留資格を持たない男女が子をなした場合等)というケースも珍しくない。
  市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)の第23条2項には「婚姻をすることができる年齢の男女が婚姻をしかつ家族を形成する権利は、認められる。」とあり、同規約の第23条1項には「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する。」とある。さらには「児童の権利に関する条約」の第3条1項は「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」と規定する。愛する家族と共に暮らす事、家族と引き離されたくないという気持は誰しもが持つ、当然かつ切なる想いである。日本に家族(配偶者、及びその子ほか扶養すべき者)がいる者については、上記国際条約の規定に則り、家族統合に十分に留意し、然るべく在留資格を付与していくことを申し入れる。未成年の仮放免者にもその他仮放免者と同様に医療、行動範囲の制限等、様々な制約、制限がある。これらは児童の健全な生育を著しく阻害するものとなっている。これら未成年者の仮放免者及びこれを扶養する親等に対しては、早期に在留資格を付与し救済することを求める。

結語
  我々、仮放免者の会は、前述してきたようにどうしても帰国できない理由のある退令仮放免者達に対して、再収容や強制送還ではなく、在留資格を付与していくよう求める。難民申請者に関しては難民認定制度の適切な運用が望まれる。在留特別許可をすべき積極要素として、配偶者、扶養すべき子供等、家族統合については最大限これを評価することはもちろんであるが、とりわけ長期滞在の項目について、前述してきたような10年、20年、30年と長期にわたり本邦で生活している者達のどうしても帰国できない事情を斟酌し、在特付与にあたり特に重視するよう申し入れる。また、重要な積極要素のあるものに関しては、本人の反省の度合い、家族統合等、退令発付後の期間、仮放免期間等、諸般の事情を考慮し、消極要素に関しては過度に重く見ることのないように申し入れる。
  仮放免期間の長期化と仮放免者の増大といういわば仮放免者問題は、これまで述べてきたように、労働市場の要請に応えるために採られた、ご都合主義的なゆがんだ外国人政策の果てに出現したものというべきである。しかし、経済的要請のみにかまけて、社会的公正や人権擁護が忘却されることがあってはならない。入管行政の執行と、どうしても帰国できない退令仮放免者達の苦しみ、要求のあいだに大きな溝があるとしても、これらを架橋すべく、日本政府、入管には外国人の人権保護の見地に立ち必要な対応をとることを求める。
以上
申し入れ団体    仮放免者の会

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Monday, September 7, 2015

会のホームページをつくりました/9・9法務省デモのプラカード画像



さきにお知らせしていましたとおり、9月9日(水)に「仮放免者に在留資格を!」 9.9法務省デモを開催します。



連絡先:
おおまち Omachi 090-3549-5890 / みやさこ Miyasako 090-6547-7628 / Elizabeth(English available) 080-4163-1978




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さて、このブログとべつに、仮放免者の会のホームページをつくりました。

仮放免者の会  ホームページ



今後こちらも充実させていきますので、よろしくお願いします。

以下のページには、9.9法務省デモのプラカード用の画像を置いてあります。セブンイレブンのコピー機に番号を入力すると、印刷ができます。どうぞご利用ください。

http://praj-praj.jimdo.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E-%E3%81%AB%E3%81%BB%E3%82%93%E3%81%94/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/

Saturday, September 5, 2015

8月30日付『読売新聞』に掲載された差別扇動記事について



  読売報道の問題についての連載が、第2回を掲載してからだいぶ間があいてしまっています。


  1. 【連載】「難民偽装問題」をめぐる読売報道の問題点(第1回)――偽装された関心としての「難民保護」
  2. 【連載】「難民偽装問題」をめぐる読売報道の問題点(第2回)――だれが技能実習制度を形骸化させているのか?


  連載は後日再開します。今回は、読売新聞に技能実習生といわゆる「難民偽装」をめぐってきわめて悪質な記事がまた掲載されていたので、その問題点を簡単に指摘します。

  問題の記事は、「外国人実習生厚遇求め逃亡」との見出しがつけられ、8月30日付の社会面に掲載されています。この記事も、上記の連載で私たちが批判してきた読売の一連の記事と同様、制度的・政策的な矛盾・問題点をあべこべに外国人に転嫁した差別的な記述にみちたものになっています。

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  読売記事は以下のように要約できます(末尾に問題の記事を転載しておきますので、以下の要約や記事に対する批判が的確なものかどうか判断するさいの材料として、参照してください)。

(1)  実習先から「逃亡」した技能実習生が難民申請をする例があいついでいる。
(2)  (1)は、「より良い待遇」を求めての「偽装申請」とみられる。
(3)  難民申請にはパスポートが必要であり、「逃亡」した実習生がパスポートの返却を求めて労働組合を「利用」した例もある。
(4)  実習生があいついで「逃亡」したため人手不足で廃業した会社もある。

  (3)の、難民申請にパスポートが必要だとの読売記事の記述は、事実とことなります。読売がこの点で虚偽を書いていることの問題性については、あとで述べます。

  最初に、(1)(2)をめぐり、読売が「逃亡」という表現をもちい、またその実習生の「逃亡」は「厚遇」「より良い待遇」を求めてのものだとしている点について、検討してみましょう。

  読売記事は、ミャンマー人女性5人が「逃亡」するにいたった実習先の縫製会社の待遇について、「実習先に不満」との小見出しをつけてつぎのように書いています。

「毎日午前7時半から午後10時まで働かされた」「来日前は月10万円以上と聞いていた給与が8万円だった」。縫製会社で働いていたという女性たちは取材に対し、口々に不満を述べた。

  一見してひどい待遇であることがわかります。このような職場から脱しようとすることは、常識的な書き方をするならば、せいぜい「通常の待遇を求め」といったところでしょう。ところが、読売新聞は「厚遇求め逃亡」などと書くわけです。

  読売記事は、ミャンマー人実習生たちが超低賃金での過酷な長時間労働をしいられていたということはいっさい問題にしないかわりに、取材者への彼女たちのうったえについて「口々に不満を述べた」などというまとめ方をしています。読売の記者たちにとっては、日本人労働者と比較してあきらかに不当に劣悪な待遇で外国人が働かされていることは、なんの問題もない、いわば“当然のこと”であって、これに「不満を述べ」るのは“ナマイキだ”というわけなのでしょう。よくもまあ、外国人への蔑視・差別意識を紙面で臆面もなくたれながせるものです。

  私たちは上記の2の記事で、技能実習制度についてつぎのように指摘しました。

「高い賃金」などの、よりよい待遇を求めて「転職」するのは、通常の労使関係であれば、なんら責められるいわれのない、労働者としてあたりまえの行為であるはずだという点を、まずは確認しておきましょう。
  通常の労使関係においてはたんなる「転職」にすぎないことが、技能実習制度のもとでは、「逃げ出した」「逃亡」ということになってしまうのです。というのも、技能実習制度は、タテマエのうえでは、ここで読売が書いているとおり「途上国の支援を目的とした国の制度」であって、したがって実習生は、お金をかせぐために来たのではなく、技術等をまなびに来たのだということに、名目のうえではなっているからです。入管法上も、実習生は実習先以外で働くと、「資格外活動」とされて摘発の対象になります。
  このように、日本の政府や実習先である企業等は、実際には、実習生を低賃金の労働力として利用しておきながら、他方ではその労働が「実習である」というタテマエを都合よく持ち出すことで、実習生の労働者としての権利を否定し、実習先の職場に縛りつけることが可能になります。技能実習制度とは、通常の労使関係のいわば例外的な領域を作り出し、そこでの事実上の奴隷的拘束を「合法化」する装置といってよいでしょう。

  今回の読売記事がとりあげているミャンマー人実習生たちは、まさに「事実上の奴隷的拘束」を受けていると言ってよい事例です。さきに引用した彼女たちの待遇は、競争力のはたらく自由な労働市場においてはけっしてありえない水準のひどさであると、あきらかに言えるものです。労働者が雇用主・職場を選ぶことのできる環境、すなわち転職が可能な労使関係ならば、あのような劣悪な待遇ではたらきつづける労働者などいるはずがないのです。

  朝の7時半から夜の10時まで拘束されて月給8万円しか支払われないような職場ではたらきつづける労働者がもしいるとするならば、それはなんらかの理由で転職ができないからだろうと考えるのが自然です。そして事実、技能実習生はこの転職を制度的に禁じられているわけです。さらに、読売記事によると、彼女たちは実習先企業によって「パスポートを取り上げられ」ていたといいます。彼女たちは「逃亡」できないように、制度と雇用主によって二重に拘束されていたわけです。日本政府と実習先企業によって彼女たちが実態として奴隷の身分におかれていたと言っても、まったく誇張にはあたらないでしょう。

◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆

  読売は、このような明白な奴隷制として技能実習制度が運用・利用されている事実について目をつぶっているばかりか、外国人実習生のほうをあべこべに悪者あつかいした記事の書き方をしています。

  読売は「労組の『利用』相次ぐ」との見出しをつけて、「外国人技能実習制度での実習先から逃亡したミャンマー人女性5人が、東京都内の労働組合に相談して実習先にパスポート返還などを求め、日本での就労を希望して難民認定を申請していることがわかった」などと書いています。まるで、実習先からパスポートを取り返すことや、その手段として労組を「利用」することになにか問題でもあるかのように示唆する書きようです。

  また読売は、「5人は本国の政情不安などを理由に難民申請も行い、パスポートは申請に必要だった」とも書いています。この記述は、まったく見当はずれであるうえ、事実をねじまげたものです。

  難民申請にあたってパスポートが必要だという事実はありません。難民として庇護を希望する人のうち、本国政府から有効なパスポートの発行を受けたうえで難民申請できる人はかぎられているし、無国籍者などそもそもパスポートの発行を受けようのない人もいます。したがって、入管も、パスポートのある人には提示をもとめますが、提示できないからといって申請を受け付けないわけがないのです。

  そもそも、どうして5人のミャンマー人実習生が実習先からパスポートを取り返さなければならなかったのかというところに、新聞記者ならば問題意識をもたなければならないでしょう。読売の記者は、パスポートが難民申請に必要だからだと考えたようですが、これは見当違いもはなはだしいものです。実習先企業は、実習生が「逃亡」しないように、実習生にとって自分の身分を証明する大切な手段であるパスポートを取り上げるのです。本人の大切な持ち物を取り上げて逃げ出せなくなるようにするのは、典型的な奴隷主、人身取引業者、あるいはDV加害者の手法です。

  読売は、このパスポートを実習先企業が取り上げていたという事実にはなんの問題意識も示さないいっぽう、“難民申請に必要なパスポートを労組を「利用」してまで取り返そうとしている”という実習生に問題を転嫁するストーリーを読者に印象づけようとしています。

◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆        ◇        ◆

  さらに、読売は、実習先の企業が人手不足で廃業した例をあげ、ここでも外国人技能実習生に責任を転嫁しています。

  先月、団体交渉を突然申し入れられた愛知県の縫製会社の女性経営者は、「あちらが悪いことをしたんでしょう? こっちが訴えたいくらい」と憤る。
  13~14年、経営する2社でミャンマー人実習生7人を受け入れたが、ほどなく全員がいなくなった。人手不足で1社を廃業せざるを得なくなったという。
  団体交渉先の一つとなった千葉県の水産加工会社に実習生をあっせんした監理団体では昨年5月以降、地元企業にあっせんしたミャンマー人約60人のうち約40人が先月までに姿を消した。監理団体幹部は「最初から逃げ出すつもりで来日したとしか思えない。こんなことが続けば実習制度は成り立たなくなる」と嘆いた。

  縫製会社経営者や監理団体幹部の言葉は「……と憤る」「……と嘆いた」というかたちで紹介されており、さきにみた技能実習生の言葉が「口々に不満を述べた」とされていたのとあつかいのちがいがきわだっています。こういったところにも、外国人に対する記事執筆者の差別意識がみてとれます。

  さて、あらためて確認しておきますが、技能実習制度は、企業が不足した労働者をおぎなうための制度ではありません。厚生労働省の説明によれば、「技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力すること」がその制度本来の目的です。

  技能実習生がいなくなったから廃業に追い込まれたというのならば、それは制度本来の趣旨から逸脱する過剰な数の実習生を就業させていたということにほかなりません。いいかえるならば、この縫製会社は、もともと必要な労働力を正当な手段では確保できないのを、技能実習生に依存することでその廃業をまぬがれていたにすぎない、ということです。

  人手不足が深刻で市場原理からすれば立ち行かない産業に対し、その公共的な価値をかんがみて政策的に支援あるいは保護すべきだということは、もちろんありうるでしょう。しかし、その手段が問題です。技能実習制度をその趣旨からあきらかに逸脱したかたちで悪用し、事実上の奴隷制度をもうけて斜陽産業を延命させるのは、ゆるされることでありません。

  縫製会社が廃業に追い込まれたのは技能実習生が「逃亡」したからだとする読売の論調は、奴隷が言うことをきかないから奴隷制度が成り立たなくなると言っているようなものです。制度・政策から生じているのがあきらかな矛盾・問題を、その被害者と言うべき外国人実習生にデタラメに転嫁するのは、それ自体が外国人に対する差別の遂行であり、さらにこれを新聞の紙面においておこなえば、差別を読者にむけて扇動する行為でもあるともいえます。

  読売新聞社には、外国人に対する記者らの差別的体質をあらためる取り組みを強化し、また、独立した報道機関として、国の政策・制度を批判的に報道する責任をになってほしいとのぞみます。

以上




以下に、問題の読売記事を転載します。



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外国人実習生  厚遇求め逃亡
労組の「利用」相次ぐ
  外国人技能実習制度での実習先から逃亡したミャンマー人女性5人が、東京都内の労働組合に相談して実習先にパスポート返還などを求め、日本での就労を希望して難民認定を申請していることがわかった。現行制度では、難民申請さえすれば6か月後から就労が可能。入国管理当局は、実習生がより良い待遇を求めて実習先を逃亡し、偽装申請を行う動きが広がっているとみている。労組には他にも、逃亡した実習先からの相談が相次いでいる。

就労のための難民申請
■実習先に不満
「毎日午前7時半から午後10時まで働かされた」「来日前は月10万円以上と聞いていた給与が8万円だった」。縫製会社で働いていたという女性たちは取材に対し、口々に不満を述べた。
  5人は27歳から36歳のミャンマー人で、2013年末~今年2月に来日。岐阜、愛知、千葉の3県の縫製会社や水産加工会社で働いたが、約1か月から約1年で次々と逃亡し、在日外国人を支援するAPFS労働組合(東京都板橋区)に相談に訪れた。
  同労組は5人の労働環境を問題視して先月9日、実習先に、取り上げられたパスポートの返却や未払い賃金の支払いを求めて団体交渉を申し入れた。要求に応じた実習先もあるという。
  ただ、5人は本国の政情不安などを理由に難民申請も行い、パスポートは申請に必要だった。「私たちは難民」とする一方、「日本で稼ぎたい」とも話す。

■「誰にでも権利」
  難民認定制度は2010年に改定され、申請中の生活を支えるため、申請の6ヵ月後から就労が可能になった。申請が退けられても異議申し立てなどを繰り返せば働き続けられる。
  同労組は毎月10~15件の相談を扱うが、最近は難民申請中のミャンマー人の相談がほとんどだという。同労組幹部は「私たちは労働問題に対応する立場。中には難民と言えない人がいるのは確かだが、申請の権利は誰にでもある」と語る。
  ミャンマーでは少数民族ロヒンギャへの迫害が続くが、それ以外の国内情勢は改善しつつあると入管当局はみており、最近は難民認定されるケースはまれだ。先月の団体交渉が成功したことが口コミで広がったとみられ、同労組は今月末、別の実習先を逃亡したミャンマー人女性5人の相談も受けた。

■人手不足で廃業
  先月、団体交渉を突然申し入れられた愛知県の縫製会社の女性経営者は、「あちらが悪いことをしたんでしょう? こっちが訴えたいくらい」と憤る。
  13~14年、経営する2社でミャンマー人実習生7人を受け入れたが、ほどなく全員がいなくなった。人手不足で1社を廃業せざるを得なくなったという。
  団体交渉先の一つとなった千葉県の水産加工会社に実習生をあっせんした監理団体では昨年5月以降、地元企業にあっせんしたミャンマー人約60人のうち約40人が先月までに姿を消した。監理団体幹部は「最初から逃げ出すつもりで来日したとしか思えない。こんなことが続けば実習制度は成り立たなくなる」と嘆いた。

制度形骸化の恐れも
  難民申請は制度改正後に急増し、2009年の1388人から昨年は5000人にまで膨らんで、審査続きが滞る事態も招いている。一方、発展途上国への貢献を掲げる技能実習制度は、「低賃金で外国人に単純労働を強いている」との批判が強く、法務省によると昨年は4851人が逃亡した。逃亡しても難民申請すれば合法的に就労でき、実習生による難民申請は10年の45人から昨年は418人に増えた。
  本国のお墨付きを得たはずの実習生が、実習先を「入り口」にして入国すると、今度は難民だと主張して好待遇の職場に移っているのが実情で、このままでは技能実習制度の形骸化も進みかねない。難民問題に詳しい滝沢三郎・東洋英和女学院大教授は「国は、実習という建前で外国人労働者を確保する政策を改めるとともに、難民申請するだけで一律に就労が可能になる仕組みの見直しなどを急ぐべきだ」と指摘している。
(8月30日(日)付『読売新聞』社会面)