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Thursday, April 21, 2016

被収容者が長期収容回避と医療の改善を要求(東日本入管センター)

  4月8日(金)、牛久の東日本入国管理センターの1寮Bブロックに収容されている被収容者21名のうち19名が、連名で同センター所長に対し要求書を提出しました(署名者の国籍の内訳は、イラン4、ネパール3、スリランカ2、ガーナ2、ナイジェリア2、中国1、ベトナム1、パキスタン1、トルコ1、カメルーン1、コロンビア1)。

  内容は、以下を入管に対し求めるものです。第一に仮放免について、一年を超える長期収容者に仮放免許可を出すこと、審査期間を現在の60日程度から45日以内に短縮すること、不許可理由を提示すべきことなど。第二に医療について、職員の勝手な判断で薬を出すのでなく医師の診断による適切な治療を施すべきこと、長期収容を受ける被収容者に対しては定期的に精神科医の診断や心理カウンセラーによるカウンセリングを受けさせることなどです。

  また、これらに加えて、日本の難民受け入れ態勢のあまりの不備や、入管の収容所における長期収容の違法性、不当性などを外部の団体などに広く訴えたいとも述べています。

  現在、東日本入管センターには約300人が収容・監禁されています。1Bブロック被収容者の要求書が述べるように、同センターは「退去強制を前提とした施設」です。ところが、この「退去強制を前提」とするはずの施設に、およそ300人もの人が長期間にわたってとめおかれているのです(*注)。この現状は、あらためて考えてみるに、きわめて異常です。

  被収容者のほとんどは、難民であったり、日本に家族がいたり、長期滞在で日本に生活基盤が移っていたりと、帰国できない事情を抱えています。その多くは、難民認定申請手続き、退去強制令書発付処分取消訴訟など、何らかの手続き中あるいはその準備中であって、本来ならば彼ら・彼女らを収容・監禁する意味はないはずです。にもかかわらず入管が収容・監禁に固執するのは、要求書が指摘するとおり「私達を帰国に追い込むために、長期収容している」ということにほかなりません。つまり、同センターは、長期収容によって心身を痛めつけて帰国に追い込むという、拷問を手段とする帰国強要の施設として運営されているのが実態なのです。

  こうした「拷問監禁施設」(こう呼ぶのは、比喩でもなければ、誇張でもありません。実態を正確に呼びあらわしたまでです)の存在を容認するのか、しないのか、日本社会があらためて問われているのだといえます。



*注)
  なぜ、「退去強制を前提とした施設」が、退去強制されないまま長期にわたり収容・監禁されるひとびとでいっぱいになっているのか。あるいは、なぜ法務省の言うところの「送還忌避者」が多数生じ、年々増え続けているのか。これについては、以下の記事などを参照してください。「送還忌避者」の増大をもたらしている要因は、バブル期以来の日本政府の脱法的な外国人労働力導入策にあります。






  以下に、1Bブロックの要求書を掲載します(原文にあった代表者の名前はふせ字にしました)。

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東日本入国管理センター所長殿
要  求  書

  この度私○○○○は1Bブロックを代表して、収容されている私達の問題に少しでも目を向けて下さればと思い、大変恐縮ながら、要求書を書かせて頂きました。

一、仮放免について。
  • まず私たちが収容されているこの施設は、あくまでも、退去強制を前提とした施設であることは承知しています。しかしながら、個々の事情で帰国出来ない人が殆どであることから、仮放免の制度が円滑に運営されることを強く希望いたします。
  • 今私達がいるこのブロックには収容期間が一年を超えている人は7人もいます。入管は私達を帰国に追い込むために、長期間収容していることは言うまでもありませんが、一年以上も収容されている人は、どんなに期間が長期化したとしても、やはり帰国出来ない正当な理由があると、認めるべきです。又、長期収容に伴う精神的苦痛が計り知れないことから、無意味な拘束を直ちに解くべきだと思い、最低限、仮放免の許可を認めるべきです。
  • これまで入管が仮放免の許否の結果を出すため、一定の期間が必要であると主張しているものの、私達としては、一定の期間を45日以内に定めるべきだと思っています。又、個々の実情によって、それ以上の期間が必要な場合、予めどの程度の期間が必要か示すべきだと思っています。
  • 私達が仮放免を提出する際、不許可になることを想定して仮放免を出しているのではなく、多くの方々の協力を得て、やっとの思いで仮放免を提出しています。なのに不許可になった場合その理由でさえ、教えてもらえず、私達を含めた多くの支援者が不愉快な思いをしています。又入管は不許可になった理由を明らかにしないのは、プライバシーに配慮していると説明しているが、予め同意を得るなど、プライバシーに関する問題は、入管の問題ではなく、あくまでも私達の問題であることから、同意を得た人だけでも、不許可になった理由をきちんと示すべきだと思い、今後入管はこのことについてきちんと努力すべきだと強く希望いたします。
  • 今私たちがいるこのブロックには、家族が日本に住んでいる、もしくは、今裁判中である人もいることから、私たちの収容が、たんなる裁判の妨げにしかなっておらず、裁判で家族の調和が証明できないこと、家族の苦しみや、精神的苦痛などを考えると、私たちの収容が不当であり、非人道的な収容を直ちに解くべきだと思い、受け入れ体制が整っている人だけでも、仮放免の制度を適用すべきだと思い、強く希望いたします。 
 

二、医療について。
  • 今私達がいる1Bブロックには体の不調を訴えている人は沢山います。私達として、体の不調を訴えた場合、入管職員の勝手な判断で常備薬を出すのではなく、いち早く医師の診断を受けた上で適切な治療を受けることが望ましいと思っています。
  • 又ここに一時的に収容されているからといって、初歩的な治療しかしないことは論外であり、非人道的だと言わざるをえません。そして今この施設で約300人が収容されていることから、常時医師がいないことや、医療体制が不十分であることが、大きな問題であり、改善を強く求めます。
  • 入管は非人道的な長期収容によるストレスや不眠、そして意図的に私達を帰国に追い込もうとしていることや、精神的苦痛が原因で、明らかに精神に何らかの問題を抱えている、もしくは、うつ病を明らかに発症している人は多く見受けられること、日本語が話せず、収容期間中、自分の体の不調さえ訴えられない人もいることから、最低限、収容期間が3か月を超えている人だけでも、定期的に精神科の医師の診断を受けるなど、心理カウンセラーとの連携で、私達の心のケアに努めるべきだと思い、強く希望いたします。

  以上で今回の私達の要求を終了させて頂きます。入管は私達の要求に真摯に取り込むべく、要求書の提出日から、15日以内の返答を強く求めます。

※日本は先進国の仲間入りをしてから数十年がたっています。この間日本は多くの国際条約に署名をしましたが、日本の外国人に対する政策や、難民の受け入れに対する政策がまったく機能しておらず、世界が抱える問題に貢献しているとは到底言えません。昨年ドイツでは一年間で百万人以上の難民を受け入れているのにもかかわらず、日本の難民の申請が、僅か7,000人しかなく、難民の認定を受けている人は30人前後と非常に少なく、難民の受け入れ体制や、外国人の待遇が不十分であることが、一目瞭然です。又入管が、長期収容で私達を意図的に帰国に追い込もうとしていることは、一種の拷問であり、今後私たちが精神的に受けるであろう悪影響や、私達の家族の心の傷が、多くの国際条約や、憲法にも明らかに違反していることを、ぜひ入管が、一度止まって考えるべきだと思っています。
  今回の要求書の作成に多くの方が協力し、署名をして下さった仲間達が、皆口を揃えて言ったことは、誰から見ても、入管が行っている長期収容が不当であり、非人道的であることから、私たちの要求書を入管だけではなく視察委員会、ボランティア団体BOND、RHQ、ISSJ、JARなどなどに送るべきであり、これが切っ掛けで、多くの方が、外国人の問題を知って頂ければ、と思っています。又入管にも私たちの問題に取り組んで下さる様、重ねてお願い申し上げます。
2016.4.8