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Tuesday, January 17, 2012

ルールに違反してるのは入管では?――3Aブロック被収容者からの手紙

  東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の3Aブロック被収容者からの手紙を公開します。
  記事の末尾には、支援者からの解説もつけましたので、よろしければあわせてお読みください。

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  私たちは、東日本入国管理センターの収容者です。
  私たちは1日も早く愛する家族のもとへ帰れる事を祈りながらここで生活しております。私達は身柄を拘束されている身分なので、ここで生活していく上、もちろんここの規則を守らなければいけません。
  しかしここの規則が厳しい為、しめつけられた部分と、家族と会えないつらさで多大なストレスが体にのしかかっています。
  ストレス解消の方法が全く無い中、ゆいいつのストレス解消は戸外に出て運動をする事しかありません。しかし、東日本入国管理センターでは(土・日・休日)戸外運動をさせて頂かないのです。これは雨天や休日がからんだりすると、実際1週間で2日~3日しか外に出られない事になります。しかも、ここでは全窓に白のフィルムがはってある為、外さえ見る事が出来ません。
  被収容者処遇規則の第28条によると、
所長等は、被収容者に毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与えなければならない。ただし、荒天のとき又は収容所等の保安上若しくは衛生上支障があると認めるときは、この限りでない
と、書かれております。
  私達は、これを知った上で、平成23年、11月前半1度、そして11月18日に2度も所長あてに手紙を書きました。
  毎日戸外運動に出させて頂く様、全収容者の署名とともに提出しました。
  結果、入管がわの返答は、
「休日の戸外運動については、これまで長期休暇の一部に限って増員して実施し かくだいについても検討をしているが被収容者の運動の連行やたちあいをする警備員や運動中の被収容者のケンカやケガのたいおうをする職員の増員などの問題もある為、現在の体制では、ほあんじょうの ししょうが ある為、実施は困難である」
との事でした。しかもこれは文書ではなく、告知での返答でした。
  つぎに、私達は告知ではなく文書で下さいとアプリケーションを書き、お願いをしたところ、
「文書で返答する必要がない」
と言われました。

  私達は何度もお願いしてきたところ、いっこうに今の状況が変わりなく、日々ストレスがたまっていくいっぽうです。
  どうか私達を助けて下さい。宜しくお願いします。

東日本入国管理センターの(3-A)
全収容者からのお願いです。
平成23年12月20日
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【解説】
  いままで紹介してきたように、入管の収容施設では、収容者たちが医療などの処遇の改善等をもとめて、連名で意見書を提出する動きがひんぱんに起こっています。そのなかには、被収容者による集団ハンストにまで発展する例もいくつかありました。
  こうした被収容者たち自身による申し入れや抗議にたいし、基本的には無視・黙殺してきた東日本入管センター側も、最近では一応の回答をよこすようにはなりました。結果として、医療をはじめとした、ひどく劣悪な処遇がじゅうぶんに改善されたとはまだ言えないし、回答も収容者たちが要求している文書によるものではなく、口頭でのものにすぎません。しかし、センター側が、被収容者の要求を以前より無視できなくなっているのは事実であり、またそうした状況をつくってきたのは被収容者たち自身のこれまでのねばり強いたたかいです。

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  さて、いま各ブロックの収容者のあいだでは、入管の法やルールを研究し、そのルールにもとづいて、要求を出していこうといううごきがあります。収容施設の処遇にかんしては、法務省令である「被収容者処遇規則」、それと各収容施設ごとにさだめられた「被収容者処遇細則」というものがあります。
  上に転載した手紙にあるとおり、3Aブロックの被収容者たちは、「所長等は、被収容者に毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与えなければならない」という「被収容者処遇規則」第28条にセンター側が違反していると指摘しております。これは、まったく正当な指摘であると言えます。
  「被収容者処遇規則」第28条では、(荒天のときのほかは)保安上もしくは衛生上支障があると認められるときにかぎり、例外をみとめております。センター側の回答によると、この「保安上の支障」があるという理由で、土曜・日曜の運動を許可しないのだということです。つまり、センター側の理屈では、運動場への連行・立ち会いをする警備員を確保できないから、休日に運動をさせるのは保安上支障があるのだ、と。
  しかし、これはおかしな話です。そもそも、第28条の原則をまもって被収容者に運動をさせた場合に、どうして「保安上」の問題が生じるのでしょうか? センター側が説明している理由は、警備の人員が足りていないからだ、ということです。
  つまり、問題は、東日本入管センターが、その収容能力をこえた人数を収容しているということにあるのでしょう。東日本入管センターは、被収容者が多すぎるために、じゅうぶんな警備のスタッフ数を確保できず、このために、「被収容者に毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与え」ることができない現状にあるわけです。
  ならば、センター側がとるべき対応は、つぎの2つのうちいずれか一方になるはず。ひとつ、スタッフの増員など、被収容者が毎日運動できる体制をととのえること。あるいは、現在の体制でも処遇規則にさだめられた毎日の運動ができるよう、被収容者のほうをへらすこと。
  ひとつめがムリならば(実際、当面はムリでしょう)、ふたつめの施策をとることです。被収容者をどんどん解放したらよいのです。


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  ところで、手紙でふれられている「ここでは全窓に白のフィルムがはってある為、外さえ見る事が出来ません」ということについて。
  これもまた、「被収容者処遇規則」に明白に違反しております。
収容所等の構造及び設備は、被収容者の健康及び収容所等の秩序を維持するため、通風、採光、区画及び使用面積等に配慮するとともに、被収容者の逃走、奪取、暴行、自殺その他の事故(以下「保安上の事故」という。)を防止するため、堅固で看守に便利なようにしなければならない。[第3条]
  すべての窓にはられた白のフィルムのため、東日本入管センターの被収容者たちは、その日の天気(晴れているのか、くもっているのか)すら見ることができません。被収容者を「もう帰国するしかない」という心理に追いこむために、東日本入管センターはこうした精神的虐待を、あきらかに意図的・自覚的におこなっています。

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  「入国管理局のホームページ」によると「ルールを守って国際化」が法務省入管の合い言葉なのだそうです。また、各収容施設や地方局の職員は、わたしたちの申し入れにたいして、しばしば「自分たちは法とルールにもとづいて業務をおこなっている」と言います。ところが、上に指摘されたような、入管自身の違反がうたがわれる事例にはこと欠きません。
  入管側が、ほんとうに自分たちは法とルールにのっとっているという自負があるならば、被収容者たちの「ルール違反ではないか」という指摘にたいし、きちんと応答・説明できるはずです。東日本入管センターは、口頭の返答でごまかすのではなく、文書での返答をすべきです。



Saturday, January 14, 2012

東日本入管女性ブロックでまた心臓病患者倒れる

   東日本入国管理センターでは2012年1月12日午後、2Bブロック(女性ブロック)の中国人女性Kさんがフリータイム中に心臓の発作で倒れた。Kさんが倒れたときはその場にいた収容者が集まりマッサージを施したとの事だが、職員は一緒にマッサージをする、もしくはいったりきたりするだけで救急車を呼ぶことも病院への搬送も行わなかった。ちなみにこういった発作は3回目である。

  東日本入国管理センターの総務課へ電話で問い合わせたところ、「倒れた後にすぐに入管の医師へ電話をして指示をあおいだ、医師の指示通り安静にした。本人が薬を飲んで落ち着いたので問題はないとみなした」と述べた。

  しかしそもそもが医師が電話を通して倒れている収容者の状況を把握することはほぼ不可能に近いという事は医療に詳しくない一般人でも想像できる。なぜ入管は毎回意識を失ったり、特殊な病状で倒れてしまう患者をすぐに病院へ搬送しないのだろうか。

  入管へ頻繁に面会活動を行っている支援団体の関係者は「おそらく予算がないんだと思います」と語る。入国管理局が経済的に逼迫しているのではないか?といわれており、そのために外部診療を渋っているのではないか?と予想する人もいるそうだが、実際は情報の開示が無い為に真相はわからない。

  しかし、少なくともオーバーステイなどの微罪を大仰にとらえ、犯罪者のごとく検挙し身柄を拘束し、医療を与えない、粗末な給食(文字通りくさい飯)を与え、親族との接触を断ち長期間収容し(酷い人になると1年半以上)、外部との通信する権利を剥奪するなどの人権侵害をもたらしているのが日本の入国管理行政の実態だ。

  入国管理局は「懲罰ではない」と主張するが、この税金でまかなわれている機関が実質の懲罰機関として機能し、国費での無理やり送還はストップしてるにせよ、日本に慣れ親しんでいる外国人を医療ネグレクトなどにより「自発的」に帰国させる方向へ追い込んでいる事は誰の目から見ても明らかである。

  収容されているKさんは日に日に顔色が悪くなり、顔が真っ白で、年齢は30代後半だが顔が極度に乾燥し、おびただしい皺が刻まれ始めている。手足は冷たく夜寝るときはとても寒いという。彼女の健康状態は悪化の一途をたどっている。

  入国管理局では昨年も品川の東京入管でフィリピン人女性が死亡していたという噂が流れた。その後入管は情報を開示しなかったが、自殺も含めればメディアに露出することなく人知れず死んでいく外国人は後を絶たない。

  こういった明らかな人権侵害について、一般の市民からの注目、またはメディアからの注目が集まることで内部にいる外国人の方々の命がかろうじてつながっていくことがせめてもの救いになる。どうか、この記事をみかけたみなさん1本でいいので入国管理局へ電話をしてほしい、1枚でいいのではがきを送ってほしい。どんな言葉でもいいので疑問をなげかけてほしい。



抗議・問い合わせ先
  東日本入国管理センター 総務課 
  • tel: 029-875-1291
  • fax: 029-830-9010
  • 〒300-1288 茨城県牛久市久野町1766-1

Saturday, January 7, 2012

夫を返して! 被収容者の妻の声(1)

  入管での長期にわたる収容が、多くの被収容者の心身をむしばんでいることは、当ブログでもたびたび問題にしてきました。しかし、深刻なのは、収容された本人の被害だけではありません。被収容者の家族にとっても、心身におよぶダメージは甚大です。
  今回から、Sさんという日本人の女性の文章を当ブログで連載します。Sさんは、夫が東日本入管センターに収容されています。夫に対する入管の医療ネグレクトなどにたいし、Sさんはたびたび抗議してきましたが、入管側の対応はとうてい納得のいくものではなく、Sさん自身も健康上の問題をかかえるにいたりました。
  医療や食事などの収容施設の処遇の問題、今回の文章でもすこし触れられている入管による通信妨害、またそうした問題についてのSさんの問い合わせ・抗議にたいする入管側の不誠実な対応など、Sさんには連載をつうじてくわしく報告していただきます。

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こんにちわ。
私の名前はSといいます。
前回のデモ報告で同じような奥様がいるんだ、と勇気づけられました。
私の夫は今、収容7ヶ月目になります。
別離のストレスや、度重なる入管側の医療ネグレクト、通信妨害の影響で私は卵巣機能不全という病気になりました。
心身共に夫婦として支えが必要になってきています。
11月に私の友人が亡くなり、母の最期がよみがえりました。
精神的にも辛くなり、彼にただ抱きしめてもらいたい、と思うようになりました。
牛久の収容所にはしきりのない第二面会室というのがあります。
人道的配慮をするために作られ、現在は16歳以下の子供同伴のみ使用が認められています。
夫婦だけ、には認められておりません。
しかし私たちには子供がおりません。
たった1度でも、抱き合えれば、それだけで少しは気持ちが落ち着くのですが、子供がいないので許されません。
私の病気はストレスによるもので、不妊症の一種です。
今までも通夜参列の会葬案内や病気の診断書を見せたりして、どれだけ私たち夫婦にとって今お互いが必要なのか
訴えてきました。
しかし「あなたたちに認めたら、他の人にも認めなければならない。」だけの理由で4回の申し入れが却下になりました。
総務課からの説明では、私たちは「内部基準外」と言われました。
私たちには理解できなかったので、その内部基準がかいてある行政文書開示請求をしました。
すると使用可能な人達は
  1. 領事官
  2. 弁護士
  3. UNCHRおよびその委託を受けて調査等を行う職員
  4. 被収容者の16歳以下実子、および同人を同伴し同時に面会するもの
  5. 保安上問題がなく、仕切りのない場所での面会が必要であると首席警備官が認めたもの
とありました。
私たちは、5に該当していますが、必要と認められることはなく、「一夫婦に許してしまうと他家族に混乱をきたす」とだけの理由で却下され続けています。
人道的配慮を目的に使用許可している第二面会室は、友人を亡くし、病気にかかっていて仕切りのない場所で面会が必要だとしても
夫婦間だけでは「人道的配慮」はされません。
「お気の毒ですね」で終わりです。
友人を亡くした直後に、職員たちに支えられないと歩けないほど泣き崩れ必死にお願いしました。
それでも駄目でした。ただみんな、冷たい目線を送ってくるだけです。
「あなたが悪いのです!すべてあなたが悪いのです!」と言っているようで、本当に悲しかったです。
私たち家族を引き裂き、できるだけ「接触」できないようにされています。
私は日本人なのにどうしてこの国に守ってもらえないのでしょうか。
この国が大好きなのに、報われていません。
私は働いていますし、夫に自分のお金から温かいご飯も食べさせてあげられます。
「抱き合いたかったら仮放免を申請しなさい」と、言われましたが、申請から随分時間がたっていても
答えはまだ出ていません。
今は、いつか授かれる命のために病院に通院していますが、いくらお薬で調子を整えていても、
まず彼が居なければ子供を持つことができないし、それに長期間このような状況にされるのでは二度と子供を持つことができない体
になってしまうのではないか、と不安で不安で仕方ありません。
私たち夫婦は大家族を持ちたい、という夢があります。
経済的に許される限り、何人も子供は持ちたいのです。
私の願いがかなう日があるのでしょうか。

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参考
  Sさんが、行政文書開示請求をつうじて開示させた文書の全文は、以下のリンクで読むことができます。