12月10日(火)、東京地方裁判所にてスリランカ人強制送還国賠訴訟の弁論が開かれました。この裁判は、2014年12月にチャーター機によって集団送還されたスリランカ人のうち2名が、強制送還によって裁判を受ける権利をうばわれたとして国に損害賠償を求めているものです。
原告のふたりは、東京入管に身体を拘束された状態で難民不認定処分への異議申し立て棄却を通知され、そのまま入管がチャーターした飛行機に乗せられて、送還されました。
今回の弁論では、原告弁護団の駒井知会弁護士による意見陳述がおこなわれました。駒井弁護士は、Bさんが入管職員から難民異議棄却を告げられたときの様子を描写・再現することから意見陳述をはじめました。Bさんは、これから自分が強制送還されようとしていることを知り、恐怖のあまり床に座りこみ身体をふるわせ、「スリランカで殺される」「弁護士呼んで」と訴え、裁判をする意思を伝えました。東京入管が保有するこの場面の映像は、5月に法廷で上映されました。
入管の職員はこのときBさんに、難民異議棄却の決定に対して不服がある場合は取消請求訴訟をおこなうことができることを説明しています。にもかかわらず、入管はBさんの裁判の意思を無視して強制送還を実施しました。入管の決定に対しては不服ならば裁判の場でこれを争うことができるということを口では説明しながら、強制送還してそれを封じてしまう。入管という行政機関の職員たちが、自分たちの今まさに発した言葉をその場で裏切る行動をしている様子が、映像にうつっているわけです。どうしてこんなむちゃくちゃがまかりとおっているのだろうか、と思わずにはいられません。
そして、Bさんが床にへたりこみ恐怖におのきながら懇願する映像は、冷静に見られるものではありませんでした。
駒井弁護士は意見陳述の最後に、「難民申請者も人間です」と述べ、「日本が基本的人権を尊重される国であること、手続保障が適正に行われる国であることを示してください」と裁判官たちにうったえました。
難民申請者が人間であるのは、あたりまえです。しかし、この裁判の原告たちに対する入管の仕打ちを目にしたとき、「難民申請者も人間です」という、わざわざ言葉にするまでもないあたりまえの事実をうったえざるをえません。
人間について「○○も人間である」などと言明しなければならないような社会であってはなりません。難民申請者があたりまえに人間としてあつかわれるような社会へと日本がかわっていくために、この裁判は重要な意義をもっているとあらためて思いました。
この日の弁論で裁判は結審となりました。次回は、判決の言い渡しとなります。都合のつくかたは、ぜひ、傍聴をお願いします。
日時:2020年2月27日(木曜)、13:10
場所:東京地方裁判所 705法廷
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