報告がおそくなってしまいましたが、4月6日に「長期収容と再収容に反対する全国統一一斉面会」がおこなわれました。これは、長崎・大阪・愛知・神奈川・東京・茨城などで入管の被収容者の支援にとりくんでいる、さまざまなグループが中心となって、各地の入管への申し入れと、被収容者との面会をいっせいにおこなったものです。
「仮放免者の会」(関東)のメンバーも、東日本入管センター(茨城県牛久市)と東京入管(品川)での面会と申し入れに参加しました。また、東京入管横浜支局での申し入れにも、神奈川県在住のメンバーが参加しました。
うえの動画は、東日本入管センターでの一斉面会に参加した、「仮放免者の会」スリランカ人リーダー・キリンデさんの談話です(仮放免者の会は、国籍・地域ごとにえらばれたリーダーたちの会議によって運営されております)。
以下、東日本入管センター・東京入管(品川)・東京入管横浜支局に提出した申入書をのせておきます。申入書は、この全国統一一斉面会の呼びかけ団体のあいだでの議論をつうじ、共同で作成されたものです。
なお、申入書の内容は、入管センターと地方局(東京入管など)のあいだの法務省内での組織上の位置づけのちがい、あるいは局ごとの実際の運用・処遇のちがいにおうじて、べつべつのものを作り、提出しました。
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(1)東日本入管センターへの申入書
申 入 書
2011年4月6日
東日本入国管理センター 所長殿
西日本入国管理センター 所長殿
大村入国管理センター 所長殿
一、長期被収容者等の仮放免について
入国者収容所各センターは、センター自身がいつも説明しているように、送還するまでの間、退令者の身柄を拘束・確保するため設けられた施設です。したがって、各センターの施設の構造は、限られた期間の内だけ被収容者を拘禁する目的でつくられおり、長期収容を前提につくられていません。その前提のもとに各センターは、外界との関係を一切遮断し、人間の時間的・空間的感覚を奪う密閉施設としてつくられています。このような施設への長期拘禁収容は、人間の精神を破壊し、健康を著しく害するものです。事実、収容半年を過ぎると被収容者の大半は持病の悪化ばかりか、目まい、頭痛、吐き気、不眠、食欲不振等の拘禁症状が現れてきます。それに無期限収容の重圧と送還の恐怖が加わり、被収容者の心身を極度に痛めつけます。さらには診療の自由が奪われ、食事の選択権も剥奪され、面会、通信、差し入れ等も著しく制限されています。
このように各センターの収容実態は監禁的収容であり、それゆえ監禁的収容の長期化は人間の尊厳を著しく傷つけ、それは被収容者の「人間として扱え」「収容所から解放せよ」という反抗や、絶望による自殺を引き起こさざるを得ません。既に東日本入国管理センターにおいては、今年に入って自殺未遂者が相次いでいます。私たちは、二度と犠牲者がでる事態を絶対に起こしたくないし、そうした痛ましい事件に二度と遭遇したくありません。以下は、このままでは再び犠牲者が出るという危機意識からの要求であることを理解して頂きたい。
私たちは、「監禁的収容は拷問である」「長期収容は人権侵害である」という立場から、以下該当する者の仮放免を求めます。
*2001年、当時の森山法務大臣は、長期被収容者について「仮放免を弾力的に運用するというようなやり方で柔軟に対応いたしております」と国会で答弁した。また昨年7月30日、法務省は「被収容者の個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用することにより、収容長期化をできるだけ回避するよう取り組む」との報道発表をした。これらを履行してもらいたい。
- 収容期間が半年を越える者
- 収容に耐えることのできない重病者
- 難民申請者(難民申請者の難民該当性の立証を妨げる)
- 再収容者(再収容者は通算で長期収容にならざるを得ない)
二、地震や火災、放射能汚染などの緊急時の被収容者の保護及び避難について
東日本大震災は東日本入国管理センター、及び東京入管収容場の被収容者のパニックを引き起こしました。そして最悪なことに職員自身もパニックに陥りました(施錠拘禁したブロックとそうでないブロックがあったことは、危機に対応できない入管側の混乱の現れである)。先に上げた監禁的収容下において、地震の際に居室に施錠拘禁されれば、自らの命を守ろうとする被収容者の爆発的行動が起きるのは当然です。
収容主体責任者であるセンターには、被収容者の生命、安全、健康を守る責任義務があり、この責任義務を果たすことを前提に収容権が付与されていることは承知のことだと思います。しかるに、東北地方太平洋側地震本震の際の東日本入国管理センター、及び東京入管の対応は、収容主体責任者としての自覚と緊急事態に対する責任能力の欠如を露呈したと言わざるを得ません。地震のような大災害においては、管理責任者自身も被災し、管理責任能力が失われる危険性があります。実際、大津波によって行政機能も壊滅した地域がたくさんありました。にもかかわらず、今回の大地震の際、居室に施錠拘禁したとしたなら、それは収容主体責任の放棄ではすまされず、大犯罪です。居室に施錠拘禁されたまま、あるは各ブロックに閉じこめられたまま被収容者がたくさん死亡した場合を想像すれば、悪質極まりない大犯罪であることは容易に分かるはずです。国際的にも大きな批判を受けることは明らかです。
- 各センターは、被収容者処遇規則第十七条に定められた避難や一時解放の可能性も含めて、被収容者の安全、さらには生命を守るために万全の準備と対処をしていただきたい。
- そのためにも各センターは、今回の地震への対応を検証していただきたい。
以 上全国統一一斉面会参加者一同
申入れ団体
BOND(バンド)(外国人労働者・難民と共に歩む会)
SYI(エスワイアイ)(収容者友人有志一同)
あいち移住労働者と共に未来を考える会(フレンズ)
WITH(ウィズ)(西日本入管センターを考える会)
TRY(トライ)(外国人労働者・難民と共に歩む会)
日中友好雄鷹会大阪府本部
大村入管被収容者を支える会
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(2)東京入管への申入書
申 入 書
2011年4月6日
東京入国管理局 局長殿
名古屋入国管理局 局長殿
大阪入国管理局 局長殿
退令仮放免者の再収容問題について、以下申し入れます。
1.東京入管、名古屋入管等において、難民申請異議申立の却下に伴って難民申請者を即収容しています。しかし、難民申請者は難民不認定の行政処分を不服として司法に判断を求める権利を有しており、そのような者をむやみに収容することは即刻止めていただきたい。裁判を起こす権利を尊重し、上述した事例の収容を止めるよう申し入れます。もちろん難民申請者が難民認定の再申請する場合も同様です。
名古屋入管においては、行政訴訟中の者、難民申請中のものを仮放免更新の出頭の度に別室に呼び帰国を強要するなど、許しがたい職権の濫用が行われています。しかも出頭時間まで指定しておいて、何の説明もなく3時間、4時間またせるなどの傲慢不遜で嫌がらせとしか思えない対応が行われていました。まさに入管行政における典型的な愚行、蛮行としか言いようがありません。入管は重々承知していると思いますが、入管行政は国民の理解を得ることなくして成立しません。
2.行政訴訟において退令処分の合法性が確定した場合でも難民申請者や日本に家族がいる者など、どうしても帰国できない事情がある人たちがいます。
昨年の西日本、東日本両入国管理センターでの大規模ハンスト、東日本入国管理センターでの被収容者の相次ぐ自殺、さらに東京入国管理局の国費無理矢理送還中にガーナ人が死亡した事件等は、入管がいうところの「適正な退去強制手続きの実施」(=送還業務)の限界を示しました。この限界を入管が再収容、再々収容によって越えようとする限り、退令者の激しい抵抗と痛ましい犠牲者を再び生み出します。送還業務の限界を知っての収容の繰り返しは、退令者の心身を収容によって単に痛めつけるためのものにしか過ぎず、収容権の濫用としか言いようがありせん。
私たちは、どうしても帰国できない事情のある退令者について、再収容及び再審情願を不開始扱いせず、日本在留を認めることで救済するよう申し入れます。
東京入国管理局 局長殿
東日本大震災は東京入管収容場の被収容者のパニックを引き起こしました。そして最悪なことに職員自身もパニックに陥りました(施錠拘禁したブロックとそうでないブロックがあったことは、危機に対応できない入管側の混乱の現れである)。
収容主体責任者である東京入管には、被収容者の生命、安全、健康を守る責任義務があり、この責任義務を果たすことを前提に収容権が付与されていることは承知のことだと思います。しかるに、東北地方太平洋側地震本震の際の東京入管の対応は、収容主体責任者としての自覚と緊急事態に対する責任能力の欠如を露呈したと言わざるを得ません。地震のような大災害においては、管理責任者自身も被災し、管理責任能力が失われる危険性があります。実際、大津波によって行政機能も壊滅した地域がたくさんありました。にもかかわらず、今回の大地震の際、居室に施錠拘禁したとしたなら、それは収容主体責任の放棄ではすまされず、大犯罪です。居室に施錠拘禁されたまま、あるは各ブロックに閉じこめられたまま被収容者がたくさん死亡した場合を想像すれば、悪質極まりない大犯罪であることは容易に分かるはずです。国際的にも大きな批判を受けることは明らかです。
- 東京入管は、被収容者処遇規則第十七条に定められた避難や一時解放の可能性も含めて、被収容者の安全、さらには生命を守るために万全の準備と対処をしていただきたい。
- そのためにも東京入管は、今回の地震への対応を検証していただきたい。
以 上全国統一一斉面会参加者一同
申入れ団体
BOND(バンド)(外国人労働者・難民と共に歩む会)
SYI(エスワイアイ)(収容者友人有志一同)
あいち移住労働者と共に未来を考える会(フレンズ)
WITH(ウィズ)(西日本入管センターを考える会)
TRY(トライ)(外国人労働者・難民と共に歩む会)
日中友好雄鷹会大阪府本部
大村入管被収容者を支える会
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(3)東京入管横浜支局への申入書
申 入 書
2011年4月6日
東京入国管理局 局長殿
名古屋入国管理局 局長殿
大阪入国管理局 局長殿
退令仮放免者の再収容問題にについて、以下申し入れます。
(省略。上記、「(1)東京入管への申入書」と同文)
東京入国管理局 局長殿
東京入国管理局横浜支局 支局長殿
私たちは、どうしても帰国できない事情のある退令者への再収容に、上記の通り反対です。そういうなかでも、東京局と横浜支局の間に運用の違いがあります。実際、横浜支局では、バングラデシュ人の難民申請者が今年2月7日に難民申請異議申立却下を告知され、そのまま再収容されました。即刻、東京局の運用で統一していただきたい。
また、一時旅行許可申請においても横浜支局では極めて厳しい審査が行われています。月に一度の仮放免期間延長許可申請時に、その後一ケ月の旅行計画が決まっていれば一時旅行許可申請も同時にできます。しかし親族や友人が急病になったり弁護士から打ち合わせの連絡が入ったりした時、その都度、一時旅行許可申請のためだけに横浜支局に行かなければなりません。就労を認められていない仮放免者にとって、この交通費の負担は大きなものです。また親族や友人の病状の急変が予測される場合でも、横浜支局では、その都度、一時旅行許可申請をするようにと指導しています。それでは病状の急変には間に合わない危険性が高いのは誰にもわかることです。金曜の夜に病状が急変したと連絡を受けても、まず月曜日に横浜支局に行き、それから駆けつけるしかないのですから。仮放免者の移動において一定の制限を加えられるにしても、せめて東京局と同じ運用に改めていただきたい。
各地域の特徴もあるので地方局による運用に違いが出ることもあるでしょうが、東京局と横浜支局との運用に大きな違いがあることについては、私たち支援者としても疑問を持たざるを得ません。横浜支局管内に在住する仮放免者は関東地方の各地に知人・友人の仮放免者がおり、ひんぱんに情報交換しています。神奈川県に住む仮放免者と、隣の東京都に住む仮放免者とで仮放免期間延長許可申請や一時旅行許可申請の審査が大きく異なるということは、入管行政への不信にもつながります。
以 上
全国統一一斉面会参加者一同
申入れ団体
BOND(バンド)(外国人労働者・難民と共に歩む会)
SYI(エスワイアイ)(収容者友人有志一同)
あいち移住労働者と共に未来を考える会(フレンズ)
WITH(ウィズ)(西日本入管センターを考える会)
TRY(トライ)(外国人労働者・難民と共に歩む会)
日中友好雄鷹会大阪府本部
大村入管被収容者を支える会
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