東日本入国管理センター(茨城県牛久市)からフィリピンのマニラ空港に送還されたのは、現在、私たちがつかんでいるだけで30名程度、東京入国管理局からも相当の人数が無理やりに送還されたもようです。また、名古屋入国管理局からもフィリピン人被収容者1名が「消えた」という情報がよせられていますが、入管による強制送還は、まさに密室でおこなわれる人権侵害にほかなりません。
今回、フィリピンに送還された被害者たちへの追跡調査は、これからおこなっていくところですが、現時点でわかっているだけでも、今回の被送還者には、日本で結婚している、あるいは日本に子どもがいるなど、送還によって家族や子どもとひきさかれてしまう人もふくまれています。
東日本入国管理センターの被収容者は、それぞれ帰るに帰れない切実な事情をかかえて帰国をこばんでいる人がほとんどです。国籍国での迫害が予想される難民申請者であったり、家族が日本にいたり、また日本での滞在が長期にわたるためすでに故郷には生活基盤がなかったり、それぞれの事情はさまざまであり、かつ切実なものです。
こうした帰るに帰れない人々に対し、入管は、マニラ空港と北京空港にそれぞれ100人を送還するという方針をかかげ、今回、フィリピン人の一斉無理やり送還におよんだわけです。それぞれの個別の事情などおかまいなしで、まず数値目標ありきで、数合わせのごとく飛行機につめこんで送りつける。こうした入管のやり口には、はげしい怒りをおぼえます。
今週、東京入国管理局が、それぞれ1歳ぐらいと3歳ぐらいの乳幼児をふくむすくなくとも2組のフィリピン人母子を収容した事実を私たちは確認しています。彼女たちも、今回の一斉送還で帰国させられた可能性が高いですが、こうした乳幼児を母親もろとも無理やり飛行機にのせて「帰国」させるという危険な行為も、数値目標を達成するための「数合わせ」としておこなわれているのでしょうか。
入管は、ひとの生活、ひとの安全、ひとの人生をなんだとおもっているのでしょうか。日本社会が、非正規滞在のひともふくめて外国人の働き手を利用してきたこと、そのことに法務省の入管行政もいわば加担し共犯関係をむすんできたこと、そして、日本政府はご都合主義的な方針転換のもと、これらの非正規滞在者への摘発を急遽強化して、追いだしにかかったことについては、以下の記事でくわしく述べております。
- 強制送還再開への抗議を!――入管が被送還者の食事に睡眠薬を盛った疑惑も - 仮放免者の会(PRAJ)
- 仮放免者問題と強制送還について――この10年の入管行政をふりかえって - 仮放免者の会(PRAJ)
「労働力」として必要とみなしているうちは、「不法」状態に置いて利用するだけ利用し、不要とみなせば、まるでゴミでも捨てるかのように飛行機につめこんで追放しにかかる。このような、ひとをモノか家畜のようにあつかうような入管行政を、おわらせなければなりません。そのために、今回の一斉送還についての調査をすすめ、入管の責任を追及していきます。
また、今回の件につき、以下への抗議・意見提起をよびかけます。
【抗議先】
(1)東日本入国管理センター 総務課
tel: 029-875-1291
fax: 029-830-9010
〒300-1288 茨城県牛久市久野町1766-1
(2)東京入国管理局
tel: 03-5796-7250(総務課)
Fax: 03-5796-7125
〒108-8255 東京都港区港南5-5-30
また、あわせて、今回の送還において輸送業務をうけおった日本航空株式会社(JAL)への抗議も呼びかけます。
(3)日本航空株式会社(JAL)
同意なきチャーター便強制送還への非協力を私たちが要請したさいの、JAL広報部の対応については、以下記事をご参照ください。
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