すい臓がんにおかされた関西在住の仮放免者ブルゴス・フジイさん(ペルー国籍)が、9月13日に法務大臣より在留特別許可が認められ、在留資格を得ることができました。これで、健康保険に加入して治療を開始することができます。
多くの方がブルゴスさんのおかれた状況に関心を向け、法務省や大阪入管に対する要請をおこなっていただいたり、SNSなどで話題にしてくださったことが、こうした結果につながったのではないかと思います。ありがとうございます。
ただ、ブルゴスさんのように日本に家族がいたり、日本での生活が長期にわたるために、国籍国には帰れないという仮放免者はほかに多数います。あるいは、帰国すれば迫害の危険のある難民であるにもかかわらず、在留資格を認められずに仮放免状態にある人もいます。
入管庁によると2020年末時点で3,061人いるという退令仮放免者は、健康保険に入れず、また就労も禁止された状態におかれています。この3,000人超の仮放免者は、医療へのアクセスが困難なため、病気の発覚が遅れがちですし、高額な治療費を要する病気にかかってしまえばブルゴスさんがそうだったように治療を開始できないという状況におちいってしまいかねません。
在留特別許可の基準緩和や国際基準での難民認定をおこなうことで、仮放免者の在留を大胆に正規化する方向に政策の舵を切らなければ、ブルゴスさんと同様の問題は今後ともひんぱんに起きてこざるをえません。コロナ禍もあり、ますます仮放免者の困窮は深刻になっており、私たちとしても今後ともこの問題を訴えていかなければならないと考えています。
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さて、ブルゴスさんが在留を許可されたことについて、弁護団声明が出されています。以下、転載させていただきます。
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弁護団声明
本日、大阪出入国在留管理局長は、ペルー国籍の 日系 3 世の ブルゴス・フジイさん に対して、在留を特別に許可する旨の通知(疾病のための療養活動のための在留許可) を行 いました 。
ブルゴスさんは、1991年に来日し、日本での居住歴は30年以上です。ブルゴスさんは、2017年に、入管に収容され、2020年5月に仮放免されました。その後、2021年初め頃より体調を崩すことが増えはじめましたが、健康保険に加入できないことから、病院を受診することができませんでした。2021年6月頃より、急激に体調が悪化したため、病院で検査したところ、8月に、画像所見で膵臓がん(ステージ2)と診断され、早急な手術と治療が必要であると告げられていました。
弁護団は、8月23日に、大阪出入国在留管理局に在留特別許可を出すよう要請を行いました。また、ブルゴスさんの家族らが、記者会見を行い、ブルゴスさんの窮状を訴えました。
記者会見後には、ブルゴスさんに関する報道がなされ、大勢の市民から励ましの声をいただきました。また、多くの支援者らが、実際に入管に電話をし、足を運んで、ブルゴスさんとその家族らを助けました。このような、大勢の市民の声が力となり、入管を動かしたことは間違いがありません。
そして、法務省及び大阪出入国在留管理局は、本件が人道上の問題であること、ブルゴスさんの病状が深刻であり、一刻の猶予もないこと、医療スケジュールを把握した上で、本日、在留特別許可を出しました。申請から3週間での在留特別許可は、 異例の早さではないかと思います。弁護団としては、法務省が、一人の外国人の問題に真摯に向き合い、適切な考慮と早さで、在留特別許可を出したことを評価しています。
ブルゴスさんは、本日、無事に、国民健康保険に加入することができ ました。今月末には、手術を受ける予定であり、当初の予定通りの医療スケジュールで、治療が受けられることに感謝しています。
また、 ブルゴスさんに関する報道後、全国から(一部は、アメリカからも)ご寄付をいただきました。弁護団一同、心から感謝申し上げますとともに、皆様からいただきましたご寄付は、ご本人の治療費および支援者等の活動等寄付の趣旨に沿って活用する所存です。
最後に、ブルゴスさんについては、大勢の市民の関心と声により、入管を動かし、解決を図ることができました。しかしながら、本件のような仮放免中の外国人の医療・生活問題は、本来、一個人が個別に勝ち取るべきものではありません。在留資格のない外国人であっても、生きていく上で最低限必要な保障については、それを権利として享受できる枠組みが構築されるべきであると考えています。
今回、お力添えをいただきました市民の皆様には、改めて感謝申し上げますとともに、ブルゴスさんの闘いは、まだ続きますので、ご支援の継続をお願い致します。
以上
2021年9月13日
代理人弁護士乾彰夫、大森景一、川﨑真陽、高山良子、中井雅人、仲尾育哉、仲晃生、西川満喜
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マスコミ報道
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