訂正(2018年4月15日)
この記事で紹介した嘆願書について、「5つのブロックにまたがって計110名以上が署名をしています」としましたが、正しくは「3ブロック計86名」でした。おわびして訂正いたします。
なお、紹介した嘆願書は8A、9A、9Bの3ブロックの被収容者が連名で提出したものですが、これとべつに5A、5B両ブロックの被収容者が同時期にやはり長期収容の回避等をふくむ要求書を25名の連名で提出しています(この25名とこの記事で紹介した嘆願書の署名者86名を合計すると、記事タイトルにした「110名超」となります)。5A、5Bの要求書についても入手できしだい紹介したいと思います。
補足(2018年4月23日)
5A、5Bの要求書を公開しました。→ 収容長期化の回避等をもとめる被収容者連名申入書(東日本入管センター)
東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の被収容者が連名で「嘆願書」を出しました。「嘆願書」は、同センター長期収容・再収容をやめるように求めたもので、
2016年1月から東京入管での仮放免者の再収容が激増し、同時に東日本センターほか、東京や大阪の地方局での収容長期化も顕著になってきました。再収容激増と「収容の超長期化」と言うべき状況において、2016年の2月と7月には大阪入管で、17年の5月には東京入管で、それぞれ被収容者による集団ハンガーストライキがおこり、広く報道もされました。
大村入国管理センター(長崎県大村市)でも収容の長期化が顕著になっており、被収容者による連名の要求書があいついでいるところです。
上記リンク先に述べましたとおり、大村入管センターの人権状況について、ひきつづき読者のみなさまに情報の拡散を、とりわけ報道関係者のみなさまには取材・報道を要請いたします。また、東日本入管センターにつきましても、同様にお願いいたします。
連絡先:junkie_slip999☆yahoo.co.jp (☆をアットマーク(@)にかえてください)
以下、東日本入管センター被収容者の「嘆願書」の全文を掲載します。
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東日本入国管理センター所長殿
この嘆願書は、私達収容者の気持ちを伝えたく書かせてもらいます。
私達収容者の中には、1年、2年の収容を越える人が多く、中には3年近くも収容されている人もいます。
なぜこんなにも長い収容が続いているのでしょうか。こんなにも長い収容を耐えるのは、日本に残りたいちゃんとした理由があるからです。重要な理由がないなら皆、帰っています。帰らないのは、気まぐれで帰りたくないというわけではありません。もちろんそういう人が全くいないというわけでもないのは確かです。そういう人はもちろん自分の国に帰るべきです。ですが、ほとんどの人はそうではありません。
日本で生まれて日本しか知らない若者や、日本にしか家族がいない者、結婚し妻が外で待っている者、子どもが日本にいる者、自分の国に帰ることができない難民、日本に長期間滞在し自分の国に帰る場所がない者等、ちゃんとした日本に残る理由があります。理由がなければこんなにも辛くて長い収容生活を耐えることはできません。
ここは刑務所ではありません。ここ、東日本入国管理センターという場所は、こんなにも長い時間私達を収容するための場所なのでしょうか。
もちろん、ここにいる人は、何らかの理由でここに収容されています。
私達は、間違いをしました。不法滞在、不法就労、犯罪、住所変更等、これらの理由すべては、私達の責任であり私達の間違いです。
これらのことについて私達は深く心から反省しています。
そしてその償いとして8か月から12カ月の収容は仕方ありません。
自分の犯した罪の当然の報いです。ですが、それ以上の収容は、私達に肉体的、精神的苦痛を与えることです。
私達には、自由権はないのでしょうか。自由権には、身体の自由について「犯罪により処罰される場合を除き、肉体的、精神的な苦痛を受けない」とあります。この法律は何のためにあるのでしょうか。
ストレスが原因で病気になり、亡くなったものもいれば、ストレスが原因で病気になって今もここの中で苦しんでいる者も多くいます。これは、肉体的、精神的な苦痛を与えている証拠ではないのでしょうか。
私達は人間として生きる権利があります。それとも私達外国人には何の権利もないのでしょうか。
日本という国は、そういう国ではないはずです。だからこそ、日本は独裁国家ではなく民主主義の国のはずです。もし、この国が独裁国家なのであれば、こんな嘆願書は何の意味もありません。民主的の言葉の意味は、「どんな事でも一人ひとりの意見を平等に尊重しながらみんなで相談して決め、だれでも納得の行くこと」とあります。この反対は「独裁的」です。
果して今の入管のやり方は民主的なのでしょうか。私達からすれば今の入管のやり方は独裁的です。重要な理由があってもそんなことはかまわず、長期間収容し、家族や大切な人から離し、それだけではなく肉体的、精神的な苦痛も与えているのです。辛い想いをしているのは、私達だけではなく、外で待っている人も同じです。家族とこんなにも長い間離されるということは普通のことではありません。ここが刑務所なら仕方ありません。ですが、ここ東日本入国管理センターは、刑務所ではないのです。
日本は、グローバルリーダーであり、国連の模範的メンバーの日本が、基本的人権を無視し、独裁的な行いをし、私達外国人を苦しめて非人道的なことをしているのはまぎれもない事実なのです。
私たちの願いと要求は長期間の収容をやめて下さい。そして理由のない再収容もやめて下さい。私達を早く社会に戻して下さい。
平成30年3月2日
東日本入国管理センターの収容者より~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
以上の「嘆願書」に関連して、解説記事を公開しています。「入管の収容がどのような目的でおこなわれているのか?」、また「どのような人が収容されているのか?」、そして収容長期化の問題について述べています。「嘆願書」とあわせてごらんください。
- 入管施設の収容長期化問題について――被収容者「嘆願書」によせて - 仮放免者の会(PRAJ)(2018年4月10日)
また、長期収容・再収容に対する抗議としては、昨年の5月に東京入国管理局での被収容者による集団ハンガーストライキがあり、これはマスコミでも広く報道されました。
- 日本外国特派員協会にて記者会見――東京入管でのハンストについて - 仮放免者の会(PRAJ)(2017年6月2日)
- 東京入管被収容者ハンストの背景について - 仮放免者の会(PRAJ)(2017年5月15日)
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